説明

インクジェット記録装置、該装置用記録媒体およびインクジェット記録方法

【課題】 インクジェット記録方式を適用し、段ボールなどの記録媒体に対して、記録する画像の内容に応じた最適な条件で容易に印刷を行うことができるようにする。
【解決手段】 予め段ボール箱11に記憶素子17をもたせ、記録制御情報や印刷データなどを記憶させ、これに基づいて適宜、大ドットを記録するための第1記録ヘッド1と、小ドットを記録するための第2記録ヘッド2とを選択しつつ印刷を行うようにする。すなわち、記憶情報に基づいてロゴなどのベタ記録部分とバーコードなどの緻密記録部分とを識別し、それぞれに好ましい記録ヘッドを選択して印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置、該装置用記録媒体およびインクジェット記録方法に関し、特に、製造工場等の現場や、物流倉庫など商品を保管・出荷する現場、あるいは段ボールのライナー紙の印刷現場において実施される段ボール印刷に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
青果品、水産品、機械部品などの物流用段ボール箱などに印刷を行う方法としては、特許文献1に記載されているように、シート状の段ボール箱素材に対してフレキソ印刷法等によるものが知られている。この際、段ボール箱に収納する内容物の名称等の情報や、デザイン部分、製造者名などの共通情報を予め印刷(プレ印刷)しておき、その後にこれをカッティングし、さらに段ボール製函機等により箱に加工することができる。また、シリアル番号、製品仕向け地、ロット番号などの固有な情報の形成は、製函後にスタンプやプリンタ等で印刷を行うか、あるいはそれらの固有情報を印刷したラベルを貼るなどによって行われている。
【0003】
しかし、段ボール箱に収納しようとする内容物の種類が多くなると、その分プレ印刷されたシート状素材、カッティングされた段ボール紙、ないしは製函される段ボール箱の種類が多くなる。従って、使用に先立ってこれらを保管しておくためのスペースが必要になり、また管理も煩雑となる。さらに、プレ印刷する共通情報が変更された場合には版の変更が必要になるため、迅速に対応できない等の不具合が生じていた。
【0004】
また、固有の情報を形成することについても、スタンプを用いる場合には機械コストは廉価であるものの、人手を要するため作業コストがかかる。また、スタンプやプリンタで印刷を行う場合、印刷対象である段ボールは厚み方向に剛性がないため印刷むらが生じ易く、このため物流に適さない段ボール箱製品が生じ、歩留まり低下のために製造コストの上昇を招いていた。さらに、ラベルに固有情報を印刷した上で段ボールなどに貼り付ける場合は、ラベルに印刷を行うための出力機や、ラベルを担持するライナーを剥して箱に貼り付けるためのシステムを別途用意しなくてはならないし、ラベル自体のコストもかかる。加えて、またラベル分離後に不要となったライナーなどが大量に生じるため、環境性や省資源化の面でも好ましくない。
【0005】
そこで、インクジェット記録方式を利用し、段ボール外面のライナー紙に直接、上記共通情報および固有情報を同時に印刷することにより、上記の問題を解決することが考えられる。ここに、インクジェット記録方式は、記録ヘッドに設けたインク吐出口からインクを吐出し、種々の記録媒体に所望の情報を形成する方式であり、記録媒体に対して非接触で記録を行うものであるために、むらのない高品位かつ耐水性の良好な画像を高速に記録可能であり、さらに高密度記録が可能であってしかもカラー化が容易であるなどの利点を有しているものである。これにより、多品種の段ボールが必要な場合でもあらかじめプレ印刷した段ボール箱の在庫を持つ必要がなくなり、倉庫や工場おいてはスペースの削減になるばかりでなく、デザインの変更などにも迅速に対応できる。また、印刷現場においては、版の作成・交換などを必要としないため洗浄工程の削減、インクの効率的使用も可能となる。
【0006】
しかしながら、インクジェット記録方式によって段ボールのライナー紙に印刷を行う場合、デザイン部分やロゴマークなど所謂「ベタ」部が多い部分と、バーコードや文字など緻密な部分との印刷の両立が困難であるという問題がある。これは、段ボールのライナー紙の表面はフレキソ印刷のインクが乗りやすいように加工されているのが一般的であるため、低粘度のインクで印刷した場合、にじみにより文字やバーコードなど比較的緻密な部分での印刷品位が著しく悪化するためと考えられる。また、にじみを抑制したインクを使用した場合には、比較的緻密な部分の印刷品位は改良されるが、ベタ印刷を行う部分ではにじみがないために、却って白すじなどインクで被覆されない領域が発生してしまうという不具合が生じる。
【0007】
ここで、特許文献2には、顔料インクを吐出する記録ヘッドと染料インクを吐出する記録ヘッドとを具え、文字か非文字かに応じてそれらの使用を切り替えるようにした画像記録装置が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−92554号公報
【特許文献2】特開2005−1250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載された構成は、オフィスないしパーソナルユースの記録装置が記録対象とするような比較的小サイズの記録媒体に対する記録では有効である。しかし、段ボール紙に対する記録のように、比較的大サイズの記録媒体に対して記録を行うような場合には、単純に文字と非文字とを切り分けて顔料インクと染料インクとの切り替えを行うだけでは不十分である。例えば、文字であってもベタ部分が大きくなるような大ポイントである場合もあるし、非文字といってもバーコードのように緻密に形成されるべきものもあるからである。
【0010】
そこで本発明は、段ボール紙など比較的大サイズの記録媒体に対し、形成すべき画像のそれぞれの部分に対して好ましい記録、すなわち信頼性が高く良好な品位の記録を行うことができるようにすることを目的とするものである。
【0011】
また本発明は、形成すべき画像のそれぞれの部分に対しての好ましい記録を容易に実現できるようにすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明は、比較的大面積の記録ドットを記録するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを記録するための第2の記録ヘッドとを用いて記録媒体(段ボールのライナー紙など)に印刷を行うインクジェット記録装置であって、前記記録媒体から印刷を行うための情報を読み取る読み取り手段と、当該読み取った情報に基づき、前記第1の記録ヘッドで記録すべき部分(ベタ記録部分など)と前記第2の記録ヘッドで記録すべき部分(緻密な記録部分など)とを識別する識別手段と、当該識別に基づいて前記第1および第2の記録ヘッドを駆動して記録動作を行わせる手段とを具えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記インクジェット記録装置による印刷が可能な記録媒体であって、前記読み取り手段によって読み取り可能な情報保持手段を担持してなることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、比較的大面積の記録ドットを記録するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを記録するための第2の記録ヘッドとを用いて記録媒体に印刷を行うインクジェット記録方法であって、前記記録媒体上に担持された情報保持手段から印刷を行うための情報を読み取る工程と、当該読み取った情報に基づき、前記第1の記録ヘッドで記録すべき部分と前記第2の記録ヘッドで記録すべき部分とを識別する工程と、当該識別に基づいて前記第1および第2の記録ヘッドを駆動して記録動作を行わせる工程とを具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録媒体に情報保持手段をもたせ、記録制御情報や印刷データなどを記憶させ、これに基づいて適宜記録ヘッドを選択しつつ記録を行うようにしたことにより、記録する画像の内容に応じた最適な条件で容易に印刷を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0017】
1.第1の実施形態
1.1 インクジェット記録装置
図1および図2は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)の模式的側面図および模式的斜視図である。
【0018】
本例の記録装置は、印刷位置に対する媒体搬送方向Fの上流側および下流側に配された一対のドラム13,13に架け渡された無端の搬送ベルト14を具え、その搬送ベルト14上に記録対象である段ボール箱11を担持しつつ、ドラムの回転に伴う搬送ベルトの走行によって搬送を行う。1〜5は、当該搬送される段ボール箱11に対して記録を行うべく、搬送方向Fに垂直な方向に、段ボール箱11の全幅以上の範囲にわたって吐出口を配列してなるフルラインヘッド形態のインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)であり、搬送方向Fに沿って並置されている。記録ヘッド1および2はブラックインクを吐出するものであり、記録ヘッド3、4および5は、それぞれ、シアン、マゼンタおよびイエローのインクを吐出するためのものである。
【0019】
ここで、本実施形態では、記録ヘッド1は段ボール箱11の被記録面に対して大面積のドットを形成することで所謂ベタ部分の記録に適するものとなっている。一方、記録ヘッド2は小面積のドットを形成することで緻密な部分の記録に適するものとなっている。
【0020】
なお、これらの記録ヘッド1〜5に対しては、不図示のインク供給源からチューブ等を介して対応する色のインクが供給される。また、記録ヘッド1〜5としては、例えばインクを吐出するために利用されるエネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する素子を有したものを用いることができる。さらに、記録媒体の最大幅に対応した長さにわたって記録を可能とする構成としては、図示のようにそれぞれ単体の記録ヘッドで当該長さを満たすものであってもよいし、複数の組合せによってその長さを満たす構成であってもよい。
【0021】
15はRF−ID通信用アンテナを含む非接触通信部であり、段ボール箱11の搬送方向上、記録ヘッド1〜5よりも上流の位置に設けられている。そして、記録ヘッド1〜5による記録に先立って、段ボール箱11に付設したデータ記憶機能および非接触通信機能を有する非接触集積回路基板(RFタグなど)17との間で通信を実行し、非接触集積回路17から非接触通信部15を介して取得した情報に基づいて、段ボール箱11に所定の印刷を実行することが可能である。すなわち、段ボール箱11は搬送ベルト14により搬送され、まず非接触通信部15により非接触集積回路基板17が保持する情報が読み取られた後、記録ヘッド1〜5による被記録位置を通過する過程で、各ヘッドから吐出される各色のインクによって記録(1パス記録)が行われ、記録装置外に排出される。
【0022】
非接触集積回路基板17には、例えば、記録媒体の材質や、印刷用のデータ(カラーの指定を含む)などの制御情報を格納しておくことができる。また印刷用データに含まれるベタ記録部分および緻密記録部分との識別情報を格納しておくこともできる。特に段ボール箱は用途に応じて表面のコート層の種類が異なるため、これらのような制御情報を予め格納しておくことで、記録装置は、使用される段ボール箱上に印刷すべき画像のそれぞれの部分に対しての好ましい記録を容易に実現できる。
【0023】
また、バーコード(二次元バーコードを含む。)をあらかじめ、段ボール箱11に印刷しておき、所定のバーコードリーダを段ボール箱11の搬送方向上、記録ヘッド1〜5よりも上流の位置に設け、記録ヘッド1〜5による記録に先立って、バーコードから取得した情報に基づいて、段ボール箱11に所定の印刷を実行することも可能である。
【0024】
図3は本実施形態に係る記録装置101の制御系の構成例を示すブロック図である。
ここで、MPU600は、作業用RAM602を適宜使用しながら、プログラムROM601に格納された図4について後述するような制御手順に対応した制御プログラムを実行する。603はVRAMであり、段ボール箱11に印刷データに対応した各記録ヘッド用の記録データを展開するプリントバッファとして機能する。
【0025】
604はコンピュータ等のホスト装置109との間で情報の授受を行うための通信制御ドライバである。313は段ボール箱11の搬送の駆動源をなす搬送モータ、605はそのドライバである。606はVRAM603に展開された記録データに基づいて各色用記録ヘッド1〜5を駆動する駆動回路である。309は搬送されてくる段ボール箱11の先端位置を検知するためのセンサ、105は記録装置の電源スイッチ、610は操作環境の設定等を操作者が行うための操作スイッチ、607はこれら各部のための入出力ユニット(I/O)である。また、611は操作者に対して所要のメッセージを表示するための例えばLCD形態の表示部、608はこのLCD611を駆動するためのドライバである。
【0026】
図4は本実施形態の記録装置による記録処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
本手順は、例えばホスト装置109から記録開始のコマンドを受信したときに起動され、まず搬送モータ313を作動させて搬送ベルト14を駆動し、記録媒体である段ボール11の搬送を開始する(ステップS1)。そして、RF-IDタグ17との通信が可能となると、非接触通信部15を介してその保持情報を読み取る(ステップS3)。当該読み取った情報に含まれる印刷用データから、特にブラックインクを用いるデータについて、ベタ記録を行う部分(ロゴやデザイン部分、あるいは大ポイントの文字など)と、緻密な記録を行う部分(バーコード(2次元状のものも含む)や小ポイントの文字、精細な画像など)とを識別しながら(ステップS5)、各色記録ヘッドで記録するデータをVRAM603に展開する(ステップS7)。
【0028】
そして、この記録データに基づいて記録ヘッド1〜5を駆動しながら、搬送される段ボール箱11に対して記録動作を行う(ステップS9)。1つの段ボール箱11に対しての記録が終了すると、次の段ボール箱11への記録を行うか否かを判定し(ステップS11)、肯定判定であればステップS3以降の処理を繰り返す。否定判定であれば段ボール箱11の排出を行った後に搬送動作を停止し(ステップS13)、本手順を終了する。
【0029】
なお、ベタ記録部分と緻密記録部分との識別は、段ボール箱11に取り付けられたRF-IDタグ17がそれらの識別情報を予め保持しているのであればこれを利用することができる。また、非接触集積回路基板17が印刷データとして予め各記録ヘッド用の記録データを保持しているのであれば、これをそのまま利用してVRAM603への展開を行えばよい。
【0030】
これに対し、RF-IDタグ17に識別情報が保持されておらず、例えばブラック用の印刷データとして保持しているのであれば、そのブラック用の印刷データの分布状態を判定し、ベタ記録が好ましい部分と緻密記録が好ましい部分とに分離して展開を行えばよい。また、RF-IDタグ17がカラー画像としての印刷データを保持しているのであれば、各色記録データへの分離、さらにベタ記録が好ましい部分と緻密記録が好ましい部分とへのブラックデータの分離を行えばよい。これらの分離処理を行う上で、記録装置側の負担が大きければ、ホスト装置109側で分離処理行った後にこれを受け取るようにすることができる。この場合は、RF-IDタグ17に格納されたデータを記録装置からホスト装置109に転送するようにしてもよいし、非接触通信部からダイレクトにホスト装置109に送信するようにしてもよい。
【0031】
また、上記手順において、RF-IDタグ17と通信を行ってからデータの展開までに時間を要するのであれば、記録処理(ステップS9)の前に一端搬送を停止するようにすることができる。
【0032】
さらに、上記構成において、RF-IDタグ17は記録媒体(段ボール箱)毎に取り付けられるものでもよいし、複数枚毎あるいはロット単位で取り付けるようにしてもよい。この場合には、先頭の記録媒体に取り付けられるRF-IDタグ17に、記録枚数(段ボール箱の個数)を格納しておくことができる。
【0033】
本実施形態は基本的な構成として、段ボール箱(ないしはその内層・外層用ライナー紙上)に品位が高くかつ耐水性の良好な印刷を行うインクジェット記録方式を採用している。これにより、多品種の段ボールが必要な場合でもあらかじめプレ印刷した段ボール箱の在庫を持つ必要がなくなり、倉庫や工場おいてはスペースの削減になるばかりでなく、デザインの変更などにも迅速に対応できる。また、印刷現場においては、版の作成・交換などを必要としないため洗浄工程の削減、インクの効率的使用が可能である。
【0034】
また、本実施形態は特徴的な構成として、あらかじめ段ボール箱に記憶素子をもたせ、記録制御情報や印刷データなどを記憶させ、これに基づいて適宜記録ヘッドを選択しつつ記録を行うようにしたことにより、記録する画像の内容に応じた、さらには段ボールのライナーの種類に応じた、好ましい最適な条件で印刷を行うことが可能になる。
【0035】
1.2 異なる記録ドット面積を得るための態様
本発明は、比較的大面積の記録ドットを形成するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを形成するための第2の記録ヘッドとを用い、記録する画像の内容に応じて両記録ヘッドで記録する部分を切り分けるようにしている。
【0036】
このように異なる記録ドット面積を得るためには種々の態様をあげることができる。
【0037】
上述の記録装置においては、記録ヘッド1および2の吐出口の大きさを異ならせる(例えば記録ヘッド1は記録ヘッド2よりも大きい吐出口の配列を有したものとする)ことで、異なる記録ドット面積を得ることができる。
【0038】
また、記録ヘッド1および2において、記録媒体上でのにじみ率が異なるインクをそれぞれ用いることで、異なる記録ドット面積を得ることもできる。そして、にじみ率の大きいインクでイラストやロゴ等ベタ領域が多い部分を記録し、にじみ率の小さいインクを用いて小ポイントの文字やバーコード等緻密な印刷が要求される部分を記録することができる。
【0039】
にじみ率とは、記録媒体上でのドット径を、記録ヘッドから吐出するインクドロップの体積から計算したインク滴の直径で除したものであり、解像度に応じて適切なにじみ率が求められる。こうしたにじみ率は、記録媒体の表面状態により影響を受けるが、インクの表面張力または粘度によりコントロールすることが可能である。
【0040】
ここで、ブラックインクに使用される色材は、顔料あるいは染料を用いることが好ましい。含有される色材の量は重量比で0.5〜20%、好ましくは、2〜12%の範囲である。色材として顔料を用いる場合には、カーボンブラックを使用することができる。色材として染料を用いる場合には、カラーインデックスに記載されている酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料を用いることができる。しかしこれらは例示であり、新規に合成されたものでも使用可能である。
【0041】
また、上記色材に加えて、吐出安定性、流動特性、分散安定に対する補助剤として界面活性剤(ノニオン界面活性剤、両性界面活性、カチオン界面活性剤など)、防腐剤、酸化防止剤、その他物性調節の為の補助材料を添加することができ、これらに水溶性溶媒を適用することでインクが調製される。そして、インクの表面張力や粘度の調整は、界面活性剤の種類、添加量、水溶性溶媒の種類、添加量により、任意に行うことができる。
【0042】
あるいはまた、記録ヘッド1および2としては同等の大きさの吐出口の配列を有するものとしても、記録ヘッドの駆動条件を異ならせることによりインクの吐出量を異ならせ、これによって記録ドット面積を異ならせることも可能である。
【0043】
例えば、吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する発熱素子(ヒータ)を用いる記録ヘッドにあっては、次のように駆動条件を異ならせることができる。すなわち、ヒータに供給される駆動パルス(ヒートパルス)を単一のパルス(シングルパルス)とするほか、インターバルタイム(休止期間)を挟む前後2つのパルスに分割し(プレパルスおよびメインパルスを含むダブルパルス)とすることがあり、これらの分割パルスやインターバルタイムを適切に変調することにより、吐出量変調を行うことが可能である。
【0044】
また、シングルパルスで駆動する場合であっても、ダブルパルスで駆動する場合であっても、パルスの高さ(印加電圧)、パルス幅およびパルス形状の少なくとも1つを制御することにより吐出量を制御することも可能である。さらに、記録ヘッドに温度調整用のヒータを設けておき、記録ヘッド内のインクを適宜加熱することによりインク粘度を調節して吐出量を制御することも可能である。さらに、1吐出口に対応して2以上の吐出ヒータを有し、それら吐出ヒータの選択的駆動を行うことによって吐出量変調を可能とした構成を採用することもできる。すなわち、本発明で言う「駆動条件を異ならせる」とは、それらのような態様も含むものとする。
【0045】
1.3 実施例
以下、図1の記録装置の構成に適用される具体的な実施例について説明する。
【0046】
1.3.1 インク
まず、以下のような各種ブラックインクを用意した。
【0047】
ブラックインクA
スチレン/アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(酸価200、重量平均分子量15000)の水酸化カリウム溶液(中和率110%、樹脂固形分15部)を80部、エチレングリコールを7部、この溶液にカーボンブラック(MA−7;三菱化学製)13部を添加後、サンドミルを用いて分散し、水性分散体(固形分約12%)を作成した。
【0048】
次に、以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾過し、ブラックインクAを得た。
・上記分散体 25部
・エチレングリコール 15部
・グリセリン 5部
・トリエチレングリコール 5部
・エマルゲン931 0.5部
・イオン交換水 残部
このインクの表面張力は、45.6mN/m、25℃の粘度は3.7mPa・sであった。このインクは色材成分が記録媒体表面に比較的残り易い性質をもつ。
【0049】
ブラックインクB
以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、2μmのメンブランフィルターで濾過し、ブラックインクBを得た。
・上記分散液 25部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 15部
・グリセリン 5部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・イオン交換水 残部
このインクの表面張力は、30.4mN/m、25℃の粘度は3.3mPa・sであった。このインクは色材成分が記録媒体内に比較的浸透し易い性質をもつ。
【0050】
ブラックインクC
スチレン/アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(酸価200、重量平均分子量30000)の水酸化カリウム溶液(中和率110%、樹脂固形分60部)を80部、エチレングリコールを7部、この溶液にカーボンブラック(MA−7;三菱化学製)8部を添加後、サンドミルを用いて分散し、水性分散体(固形分約11%)を作成した。
【0051】
次に、以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾過し、ブラックインクCを得た。
・上記分散体 50部
・ジエチレングリコール 15部
・グリセリン 7部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.3部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・イオン交換水 残部
このインクの表面張力は、42.1mN/m、25℃の粘度は4.6mPa・sであった。このインクは上記ブラックインクAおよびブラックインクBの中間の性質をもつ。
【0052】
次に、本発明に使用されるカラーインクにはカラーインデックスに記載の酸性染料、塩基性染料、直接性染料、有機顔料、無機顔料が使用できる。顔料は表面改質を行った自己分散型顔料、高分子分散体によって分散させた水性顔料体などの使用可能である。
【0053】
そして実施例で使用するために、以下のような各種カラーインクを用意した。
【0054】
イエローインク
以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、2μmのメンブランフィルターで濾過し、イエローインクを得た。
・C.I.ACID YELLOW 23 3部
・ジエチレングリコール 8部
・グリセリン 10部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.1部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・イオン交換水 残部
【0055】
マゼンタインク
スチレン/アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(ガラス転移温度58℃、酸価180、重量平均分子量8000)の水酸化ナトリウム溶液(中和率130%、樹脂固形分2.5部)を80部、ジエチレンクリコールを5部含む溶液にC.I.Pigment Red122 15部を添加後、サンドミルで8時間分散を行い、水性分散体を得た。この分散体を遠心分離(15000rpm、0.5時間)し、粗大粒子を取り除き、水性分散体(固形分約13%)を作成した。
【0056】
以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾過し、さらにイオン交換樹脂層を通して無機不純物を除去してマゼンタインクを得た。
・上記分散体 40部
・エチレングリコール 10部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.5部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・イオン交換水 残部
【0057】
シアンインク
スチレン/アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(ガラス転移温度77℃、酸価140、重量平均分子量6000)の水酸化カリウム溶液(中和率125%、樹脂固形分5部)を80部、エチレングリコールを5部含む溶液に純水で洗浄したC.I.Pigment Blue 15:3 15部を用いて、プレミキシングした後、サンドミルで3時間分散し、水性分散体(固形分約14%)を作成した。
【0058】
以下の成分を混合し、3時間攪拌した後、2μmのメンブランフィルターで濾過し、シアンインクを得た。
・上記分散体 40部
・ジエチレングリコール 8部
・グリセリン 8部
・トリエチレングリコール 8部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・サーフィノール465(日信化学工業(株)) 0.5部
・イオン交換水 残部
【0059】
1.3.2 実施例
実施例1
上記ブラックインクA、ブラックインクBおよび3種類のカラーインクを図1に示すインクジェット記録装置のインクカセットに充填し、それぞれ、ブラック用記録ヘッド2、ブラック用記録ヘッド1およびカラー用記録ヘッド3〜5に供給するようにした。ブラック用記録ヘッド1および2として、ともに吐出口面積380μmのものを用いた。
【0060】
そして、特白PC180g/m(段ボールライナー、王子製紙製)上に、ブラックインクA用記録ヘッド2を用いてバーコードおよび8ポイントの文字を、ブラックインクB用記録ヘッド1およびカラー用記録ヘッド3〜5を用いてイラストおよびロゴを形成した。記録ヘッド2で印刷されたドットのにじみ率は2.0、記録ヘッド1で印刷されたドットのにじみ率は2.8であった。
【0061】
実施例2
上記ブラックインクAを記録ヘッド1および2に、種類のカラーインクをカラー用記録ヘッド3〜5に供給するようにした。ここで、ブラック用記録ヘッド1として吐出口面積400μmのものを、ブラック用記録ヘッド2として吐出口面積330μmのものを用いた。
【0062】
そして、茶ライナーOFC210g/m(段ボールライナー、王子製紙製)上に、記録ヘッド2を用いてバーコードおよび6ポイントの文字を、記録ヘッド1およびカラー用記録ヘッド3〜5を用いてイラストおよびロゴを形成した。記録ヘッド1のインク吐出量は27ng、記録ヘッド2のインク吐出量は23ngであった。
【0063】
実施例3
上記ブラックインクB、ブラックインクCおよび3種類のカラーインクを図1に示すインクジェット記録装置のインクカセットに充填し、それぞれ、ブラック用記録ヘッド1、ブラック用記録ヘッド2およびカラー用記録ヘッド3〜5に供給するようにした。ブラック用記録ヘッド1および2として、ともに吐出口面積410μmのものを用いた。
【0064】
そして、茶ライナーOFK210g/m(段ボールライナー、王子製紙製)上に、記録ヘッド2を用いてバーコードおよび6ポイントの文字を、記録ヘッド1およびカラー用記録ヘッド3〜5を用いてイラストおよびロゴを形成した。
【0065】
実施例4
【0066】
上記ブラックインクAを記録ヘッド1および2に、種類のカラーインクをカラー用記録ヘッド3〜5に供給するようにした。ここで、ブラック用記録ヘッド1として吐出口面積400μmのものを、ブラック用記録ヘッド2として吐出口面積380μmのものを用いた。
【0067】
そして、茶Kライナー210g/m(段ボールライナー、王子製紙製)上に、記録ヘッド2を用いてバーコードおよび6ポイントの文字を下記の駆動条件2により、記録ヘッド1およびカラー用記録ヘッド3〜5を用いてイラストおよびロゴを下記駆動条件1により形成した。記録ヘッド1のインク吐出量は26.5ng、記録ヘッド2のインク吐出量は23.2ngであった。
【0068】
(駆動条件1)ダブルパルス駆動:印加電圧26V、プレパルス幅0.5μs、休止時間2.5μs、メインパルス幅2.5μs
(駆動条件2)シングルパルス駆動:印加電圧26V、パルス幅2.8μs。
【0069】
比較例1
実施例1の記録ヘッド1および2(ともに吐出口面積380μm)に対し、ともにブラックインクAを供給すること以外は、実施例1と同様の条件にて記録を行った。
【0070】
比較例2
記録ヘッド1および2(ともに吐出口面積430μm)に対し、ともにブラックインクBを供給し、カラーインクを記録ヘッド3〜5に供給して、実施例2と同じ条件の記録を行った。
【0071】
1.4 評価
上記実施例1〜4、比較例1および2による印刷結果を次のように評価した。
【0072】
(画像品質評価)
マクベス社製反射型光度計RD−918(商品名)を用いてブラックのベタ記録部分の画像濃度を測定した。
【0073】
(バーコード特性)
バーコード記録部を検証機(LASERCHEKII、富士電機冷機製)により10回検証した。
【0074】
その評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
上記表において、バーコード適性の「○」は10回全てバーコードを読取ることができたことを、「×」は10回のうちバーコードを読取れないことが発生したことを示している。また、ベタ部分均一性の「○」は白スジが発生していないことを、「×」は白スジが発生していることを示している。
【0077】
2.第2の実施形態
上記実施形態では、記録媒体の全幅以上の範囲にわたって吐出口を配列してなるフルラインヘッド形態の記録ヘッドを用いるラインプリンタ形態の記録装置に本発明を適用した場合について説明した。しかし本発明は、その他の形態の記録装置にも適用可能である。
【0078】
図5は本発明を適用可能な他の形態のインクジェット記録装置を示し、上記と同様に構成できる部分については対応箇所に同一符号を付してある。
【0079】
本例に係る記録装置は、記録媒体である段ボール箱11の搬送方向Fと直交する方向への記録ヘッドのスキャンと、搬送方向Fに平行な方向への記録ヘッドの移動とを繰り返しながら記録を行う形態のものである。
【0080】
図6はかかる記録装置に適用される記録ヘッドユニットの正面図である。この記録ヘッドユニットには、媒体搬送方向Fと直交するスキャン方向xにブラックインク用の記録ヘッド31−1および31−2、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のカラーインク用の記録ヘッド31−3〜31−5が並置されている。そして、各記録ヘッドには、スキャン方向xと異なる方向、例えばこれと直交する媒体搬送方向Fに平行な方向yに複数の吐出口が配列されている。ここで、上記実施形態と同様、記録ヘッド31−1は段ボール箱11の被記録面に対して大面積のドットを形成することで所謂ベタ部分の記録に適するもの、一方、記録ヘッド31−2は小面積のドットを形成することで緻密な部分の記録に適するものとなっている。
【0081】
図5において、35はキャリッジであり、上記記録ヘッド31−1から31−5を有した記録ヘッドを保持するとともに、各記録ヘッドに供給するインクを収納したインクタンク32−1〜32−5を保持する。さらにキャリッジ35には、非接触通信部15が保持されている。キャリッジ35はスキャン方向xに延在するガイド軸26xに支持・案内されて同方向への移動が可能である。また、キャリッジ35はガイド軸26xとともに、搬送方向Fに平行なy方向に延在するガイド軸26yに支持・案内されて同方向への移動が可能である。さらに、キャリッジ35は鉛直方向に延在するガイド軸26zに支持・案内されて同方向へも移動可能であり、これによって記録媒体の種々の高さないしは厚みに対応可能となっている。
【0082】
記録媒体である段ボール箱11は、キャリッジ35のx,y方向の可動範囲に対向する部位で搬送が停止され、キャリッジ35の移動に伴って非接触通信部15により非接触集積回路基板17が保持する情報が読み取られ、また記録ヘッドないし記録ヘッド31−1〜31−5による記録が行われた後、再度搬送されて記録装置外に排出される。情報の読み取り等に関する処理は第1の実施形態と同様である。
【0083】
なお、図1において、21はホスト装置109と図示の記録装置の非駆動要素等との間に介挿されたコントローラであり、ホスト装置109と接続されるケーブル23および上記x、yおよびz方向の移動を実現するための信号を伝達するケーブル24を有している。
【0084】
3.その他
本発明は、比較的大面積の記録ドットを形成するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを形成するための第2の記録ヘッドとを用い、記録する画像の内容に応じて両記録ヘッドで記録する部分を分け、それぞれ最適な記録が行われるようにするものである。
【0085】
このように異なる記録ドット面積を得るためには、上述のように、第1の記録ヘッド(記録ヘッド1または記録ヘッド31−1)および第2の記録ヘッド(記録ヘッド2または記録ヘッド31−2)2の吐出口の大きさを異ならせること、記録媒体上でのにじみ率が異なるインクをそれぞれ用いること、駆動条件を異ならせることによりインクの吐出量を異ならせること、などの種々の態様をあげることができる。これらの態様は単独で用いられてもよいし、また2以上のものを適宜組み合わせることも可能である。
【0086】
また、上述の各実施形態では、ブラックインクについて異なる記録ドット面積を実現するものとしたが、必要に応じ他のインクについてもこれを実現するようにしてもよい。さらに、インクジェット記録装置で用いるインクの色調(色、濃度を含む)ないしはその数についても、適宜定め得ることは勿論である。
【0087】
加えて、上例では製函され、組み立てられた形態である段ボール箱に対して記録を行うものとしたが、これは折りたたまれた状態のものでもよいし、製函前の展開状態のもの、あるいはシート状の段ボール素材に対して印刷を行うものでもよい。また、本発明は、媒体サイズおよび画像形成領域の面積が大きく、かつベタ記録部分と緻密記録部分とが混在するような画像の印刷を行う場合に適用して好適なものであって、記録媒体としても上例に限られないことは勿論である。
【0088】
さらに加えて、上例では印刷用のデータ等を授受する手段として非接触型のものを用いたが、例えばバーコードとバーコードリーダとの組み合わせなど、その形態は適宜定め得ることは勿論である。また、非接触型とすることは、段ボール箱等の記録媒体の搬送状態に干渉せず、位置をずらしてしまわないようにする上で好ましいものである。しかしそのような懸念がなければ、接触型のものの使用を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の模式的側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の模式的斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置による記録処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置の模式的斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドの模式的正面図である。
【符号の説明】
【0090】
1000 ホスト装置(コンピュータ)
1〜5 記録ヘッド
3 ドラム
11 段ボール箱
14 搬送ベルト
15 非接触通信部
17 RF-IDタグ
31−1〜31−5 記録ヘッド
32−1〜32−5 インクタンク
35 キャリッジ
101 記録装置
109 ホスト装置
600 MPU
603 VRAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的大面積の記録ドットを記録するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを記録するための第2の記録ヘッドとを用いて記録媒体に印刷を行うインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体から印刷を行うための情報を読み取る読み取り手段と、
当該読み取った情報に基づき、前記第1の記録ヘッドで記録すべき部分と前記第2の記録ヘッドで記録すべき部分とを識別する識別手段と、
当該識別に基づいて前記第1および第2の記録ヘッドを駆動して記録動作を行わせる手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体は、前記読み取り手段によって読み取り可能な情報保持手段を具えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1の記録ヘッドで記録すべき部分はベタ記録部分であり、前記第2の記録ヘッドで記録すべき部分は緻密な記録部分であることを特徴とする請求項1、2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1および第2の記録ヘッドは、インクを吐出するための吐出口の大きさ、吐出するインクの表面張力、吐出するインクの粘度、およびインク吐出を行うための駆動条件の少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1および第2の記録ヘッドはブラックインクを吐出するためのものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
さらにカラーインクを吐出するための記録ヘッドを用いることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体は段ボールのライナー紙であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記情報読み取り手段は、前記記録媒体に担持された非接触集積回路形態の前記情報保持手段から非接触で前記情報の読み取りを行うための非接触通信回路を有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置による印刷が可能な記録媒体であって、前記読み取り手段によって読み取り可能な情報保持手段を担持してなることを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
前記情報には印刷データが含まれることを特徴とする請求項9に記載の記録媒体。
【請求項11】
前記情報には前記識別を行うための制御情報が含まれることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の記録媒体。
【請求項12】
前記情報は記録媒体種類を示す情報が含まれることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項13】
比較的大面積の記録ドットを記録するための第1の記録ヘッドと、比較的小面積の記録ドットを記録するための第2の記録ヘッドとを用いて記録媒体に印刷を行うインクジェット記録方法であって、
前記記録媒体上に担持された情報保持手段から印刷を行うための情報を読み取る工程と、
当該読み取った情報に基づき、前記第1の記録ヘッドで記録すべき部分と前記第2の記録ヘッドで記録すべき部分とを識別する工程と、
当該識別に基づいて前記第1および第2の記録ヘッドを駆動して記録動作を行わせる工程と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−321065(P2006−321065A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143981(P2005−143981)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】