説明

インクジェット記録装置

【課題】本発明は、容易かつ短時間でスタンドに設置でき、コストをおさえることができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録装置の代表的な構成は、スタンド2に設置可能なインクジェット記録装置1であって、スタンド2のインクジェット記録装置1を支持するスタンド台座部3を囲う環状凸部75を底部に有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用設置台に設置可能な構成をもったインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、市販品や既存の机や台に設置して使用する、いわゆるデスクトップ型と、専用設置台(スタンド)に設置し使用することが可能な、いわゆるスタンド型がある。
【0003】
デスクトップ型は、インクジェット記録装置が設置可能な面積をもった机や台があれば、任意の位置に、装置本体を設置可能である。一方、スタンド型は、装置の性能面、外観的なデザイン面、設置後の落下防止等の安全面から、装置本体とスタンドとが一定の決められた位置関係になるように位置決めして設置される必要性がある。
【0004】
従来のスタンド型のインクジェット記録装置における位置決め方式としては、装置本体とスタンドの外形を段差が少なくなるように一致させ据え置く方式がある。また、装置本体あるいはスタンド側に位置決め用の突起部(絞りや軸といった)を備え、かつスタンドあるいは装置本体側に突起部がはまり込む凹部(絞りや穴)を備え、突起部と凹部がガイドとなり位置合わせを行なう方式がある(特許文献1参照)。そして、これらの方式は、インクジェット記録装置に限らず広く用いられている。
【0005】
装置を設置するにあたり、設置するサービスマンやユーザーは、第一の方法として、装置本体の外形とスタンドの外形を目安に、位置合わせを行なう。また、第二の方法として、突起部と凹部が一致する位置を予測して位置合わせを行なう。
【0006】
装置本体を支持するというスタンドの機能において、装置本体のフレーム部分を受け、さらに装置本体の重心位置に、スタンドの台座(支持部)を設置することが、もっとも重要な機能/構成である。
【0007】
また、インクジェット記録装置、特に大判のインクジェット記録装置における、フレーム構成は、それらの領域の両脇近傍に配置された側板と呼ばれるフレーム部材と、この側板で支持/固定され、長手方向に伸びる別のフレーム部材と、から構成されている。
【0008】
これらの構成は、メディア記録及び搬送領域の精度に影響を与える、長手方向中央部のたわみを極力抑えることを目的としている。
【0009】
長手方向中央部はメディアの記録領域及び搬送領域となるために、それらに関連する部材及び手段以外の、駆動、インク供給、クリーニングといった機能を有する部材および手段は、側板の外側のスペースに配置されている。
【0010】
図7は従来のスタンド型のインクジェット記録装置の受け部材4の底面図である。図7に示すように、受け部材4は、凸形状部41を有し、凸形状部41がスタンドの凹部(図示せず)に係合することで、装置本体をスタンドに位置決めする。受け部材4は、インクジェット記録装置を移動するための凹み状の把持部61、62を底面に形成している。受け部材4は、スタンド2を使用しない場合において、装置設置面となる凸状の脚部51、52を有している。
【0011】
【特許文献1】特開2003−156900号公報(頁3、図12、図1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、装置本体の外形とスタンドの外形を目安に位置合わせを行なう第一の方法では、装置本体とスタンドの外形を一致させるために、スタンドの外形に装置本体の外形とあわせる目印となる部材を設けたりする必要がある。このため、スタンドにとっては無駄な材料や部材が増え、コストがかかるという問題がある。
【0013】
第二の方法では、突起部と凹部は、装置の底の部分(外形から内部に入り込んだ位置)に配置されているため、直視は不可能である。また、突起部(凸形状部41)及び凹部は、装置全体の大きさから考えると、非常に狭い範囲での位置合わせとなっている。
【0014】
このため、サービスマンやユーザーにとって、非常に位置合わせが困難であり、時間がかかるという問題がある。また、デスクトップ型としても使用可能なように別部材の脚部51、52を設けたことにより、コストがかかるという問題もある。
【0015】
そこで本発明は、容易かつ短時間でスタンドに設置でき、コストをおさえることができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明に係るインクジェット記録装置の代表的な構成は、専用設置台に設置可能なインクジェット記録装置であって、前記専用設置台のインクジェット記録装置を支持する支持部を囲う環状凸部を底部に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録装置は、容易かつ短時間でスタンドに設置でき、コストをおさえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るインクジェット記録装置の実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態にかかるインクジェット記録装置1とスタンド2の結合状態を示す斜視図である。図2はスタンドの斜視図である。図4はインクジェット記録装置の受け部材7の底面図である。図5はインクジェット記録装置1とスタンド2の結合状態を示す側面図である。図6は結合状態における受け部材と台座の側面図である。
【0019】
図1、図5に示すように、インクジェット記録装置1は、専用設置台であるスタンド2に設置可能に形成されている。
【0020】
インクジェット記録装置1のフレーム構成は、両脇に配置された側板11、12と、側板11、12で両端を支持され、長手方向に伸びるフレーム部材13とからなる。側板11、12の底面には、スタンド2に固定可能な受け部材7が設けられている。
【0021】
一方、図2、図3に示すように、スタンド2の上部には、インクジェット記録装置1の受け部材7と結合し、インクジェット記録装置1を支持する支持部であるスタンド台座部3が設けられている。スタンド台座部3は、台座面31と、台座面31から突出した位置決め軸32を有している。
【0022】
図4に示すように、インクジェット記録装置1の受け部材7は、スタンド2のスタンド台座部3を囲う環状凸部75を底部に有している。環状凸部75で囲まれた底面75aは、台座面31と略相似形状に形成されている。
【0023】
図6に示すように、環状凸部75の内壁は、スタンド台座部3を挿入する間口が広くなるように傾斜した傾斜面75bとなっている。そして、環状凸部75の先端側の径Aと、根元側(底面側)の径Bとの差を10mm以上(最大開口寸法A−最小開口寸法B≧10mm)に設定する。
【0024】
これにより、スタンド台座部3を挿入する際の間口が広くなり、スタンド台座部3を環状凸部75の内側の傾斜面(内壁)75bに沿ってガイドすることで、インクジェット記録装置1とスタンド2を容易に位置合わせできる。
【0025】
一方、従来の凸形状部41に対応する穴の穴径の寸法差を10mm以上とした場合には、凸形状部41が大きく、細長い形状となってしまう。また、凸形状部41は絞り型により成形されているため、絞りの深い金型が必要になる。このため、強度が弱く、コストがかかってしまう。これに対し、本発明では、スタンド台座部3全体で位置合わせするため、強度を強くできるとともに、コストをおさえることができる。
【0026】
また、この際、位置決め軸32と位置決め孔81を嵌合することで、台座面31と底面75aが完全に位置決めされた状態で固定され、インクジェット記録装置1とスタンド2がネジ止めされて結合する。
【0027】
台座面31全体を位置決めに利用していることで、インクジェット記録装置1に対して、非常に広い範囲での位置決めが可能になり、受け部材7と台座面31を目視できなくても、容易に位置合わせできる。
【0028】
図4、図6に示すように、受け部材7は、インクジェット記録装置1を移動するために把持する把持部71を有している。把持部71は、受け部材7の縁に沿って形成された壁部76の内壁76aと環状凸部75の外壁(隔壁)75cによって形成されている。環状凸部75と把持部71は一体に形成されている。
【0029】
サービスマンやユーザーは、把持部71に手を入れて壁部76を持って、インクジェット記録装置1をスタンド2に設置する。
【0030】
把持部71は、隔壁75cによって、スタンド台座部3がガイドされる傾斜面75bと隔てられており、インクジェット記録装置1を設置する際に、手がスタンド台座部3及び底面75aに接触することがなく、安全に設置できる。
【0031】
また、環状凸部75は、先端に床設置面75dを有し、インクジェット記録装置1を床や机等に置く時(床面設置時)に、床や机等と接触してインクジェット記録装置1を支持する脚部となる。
【0032】
このように、環状凸部75の先端を床設置面75dとしたことにより、従来のように別部材の脚部51、52等を設ける必要がなく、コストを削減できる。
【0033】
環状凸部75は、把持部71を形成する壁部76より高く形成されている。具体的には、床設置面75dは、壁部76の先端より高さC(15mm以上)だけ高く設定されている。
【0034】
これにより、インクジェット記録装置1を床や机等に設置する際にも、手がスタンド台座部3、床、机等に接触することがなく、安全に設置できる。
【0035】
上述のごとく、本発明によれば、容易かつ短時間でスタンドに設置でき、コストをおさえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態にかかるインクジェット記録装置とスタンドの結合状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態にかかるスタンドの斜視図である。
【図3】本発明におけるスタンド台座部近傍図
【図4】本実施形態にかかるインクジェット記録装置の受け部材の底面図である。
【図5】本実施形態にかかるインクジェット記録装置とスタンドの結合状態を示す側面図である。
【図6】本実施形態にかかる結合状態における受け部材と台座の側面図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置の受け部材の底面図である。
【符号の説明】
【0037】
A、B…径、C…高さ、1…インクジェット記録装置、2…スタンド(専用設置台に対応)、3…スタンド台座部(支持部に対応)、7…受け部材、11、12…側板、13…フレーム部材、31…台座面、32…位置決め軸、71…把持部、75…環状凸部、75a…底面、75b…傾斜面、75c…隔壁、75d…床設置面、76…壁部、76a…内壁、81…位置決め孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
専用設置台に設置可能なインクジェット記録装置であって、
前記専用設置台のインクジェット記録装置を支持する支持部を囲う環状凸部を底部に有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記環状凸部は、インクジェット記録装置を床面設置する際に、インクジェット記録装置を支持する脚部となることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
インクジェット記録装置を移動するために把持する把持部を底部に有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記環状凸部の内壁は、前記支持部を挿入する間口が広くなるように傾斜したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記環状凸部の内壁は、最大開口寸法−最小開口寸法≧10mm、を満たす角度で傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記環状凸部は、前記把持部を形成する壁部より高く形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記環状凸部は、前記把持部を形成する壁部より、15mm以上高く形成されていることを特徴とする請求項 に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
専用設置台に設置可能で、底部に、専用設置台の支持部と略相似形状であり、略相似形状部分が前記支持部を囲うように傾斜した傾斜面を有する環状凸部と、インクジェット記録装置を移動するために把持する把持部と、が一体に形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記傾斜面と前記把持部の間に、該把持部を形成する壁部より高い隔壁を有することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記環状凸部が、インクジェット記録装置を専用設置台に設置しない場合において、インクジェット記録装置を支持する脚部となることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記環状凸部の傾斜面の寸法は、最大開口寸法−最小開口寸法≧10mm、の数式を満たすことを特徴とした請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記壁部と前記環状凸部の高低差が、15mm以上あることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−181812(P2006−181812A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376565(P2004−376565)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】