説明

インクジェット記録装置

【課題】複数のインクジェットヘッドに記録信号を伝送するケーブルを簡略化することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】複数のインクジェットヘッド200と、インクジェットヘッド200にそれぞれ対応して設けられるとともにインク吐出動作を駆動制御する駆動回路201と、駆動回路201にインク吐出動作に必要な電圧を供給する電源回路310と、記録制御データに基づいて駆動回路201及び電源回路310を制御する記録制御回路300と、ネットワークを介してアドレスデータに基づき記録制御データを取得して記録制御回路300に送信する送受信回路330とを搭載するヘッドユニット10を複数有し、ネットワークを経由してヘッドユニット10に送信された記録制御データに基づいて記録動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインクジェットヘッドを用いて記録媒体に記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、インクジェットヘッドのインク吐出口(ノズル)から微小なインク滴をワーク(記録をされる対象物)に対して吐出して印字や画像記録を行う方式で、ワークから離間した状態で記録動作を行うことができることから、様々な材質のワークに記録をすることが可能で、幅広い用途に使用されてきている。
【0003】
近年では、他の記録方式に比べて高精細な記録が可能であることから、カラーテレビやパーソナルコンピュータの表示装置として用いられるカラー液晶ディスプレイの構成部材であるカラーフィルタ、有機ELディスプレイ等の製造工程においてもインクジェット記録方式が採用されている。さらに、薄膜トランジスタ、配線基板、マイクロレンズ等の電子デバイスの製造工程への応用も検討されている。
【0004】
紙等の記録媒体に文字や画像を記録する場合には一般にブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが使用され、上述した表示装置等の製造工程においては、レッド、グリーン、ブルーの3色の色材や発光材料を含むインクが使用される。インクジェット記録装置では、使用するインクの種類別にインクジェットヘッドを備えるのが一般的ある。
【0005】
上述した製造工程において使用されるインクジェット記録装置では、ワークサイズの大型化や生産効率アップの観点から、1種類のインクに対応するインクジェットヘッドを複数設ける場合が多く、数十〜数百のインクジェットヘッドを備える場合もある。また、インクジェットヘッドには、インク滴を吐出するためのノズルが設けられているが、記録品位の高密度化・高精細化に伴い、1つのプリントヘッドに設けられるノズルの数が増加してきており、ノズル数が100を超える場合もある。
【0006】
オンデマンド型のインクジェット記録装置では、ノズルからインク滴を吐出するための駆動手段として、ピエゾ方式における圧電素子や、サーマル方式におけるヒーターを用いているが、上述したノズル数の増加に対応して圧電素子やヒーターといった駆動手段を駆動制御するドライバ回路基板も増加するようになる。
【0007】
ドライバ回路基板は、インクジェットヘッドに一体的に取り付けられるか、その近傍に配置されるのが一般的であり、ドライバ回路基板に記録データから得られた記録制御信号を転送するコントロール回路基板は、インクジェットヘッドとは別にまとめて設置されることが多い。そのため、コントロール回路基板からドライバ回路基板へ記録データを転送する場合には多芯のケーブルが用いられており、所定のドライバ回路基板に対してコントロール基板からのケーブルがそれぞれ接続されるようになっている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−15918号公報
【特許文献2】特開2003−136698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複数のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドの数が多数になってくると、コントロール回路基板及び各インクジェットヘッドのドライバ回路基板の間を接続するケーブルの本数も多くなるため、インクジェットヘッドが搭載されるヘッドユニットの重量が増大するようになる。加えて、記録動作の際ヘッドユニットの走査動作に伴って多数のケーブルの束が移動するため、ケーブルがヘッドユニットの走査動作への障害となってくる。
【0010】
また、ヘッドユニットの組立作業や故障したインクジェットヘッドの交換作業等を行う際に、ケーブルの取り扱いが負担となってメンテナンス作業が非常に煩雑になるという問題が生じる。コントロール回路基板とドライバ回路基板との間のケーブルによる接続は、ドライバ回路基板毎にケーブルを接続する必要があるが、インクジェットヘッドの増加に伴ってケーブルの本数が増加するとケーブルの接続ミスが発生する可能性が高くなる。また、大判の記録媒体に記録動作を行う場合等でインクジェット記録装置が大型化していくと、コントロール回路基板及びドライバ回路基板の間の距離が長くなり、それに伴ってケーブルの長さも長くする必要があるが、ケーブルが長くなることでケーブル内の信号特性の影響が生じたり、ケーブルの性能によっては記録信号のデータ化けやノイズの問題も発生するようになる。
【0011】
また、インクジェットヘッド数の増加に対応してトータルの記録制御に関する処理量も増加するようになり、増加する処理量に対応するためコントロール回路基板を複数設ける必要が生じてきている。そのため、複数のコントロール回路基板を全体制御することが必要になる。
【0012】
そこで、本発明は、複数のインクジェットヘッドに記録信号を伝送するケーブルを簡略化することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るインクジェット記録装置は、複数のインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドにそれぞれ対応して設けられるとともにインク吐出動作を駆動制御する複数の駆動部と、前記駆動部にそれぞれインク吐出動作に必要な電圧を供給する電源部と、記録制御データに基づいて複数の前記駆動部及び前記電源部を制御する記録制御部と、ネットワークを介してアドレスデータに基づき前記記録制御データを取得して前記記録制御部に送信する送受信部とを搭載するヘッドユニットを複数有し、前記ネットワークを経由して前記ヘッドユニットに送信された前記記録制御データに基づいて前記インクジェットヘッドからインク滴を吐出して記録媒体に記録動作を行うことを特徴とする。さらに、前記ヘッドユニットには、LANケーブルが接続されてネットワークを介したデータの送受信が行われることを特徴とする。さらに、前記電源部は、前記インクジェットヘッドに設けられたヒータに電源を供給して前記インクジェットヘッドの温度を調整することを特徴とする。さらに、前記ヘッドユニットには、前記記録制御データを一旦格納する記憶装置が搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記の構成を有することで、ヘッドユニットまわりのケーブル接続を簡素化することができる。
【0015】
すなわち、記録制御データに基づいて電源部及び駆動部を制御する記録制御部をヘッドユニットに搭載するようにしたので、記録制御部と駆動部との間を配線等により接続することができ、ケーブルが不要となる。また、記録制御部への記録制御データの送信処理をネットワークを介して行うようにしているので、ネットワークに使用するケーブルのみ接続しておけばよくなり、ケーブル接続が簡略化されて、ヘッドユニットの軽量化を図ることができる。
【0016】
そして、ネットワークに使用するケーブルを接続することで、ケーブルの本数が従来に比べて大幅に減少し、ケーブルの取り外しも簡単になることから、インクジェットヘッドのメンテナンス作業が容易になる。
【0017】
また、ネットワークを介してデータを送受信するようにしているので、各ヘッドユニットに対応したアドレスとともに記録制御データを送信すれば、複数のヘッドユニットが記録制御データに基づいて記録動作を行うことでヘッドユニット全体を制御して正確に記録動作を行うことができる。
【0018】
そして、ヘッドユニットをネットワーク接続することで、ヘッドユニットの増減に対しても柔軟に対応することができ、インターネット等を用いて遠隔地からのデータ送受信も可能となって、インクジェット記録装置のシステムとしての拡張性が格段に向上する。
【0019】
また、個別のインクジェットヘッドに関する駆動データ等を生成する記録制御部がヘッドユニットに搭載されているので、駆動部と記録制御部との間が近接配置されて駆動データ等の送信中のデータ化けやノイズの発生を防止することができ、インクジェット記録装置のインクジェットヘッド数が増加しても正確な記録動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】インクジェット記録装置の概略構成図である。
【図2】インクジェット記録部に関する平面図である。
【図3】インクジェット記録装置において記録動作を行うための記録制御処理に関する概略ブロック構成図である。
【図4】記録動作を行う場合の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は、インクジェット記録装置Aの概略構成図である。シート状の記録媒体Pの記録面に対向するようにインクジェット記録部100が配置されており、インクジェット記録部100の下面に設けられた開口部を通してインクジェットヘッドのインク吐出口が覗いている。インクジェット記録部100の下方には、インク吐出口に対向配置された無端状の搬送ベルト101が一対の搬送ローラ102の間に張架されている。そして、記録媒体Pは、搬送ベルト101上に載置されて走査方向Yに搬送されるようになっている。搬送ベルト101を走査方向Yに搬送制御しながらインクジェット記録部100のインク吐出口からインクを吐出して記録媒体Pの表面に所定の記録動作を行った後、インクジェット記録部100を副走査方向Xに所定の距離だけ移動させ、再度記録媒体Pを走査方向Yに搬送しながら次の記録動作を行う。このような記録動作及び搬送制御を繰り返すことで記録媒体Pの全面に画像等を記録することができる。
【0023】
図2は、インクジェット記録部100に関する平面図である。インクジェット記録部100は、取付部材である矩形状のベースプレート1に複数のヘッドユニット10が取り付けられて構成されている。ヘッドユニット10には、副走査方向Xと平行にインク吐出口が並ぶようにインクジェットヘッド200が取り付けられている。また、ベースプレート1上に取り付けられた各ヘッドユニット10は、走査方向Yから見た時に隣り合うヘッドユニット10上に取り付けられたインクジェットヘッド200のインク吐出口同士が、幾らか重なり合うように取り付けられている。このように複数のヘッドユニット10を取り付けることで、ベースプレート1をあたかも大きな1つのインクジェットヘッドであるかのように扱うことができる。この例では、2列×7個のヘッドユニット10が副走査方向Xにずらして配置されている。また、各ヘッドユニット10の上にはインクジェットヘッド200が2個ずつ搭載されている。2個のインクジェットヘッド200に各々別のインクを用いて2種類のインクによる記録を行うことも可能であるし、2個のインクジェットヘッド200のインク吐出口が、それぞれインク吐出口の間隔の2分の1ずつずれるように配置すれば、2倍の密度で記録することも可能である。
【0024】
各ヘッドユニット10には、下面に形成された各インク吐出口に対応してインク滴を吐出させるための駆動手段がそれぞれ設けられたインクジェットヘッドが複数構成されている。駆動手段は、インク吐出口に連通するインク流路にインク滴を吐出するためのインク圧力変動を生じさせるもので、例えば、圧電素子、ヒータ等が挙げられる。そして、駆動手段を駆動制御するための駆動回路を所定数のインク吐出口毎に駆動回路基板に設け、こうした駆動回路基板をヘッドユニット10に搭載している。
【0025】
図3は、インクジェット記録装置Aにおいて記録動作を行うための記録制御処理に関する概略ブロック構成図である。ベースプレート1には、n個のヘッドユニット101〜10が搭載されており、各ヘッドユニット101〜nには、複数のインクジェットヘッド2001、インクジェットヘッド2001を駆動するための駆動回路2011及びインクジェットヘッド2001を加熱して温度調整を行うためのヒータ2021がセットで設けられており、これらのセットが複数組搭載されている。
【0026】
また、ヘッドユニット10には、駆動回路201を記録制御するための記録制御回路300、駆動回路201及びヒータ202に電源を供給する電源回路310、記録制御回路300からの制御信号に基づいて電源回路を制御する電源制御回路320、ネットワークに接続されてデータを送受信するとともに記録制御データを記録制御回路300に送信する送受信回路330が搭載されている。そして、各回路との間を適宜配線又は配線パターンにより電気的に接続している。この例では、駆動回路201が駆動部に、記録制御回路300が記録制御部に、電源回路310及び電源制御回路320が電源部に、送受信回路330が送受信部に相当する。
【0027】
記録制御回路300は、1枚の回路基板上に搭載されており、送受信回路330から送信される、記録データ、駆動制御データ及び記録位置データといった記録制御データに基づいて記録制御を行う。すなわち、記録データ及び記録位置データに基づいて駆動回路201に制御信号を送信してインクジェットヘッドを駆動するとともに駆動制御データに基づいて電源制御回路320に制御信号を送信して電源回路310から駆動回路201に供給される駆動電圧を制御する。また、インクジェットヘッドの温度状態を図示せぬ温度検知センサで検知して温度が低下した場合には、電源制御回路320に制御信号を送信して電源回路310からヒータ202に電源供給して加熱制御する。
【0028】
ヘッドユニット10には、3つの接続端子400、401及び402が設けられており、接続端子400は、記録制御回路基板300に接続されており、ベースプレート1の外部に設けられたベースプレート1の位置検知部20との間で配線が着脱可能に接続されるようになっている。接続端子401は、送受信回路部330に接続されており、ベースプレート1の外部に設けられたハブ部21との間で配線が着脱可能に接続されるようになっている。接続端子402は、電源回路部310に接続されており、装置本体の電源供給部22との間で配線が着脱可能に接続されるにようになっている。
【0029】
位置検知部20は、リニアスケール等の公知の位置検知装置を用いてY方向の走査動作に合わせて記録媒体の位置を検知して記録位置を決定するためのタイミング信号を発生する。位置検知部20で発生したタイミング信号は、接続端子400を介して記録制御回路基板300に送信され、記録開始処理等に用いられる。
【0030】
ハブ部21は、ヘッドユニット101〜nの各送受信回路部330とネットワークケーブルで接続されており、イーサネット(登録商標)等のLANのネットワークを介して外部に設置された外部情報処理装置Bに接続されている。外部情報処理装置Bでは、インクジェット記録装置Aにおいて記録動作を行うために必要な記録データ、駆動制御データ及び記録位置データといった記録制御データを各ヘッドユニット101〜nに対応して生成し、ヘッドユニット101〜n毎に割り当てられたアドレスを付与して生成された記録制御データをネットワークを介して送信する。送信された記録制御データはハブ部21を通じて各送受信回路部330で受信されるが、各送受信回路部330では、ヘッドユニット10に該当するアドレスが付与された記録制御データのみ取得して記録制御回路基板300に送信される。
【0031】
このように、ヘッドユニット10に対してネットワークを介して記録制御データが送信されるので、ヘッドユニット10にはネットワークケーブルのみ接続すればよく、ケーブル接続が簡略化される。ネットワークケーブルとしては、例えば、LANケーブルを用いればよい。そのため、インクジェットヘッドのメンテナンス作業等が容易に行うことができる。また、ヘッドユニット10に対して接続端子により着脱可能にケーブル等が接続されるので、ヘッドユニット10の増減に対して柔軟に対応することができ、ヘッドユニットにおいて故障が生じた場合にも交換作業を容易に行うことができる。
【0032】
さらに、ベースプレート1を複数配置する場合でも、ハブ部21を通して簡単にネットワーク接続を設定することができ、インクジェットヘッドの数を増加する場合の拡張性に優れたものとなっている。
【0033】
また、ヘッドユニットがネットワーク接続可能であるため、インターネットを介して外部制御装置を接続することもでき、遠隔地に設置された装置から記録制御データを送信して記録動作を行うことも可能となる。
【0034】
図4は、記録動作を行う場合の処理フローである。まず、送受信回路330において外部情報処理装置Bからネットワーク経由で記録制御データが送信されたか否かチェックし(S100)、記録制御データが送信された場合には付与されたアドレスデータが当該ヘッドユニットに該当するものかチェックする(S101)。アドレスデータが該当するものでない場合にはステップS100に戻り、アドレスデータが該当する場合には記録制御データを取得して記録制御回路300に送信する(S102)。
【0035】
記録制御回路300は、送信された記録制御データを保存し(S103)、駆動制御データを電源制御回路320に送信する(S104)。電源制御回路320では、送信された駆動制御データに基づいて駆動電圧制御データを生成し(S105)、電源回路310に入力する。電源回路310では、駆動電圧制御データに基づいて設定された駆動電圧を駆動回路201に供給する(S106)。
【0036】
次に、外部情報処理装置Bからの記録開始指令が送信されたかチェックし(S107)、記録開始指令が送信された場合には、記録データ及び記録位置データを読み出す(S108)。そして、位置検知部20からの位置検知信号及び記録位置データに基づいて記録開始位置を算出し(S109)、位置検知信号が記録開始位置に一致したかチェックして(S110)記録開始位置に一致した場合に駆動回路201に記録データを送信して各インクジェットヘッドからインクを吐出して記録動作を行う(S111)。記録動作中は、記録制御回路において駆動回路に供給される駆動電圧を監視し、異常がある場合には記録動作を停止するように制御する。
【0037】
次の記録データがあるか否かチェックして(S112)、次の記録データがある場合にはステップS108に進み次の記録動作を行う。次の記録データがない場合には終了する。
【0038】
以上のように、外部情報処理装置Bからネットワークを経由して各ヘッドユニットが個別に記録制御データを取得し、外部情報処理装置Bからの記録開始指令により位置検知部からの位置検知信号に基づいて各ヘッドユニットが記録動作を行うようにしているので、複数のヘッドユニットを統率して正確に記録処理を行うことができる。また、ヘッドユニットを容易に増加することができるので、多数のインクジェットヘッドが必要となる高密度記録、多色記録、大判の画像記録といった記録処理にも対応することが可能となる。
【0039】
以上説明した例では、外部情報処理装置Bから送信された記録制御データに基づいて記録動作を行っているが、記録制御回路に接続された記憶装置をヘッドユニット10上に搭載し、記録動作に必要な記録制御データをすべて取得して記憶装置に一旦格納するようにしてもよい。この場合、記憶装置として取り外し可能な記憶媒体(メモリカード、USBメモリ等)を用い、外部情報処理装置Bから記憶媒体に記録制御データを格納した後記憶媒体をインクジェット記録装置に装着するようにしてもよい。このような構成とすることで、多数のインクジェットヘッド200による記録動作において、外部情報処理装置Bと記録制御回路との通信速度に影響されることなく、高速の記録動作を実現することができる。より複雑で高精細な記録を行う際には、記録制御データのサイズも大きなものとなり、場合によっては記録制御データの通信速度が記録動作の速度を下回る可能性もある。そのような場合であっても、記録制御回路に記憶装置を接続し、あらかじめ記録制御データを格納しておけば、記録動作の速度を低下させることがない。
【0040】
また、記録制御データとしてインクジェットヘッドの設定温度データもネットワーク経由で送信するようにしてもよい。記録制御回路では、取得した設定温度データとインクジェットヘッドに配置された温度検知センサからの検知信号とを比較して、検知温度が設定温度データと異なる場合には記録制御回路から電源制御回路に制御信号が送信されて電源回路からヒータに供給される駆動電圧を調整する。駆動電圧の調整は、電源回路からヒータに供給される駆動電圧をオン、オフしたり、駆動電圧を増減することで加熱制御すればよい。
【符号の説明】
【0041】
A インクジェット記録装置
B 外部情報処理装置
1 ベースプレート
10 ヘッドユニット
20 位置検知部
21 ハブ部
22 電源供給部
100 インクジェット記録部
101 搬送ベルト
102 搬送ローラ
200 インクジェットヘッド
201 駆動回路
202 ヒータ
300 記録制御回路
310 電源回路
320 電源制御回路
330 送受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドにそれぞれ対応して設けられるとともにインク吐出動作を駆動制御する複数の駆動部と、前記駆動部にそれぞれインク吐出動作に必要な電圧を供給する電源部と、記録制御データに基づいて複数の前記駆動部及び前記電源部を制御する記録制御部と、ネットワークを介してアドレスデータに基づき前記記録制御データを取得して前記記録制御部に送信する送受信部とを搭載するヘッドユニットを複数有し、前記ネットワークを経由して前記ヘッドユニットに送信された前記記録制御データに基づいて前記インクジェットヘッドからインク滴を吐出して記録媒体に記録動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ヘッドユニットには、LANケーブルが接続されてネットワークを介したデータの送受信が行われることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記インクジェットヘッドに設けられたヒータに電源を供給して前記インクジェットヘッドの温度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットには、前記記録制御データを一旦格納する記憶装置が搭載されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−201204(P2011−201204A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72129(P2010−72129)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】