説明

インクジェット記録装置

【課題】記録ヘッドのノズル面の汚れを確実に除去できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ノズル面32aからメディア31に向けてインクを吐出する記録ヘッド32と、記録ヘッド32のノズル面32aを清掃する清掃装置40とを備えるインクジェット記録装置30において、清掃装置40は、ノズル面32aに当接してノズル面32aの汚れを拭き取る面拭き部材34と、面拭き部材34に面拭き動作を行わせるために面拭き部材34を駆動させる駆動手段37とを有し、記録ヘッド32のノズル面32aと面拭き部材34との間の距離を一定に保持するためのガイド部44,52,70が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドを清掃する清掃装置を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアに印刷を施すインクジェット記録装置においては、ノズルが設けられた記録ヘッドからインクをメディアに吐出している。
ところで、記録ヘッドのノズル面(メディアへの対向面)は、結露やミスト・しぶきの付着等の原因により汚れが付着することが多い。ノズル面の汚れがひどくなると、ノズルの一部分が詰まってしまい、その一部分が全く吐出できなくなるノズル抜けや、インクのボタ落ちの要因にもなる。また、ノズル面の汚れが固着してしまった場合には、記録ヘッドを交換しなくてはならない。
そこで、記録ヘッドのノズル面の汚れを、印刷中に定期的に除去することが必要であると考えられる。
【0003】
記録ヘッドのノズル面の汚れを除去するため、例えば特許文献1に示すような構成が開示されている。
この構成では、ノズル面を拭き取るための長尺な布の両端部がロール状に巻き取られており、布は、2つのロールの回転駆動により、2つのロール間に亘って引き出されている。引き出されている布は、記録ヘッドのノズル面と対向するように配置されており、ノズル面と接触して記録ヘッドのノズル面の汚れを拭き取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−12224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1においては、長尺方向に移動する布によって記録ヘッドの汚れの拭き取りを行っているが、部品の寸法精度や積み上げ誤差等の問題もあり、記録ヘッドのノズル面と布との間の距離を一定に保持することが困難である場合も生じる。
このように記録ヘッドのノズル面と布との間の距離が一定に保持されないと、ノズル面と干渉して動作不良の発生や、ノズル面の汚れを確実に拭き取ることができないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、記録ヘッドのノズル面の汚れを確実に除去できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるインクジェット記録装置によれば、ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル面を清掃する清掃装置とを備えるインクジェット記録装置において、前記清掃装置は、ノズル面に当接してノズル面の汚れを拭き取る面拭き部材と、該面拭き部材に面拭き動作を行わせるために面拭き部材を駆動させる駆動手段とを有し、前記記録ヘッドのノズル面と前記面拭き部材との間の距離を一定に保持するためのガイド部が設けられていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、記録ヘッドのノズル面と面拭き部材とが常に安定した位置に配されるので、ノズル面の汚れの除去が確実に行える。
【0008】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記ガイド部は、前記記録ヘッドのノズル面に当接するように前記面拭き部材に形成された当接部であることが好ましい。
これによれば、ガイド部がノズル面に直接当接することとなるので、ノズル面と面拭き部材との位置精度をさらに向上させることができる。
【0009】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記面拭き部材は、溶剤が含有されてノズル面を拭き取るための弾性部材を有し、前記記録ヘッドのノズル面には、前記当接部が当接するための保護部が形成され、前記弾性部材が前記ノズル面に弾性変形された状態で当接して面拭き動作が実行されることが好ましい。
これによれば、面拭き部材が弾性変形した状態でノズル面に接触できるので、ノズル面の汚れの除去を確実に行うことができ、且つ吸水部材とノズル面との間の位置関係を安定させることができる。
【0010】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記清掃装置には、弾性部材の下方において、下方に凹む凹部が形成されていることが好ましい。
これによれば、弾性部材の上面に記録ヘッドのノズル面を押し当てた場合に、弾性部材が凹部方向に撓むことができるので、弱い力でノズル面と弾性部材とを当接させることができ、ノズル面に弾性部材が強く接触しすぎることによるノズル面の傷つき等を防止できる。また、凹部内に溶剤を貯留させておくことができるので、弾性部材には溶剤が常に供給され、ノズル面の汚れ落ちがさらに良くなる。
【0011】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記清掃装置には、弾性部材の下方において、複数の溝が形成されていることが好ましい。
これによれば、溝内に溶剤を貯留させておくことができるので、弾性部材には溶剤が常に供給され、ノズル面の汚れ落ちがさらに良くなる。
【0012】
さらに、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記面拭き部材を前記ノズル面に弾性変形させた状態にて接触させるために、前記面拭き部材を前記記録ヘッドのノズル面方向に付勢する付勢手段が設けられていることが好ましい。
これによれば、面拭き部材が弾性変形した状態でノズル面に確実に接触し、ノズル面の確実な汚れの除去を図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のインクジェット記録装置によれば、記録ヘッドのノズル面の汚れを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかるインクジェット記録装置の概略正面図である。
【図2】第1の実施形態における面拭き部材の斜視図である。
【図3】図2の面拭き部材と記録ヘッドとを接触させたところを示す説明図である。
【図4】当て部材の上面が平面状に形成されている形態を示す斜視図である。
【図5】当て部材の上面に凹部が形成されている形態を示す斜視図である。
【図6】当て部材の上面に複数の溝が形成されている形態を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態における面拭き部材の斜視図である。
【図8】図7の面拭き部材と記録ヘッドを接触させて下方から見たところを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に、本実施形態のインクジェット記録装置の概略の正面図を示す。ここでいう正面とはメディアの搬送方向(記録ヘッドの搬送方向と直交する方向)の下流側から装置をみたところである。
インクジェット記録装置30は、プラテン36の上に配置されたメディア31に、インクジェットにより印刷を施す装置である。インクは、各色毎の複数の吐出ノズルを有し、走査方向に往復動する記録ヘッド32から吐出される。
なお、メディア31は、印刷対象となる物であって、本発明においては紙、フィルム、布等の様々な材質の被印刷対象を含む概念である。
【0016】
記録ヘッド32は、走査方向に延出されているガイドレール35に沿って移動可能である。記録ヘッド32の走査方向への移動は、例えばモータの回転によってベルトを駆動させる方式等を採用することができる(図示せず)。
【0017】
プラテン36の側方には、記録ヘッド32の、吐出ノズルが配置されたノズル面32aを清掃する清掃装置40が設けられている。清掃装置40は、プラテン36の側方に配置されているので、記録ヘッド32の印刷中においても記録ヘッド32の走査方向への移動距離を少し伸ばすだけで容易に清掃を行うことができる。
【0018】
図1において、清掃装置40の上部に位置しているのが面拭き部材34であって、記録ヘッド32のノズル面32a(図3参照)の汚れを拭き取る。面拭き部材34の下部には、記録ヘッド32のノズル面32aに対して面拭き部材34を水平方向に移動させるための駆動手段37が設けられている。
【0019】
図2には、面拭き部材の斜視図を示し、図3には、面拭き部材の上に記録ヘッドが位置しているところを示す。
以下の実施形態で説明する構成は、面拭き部材34において、ノズル面32aに接触する部位が平面状に形成されているものである。
面拭き部材34としては、記録ヘッド32のノズル面32aに当接する布42と、布42を上面に配置できるように上面が平面状に形成されたほぼ直方体状の当て部材44と、当て部材44が取り付けられている上方に向けて開口したコの字状の固定部材46とを有している。
【0020】
布42としては、例えば記録ヘッド32のメンテナンス用として開発された不織布であるテクニクロス等を用いることができる。この布42が特許請求の範囲でいう弾性部材に該当するが、不織布に限定されるものではない。
布42は接着剤等により当て部材44に固定される。ただし、ノズル面に対向する位置において接着剤を用いるのではなく、当て部材44の側面において接着剤等で固定することが好ましい。布42の固定手段としては接着剤には限定されず、布42の端部を挟み込む構成を採用して固定するようにしてもよい(図示せず)。
【0021】
当て部材44は、固定部材46の側壁46aに上下方向に長く形成された長穴47内に挿入されたボルト49によって、長穴47に沿って上下動可能に取り付けられている。また、当て部材44の下面と、固定部材46の底面との間には、当て部材44を常に上方に付勢するばね48が設けられている。これにより、当て部材44は長穴47の上方の端部にボルト49が当接した状体で、常時固定部材46内で上方に付勢されて配置されている。
布42と記録ヘッド32のノズル面32aとは、互いに干渉する位置関係に配置されている。したがって、拭き取りの際、布42に記録ヘッド32のノズル面32aが当接した場合に、記録ヘッド32の下降への押圧力によって、当て部材44がばね48の付勢力に抗して下方に移動する。このように、ばね48を設けることによって面拭き部材34における布42のノズル面32aへの接触圧力の調整ができる。またばね48を設けることにより、布42を弾性変形させてノズル面32aに接触させることができ、ノズル面32aの汚れを効果的に除去できる。
【0022】
なお、図2及び図3では図示していないが固定部材46には駆動手段37が接続されており、駆動手段37が面拭き部材34全体を前後(メディア31の搬送方向)又は左右方向(記録ヘッド32の走査方向)にノズル面32aに平行な面内で往復動させる。駆動手段37の例としては、電動アクチュエータ等を用いることができる。
【0023】
次に、図4〜図6に当て部材44の種々の形態を示す。
図4に示す当て部材44は、布42が配置される上面が平面状に形成されているものである。このような形状の当て部材44を採用することで、布42が当て部材44の形状に倣って平面状を維持することができ、布42全体が確実に記録ヘッド32のノズル面32aに接触することができる。
なお、当て部材44の平面状の上面が特許請求の範囲でいうガイド部に相当する。すなわち、当て部材44の上面は、布42を介してノズル面32aに当接されるのでノズル面32aと布42との間の位置関係を常に安定させることができ、また布42を弾性変形させてノズル面32aに接触させることができ、ノズル面32aの汚れを効果的に除去できる。
【0024】
図4に示す形態において、布42に予め洗浄液(溶剤)を含ませておくことにより、確実に汚れの除去ができる。洗浄液の含有量が少なくなった場合には、その都度布42に洗浄液を滴下すればよい。
【0025】
図5に示す当て部材44の上面には、下方に凹む凹部50が形成されている。凹部50の深さとしては0.5mm程度を想定している。凹部50内には、記録ヘッド32のノズル面32aの汚れを洗浄するための洗浄液(溶剤)を貯留させておくことができる。このため、図4に示した構成のように洗浄液が減少した際に洗浄液を滴下する作業を行わなくとも布42には常に洗浄液が供給され、確実に汚れの除去ができる。また、布42が記録ヘッド32に押し当てられた場合に、凹部50方向に撓むこととなる。したがって、記録ヘッド32と布42との間の接触力を弱い力とすることができ、強い力で接触することによるノズル面32aの傷つき等を防止できる。
【0026】
また、凹部50の周囲を囲むように形成された縁部52は、布42が当接する部位となる。この縁部52上に配置されている布42は、凹部50上に配置されている部分よりも確実に記録ヘッド32のノズル面32aに接触可能である。縁部52は、確実にノズル面32aに接触する部位であって、この縁部52が特許請求の範囲でいうガイド部に相当する。すなわち、縁部52は、布42を介してノズル面32aに当接されるのでノズル面32aと布42との間の位置関係を常に安定させることができ、また布42を弾性変形させてノズル面32aに接触させることができ、ノズル面32aの汚れを効果的に除去できる。
【0027】
図6に示す当て部材44の上面には、複数本の溝54が形成されている。各溝54の深さは0.5mm程度である。このように複数本の溝54を形成することで、溝54に洗浄液(溶剤)を貯留させておくことができる。このため、図4に示した構成のように洗浄液が減少した際に洗浄液を滴下する作業を行わなくとも布42には常に洗浄液が供給され、確実に汚れの除去ができる。
また、各溝54の間に形成されていて溝54を構成する凸部の上端面は、縁部52の上端面と同一の高さとなるように設けられている。このため、溝54が設けられた部位は、図5に示した凹部50よりも布42の平面度を高めることができ、記録ヘッド32のノズル面32aへの確実な接触ができる。
【0028】
また、図5に示した形態と同様に、溝54の周囲を囲むように形成された縁部52は、布42が当接する部位となる。この縁部52上に配置されている布42は、溝54上に配置されている部分よりも確実に記録ヘッド32のノズル面32aに接触可能である。縁部52は、確実にノズル面32aに接触する部位であって、この縁部52が特許請求の範囲でいうガイド部に相当する。すなわち、縁部52は、布42を介してノズル面32aに当接されるのでノズル面32aと布42との間の位置関係を常に安定させることができ、また布42を弾性変形させてノズル面32aに接触させることができ、ノズル面32aの汚れを効果的に除去できる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、図7及び図8に基づいて第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、面拭き部材34において、ノズル面32aに接触する部位が曲面状に形成されている。
本実施形態の面拭き部材34は、軸線方向を中心にして回転自在な円柱状のローラ体56と、ローラ体56の表面に配置された吸水部材58と、ローラ体56を回転自在に保持する保持部材60とを有している。保持部材60は上方が開口するコの字状に形成されている。ローラ体56は、円柱の円の中心を通る軸線が記録ヘッド32のノズル面32aと平行な方向(水平方向)を向くように配置されている。
【0030】
本実施形態では、吸水部材58が記録ヘッド32のノズル面32aに接触することによって、ノズル面32aに付着している余分なインクを吸水する。吸水部材58がインクを吸水することによって、ノズル面32aの汚れの除去が行える。なお、吸水部材58としてはスポンジ等を採用することができる。
【0031】
保持部材60は、さらに保持部材60を上下動可能に取り付けている固定部材62に取り付けられている。
保持部材60は、固定部材62の側壁62aに上下方向に長く形成された長穴63内に挿入されたボルト65によって、長穴63に沿って上下動可能に取り付けられている。また、保持部材60の下面と、固定部材62の底面(図示せず)との間には、保持部材60を常に上方に付勢するばね68が設けられている。これにより、保持部材60は常時固定部材62内で上方に配置されている。
【0032】
このように、面拭き部材34が上方に付勢されていることによって、拭き取りの際、吸水部材58に記録ヘッド32のノズル面32aが当接した場合に、記録ヘッド32の下降への押圧力によって、保持部材60がばね68の付勢力に抗して下方に移動する。このように、ばね68を設けることによって面拭き部材34における吸水部材58のノズル面32aへの接触圧力の調整ができる。
【0033】
また、ローラ体56の円柱の軸線方向両端部における吸水部材58の外側には、金属製のガイド部70が設けられている。ガイド部70の表面は、吸水部材58の表面とほぼ同じ高さに設けられている。このガイド部70が記録ヘッド32のノズル面32aに当接することで、吸水部材58とノズル面32aとの間の位置関係を安定させることができる。
【0034】
ローラ体56は、円柱の軸線を中心として回転自在となるように保持部材60に取り付けられている。すなわち、ローラ体56の円柱の軸線方向の両端部には、回転軸72が軸線方向に突出して設けられており、この回転軸72を収納する収納凹部73が保持部材60の上端部に形成されている。収納凹部73には、回転軸72が回転自在に収納されている。
【0035】
本実施形態では、ローラ体56を保持する保持部材60及び保持部材60を上下動可能に取り付けている固定部材62が、ローラ体56の回転軸と直交する方向に(図7の矢印方向)に移動可能である。固定部材62を移動させる駆動手段37としては、電動アクチュエータ等を採用することができる。
記録ヘッド32のノズル面32aの清掃時には、ノズル面32aをガイド部70に当接させた後、駆動手段37の駆動によって固定部材62をローラ体56の回転軸と直交する方向(図7の矢印方向)に動作させる。そして、記録ヘッド32のノズル面32aに当接しているローラ体56が従動回転することによって、記録ヘッド32のノズル面32aの清掃が行える。
なお、記録ヘッド32のノズル面32aと、ローラ体56の吸水部材58との間には若干隙間が形成されている。
【0036】
なお、図8では記録ヘッド32を下方から見たところが示されているが、ここで示されているように、記録ヘッド32のノズル面の周囲にはローラ体56に形成されたガイド部70に当接する位置に金属製の保護部74が形成されているとよい。この保護部74の表面とノズル面32aの表面とはほぼ同一表面となるように形成される。
保護部74は、ローラ体56に形成されたガイド部70と協働して、吸水部材58とノズル面32aとの間の位置関係をさらに安定化させることができる。
【0037】
上述してきた各実施形態では、特許請求の範囲のガイド部として、記録ヘッド32のノズル面32aに当接するように面拭き部材に形成された当て部材44又はガイド部70を設ける点について説明してきた。
しかし、特許請求の範囲の請求項1記載のガイド部としては。これに限定するものではなく、記録ヘッド32のノズル面32a以外の部位に当接する構成であってもよいし、とにかく記録ヘッドのノズル面と前記面拭き部材との間の距離を一定に保持する機能さえ有していれば、いずれの箇所に設けられていてもよい。
【0038】
上述してきた第1の実施形態及び第2の実施形態(図2〜図8参照)において、記録ヘッド32のノズル面32aに当接するように当て部材44やガイド部70を面拭き部材34に設けたので、面拭き部材34とノズル面32aとの位置関係を安定させることができる。
【0039】
また、第2の実施形態(図7〜図8参照)において、溶剤が含有された弾性部材である吸水部材58を有し、ノズル面32aには、ガイド部70が当接するための被当接部である保護部74が形成され、吸水部材58がノズル面32aに弾性変形された状態で当接して面拭き動作が実行されるので、給水部材58が弾性変形した状態でノズル面32aに接触できるので、ノズル面32aの汚れの除去を確実に行うことができ、且つ吸水部材58とノズル面32aとの間の位置関係を安定させることができる。
【0040】
また、第1の実施形態(図5参照)において、布42の下方には下方に凹む凹部50を形成することで、布42に記録ヘッド32のノズル面32aを押し当てた場合に、布42が凹部50方向に撓むことができるので、弱い力でノズル面32aと布42とを当接させることができ、ノズル面32aに布42が強く接触しすぎることによるノズル面32aの傷つき等を防止できる。また、凹部50内に溶剤を貯留させておくことができるので、布42には溶剤が常に供給され、ノズル面32aの汚れ落ちがさらに良くなる。
【0041】
また、第1の実施形態(図6参照)において、布42の下方において、複数の溝54が形成されていることで、溝54内に溶剤を貯留させておくことができるので、布42には溶剤が常に供給され、ノズル面32aの汚れ落ちがさらに良くなる。
【0042】
さらに、第1の実施形態及び第2の実施形態(図2、図3、図7参照)において、面拭き部材34をノズル面32aに弾性変形させた状態にて接触させるために、面拭き部材34を記録ヘッド32のノズル面32a方向に付勢する付勢手段48,68が設けられていることにより、面拭き部材34がノズル面32aに確実に接触し、ノズル面32aの確実な汚れの除去を図れる。
【符号の説明】
【0043】
30 インクジェット記録装置
31 メディア
32 記録ヘッド
32a ノズル面
34 面拭き部材
35 ガイドレール
36 プラテン
37 駆動手段
40 清掃装置
42 布(弾性部材)
44 当て部材
46 固定部材
46a 側壁
47 長穴
48,68 付勢手段
49 ボルト
50 凹部
52 縁部
54 溝
56 ローラ体
58 吸水部材
60 保持部材
62 固定部材
62a 側壁
63 長穴
65 ボルト
70 ガイド部
72 回転軸
73 収納凹部
74 保護部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面からメディアに向けてインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドのノズル面を清掃する清掃装置とを備えるインクジェット記録装置において、
前記清掃装置は、ノズル面に当接してノズル面の汚れを拭き取る面拭き部材と、該面拭き部材に面拭き動作を行わせるために面拭き部材を駆動させる駆動手段とを有し、
前記記録ヘッドのノズル面と前記面拭き部材との間の距離を一定に保持するためのガイド部が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記記録ヘッドのノズル面に当接するように前記面拭き部材に形成された当接部であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記面拭き部材は、溶剤が含有されてノズル面を拭き取るための弾性部材を有し、
前記記録ヘッドのノズル面には、前記当接部が当接するための保護部が形成され、前記弾性部材が前記ノズル面に弾性変形された状態で当接して面拭き動作が実行されることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記清掃装置には、弾性部材の下方において、下方に凹む凹部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記清掃装置には、弾性部材の下方において、複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記面拭き部材を前記ノズル面に弾性変形させた状態にて接触させるために、前記面拭き部材を前記記録ヘッドのノズル面方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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