説明

インクミスト回収機構、ならびにこれを備えた記録装置およびインクジェットヘッド検査装置

【課題】簡単な構造でインクミストの回収を実現可能なインクミスト回収機構、ならびにこれを備えた記録装置およびインクジェットヘッド検査装置を提供する。
【解決手段】インクミスト回収機構は、インクジェットヘッド101がインクを吐出する際に発生するインクミストを回収する。インクジェットヘッド101のインクを吐出する吐出口形成面101aに対向する所定面を有し、矢印X方向に移動する移動ステージ105と、移動ステージ105の所定面の両端部の少なくとも一方を非接触に覆うL字型部材106と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドがインクを吐出する際に発生させるインクミストを回収するインクミスト回収機構、ならびにこれを備えた記録装置およびインクジェットヘッド検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置に用いられ、画像を記録するためにインクを吐出するインクジェットヘッドは、画像の記録のためにインクを吐出すると同時に、画像の記録に寄与しない微小インク液滴(以下、「インクミスト」という。)を発生させる。インクジェットヘッドが発生させるインクミストは、周囲の空気に分散し、媒体やインクジェットヘッドの周辺にある部材に付着することがある。これにより、このインクジェットヘッドによる媒体への記録の品位の低下や、インクジェットヘッドの周辺の部材の汚れが発生する。
【0003】
特許文献1および2には、インクジェットヘッドが発生させるインクミストを回収するためのインクミスト回収機構が開示されている。インクミスト回収機構には、たとえば、インクミストを吸収する吸収部材と、インクジェットヘッド周辺とインク吸収部材との間の空間を接続する排気通路と、排気通路内に空気の流れを生じさせるファンと、を備えているものがある。このようなインクミスト回収機構では、インクジェットヘッドが発生させるインクミストを含んだ空気が、ファンの作用によって、排気通路に吸い込まれて吸収部材まで導かれる。吸収部材まで導かれたインクミストは、吸収部材に吸収される。したがって、このインクミスト回収機構を用いることにより、インクジェットヘッドが発生させるインクミストにより、媒体への記録の品位の低下や、インクジェットヘッドの周辺の汚れが発生することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−016231号公報
【特許文献2】特開平11−138777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したインクミスト回収機構では、インクミストを含んだ空気が排気通路の壁面に接触すると、インクミストは吸収体に到達せずに排気通路の壁面に付着する。このインクミストの排気通路の壁面への付着が繰り返されると、排気通路の壁面のインクミストが凝集してインクの液滴を形成する。このインクの液滴は、排気通路から媒体に垂れると記録の品位の低下となり、インクジェットヘッドの周辺にある部材に付着すると汚れとなってしまう。したがって、このインクミスト回収機構では、頻繁なメンテナンスが必要となる。
【0006】
また、上述したインクミスト回収機構では、ファンを用いるため、ファンの駆動源としてエネルギが必要となる。したがって、このインク回収機構には電源装置などのエネルギの供給源を設ける必要がある。このことは、インクミスト回収機構の製造コストやランニングコストの上昇や、インクミスト回収機構全体としての構成の複雑化につながる。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造で効果的にインクミストの回収を行うことが可能なインクミスト回収機構、ならびにこれを備えた記録装置およびインクジェットヘッド検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によるインクミスト回収機構は、インクジェットヘッドがインクを吐出する際に発生するインクミストを回収するインクミスト回収機構であって、前記インクジェットヘッドのインクを吐出する吐出口形成面に対向する所定面を有し、第1の方向に移動する移動ステージと、前記第1の方向に延び、前記所定面の、前記第1の方向に直交する第2の方向の両端部の少なくとも一方を非接触に覆う部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造で効果的にインクミストの回収を行うことが可能なインクミスト回収機構、ならびにこれを備えた記録装置およびインクジェットヘッド検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る記録装置示す概略構成図である。
【図2】図1に示した記録装置に適用可能なインクジェットヘッドを示す斜視図である。
【図3】図1に示した記録装置のインクミスト回収機構を示す概略構成図である。
【図4】図2に示したインクミスト回収機構のL字型部材と移動ステージの位置関係を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るインクミスト回収機構を示す概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るインクジェットヘッド検査装置を示す概略構成図である。
【図7】図6に示したインクジェットヘッド検査装置を示す概略構成図である。
【図8】図6に示したインクジェットヘッド検査装置の制御系を示すブロック図である。
【図9】図6に示したインクジェットヘッド検査装置による検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る記録装置100を示す概略構成図である。図1(a)は上面図であり、図1(b)は斜視図であり、図1(c)は図1(a)のA−A’線に沿った断面図である。図1(b)では、インクジェットヘッド101、およびインクジェットヘッド101を搭載可能なキャリッジ102を省略して示している。
【0012】
記録装置100では、移動ステージ105上にセットされた媒体に、図1(c)に示すように移動ステージ105に対向配置されたインクジェットヘッド101の吐出口形成面101aからインクを吐出することにより、媒体にインクを付与する。インクジェットヘッド101はキャリッジ102に交換可能に搭載されている。移動ステージ105には、インクジェットヘッド101の吐出口形成面に対向した所定面を有している。移動ステージ105は、図1(a)に示す矢印X方向に直線的に移動可能であり、移動ステージ105は、所定面に媒体Pを吸着保持可能である。したがって、移動ステージ105は、所定面を矢印X方向に移動させることにより、媒体Pのインクジェットヘッド101に対向する位置を変更することが可能である。これにより、記録装置100では、媒体Pに対して、連続的に記録が可能となる。
【0013】
図2(a)は吐出口形成部材101a側から見たインクジェットヘッド101の斜視図であり、図2(b)は電気配線部材305側から見たインクジェットヘッド101の斜視図である。
【0014】
インクジェットヘッド101は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるためのエネルギを発生させるエネルギ発生素子(不図示)を用いたインクジェットインクジェットヘッドである。さらに詳細には、吐出口形成面101aに複数形成された吐出口(不図示)と、エネルギ発生素子と、が対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型のインクジェットインクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド101では、媒体への記録時には、エネルギ発生素子が発生させたエネルギにより吐出口からインクが吐出する。
【0015】
インクジェットヘッド101の吐出口形成面101aには、エネルギ発生素子や吐出口が設けられた基板303、およびフライングリ−ドを有する電気配線部材305等が設けられている。また、インクジェットヘッド101は、インクタンク(不図示)を保持するインク供給保持部材306、インクタンクを固定する蓋部材309等を備えている。
【0016】
図1(a)および図1(b)に示すように、移動ステージ105の第1の方向である矢印X方向と直交する第2の方向の両端部がL字型部材104で非接触に覆われている。L字型部材104は、移動ステージ105の所定面に対向する第1の面と、移動ステージ105の側面に対向した第2の面と、を有している。各L字型部材104の第2の面の鉛直方向下部に吸収部材106が設けられている。なお、L字型部材104は両側に設けることは必須ではなく、少なくとも一方の側に設けるようにすればよい。
【0017】
L字型部材104、インクジェットヘッド101およびキャリッジ102は、移動ステージ105には固定されていない。そのため、L字型部材104、インクジェットヘッド101およびキャリッジ102は、移動ステージ105が矢印X方向に移動しても、移動ステージ105とともに移動することはない。
【0018】
移動ステージ105の所定面の近傍の空気は、移動ステージ105が矢印X方向に移動すると、移動ステージ105とともに移動しようとする。しかし、移動ステージ105の所定面のL字型部材104に覆われていない部分の近傍には、インクジェットヘッド101およびキャリッジ102のみしかない。そのため、移動ステージ105の所定面の、L字型部材104に覆われていない部分の近傍の空気は、矢印X方向への流れが発生するとともに、所定面に垂直な方向への流れも発生する。一方、移動ステージ105の所定面の、L字型部材104に覆われている部分には、L字型部材104が近接しているため、所定面に垂直な方向への空気の流れが発生しにくい。そのため、移動ステージ105の所定面のL字型部材104に覆われている部分近傍の空気は、L字型部材104に覆われてない部分近傍の空気よりも矢印X方向への流れが発生しやすい。したがって、移動ステージ105の所定面の近傍の矢印X方向の空気の流れは、L字型部材104に覆われた部分では、L字型部材104に覆われていない部分よりも速くなる。
【0019】
そのため、移動ステージ105の所定面の近傍の空気には、L字型部材104と移動ステージとの間の隙間へ向かう流れが発生する。すなわち、移動ステージ105の所定面近傍には図3に示す矢印のような空気の流れが発生する。これにより、L字型部材104に覆われていない部分近傍の空気は、L字型部材104と移動ステージ105との間の隙間に取り込まれる。
【0020】
図3に示した空気の流れが発生することにより、図1に示す記録装置100の動作時にインクジェットヘッド101が発生させるインクミストは、移動ステージ105近傍の空気とともに、L字型部材104と移動ステージ105との間の隙間に取り込まれる。そして、インクミストは、移動ステージ105とL字型部材104との間を介して吸収部材106に到達し、吸収部材106に吸収される。このように、記録装置100では、インクジェットヘッド101が発生させるインクミストが吸収部材106により吸収されることにより除去される。そのため、インクジェットヘッド101が発生させるインクミストが媒体やインクジェットヘッド101の周辺にある部材に付着することを防止できる。吸収部材106は、一定量のインクミストが吸収された後に交換される交換可能なメンテナンス部品である。
【0021】
図4は移動ステージ105とL字型部材104との位置関係を示す図である。ここで、移動ステージ105の所定面の、L字型部材104に覆われている部分の長さをa(mm)とし、移動ステージ105の所定面とL字型部材104の第1の面との間の距離をb(mm)とする。a(mm)とb(mm)の値を様々に変えてインクミスト回収機構のインクミストの回収能力の試験を行った。記録を行う条件としては、図3の矢印X方向に600dpiの記録密度で、インク吐出駆動周波数は15kHzから30kHzの間で行った。本条件は、過去の事例から経験的に見出した一般的なものである。駆動周波数15kHzから30kHzで移動ステージ105を移動させると、移動ステージ105の実際の図1等の矢印X方向の移動速度は0.635m/sから1.270m/sとなる。
【0022】
まず、b(mm)の値を10mmに固定して試験を行った結果を表1に示す。なお、以下の表では、インクミストの回収効果が良好に得られた場合を「○」と示し、インクミストの回収効果がある程度得られた場合を「△」と示し、インクミストの回収効果がほとんど得られなかった場合を「×」と示した。
【0023】
【表1】

【0024】
表1に示すように、a(mm)の値が5mm以上あればインクミストの吸引効果がある程度得られ、a(mm)の値が10mm以上であればインクミストの回収効果が良好に得られることがわかった。
【0025】
また、a(mm)の値を10mmに固定して試験を行った結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
表1に示すように、b(mm)の値が5mm以上20mm以下あればインクミストの吸引効果がある程度得られ、b(mm)の値が10mm以上15mm以下であればインクミストの回収効果が良好に得られることがわかった。
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態のインクミスト回収機構を示す概略構成図である。本実施形態に係るインクミスト回収機構は、移動ステージ105の所定面の、L字型部材104に対向する部分に複数のフィン107が設けられている。フィン107は、矢印X方向に沿って並べて配列されている。図5では説明の便宜のため、L字型部材104の一部を省略しているが、図1等と同様に移動ステージ105の両側に設けられている。
【0028】
フィン107は矢印X方向に直交する方向に延びた板状の部材であり、移動ステージ105の所定面からの高さは7mmであり、矢印X方向の厚さは2mmである。また、フィン107は、移動ステージ105の所定面に固定されており、移動ステージ105とともに矢印X方向に移動する。移動ステージ105の所定面が矢印X方向に移動すると、移動ステージ105の所定面とL字型部材104との間の空気は、フィン107に矢印X方向に押圧されて、矢印X方向への流れが促進される。これにより、移動ステージ105の所定面の、L字型部材104の第1の面に対向している部分と対向していない部分との間に矢印X方向の空気の流れの速さの差が第1の実施形態より大きくなる。これにより、インクジェットヘッド101により発生させられたインクミストをL字型部材104に導く効果がより向上する。
【0029】
このインクミスト回収機構について、第1の実施形態と同様の条件で試験を行った。
【0030】
まず、b(mm)の値を10mmに固定して試験を行った結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【0032】
表3に示すように、a(mm)の値が5mm以上あればインクミストの吸引効果がある程度得られ、a(mm)の値が10mm以上であればインクミストの回収効果が良好に得られることがわかった。
【0033】
また、a(mm)の値を10mmに固定して試験を行った結果を表4に示す。
【0034】
【表4】

【0035】
図4に示すように、本試験では、b(mm)の値が10mm以上30mm以下の範囲の全ての場合にインクミストの吸引効果がある程度得られた。
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態のインクジェットヘッド検査装置を示す概略構成図である。図6(a)は上面図であり、図6(b)は側面図である。
【0036】
このインクジェットヘッド検査装置には、インクジェットヘッド507を前工程から搬入し、かつ、後工程に搬出するためのベルトコンベア506が隣設されている。このインクジェットヘッド検査装置は、ベルトコンベア506から搬入されたインクジェットヘッド507を固定可能なロータリーインデックス505を備えている。ロータリーインデックス505は図6(a)の矢印で示した右方向への回転が可能である。また、このインクジェットヘッド検査装置は、ロータリーインデックス505の一部に対向する移動ステージ512を備えている。移動ステージ512は、第1または第2の実施形態で説明した移動ステージ105と同様の構成を有している。移動ステージ512は、ロータリーインデックス505に対向する所定面に媒体を吸着保持可能であり、矢印X方向に移動可能である。また、このインクジェットヘッド検査装置は、移動ステージ512の所定面に対向し、媒体に記録された画像をコンピュータに取り込むためのCCDカメラ510を備えている。
【0037】
このインクジェットヘッド検査装置では、インクジェットヘッドの製造工程の前工程からベルトコンベア506で搬入されてきたインクジェットヘッド507がロータリーインデックス505のヘッド固定部501に挿入され、クランプ治具508により固定される。次に、ロータリーインデックス505を、図6(a)に矢印で示すように右回りに90°回転させて符号502で示した位置に移動させる。符号502で示した位置では、インクジェットヘッド507のインクの吸引回復が行われる。次に、同様にロータリーインデックス505を右回りに90°回転させて符号503で示した位置に移動させる。符号503で示した位置では、インクジェットヘッド507に、移動ステージ512に保持された媒体に対してインクを吐出させて媒体に画像形成する。次に、同様にロータリーインデックス505を右回りに90°回転させて符号504で示した位置に移動させる。符号504で示した位置では、インクジェットヘッド507の秤量が行われる。最後に、インクジェットヘッド507は、クランプインデックス505を右回りに90°回転させて符号501で示した位置に戻され、ベルトコンベア506によって搬出される。
【0038】
ところで、符号503で示した位置で、移動ステージ512に保持された媒体に形成された画像は、移動ステージ512によって、矢印X方向に移動させられ、CCDカメラ510に対向する位置まで移動させられる。CCDカメラ510に対向した媒体に形成された画像は、CCDカメラ510に取り込まれ、画像処理が行われた後に演算処理が行われて記録状態の良否判定が行われる。このように、インクジェットヘッド507の検査が行われる。
【0039】
図7は図6に示したインクジェットヘッド検査装置の概略構成図である。図7(a)は側面図であり、図7(b)は斜視図である。図7(b)では、インクジェットヘッド507およびクランプ治具508を省略して示している。また、図6では省略したが、移動ステージ512には図7に示すように、第1の実施形態と同様のL字型部材104や吸収部材106が設けられている。したがって、本実施形態では、インクジェットヘッド507が符号503で示した位置で画像形成する際に発生させるインクミストが、吸収部材106に取り込まれる。したがって、インクジェットヘッド507の検査には、インクジェットヘッド507が発生させるインクミストの影響を排除することができる。これにより、第1の実施形態で示したようなインクミストを回収可能な記録装置に用いることが可能なインクジェットヘッドの歩留まりを向上させることが可能である。
【0040】
図8は、このインクジェットヘッド検査装置の制御系のブロック図である。インクジェットヘッド507はロータリーインデックス505に固定され、信号変換基板212とコンタクトされている。インクの吐出駆動信号は、コンピュータ201内のヘッドドライバ203で生成(パルスジェネレート)された信号が送信される。吐出のタイミングに同期した信号がステージコントローラ210を通して移動ステージ512に送られ、移動ステージ512の移動と同期してインクが吐出される。これにより、移動ステージ512にセットされた媒体にインクが着弾して、媒体に画像が形成される。媒体に形成された画像はレンズ鏡筒ユニット217を通してCCDカメラ510に取り込まれる。取り込まれた画像は、コンピュータ201内の画像処理ボード204で背景ノイズが除去されインクの液滴のうちの主滴を抽出し2値化処理を行って主滴の重心点を算出する。算出された各インクの主滴の重心点から最小二乗法により仮想格子を作成して理想点からのズレ量を計測して、記録の良否判定を行う。この演算処理はコンピュータ201内の演算処理ボード206で行う。この時の画像は逐次VGAボード202を通してモニタ207に出力される。インクジェットヘッド507とCCDカメラ510との絶対位置調整はあらかじめモータコントローラボード205で制御されたステージコントローラ210から移動ステージ512を動作させて行う。
【0041】
図9は、このインクジェットヘッド検査装置による検査方法を示すフローチャートである。
【0042】
インクジェットヘッド507は、ロータリーインデックス505に固定され、駆動制御の為の電気的接続が行われる。次に、インクジェットヘッド507を駆動し、インクを吐出させる。インクは移動ステージ512にセットされた媒体に着弾して画像を形成する。この画像は、CCDカメラ510によってコンピュータに取り込まれ、背景のムラを除去するためのバックグラウンド処理やシェーディング補正が施され、2値化される。記録1では画素数を算出する。記録2ではインクのうちの主滴とサテライトとを分離し、抽出された主滴の重心点を算出(位置の数値化)する。そして、インクの主滴の重心点から最小二乗法により仮想格子を作成する。この仮想格子に基づいてインクの主滴の重心点の理想点からのズレ量を演算処理して各着弾ドットの位置を計測する。その計測結果に基づいて着弾精度の良否判定を行う。記録3では、最小吐出エネルギー(Pth)を算出する。以上のような一連のフローによりインクジェットヘッド507が記録した画像の良否を判断することによりインクジェットヘッド507の検査を行う。
【符号の説明】
【0043】
101 インクジェットヘッド
102 キャリッジ
104 L字型部材
105 移動ステージ
106 吸収部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドがインクを吐出する際に発生するインクミストを回収するインクミスト回収機構であって、
前記インクジェットヘッドのインクを吐出する吐出口形成面に対向する所定面を有し、第1の方向に移動する移動ステージと、
前記第1の方向に延び、前記所定面の、前記第1の方向に直交する第2の方向の両端部の少なくとも一方を非接触に覆う部材と、
を有することを特徴とするインクミスト回収機構。
【請求項2】
前記部材は、前記所定面に対向する第1の面を有する、請求項1に記載のインクミスト回収機構。
【請求項3】
前記第1の面の前記第2の方向の長さは5mm以上である、請求項2に記載のインクミスト回収機構。
【請求項4】
前記第1の面の前記所定面からの距離は5mm以上、20mm以下である、請求項2または3に記載のインクミスト回収機構。
【請求項5】
前記部材は、インクミストを吸収する吸収部材を備えている、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクミスト回収機構。
【請求項6】
前記吸収部材は、前記部材の鉛直方向下部に設けられている、請求項5に記載のインクミスト回収機構。
【請求項7】
前記所定面の、前記部材に対向する部分には、前記第1の方向に配列された複数のフィンが設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクミスト回収機構。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインクミスト回収機構と、
前記インクジェットヘッドを搭載可能であり、前記インクジェットヘッドが搭載されたときに前記インクジェットヘッドの前記吐出口形成面が前記移動ステージの前記所定面に対向するように設けられたキャリッジと、
を有する記録装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインクミスト回収機構と、
前記インクジェットヘッドを搭載可能であり、前記インクジェットヘッドが搭載されたときに前記インクジェットヘッドの前記吐出口形成面が前記移動ステージの前記所定面に対向するように設けられた固定部と、
前記インクジェットヘッドによって記録された画像の良否を判断することにより前記インクジェットヘッドを検査する検査手段と、
を有するインクジェットヘッド検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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