インクリボンカセット
【課題】 昇華型プリンタにおいて、インクリボンカセットの底面部に汚れが付着していると、用紙搬送時に用紙印刷面に付着してしまい、印画品質の劣化やプリンタ本体内部へ汚れの拡大を及ぼす影響がある。
【解決手段】 インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットにおいて、印刷装置に装着されていないときは、インクリボンカセット内に収納され、印刷装置に装着されているときには、インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を設ける。
【解決手段】 インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットにおいて、印刷装置に装着されていないときは、インクリボンカセット内に収納され、印刷装置に装着されているときには、インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷装置に着脱可能なインクリボンカセットに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
印刷装置の一つとして、インクリボンのイエロー、マゼンダ、シアンの各色のインクを用紙に熱転写することによりカラー画像を印刷する熱転写記録型の印刷装置がある。また印刷装置の構成の一つとして、インクリボンの両端を２つのボビンに巻き付け２つのボビンとインクリボンを枠体に収めた形態のカセットでユーザーに供給することが一般的である。インクリボンカセットを印刷装置に装填することで、プリンタ本体へのインク供給となる。インクリボンがカセットとして筺体に覆われていることにより、ユーザーは容易に持ち運びや保管を行うことができる。
【０００３】
また、印刷装置自体の小型化を実現するにあたり、インクリボンカセットを印刷装置に装填した際、インクリボンカセット筺体の一部が印刷装置内で用紙搬送路を形成する構成のものが知られている（例えば特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１１−３６７２１７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１のインクリボンカセットのように底面部によって用紙搬送路を形成する構成では、インクリボンカセット表面に人の手油等の汚れが付着すると、この汚れが用紙搬送時に用紙印刷面に付着してしまい、印画品質の劣化を及ぼすことがある。また、汚れが付着した状態にて用紙搬送を継続することにより、搬送した用紙によって印刷装置本体内部の用紙搬送路中に汚れを拡大させてしまい、後の印画物においても印画品質の劣化を及ぼす懸念がある。
【０００６】
本発明の目的は、インクリボンカセット表面に汚れが付着した状態で印刷を行った場合においても印画品質に影響を及ぼすことを防止するインクリボンカセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決する為、本発明のインクリボンカセットは、
インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットであって、前記印刷装置に装着されていないときは、前記インクリボンカセット内に収納され、前記印刷装置に装着されているときには、前記インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、インクリボンカセット表面に汚れが付着した状態で印刷を行った場合でも、印画品質に影響を及ぼすことを防止するインクリボンカセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】プリンタ本体の断面図
【図２】印刷時の断面図
【図３】切り屑と印画物の排紙時の図
【図４】インクリボンカセットの斜視図
【図５】筺体部材の斜視図
【図６】第一の蓋部材の斜視図
【図７】第二の蓋部材の斜視図
【図８】供給側ボビンの斜視図
【図９】移動部材の斜視図
【図１０】プリンタ本体に装填前のインクリボンカセットの断面図
【図１１】プリンタ本体に装填後のインクリボンカセットの断面図
【図１２】移動部材の印刷時の断面図
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例１】
【００１１】
以下、図１から図１２を参照して、本発明の実施例について説明する。
【００１２】
図１は、プリンタ本体の断面図である。１はプリンタ本体である。２は筐体であり、内部の印画装置部を覆っている。１０は用紙であり、軸１２に一端がロール状に巻かれている。１１は用紙カセットで、ロール状に巻かれた用紙１０を覆っている。また本実施例では、用紙１０のサイズは４ｉｎｃｈサイズと５ｉｎｃｈサイズの２種類となっており、それぞれ各サイズ用の用紙カセット１１に収納し、プリンタ本体１に装填することで、印画する用紙１０のサイズを選択可能としている。
【００１３】
３は給紙ローラで、用紙カセット１１から用紙１０をプリンタ内部に搬送する。５はグリップローラで、４はそれに対向するピンチローラである。グリップローラ５は不図示のステッピングモータに連結された駆動ローラであり、不図示の制御手段からの信号により用紙１０の送り量を制御することが可能である。ピンチローラ４は従動ローラであり、グリップローラ５側に付勢されている。６はサーマルヘッドで、６ａは発熱部である。発熱部６ａは、ライン上に並んだ複数のヒーターにより構成されており、それぞれのヒーターの発熱を電気的に制御することが可能となっている。７はプラテンローラであり、不図示のフレームに回転自在に支持されている。１５は第一のボビン軸、１７は第二のボビン軸である。第一のボビン軸１５と第二のボビン軸１７にはそれぞれ、爪部１６、１８が設けられており、後述するインクリボンカセットのボビンを回動させる構成となっている。１３は検出スイッチである。検出スイッチ１３は３ｂｉｔ式のプッシュスイッチであり、後述するインクリボンカセットに構成される突起部によってスイッチを押し込み、インクカセット装填の有無、インクカセット種類を識別する。１４は用紙ガイド部材であり、用紙搬送路を形成している。９はカッターユニットであり、ロール紙状の用紙１０を所定の長さでカット動作を行い、排紙ローラ８ａ 、８ｂによって排紙する構成となっている。
【００１４】
図２は印刷時の断面図である。プリンタ本体１に用紙カセット１１とインクリボンカセット３０を装填することにより印刷準備の完了となる。インクリボンカセット３０の構成についての詳細は後述する。３１は長尺状のインクリボンで、３４はインクリボン３１の供給側ボビンであり、３５は巻取り側ボビンである。一旦給紙ローラ３によって用紙カセット１１から印刷に必要量の用紙１０をプリンタ内部に搬送する。その後、図２中の矢印Ａ方向にグリップローラ５の駆動により用紙１０が搬送されると同時に巻取り側ボビン３５が駆動回転し、インクリボン３１を巻取り側ボビン３５に巻き取るように搬送する。ここで、サーマルヘッド６はプラテンローラ７に対し、不図示の動力にて最大離間位置から中間位置へと移動する。これは、印刷工程であるイエロー、マゼンダ、シアン、オーバーコートの各色印画後用紙リターン及びインクリボン３１の頭出し時に、最大離間位置とサーマルヘッド６とプラテンローラ７とのニップ位置である印画位置をその都度移動する事を防ぐためである。そして、速やかに次色工程へ移行する為で有るのと共に、サーマルヘッド６をインクリボンカセット３１が抜去される方向において干渉する位置へ移動させる事で、印画動作中にインクリボンカセット３１が取り去られることを防止している。用紙１０とインクリボン３１を搬送しつつ、サーマルヘッド６に備えられた発熱部６ａの発熱を制御することによって、用紙１０に文字や画像等を形成することができる。フルカラー印刷の場合、イエロー、マゼンタ、シアンの３色を繰り返し重ねて熱転写することでフルカラーの画像が形成される。１色目の熱転写が終わると、グリップローラ５を印刷搬送方向とは逆方向に回転させて用紙１０の先端を印刷開始位置まで一旦戻し、グリップローラ５を印刷搬送方向に回転させて、２色目以降の熱転写を開始する。３色の熱転写が完了すると、最後に保護インクが同様の熱転写によりオーバーコートされ、印刷が完了する。
【００１５】
次に図３を参照して用紙カットと排紙の工程について説明する。図３は切り屑と印画物の排紙時の図である。
【００１６】
９はカッターユニットである。不図示の駆動源により用紙１０をカットする。８ａは排紙ローラであり、グリップローラ５と同じステッピングモータを駆動源としており、グリップローラ５の回転と連動している。排紙ローラ８ｂは対向する従動ローラであり、排紙ローラ８ａ側に付勢されている。２０は押出し部材である。２１は印画物と切り屑との搬送経路を切り替える仕分け部材であり、回動により切り屑搬送経路の開閉が可能となっている。２３は用紙スタック部であり、２２は切り屑収納部である。押出し部材２０と仕分け部材２１によって印画物１０ａは用紙スタック部２３に排紙し、切り屑１０ｂは切り屑収納部２２に積載される構成となっている。
【００１７】
図３（ａ）は切り屑の排紙時の断面図であり、図３（ｂ）は印画物の排紙時の断面図である。
【００１８】
画像形成の完了後、フチ無しの印画物を作成する為に、まず先端側の余白部をカットする。用紙１０を余白部カット位置まで搬送し（図２の状態）、排紙ローラ８ａ、８ｂに狭持された状態で、カッターユニット９により用紙１０の余白部がカットされ、切り屑１０ｂが形成される。そのとき仕分け部材２１は、切り屑１０ｂが切り屑収納部２２へ向かう通路が開いた状態となっている。その後、排紙ローラ８ａの回転駆動により、切り屑１０ｂは搬送され、図３（ａ）に示すように切り屑収納部２２へ収納される。図３（ｂ）では、押出し部材２０に押されて落下している切り屑１０ｂと、切り屑収納部２２には事前に排紙された切り屑１０ｂが積載されている状態を示している。排紙ローラ８ａの回転による切り屑１０ｂの搬送と同時に余白部に続く印画部分の用紙が搬送されており、印画物カット位置まで用紙１０が搬送されると、カットされて印画物１０ａが形成される。そのとき仕分け部材２１は閉じた状態となっており、排紙ローラ８ａの回転駆動により、印画物１０ａは押出し部材２０の閉じ力によって用紙スタック部２３へ押し出される。図２（ｂ）では押出し部材２０に押し出されて落下している印画物１０ａと、また用紙スタック部２３には事前に排紙された印画物１０ａが複数枚スタックされている状態を示している。
【００１９】
次にインクリボンカセット３０の全体の構成について図４〜図９を参照して説明する。
【００２０】
図４はインクリボンカセットの斜視図である。図４（ａ）はインクリボンカセット３０全体の斜視図であり、図４（ｂ）はインクリボンカセット３０を分解した斜視図である。
【００２１】
４０は筺体部材であり、５０は第一の蓋部材、６０は第二の蓋部材である。筺体部材４０、第一の蓋部材５０、第二の蓋部材６０にてインクリボンカセット３０の筺体が構成され、内部部品を囲う構造となっている。インクリボンカセット３０内部の構成部品は、インクリボン３１を両端に巻回した供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５、各ボビンを片端より付勢する第一のコイルばね９０、第二のコイルばね９１を有している。さらに、移動部材７０、両端にフック部９５ａ、９５ｂを備えた第一のばね９５と、両端にフック部９６ａ、９６ｂを備えた第二のばね９６を有している。各部品の詳細については後述する。
【００２２】
次に図５を参照して筺体部材４０について説明する。図５は筺体部材の斜視図である。
【００２３】
筺体部材４０はインクリボン３１を両端に巻回した供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５を収納可能な形状であり、各ボビンの間にはインクリボン３１がサーマルヘッド６と接触する為の露出部４８が設けられている。供給側ボビン３４は開口部４２ａと穴部４１によって回動可能に保持されており、巻取り側ボビン３５は開口部４２ｄと穴部４１ｂによって回動可能に保持される。筺体部材４０の側面に位置決め穴４６と長穴４７が設けられており、プリンタ本体１にインクリボンカセット３０を装填時に当箇所よって位置決めを行う。また筺体部材４０の側面に突起部４９が設けられており、当箇所がプリンタ本体１に装填時、前述した検出スイッチ１３を押すことで、インクリボンカセット３０の装填有無、またインクリボンカセット３０のサイズを識別可能な構成となっている。また筺体部材４０には位置決めボス４５ａ、４５ｂ、４５ｃ、４５ｄと爪部４３ａ、４３ｂ、４３ｃ、４３ｄ、また側爪部４４ａ、４４ｂ、４４ｃ、４４ｄが備えられており、後述する第一の蓋部材５０と第二の蓋部材６０を保持可能とする構成となっている。さらに、供給側ボビン３４収納側にはばね掛け部４６ａ、４６ｂが備えられており、前述した第一のばね９３のフック部９３ｂと第二のばね９６のフック部９６ｂを引掛ける構成となっている。
【００２４】
次に図６を参照して第一の蓋部材５０について説明する。図６は第一の蓋部材の斜視図である。
【００２５】
第一の蓋部材５０は、筺体部材４０の供給側ボビン３４収納側を覆う蓋部材である。第一の蓋部材５０の両端には位置決め穴５２ａ、５２ｂが開口しており、位置決め穴５２ａは筺体部材５０の位置決めボス４５ｂ、位置決め穴５２ａは位置決めボス４５ａと係合する。また、第一の蓋部材５０は爪穴５３と側爪穴５４ａ、５４ｂが備えられており、爪穴５３は筺体部材４０の爪部４３ａ、側爪穴５４ａ、５４ｂは側爪部４４ａ、４４ｂと係合することによって保持される構成となっている。また、第一の蓋部材５０は後述する移動部材７０のリブ部７２が突出する為の開口部５１ａ、５１ｂ、５１ｃ、５１ｄが備えられている。
【００２６】
次に図７を参照して第二の蓋部材６０について説明する。図７は第二の蓋部材の斜視図である。
【００２７】
第二の蓋部材６０は、筺体部材４０の巻取り側ボビン３５収納側を覆う蓋部材である。第二の蓋部材６０の両端には位置決め穴６２ａ、６２ｂが開口しており、位置決め穴６２ａは筺体部材５０の位置決めボス４５ｃ、位置決め穴６２ｂは位置決めボス４５ｄと係合する。また、第二の蓋部材６０は爪穴６３ａ、６３ｂ、６３ｃと側爪穴６４ａ、６４ｂが備えられている。爪穴６３ａ、６３ｂ、６３ｃはそれぞれ筺体部材４０の爪部４３ｄ、４３ｃ、４３ｂ、側爪穴６４ａ、６４ｂは側爪部４４ｃ、４４ｄと係合することによって保持される構成となっている。
【００２８】
次に図８を参照して供給側ボビン３４について説明する。図８は供給側ボビンの斜視図である。
【００２９】
供給側ボビン３４はインクリボン３１を巻回する軸部３６を構成し、軸部３６の両端に当接部３９ａ、３９ｂを構成している。また軸部３６の一端に回転規制穴３８が軸全周に渡り設けられている。また供給側ボビン３４の端には突起部３７が備えられており、前述したプリンタ本体１内に構成された第一のボビン軸１５の爪部１６によって回転動作が付与される構成となっている。
【００３０】
また本実施例では巻取り側ボビン３５が供給側ボビン３４と同構成となっている。供給側ボビン３４、巻取り側ボビン３５はそれぞれ前述した第一のコイルばね９０、第二のコイルばね９１を端部３３に備えることによって、前述した筺体部材５０の開口部４２ａ、４２ｂ側に付勢される構成となっている。
【００３１】
次に図９を参照して移動部材７０について説明する。図９は移動部材の斜視図である。
【００３２】
移動部材７０は移動可能な構成となっており、両端にカム面７１ａ、７１ｂを構成している。また中央付近にはリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄが構成されており、前述した第一の蓋部材５０の開口部５１ａ、５１ｂ、５１ｃ、５１ｄにそれぞれ対応し収納される。本実施例ではリブ部を７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄは支持部７６の両端付近にそれぞれ２つずつ配置されている。またこのリブ部７２の位置は、前述した用紙１０のサイズに対応して設置されている。すなわち、リブ部７２ｂ、７２ｃは４ｉｎｃｈサイズの用紙１０の紙幅より内側の位置に配置され、そして最両端のリブ部７２ａ、７２ｄは５ｉｎｃｈサイズの用紙１０の紙幅より内側の位置に配置される構成となっている。また移動部材７０のリブ部７２の形状は、用紙１０搬送方向に対して滑らかな曲部７７に形成されており、対して用紙１０搬送方向とは逆方向には返し形状となる突起部７５が構成されている。また移動部材７０の両端付近にはばね掛け部７３ａ、７３ｂが構成されており、前述した第一のばね９３のフック部９３ｂと第二のばね９６のフック部９６ｂを引掛ける構成となっている。さらに移動部材７０の一端には回転規制部７４が構成されており、供給側ボビン３４に設けられた回転規制穴３８に対応している。
【００３３】
次にインクリボンカセット３０の移動部材７０の動作について図１０〜図１２を参照して説明する。
【００３４】
図１０はプリンタ本体に装填前のインクリボンカセットの断面図である。
【００３５】
インクリボンカセット３０はプリンタ本体１に装填前においては、前述した構成により、第一のコイルばね９０と第二のコイルばね９１によって、供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５は図１０中矢印Ｂ方向に付勢されている。このとき第一のばね９５と第二のばね９６の弾性力によって移動部材７０は、図１０中矢印Ｅ方向に付勢されており、移動部材７０に構成されたリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄは第一の蓋部材５０の表面より内側に収納される構成となっている。さらに移動部材７０に構成された回転規制部７４が供給側ボビン３４に構成された回転規制穴３８に係合されることによって供給側ボビン３４の回転を規制している。
【００３６】
図１１はプリンタ本体に装填後のインクリボンカセットの断面図である。
【００３７】
インクリボンカセット３０をプリンタ本体１への装着が完了すると、前述のプリンタ本体１に構成された第一のボビン軸１５と第二のボビン軸１７が供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５を押し込み、図１１中矢印Ｃ方向に移動する。このとき、移動部材７０のカム面７１ａ、７１ｂが供給側ボビン３４の当接部３９によって押し込まれ、図１１中矢印Ｄ方向に移動する。この移動部材７０の動作により移動部材７０の回転規制部７４が供給側ボビン３４の回転規制穴３８から外れ、供給側ボビン３４は回動自由状態になる。さらに当接部３９の径の大きさを移動部材７０のカム面７１が乗り上げた状態で第一の蓋部材７０の表面からリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄが突出するように設定する事で、リブ部７２がインクリボンカセット３０から外側に露出する構成となっている。
【００３８】
本構成によってインクリボンカセット３０がプリンタ本体１に装填されていない際にはリブ部７２は、インクリボンカセット３０内に収納されることにより、ユーザーはリブ部７２に触れることが出来ない為、手油等の汚れが付着する事を防止できる。
【００３９】
なお、図１０中矢印Ｂ方向は、図１１中矢印Ｃ方向と逆の方向であり、図１０中矢印Ｅ方向は、図１１中矢印Ｄ方向と逆方向である。また、図１１中矢印Ｄ方向と図１１中矢印Ｃ方向は、略直交する方向である。移動部材７０が、カム面７１を有していることにより、供給側ボビン３４が移動したときに、供給側ボビン３４がカム面に当接して、移動部材７０が供給側ボビン３４の移動方向とは直交する方向に移動するような構成になっている。
【００４０】
図１２は移動部材の印刷時の断面図である。
【００４１】
移動部材７０のリブ部７２が第一の蓋部材５０の表面より外側に露出することにより、印刷時の用紙１０は搬送中に第一の蓋部材５０に触れることなくリブ部７２と用紙ガイド１４との間を通紙される。本実施例においてはリブ部７２と用紙ガイド１４の用紙１０が通紙する隙間は用紙１０の厚みの１．５倍程度となるように移動部材７０の移動量を設定している。本構成により、用紙１０がリブ部７２と用紙ガイド１４間を排紙方向に通紙の際には、上述したリブ部７２に構成された曲部７７によって、引っかかりが発生せずに通紙される。また、印刷の不具合動作によって印画物１０ａや切り屑１０ｂがプリンタ本体１内に侵入した際においても、上述したリブ部７２に構成された突起部７５によって、印刷機構内部へ侵入を防ぐことが出来る。
【００４２】
本実施例では、供給側ボビン３４側の筺体を構成するボビン軸と略平行な面に、リブ部が突出可能な構成とした。供給側ボビン３４側は、インクリボンと用紙を重ねた状態で搬送させる必要があるが、印刷後は、インクリボンは用紙とくっつかないように引き離されて搬送されるため、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体には、用紙が接触しないためである。しかし、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体に用紙が接触しながら搬送される場合には、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体にも、リブ部が突出可能な構成を設けてもよい。
【００４３】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【００４４】
１ プリンタ本体
２ 筺体
１０ 用紙
１４ 用紙ガイド部材
１５ 第一のボビン軸
１６ 爪部
１７ 第二のボビン軸
１８ 爪部
３０ インクリボンカセット
３１ インクリボン
３４ 供給側ボビン
３５ 巻取り側ボビン
３６ 軸部
３７ 突起部
３８ 回転規制穴
３９ 当接部
４０ 筺体部材
４６ ばね掛け部
５０ 第一の蓋部材
５１ 開口部
６０ 第二の蓋部材
７０ 移動部材
７１ カム面
７２ リブ部
７３ ばね掛け部
７４ 回転規制部
７５ 突起部
７６ 支持部
７７ 曲部
９５ 第一のばね
９６ 第二のばね
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷装置に着脱可能なインクリボンカセットに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
印刷装置の一つとして、インクリボンのイエロー、マゼンダ、シアンの各色のインクを用紙に熱転写することによりカラー画像を印刷する熱転写記録型の印刷装置がある。また印刷装置の構成の一つとして、インクリボンの両端を２つのボビンに巻き付け２つのボビンとインクリボンを枠体に収めた形態のカセットでユーザーに供給することが一般的である。インクリボンカセットを印刷装置に装填することで、プリンタ本体へのインク供給となる。インクリボンがカセットとして筺体に覆われていることにより、ユーザーは容易に持ち運びや保管を行うことができる。
【０００３】
また、印刷装置自体の小型化を実現するにあたり、インクリボンカセットを印刷装置に装填した際、インクリボンカセット筺体の一部が印刷装置内で用紙搬送路を形成する構成のものが知られている（例えば特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１１−３６７２１７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１のインクリボンカセットのように底面部によって用紙搬送路を形成する構成では、インクリボンカセット表面に人の手油等の汚れが付着すると、この汚れが用紙搬送時に用紙印刷面に付着してしまい、印画品質の劣化を及ぼすことがある。また、汚れが付着した状態にて用紙搬送を継続することにより、搬送した用紙によって印刷装置本体内部の用紙搬送路中に汚れを拡大させてしまい、後の印画物においても印画品質の劣化を及ぼす懸念がある。
【０００６】
本発明の目的は、インクリボンカセット表面に汚れが付着した状態で印刷を行った場合においても印画品質に影響を及ぼすことを防止するインクリボンカセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決する為、本発明のインクリボンカセットは、
インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットであって、前記印刷装置に装着されていないときは、前記インクリボンカセット内に収納され、前記印刷装置に装着されているときには、前記インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、インクリボンカセット表面に汚れが付着した状態で印刷を行った場合でも、印画品質に影響を及ぼすことを防止するインクリボンカセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】プリンタ本体の断面図
【図２】印刷時の断面図
【図３】切り屑と印画物の排紙時の図
【図４】インクリボンカセットの斜視図
【図５】筺体部材の斜視図
【図６】第一の蓋部材の斜視図
【図７】第二の蓋部材の斜視図
【図８】供給側ボビンの斜視図
【図９】移動部材の斜視図
【図１０】プリンタ本体に装填前のインクリボンカセットの断面図
【図１１】プリンタ本体に装填後のインクリボンカセットの断面図
【図１２】移動部材の印刷時の断面図
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例１】
【００１１】
以下、図１から図１２を参照して、本発明の実施例について説明する。
【００１２】
図１は、プリンタ本体の断面図である。１はプリンタ本体である。２は筐体であり、内部の印画装置部を覆っている。１０は用紙であり、軸１２に一端がロール状に巻かれている。１１は用紙カセットで、ロール状に巻かれた用紙１０を覆っている。また本実施例では、用紙１０のサイズは４ｉｎｃｈサイズと５ｉｎｃｈサイズの２種類となっており、それぞれ各サイズ用の用紙カセット１１に収納し、プリンタ本体１に装填することで、印画する用紙１０のサイズを選択可能としている。
【００１３】
３は給紙ローラで、用紙カセット１１から用紙１０をプリンタ内部に搬送する。５はグリップローラで、４はそれに対向するピンチローラである。グリップローラ５は不図示のステッピングモータに連結された駆動ローラであり、不図示の制御手段からの信号により用紙１０の送り量を制御することが可能である。ピンチローラ４は従動ローラであり、グリップローラ５側に付勢されている。６はサーマルヘッドで、６ａは発熱部である。発熱部６ａは、ライン上に並んだ複数のヒーターにより構成されており、それぞれのヒーターの発熱を電気的に制御することが可能となっている。７はプラテンローラであり、不図示のフレームに回転自在に支持されている。１５は第一のボビン軸、１７は第二のボビン軸である。第一のボビン軸１５と第二のボビン軸１７にはそれぞれ、爪部１６、１８が設けられており、後述するインクリボンカセットのボビンを回動させる構成となっている。１３は検出スイッチである。検出スイッチ１３は３ｂｉｔ式のプッシュスイッチであり、後述するインクリボンカセットに構成される突起部によってスイッチを押し込み、インクカセット装填の有無、インクカセット種類を識別する。１４は用紙ガイド部材であり、用紙搬送路を形成している。９はカッターユニットであり、ロール紙状の用紙１０を所定の長さでカット動作を行い、排紙ローラ８ａ 、８ｂによって排紙する構成となっている。
【００１４】
図２は印刷時の断面図である。プリンタ本体１に用紙カセット１１とインクリボンカセット３０を装填することにより印刷準備の完了となる。インクリボンカセット３０の構成についての詳細は後述する。３１は長尺状のインクリボンで、３４はインクリボン３１の供給側ボビンであり、３５は巻取り側ボビンである。一旦給紙ローラ３によって用紙カセット１１から印刷に必要量の用紙１０をプリンタ内部に搬送する。その後、図２中の矢印Ａ方向にグリップローラ５の駆動により用紙１０が搬送されると同時に巻取り側ボビン３５が駆動回転し、インクリボン３１を巻取り側ボビン３５に巻き取るように搬送する。ここで、サーマルヘッド６はプラテンローラ７に対し、不図示の動力にて最大離間位置から中間位置へと移動する。これは、印刷工程であるイエロー、マゼンダ、シアン、オーバーコートの各色印画後用紙リターン及びインクリボン３１の頭出し時に、最大離間位置とサーマルヘッド６とプラテンローラ７とのニップ位置である印画位置をその都度移動する事を防ぐためである。そして、速やかに次色工程へ移行する為で有るのと共に、サーマルヘッド６をインクリボンカセット３１が抜去される方向において干渉する位置へ移動させる事で、印画動作中にインクリボンカセット３１が取り去られることを防止している。用紙１０とインクリボン３１を搬送しつつ、サーマルヘッド６に備えられた発熱部６ａの発熱を制御することによって、用紙１０に文字や画像等を形成することができる。フルカラー印刷の場合、イエロー、マゼンタ、シアンの３色を繰り返し重ねて熱転写することでフルカラーの画像が形成される。１色目の熱転写が終わると、グリップローラ５を印刷搬送方向とは逆方向に回転させて用紙１０の先端を印刷開始位置まで一旦戻し、グリップローラ５を印刷搬送方向に回転させて、２色目以降の熱転写を開始する。３色の熱転写が完了すると、最後に保護インクが同様の熱転写によりオーバーコートされ、印刷が完了する。
【００１５】
次に図３を参照して用紙カットと排紙の工程について説明する。図３は切り屑と印画物の排紙時の図である。
【００１６】
９はカッターユニットである。不図示の駆動源により用紙１０をカットする。８ａは排紙ローラであり、グリップローラ５と同じステッピングモータを駆動源としており、グリップローラ５の回転と連動している。排紙ローラ８ｂは対向する従動ローラであり、排紙ローラ８ａ側に付勢されている。２０は押出し部材である。２１は印画物と切り屑との搬送経路を切り替える仕分け部材であり、回動により切り屑搬送経路の開閉が可能となっている。２３は用紙スタック部であり、２２は切り屑収納部である。押出し部材２０と仕分け部材２１によって印画物１０ａは用紙スタック部２３に排紙し、切り屑１０ｂは切り屑収納部２２に積載される構成となっている。
【００１７】
図３（ａ）は切り屑の排紙時の断面図であり、図３（ｂ）は印画物の排紙時の断面図である。
【００１８】
画像形成の完了後、フチ無しの印画物を作成する為に、まず先端側の余白部をカットする。用紙１０を余白部カット位置まで搬送し（図２の状態）、排紙ローラ８ａ、８ｂに狭持された状態で、カッターユニット９により用紙１０の余白部がカットされ、切り屑１０ｂが形成される。そのとき仕分け部材２１は、切り屑１０ｂが切り屑収納部２２へ向かう通路が開いた状態となっている。その後、排紙ローラ８ａの回転駆動により、切り屑１０ｂは搬送され、図３（ａ）に示すように切り屑収納部２２へ収納される。図３（ｂ）では、押出し部材２０に押されて落下している切り屑１０ｂと、切り屑収納部２２には事前に排紙された切り屑１０ｂが積載されている状態を示している。排紙ローラ８ａの回転による切り屑１０ｂの搬送と同時に余白部に続く印画部分の用紙が搬送されており、印画物カット位置まで用紙１０が搬送されると、カットされて印画物１０ａが形成される。そのとき仕分け部材２１は閉じた状態となっており、排紙ローラ８ａの回転駆動により、印画物１０ａは押出し部材２０の閉じ力によって用紙スタック部２３へ押し出される。図２（ｂ）では押出し部材２０に押し出されて落下している印画物１０ａと、また用紙スタック部２３には事前に排紙された印画物１０ａが複数枚スタックされている状態を示している。
【００１９】
次にインクリボンカセット３０の全体の構成について図４〜図９を参照して説明する。
【００２０】
図４はインクリボンカセットの斜視図である。図４（ａ）はインクリボンカセット３０全体の斜視図であり、図４（ｂ）はインクリボンカセット３０を分解した斜視図である。
【００２１】
４０は筺体部材であり、５０は第一の蓋部材、６０は第二の蓋部材である。筺体部材４０、第一の蓋部材５０、第二の蓋部材６０にてインクリボンカセット３０の筺体が構成され、内部部品を囲う構造となっている。インクリボンカセット３０内部の構成部品は、インクリボン３１を両端に巻回した供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５、各ボビンを片端より付勢する第一のコイルばね９０、第二のコイルばね９１を有している。さらに、移動部材７０、両端にフック部９５ａ、９５ｂを備えた第一のばね９５と、両端にフック部９６ａ、９６ｂを備えた第二のばね９６を有している。各部品の詳細については後述する。
【００２２】
次に図５を参照して筺体部材４０について説明する。図５は筺体部材の斜視図である。
【００２３】
筺体部材４０はインクリボン３１を両端に巻回した供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５を収納可能な形状であり、各ボビンの間にはインクリボン３１がサーマルヘッド６と接触する為の露出部４８が設けられている。供給側ボビン３４は開口部４２ａと穴部４１によって回動可能に保持されており、巻取り側ボビン３５は開口部４２ｄと穴部４１ｂによって回動可能に保持される。筺体部材４０の側面に位置決め穴４６と長穴４７が設けられており、プリンタ本体１にインクリボンカセット３０を装填時に当箇所よって位置決めを行う。また筺体部材４０の側面に突起部４９が設けられており、当箇所がプリンタ本体１に装填時、前述した検出スイッチ１３を押すことで、インクリボンカセット３０の装填有無、またインクリボンカセット３０のサイズを識別可能な構成となっている。また筺体部材４０には位置決めボス４５ａ、４５ｂ、４５ｃ、４５ｄと爪部４３ａ、４３ｂ、４３ｃ、４３ｄ、また側爪部４４ａ、４４ｂ、４４ｃ、４４ｄが備えられており、後述する第一の蓋部材５０と第二の蓋部材６０を保持可能とする構成となっている。さらに、供給側ボビン３４収納側にはばね掛け部４６ａ、４６ｂが備えられており、前述した第一のばね９３のフック部９３ｂと第二のばね９６のフック部９６ｂを引掛ける構成となっている。
【００２４】
次に図６を参照して第一の蓋部材５０について説明する。図６は第一の蓋部材の斜視図である。
【００２５】
第一の蓋部材５０は、筺体部材４０の供給側ボビン３４収納側を覆う蓋部材である。第一の蓋部材５０の両端には位置決め穴５２ａ、５２ｂが開口しており、位置決め穴５２ａは筺体部材５０の位置決めボス４５ｂ、位置決め穴５２ａは位置決めボス４５ａと係合する。また、第一の蓋部材５０は爪穴５３と側爪穴５４ａ、５４ｂが備えられており、爪穴５３は筺体部材４０の爪部４３ａ、側爪穴５４ａ、５４ｂは側爪部４４ａ、４４ｂと係合することによって保持される構成となっている。また、第一の蓋部材５０は後述する移動部材７０のリブ部７２が突出する為の開口部５１ａ、５１ｂ、５１ｃ、５１ｄが備えられている。
【００２６】
次に図７を参照して第二の蓋部材６０について説明する。図７は第二の蓋部材の斜視図である。
【００２７】
第二の蓋部材６０は、筺体部材４０の巻取り側ボビン３５収納側を覆う蓋部材である。第二の蓋部材６０の両端には位置決め穴６２ａ、６２ｂが開口しており、位置決め穴６２ａは筺体部材５０の位置決めボス４５ｃ、位置決め穴６２ｂは位置決めボス４５ｄと係合する。また、第二の蓋部材６０は爪穴６３ａ、６３ｂ、６３ｃと側爪穴６４ａ、６４ｂが備えられている。爪穴６３ａ、６３ｂ、６３ｃはそれぞれ筺体部材４０の爪部４３ｄ、４３ｃ、４３ｂ、側爪穴６４ａ、６４ｂは側爪部４４ｃ、４４ｄと係合することによって保持される構成となっている。
【００２８】
次に図８を参照して供給側ボビン３４について説明する。図８は供給側ボビンの斜視図である。
【００２９】
供給側ボビン３４はインクリボン３１を巻回する軸部３６を構成し、軸部３６の両端に当接部３９ａ、３９ｂを構成している。また軸部３６の一端に回転規制穴３８が軸全周に渡り設けられている。また供給側ボビン３４の端には突起部３７が備えられており、前述したプリンタ本体１内に構成された第一のボビン軸１５の爪部１６によって回転動作が付与される構成となっている。
【００３０】
また本実施例では巻取り側ボビン３５が供給側ボビン３４と同構成となっている。供給側ボビン３４、巻取り側ボビン３５はそれぞれ前述した第一のコイルばね９０、第二のコイルばね９１を端部３３に備えることによって、前述した筺体部材５０の開口部４２ａ、４２ｂ側に付勢される構成となっている。
【００３１】
次に図９を参照して移動部材７０について説明する。図９は移動部材の斜視図である。
【００３２】
移動部材７０は移動可能な構成となっており、両端にカム面７１ａ、７１ｂを構成している。また中央付近にはリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄが構成されており、前述した第一の蓋部材５０の開口部５１ａ、５１ｂ、５１ｃ、５１ｄにそれぞれ対応し収納される。本実施例ではリブ部を７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄは支持部７６の両端付近にそれぞれ２つずつ配置されている。またこのリブ部７２の位置は、前述した用紙１０のサイズに対応して設置されている。すなわち、リブ部７２ｂ、７２ｃは４ｉｎｃｈサイズの用紙１０の紙幅より内側の位置に配置され、そして最両端のリブ部７２ａ、７２ｄは５ｉｎｃｈサイズの用紙１０の紙幅より内側の位置に配置される構成となっている。また移動部材７０のリブ部７２の形状は、用紙１０搬送方向に対して滑らかな曲部７７に形成されており、対して用紙１０搬送方向とは逆方向には返し形状となる突起部７５が構成されている。また移動部材７０の両端付近にはばね掛け部７３ａ、７３ｂが構成されており、前述した第一のばね９３のフック部９３ｂと第二のばね９６のフック部９６ｂを引掛ける構成となっている。さらに移動部材７０の一端には回転規制部７４が構成されており、供給側ボビン３４に設けられた回転規制穴３８に対応している。
【００３３】
次にインクリボンカセット３０の移動部材７０の動作について図１０〜図１２を参照して説明する。
【００３４】
図１０はプリンタ本体に装填前のインクリボンカセットの断面図である。
【００３５】
インクリボンカセット３０はプリンタ本体１に装填前においては、前述した構成により、第一のコイルばね９０と第二のコイルばね９１によって、供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５は図１０中矢印Ｂ方向に付勢されている。このとき第一のばね９５と第二のばね９６の弾性力によって移動部材７０は、図１０中矢印Ｅ方向に付勢されており、移動部材７０に構成されたリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄは第一の蓋部材５０の表面より内側に収納される構成となっている。さらに移動部材７０に構成された回転規制部７４が供給側ボビン３４に構成された回転規制穴３８に係合されることによって供給側ボビン３４の回転を規制している。
【００３６】
図１１はプリンタ本体に装填後のインクリボンカセットの断面図である。
【００３７】
インクリボンカセット３０をプリンタ本体１への装着が完了すると、前述のプリンタ本体１に構成された第一のボビン軸１５と第二のボビン軸１７が供給側ボビン３４と巻取り側ボビン３５を押し込み、図１１中矢印Ｃ方向に移動する。このとき、移動部材７０のカム面７１ａ、７１ｂが供給側ボビン３４の当接部３９によって押し込まれ、図１１中矢印Ｄ方向に移動する。この移動部材７０の動作により移動部材７０の回転規制部７４が供給側ボビン３４の回転規制穴３８から外れ、供給側ボビン３４は回動自由状態になる。さらに当接部３９の径の大きさを移動部材７０のカム面７１が乗り上げた状態で第一の蓋部材７０の表面からリブ部７２ａ、７２ｂ、７２ｃ、７２ｄが突出するように設定する事で、リブ部７２がインクリボンカセット３０から外側に露出する構成となっている。
【００３８】
本構成によってインクリボンカセット３０がプリンタ本体１に装填されていない際にはリブ部７２は、インクリボンカセット３０内に収納されることにより、ユーザーはリブ部７２に触れることが出来ない為、手油等の汚れが付着する事を防止できる。
【００３９】
なお、図１０中矢印Ｂ方向は、図１１中矢印Ｃ方向と逆の方向であり、図１０中矢印Ｅ方向は、図１１中矢印Ｄ方向と逆方向である。また、図１１中矢印Ｄ方向と図１１中矢印Ｃ方向は、略直交する方向である。移動部材７０が、カム面７１を有していることにより、供給側ボビン３４が移動したときに、供給側ボビン３４がカム面に当接して、移動部材７０が供給側ボビン３４の移動方向とは直交する方向に移動するような構成になっている。
【００４０】
図１２は移動部材の印刷時の断面図である。
【００４１】
移動部材７０のリブ部７２が第一の蓋部材５０の表面より外側に露出することにより、印刷時の用紙１０は搬送中に第一の蓋部材５０に触れることなくリブ部７２と用紙ガイド１４との間を通紙される。本実施例においてはリブ部７２と用紙ガイド１４の用紙１０が通紙する隙間は用紙１０の厚みの１．５倍程度となるように移動部材７０の移動量を設定している。本構成により、用紙１０がリブ部７２と用紙ガイド１４間を排紙方向に通紙の際には、上述したリブ部７２に構成された曲部７７によって、引っかかりが発生せずに通紙される。また、印刷の不具合動作によって印画物１０ａや切り屑１０ｂがプリンタ本体１内に侵入した際においても、上述したリブ部７２に構成された突起部７５によって、印刷機構内部へ侵入を防ぐことが出来る。
【００４２】
本実施例では、供給側ボビン３４側の筺体を構成するボビン軸と略平行な面に、リブ部が突出可能な構成とした。供給側ボビン３４側は、インクリボンと用紙を重ねた状態で搬送させる必要があるが、印刷後は、インクリボンは用紙とくっつかないように引き離されて搬送されるため、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体には、用紙が接触しないためである。しかし、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体に用紙が接触しながら搬送される場合には、巻き取り側ボビンが収納されている側の筺体にも、リブ部が突出可能な構成を設けてもよい。
【００４３】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【００４４】
１ プリンタ本体
２ 筺体
１０ 用紙
１４ 用紙ガイド部材
１５ 第一のボビン軸
１６ 爪部
１７ 第二のボビン軸
１８ 爪部
３０ インクリボンカセット
３１ インクリボン
３４ 供給側ボビン
３５ 巻取り側ボビン
３６ 軸部
３７ 突起部
３８ 回転規制穴
３９ 当接部
４０ 筺体部材
４６ ばね掛け部
５０ 第一の蓋部材
５１ 開口部
６０ 第二の蓋部材
７０ 移動部材
７１ カム面
７２ リブ部
７３ ばね掛け部
７４ 回転規制部
７５ 突起部
７６ 支持部
７７ 曲部
９５ 第一のばね
９６ 第二のばね
【特許請求の範囲】
【請求項１】
インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットであって、
前記印刷装置に装着されていないときは、前記インクリボンカセット内に収納され、前記印刷装置に装着されているときには、前記インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を有することを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項２】
前記リブ部は、前記インクリボンカセットが前記印刷装置に装着されたことに応じて、前記インクリボンカセットの筺体から突出した位置に移動することを特徴とする請求項１に記載のインクリボンカセット。
【請求項３】
前記印刷装置に装着されていないときは、前記リブ部の用紙をガイドする際に用紙に接触する面が、前記インクリボンカセット筺体の表面よりも内側に収納されることを特徴とする請求項１または２に記載のインクリボンカセット。
【請求項４】
前記インクリボンカセットは、
インクリボンが巻きつけられたボビンと、
前記ボビンを内部に収納する筐体と、
前記ボビンを前記筺体内においてボビンの軸方向と平行な第一の方向に付勢するボビン付勢部材と、
前記リブ部が設けられた移動部材であって、前記リブ部が前記筺体内に収納される第一の位置と、前記リブ部が前記筺体の外に突出する第二の位置に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を前記第一の位置側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記インクリボンカセットが前記印刷装置に装着されたことに応じて、前記印刷装置内に設けられた前記ボビンを回動させるための軸部材に当接することにより、前記ボビンが前記第一の方向とは逆の第二の方向に移動し、当該ボビンが第二の方向に移動したことに応じて、前記移動部材が前記第二の位置に移動することを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項に記載のインクリボンカセット。
【請求項５】
前記リブは、前記第１の方向に平行な前記筺体の面から突出可能なように設けられており、
前記付勢部材は、前記第１の方向と略直交する方向に前記移動部材を付勢していることを特徴とする請求項４に記載のインクリボンカセット。
【請求項６】
前記ボビンが前記第二の方向に移動したことに応じて、前記移動部材は、前記第二の方向と略直交する方向に移動することを特徴とする請求項４または５に記載のインクリボンカセット。
【請求項７】
前記移動部材は、カム面を有し、
前記第二の方向に移動する前記ボビンが、前記カム面に当接することにより、前記移動部材が、前記第二の方向と略直交する方向に移動することを特徴とする請求項４ないし６のいずれか１項に記載のインクリボンカセット。
【請求項１】
インクリボンのインクを用紙に転写する印刷装置に着脱可能な、インクリボンを収納するインクリボンカセットであって、
前記印刷装置に装着されていないときは、前記インクリボンカセット内に収納され、前記印刷装置に装着されているときには、前記インクリボンカセットの筺体から突出して用紙をガイドするリブ部を有することを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項２】
前記リブ部は、前記インクリボンカセットが前記印刷装置に装着されたことに応じて、前記インクリボンカセットの筺体から突出した位置に移動することを特徴とする請求項１に記載のインクリボンカセット。
【請求項３】
前記印刷装置に装着されていないときは、前記リブ部の用紙をガイドする際に用紙に接触する面が、前記インクリボンカセット筺体の表面よりも内側に収納されることを特徴とする請求項１または２に記載のインクリボンカセット。
【請求項４】
前記インクリボンカセットは、
インクリボンが巻きつけられたボビンと、
前記ボビンを内部に収納する筐体と、
前記ボビンを前記筺体内においてボビンの軸方向と平行な第一の方向に付勢するボビン付勢部材と、
前記リブ部が設けられた移動部材であって、前記リブ部が前記筺体内に収納される第一の位置と、前記リブ部が前記筺体の外に突出する第二の位置に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を前記第一の位置側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記インクリボンカセットが前記印刷装置に装着されたことに応じて、前記印刷装置内に設けられた前記ボビンを回動させるための軸部材に当接することにより、前記ボビンが前記第一の方向とは逆の第二の方向に移動し、当該ボビンが第二の方向に移動したことに応じて、前記移動部材が前記第二の位置に移動することを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項に記載のインクリボンカセット。
【請求項５】
前記リブは、前記第１の方向に平行な前記筺体の面から突出可能なように設けられており、
前記付勢部材は、前記第１の方向と略直交する方向に前記移動部材を付勢していることを特徴とする請求項４に記載のインクリボンカセット。
【請求項６】
前記ボビンが前記第二の方向に移動したことに応じて、前記移動部材は、前記第二の方向と略直交する方向に移動することを特徴とする請求項４または５に記載のインクリボンカセット。
【請求項７】
前記移動部材は、カム面を有し、
前記第二の方向に移動する前記ボビンが、前記カム面に当接することにより、前記移動部材が、前記第二の方向と略直交する方向に移動することを特徴とする請求項４ないし６のいずれか１項に記載のインクリボンカセット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１３−１１１８７９（Ｐ２０１３−１１１８７９Ａ）
【公開日】平成２５年６月１０日（２０１３．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２６０９０５（Ｐ２０１１−２６０９０５）
【出願日】平成２３年１１月２９日（２０１１．１１．２９）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年６月１０日（２０１３．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１１月２９日（２０１１．１１．２９）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
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