説明

インクレスプリント

エネルギービームを出射するソース(1)を配置するステップと、プログラマブルシャッタのアレイ(3)であって、それぞれが、エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に遮断しあるいは可能にするよう適合されているプログラマブルシャッタのアレイを配置するステップと、ソースによって出射されたエネルギービームによってエネルギーが与えられたとき変色可能な付加物を有する基体(4)を配置するステップと、ソースによって出射されシャッタのアレイを通るエネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に可能にするステップと、シャッタのアレイを通過したエネルギービームの経路に基体を位置決めするステップであって、これにより、基体上の少なくとも1つの所望のポイントに前記ビームによってエネルギーを与えて、付加物を前記ポイントで変色させるステップと、を備えるインクレスプリントの方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクレスプリントの方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、インクレスプリントのコンセプトが開発されており、それによって、付加物がマーキング用基体にあるいはマーキング用基体内に付加される。付加物は、エネルギービームによってエネルギーが与えられたとき、変色可能である。このようなプリント方法は、基体材料自体が、蒸発するかあるいは組成変化を受けて、知覚可能なイメージを基体上に形成する炭化やアブレーションマーキングとは異なる。
従来より、インクレスプリントは、マークされる基体上の各選択ポイントで変色を引き起こすのに高い流束量レベルが必要であるため、比較的大きなCO2レーザの使用を必要としていた。プログレッシブ走査あるいはベクトルフォーマットイメージング技術が、イメージング形成方法の選択範囲であった。なぜなら、レーザあるいは基体を他方に対して操作するとき、1つのレーザソースしか必要とされないからである。1つのレーザソースではなくもっと多くのレーザソースを使用することは、一般的に、極めて高価となっていた。
【0003】
上述の従来のインクレスプリント方法およびそれを実行するためのシステムには、エネルギー消費が多い大型のプリント装置を必要とし、そして、比較的低解像度でイメージを形成することしかできないというたくさんの欠点があった。したがって、この技術分野において、インクレスプリント方法およびそのシステムを改良するニーズがある。
【0004】
発明の要約
本発明の1の態様にかかるインクレスプリントの方法は、エネルギービームを出射するソースを配置するステップと、プログラマブルシャッタのアレイであって、それぞれが、エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に遮断しあるいは可能にするよう適合されているプログラマブルシャッタのアレイを配置するステップと、ソースによって出射されたエネルギービームによってエネルギーが与えられたとき変色可能な付加物を有する基体を配置するステップと、ソースによって出射され、シャッタのアレイを通るエネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に可能にするステップと、シャッタのアレイを通過したエネルギービームの経路に基体を位置決めするステップであって、これにより、基体上の少なくとも1つの所望のポイントに前記ビームによってエネルギーを与えて、付加物を前記ポイントで変色させるステップと、を備える。
【0005】
本発明の第2の態様にかかるインクレスプリントシステムは、エネルギービームを出射するソースと、プログラマブルシャッタのアレイであって、それぞれが、エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に遮断しあるいは可能にするよう適合されているプログラマブルシャッタのアレイと、ソースによって出射されたエネルギービームによってエネルギーを与えられたとき変色可能な付加物を有する基体と、を備える。また、使用時に、プログラマブルシャッタのアレイを通過したエネルギービームが、基体上の少なくとも1つの所望のポイントにエネルギーを与え、これにより、付加物を前記ポイントで変色させる。
【0006】
発明の説明
本願出願人は、インクレスプリントで使用される基体にあるいは基体内に付加するための化合物を開発した。これらの化合物のうちのいくつかは、赤外、可視あるいは紫外領域の光による照射時に、変色可能である付加物を有する。例えば、他のタイプの電磁照射、あるいは電子ビームによってエネルギーが与えられたとき、変色可能な他の付加物は、当技術において知られている。これらの付加物の最も実際に重要なことは、エネルギーが与えられる前に無色あるいは透明であることであり、また、エネルギーが与えられたとき、入射エネルギーの流束量レベルおよび基体に応じて、複数の色のうちの1つに変色することである。適切にコートされた基体は、高速、高解像度で、そして、モノトーン、グレースケールあるいは十分に多階調な色に、マーク可能である。
【0007】
本発明は、プログラマブルなシャッタアレイによって、そして、エネルギー源を基体の付加物に整合させることによって、まさに高解像度で、短時間のプリントを可能にする。例えばA4用紙サイズのような比較的大きなイメージの、高解像度で、数秒でのプリントが想定される。このようなプリント機能は、これまでには達成できなかった。
【0008】
種々のタイプのプログラマブル光学シャッタアレイが、本発明において、好適に用いられる。シャッタアレイとして、光学シャッタアレイが、特に、好適に用いられるが、ソースによって出射されるエネルギービームのタイプに応じて、他のタイプのシャッタを用いることもできる。
【0009】
光学シャッタアレイとして、ライン状あるいはマトリクスアレイ状の複数の液晶を利用できる。液晶は、光が液晶アレイの選択された領域を透過するようにコントロールすることができる。
【0010】
液晶デバイスは、反射型あるいはバックライト型であってもよい。反射型液晶デバイスにおいては、入射してくる自然光あるいは人工光を反射するが、反射された光の一部は、液晶層によって遮断されるようコントロールされ、これにより、知覚可能なイメージを形成する。バックライト型液晶デバイスにおいては、光源が、液晶層の背部に配置されている。液晶層は、所望に応じて、光源から光を遮断あるいは通過するようにコントロールされ、これによっても、また、知覚可能なイメージを形成する。したがって、液晶デバイスは、プログラマブル光学シャッタあるいはフォトマスクとして、好適に用いられる。液晶フォトマスクで達成可能な解像度は、近年ミクロンサイズ化された液晶セルにより向上している。液晶フォトマスクは、比較的低価格であるため、現在のところ、本発明に最も好適に用いられる。
【0011】
しかしながら、マイクロ流体デバイス(microfluidic devices)および固体空間光変調デバイス(solid state spatial light modulator devices)などの、他のタイプのプログラマブル光学シャッタも、利用可能になってきている。
【0012】
マイクロ流体デバイスにおいては、ミクロンサイズのチャネルが、基体に形成される。チャネルを、異なる屈折率を有する2つの混合しない液体で満たすことができる。液体の位置のコントロールによって、光ビームの経路を曲げることができ、これにより、光がチャネルを通過するとき、光を透過あるいは屈折できる。あるいは、透過あるいは反射を調整するために一方が可視波長の光を透過しない2つの混合しない液体を用いることができる。可視領域以外の波長、例えば近赤外領域の波長を、コントロール可能な波長として選択してもよい。当業者に知られている他のマイクロ流体デバイスを、同じく、光学シャッタアレイとして使用に応用してもよい。
【0013】
固体空間光変調デバイスは、一般的には、ダイオード励起固体レーザ光源を備える。ダイオード励起固体レーザ光源からの光は、サブミクロンサイズのMEMSマイクロミラーのアレイによって反射される。アレイにおけるそれぞれのミラーを、静電気的に傾斜、移動でき、これにより、それぞれのミラーに当たる光のビームは、所望の方向に所望の位相角で反射される。このように、デバイスは、フォトマスクとして動作できる。
【0014】
液晶アレイ、マイクロ流体アレイ、マイクロミラーアレイからなるフォトマスク、あるいは当業者に認められるであろう他の適当なフォトマスクを、本発明のシステムおよび方法において、プログラマブル光学シャッタアレイとして用いることができる。光学シャッタアレイをプログラミングして、光学シャッタアレイの一部が光学シャッタアレイを通る光の通過を可能にし、同時に、他の領域は光の通過を遮断することによって、正確に位置決めされ、光感応性の付加物を有する基体上にイメージを形成できる。
【0015】
用いられる光源は、従来のランプ、LEDあるいはレーザ、あるいはそれらのうちの複数であってもよい。光源は、基体内あるいは基体に用いられる付加物の感度に応じて整合する必要がある。光源の整合においては、プログラマブル光学シャッタアレイの透過性能を考慮に入れる必要がある。
【0016】
複数の光源を用いる場合、複数の光源は、プログラマブル光学シャッタのアレイを投光照射するかあるいはプログラマブル光学シャッタのアレイを相対的に走査するよう動作できる。本発明の実施形態の投光照射の一例として、光源は、カイラルフィルムレーザであってもよい。
【0017】
本願のシステムおよび方法と特に関連する付加物は、照射時に、少なくとも2つの選択可能な色の1つに変色可能であり、それぞれの選択可能な色が、もし照射の前の付加物に色があるなら、その色と異なっており、基体上の所望のポイントの照射の流束量レベルに応じて、色を選択可能である。このように、プログラマブルアレイにおけるそれぞれの光学シャッタの透過率を調整することにより、多階調カラーイメージを現像できる。また、プリント操作の露光時間を決定するように光源を調整できる。
【0018】
本発明のシステムは、携帯電話、PDA、計算機、時計、ラップトップコンピュータなど携帯デバイスの分野における特定の用途を提供する。一般的に、これらの携帯デバイスは、それぞれ、本発明のシステムのプログラマブル光学シャッタとして利用できる液晶ディスプレイを備える。
【0019】
このような液晶ディスプレイの従来のバックライトを、本発明の光源として用いることができ、あるいは、専用の副光源を、本発明の光源として携帯デバイスにおいて使用することもできる。光のタイプ(つまり、周波数と最大輝度)および光源のタイプ(つまり、レーザ、ランプ、LEDなど)を、基体の付加物と協働するよう調整する必要がある。
【0020】
必要な付加物を有するよう適切に処理された基体を用いることによって、個人が、携帯デバイスの表示画面に現在表示されているどのような情報も、付加的なプリンタハードウェアを必要とすることなく、ポータブルに、オンデマンドで、プリントできる。
【0021】
液晶セルのセルサイズが常に小さくなっており、そして、上述したものなどのように代替となるフォトマスク技術が出現していることから、本発明は、携帯デバイスから、「すぐさま」、超高解像度のカラープリントを可能にする。
【0022】
本発明のシステムを、また、倉庫やスーパーマーケットでの商品の値段・重さ表示などの特定用途に、あるいはパスポート、身分証明書等の物品の押印・証明における使用に、特に、適合させることもできる。
【0023】
携帯デバイスに加えて、本発明は、また、プリンタなどの、家庭用および工業規模のシステムにおける用途を提供する。本発明のシステムは、現在市場に出ているデジタルプリントプロセスをはるかに凌駕する、超高速の高解像度デジタルプリント機能を提供することができる。
【0024】
詳細な説明
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のシステム機構を示す。光源1は、エネルギービーム2を、プログラマブルシャッタ3のアレイへ向けて出射する。アレイの光学シャッタは、それぞれ、選択的にコントロールされて、シャッタアレイに入ってくるエネルギービーム2の一部あるいは全部の通過を遮断するかあるいは可能にする。エネルギービームの、シャッタ3のアレイを通過できた部分は、シャッタに隣接する基体4に入射する。基体4は、エネルギービームの照射時に変色可能な付加物を有する。
【0025】
第1実施形態のエネルギービーム2は、レーザ光のビームである。レーザビーム2はレーザ光源1によって出射される。様々なタイプのレーザ光源、例えば、ダイオードレーザ、ファイバー連結ダイオードレーザ、レーザダイオードアレイおよびダイオード励起固体レーザを用いることができる。第1実施形態において、レーザ光源1は、シャッタアレイを投光照射するよう配置される。すなわち、ビーム2は、シャッタアレイ3のほぼ全体を照射する。
【0026】
第1実施形態のエネルギービーム2が光ビームであるので、シャッタアレイ4は、それに応じて、光学シャッタアレイである。光学シャッタアレイはプログラム可能であり、これにより、それぞれのシャッタが、ある光を通過可能にし、あるいは遮断する。図2は、画素処理された液晶光学シャッタアレイを、本発明で使用される単に例示的なシャッタアレイとして示す。グレーに塗られた画素は、光が通過できない「閉じた」シャッタを表わしており、白く塗られた画素は、光が透過できる「開いた」シャッタを表わしている。
【0027】
プログラマブル光学シャッタアレイ3は、シャッタアレイに、変更できないイメージを形成するために一度だけプログラム可能であってもよく、また、シャッタアレイに形成されるイメージを変更できるよう再度プログラム可能であってもよい。
【0028】
図2に示すようにプログラムされた画素処理された液晶光学シャッタアレイ3は、図1のシステムに組み込まれると、光源1のパワー出力と基体の付加物との整合が適当であったときに限り、文字「ST」のイメージを基体上に形成することができた。
【0029】
上述の基本的な実施形態は、モノトーンイメージングに好適である。画素処理されたシャッタアレイが、「開いた」状態と「閉じた」状態との間で動作可能であるからである。しかしながら、液晶、および先に述べたものなどの他のタイプのシャッタを適用し、通過するエネルギーの程度を可変にして、到達する流量を正確にコントロールすることにより、基体で用いられる付加物に応じて、グレースケールあるいはフルカラーでプリントするよう動作可能であることは、当業者には理解されよう。
【0030】
光学シャッタアレイのコントロールは、マイクロコンピュータなど既知の手段によって達成できる。シャッタコントロール手段を、また、光源1のパワー出力を調整する手段とリンクすることができ、これにより、光学シャッタアレイによる光出力を正確にコントロールすることができる。
【0031】
次に、本発明のシステムを用いてプリントする前に基体4に塗布される合成物の例を説明する。合成物は、10,12−ペンタコサジイン酸、Cyracure 6974(光酸発生剤)、Elvacite 2028(アクリルバインダ)およびメチルエチルケトン(MEK)の溶液を有する。この混合物は、紙の上に、ワイヤバーコーティング器を用いて塗布され、これにより、混合物の均一なコーティングを提供する。このコーティング形成物は、レーザ光の態様の光エネルギーの印加時に変色可能である。400〜500ナノメートル範囲で発光するUVレーザダイオードは、上述の形成物を有する本発明のシステムにおいて、好適に用いられる。
【0032】
上記の合成物は、本発明のシステムにおける使用に適した多くのもののうちの1つである。近赤外および紫/紫外光の波長域でのイメージングは、特に魅力的である。小型で、比較的安価なダイオードレーザが、これらの波長域で容易に入手できるからである。出願人自身のPCT/GB05/00121および0418676.3は、このような波長域でのイメージングに適した、したがって、本発明における使用に適した合成物の例を、さらに、提供している。
【0033】
上述の合成物は、透明でクリアであり、紙の上にコートされたときに、裸の紙の反射率と同様な反射率を提供する。コートされた紙の反射率は、イメージを基体上に形成するレーザダイオードを用いて照射した後であってもほぼ変わらない。これは、トナーベースのあるいはインクベースの多くのプリントシステムにおける見た目に差がある光沢の問題を克服するという点で、特に有用である。上述の合成物は、典型的には、無色から、青、赤、最終的には黄色へと、それぞれの入射レーザビームの流束量レベルの増加によって、変色を受ける。
【0034】
次に、本発明のシステムのさらなる実施形態を、第1実施形態の部材と同様なものには同様な符号を付している図3乃至図6を参照して、説明する。
【0035】
図3は、本発明の第2実施形態にかかるシステムの例を示す。図1のように、システムは、光源1によって生成された光ビーム2で、光学シャッタアレイあるいはフォトマスク3を投光照射するよう適合されている。システムは、いわゆるリレーイメージング機構(relay-imaging set-up)に配置される。レンズ焦点距離fを有するレンズ5は、フォトマスク3上で形成されたイメージを、基体4上へとリレーするよう用いられる。レンズ5は、フォトマスク3から距離uで配置される。その距離は、レンズ焦点距離fより大きくなくてはならない(u>f)。縮小化されたイメージは、イメージングレンズ5から、公知の式(1/f)=(1/u+(1/v))に応じた距離vだけ離れた基体4上に形成される。縮小比率は、(v/u)で与えられる。
【0036】
高縮小(large demagnifications)には、単純に一のシステムのイメージ面を次のシステムに対する実質的なマスクとして機能するように用いることで、いくつかのリレーイメージングシステムを連続してつなぐことができる。これにより、経路長を長くする(縮小=v/u)必要がなくなる。逆に、単一の縮小が好ましく、結果的に、経路長を長くする必要がある場合、ミラーを用いて経路を集約する/折り返すことができ、これにより、コンパクトな設計を利用することができる。
【0037】
図3のシステムにおいて、光源1によって出射された光は、リレーイメージングの前に、広がって、切り取られる。広がった光は、レンズ6によって集束され、アパーチャ7によって切り取られる。これにより、より均一なビーム2の輪郭を形成することが可能になり、結果的に、フォトマスク3のより均一な照射が可能になる。結局、これにより、フォトマスク3のそれぞれの画素を同じ流束量レベルで照射することを可能にする。このことは、最終的に基体4上にプリントされるイメージのイメージングパラメータの正確なコントロールには望ましい。しかしながら、リレーイメージングの前の、ビームの広がりおよび切り取りは、本発明に必須ではない。
【0038】
カメラ等で用いられるよう商業的に利用可能なものなど、オートフォーカスのシステムを、図3のシステムに組み込むこともできる。これにより、リレーされたイメージが基体4でシャープに焦点が合うことが確実になり、基体が所望の焦点位置にあることを確認する必要性を排除し、これにより、システムの実用性をさらに高めることになる。
【0039】
動作の他のモードでは、焦点が合ったジオメトリで、フーリエ変換イメージングを用いることもできよう。これを達成するために、リレーイメージングごとに、基体4上のイメージ面の代わりに、レンズ5の焦点における所望の最終イメージのフーリエイメージマスクで、フォトマスク3を置き換えなければならない。その結果、シンプルな集束レンズが、小さなスポットに、極めて精密なイメージを形成することになる。また、これにより、1つのレンズとフーリエイメージマスクとで構成された比較的シンプルなコンパクト機構の使用が容易になる。
【0040】
マスク/ビーム処理光学系を、ホログラフィーの光学エレメントあるいは、基体4にホログラフィーのイメージを形成可能な光学機構で置き換えることができるであろうことも、また、想定される。
【0041】
上述したビーム処理光学系およびフォトマスク3を、図4に示すように、1つの光学のユニット9に組み込むこともできる。
【0042】
次に、図5を参照して、1つのレーザ源1からのレーザビーム2がフォトマスク3にわたってラスタ走査されるよう適合された本発明の他の実施形態を説明する。図5のこのシステムは、走査ヘッド8内のコンピュータ制御ミラーを利用し、レーザビーム2をプログラマブルマスク3上に/にわたって方向付けて、走査し、その結果、基体4がイメージ的に露光され、最終的に、所定の領域の付加物を変色させる。実施形態は、有利には、上に説明したあるいは以下に説明する1つ以上の特徴を、所望により、さらに、備えることができる。
【0043】
次に、図6を参照して、光源としてのレーザダイオードアレイ9がプログラマブルマスク3にわたって走査的に移動されるよう適合されているさらに他の実施形態を説明する。レーザダイオードアレイ9は、マスク3にわたって走査するバーとして形成されており、これにより、マスクのそれぞれの画素を照射する(コピー機/スキャナの動作と同様に)。図6に示す実施形態において、バーは、マスク3にわたって、走査的に一方向に移動可能である。しかしながら、基体4およびマスク3をバー9に対して相対的に移動して同じ目的を達成することができることは、当業者には理解されよう。ダイオードアレイ/バー9を、XY走査的に、マスク3および基体4に対して相対的に移動することができることも、また、想定される。しかし、これは時間がかかるので、あまり望ましいとは言えない。マスク3は、先に説明したように、イメージを基体4上に形成するようプログラム可能である。実施形態は、有利には、上に説明した1つ以上の特徴を、所望により、さらに、備えることができる。
【0044】
レーザダイオードアレイ/バー9を、1つ以上のファイバ連結ダイオードレーザ、あるいは一連の光ファイバに連結された1つのダイオードレーザで置き換えることもできる。ファイバ連結は、有利には、光ビームの質を改善しうる。
【0045】
前述の事項を参照した本発明の範囲を逸脱することのない、上述した単に例示的な実施形態の変形は、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明のシステムの第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のシステムにおいて使用されるシャッタアレイの平面図である。
【図3】図3は、本発明のシステムの第2実施形態を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明のシステムの第3実施形態を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明のシステムの第4実施形態を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明のシステムの第5実施形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギービームを出射するソースを配置するステップと、
プログラマブルシャッタのアレイであって、それぞれが、エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に遮断しあるいは可能にするよう適合されているプログラマブルシャッタのアレイを配置するステップと、
前記ソースによって出射された前記エネルギービームによってエネルギーが与えられたとき変色可能な付加物を有する基体を配置するステップと、
前記ソースによって出射されシャッタのアレイを通る前記エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に可能にするステップと、
シャッタのアレイを通過した前記エネルギービームの経路に前記基体を位置決めするステップであって、これにより、前記基体上の少なくとも1つの所望のポイントに前記ビームによってエネルギーを与えて、付加物を前記ポイントで変色させるステップと、
を備えるインクレスプリントの方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ソースは光源であり、前記シャッタアレイは光学シャッタアレイである方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記光源および前記プログラマブル光学シャッタのアレイは携帯デバイスに配置されており、前記方法は、光学シャッタのアレイを通過した光の経路に前記基体が位置づけられるように、前記携帯デバイスを前記基体上に位置決めするステップをさらに備える方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法であって、前記光源から出射された前記光が前記光学シャッタのアレイを投光照射するように光源をコントロールするステップをさらに備える方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の方法であって、前記光源が前記光学シャッタのアレイを相対的に走査するように、前記光源をコントロールするステップをさらに備える方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の方法であって、前記光源のパワー出力を調整するステップをさらに備える方法。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載の方法であって、前記アレイの少なくとも1つの光学シャッタのパワー透過を調整するステップをさらに備える方法。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載の方法であって、前記基体を配置する前記ステップは、基体における前記付加物あるいは前記付加物の濃度を、前記光源および前記光学シャッタのアレイによって達成可能な流束量レベルの範囲と整合させるステップを含んでいる方法。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれかに記載の方法であって、前記光源によって出射され前記シャッタのアレイを通る前記光の少なくとも一部の通過を選択的に可能にするステップは、光学シャッタのプログラマブルアレイをプログラムするステップを含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記プログラムするステップは、ユーザによって行われる方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記プログラムするステップは、前記光学シャッタのアレイの製造の際に行なわれる方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の方法であって、前記プログラムするステップは、前記光学シャッタアレイにわたってパワー透過パターンを生成する方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の方法であって、多階調のカラーイメージが、複数の流束量レベルでの基体の照射によって、基体に現像される方法。
【請求項13】
エネルギービームを出射するソースと、
プログラマブルシャッタのアレイであって、それぞれが、前記エネルギービームの少なくとも一部の通過を選択的に遮断しあるいは可能にするよう適合されているプログラマブルシャッタのアレイと、
前記ソースによって出射された前記エネルギービームによってエネルギーが与えられたとき変色可能な付加物を有する基体と、
を備えるインクレスプリントシステムであって、
使用時に、前記プログラマブルシャッタのアレイを通過した前記エネルギービームが、基体上の少なくとも1つの所望のポイントにエネルギーを与え、これにより、前記付加物を前記ポイントで変色させるシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記ソースは光源であり、前記シャッタアレイは光学シャッタアレイであるシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記光源および前記プログラマブル光学シャッタのアレイが、携帯デバイスに配置されているシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記携帯デバイスは、携帯電話、PDA、計算機、時計、ラップトップコンピュータあるいはプリンタからなる群から選択される一つであるシステム。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれかに記載のシステムであって、複数の前記光源が、ライン状あるいはマトリクスアレイ状に配置されているシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、前記複数の光源は、前記プログラマブル光学シャッタのアレイを投光照射するかあるいは前記プログラマブル光学シャッタのアレイに対して相対的に走査するよう動作可能であるシステム。
【請求項19】
請求項14乃至18のいずれかに記載のシステムであって、前記光源は、LED光源、あるいはランプであるシステム。
【請求項20】
請求項14乃至19のいずれかに記載のシステムであって、前記光源は、レーザ光源であるシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、前記レーザは、IR、VISあるいはUVレーザであるシステム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のシステムであって、前記レーザは、カイラルフィルムレーザであるシステム。
【請求項23】
請求項14乃至22のいずれかに記載のシステムであって、前記光学シャッタは、液晶セルであるシステム。
【請求項24】
請求項14乃至22のいずれかに記載のシステムであって、前記光学シャッタは、マイクロ流体デバイスであるシステム。
【請求項25】
請求項14乃至22のいずれかに記載のシステムであって、前記光学シャッタは、マイクロミラーであるシステム。
【請求項26】
請求項14乃至25のいずれかに記載のシステムであって、前記光源のパワー出力が調整されるシステム。
【請求項27】
請求項14乃至26のいずれかに記載のシステムであって、光学シャッタのパワー透過が調整されるシステム。
【請求項28】
請求項13乃至27のいずれかに記載のシステムであって、付加物は、照射時に、少なくとも2つの選択可能な色の1つに変色可能であり、それぞれの選択可能な色が、照射前の付加物に色がある場合、その色と異なっており、使用時には、基体上の所望のポイントの照射の流束量レベルに応じて、色を選択可能であるシステム。
【請求項29】
請求項13乃至28のいずれかに記載のシステムであって、多階調カラーイメージが、前記基体上に現像されるシステム。
【請求項30】
請求項13乃至29のいずれかに記載のシステムであって、前記付加物は、レーザ光の態様の光エネルギーの印加時に、変色可能であるシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、前記付加物は、使用時には、前記光エネルギーの印加時に重合可能なジアセチレンを有するシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムであって、前記付加物は、さらに、光酸あるいは光塩基を有するシステム。
【請求項33】
請求項13乃至32のいずれかに記載のシステムであって、前記基体材料は、金属、合金、ガラス、セラミック、プラスチック、ファブリック、木材、紙、カード、樹脂、ゴム、泡、複合材、石および食べ物から選択されるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−509819(P2009−509819A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534066(P2008−534066)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003641
【国際公開番号】WO2007/039715
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】