説明

インク及びインクジェット記録方法

【課題】色調が良好で、耐光性及び耐オゾン性に優れる画像を形成することができるインクの提供。
【解決手段】下記一般式などで表される特定の2種のビスアゾ化合物を含むインク。[式中Rはそれぞれ独立に1価の基を表し、Rはエーテル基を表し、Xは2価の連結基を表し、nは0又は1であり、Arはそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Arはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙や光沢メディアなどの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。また、インクジェット記録方法により得られる画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に匹敵する画像の出力方法として広く一般的になっている。
【0003】
インクジェット記録方法の問題点としては、得られた記録物の画像堅牢性に劣ることが挙げられる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は銀塩写真と比較してその画像堅牢性が低い。具体的には、記録物が、水、光、湿度、熱又は空気中に存在する環境ガスなどに長時間さらされた際に、記録物上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
【0004】
カラー画像形成には、複数色のインク組成物を組み合わせたインクセットが用いられる。インクセットおいて、特定のインク組成物の耐光性や耐オゾン性などの画像堅牢性が、他のインク組成物よりも著しく低い場合、その特定のインク組成物によって形成された色が、他の色よりも早く退色や変色してしまい、カラー画像全体の色調のバランスが悪くなる。従って、インクセットを構成する各インク組成物の画像堅牢性が優れているとともに、各インク組成物間の画像堅牢性の差が小さいことが好ましい。
インクジェット用インクとして広く用いられているイエロー、マゼンタ、及びシアンの各インクの中でも、特にイエローインクの画像の耐光性が他のインクの画像に比べて劣る傾向がある。
このような問題に対して、色調が良好で、光、湿熱、オゾン等のガスなど対する堅牢性の改善を目指した種々のイエローインクが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4402917号
【特許文献2】特開2008−297541号公報
【特許文献3】特開2009−263514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載のイエローインクでは耐光性、耐オゾン性などの堅牢性改善には一定の効果があるが、他の色のインクとの併用や近年の使用環境の多様化を鑑みると、更に高いレベルの堅牢性を有することが望ましい。
【0007】
本発明は、色調が良好で、耐光性及び耐オゾン性に優れる画像を形成することができるインク及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決することができる。
[1]
少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、
前記第1の色材が下記一般式(I−1)で表される化合物であり、前記第2の色材が下記一般式(II−1)で表される化合物であるインク。
【化1】

(一般式(I−1)中、Rはそれぞれ独立に1価の基を表し、Rはそれぞれ独立に−OR又は−NHRを表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、Xは2価の連結基を表し、nは0又は1であり、Arはそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Arはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
【化2】

(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH)xSOMを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
【化3】

mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SOM、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[2]
前記一般式(II−1)で表される化合物が、下記一般式(II−2)で表される化合物である[1]に記載のインク。
【化4】

(一般式(II−2)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、mは1〜3の整数、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[3]
前記一般式(II−2)で表される化合物が、下記一般式(II−3)で表される化合物である[2]に記載のインク。
【化5】

(一般式(II−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基であり、nは1又は2、lは1又は2、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数であり、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[4]
第1の色材の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインク。
[5]
第2の色材の含有量の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のインク。
[6]
前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で1.0倍以上5.0倍以下である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインク。
[7]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光、オゾンに対して堅牢な画像を形成することができるインクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を好ましい実施の形態を挙げて詳細に説明する。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
【0011】
本発明者らはイエローインクに用いる色材について種々の検討を行った。耐光性及び耐オゾン性に優れる特許文献1にも記載される一般式(I−1)で表される化合物、並びに特許文献2及び3に記載される一般式(II−1)で表される化合物に着目した。
色材として一般式(I−1)で表される化合物又は一般式(II−1)で表される化合物のみを含有するインクを調製し、種々の画像の検討や信頼性の検討を行ったところ、以下のことが分かった。
即ち、一般式(I−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像の色調は優れるものの、それに対して一般式(II−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像の色調がやや劣ることが分かった。
【0012】
一般式(I−1)で表される化合物と一般式(II−1)で表される化合物の両者を含有させたインクを用いて形成した画像は、色調にも優れ、かつ耐光性や対オゾン性についても、一般式(I−1)で表される化合物又は一般式(II−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像よりも向上することが分かった。
また、一般式(I−1)で表される化合物又は一般式(II−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像は、水に浸漬してしまったり、水滴がかかったりした際に画像の滲みが目立つこともあり、耐水性を改良することが望ましいことが分かった。本発明者らが検討した結果、両者を含有させたインクを用いて形成した画像については、耐水性に優れることが分かった。
【0013】
即ち、本発明のインクは、少なくとも第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、第1の色材が一般式(I−1)で表される化合物であり、第2の色材が一般式(II−1)で表される化合物であることを特徴とする。
【0014】
【化6】

【0015】
(一般式(I−1)中、Rはそれぞれ独立に1価の基を表し、Rは−OR又は−NHRを表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、Xは2価の連結基を表し、nは0又は1であり、Arはそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Arはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
【0016】
【化7】

(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH)xSOMを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
【化8】

mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SOM、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0017】
<インク>
以下に、本発明のインクについて詳細に説明する。
【0018】
(色材)
〔第1の色材:一般式(I−1)で表される化合物〕
本発明のインクは、下記一般式(I−1)の化合物を、第1の色材として含有する。
【0019】
【化9】

【0020】
(一般式(I−1)中、Rは1価の基を表し、Rは−OR又は−NHRを表し、R及びRは水素原子又は1価の基を表し、Xは2価の連結基を表し、nは0又は1であり、Arは2価のヘテロ環基を表し、Arはアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
【0021】
一般式(I−1)について説明する。
まず、置換基群Sを以下のように定義する。
【0022】
(置換基群S)
置換基群Sに含まれる置換基としては、置換可能な基であればよく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基(塩でもよい)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基(塩でもよい)、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Sから選択される基を挙げることができる。更なる置換基を有する置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0023】
置換基群Sの各基について更に詳しく説明する。
ハロゲン原子は、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
アルキル基は、置換若しくは無置換のアルキル基が含まれる。アルキル基としては、炭素原子数が1〜30の置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられるが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい)及びカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル及び4−スルホブチルなどが挙げられる。
【0024】
シクロアルキル基は、置換若しくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基としては、炭素数が5〜30の置換若しくは無置換のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記シクロアルキル基の例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0025】
アラルキル基は、置換若しくは無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、炭素数が7〜30の置換若しくは無置換のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アラルキルの例としては、ベンジル及び2−フェネチルを挙げられる。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
【0026】
アルキニル基は、置換若しくは無置換のアルキニル基が含まれる。アルキニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルキニル基が好ましい。置換基の例としては、前述の置換基の項で述べた基が挙げられる。前記アルキニル基の例としては、エチニル、プロパルギルなどが挙げられる。
アリール基は、置換若しくは無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルなどが挙げられる。
ヘテロ環基は、置換若しくは無置換のへテロ環基が含まれる。へテロ環基としては、5若しくは6員の、置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のへテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基が好ましく、炭素数3〜30の5若しくは6員の芳香族へテロ環基がより好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環基の例としては、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0027】
アルコキシ基は、置換若しくは無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素数が1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ及び3−カルボキシプロポキシなどが挙げられる。
【0028】
アリールオキシ基は、置換若しくは無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシ基の例としては、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどが挙げられる。
シリルオキシ基は、置換若しくは無置換のシリルオキシ基が含まれる。シリルオキシ基としては、炭素数3〜20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記シリルオキシ基の例としては、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどが挙げられる。
ヘテロ環オキシ基は、置換若しくは無置換のへテロ環オキシ基が含まれる。へテロ環オキシ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環オキシ基の例としては、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどが挙げられる。
【0029】
アシルオキシ基は、置換若しくは無置換のアシルオキシ基が含まれる。アルキルオキシ基としては、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アシルオキシ基の例としては、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどが挙げられる。
カルバモイルオキシ基は、置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。カルバモイルオキシ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記カルバモイルオキシ基の例としては、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどが挙げられる。
【0030】
アルコキシカルボニルオキシ基は、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例としては、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどが挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例としては、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−(n−ヘキサデシルオキシ)フェノキシカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0031】
アミノ基は、置換若しくは無置換のアミノ基が含まれる。アミノ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアニリノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アミノ基の例としては、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。
アシルアミノ基は、置換若しくは無置換のアシルアミノ基が含まれる。アシルアミノ基としては、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アシルアミノ基の例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどが挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基は、置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が含まれる。アミノカルボニルアミノ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例としては、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0032】
アルコキシカルボニルアミノ基は、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0033】
スルファモイルアミノ基は、置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。スルファモイルアミノ基としては、炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例としては、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどが挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノが好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルホニルアミノ基の例としては、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどが挙げられる。
【0034】
アルキルチオ基は、置換若しくは無置換のアルキルチオ基が含まれる。アルキルチオ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどが挙げられる。
アリールチオ基は、置換若しくは無置換のアリールチオ基が含まれる。アリールチオ基としては、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールチオ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールチオ基の例としては、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどが挙げられる。
ヘテロ環チオ基は、置換若しくは無置換のへテロ環チオ基が含まれる。へテロ環チオ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環チオ基の例としては、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどが挙げられる。
【0035】
スルファモイル基は、置換若しくは無置換のスルファモイル基が含まれる。スルファモイル基としては、炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記スルファモイル基の例として、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などが挙げられる。
アルキル又はアリールスルフィニル基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルフィニル基が含まれる。アルキル又はアリールスルフィニル基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルフィニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルフィニル基の例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどが挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニル基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルホニル基が含まれる。アルキル又はアリールスルホニル基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルホニル基の例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニルなどが挙げられる。
【0036】
アシル基は、置換若しくは無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、ホルミル基、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アシル基の例としては、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−(n−オクチルオキシ)フェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどが挙げられる。
【0037】
アリールオキシカルボニル基は、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−(t−ブチル)フェノキシカルボニルなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルバモイル基は、置換若しくは無置換のカルバモイル基が含まれる。カルバモイル基としては、炭素数1〜30置換若しくは無置換のカルバモイル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記カルバモイル基の例としては、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどが挙げられる。
【0038】
ホスフィノ基は、置換若しくは無置換のホスフィノ基が含まれる。ホスフィノ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィノ基の例としては、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどが挙げられる。
ホスフィニル基は、置換若しくは無置換のホスフィニル基が含まれる。ホスフィニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニル基の例としては、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどが挙げられる。
ホスフィニルオキシ基は、置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基が含まれる。ホスフィニルオキシ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例としては、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどが挙げられる。
ホスフィニルアミノ基は、置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基が含まれる。ホスフィニルアミノ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例として、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどが挙げられる。
シリル基は、置換若しくは無置換のシリル基が含まれる。シリル基としては、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシリル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記シリル基の例としては、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどが挙げられる。
【0039】
一般式(I−1)について説明する。
一般式(I−1)において、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチルが更に好ましく、t−ブチルが特に好ましい。
は−NHRであることが好ましい。
及びRは、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0040】
一般式(I−1)において、Xは2価の連結基を表す。Xで表される2価の連結基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、2価のヘテロ環基(例、1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)、−O−、−CO−、−NR−(Rは水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO−、−SO−又はこれらの組み合わせが挙げられる。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、又はRで表されるアルキル基若しくはアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の置換基Sの項で述べた基が挙げられるが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、スルホ基(塩の形でもよい)及びカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。
としては、好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、2価のヘテロ環基、−O−、−S−又はこれらの組み合わせである。
で表される2価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
【0041】
は0又は1であり、1が好ましい。
【0042】
Arは2価のヘテロ環基を表す。へテロ環としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であってもよい。具体的には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
なかでも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましく、チアジアゾールが最も好ましい。
Arが表す2価のヘテロ環基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、置換基群Sの各基が挙げられる。
【0043】
Arはアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。
Arが表すアルキル基及びアリール基は、置換基群Sのアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
Arとしては、アリール基又は1価のトリアジン環基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニルが更に好ましい。
Arはアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基は、更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、前述の置換基群Sの各基が挙げられ、なかでもスルホ基又はカルボキシル基好ましい。
【0044】
一般式(I−3)において、複数のR、複数のR、複数のAr及び複数のArは、それぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0045】
本発明の一般式(I−1)で表される化合物はイエロー染料として用いられる。このため、溶解性を上げる点から、R、R又はRとしてイオン性親水性基を有する、あるいはR、R、R、Ar又はArが有する置換基としてイオン性親水性基を有することが好ましい。
ここで、イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩の中でも、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンが最も好ましい。
一般式(I−1)においては、特にArがイオン性親水性基を有していることが好ましい。
【0046】
以下に、一般式(I−1)で表される色材の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。具体例中、Etはエチルを、Phはフェニルを意味する。
【0047】
【化10】

【0048】
【化11】

【0049】
【化12】

【0050】
【化13】

【0051】
【化14】

【0052】
【化15】

【0053】
【化16】

【0054】
【化17】

【0055】
【化18】

【0056】
【化19】

【0057】
上記具体例の各化合物は特開2004−83903号公報及に記載の方法により合成できる。
一般式(I−1)で表される化合物は、色再現性の観点から、水溶液中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することが更に好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
【0058】
〔第2の色材:一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物〕
本発明のインクは、下記一般式(II−1)の化合物を、第2の色材として含有する。
【0059】
【化20】

【0060】
(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH)xSOMを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
【0061】
【化21】

【0062】
mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SOM、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0063】
一般式(II−1)について説明する。
11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。
アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。なかでも、メトキシ基が好ましい。
11がアルキル基又はアルコキシ基の場合、更に置換基を有してもよい。
【0064】
12は、水素原子又は−O(CH)xSOMを表し、−O(CH)xSOMが好ましい。xは2〜4の整数であり、3であることが好ましい。
【0065】
11及びA12は、それぞれ独立に、下記の基であることが好ましい(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
【0066】
【化22】

【0067】
mは1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
ただし、A11が下記の基(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)である場合に、mは3であることが好ましい。
【0068】
【化23】

【0069】
13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表す。A13は、−NH−(L)p−Zであることが好ましい。
5又は6員の含窒素へテロ環としては、酸素原子を0又は1個を含有するものが挙げられる。具体的には、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンなどが挙げられ、なかでもピペリジン、モルホリンが好ましい。
Lで表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどが挙げられる。なかでもメチレンが好ましい。
Lで表されるアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。なかでもフェニレンが好ましい。
pは1〜6の整数であり、1〜3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
Zは、−SOM、−COOM又は−OMを表し、−SOM、−COOMであることが好ましく、−SOMであることが特に好ましい。
【0070】
Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。
有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。
一般式(II−1)中、Mが複数存在する場合は、互いに同じでも異なってもよいが、同じであることが好ましい。
【0071】
本発明の効果の観点から、一般式(II−1)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(II−2)で表される化合物である。
【0072】
【化24】

【0073】
(一般式(II−2)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、mは1〜3の整数、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0074】
一般式(II−2)におけるR、M、x、mは、それぞれ、一般式(II−1)におけるR11、M、x、mと同義であり、好ましいものも同じである。
yは1〜3の整数であり、2であることが好ましい。
nは1又は2であり、1であることが好ましい。
【0075】
一般式(II−2)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(II−3)で表される化合物である。
【0076】
【化25】

【0077】
(一般式(II−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、l(エル)は1又は2、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0078】
一般式(II−3)において、R、M、n、x及びyは、それぞれ、一般式(II−2)におけるR、M、n、x及びyと同義であり、好ましいものも同じである。
lは1又は2であり、1であることが好ましい。
【0079】
以下に、一般式(II−1)〜(II−3)で表される色材の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお、下記の具体例は遊離酸の形で記載する。本発明においては、下記の具体例の中でも、例示化合物2−2を用いることが特に好ましい。
【0080】
【化26】

【0081】
【化27】

【0082】
【化28】

【0083】
【化29】

【0084】
【化30】

【0085】
【化31】

【0086】
【化32】

【0087】
【化33】

【0088】
【化34】

【0089】
【化35】

【0090】
【化36】

【0091】
上記具体例の各化合物は特開2009−263514号公報の[0037]〜[0044]に記載の方法、特開2008−156411号公報の[0035]に記載の方法により合成できる。
一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物は、色再現性の観点から、水溶液中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することが更に好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
【0092】
〔色材の含有量〕
本発明のインク中の第1の色材(一般式(I−1)で表される化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。
また、インク中の第2の色材(一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5〜4.0質量%以下であることが好ましい。
【0093】
また、インク中の第1の色材と、第2の色材との含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。更には、これらの含有量の合計(質量%)が、1.5質量%以上6.0質量%以下であることが特に好ましい。含有量の合計が1.0質量%以上であれば、形成する画像の耐光性、対オゾン性、耐水性が良好となり、色調にも優れる。含有量の合計が10.0質量%以下であれば、良好なインクジェット特性を得ることができる。
【0094】
インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)は、第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で、(第1の色材/第2の色材)=0.1倍以上10.0倍以下であることが好ましい。より具体的には、{一般式(I−1)で表される化合物の含有量/一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物の含有量}=0.1倍以上10.0倍以下であることが好ましい。含有量の質量比率を上記範囲とすることで、画像の耐光性、耐オゾン性、耐水性、及び色調を特に効果的に優れたものとすることができる。本発明においては更に、{一般式(I−1)で表される化合物の含有量/一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物の含有量}=1.0倍以上5.0倍以下であることがより好ましい。含有量比率を上記範囲とすることで、一般式(I−1)で表される化合物が有する耐光性、耐オゾン性と、一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物が有する耐光性との組み合わせから予測される性能をはるかに上回る高いレベルの耐光性、耐オゾン性を得ることができる。
【0095】
前記した第1の色材と第2の色材とを特定の質量比で用いることで、相乗効果が発揮され、予測を上回る耐光性、耐オゾン性が得られる理由は明確には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
一般式(I−1)で表される化合物は、もともと溶解性が低いため、これらの化合物を含有するインクを記録媒体に付与すると、その直後から速やかに色材の会合や凝集が起こる。会合や凝集は、画像を形成している記録媒体上の色材の堅牢性を向上させる傾向がある。しかし、その一方で、過度の会合や凝集は、分子構造が本来有する耐光性、耐オゾン性の能力を低下させる場合がある。これに対して、一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物を共存させることで、記録媒体上で、一般式(I−1)で表される化合物が耐光性、耐オゾン性に関して最適な会合や凝集の状態を形成し、これにより耐光性、耐オゾン性が向上したものと考えられる。
【0096】
なお、本発明のインクジェット用インクがイエローインクである場合、イエローインクとして好ましい色調とは、以下の二つのことを意味する。すなわち、イエローインクのみを用いて形成した画像が赤味や緑味を帯びていないことを意味する。更に、これに加えて、イエローインクを用いて形成する2次色の画像、つまりレッド領域やグリーン領域の画像を形成する際に、レッド領域及びグリーン領域の色域をいずれも大きく損失することがない色調を有することを意味する。より具体的には、イエローインクのみを用いて形成した画像の色相角が、85°以上92°以下、更には88°以上90°以下であることが好ましい。
【0097】
〔インクのpH〕
本発明のインクは、インクの保存安定性及び吐出性の観点から、pHが7.0以上10.0以下であることが好ましい。
【0098】
〔水性媒体〕
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
【0099】
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インクの吐出安定性などの観点から、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、更には10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
【0100】
水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。メチルアルコール、エチルアルコール、nープロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオ−ルなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を持つアルキレングリコール類。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテート類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0101】
〔その他の添加剤〕
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。更に、本発明のインクは必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有してもよい。
【0102】
<その他のインク>
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクを、本発明のインクとは別の色調を有するインクと組み合わせて用いることができる。本発明のインクは、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク及びブルーインクなどから選択される少なくともいずれか1種のインクと共に用いられることが好ましい。また、これらのインクと実質的に同一の色調を有する、所謂淡インクを更に組み合わせて用いることもできる。これらのインク又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
【0103】
<記録媒体>
本発明のインクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、インクを付与して記録を行う記録媒体であればいずれのものでも用いることができる。本発明においては、染料や顔料などの色材をインク受容層の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させる、インクジェット用の記録媒体を用いることが好ましい。特には、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、所謂、隙間吸収タイプのインク受容層を有する記録媒体を用いることが好ましい。隙間吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体として構成されるものであり、更に必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有してもよい。
【0104】
微粒子は、具体的には、以下のものを用いることができる。シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ又はアルミナ水和物などの酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、又は酸化亜鉛などの無機顔料。尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などの有機顔料。これらの微粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0105】
バインダーは、水溶性高分子やラテックスなどが挙げられ、具体的には、以下のものを用いることができる。ポリビニルアルコール、澱粉、ゼラチン、又はこれらの変性体。アラビアゴム。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体。SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、又はエチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス。ポリビニルピロリドン。無水マレイン酸若しくはその共重合体、又はアクリル酸エステル共重合体など。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0106】
その他に、必要に応じて添加剤を用いることができる。例えば、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料定着剤などを用いることができる。
【0107】
本発明のインクを用いて画像を形成する際には、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体として、インク受容層を形成した記録媒体を用いることが好ましい。前記微粒子の具体例は、シリカ微粒子や酸化アルミニウム微粒子などが挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカは市販品を用いることもできるが、特には、例えば、特許第2803134号公報、同2881847号公報に記載のコロイダルシリカを用いることが好ましい。また、酸化アルミニウム微粒子として好ましいものは、アルミナ水和物微粒子(アルミナ系顔料)を挙げることができる。
【0108】
記録媒体は上記したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、かつインクジェット記録装置などの搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、いずれのものも用いることができる。例えば、天然セルロース繊維を主体としたパルプ原料で構成される紙支持体を用いることができる。また、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料で構成されるプラスチック支持体を用いることができる。更に、基紙の少なくとも一方の面に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)を用いることができる。
【0109】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に用いることができる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0111】
<インクの調製>
前述の第1の色材及び第2の色材を用い、下記組成に基づき、各成分を常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより実施例1〜51及び比較例1〜13の各インク組成物を得た。なお、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の質量%を示し、更に水の量を示す「残り」は水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
【0112】
(インク組成)
・第1の色材(種類、含有量は表1及び2に記載)
・第2の色材(種類、含有量は表1及び2に記載)
・グリセリン:9%
・トリエチレングリコール:9%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:9%
・サーフィンノール104PG60(商品名、アセチレングリコール系界面活性剤、Air Products and Chemicals Inc.製):1%
・2−ピロリドン:2%
・尿素:1%
・トリエタノールアミン:0.7%
・プロキセルXL2(1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン、AVECIA社製):0.5%
・水:残り
【0113】
表2中、「DY132」はC.I.Direct Yellow 132を表し、「DY86」はC.I.Direct Yellow 86を表す。いずれも本発明の一般式(I−1)、(II−1)の範囲外の色材である。
【0114】
得られたインクを用いて、インクジェットプリンタ Stylus Color 880(商標)(商品名、セイコーエプソン株式会社製)により、インクジェット専用記録媒体{写真用紙<光沢>(商品名、セイコーエプソン株式会社製)}にイエロー単色画像を印字させ、色調及び画像堅牢性(耐水性・耐光性・耐オゾン性)の評価を以下のように行った。
【0115】
<評価>
(1)色調
色調については、目視にてA(最良)、B(良好)、C(不良)の3段階で評価した。
(2)耐水性
画像を形成した光沢紙を、1時間乾燥させた後、30秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが少ないものをA、滲みが中程度のものをB、滲みが多いものをCとし、3段階で評価した。
(3)耐光性
画像を形成した光沢紙に、キセノン光(10万ルックス)を14日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率{(照射後の画像濃度)/(照射前の画像濃度)×100}として評価した。反射濃度は照射前の画像濃度が0.7、1.0及び1.8の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が85%以上の場合をA、1又は2点が85%未満をB、全ての濃度で85%未満の場合をCとして3段階で評価した。
(4)耐オゾン性
画像を形成したフォト光沢紙をオゾンガス濃度5ppm(25℃、60%RH)に設定された条件下で7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率{(照射後の画像濃度)/(照射前の画像濃度)×100}として評価した。反射濃度は照射前の画像濃度が0.7、1.0及び1.8の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が85%以上の場合をA、1又は2点が85%未満をB、全ての濃度で85%未満の場合をCとして3段階で評価した。
【0116】
評価結果を表1及び2に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
以上の結果から、特定の第1の色材と第2の色材を併用することにより、第1の色材又は第2の色材を単独に用いた場合より、耐光性、耐オゾン性に優れた、色調が良好な画像(記録物)が得られることが分かる。また、得られた画像の耐水性も良好であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、
前記第1の色材が下記一般式(I−1)で表される化合物であり、前記第2の色材が下記一般式(II−1)で表される化合物であるインク。
【化1】

(一般式(I−1)中、Rはそれぞれ独立に1価の基を表し、Rはそれぞれ独立に−OR又は−NHRを表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、Xは2価の連結基を表し、nは0又は1であり、Arはそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Arはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
【化2】

(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH)xSOMを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
【化3】

mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SOM、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【請求項2】
前記一般式(II−1)で表される化合物が、下記一般式(II−2)で表される化合物である請求項1に記載のインク。
【化4】

(一般式(II−2)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、mは1〜3の整数、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【請求項3】
前記一般式(II−2)で表される化合物が、下記一般式(II−3)で表される化合物である請求項2に記載のインク。
【化5】

(一般式(II−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基であり、nは1又は2、lは1又は2、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数であり、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【請求項4】
第1の色材の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク。
【請求項5】
第2の色材の含有量の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク。
【請求項6】
前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で1.0倍以上5.0倍以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2012−1603(P2012−1603A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136350(P2010−136350)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】