インク容器
【課題】 従来の多色刷りパッド印刷システムにおいては、インクがこぼれることがあり、多量の印刷用インクを無駄にしてしまう。
【解決手段】 物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムが、圧力プレートを含むインク容器と、シャフトと、インク放出可能部材と、を備える。圧力プレートは、該プレートに加えられる回転力に基づいて、シャフトに沿った方向に直線的に移動する。パッド印刷システムは、台座部と、この台座部に取り付けられたインク容器と、を備える。インク容器は、インク放出可能部材を収容するキャビティと、インク放出可能部材と接触する圧力プレートと、を備える。圧力プレートは、キャビティ内で、複数の所定の高さのうちの1つの高さに位置決めすることができる。また、圧力プレートは、所定の高さの間で、弾性的に付勢された移動をするように構成することができる。
【解決手段】 物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムが、圧力プレートを含むインク容器と、シャフトと、インク放出可能部材と、を備える。圧力プレートは、該プレートに加えられる回転力に基づいて、シャフトに沿った方向に直線的に移動する。パッド印刷システムは、台座部と、この台座部に取り付けられたインク容器と、を備える。インク容器は、インク放出可能部材を収容するキャビティと、インク放出可能部材と接触する圧力プレートと、を備える。圧力プレートは、キャビティ内で、複数の所定の高さのうちの1つの高さに位置決めすることができる。また、圧力プレートは、所定の高さの間で、弾性的に付勢された移動をするように構成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド印刷システムに関し、詳しくは、パッドプリンタ用インク容器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッド印刷は、球体、円錐体、円筒体、および他の曲面を有する物品などの、曲面または他の非平面上に像を印刷するための、一般的な方法である。パッド印刷システムは、平坦な印刷プレートから像を受けて、受けた像を印刷する曲面へ運ぶ可変パッドを利用している。一般に、印刷プレートにインクを施すために、いくらかの印刷用インクを蓄えている逆さカップが使用される。印刷プレートに、新しいインクのコーティングを施すために、毎回のインクの運搬操作の後に、インク容器と、印刷プレートとが、互いに対して動く。
【0003】
曲面を有する物品に、特別注文の多色刷りの像を印刷することの需要が、特にゴルフボール産業において増している。しかし、物品に多色刷りの像を印刷するのに用いられている従来のパッド印刷技術には、いくつかの大きな問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の多色刷りパッド印刷システムにおいては、特別な像を印刷するための設定は、数週間を要することが多い。また、各回の印刷の後に、複数のインク調整カップを洗浄してインクを再び充填する必要があるため、インクがこぼれることがよくあり、このような従来の多色刷りパッド印刷システムでは、多量の印刷用インクを無駄にしてしまう。
【0005】
パッドプリンタ用インク容器内のインクを交換するときには、容器を取り外してから、インクを注ぎ入れ、入れ過ぎたインクを拭き取る必要がある。これは、特に頻繁に色の交換を行う場合、例えばゴルフボールや他の物品または部品に特別注文のマークを施す場合に、時間のかかる作業である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、曲面を有する物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムに関する。一態様においては、物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムは、圧力プレートおよびシャフトを含むインク容器と、インク放出可能部材と、を備える。圧力プレートが、該プレートに与えられる回転力に基づいて、シャフトに沿った方向に直線的に移動することによって、インク放出可能部材が圧縮および圧縮解除される。
【0007】
一態様においては、インク容器は、インク放出可能部材を収容するキャビティと、インク放出可能部材と接触する圧力プレートと、を備える。圧力プレートは、キャビティ内において、複数の所定の高さのうちの1つの高さに位置決めすることができるものであって、この圧力プレートは、所定の高さの間で移動(例えば、弾性的に付勢された移動または他の様式の移動)することができるように構成されている。
【0008】
一態様においては、圧力プレートに、インクが通流できる複数の穴が形成されている。他の態様においては、圧力プレートを移動させるための付勢部材は、ばねである。さらに他の態様においては、プレートに、複数の溝が形成されている。本発明のいくつかの態様においては、複数の溝は、プレートの中心から放射状に配置されている。本発明の他の態様においては、複数の溝は、少なくとも1つのループ状に配置されている。他の態様においては、シャフトの周囲に、プレートに弾性的な付勢を与えるばねが配置されている。一態様においては、プレートの周縁に、複数のノッチが配置されている。さらに他の態様においては、プレートは、切頭円錐形の形状に形成されている。
【0009】
本発明の他の態様においては、インク容器は、圧力プレートに結合されたステム(幹部)を備え、インクを吸収または放出するためには、スポンジ材料が使用される。ステムは、パッド上に供給される或いはスポンジに吸収されるインクの量を段階的に調節するために使用される付勢システムやねじ係合部を備え得る。
【0010】
本発明は、インクの交換を迅速にでき、インクカラーの下準備を容易にでき、さらには印刷後の残りのインクを保存できるように設計されたインク容器に関する。
【0011】
上述した本発明の特徴は、以下の詳細な説明および添付の図を参照して、さらによく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パッド印刷システムの部分的な概略図であって、システムに取り付けられたインク容器を示す図。
【図2】パッド印刷システムの部分的概略図であって、運搬パッドの構成を示す図。
【図3】パッド印刷システムに用いるインク容器の見取り図。
【図4】図3のインク容器の見取り図であって、内部のチャンバを示す図。
【図5】インク放出可能部材が第1の位置にあるときのインク容器の概略を示す図。
【図6】インク放出可能部材が第2の位置にあるときのインク容器の概略を示す図。
【図7】インク容器とともに使用する圧力プレートの構造を示す平面図。
【図8】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図9】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図10】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図11】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図12】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図13】他のインク容器をインク放出可能部材とともに概略的に示す図。
【図14】他のインク容器をインク放出可能部材とともに概略的に示す図。
【図15】他の圧力プレートの構造を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の本発明のさまざまな実施例の説明において、添付の図は、本発明が実施され得る構成を例示的に示すものであって、これらの図を参照して、引用がなされ得る。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が利用され、いくつかの変更がなされ得ることを理解されたい。また、本明細書中で使用されるさまざまな用語は、以下の記載に基づいて定義される。
【0014】
図1〜4に、球体(例えば、ゴルフボール)、円錐体、円筒体、および他の曲面を有する物品または部品に見られるような非平面上に、像を印刷するものとして構成された印刷システム10の一例を示す。一般的な操作においては、インク容器16(例えば、インクカップ)は、ラック18に取り付けられ、台座システム20によって保持されている。この容器16からのインクが、印刷プレート(図示せず)に供給される。印刷プレートには、像がエッチングされている。容器16は、像を含むエッチング済みプレートの頂部を覆うように摺動する。印刷プレートが、運搬パッド12へ向かって摺動し、この運搬パッド12の先端が印刷プレートに当接して、ゴルフボール14に印刷されるべき像を得る。そして、印刷プレートは、摺動して戻る。運搬パッド12は、ゴルフボール14の位置まで下降することによって像を運ぶ作業を行い、ゴルフゴール14の表面に接触する。そして、運搬パッド12がゴルフボール14から離れると、ボールに像が残されている。図4に示されるように、インク容器16の底面は、シャフトつまりステム(底面を明確に示すために図示せず)を保持するためのねじ部17を含む。曲面上に像を印刷するものとしてシステム10の説明をしているが、本発明のシステム10は、どのような面(例えば、平面)に印刷するのにも等しく適用できることが容易に理解されよう。
【0015】
図5および図6に示す一実施例においては、ゴルフボールにインクを塗布するのに用いるパッド印刷システムは、インク容器100を備え、このインク容器100には、インク放出可能部材つまり多孔性材料104を保持するように構成されたチャンバ(室)101が形成されている。所定の量のインクを蓄えるための多孔性材料104としては、スポンジ、ポリウレタン発泡体、メラミン材料、他の連続気泡発泡体、フェルト、布地、多孔性プラスチックなどがある。また、インク放出可能部材104と接触する圧力プレート102を備えている。圧縮機構(例えば、締め付けねじつまりクランプを備えた穿孔または非穿孔のプレート102)が、インク放出可能部材104から、予め吸収されていたインクを押し出すことによって、印刷プレート上にインクが供給される。インク容器100の展開チャンバ101内へ徐々にインクを放出できるように、圧力プレート102は、インク容器100の空洞(キャビティ)内で、複数の所定の高さに位置決めすることができる。プレート102より上側のキャビティ領域が展開チャンバ101である。インク放出可能部材104は、圧縮される前には、第1の厚さt1(図5参照)となっている。圧縮されているときには、図6に示されているように、インク放出可能部材104は、第2の厚さt2となっている。圧縮されているときの厚さt2は、t1よりも薄い。
【0016】
印刷の操作が終了し、圧縮プレート102が弛緩すると、印刷後の残りのインクがインク放出可能部材104内に再び吸収される。この放出可能部材104は、印刷後の残りのインクを蓄えるのに適切な寸法の封止されたコンテナ内に配置することができる。上述したように、インク放出可能部材104から放出または吸収されるインクの量を段階的に制御するために、シャフト106は、付勢システムを備えることができ、あるいはねじ係合部を有するように構成することができる。
【0017】
図7は、圧力プレート200の一実施例を示す。この例における圧力プレート200には、複数の穴210が形成されており、これらの複数の穴は、インク放出可能部材104から放出されたインクがインク容器つまりインクカップ100の展開部101内へ流入できる寸法に形成されている。放出されたインクは、印刷プレートに供給され、続いて、運搬パッド12が、このインクで描かれた印刷するべき像を吸収して受ける。複数の穴210は、円形、三角形、正方形、長方形、および楕円形などのさまざまな形状に形成することができる。これらの複数の穴210は、他の形状や寸法に形成してもよい。他の態様においては、複数の穴210は、さまざまなパターンや配置で形成することができる。複数の穴210は、プレート200上に、均一な密度パターンで形成することができる。また、複数の穴210は、同心円、同心列つまり同心ループ212状に、プレート200の中心から半径方向に間隔をおいて配置してもよい。この配置においては、圧縮されているインク放出可能部材104から、インク容器100の展開チャンバ101内へ、インクが、より均一に流入することができる。一実施例においては、隣り合うループ212上の複数の穴210は、半径方向に整列している。例えば、隣り合うループ212上の複数の穴210は、互いに真後ろに位置している。本明細書中においては、第1の穴が、第2の穴の半径方向に延びる側方区域内に形成されている場合、第1の穴は、第2の穴の「真後ろ」に位置しているという。他の実施例においては、隣り合うループ212が互いに食い違うように形成され、この場合、複数の穴210は、半径方向で見て、他の穴の真後ろに位置していない。なお、これらの複数の穴210は、ランダムに配置することができ、すなわち、注文に応じてさまざまなパターンに配置することができる。
【0018】
図8に示される他の実施例においては、圧力プレート300には、このプレート300上に放出されたインクの回収を改善するための流れ溝つまりチャネル凹部302が形成されている。一実施例においては、複数の溝302は、プレート300上に、放射状に配置されている。このような実施例においては、複数の溝302のパターンは、ハブ−スポークの構成に類似している。複数の溝302は、プレート300の中心角を均等に割当てて配置されている。いくつかの実施例においては、複数の溝302は、10°〜180°の範囲の大きさの中心角を割当てて配置される。一例においては、複数の溝302は、中心角の大きさが10°毎に形成され、36本の溝が設けられる。他の例においては、複数の溝302は、中心角の大きさが45°毎に形成され、8本の溝が設けられる。さらに他の例においては、中心角の大きさが180°毎に形成され、2本の溝302が設けられる。プレート300に設けられる溝302の数(および/または溝の寸法、間隔、相対的位置など)は、展開チャンバ101内へ流入する所望のインク流量速度、インクの粘性、予測のインク消費量などの種々のファクタに基づいて構成することができる。また、溝の構成(例えば、本数、寸法、間隔、配置など)は、インク放出可能部材104に加えられる圧縮力に基づいて、調整することができる。
【0019】
図9に示される他の実施例においては、圧力プレート400に、複数の溝402が、該プレート400の中心から離間した同心円404(または非同心円)状に形成されている。同心円状の構成においては、プレート400の中心から所与の半径の長さ全体に亘って、複数のリング404を規則的な間隔で形成することができる。リングの個数は、プレート400の直径、所望のインク流量速度、インクの粘性などの種々ファクタに基づいて選択することができる。
【0020】
リング状またはハブ−スポーク状に複数の溝が形成される実施例においては、これらの溝内に複数の穴を配置してもよい。図10〜図12に示される代替例の他の穴−溝の配置においては、プレートに圧力が加えられると、インク放出可能部材104からインクが放出され、放出されたインクは、容易に集められて展開部へ供給される。代替例の圧力プレート500,600,700は、圧力プレート200,300,400の特徴の組み合わせを含む。操作について説明すると、インク放出可能部材104が過剰な量のインクを放出してしまい、この部材104にインクを再び吸収させる必要があるとき、複数の溝が、プレート400の真下に位置するインク放出可能部材104内へインクを戻すための回収チャネルとして機能する。
【0021】
圧力プレート102〜700は、インク放出可能部材104によるインクの放出およびその後のインクの回収を容易にする種々の構成を有し得る。インク容器100に結合するシャフト106とねじで締結できるように、プレートの中心部に、ねじ穴を形成することができる(図5および図6を参照)。一実施例においては、圧力プレートは、平坦なプレートである。この実施例においては、プレートは、回転するとともに、シャフト106およびインク容器側壁に沿った方向に直線的に移動する。例えば、プレートが時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。プレートがインク放出可能部材104に当接した後、このインク放出可能部材104に向かう方向にさらに移動すると、インク放出可能部材104は、圧縮され始める(つまり、初期の厚さよりも薄くなる)。同様に、プレートが反時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に、直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0022】
図14に示される他の実施例においては、圧力プレート800は、切頭円錐形の形状に形成されている。この実施例においては、切頭円錐形は、回収コーンの形態で設けられている。この円錐形800における角度θは、当業者が調整することができる。プレート800の中心部には、インク容器100に結合されるシャフト106とねじによる締結をするためのねじ穴が形成されている。この実施例においては、プレート800は、回転するとともに、シャフトおよびインク容器100側壁に沿った方向に、直線的に移動する。例えば、プレート800が時計回りに回転すると、このプレート800は、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。プレート800がインク放出可能部材104に当接した後、このインク放出可能部材104に向かう方向にさらに移動すると、インク放出可能部材104が圧縮され始める(つまり、初期の厚さよりも薄くなる)。同様に、プレート800が反時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に直線的に移動する。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。圧力プレート800が切頭円錐形の形状であることによって、インク放出可能部材104の中心から周縁へ向かって、半径方向に一様ではない圧縮力が加えられる。この実施例では、プレート800がインク放出可能部材104に接触すると直ぐに、インクが放出して展開チャンバ101内に充填することができる。
【0023】
図5〜13に示される代替的な実施例においては、圧力プレート102,200,300,400,500,600,700,800に、ねじ穴が必ずしも形成されてはいない。プレートの中心部にねじ穴を形成せずに、このプレートがシャフト106に沿った方向に摺動するようにしてもよい。この実施例においては、圧縮部材900は、ねじ穴を有していて、プレートに当接することができる。例えば、圧縮部材900は、蝶ナットの構成とすることができる。圧縮部材900が時計回りに回転すると、プレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。同様に、圧縮部材900が反時計回りに回転すると、プレートは、インク放出可能部材104から遠ざかる方向に直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0024】
図13をさらに参照すると、圧力プレート102は、所定の高さの間で、弾性的に付勢された移動をするように構成されている。他の実施例においては、圧縮部材900の効果を高めるために、圧力プレートにさらに大きな圧縮力を与えることができる付勢部材902が使用される。この付勢部材902は、シャフト106の周囲にコイルばねの形態で備えられていてもよい。また、付勢部材902として、板ばねを使用してもよい。コイルばね902の遠位端はプレートに当接し、コイルばね902の近位端は、蝶ナットなどの圧縮部材900に当接する。コイルばね902のばね定数(K)の値を選択することによって、さまざまな圧縮プロファイルでインク放出可能部材104を圧縮することができる。この実施例においては、圧力プレートは、シャフト106に沿った方向に、容易に摺動することができる。圧縮部材900が時計回りに回転すると、ばね902が圧縮されて、プレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。このようにして、圧縮部材900が回転する毎に、付勢部材(例えば、ばね902)は、より大きな圧縮力を与える。また、ばね定数の値は、インク放出可能部材104の圧縮特性に合わせて調節することができる。なお、圧縮部材900が反時計回りに回転すると、ばね902が圧縮から解除されて、プレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0025】
必要に応じて、プレートとインク容器壁22との間の環状の空間に、Oリング・シールなどのシール部材を備えていてもよい(例えば、Oリング・シールの周囲が側壁22に接するようにしてもよい(図4参照))。このOリング・シールは、周囲の側壁22の面を拭く機能がある。このOリング・シールは、柔軟でかつ弾性力のある、種々の周知の可撓性材料で形成することができ、例えば、柔軟なプラスチックやゴムなどで形成することができる。
【0026】
図15に示される一実施例においては、圧力プレート1000は、該プレートの周縁に配置された複数のノッチ1010を備え、これらのノッチ1010は、インク放出可能部材104からインクが流出できるように構成されている。複数のノッチは、プレートの周縁に、中心角を均等に割当てて設けることができる。いくつかの実施例においては、複数のノッチは、5°〜180°の範囲の大きさの中心角を割当てて設けられる。例えば、中心角の大きさが5°毎にノッチを配置した場合、プレートの周縁に、72個のノッチが設けられる。他の例においては、中心角の大きさが45°毎にノッチを配置した場合、8個のノッチが設けられる。さらに他の例においては、中心角の大きさが180°毎にノッチを配置した場合、プレートの周縁に、2個のノッチが設けられる。
【0027】
上記の利点を実現するために、本発明のシステム10の特徴のすべてを採用してもよく、あるいはすべての特徴を採用せずに、個別の特徴またはこれらの特徴の一部の組合せを採用することによっても、上記の利点のいくつかを得ることができる。添付の図を参照して、本発明のさまざまな実施例を開示したが、これらの実施例を開示した目的は、本発明の範囲内で具体化され得る、さまざまな実施の形態を提示することである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲が定義する本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変形や変更がなされ得ることを理解されよう。
【符号の説明】
【0028】
12…運搬パッド
16…インク容器
100…インク容器
101…展開チャンバ
102…圧力プレート
104…インク放出可能部材
106…シャフト
200…圧力プレート
300…圧力プレート
400…圧力プレート
500…圧力プレート
600…圧力プレート
700…圧力プレート
800…圧力プレート
900…圧縮部材
902…コイルばね
1000…圧力プレート
1010…ノッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド印刷システムに関し、詳しくは、パッドプリンタ用インク容器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッド印刷は、球体、円錐体、円筒体、および他の曲面を有する物品などの、曲面または他の非平面上に像を印刷するための、一般的な方法である。パッド印刷システムは、平坦な印刷プレートから像を受けて、受けた像を印刷する曲面へ運ぶ可変パッドを利用している。一般に、印刷プレートにインクを施すために、いくらかの印刷用インクを蓄えている逆さカップが使用される。印刷プレートに、新しいインクのコーティングを施すために、毎回のインクの運搬操作の後に、インク容器と、印刷プレートとが、互いに対して動く。
【0003】
曲面を有する物品に、特別注文の多色刷りの像を印刷することの需要が、特にゴルフボール産業において増している。しかし、物品に多色刷りの像を印刷するのに用いられている従来のパッド印刷技術には、いくつかの大きな問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の多色刷りパッド印刷システムにおいては、特別な像を印刷するための設定は、数週間を要することが多い。また、各回の印刷の後に、複数のインク調整カップを洗浄してインクを再び充填する必要があるため、インクがこぼれることがよくあり、このような従来の多色刷りパッド印刷システムでは、多量の印刷用インクを無駄にしてしまう。
【0005】
パッドプリンタ用インク容器内のインクを交換するときには、容器を取り外してから、インクを注ぎ入れ、入れ過ぎたインクを拭き取る必要がある。これは、特に頻繁に色の交換を行う場合、例えばゴルフボールや他の物品または部品に特別注文のマークを施す場合に、時間のかかる作業である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、曲面を有する物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムに関する。一態様においては、物品にインクを塗布するためのパッド印刷システムは、圧力プレートおよびシャフトを含むインク容器と、インク放出可能部材と、を備える。圧力プレートが、該プレートに与えられる回転力に基づいて、シャフトに沿った方向に直線的に移動することによって、インク放出可能部材が圧縮および圧縮解除される。
【0007】
一態様においては、インク容器は、インク放出可能部材を収容するキャビティと、インク放出可能部材と接触する圧力プレートと、を備える。圧力プレートは、キャビティ内において、複数の所定の高さのうちの1つの高さに位置決めすることができるものであって、この圧力プレートは、所定の高さの間で移動(例えば、弾性的に付勢された移動または他の様式の移動)することができるように構成されている。
【0008】
一態様においては、圧力プレートに、インクが通流できる複数の穴が形成されている。他の態様においては、圧力プレートを移動させるための付勢部材は、ばねである。さらに他の態様においては、プレートに、複数の溝が形成されている。本発明のいくつかの態様においては、複数の溝は、プレートの中心から放射状に配置されている。本発明の他の態様においては、複数の溝は、少なくとも1つのループ状に配置されている。他の態様においては、シャフトの周囲に、プレートに弾性的な付勢を与えるばねが配置されている。一態様においては、プレートの周縁に、複数のノッチが配置されている。さらに他の態様においては、プレートは、切頭円錐形の形状に形成されている。
【0009】
本発明の他の態様においては、インク容器は、圧力プレートに結合されたステム(幹部)を備え、インクを吸収または放出するためには、スポンジ材料が使用される。ステムは、パッド上に供給される或いはスポンジに吸収されるインクの量を段階的に調節するために使用される付勢システムやねじ係合部を備え得る。
【0010】
本発明は、インクの交換を迅速にでき、インクカラーの下準備を容易にでき、さらには印刷後の残りのインクを保存できるように設計されたインク容器に関する。
【0011】
上述した本発明の特徴は、以下の詳細な説明および添付の図を参照して、さらによく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パッド印刷システムの部分的な概略図であって、システムに取り付けられたインク容器を示す図。
【図2】パッド印刷システムの部分的概略図であって、運搬パッドの構成を示す図。
【図3】パッド印刷システムに用いるインク容器の見取り図。
【図4】図3のインク容器の見取り図であって、内部のチャンバを示す図。
【図5】インク放出可能部材が第1の位置にあるときのインク容器の概略を示す図。
【図6】インク放出可能部材が第2の位置にあるときのインク容器の概略を示す図。
【図7】インク容器とともに使用する圧力プレートの構造を示す平面図。
【図8】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図9】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図10】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図11】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図12】インク容器とともに使用する他の圧力プレートの構造を示す平面図。
【図13】他のインク容器をインク放出可能部材とともに概略的に示す図。
【図14】他のインク容器をインク放出可能部材とともに概略的に示す図。
【図15】他の圧力プレートの構造を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の本発明のさまざまな実施例の説明において、添付の図は、本発明が実施され得る構成を例示的に示すものであって、これらの図を参照して、引用がなされ得る。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が利用され、いくつかの変更がなされ得ることを理解されたい。また、本明細書中で使用されるさまざまな用語は、以下の記載に基づいて定義される。
【0014】
図1〜4に、球体(例えば、ゴルフボール)、円錐体、円筒体、および他の曲面を有する物品または部品に見られるような非平面上に、像を印刷するものとして構成された印刷システム10の一例を示す。一般的な操作においては、インク容器16(例えば、インクカップ)は、ラック18に取り付けられ、台座システム20によって保持されている。この容器16からのインクが、印刷プレート(図示せず)に供給される。印刷プレートには、像がエッチングされている。容器16は、像を含むエッチング済みプレートの頂部を覆うように摺動する。印刷プレートが、運搬パッド12へ向かって摺動し、この運搬パッド12の先端が印刷プレートに当接して、ゴルフボール14に印刷されるべき像を得る。そして、印刷プレートは、摺動して戻る。運搬パッド12は、ゴルフボール14の位置まで下降することによって像を運ぶ作業を行い、ゴルフゴール14の表面に接触する。そして、運搬パッド12がゴルフボール14から離れると、ボールに像が残されている。図4に示されるように、インク容器16の底面は、シャフトつまりステム(底面を明確に示すために図示せず)を保持するためのねじ部17を含む。曲面上に像を印刷するものとしてシステム10の説明をしているが、本発明のシステム10は、どのような面(例えば、平面)に印刷するのにも等しく適用できることが容易に理解されよう。
【0015】
図5および図6に示す一実施例においては、ゴルフボールにインクを塗布するのに用いるパッド印刷システムは、インク容器100を備え、このインク容器100には、インク放出可能部材つまり多孔性材料104を保持するように構成されたチャンバ(室)101が形成されている。所定の量のインクを蓄えるための多孔性材料104としては、スポンジ、ポリウレタン発泡体、メラミン材料、他の連続気泡発泡体、フェルト、布地、多孔性プラスチックなどがある。また、インク放出可能部材104と接触する圧力プレート102を備えている。圧縮機構(例えば、締め付けねじつまりクランプを備えた穿孔または非穿孔のプレート102)が、インク放出可能部材104から、予め吸収されていたインクを押し出すことによって、印刷プレート上にインクが供給される。インク容器100の展開チャンバ101内へ徐々にインクを放出できるように、圧力プレート102は、インク容器100の空洞(キャビティ)内で、複数の所定の高さに位置決めすることができる。プレート102より上側のキャビティ領域が展開チャンバ101である。インク放出可能部材104は、圧縮される前には、第1の厚さt1(図5参照)となっている。圧縮されているときには、図6に示されているように、インク放出可能部材104は、第2の厚さt2となっている。圧縮されているときの厚さt2は、t1よりも薄い。
【0016】
印刷の操作が終了し、圧縮プレート102が弛緩すると、印刷後の残りのインクがインク放出可能部材104内に再び吸収される。この放出可能部材104は、印刷後の残りのインクを蓄えるのに適切な寸法の封止されたコンテナ内に配置することができる。上述したように、インク放出可能部材104から放出または吸収されるインクの量を段階的に制御するために、シャフト106は、付勢システムを備えることができ、あるいはねじ係合部を有するように構成することができる。
【0017】
図7は、圧力プレート200の一実施例を示す。この例における圧力プレート200には、複数の穴210が形成されており、これらの複数の穴は、インク放出可能部材104から放出されたインクがインク容器つまりインクカップ100の展開部101内へ流入できる寸法に形成されている。放出されたインクは、印刷プレートに供給され、続いて、運搬パッド12が、このインクで描かれた印刷するべき像を吸収して受ける。複数の穴210は、円形、三角形、正方形、長方形、および楕円形などのさまざまな形状に形成することができる。これらの複数の穴210は、他の形状や寸法に形成してもよい。他の態様においては、複数の穴210は、さまざまなパターンや配置で形成することができる。複数の穴210は、プレート200上に、均一な密度パターンで形成することができる。また、複数の穴210は、同心円、同心列つまり同心ループ212状に、プレート200の中心から半径方向に間隔をおいて配置してもよい。この配置においては、圧縮されているインク放出可能部材104から、インク容器100の展開チャンバ101内へ、インクが、より均一に流入することができる。一実施例においては、隣り合うループ212上の複数の穴210は、半径方向に整列している。例えば、隣り合うループ212上の複数の穴210は、互いに真後ろに位置している。本明細書中においては、第1の穴が、第2の穴の半径方向に延びる側方区域内に形成されている場合、第1の穴は、第2の穴の「真後ろ」に位置しているという。他の実施例においては、隣り合うループ212が互いに食い違うように形成され、この場合、複数の穴210は、半径方向で見て、他の穴の真後ろに位置していない。なお、これらの複数の穴210は、ランダムに配置することができ、すなわち、注文に応じてさまざまなパターンに配置することができる。
【0018】
図8に示される他の実施例においては、圧力プレート300には、このプレート300上に放出されたインクの回収を改善するための流れ溝つまりチャネル凹部302が形成されている。一実施例においては、複数の溝302は、プレート300上に、放射状に配置されている。このような実施例においては、複数の溝302のパターンは、ハブ−スポークの構成に類似している。複数の溝302は、プレート300の中心角を均等に割当てて配置されている。いくつかの実施例においては、複数の溝302は、10°〜180°の範囲の大きさの中心角を割当てて配置される。一例においては、複数の溝302は、中心角の大きさが10°毎に形成され、36本の溝が設けられる。他の例においては、複数の溝302は、中心角の大きさが45°毎に形成され、8本の溝が設けられる。さらに他の例においては、中心角の大きさが180°毎に形成され、2本の溝302が設けられる。プレート300に設けられる溝302の数(および/または溝の寸法、間隔、相対的位置など)は、展開チャンバ101内へ流入する所望のインク流量速度、インクの粘性、予測のインク消費量などの種々のファクタに基づいて構成することができる。また、溝の構成(例えば、本数、寸法、間隔、配置など)は、インク放出可能部材104に加えられる圧縮力に基づいて、調整することができる。
【0019】
図9に示される他の実施例においては、圧力プレート400に、複数の溝402が、該プレート400の中心から離間した同心円404(または非同心円)状に形成されている。同心円状の構成においては、プレート400の中心から所与の半径の長さ全体に亘って、複数のリング404を規則的な間隔で形成することができる。リングの個数は、プレート400の直径、所望のインク流量速度、インクの粘性などの種々ファクタに基づいて選択することができる。
【0020】
リング状またはハブ−スポーク状に複数の溝が形成される実施例においては、これらの溝内に複数の穴を配置してもよい。図10〜図12に示される代替例の他の穴−溝の配置においては、プレートに圧力が加えられると、インク放出可能部材104からインクが放出され、放出されたインクは、容易に集められて展開部へ供給される。代替例の圧力プレート500,600,700は、圧力プレート200,300,400の特徴の組み合わせを含む。操作について説明すると、インク放出可能部材104が過剰な量のインクを放出してしまい、この部材104にインクを再び吸収させる必要があるとき、複数の溝が、プレート400の真下に位置するインク放出可能部材104内へインクを戻すための回収チャネルとして機能する。
【0021】
圧力プレート102〜700は、インク放出可能部材104によるインクの放出およびその後のインクの回収を容易にする種々の構成を有し得る。インク容器100に結合するシャフト106とねじで締結できるように、プレートの中心部に、ねじ穴を形成することができる(図5および図6を参照)。一実施例においては、圧力プレートは、平坦なプレートである。この実施例においては、プレートは、回転するとともに、シャフト106およびインク容器側壁に沿った方向に直線的に移動する。例えば、プレートが時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。プレートがインク放出可能部材104に当接した後、このインク放出可能部材104に向かう方向にさらに移動すると、インク放出可能部材104は、圧縮され始める(つまり、初期の厚さよりも薄くなる)。同様に、プレートが反時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に、直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0022】
図14に示される他の実施例においては、圧力プレート800は、切頭円錐形の形状に形成されている。この実施例においては、切頭円錐形は、回収コーンの形態で設けられている。この円錐形800における角度θは、当業者が調整することができる。プレート800の中心部には、インク容器100に結合されるシャフト106とねじによる締結をするためのねじ穴が形成されている。この実施例においては、プレート800は、回転するとともに、シャフトおよびインク容器100側壁に沿った方向に、直線的に移動する。例えば、プレート800が時計回りに回転すると、このプレート800は、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。プレート800がインク放出可能部材104に当接した後、このインク放出可能部材104に向かう方向にさらに移動すると、インク放出可能部材104が圧縮され始める(つまり、初期の厚さよりも薄くなる)。同様に、プレート800が反時計回りに回転すると、このプレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に直線的に移動する。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。圧力プレート800が切頭円錐形の形状であることによって、インク放出可能部材104の中心から周縁へ向かって、半径方向に一様ではない圧縮力が加えられる。この実施例では、プレート800がインク放出可能部材104に接触すると直ぐに、インクが放出して展開チャンバ101内に充填することができる。
【0023】
図5〜13に示される代替的な実施例においては、圧力プレート102,200,300,400,500,600,700,800に、ねじ穴が必ずしも形成されてはいない。プレートの中心部にねじ穴を形成せずに、このプレートがシャフト106に沿った方向に摺動するようにしてもよい。この実施例においては、圧縮部材900は、ねじ穴を有していて、プレートに当接することができる。例えば、圧縮部材900は、蝶ナットの構成とすることができる。圧縮部材900が時計回りに回転すると、プレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。同様に、圧縮部材900が反時計回りに回転すると、プレートは、インク放出可能部材104から遠ざかる方向に直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0024】
図13をさらに参照すると、圧力プレート102は、所定の高さの間で、弾性的に付勢された移動をするように構成されている。他の実施例においては、圧縮部材900の効果を高めるために、圧力プレートにさらに大きな圧縮力を与えることができる付勢部材902が使用される。この付勢部材902は、シャフト106の周囲にコイルばねの形態で備えられていてもよい。また、付勢部材902として、板ばねを使用してもよい。コイルばね902の遠位端はプレートに当接し、コイルばね902の近位端は、蝶ナットなどの圧縮部材900に当接する。コイルばね902のばね定数(K)の値を選択することによって、さまざまな圧縮プロファイルでインク放出可能部材104を圧縮することができる。この実施例においては、圧力プレートは、シャフト106に沿った方向に、容易に摺動することができる。圧縮部材900が時計回りに回転すると、ばね902が圧縮されて、プレートは、インク放出可能部材104へ向かう方向に直線的に移動する。このようにして、圧縮部材900が回転する毎に、付勢部材(例えば、ばね902)は、より大きな圧縮力を与える。また、ばね定数の値は、インク放出可能部材104の圧縮特性に合わせて調節することができる。なお、圧縮部材900が反時計回りに回転すると、ばね902が圧縮から解除されて、プレートは、インク放出可能部材104から離れる方向に直線的に移動することができる。この動作により、インク放出可能部材104が圧縮から解除され、このインク放出可能部材104は、膨張して、印刷後の残りのインクを再び吸収することができる。
【0025】
必要に応じて、プレートとインク容器壁22との間の環状の空間に、Oリング・シールなどのシール部材を備えていてもよい(例えば、Oリング・シールの周囲が側壁22に接するようにしてもよい(図4参照))。このOリング・シールは、周囲の側壁22の面を拭く機能がある。このOリング・シールは、柔軟でかつ弾性力のある、種々の周知の可撓性材料で形成することができ、例えば、柔軟なプラスチックやゴムなどで形成することができる。
【0026】
図15に示される一実施例においては、圧力プレート1000は、該プレートの周縁に配置された複数のノッチ1010を備え、これらのノッチ1010は、インク放出可能部材104からインクが流出できるように構成されている。複数のノッチは、プレートの周縁に、中心角を均等に割当てて設けることができる。いくつかの実施例においては、複数のノッチは、5°〜180°の範囲の大きさの中心角を割当てて設けられる。例えば、中心角の大きさが5°毎にノッチを配置した場合、プレートの周縁に、72個のノッチが設けられる。他の例においては、中心角の大きさが45°毎にノッチを配置した場合、8個のノッチが設けられる。さらに他の例においては、中心角の大きさが180°毎にノッチを配置した場合、プレートの周縁に、2個のノッチが設けられる。
【0027】
上記の利点を実現するために、本発明のシステム10の特徴のすべてを採用してもよく、あるいはすべての特徴を採用せずに、個別の特徴またはこれらの特徴の一部の組合せを採用することによっても、上記の利点のいくつかを得ることができる。添付の図を参照して、本発明のさまざまな実施例を開示したが、これらの実施例を開示した目的は、本発明の範囲内で具体化され得る、さまざまな実施の形態を提示することである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲が定義する本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変形や変更がなされ得ることを理解されよう。
【符号の説明】
【0028】
12…運搬パッド
16…インク容器
100…インク容器
101…展開チャンバ
102…圧力プレート
104…インク放出可能部材
106…シャフト
200…圧力プレート
300…圧力プレート
400…圧力プレート
500…圧力プレート
600…圧力プレート
700…圧力プレート
800…圧力プレート
900…圧縮部材
902…コイルばね
1000…圧力プレート
1010…ノッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド印刷システム用インク容器であって、
インク放出可能部材と、
上記インク放出可能部材に接触する圧力プレートと、
上記圧力プレートによって分離された第1のキャビティおよび第2のキャビティと、
を備え、
上記インク放出可能部材は、第2のキャビティ内に配置され、
上記圧力プレートは、シャフトに沿った方向の複数の高さに位置決めすることができるものであって、第1の高さと、上記インク放出可能部材に接触する第2の高さと、の間で移動できるように構成されていることを特徴とする、インク容器。
【請求項2】
上記圧力プレートに、第1のキャビティと第2のキャビティとの間でインクが通流できる複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項3】
上記複数の穴は、少なくとも1つのループ状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のインク容器。
【請求項4】
上記圧力プレートに、複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項5】
上記複数の溝は、圧力プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のインク容器。
【請求項6】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインク容器。
【請求項7】
上記複数の溝は、少なくとも1つのループ状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のインク容器。
【請求項8】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のインク容器。
【請求項9】
上記シャフトの周囲に、弾性的な付勢を与えるばねが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項10】
上記圧力プレートの周縁に、複数のノッチが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項11】
上記圧力プレートは、切頭円錐形の形状に形成されていることを特徴とする1に記載のインク容器。
【請求項12】
物品にインクを塗布するためのパッド印刷システム用インク容器であって、
圧力プレートと、
シャフトと、
インク放出可能部材と、
を備え、
上記圧力プレートは、該プレートに与えられる回転力に基づいて、上記インク放出可能部材を圧縮および圧縮解除するように移動することを特徴とする、インク容器。
【請求項13】
上記圧力プレートに、インクが通流できる複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項14】
上記プレートに、複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項15】
上記複数の溝は、プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のインク容器。
【請求項16】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項15に記載のインク容器。
【請求項17】
上記複数の穴は、少なくとも1つのループ状に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のインク容器。
【請求項18】
上記圧力プレートに、少なくとも1つの溝内に配置された複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項19】
上記少なくとも1つの溝は、上記圧力プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項18に記載のインク容器。
【請求項20】
上記圧力プレートは、切頭円錐形の形状に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項1】
パッド印刷システム用インク容器であって、
インク放出可能部材と、
上記インク放出可能部材に接触する圧力プレートと、
上記圧力プレートによって分離された第1のキャビティおよび第2のキャビティと、
を備え、
上記インク放出可能部材は、第2のキャビティ内に配置され、
上記圧力プレートは、シャフトに沿った方向の複数の高さに位置決めすることができるものであって、第1の高さと、上記インク放出可能部材に接触する第2の高さと、の間で移動できるように構成されていることを特徴とする、インク容器。
【請求項2】
上記圧力プレートに、第1のキャビティと第2のキャビティとの間でインクが通流できる複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項3】
上記複数の穴は、少なくとも1つのループ状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のインク容器。
【請求項4】
上記圧力プレートに、複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項5】
上記複数の溝は、圧力プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のインク容器。
【請求項6】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインク容器。
【請求項7】
上記複数の溝は、少なくとも1つのループ状に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のインク容器。
【請求項8】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のインク容器。
【請求項9】
上記シャフトの周囲に、弾性的な付勢を与えるばねが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項10】
上記圧力プレートの周縁に、複数のノッチが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
【請求項11】
上記圧力プレートは、切頭円錐形の形状に形成されていることを特徴とする1に記載のインク容器。
【請求項12】
物品にインクを塗布するためのパッド印刷システム用インク容器であって、
圧力プレートと、
シャフトと、
インク放出可能部材と、
を備え、
上記圧力プレートは、該プレートに与えられる回転力に基づいて、上記インク放出可能部材を圧縮および圧縮解除するように移動することを特徴とする、インク容器。
【請求項13】
上記圧力プレートに、インクが通流できる複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項14】
上記プレートに、複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項15】
上記複数の溝は、プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のインク容器。
【請求項16】
上記圧力プレートに、複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項15に記載のインク容器。
【請求項17】
上記複数の穴は、少なくとも1つのループ状に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のインク容器。
【請求項18】
上記圧力プレートに、少なくとも1つの溝内に配置された複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【請求項19】
上記少なくとも1つの溝は、上記圧力プレートの中心から放射状に配置されていることを特徴とする請求項18に記載のインク容器。
【請求項20】
上記圧力プレートは、切頭円錐形の形状に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインク容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−101543(P2012−101543A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−245088(P2011−245088)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245088(P2011−245088)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]