説明

インク組成物、印画物及びその製造方法

【課題】インク吐出安定性及びブロッキング抑制が良好であり、かつ、硬化して得られた画像の打ち抜き特性が良好であるインク組成物を提供すること。
【解決手段】主鎖の両末端にチオール構造を有するポリチオウレタン、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種のポリマー、重合性モノマー、並びに重合開始剤、を含有インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物、印画物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。これらのうち、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。
【0003】
インクジェット方式は、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の記録媒体にも印字可能である。インクジェット方式では、印字後の液滴の乾燥及び硬化に要する時間が、印画物の生産性又は印字画像の鮮鋭度といった高速化及び高画質化に影響を及ぼしている。
【0004】
このインクジェット方式の一つとして、UV光等の活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後にエネルギー線を照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができ、上記影響を改善できる。
【0005】
このような活性エネルギー線硬化型のインクとしては、例えば、特許文献1に、チオール基と、側鎖にフッ素置換炭化水素などの部分構造を含むアクリル系ポリマー、重合性化合物及び光重合開始剤等を含むインク組成物が提案されている。特許文献1のインク組成物は、インク吐出安定性が良好であり、また、記録した用紙を複数枚積み重ねた際に生じる裏移り(ブロッキング)を抑制する点でも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−14375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ダミー缶、ブリスターパック等に代表されるプラスチック印画物の成形品を製造する場合は、プラスチック等の記録媒体に画像を印画し、成形加工した後に、その成形品の一部又は全部を素早く打ち抜く工程を行うことがある。その打ち抜きの際に裁断面又はその周辺に画像のひび(周辺われ)が入る場合が生じる。このようなひびが入ると製品価値が下がるため、打ち抜きに耐えることができる良好な打ち抜き特性も求められている。
【0008】
したがって、本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、インク吐出安定性、及びブロッキング抑制(特にブロッキング防止のために必要な感度であるブロッキング感度)が良好であり、かつ、硬化して得られた画像の打ち抜き特性が優れるインク組成物、当該インク組成物を使用して得られる印画物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意検討した。その結果、特定のポリマー等を含有したインク組成物を使用することにより上記課題を解決することを発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のインク組成物、当該インク組成物を使用して得られる印画物及びその製造方法に関する。
【0010】
項1. (i)主鎖の両末端にチオール構造を有するポリチオウレタン、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種のポリマー、(ii)重合性モノマー、並びに(iii)重合開始剤、を含有するインク組成物。
項2.前記チオール構造が2級チオールである、項1に記載のインク組成物。
項3.前記ポリマーの主鎖骨格に環構造を有する、項1又は2に記載のインク組成物。
項4.前記ポリマーの重量平均分子量が2000〜20万である、項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
項5.重合性モノマーが単官能モノマーを含み、重合性モノマーに含まれる単官能モノマーの割合が80質量%以上である、項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
項6.インク組成物中における重合性モノマーの含有量が50質量%以上である、項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
項7.さらに着色剤を含む、項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
項8.インクジェット用である、項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
項9.記録媒体上に、項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程と、 得られた画像に活性エネルギー線を照射することにより、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程と、を備えた印画物の製造方法。
項10.項9に記載の製造方法により得られる印画物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクの吐出安定性及びブロッキング感度が良好であり、かつ、得られる画像の打ち抜き特性に優れるインクジェット記録用途に好適なインク組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の印画物の打ち抜き特性評価に用いた木製型である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.インク組成物
本発明のインク組成物は、(i)主鎖の両末端にチオール構造を有するポリチオウレタン、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種のポリマー、(ii)重合性モノマー、並びに(iii)重合開始剤を含有する。以下、これらを説明する。
<主鎖の両末端にチオール構造を有するポリチオウレタン、ポリウレタンまたはポリウレア>
本発明のインク組成物に含まれるポリチオウレタン、ポリウレタンまたはポリウレアは、そのポリマーの主鎖の両末端にチオール構造を有する(それぞれ、「チオール末端ポリチオウレタン」、「チオール末端ポリウレタン」、「チオール末端ポリウレア」と略記し、これらを総称して「チオール末端ポリマー」という。)。
本発明におけるチオール末端ポリマーの主鎖の両末端にあるチオール構造とは、−SH基で表される官能基を有しているものであればよい。
本発明でのチオール構造は、例えば、1級チオール構造、2級チオール構造及び3級チオール構造のいずれの構造を有する形で末端に結合されていてもよいが、好ましくは、2級チオール構造又は3級チオール構造であり、より好ましくは2級チオール構造である。これにより、保存安定性などに優れる。
1級チオール構造は、−R−CH−SH基等で表される。Rは、例えば、炭素数1〜10の2価の炭化水素基が好ましく挙げられる。特に、直鎖、分岐または環状のアルキレン基、アラルキレン基等が挙げられる。これらのアルキレン基等は置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。
2級チオール構造は、−R−CHR−SH基、−(シクロアルキレン基)−SH基等で表される。Rは、1級チオール構造のRと同様である。Rは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく挙げられる。特に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アラルキル基等が挙げられる。
3級チオール構造は、−R−CR**−SH基等で表される。Rは、1級チオール構造のRと同様である。R**は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく挙げられる。特に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アラルキル基等が挙げられる。これらのアルキレン基等は置換基を有していても置換基を有していなくてもよく、また、さらに二つのR**が互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、これらのチオール構造は、末端の一部に−SHを有していればよく、エステル結合等の連結基を介して上記1〜3級チオール構造を有していてもよい。
本発明のチオール末端ポリマーは、主鎖の両末端に上記チオール構造を有し、さらに主鎖の繰り返し単位としてチオウレタン構造(−NHCO−S−)、ウレタン構造(−NHCO−O−)及びウレア構造(−HN−CO−NH−)の少なくとも一種の構造を有する。また、二種以上を含む共重合体であってもよい。
本発明で使用するチオール末端ポリチオウレタンは、例えば、ジイソシアネートとジチオール(2官能チオール)とを重合させることにより末端イソシアナートポリチオウレタン主鎖を調製した後、末端停止剤として、多官能チオール(ポリチオール)等を反応させることにより得られる。
本発明で使用するチオール末端ポリウレタンは、例えば、ジイソシアネートとジオールとを重合させることによりポリウレタン主鎖を調製した後、末端停止剤として、多官能チオールを反応させることにより得られる。
本発明で使用するチオール末端ポリウレアは、例えば、ジイソシアネートとジアミン等のアミンとを重合させることによりポリウレア主鎖を調製した後、末端停止剤として、多官能チオール等を反応させることにより得られる。
そのほか、ポリチオウレタン主鎖、ポリウレタン主鎖またはポリウレア主鎖を調製した後、保護基により保護されたチオール基を有する単官能アルコール又は単官能アミンを反応させ、次いで、保護基を脱離させることによっても得ることが可能である。
これらの方法は常法に従って行えばよく、例えば、特開2008−255353等を参考にして得ることができる。
多官能チオールとしては、例えば、炭化水素基の末端に−SH(メルカプト基)が結合した基を2以上有する化合物等が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族(脂環式を含む)炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよい。なお、本発明の多官能チオールは、ウレタン化反応に関与しない置換基(アルキル基、ニトロ基等)を有していてもよく、その炭素鎖中に、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、エステル基、チオエステル基等のウレタン化反応に関与しない原子または基を含有していてもよい。
【0014】
前記炭化水素基が脂肪族炭化水素基である多官能チオールとしては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール等のアルカンジチオールや、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカンジチオールや、
【0015】
ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール等のヘテロ原子を有するアルカンジチオールや、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ原子を有するシクロアルカンジチオールや、
【0016】
1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール等のアルカントリチオールや、
テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)等のアルカンテトラチオールや、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)等のアルカンテトラキス(メルカプトアルキレート)、1,3,5-トリス(3-メルカブトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなどが挙げられる。
【0017】
また、前記炭化水素基が芳香族炭化水素基である多官能チオールとしては、例えば、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等のアレーンジチオール(芳香族ジチオール)や、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン等のアレーントリチオール(芳香族トリチオール)などが挙げられる。
【0018】
保護基により保護されたチオール基を有する単官能アルコール又はアミンとしては、例えば、2‐(アセチルチオ)エタノール等が挙げられる。
【0019】
本発明のチオール末端ポリマーの重合に用いられるモノマーであるジイソシアネート、ジチオール、ジオール、アミン等は、公知又は市販のモノマーを使用することができる。
ジチオールとしては、上述した多官能ポリオールのうちのジオール(アルカンジチオール、シクロアルカンジチオール)等が挙げられる。
ジイソシアナートの具体例としては、例えば下記のモノマーが挙げられる。
【0020】
【化1】

【0021】
ジオールとしては、アルキレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどの一般的にポリウレタンを合成するために用いられるジオールを使用すればよい。
【0022】
ポリエーテルジオールとしては、下記式(1)、(2)(3)(4)、(5)で表される、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
【0023】
【化2】

【0024】
式(1)〜(5)中、R14は水素原子又はメチル基を表し、Xは、以下の基を表す。また、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれ2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。
【0025】
【化3】

【0026】
上記式(1)、(2)で表されるポリエーテルジオールとしては具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、数平均分子量が好ましくは300〜10000(より好ましくは300〜5000)のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等である。(なお、上記数平均分子量は市販のカタログ値である。)
【0027】
上記式(3)で表されるポリエーテルジオールとしては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
【0028】
上記式(4)で表されるポリエーテルジオールとしては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128等である。
【0029】
上記式(5)で表されるポリエーテルジオールとしては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
【0030】
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
【0031】
ポリエステルジオールとしては、式(6)、(7)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化4】

【0033】
式(6)、(7)中、L、L、及びLではそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、L5は2価の脂肪族炭化水素基を表す。好ましくは、L、L、及びLは、それぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表し、Lはアルキレン基を表す。またL〜L5中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
ポリカーボネートジオールとしては、式(8)で表される化合物がある。
【0034】
【化5】

【0035】
式(8)中、Lはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
【0036】
上記式(6)、(7)、(8)で表されるジオールとしては例えば、ダイセル化学工業社製のプラクセルシリーズ(プラクセル205、プラクセル220(ポリカプロラクトンジオール)、プラクセルCD(ポリカーボネートジオール))、旭化成ケミカル社製のデュラノールシリーズ(T3000シリーズT4000シリーズ、T5000シリーズ、T6000シリーズ)、宇部興産社製のETERNACOLL(UH,UHC,UC,UMシリーズ)等が挙げられる。具体的には以下に示す(例示化合物No.1)〜(例示化合物No.18)が含まれる。具体例中のnは2以上の整数を表す。好ましくは2〜100の整数である。
【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
【化8】

【0040】
また、上記ジオールの他に、下記のジオールを併用することもできる。
【0041】
HO−L−O−CO−L−CO−O−L−OH (9)
HO−L−CO−O−L−OH (10)
【0042】
式(9)(10)中、L、Lはそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基などを有していてもよい。なおL、Lで環を形成してもよい。
【0043】
アミンとしては一般にポリウレアを合成するために用いられるアミン類などを用いればよい。例えば、下記のモノマーが好適に挙げられる。
【0044】
【化9】

【0045】
式中、R16、R18はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L17は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L17中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していてもよい。なおR16、L17、R18のうちの2個で環を形成してもよい。
【0046】
また、式(11)(12)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。 すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物等が挙げられる。
【0047】
本発明のチオール末端ポリマーの主鎖部分は分岐構造を有していてもよい。分岐構造をポリマーに導入するには多官能アルコール等を使用してポリマーを使用すればよい。多官能アルコールとしては、例えば、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,3−ヘプタントリオール、ペンタエリスリトール、D−スレイトールL−キシロース等が挙げられる。
本発明で使用するチオール末端ポリマーの具体例としては、下表に示すモノマーの組合せにより得られるポリマーが好適に挙げられる。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
上記表1および表2中のカレンズMT−BD1、同MT−NR1、同MT−PE1、DPMP、TMMPおよびPEMPは、それぞれ下記の構造式を有する化合物である。
【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
本発明のチオール末端ポリマーは、その主鎖構造(特に、イソシアナート成分)に環構造を有していることが好ましい。環構造は、脂環式構造および芳香族環構造のいずれであってもよい。これにより、打ち抜き特性等がより良好となる。
【0054】
本発明のチオール末端ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、例えば、2000〜200000、好ましくは5000〜150000、より好ましくは8000〜100000である。なお、本発明の重合平均分子量はゲル透過クロマトグラフ(GPC)を用いて、溶媒にNメチルピロリドンを使用して、ポリスチレン換算により測定される。
【0055】
本発明のインク組成物中におけるチオール末端ポリマーの割合は、例えば0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜8質量%とすればよい。
【0056】
本発明のインク組成物は、前記チオール末端ポリマーを有するため、インクの吐出安定性及びブロッキング感度が良好であって、インク画像の打ち抜き特性が優れている。このメカニズムは明らかではないが、下記のように推定される。
チオール末端ポリマー構造のうちチオール構造部分が重合性モノマー(後述)に対して連鎖移動剤の役割を果たすため、活性エネルギー線照射により当該重合性モノマーとともに重合体(記録画像を構成する硬化膜)を形成する。また、チオウレタン構造、ウレタン構造又はウレア構造はアクリル構造に比べ高い耐衝撃性能を有する。これらの理由から、本発明のチオール末端ポリマー含有インク組成物を吐出し、活性エネルギー線照射により硬化膜(記録画像)へと重合させた際に、耐衝撃能を有する構造を硬化膜(重合体)の主鎖骨格に組み込むことが可能となる。そのため、素早い衝撃に対しても衝撃吸収能を有することとなり、記録画像のひび割れを改善できると考えられる。
また、高分子量のチオール末端ポリマーが、重合性モノマーに対する連鎖移動剤としても働くため、活性エネルギー線照射の際に硬化膜の分子量低下の悪影響を抑制でき、より効率よく高分子量の硬化膜へとすることができる。このため、本発明のインク組成物はブロッキング感度についても良好なものとなると考えられる。
なお、本発明は上記推定メカニズムに限定されるものではない。
【0057】
<重合性モノマ−>
本発明のインク組成物は重合性モノマ−を含む。本発明の重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマーであっても、カチオン重合性モノマーのいずれであってもよいが、本発明では、ラジカル重合性モノマーが好ましい。
【0058】
−ラジカル重合性モノマー−
本発明に適用しうるラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。より具体的には、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有するモノマーであればよい。
【0059】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーの一例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびこれらの塩;エチレン性不飽和基を有する無水物;アクリロニトリル;スチレン等が挙げられる。また、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタンなどのマクロモノマ等も挙げられる。
【0060】
ラジカル重合性モノマーは、単官能モノマーと多官能モノマーとが挙げられる。
このような単官能モノマーとしては、例えば、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマールアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性アクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート等のアクリレート化合物;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリレート化合物;アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物等が挙げられる。
【0061】
これらの中でも、アクリレート化合物が好ましい。中でも環状構造を分子内に有するアクリレートが好ましい。具体的には、粘度、硬化性等の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート等のエーテル酸素原子を有するアルコール、芳香環を有するアルコール等のアクリレートが好ましい。また、同様の理由から、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のビシクロ環構造又はトリシクロ環構造を有するアクリレートが好ましく、特に脂環構造内に二重結合を有する、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等が好ましい。さらには、環状構造を有するアクリレート以外にも、鎖状のエーテル結合を有するアクリレートも好ましく挙げられ、具体的には、エトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等である。
【0062】
また、単官能ビニルエーテル化合物も好適に挙げられる。単官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、等が挙げられる。
【0063】
その他、N−ビニルラクタム類、N−ビニルフォルムアミド等のN‐ビニル化合物も好適に挙げられる。N−ビニルラクタム類の好ましい例は下記式で表される。
【0064】
【化12】

【0065】
上記、mは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、及び原材料の入手性の観点から、mは2〜4の整数であることが好ましく、mが2又は4であることがより好ましく、mが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、特に良好なインク硬化性、及び画像膜の支持体への密着性が得られるので好ましく使用される。
【0066】
2官能以上の多官能モノマーとしては、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパン(PO変性)トリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のアクリルレート化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレート化合物等が挙げられる。その他、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物も挙げられる。なお、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマーを用いることができる。
【0067】
また、多官能ビニルエーテルも挙げられる。多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。これらの多官能ビニルエーテル化合物の中でも、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
【0068】
また、ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる
【0069】
−カチオン重合性モノマー−
本発明で用いることができる重合性モノマーとして、カチオン重合性モノマーも挙げられる。光酸発生剤から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0070】
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、芳香族エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられる。例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0071】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
【0072】
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0073】
エポキシ化合物には、単官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物とが挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
【0074】
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
【0075】
これらのエポキシ化合物のなかでも、脂環式エポキシドが硬化速度に優れるという観点から好ましい。
【0076】
本発明における、重合性モノマーの分子量としては、分子量として、好ましくは130〜3000であり、130〜500がより好ましい。
【0077】
重合性モノマーの含有量は、インク組成物全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%〜90質量%であり、更に好ましくは、70質量%〜90質量%である。上記範囲とすることで高感度なインク組成物とすることができる。
特に、本発明では、単官能モノマーの含有量が、重合性モノマー全量に対して、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%であり、特に好ましくは95〜100質量%である。上記範囲とすることで、延伸成型性等に優れる。
【0078】
なお、本発明のインク組成物は、上記重合性モノマー以外の他にも、上記重合性モノマーからなるオリゴマー、プレポリマー又はポリマーを必要に応じて含んでいても良い。具体的には、例えば、上記の(メタ)アクリル系、エポキシ系又はウレタン系のオリゴマー、プレポリマー、ポリマー等が挙げられる。
【0079】
<重合開始剤>
本発明のインク組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれであってもよいが、本発明では、光重合開始剤が好ましく挙げられる。光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を、重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
【0080】
本発明のインク組成物に使用する光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。光重合開始剤において、重合を開始させる光とは、活性照エネルギー線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等を示し、好ましくは、紫外線である。
【0081】
光重合開始剤としては、公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0082】
これらの光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。本発明における光重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
【0083】
(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
【0084】
これらのなかでも、本発明において、光重合開始剤として芳香族ケトン類又はアシルホスフィンオキシド化合物を使用することが好ましく、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819:BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Darocur TPO:BASF社製、Lucirin TPO:BASF社製)などが好ましい。
【0085】
重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物における重合開始剤の含有量は、インク組成物に対して、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。
【0086】
<着色剤>
本発明のインク組成物は、着色剤を含有していてもよい。インク組成物に着色剤を添加することで、可視画像(有色画像)を形成しうるインク組成物とすることができる。
本発明のインク組成物に用いることのできる着色剤は、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。また、染料としては、水溶性染料および油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
【0087】
(顔料)
まず、本発明のインク組成物における着色剤として好ましく使用される顔料について述べる。着色剤として顔料を用いた場合、インク組成物を使用して形成された着色画像は耐光性に優れたものとなる。
前記顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0088】
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0089】
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0090】
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0091】
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
【0092】
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
【0093】
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
【0094】
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
【0095】
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0096】
顔料の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
【0097】
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、ルーブリゾール社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1質量部〜50質量部添加することが好ましい。
【0098】
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、エネルギー線硬化型のインクであり、インクを記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じたりするためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低いカチオン重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
【0099】
インク組成物中の顔料粒子の体積平均粒径は、0.02μm〜0.60μmであることが好ましく、より好ましくは0.02μm〜0.10μmである。また、最大粒径は3μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、そのような範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性およびブロッキング感度を維持することができる。なお、上記体積平均粒径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(LA920、(株)堀場製作所製)を用いて、トリプロピレングリコールメチルエーテルを測定溶媒として測定されるものである。
【0100】
(染料)
次に、本発明における着色剤として好ましく使用される染料について述べる。
染料としては、従来公知の化合物(染料)から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落番号〔0023〕〜〔0089〕、特開2008−13646号公報の段落番号〔0136〕〜〔0140〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
【0101】
前記着色剤はインク組成物中、インク組成物の全質量に対して0.05質量%〜20質量%添加されることが好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましい。着色剤として油溶性染料を用いた場合には、インク組成物の全質量(溶媒を含む)に対して、0.2質量%〜6質量%が特に好ましい。
【0102】
<水>
本発明のインク組成物は実質的に水を含有しない、非水性インク組成物であることが好ましい。具体的には、インク組成物全量に対して、3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。これにより保存安定性の点で優れる。
<その他の成分>
さらに、本発明のインク組成物は上記以外の成分を添加することができる。以下順次説明する。
【0103】
(連鎖移動剤)
本発明のインク組成物は、更に連鎖移動剤を含有していてもよい。
前記連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動反応により、反応の活性点を移動させる物質であれば特に制限なく使用することができる。
【0104】
本発明に用いうる連鎖移動剤の具体例としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化合物;イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;2−メチル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン類;含イオウ化合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
連鎖移動剤の分子量は250以上が好ましく、特に250以上100,000以下が好ましく、500以上80,000以下がより好ましく、3,000以上80,000以下が最も好ましい。
【0106】
連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物への連鎖移動剤の添加量は、インク組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが最も好ましい。
【0107】
(増感色素)
本発明のインク組成物には、重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために増感色素を添加することができる。増感色素は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基の生成を促進させるものである。
【0108】
増感色素は、インク組成物に使用される光重合開始剤に開始種を発生させる活性エネルギー線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられ、多核芳香族類およびチオキサントン類が好ましい類として挙げられる。
また、特開2008−95086号公報記載の増感色素も好適である。
【0109】
(共増感剤)
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感色素の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0110】
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Science」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0111】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0112】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
【0113】
(紫外線吸収剤)
本発明のインク組成物には、得られる画像の耐候性向上、退色防止等の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%であることが好ましい。
【0114】
(酸化防止剤)
本発明のインク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
【0115】
(褪色防止剤)
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。 有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。
また、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
【0116】
(導電性塩類)
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
【0117】
(溶剤)
本発明のインク組成物には、記録媒体(基材)との密着性を改良するため、極微量の非硬化性の有機溶剤を添加してもよい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性又はVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
【0118】
(高分子化合物)
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種油溶性の高分子化合物を添加することができる。
油溶性高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
また、本発明のインク組成物を膜としたときに、タック性改善等の目的で表面に偏析しやすい高分子化合物も好適である。これらの高分子化合物は特開2008−248119号公報段落番号〔0017〕〜〔0037〕、特開2005−250890号公報段落番号〔0015〕〜〔0034〕などに記載されたSi、F原子を含む高分子、長鎖アルキル基を側鎖に有する高分子などが利用可能である。
【0119】
(界面活性剤)
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。
有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体に対し、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。
【0120】
この他にも、必要に応じて、例えば、重合禁止剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤー(粘着付与剤)などを含有させることができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシベンゾキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、メルカプトベンズイミダゾール、アルキルジチオカルバミン酸塩類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、サリチル酸塩類、チオジプロピオン酸エステル類、ホスファイト類、ニトロキサイドアルミニウム錯体などが挙げられる。具体的には、Gerorad16,18,20,21、22、(Rahn社製)等が挙げられる。重合禁止剤の含有量は限定的でないが、インク組成物に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜1質量%がより好ましい。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
【0121】
(インク組成物の好ましい物性)
本発明のインク組成物は、インクジェット用途で好適に用いられる、このため、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、7mPa・s〜30mPa・sであることが好ましい。より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体を用いた場合でも、記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物は、活性エネルギー線により硬化する前のインク組成物の質量と、当該インク組成物を活性エネルギー線により硬化及び乾燥して得られる画像の質量との割合が、前者:後者(インク組成物の質量:インク組成物を硬化してなる画像の質量)=(100:95)〜(100:100)であることが好ましく、より好ましくは、(100:97)〜(100:100)である。これにより、膜性能の経時変化抑制に優れる。
上記質量割合は、インク組成物に含有し得る水、溶媒等の量を適宜設定することにより、調整できる。
【0122】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に好適に用いられる。インクジェット記録に適用する場合には、本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物にエネルギー線を照射して硬化して記録を行う。
【0123】
2.印画物及びその製造方法、
本発明の印画物の製造方法は、記録媒体上に、本発明のインク組成物を、市販の装置を含んだ公知のインクジェット記録装置等を用いたインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程と、得られた画像に活性エネルギー線を照射することにより、前記インク組成物を硬化させて、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程と、を含む。本発明の印画物は、上記印画物の製造方法により製造されたものである。
【0124】
本発明の製造方法に適用し得る記録媒体(基材)としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。更に、本発明に適用しうる被記録材料としては、平版印刷版の支持体が挙げられる。
【0125】
本発明の製造方法に適用される活性エネルギー線としては、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線などが挙げられる。活性エネルギー線のピーク波長は、200nm〜600nmであることが好ましく、300nm〜450nmであることがより好ましく、350nm〜420nmであることが更に好ましい。また、活性エネルギー線の出力は、2,000mW /cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mW/cm〜2,000mW/cmであり、更に好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmであり、特に好ましくは、50mW/cm〜800mW/cmである。
【0126】
特に、本発明の製造方法では、エネルギー線照射が、発光波長ピークが350nm〜420nmであり、かつ、前記記録媒体表面での最高照度が10mW/cm〜2,000mW/cmとなる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。本発明のインク組成物は、発光ダイオードの発する光のような、低露光量の光でも高感度で硬化する。
【0127】
本発明の製造方法においては、前述の本発明のインク組成物を用いており且つ活性エネルギー線を照射して該インク組成物を硬化しているため、高硬度であり、成形性及び打ち抜き特性に優れた画像を形成することができる。なお、活性エネルギー線の照射は、全色を吐出した後まとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
【0128】
本発明の印画物は、上記の製造方法によって、本発明のインク組成物により画像が形成されたものである。そのため、高硬度で画像形成されるとともに、成形性及び打ち抜き特性に優れた画像を有する印画物となる。
また、本発明のインク組成物は、前記したように、一般的な印画物の画像形成に好適に用いられる他、支持体等の記録媒体に画像を形成した後に加工を施す態様においても好適に用いることができる。
【0129】
本発明の印画物成形体は、本発明の印画物を成形加工したものである。すなわち、記録媒体上に、既述の本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物をインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程と、得られた画像に活性エネルギー線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程と、前記印画物を成形加工して印画物成形体を得る工程と、を含む本発明の印画物成形体の製造方法により製造される。
印画物成形体の製造に用いられる記録媒体としては、成形可能な樹脂材料からなる記録媒体が用いられ、例えば、PET、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0130】
本発明の印画物成形体を作製するための加工方法としては、真空成形や圧空成形或いは真空圧空成形が最も好適である。真空成形は原理的に、平坦な支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却するものであり、圧空成形は金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却するものである。また、真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行うものである。
【実施例】
【0131】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
【0132】
<チオール末端ポリマーの合成>
(P−1の合成)
ジメチルアセトアミド34g、ジチオール(1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、「カレンズMT−BD1」、昭和電工社製、2級チオール)8.83gとキシリレンジイソシアナート(XDI、東京化成社製、2官能イソシアナート)5.83gを200ml三口フラスコへ入れ80℃にて8時間反応した。その後上記ジチオール(カレンズMT−BD1)を0.44g追加し、さらに4時間反応した。大量のメタノールへ注ぎ再沈を行い、アセトンに溶解した後メタノールへ注ぐ精製を3回繰り返した。これにより、チオール末端ポリチオウレタン(P−1)を得た。なお、重量平均分子量(Mw)は東ソー社製ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により溶媒をN-メチルピロリドンとして使用しポリスチレン換算で算出した。両末端の構造は1H−NMRとチオール滴定により確認した。
(P−2の合成)
ジメチルアセトアミド68.0g、ジオール(「プラクセル205」、(数平均分子量500)、ダイセル化学社製)10.0gとキシリレンジイソシアナート7.8g、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(2,2,4−、2、4,4-異性体混合物)(TMDI、東京化成工業社製)2.1gを200ml三口フラスコへ入れ80℃にて8時間反応した。その後ジチオール(カレンズMT−BD1)を3g追加し、さらに4時間反応した。大量のメタノールへ注ぎ再沈を行い、アセトンに溶解した後メタノールへ注ぐ精製を3回繰り返した。これにより、チオール末端ポリウレタン(P−2)を得た。
(P−3〜P−11の合成)
原料及び配合割合を表3のようにした以外は(P−2)と同様にしてチオール末端ポリマー及びチオール末端ポリウレア(P−3)〜(P−11)を合成した。
【0133】
<比較ポリマーの合成>
表3に記載の化合物を用い、(P−2)と同様にして、比較ポリマー1及び比較ポリマー2を合成した。
【0134】
【表3】

【0135】
なお、表3中の名称又は略称に使用した原料は以下のものを使用した。なお、下記の数平均分子量はカタログに記載の値である。
XDI:(キシリレンジイソシアナート、三井化学社製、タケネート500)
BDI:(1,4−ブタンジイソシアナート、アルドリッチ社製)
MDI:(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、アルドリッチ社製)
NDI:(1,5−ネフタレンジイソシアネート、アルドリッチ社製)
TDI:(トリレン‐2,6−ジイソシアナート)
TMDI:トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(2,2,4−、2、4,4-異性体混合物)(TMDI、東京化成工業社製)
HMDI:(ヘキサメチレンジイソシアナート、アルドリッチ社製)
IPDI:(イソホロンジイソシアナート、アルドリッチ社製)
IPCI:(イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジイソシアネート、アルドリッチ社製)
PXDI:(p−キシレンジイソシアナート、アルドリッチ社製)
H12XDI:(ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、アルドリッチ社製)
プラクセル205:(ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量500、ダイセル化学社製)
プラクセル220EB:(ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量2000、ダイセル化学社製)
プラクセルCD205:(ポリカーボネートジオール、数平均分子量500、ダイセル化学社製)
プラクセルCD210:(ポリカーボネートジオール、数平均分子量1000、ダイセル化学社製)
PPG300:(ポリプロピレングリコールジオール、数平均分子量300、和光純薬社製)
PPG700:(ポリプロピレングリコールジオール、数平均分子量700、和光純薬社製)
PPG1000:(ポリプロピレングリコールジオール、数平均分子量1000、和光純薬社製)
N−メチルジエタノールアミン:(アルドリッチ社製)
ジエチレングリコール:(アルドリッチ社製)
カテコールエチレングリコールエーテル:(宇部興産)
1,6−ヘキサンジオール:(宇部興産)
カレンズMT−NR1:(1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3官能チオール、昭和電工社製、2級チオール)
カレンズMT−PE1:(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、4官能チオール、昭和電工社製、2級チオール)
DPMP:(ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、6官能チオール、堺化学工業社製、1級チオール)
2−ヒドロキシエチルアクリレート:(和光純薬社製)
ヘキサメチレンジアミン:(和光純薬社製)
1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン:(東京化成工業社製)
【0136】
<顔料分散物の調製>
次に示す顔料、分散剤、溶媒を混合して、各色の顔料分散物(Y1、M1、C1、K1及びW1)を調製した。
【0137】
イエロー顔料分散物(Y1)
・顔料:C.I.ピグメントイエロー12 10部
・分散剤:高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕 5部
・単官能ラジカル重合性モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート[PEA、ビスコート#192、大阪有機化学社製] 85部
【0138】
マゼンタ顔料分散物(M1)
・顔料:C.I.ピグメントレッド57:1 15部
・分散剤:高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕 5部
・単官能ラジカル重合性モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート 80部
【0139】
シアン顔料分散物(C1)
・顔料:C.I.ピグメントブルー15:3 20部
・分散剤:高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕 5部
・単官能ラジカル重合性モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート 75部
【0140】
ブラック顔料分散物(K1)
・顔料:C.I.ピグメントブラック7 20部
・分散剤:高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕 5部
・単官能ラジカル重合性モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート 75部
【0141】
ホワイト顔料分散物(W1)
・顔料:MICROLITH WHITE R−A(BASF社製) 20部
・分散剤:高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕 5部
・単官能ラジカル重合性モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート 75部
【0142】
<インク組成物の調製>
−実施例1−
次に示す成分、表4に記載の重合性化合物及びチオール末端ポリマーを混合して、実施例1のインク組成物を調製した。
【0143】
・Genorad 16〔Rahn社製、重合禁止剤〕 0.05部
・Lucirin TPO〔BASF社製、光重合開始剤〕 6.0部
・IRGACURE907〔BASF社製、光重合開始剤〕 4.0部
・カヤキュアーITX [日本化薬社製、増感剤] 2.0部
・Byk 307〔BYK Chemie社製、界面活性剤〕 0.05部
・顔料分散物(上記K1) 13.6部
・重合性化合物(表4に記載)
・チオール末端ポリマー(表4に記載)
【0144】
−実施例2〜18、比較例1〜3−
顔料分散物、重合性化合物及びチオール末端ポリマーの種類、添加量等を表4に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜18、比較例1〜3を調製した。
【0145】
なお、表4中の略称は以下を示す。
PEA:2−フェノキシエチルアクリレート
[単官能ラジカル重合性モノマー、ビスコート#192、大阪有機化学社製]
IBOA:イソボルニルアクリレート
[単官能ラジカル重合性モノマー、アロニックスM−156、東亞合成社製]
ACMO:アクリロイルモルホリン
[単官能ラジカル重合性モノマー、興人社製]
IDA:イソデシルアクリレート
[単官能ラジカル重合性モノマー、SR−395、サートマー社]
DVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル、
[2官能ラジカル重合性モノマー、Rapi−Cure DVE−3、ISP Europe社製]
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート:
[2官能ラジカル重合性モノマー、NKエステルAPG−200、新中村化学社製]
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート
[2官能ラジカル重合性モノマー、KS−HDDA、サートマー社]
TMP(PO)TA:トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
[3官能ラジカル重合性モノマー、アロニックスM−310、東亞合成社製、]
【0146】
〔評価〕
<インクジェット画像記録(印画)>
まず、調製されたインク組成物を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過した。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(軟質塩化ビニルシート)への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度センサーで測定した温度によって加温装置を制御することで、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0147】
着弾後は、高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング社製)を用いて紫外線照射(露光)して画像を硬化させ印画物を得た。具体的には、紫外線を、露光面照度100mW/cmに集光し、記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。
【0148】
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01J/cm〜15J/cmの間で調整した。なお、紫外線照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感が無くなるまでとした。
【0149】
(インク組成物の硬化による質量減少)
なお、ここで実施例1〜18および比較例1〜3のインク組成物において、紫外線照射により硬化する前のインク組成物の質量と、当該インク組成物を紫外線照射により硬化及び乾燥して得られる画像の質量との質量比とを測定したところ、インク組成物(硬化前)100に対して、当該インク組成物から得られる画像の質量比は、すべてのインク組成物で、97〜100の範囲であった。
【0150】
上記条件で、インク組成物の吐出安定性、保存安定性、当該インク組成物を用いて画像を形成する際のブロッキング感度、形成して得られた画像(インク組成物の硬化膜)の打ち抜き加工適性及び延伸率(成形性)を評価した。結果を表4に示す。なお、表4中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
【0151】
(保存安定性の評価)
調製したインク組成物を75%RH、60℃で3日保存した後、吐出温度でのインク粘度を測定し、インク粘度の増加分を、保存後/保存前の粘度比で算出した。粘度の変化が1.3以下のものは、保存安定性が良好であり、○と評価した。この数値が1.3を超え、1.5以下であるものを△、数値が1.5を超えると吐出時に目詰まりを起こす場合があり、×と評価した。
【0152】
(吐出安定性の評価)
インクのヘッドノズルでの吐出安定性を評価するために、下記の条件でピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により60分連続吐出におけるノズルロス個数の評価を行った。
実験は、PET基板上に実施例1〜18および比較例1〜3のインク組成物を、下記条件で吐出して、露光(露光量:1000mW/cm)を行った場合のノズルロス数(ノズルが詰まった数)を数えた。
【0153】
−条件−
チャンネル数:318/ヘッド
駆動周波数:4.8kHz/dot
インク滴:7滴、42pl
温度:45℃
【0154】
−評価基準−
○:ノズルロスが0個以上5個未満
△:ノズルロスが5個以上10個未満
×:ノズルロスが10以上
【0155】
(ブロッキング感度評価)
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写を容易に確認できない場合を合格ラインとし、転写を用に確認できる場合を不合格ラインとし、合格ラインに達するまでに要した露光エネルギー量〔mJ/cm〕をブロッキング感度と定義した。
ブロッキング感度の許容範囲は10000mJ/cm以下であり、6,000mJ/cm以下であることが好ましい。
【0156】
(延伸率評価)
実施例1〜18および比較例1〜3の印画物の作製において、記録媒体(軟質塩化ビニルシート)を、ポリカーボネートシート(帝人化成社製)、膜厚500μm)に換え、インクジェット画像記録後の高圧水銀灯による紫外線照射を、積算露光量12,000mJ/cm,照度:2,140mW/cmに換えて紫外線照射した他は同様にして、延伸率評価用の印画物(インクの硬化膜の平均膜厚約12μm)を得た。
得られた延伸率評価用の印画物を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津製作所社製)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。延伸率の許容範囲は200%以上であり、300%以上であることが好ましい。
【0157】
(打ち抜き加工適性評価)
打ち抜き加工適性評価用の印画物を以下に示す方法で成形加工し、得られた印画物成形体を観察し、加工適性を評価した。
【0158】
上記延伸率評価用の印画物を打ち抜き加工適性評価用の印画物として使用した。この印画物を真空成形装置(フォーミング300X、成光産業(株)製)の真空テーブルの中心に図1に示す木型を設置し、支持体である記録媒体の温度が170℃になるようにヒーターの温度を設定した。記録媒体温度が170℃に加熱された後、木型の設置された真空テーブルをテーブル昇降レバーで操作しながらゆっくりと上昇させ、真空成形を行った。成形された印画物(サンプル)を用いて、ハンマーを穴あけポンチ(φ=10mm)に打ちつけることによってサンプルの打ち抜きを行い、下記評価基準により評価した。
−評価基準−
○:穴周辺に割れは光学顕微鏡による確認でもほとんど発生しなかった。
△:穴周辺に目視では確認できない程度の微細な割れが発生した。
×:穴周辺に目視で確認可能な割れが発生した。
【0159】
【表4】

【0160】
表4から明らかなように本発明のインク組成物は、インクの吐出安定性及びブロッキング感度が良好であり、当該インク組成物を用いて得られた画像は打ち抜き特性が優れている。また、インク保存安定性及び画像の延伸性の点でも良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)主鎖の両末端にチオール構造を有するポリチオウレタン、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも1種のポリマー、(ii)重合性モノマー、並びに(iii)重合開始剤、を含有するインク組成物。
【請求項2】
前記チオール構造が2級チオールである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記ポリマーの主鎖骨格に環構造を有する、請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記ポリマーの重量平均分子量が2000〜20万である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記重合性モノマーが単官能モノマーを含み、重合性モノマーに含まれる単官能モノマーの割合が80質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項6】
インク組成物中における重合性モノマーの含有量が50質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項7】
さらに着色剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
インクジェット用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
記録媒体上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程と、
得られた画像に活性エネルギー線を照射することにより、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程と、
を備えた印画物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法により得られる印画物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−77159(P2012−77159A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222618(P2010−222618)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】