説明

インク組成物、画像形成方法及び印画物

【課題】本発明の課題は、得られる画像の耐熱収縮性、画像ながれ適性、延伸性及び打ち抜き加工適性に優れるインク組成物、及びそれを用いた画像形成方法、並びに印画物を提供することにある。
【解決手段】(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、(成分B)重合開始剤、(成分C)単官能重合性化合物及び、(成分D)着色剤を含有し、全重合性化合物の合計含有量に対する前記(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%である、インク組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物、画像形成方法及び印画物に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。これらのうち、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。
【0003】
インクジェット方式は、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の記録媒体にも印字可能である。インクジェット方式では、印字後の液滴の乾燥及び硬化に要する時間が、印画物の生産性又は印字画像の鮮鋭度といった高速化及び高画質化に影響を及ぼしている。
【0004】
インクジェット方式の一つとして、活性エネルギー線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後に活性エネルギー線を照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、ヘミアセタール構造を有する活性エネルギー線硬化型酸素阻害抑制剤を、インク等の分野に適応可能である旨開示されている。
【0006】
又、特許文献2には、ヘミアセタールエステル化合物と、重合性化合物と、重合開始剤とを有するレーザー彫刻用樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−144011号公報
【特許文献2】特開2009−241418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の各技術では、画像形成された印画物の画像が加熱により収縮してしまう現象を抑制すること、すなわち「耐熱収縮性」を向上させることに関しては何ら記載されていない。又、加熱により印画物を成形加工する際に、画像を形成する複数色のインクが混合してしまう現象を抑制すること、すなわち「画像ながれ適性」を向上させることに関しては何ら記載されていない。
更に、印画物の加熱による延伸のしやすさである「延伸性」に関しては何ら記載されていない。又、画像部に対して、穴あけ加工など、より大きな応力が加わった条件下においても、画像部のひび割れを抑制すること(「打ち抜き加工適性」の向上)に関しては何ら記載されていない。
本発明の目的は、得られる画像の耐熱収縮性、画像ながれ適性、延伸性及び打ち抜き加工適性に優れるインク組成物、及びそれを用いた画像形成方法、並びに印画物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するための手段は以下の通りである。
項1.(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、(成分B)重合開始剤、(成分C)単官能重合性化合物及び、(成分D)着色剤を含有し、全重合性化合物の合計含有量に対する前記(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%である、インク組成物。
項2.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が下記式(1)で表される構造である、項1に記載のインク組成物。
【0010】
【化1】


式(1)
【0011】
式(1)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。*は結合位置を示す。
【0012】
項3.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が、下記式(2)で表される構造である、項1に記載のインク組成物。
【0013】
【化2】


式(2)
【0014】
式(2)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。*は結合位置を示す。
【0015】
項4.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が下記式(3)又は式(4)で表される構造である、項1に記載のインク組成物。
【0016】
【化3】


式(3)
【0017】
【化4】


式(4)
【0018】
式(3)及び式(4)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0019】
項5.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物における重合性基が、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基である、項1〜項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
項6.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が重量平均分子量5,000〜100,000である、項1〜項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
項7.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物と、アセタール構造を有さない多官能重合性化合物との総和に対する、前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物の含有量が50質量%〜100質量%である、項1〜項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
項8.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が、(メタ)アクリレート繰り返し単位又はウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を含む、項1〜項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
項9.前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が、ウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を含む、項8に記載のインク組成物。
項10.記録媒体上に、項1〜項9のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット方式により付与して画像を形成する工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程とを含む画像形成方法。
項11.項10の画像形成方法により得られる印画物。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、得られる画像の耐熱収縮性、画像ながれ適性、延伸性及び打ち抜き加工適性に優れるインク組成物、及びそれを用いた画像形成方法、並びに印画物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.インク組成物
本発明のインク組成物は、(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、(成分B)重合開始剤、(成分C)単官能重合性化合物及び、(成分D)着色剤を含有し、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%であることを特徴とする。以下、各成分を単に「(成分A)」、「(成分B)」、「(成分C)」、及び「(成分D)」と記載することがある。
以下、本発明のインク組成物について詳細に説明をする。
【0022】
((成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物)
本発明のインク組成物は、(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物を必須の成分として含有する。本発明における(成分A)は、アセタール構造を有する多官能重合性化合物であれば限定されない。本発明における多官能重合性化合物とは、重合性基を2つ以上有する化合物のことを指す。前記アセタール構造は、下記式(1)で表される構造であることが好ましい。
【0023】
【化5】


式(1)
【0024】
式(1)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。*は結合位置を示す。
【0025】
前記式(1)におけるR及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が更に好ましく、炭素数1のアルキル基が特に好ましい。R及びRで表されるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0026】
本発明における(成分A)のアセタール構造の熱開裂温度は、90度以上200度以下が好ましく、90度以上180度以下が更に好ましい。熱開裂温度はアセタール構造の部位の構造を適宜変更することにより制御することができる。
前記熱開裂時の温度の測定方法は、例えば、(成分A)を5mgを秤量し、熱質量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、20℃/分の昇温速度で40℃から500℃まで加熱をしたときの熱質量測定により求めることが出来る。即ち、40℃から500℃の間で継続的に加熱をしていき、質量が10%減少した温度(Td10)を「熱開裂温度」として、測定することができる。
【0027】
前記アセタール構造は、下記式(2)で表される構造であることがより好ましい。
【0028】
【化6】


式(2)
【0029】
式(2)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。*は結合位置を示す。
【0030】
前記式(2)中のR及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が更に好ましく、炭素数1のアルキル基が特に好ましい。R及びRで表されるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0031】
前記式(2)中のQは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。前記式(2)で表されるQとしては、−SO−又は−CO−が好ましく、−CO−が特に好ましい。
【0032】
前記アセタール構造は、下記式(3)又は式(4)で表される構造であることが更に好ましい。
【0033】
【化7】


式(3)
【0034】
【化8】


(式4)
【0035】
式(3)及び式(4)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0036】
式(3)及び式(4)のZがアルキレン基である場合、前記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。前記アルキレン基は炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。Zで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。
【0037】
式(3)及び式(4)のZがアリーレン基である場合、前記アリーレン基は、炭素数6〜18であることが好ましく、炭素数6〜14であることが更に好ましく、炭素数6〜10であることが特に好ましい。Zで表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基等が挙げられる。
【0038】
式(3)及び式(4)のZがアルキレンオキシ基(−R−O−、Rはアルキレン基)である場合、前記アルキレンオキシ基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。前記アルキレンオキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6が更に好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。Zで表されるアルキレンオキシ基としては、例えば、エチレンオキシ基等が挙げられる。
【0039】
式(3)及び式(4)のZが−COO−基である場合、−COO−基は、−COO−*又は−OCO−*の向きでQに結合していてもよい。前記―COO―*及び−OCO−*における*は、Qに結合する位置を表す。
【0040】
式(3)及び式(4)のZが−NR−基である場合、前記−NR−基のRで表される基は水素原子又はアルキル基を表す。前記アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環を形成していてもよく、炭素数1〜4が好ましい。
【0041】
前記式(3)及び式(4)において、Zは置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0042】
前記式(3)及び式(4)中のZが有していてもよい置換基としては、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)、ヒドロキシル基等が挙げられ、ヒドロキシル基が好ましい(以下、これらの置換基群を「置換基U」とする。)。
【0043】
式(3)及び式(4)中のZは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が組み合わされていてもよい。好ましい基の組み合わせとしては、−COO−基とアルキレン基との組み合わせ、アルキレンオキシ基と−NR−基と−COO−基とアリーレン基との組み合わせ、アルキレンオキシ基とアリーレン基との組み合わせが好ましい。
【0044】
式(3)及び式(4)中のZとしては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基が好ましく、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基が更に好ましい。
【0045】
式(3)及び式(4)中のQは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表し、−CO−、−SO−が好ましく、−CO−が特に好ましい。
【0046】
式(3)及び式(4)中のR及びRがアルキル基である場合、前記アルキル基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。前記アルキレン基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6が更に好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。
【0047】
式(3)及び式(4)中のXはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。前記エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、マレイミド基、ビニルスルホンアミド基、N−ビニルスルホンアミド基、アリル基等が挙げられ、適度な柔軟性を付与する点で(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリレート基が好ましい。なお、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドの少なくとも一方を意味し、他の(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリレート基等に(メタ)を付加する表記もこれと同様である。
【0048】
式(3)及び式(4)におけるZ、Q、R、R及びXの好ましい組み合わせとしては、Zがアルキレン基、アリーレン基又はアルキレンオキシ基であり、Qが−CO−であり、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Xが(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリレート基であることが好ましい。
【0049】
前記式(3)及び式(4)で表される基の具体例としては、例えば、下記(3−1)〜(3−2)又は(4−1)〜(4−10)等で表される基が挙げられる。
【0050】
【化9】


(3−1)
【0051】
【化10】


(3−2)
【0052】
【化11】


(4−1)
【0053】
【化12】


(4−2)
【0054】
【化13】


(4−3)
【0055】
【化14】


(4−4)
【0056】
【化15】


(4−5)
【0057】
【化16】


(4−6)
【0058】
【化17】


(4−7)
【0059】
【化18】


(4−8)
【0060】
【化19】


(4−9)
【0061】
【化20】


(4−10)
【0062】
本発明におけるインク組成物中の(成分A)の割合は、例えば、0.25〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることが更に好ましく、0.5〜10質量%であることが特に好ましい。
【0063】
本発明におけるインク組成物中の(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物と、後述するアセタール構造を有さない多官能重合性化合物との総和に対する、(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物の含有量は50質量%〜100質量%であることが好ましく、70質量%〜100質量%であることが更に好ましく、80質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
【0064】
(成分A)は、分子量300以上2,000未満の低分子化合物であっても、重量平均分子量2,000以上の高分子化合物であってもよい。インク組成物を硬化した後の画像ながれ適性の観点から、(成分A)は重量平均分子量5,000以上の高分子化合物であることが好ましく、重量平均分子量5,000〜100,000であることが更に好ましい。
【0065】
なお重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
【0066】
以下、(成分A)が分子量300以上2,000未満の低分子化合物である場合を詳細に説明する。
【0067】
(成分A)が分子量300以上2,000未満の低分子化合物である場合、以下の一般式(1−L)で表される化合物であることが好ましい。
【0068】
【化21】


(1−L)
【0069】
式(1−L)中、Rは飽和炭化水素又は不飽和炭化水素から水素原子をn個除いた残基を表し、Tは下記式(31)又は式(41)で表される基を表す。nは2〜6の整数を表す。
【0070】
【化22】


式(31)
【0071】
【化23】


式(41)
【0072】
式(31)及び(41)中、Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0073】
式(1−L)中のRで表される飽和炭化水素から水素原子をn個除いた残基における飽和炭化水素は、直鎖構造であっても、分岐構造であっても、環状構造であってもよい。前記飽和炭化水素としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10が更に好ましい。前記飽和炭化水素の具体例としては、例えば、シクロへキサン、エタン、ブタン等が挙げられる。
【0074】
式(1−L)中のRで表される不飽和炭化水素から水素原子をn個除いた残基における不飽和炭化水素は、直鎖構造であっても、分岐構造であっても、環状構造であってもよく、炭素数2〜18が好ましく、炭素数6〜14が更に好ましい。前記不飽和炭化水素の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン等が挙げられる。
【0075】
式(1−L)中のTにおける式(31)及び式(41)中のZ、Q、R、R及びXは、既述の式(3)及び式(4)におけるZ、Q、R、R及びXの定義と好ましい範囲も含めて同様である。
【0076】
式(1−L)中のnは、2〜6の整数を表し、2〜4であることが好ましく、2〜3であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
【0077】
(成分A)が分子量300以上2,000未満の低分子化合物である場合、本発明では以下の化合物(M−1)〜(M−9)を好ましく用いることができる。
【0078】
【化24】


(M−1)
【0079】
【化25】


(M−2)
【0080】
【化26】


(M−3)
【0081】
【化27】


(M−4)
【0082】
【化28】


(M−5)
【0083】
【化29】


(M−6)
【0084】
【化30】


(M−7)
【0085】
【化31】


(M−8)
【0086】
【化32】


(M−9)
【0087】
(成分A)が低分子化合物である場合、(成分A)は、カルボン酸等の酸性化合物と、ビニルエーテル化合物とを、適切な触媒の存在下、常温〜100℃で反応させることで合成できる。このような合成反応は、触媒が存在しない条件でも進行するが、必要に応じて微量の酸触媒を用いることが好ましい。合成に使用される酸触媒としては、ピリジニウム、p−トルエンスルホネート、p−トルエンスルホン酸が重付加と解重合のバランスを良好に保つ点で好ましい。また、合成は、必要に応じて、溶媒を加えて行ってもよい。例えば、反応熱によるヘミアセタールエステル結合の開裂が懸念される場合は、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、或いは、2−ブタノンなどで希釈することが好ましい。
具体的には、(成分A)は、特開2004−126057号公報に記載の方法等で合成されるカルボン酸基含有化合物と、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(アルドリッチ社製)のような市販品として入手可能な多官能ビニルエーテル化合物等を公知の反応条件で反応させることにより合成することができる。又、例えば、「ネットワークポリマー」Vol.22、No.4,p28−37(2001)や「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」、第32巻、p9059−9061(1999年)などの公知の反応条件において、前記2種の化合物を併用して合成することができる。
【0088】
以下、(成分A)が重量平均分子量5,000以上の高分子化合物である場合を詳細に説明する。
【0089】
(成分A)が高分子化合物である場合、(成分A)は、アセタール構造を有する多官能重合性化合物であれば、その高分子構造に限定はない。
【0090】
(成分A)が高分子化合物である場合、高分子構造を形成し得る繰り返し単位としては、公知又は市販のスチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、エステル、ウレタン、ウレア等の繰り返し単位を構成することができる単量体を用いることができる。具体的には、例えば、以下の化合物群で表される単量体等を挙げることができる。
【0091】
―化合物群―
スチレン、p−メトキシスチレン等のスチレン繰り返し単位を構成することができる単量体、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート繰り返し単位を構成することができる単量体、
(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−スルファモイルフェニル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド繰り返し単位を構成することができる単量体、
ジカルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、またジオールとして1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを組み合わせた重縮合生成物等のエステル繰り返し単位を構成することができる単量体、
トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のウレタン繰り返し単位を構成することができるジイソシアネート成分単量体、
アルキレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等のウレタン又はウレア繰り返し単位を構成することができるポリオール成分単量体。
【0092】
この中でも、特に(メタ)アクリレート繰り返し単位又はウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を有することが好ましく、ウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を有することが特に好ましい。
【0093】
(成分A)が高分子化合物である場合、(成分A)は、(i)アセタール構造を側鎖に有する態様、(ii)アセタール構造を主鎖末端に有する態様、(iii)アセタール構造を側鎖及び主鎖末端に有する態様をとりうる。これらの中でも、(成分A)は、アセタール構造を側鎖に有する前記(i)又は(iii)の態様が好ましい。
以下、(成分A)のとりうる3種の態様((i)アセタール構造を側鎖に有する態様、(ii)アセタール構造を主鎖末端に有する態様、(iii)アセタール構造を側鎖と主鎖末端の両方に有する態様)に関して、各々好ましい構造について詳細に説明をする。
【0094】
(i)アセタール構造を側鎖に有する態様
以下、(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する態様の好ましい構造について説明をする。
【0095】
(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する場合、アセタール構造を含む繰り返し単位が下記式(7)で表される構造を有することが好ましい。
【0096】
【化33】


式(7)
【0097】
式(7)中、Xは炭素数1〜10の炭化水素から水素原子を3つ除いた残基である。Wは単結合又はアルキレン基を表す。T´は下記式(32)又は式(42)で表される基を表す。*は結合位置を示す。
【0098】
【化34】


式(32)
【0099】
【化35】


式(42)
【0100】
式(32)及び式(42)中、Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0101】
式(32)及び式(42)におけるZ、Q、R、R及びXは、既述の式(3)及び式(4)におけるZ、Q、R、R及びXの定義と好ましい範囲も含めて(好ましい組み合わせも含めて)同様である。
【0102】
式(7)中のXは、炭素数1〜10の炭化水素から水素原子を3つ除いた残基を表す。炭素数1〜10の炭化水素は、直鎖であっても分岐していてもよい。前記炭化水素は炭素数2〜6が好ましく、3〜5が特に好ましい。具体的には、プロパン、2−メチルプロパン、ブタン、ペンタン、シクロヘキサン等のアルカンから水素原子を3個除いた残基が挙げられる。
【0103】
式(7)中のWは単結合又はアルキレン基を表し、単結合が好ましい。
【0104】
式(7)中のWで表されるアルキレン基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。前記アルキレン基は、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。Wで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。
【0105】
前記式(7)で表される繰り返し単位の具体例(7―1)〜(7―2)を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
【化36】


(7−1)
【0107】
【化37】


(7−2)
【0108】
(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する場合、(成分A)は主鎖に下記式(5)で表される繰り返し単位構造を有することが更に好ましい。
【0109】
【化38】


式(5)
【0110】
式(5)中、Rはアルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表す。*は結合位置を示す。
【0111】
式(5)中のRとして表されるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜16であり、更に好ましくは炭素数1〜12である。前記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよく、環状構造(シクロアルキレン基)であることが好ましい。具体的には、シクロプロピレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
【0112】
式(5)中のRとして表されるアリーレン基としては、炭素数6〜15のアリーレン基であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフタレニレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。
【0113】
式(5)中のRは、アルキレン基またはアリーレン基が組み合わされていてもよい。好ましい基の組み合わせとしては、炭素数1〜12のアルキレン基と炭素数6〜15のアリーレン基の組み合わせが好ましい。
【0114】
式(5)中のRは置換基を有していても置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0115】
これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、前述の式(3)におけるZが有していてもよい置換基Uが挙げられる。
【0116】
(成分A)高分子化合物における式(5)で表される繰り返し単位の具体例(5−1)〜(5−4)を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0117】
【化39】


(5−1)
【0118】
【化40】


(5−2)
【0119】
【化41】


(5−3)
【0120】
【化42】


(5−4)
【0121】
(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する場合、(成分A)は上記式(5)で表される繰り返し単位に加えて、更に下記式(6)で表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
【0122】
【化43】


式(6)
【0123】
式(6)中、Rはアルキレン基を表す。nは、1〜10の整数を表す。
【0124】
前記式(6)で表されるアルキレン基は、直鎖構造であっても環状構造であっても分岐していてもよい。前記アルキレン基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。
【0125】
(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する場合、下記一般式(A´)の構造を有することが特に好ましい。
【0126】
【化44】


式(A´)
【0127】
式(A´)中、Rはアルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表す。Rはアルキレン基を表す。nは、1〜10の整数を表す。Xは炭素数1〜20の炭化水素から水素原子を3つ除いた残基である。Wは単結合又はアルキレン基を表す。T´は下記式(34)又は式(44)で表される基を表す。*は結合位置を示す。a、b及びcは構成比(モル基準)を表し、a、b及びcの総和は100である。
【0128】
【化45】


式(34)
【0129】
【化46】


式(44)
【0130】
式(34)及び式(44)中、Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0131】
式(A´)におけるRは、好ましい範囲も含めて、前記式(5)中のRと同様である。
【0132】
式(A´)におけるRは、好ましい範囲も含めて、前記式(6)中のRと同様である。
【0133】
式(A´)におけるX、W及びT´は、好ましい範囲も含めて、前記式(7)中のX、W及びT´と同様である。
【0134】
式(A´)において、a、b及びcは、(成分A)における構成比を表し、a,b及びcの総和は100となる(構成比はモル基準である)。50≦a+b≦99かつ1≦c≦50であることが好ましく、50≦a+b≦90かつ10≦c≦50であることが更に好ましい。
【0135】
(成分A)がアセタール構造を側鎖に有する態様の合成方法としては、例えば、特定構造を有するジオール等のモノマーを、公知の重縮合反応を行うことにより合成することが出来る。具体的には、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(和光純薬工業(株)社製)等を出発原料として、J.Am.Chem.Soc.2002,Vol124,p1590等を参考にしてビニルエーテル化を行い、メタノール溶液等を用いて脱アセタール化することでビニルエーテル基を有するジオールを合成することができる。前述の方法でビニルエーテル基含有単量体を重合させてなるビニルエーテル基含有高分子化合物を合成し、更に色材、第67巻、第12号、第766〜774頁、1994年刊、色材、第69巻、第11号、第735〜742頁、1996年刊等に記載があるカルボン酸含有モノマーと反応させることにより側鎖にアセタール構造を有する高分子化合物を得ることが出来る。又、特開2005−250438号公報[0089]〜[0092]に記載のカルボン酸を側鎖に有するジオール等の単量体を用いて、公知の重縮合反応を行った後に、ビニルエーテルモノマーを反応させることによっても合成することができる。
【0136】
(ii)アセタール構造を主鎖末端に有する態様
以下、アセタール構造を主鎖末端に有する態様の好ましい構造について説明をする。
【0137】
(成分A)がアセタール構造を主鎖末端に有する場合、主鎖の高分子構造において、主鎖構造の少なくともいずれか一方に含まれていればよいが、両末端に含まれていてもよく、主鎖構造の両末端に含まれることが好ましい。又、末端構造が分岐して複数のアセタール構造を有していてもよい。(成分A)がアセタール構造を主鎖末端に有する場合、下記式(33)又は式(43)で表される構造を主鎖末端に有することが好ましい。
【0138】
【化47】


式(33)
【0139】
【化48】


式(43)
【0140】
式(33)及び(43)中、Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。
【0141】
式(33)及び式(43)におけるZ、Q、R、R及びXは、既述の式(3)及び式(4)におけるZ、Q、R、R及びXの定義と好ましい範囲も含めて同様である。
【0142】
(成分A)がアセタール構造を主鎖末端に有する場合、(成分A)は下記式(51)で表される構造を有することが好ましい。
【0143】
【化49】


式(51)
【0144】
式(51)中、Rはアルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表す。*は結合位置を示す。
【0145】
式(51)中のRは、好ましい範囲も含めて前述の式(5)中のRと同様である。
【0146】
(成分A)が前記式(51)で表される構造を有する場合、式(51)で表される構造を有する構成単位(モノマー)の割合は、例えば、全構成単位(モノマー)中、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。
【0147】
(成分A)がアセタール構造を主鎖末端に有する場合、(成分A)は上記式(51)に加えて更に下記式(61)で表される構造を有することがより好ましい。
【0148】
【化50】


式(61)
【0149】
式(61)中、Rはアルキレン基を表す。nは、1〜10の整数を表す。*は結合位置を示す。
【0150】
式(61)中のRは、好ましい範囲も含めて前述の式(6)中のRと同様である。
【0151】
(成分A)が前記式(61)で表される構造を有する場合、式(61)で表される構造を有する構成単位(モノマー)の割合は、例えば、全構成単位(モノマー)中、20〜100質量%が好ましく、より好ましくは35〜100質量%、特に好ましくは40〜100質量%である。
【0152】
(成分A)が主鎖末端にアセタール構造を有する態様の合成方法としては、ポリウレタン、ポリエステルなどの公知の重縮合、または重付加反応により合成される高分子化合物を、活性水素基を有するビニルエーテル化合物等で停止反応を行うことにより前駆体を合成し、更に該前駆体に、色材、第69巻、第11号、第735〜742頁、1996年刊等に記載のカルボン酸基含有重合性化合物を反応させる方法により合成することができる。
【0153】
(iii)アセタール構造を側鎖及び主鎖末端に有する態様
以下、アセタール構造を側鎖及び主鎖末端に有する態様の好ましい構造について説明をする。
(成分A)がアセタール構造を側鎖及び主鎖末端に有する場合、前記(i)アセタール構造を側鎖に有する態様において主鎖構造が好ましく有する構造に加えて、更に(ii)アセタール構造を主鎖末端に有する態様において主鎖末端が好ましく有する基を有することが好ましい。より具体的には、主鎖構造として、前記式(A´)の構造を有し、かつ、主鎖末端構造として式(33)又は式(43)の基を有することが好ましい。
【0154】
(成分A)がアセタール構造を側鎖及び主鎖末端に有する態様の合成方法としては、前述のアセタール構造を側鎖に有する態様の合成方法と、主鎖末端に有する態様の合成方法を組み合わせて合成することができる。
【0155】
本発明における(成分A)が高分子化合物である場合の具体例を以下に挙げる。本発明の(成分A)高分子化合物は以下の具体例に限定されない。
【0156】
【化51】

【0157】
【化52】

【0158】
【化53】

【0159】
【化54】

【0160】
((成分B)重合開始剤)
本発明のインク組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれであってもよいが、本発明では、光重合開始剤が好ましく挙げられる。光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を、重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。光重合開始剤において、重合を開始させる光とは、活性照射線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等を示し、好ましくは、紫外線である。
【0161】
光重合開始剤としては、公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0162】
これらの光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。本発明における光重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
【0163】
(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
【0164】
これらのなかでも、本発明において、光重合開始剤として芳香族ケトン類又はアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することが好ましく、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819:BASF・ジャパン社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Darocur TPO:BASF・ジャパン社製、Lucirin TPO:BASF・ジャパン社製)などが好ましい。
【0165】
重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物における重合開始剤の含有量は、インク組成物に対して、2〜25質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。
【0166】
((成分C)単官能重合性化合物)
本発明のインク組成物は(成分C)単官能重合性化合物を含有し、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%であることを必須とする。
【0167】
本発明のインク組成物中の全重合性化合物中の(成分C)単官能重合性化合物の含有量は80〜99.5質量%であり、85〜99質量%が好ましく、90〜99質量%であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物に用いられる単官能重合性化合物とは、重合性基を1個有する重合性化合物であれば限定されない。
本発明のインク組成物に用いられる単官能重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物のいずれであってもよいが、本発明では、ラジカル重合性化合物が好ましく、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。より具体的には、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればよい。
【0168】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーの一例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびこれらの塩;エチレン性不飽和基を有する無水物;アクリロニトリル;スチレン等が挙げられる。また、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタンなどのマクロモノマー等も挙げられる。
【0169】
このような単官能化合物としては、例えば、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマールアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性アクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート等のアクリレート化合物;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリレート化合物;アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物等が挙げられる。
【0170】
また、単官能ビニルエーテル化合物も好適に挙げられる。単官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、等が挙げられる。
【0171】
その他、N−ビニルラクタム類、N−ビニルフォルムアミド等のN‐ビニル化合物も好適に挙げられる。N−ビニルラクタム類の好ましい例は下記式で表される。
【0172】
【化55】

【0173】
上記、mは1〜5の整数を表し、mは2〜4の整数であることが好ましく、mが2又は4であることがより好ましく、mが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。
【0174】
−カチオン重合性化合物−
本発明で用いることができる単官能重合性化合物として、カチオン重合性化合物も挙げられる。光酸発生剤から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性の化合物を使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0175】
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
【0176】
本発明における、単官能重合性化合物の分子量としては、好ましくは130〜3000であり、130〜500がより好ましい。
【0177】
(アセタール構造を有さない多官能重合性化合物)
本発明のインク組成物は、アセタール構造を有さない多官能重合性化合物を含んでいても良い。
アセタール構造を有さないラジカル重合可能な多官能化合物としては、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパン(PO変性)トリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のアクリレート化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレート化合物等が挙げられる。その他、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物も挙げられる。なお、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性の化合物を用いることができる。
【0178】
また、アセタール構造を有さない多官能ビニルエーテルも挙げられる。前記多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0179】
また、アセタール構造を有さないラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
【0180】
本発明における、アセタール構造を有さない多官能重合性化合物の分子量としては、分子量として、好ましくは130〜3000であり、130〜500がより好ましい。
【0181】
((成分D)着色剤)
本発明のインク組成物は、着色剤を含有する。インク組成物に着色剤を添加することで、可視画像(有色画像)を形成しうるインク組成物とすることができる。
本発明のインク組成物に用いることのできる着色剤は、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の着色剤、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。また、染料としては、水溶性染料および油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
【0182】
−顔料−
まず、本発明のインク組成物における着色剤として好ましく使用される顔料について述べる。
前記顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0183】
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0184】
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0185】
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0186】
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
【0187】
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
【0188】
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
【0189】
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
【0190】
顔料の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
【0191】
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、ルーブリゾール社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1質量部〜50質量部添加することが好ましい。
【0192】
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線硬化型のインクとして好適であり、インクを記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。
【0193】
インク組成物中の顔料粒子の体積平均粒径は、0.02μm〜0.60μmであることが好ましく、より好ましくは0.02μm〜0.10μmである。また、最大粒径は3μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、そのような範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。なお、上記体積平均粒径は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(LA920、(株)堀場製作所製)を用いて、トリプロピレングリコールメチルエーテルを測定溶媒として測定されるものである。
【0194】
−染料−
次に、本発明における着色剤として好ましく使用される染料について述べる。
染料としては、従来公知の化合物(染料)から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落番号〔0023〕〜〔0089〕、特開2008−13646号公報の段落番号〔0136〕〜〔0140〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
【0195】
前記着色剤はインク組成物中、インク組成物の全質量に対して0.05質量%〜20質量%添加されることが好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましい。着色剤として油溶性染料を用いた場合には、インク組成物の全質量(溶媒を含む)に対して、0.2質量%〜6質量%が特に好ましい。
【0196】
<水>
本発明のインク組成物は実質的に水を含有しない、非水性インク組成物であることが好ましい。具体的には、インク組成物全量に対して、3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0197】
<その他の成分>
さらに、本発明のインク組成物は上記以外の成分を添加することができる。以下順次説明する。
【0198】
(連鎖移動剤)
本発明のインク組成物は、更に連鎖移動剤を含有していてもよい。
前記連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動反応により、反応の活性点を移動させる物質であれば特に制限なく使用することができる。
【0199】
本発明に用いうる連鎖移動剤の具体例としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化合物;イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;2−メチル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン類;含イオウ化合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
連鎖移動剤の分子量は250以上が好ましく、特に250以上100,000以下が更に好ましく、500以上80,000以下がより好ましく、3,000以上80,000以下が特に好ましい。
【0201】
連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物への連鎖移動剤の添加量は、インク組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
【0202】
(増感色素)
本発明のインク組成物には、重合開始剤の活性エネルギー線照射による分解を促進させるために増感色素を添加することができる。
【0203】
増感色素は、インク組成物に使用される重合開始剤に開始種を発生させる活性エネルギー線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられ、多核芳香族類およびチオキサントン類が好ましい類として挙げられる。
また、特開2008−95086号公報記載の増感色素も好適である。
【0204】
(共増感剤)
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Science」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0205】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0206】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
【0207】
(紫外線吸収剤)
本発明のインク組成物には、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
【0208】
(酸化防止剤)
本発明のインク組成物には、酸化防止剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0209】
(褪色防止剤)
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。 有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。
また、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0210】
(導電性塩類)
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
【0211】
(溶剤)
本発明のインク組成物には、溶剤を含まないことが好ましいが、極微量の非硬化性の有機溶剤を添加してもよい。インク組成物の溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
【0212】
(高分子化合物)
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種油溶性の高分子化合物を添加することができる。
油溶性高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、本発明のインク組成物を膜としたときに、タック性改善等の目的で表面に偏析しやすい高分子化合物も好適である。これらの高分子化合物は特開2008−248119号公報段落番号〔0017〕〜〔0037〕、特開2005−250890号公報段落番号〔0015〕〜〔0034〕などに記載されたSi、F原子を含む高分子、長鎖アルキル基を側鎖に有する高分子などが利用可能である。
【0213】
(界面活性剤)
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。
有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
【0214】
この他にも、必要に応じて、例えば、重合禁止剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤー(粘着付与剤)などを含有させることができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシベンゾキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、メルカプトベンズイミダゾール、アルキルジチオカルバミン酸塩類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、サリチル酸塩類、チオジプロピオン酸エステル類、ホスファイト類、ニトロキサイドアルミニウム錯体などが挙げられる。具体的には、Gerorad16,18,20,21、22、(Rahn社製)等が挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
【0215】
(インク組成物の好ましい物性)
本発明のインク組成物は、インクジェット用途で好適に用いられる、このため、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、7mPa・s〜30mPa・sであることが好ましい。より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。
【0216】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に好適に用いられる。インクジェット記録に適用する場合には、本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物にエネルギー線を照射して硬化して記録を行う。
【0217】
本発明者らは、(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、(成分B)重合開始剤、(成分C)単官能重合性化合物及び、(成分D)着色剤を含有し、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%とすることにより本発明の効果が達成されることを見出した。このメカニズムに関しては明らかにはなっていないが、本発明者らは下記のように推察する。
即ち、アセタール構造を介して熱開裂性の架橋構造が形成される結果、加熱時の硬化による内部応力が緩和され耐熱収縮性等を向上させていると推察される。更に、(成分C)単官能重合性化合物の全重合性化合物に対する含有量を80質量%〜99.5質量%とすることにより、膜に適度な柔軟性が付与され延伸性が向上していると考察される。この結果、常温では架橋構造が維持され強固な膜を形成でき、更に、加熱時にアセタール結合が開裂することによる内部応力の緩和がなされるため、本発明の効果を向上させていると推察される。
尚、上記メカニズムは推察であり、本発明は上記メカニズムに限定されるものではない。
【0218】
2.画像形成方法及び印画物
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に、本発明のインク組成物を、市販の装置を含んだ公知のインクジェット記録装置等を用いたインクジェット方式により付与して画像を形成する工程と、得られた画像に活性エネルギー線を照射して、前記インク組成物を硬化させる画像形成方法と、を含む。更に、前記画像形成方法は、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程を含んでいても良い。
【0219】
本発明の画像形成方法に適用し得る記録媒体(基材)としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム、塩化ビニルシート等を挙げることができる。その他、記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。更に、本発明に適用しうる被記録材料としては、平版印刷版の支持体が挙げられる。
【0220】
本発明の画像形成方法に適用される活性エネルギー線としては、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線などが挙げられる。活性エネルギー線のピーク波長は、200nm〜600nmであることが好ましく、300nm〜450nmであることがより好ましく、350nm〜420nmであることが更に好ましい。また、活性エネルギー線の出力は、2,000mW /cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mW/cm〜2,000mW/cmであり、更に好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmであり、特に好ましくは、50mW/cm〜800mW/cmである。
【0221】
特に、本発明の画像形成方法では、活性エネルギー線照射が、発光波長ピークが350nm〜420nmであり、かつ、前記記録媒体表面での最高照度が10mW/cm〜2,000mW/cmとなる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。本発明のインク組成物は、発光ダイオードの発する光のような、低露光量の光でも高感度で硬化する。
【0222】
本発明の画像形成方法においては、活性エネルギー線の照射は、全色を吐出した後まとめて露光することが可能だが、1色毎に露光することが好ましい。
【0223】
また、本発明のインク組成物は、前記したように、一般的な印画物の画像形成に好適に用いられる他、支持体等の記録媒体に画像を形成した後に加工を施す態様においても好適に用いることができる。
【0224】
前記印画物を用いて、印画物成形体を加工成形してもよい。印画物成形体は、記録媒体上に、本発明のインク組成物をインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程と、得られた画像に活性エネルギー線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程と、前記印画物を成形加工して印画物成形体を得る工程と、を含む本発明の印画物成形体の製造方法により製造される。
印画物成形体の製造に用いられる記録媒体としては、成形可能な樹脂材料からなる記録媒体が用いられ、例えば、PET、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0225】
前記印画物成形体を作製するための加工方法としては、真空成形や圧空成形或いは真空圧空成形が最も好適である。真空成形は原理的に、平坦な支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却するものであり、圧空成形は金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却するものである。また、真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行うものである。
【実施例】
【0226】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
【0227】
<顔料分散物の調製>
次に示す顔料、分散剤、溶媒を混合して、各色の顔料分散物(Y1、M1、C1、K1及びW1)を調製した。
【0228】
イエロー顔料分散物(Y1)
・顔料:C.I.ピグメントイエロー12…10部
・分散剤:高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕…5部
・単官能モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート〔ビスコート#192、大阪有機化学社製、ラジカル重合性モノマー〕…85部
【0229】
マゼンタ顔料分散物(M1)
・顔料:C.I.ピグメントレッド57:1…15部
・分散剤:高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕…5部
・単官能モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート…80部
【0230】
シアン顔料分散物(C1)
・顔料:C.I.ピグメントブルー15:3…20部
・分散剤:高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕…5部
・単官能モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート…75部
【0231】
ブラック顔料分散物(K1)
・顔料:C.I.ピグメントブラック7…20部
・分散剤:高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕…5部
・単官能モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート…75部
【0232】
ホワイト顔料分散物(W1)
・顔料:MICROLITH WHITE R−A(BASF・ジャパン社製)…20部
・分散剤:高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、ソルスパース32000〕…5部
・単官能モノマー:2−フェノキシエチルアクリレート…75部
【0233】
<(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物の合成>
(成分A)として以下に示す低分子化合物(M−1)〜(M−9)を、特開2009−241418号公報に記載の方法を参考にして合成を行った。
【0234】
【化56】


(M−1)
【0235】
【化57】


(M−2)
【0236】
【化58】


(M−3)
【0237】
【化59】


(M−4)
【0238】
【化60】


(M−5)
【0239】
【化61】


(M−6)
【0240】
【化62】


(M−7)
【0241】
【化63】


(M−8)
【0242】
【化64】


(M−9)
【0243】
((P−1)の合成)
200ml三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアナート4.7g、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000)20g、2−ブタノン56g中、ネオスタンU−600(ビスマス系触媒、日東化成社製)0.02gを添加し、70℃で12時間加熱した。2−ヒドロキシエチルビニルエーテルを2g添加し、さらに4時間反応させ末端にビニルエーテル基を有するポリウレタンを得た。その後、アクリル酸1.7g、リン酸0.04gを添加し、40℃にて24時間反応した。大量のメタノール/水混合液へ注ぎ、3回再沈精製を行った。その後、50℃にて減圧乾燥を行い(P−1)を得た。
【0244】
((P−2)〜(P−4)の合成)
反応時間を変更した以外は、(P−1)と同様にして、(P−2)、(P−3)及び(P−4)を合成した。
【0245】
((P−5)〜(P−13)の合成)
(P−5)〜(P−13)は、対応する原料を用いて(P−1)と同様の方法で合成することができた。
【0246】
((P−14)の合成)
2−ブタノン38gを入れ70℃に加熱した200ml三つ口フラスコに、2−ブタノン38g、アクリル酸4.56g、メタクリル酸メチル14g、開始剤としてV−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、和光純薬社製、重合開始剤)を0.28gを添加した液を2時間かけて添加し、窒素気流下70℃に加熱した。滴下後2時間反応した。開始剤としてV−601を0.28gをさらに追加し4時間反応した。室温まで放冷後VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル)13.4g、リン酸0.03gを添加し24時間反応した。大量のメタノール/水混合液へ注ぎ、3回再沈精製を行った後、50℃にて減圧乾燥を行い(P−14)を得た。
【0247】
((P−15)〜(P−16)の合成)
(P−15)〜(P−16)は、対応する原料を用いて(P−14)と同様の方法で合成することができた。
【0248】
【化65】

【0249】
【化66】

【0250】
【化67】

【0251】
【化68】

【0252】
<インク組成物の調製>
−実施例1−
次に示す成分を混合して、実施例1のインク組成物を調製した。なお、特に単官能モノマー成分については、上記顔料分散物中に存在する単官能モノマーも含めた単官能モノマー全量が、表1に記載の量(単位は質量部)となるように、調製して混合した。
【0253】
・N−ビニルカプロラクタム(V−CAP、BASF社製、ラジカル重合性化合物、(成分C)単官能重合性化合物)…25.9部
・IBOA(イソボルニルアクリレート、(成分C)単官能重合性化合物)…20.0部
・FA−513(ジシクロペンタニルアクリレート、(成分C)単官能重合性化合物)…15.0部
・ACMO(アクリロイルモルホリン、(成分C)単官能重合性化合物)…5.0部
・M−1((成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物)…5.0部
・Lucirin TPO(BASF社製、(成分B)重合開始剤)…6.0 部
・p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製、(成分B)重合開始剤)…4.0 部
・顔料分散物(K1)((成分D)着色剤)…8.9部
【0254】
―実施例2〜33、比較例1−
(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、(成分C)単官能重合性化合物及び(成分D)着色剤としての顔料分散物の種類及び添加量を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜33、比較例1を調製した。
【0255】
表1の略称は以下を示す。
NVC:N−ビニルカプロラクタム
IBOA:イソボルニルアクリレート
FA−513:ジシクロペンタニルアクリレート
ACMO:アクリロイルモルホリン
PEA:2−フェノキシエチルアクリレート
NPGPODA:多官能モノマー、サートマー社製、下記構造
【0256】
【化69】

【0257】
〔評価〕
<インクジェット画像記録>
まず、調製されたインク組成物を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過した。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(軟質塩化ビニルシート)への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度センサーで測定した温度によって加温装置を制御することで、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpi(dot per inch)の解像度で射出できるよう駆動し、ベタ画像を作製した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0258】
着弾後は、高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング社製)を用いて紫外線照射(露光)して画像を硬化させ印画物を得た。具体的には、紫外線を、露光面照度100mW/cmに集光し、記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。
【0259】
記録媒体に対する距離及び搬送速度の設定に応じて、露光エネルギーを0.01J/cm〜15J/cmの間で調整し、画像面の粘着感が無くなるまで露光を行った。
【0260】
下記条件で、インク組成物の耐熱収縮性、打ち抜き加工適性及び高温弾性率を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
【0261】
(延伸性評価)
実施例1〜33および比較例1の印画物の作製において、記録媒体(軟質塩化ビニルシート)を、FassonPE(Fasson社製ポリエチレンフイルム:膜厚100μm)に換え、インクジェット画像記録後の高圧水銀灯による紫外線照射を、積算露光量12,000mJ/cm、照度:2,140mW/cmに換えて紫外線照射した他は同様にして、延伸率評価用の印画物を得た。
得られた延伸性評価用の印画物を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津製作所社製)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義し測定した。表1に延伸率の具体的数値を示す。延伸性の実用上の許容範囲は200%以上であり、300%以上が延伸性に優れた結果である。
【0262】
(打ち抜き加工適性評価)
インクジェット画像記録で作製した画像を用いて、ハンマー(1.5kg)を穴あけポンチ(φ=10mm)(ポンチ、TRUSCO社製)に打つけることによってサンプルの打ち抜きを行い、下記評価基準により評価した。
−評価基準−
A:穴周辺に割れは光学顕微鏡による確認でもほとんど発生しなかった。
B:穴周辺に目視では確認できない程度の微細な割れが発生した。
C:穴周辺に目視で確認可能な割れが発生した。
【0263】
(高温弾性率評価)
前記インクジェット画像記録の方法にて、膜厚100μmとなるように画像(インク組成物の硬化膜)を形成した。得られた膜厚100μmのインク組成物の硬化膜を、粘弾性測定機(アイティー計測制御株式会社製、DVA−225)を用いて90℃における貯蔵弾性率E’の測定を行い、下記評価基準により評価した。
−評価基準−
A:90℃における弾性率が、2MPaを超える。
B:90℃における弾性率が、1MPaを超え2MPa以下である。
C:90℃における弾性率が1MPa以下である。
【0264】
(耐熱収縮性評価)
上記インクジェット画像記録で作製した画像に対して、延伸率100%となるよう加熱延伸を行った。前記加熱延伸を行ったサンプルに、直径50mmの打ち抜きを行い、90℃、85%RHの恒温槽にて2週間放置し、打ち抜き穴周辺の縮み、剥がれを目視、50倍光学顕微鏡にて下記評価基準により評価した。
−評価基準−
A:変化なし。
B:顕微鏡にてわかる微小な剥がれあり。
C:目視で確認できる剥がれあり。
【0265】
(画像ながれ適性評価)
<樹脂成形品の製造方法>
基材として軟質塩化ビニルシートの代わりに厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(商品名パンライト、帝人化成社製)を用いて一辺1mmの碁盤目状の模様を印字し20μm程度の膜厚の印画層を形成した。
印画面にさらに塩化ビニル系樹脂(大日精化(株)VM−PEARL)を塗布し、厚さ3μmの接着剤層を設け加飾シートとした。
樹脂の成形には、射出成型機(IS80FPA3、東芝機械社製)を用いた。前記加飾シートを挿入した金型に、250度に加熱したABS樹脂を射出し、放冷後離型し樹脂成形品を得た。
その後、製造装置より引き剥がすことにより樹脂成形品を得た。尚、樹脂成形品の製造方法に関しては、特開2005−262452号公報を参考にして製造を行った。
冷却した後、裏面から碁盤目の変化を目視にて確認し、加熱による成形加工を行う際に、印画物を形成する画像のインクが混じる現象である画像ながれに関して下記評価基準で目視又は光学顕微鏡にて評価を行った。
−評価基準−
A:画像ながれがなかった。
B:画像ながれは目視では確認できなかったが、光学顕微鏡で画像を100倍に拡大すると確認できた。
C:画像ながれが目視で確認できた。
尚、A及びBが実用上の許容範囲である。
【0266】
【表1】

【0267】
上記結果より、実施例は延伸率が高く、打ち抜き加工適性、耐熱収縮性及び画像ながれ適性に優れた印刷物が作製できる事が示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物、
(成分B)重合開始剤、
(成分C)単官能重合性化合物及び、
(成分D)着色剤
を含有し、
全重合性化合物の合計含有量に対する前記(成分C)単官能重合性化合物の含有量が80質量%〜99.5質量%である、インク組成物。
【請求項2】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が下記式(1)で表される構造である、請求項1に記載のインク組成物。
【化1】


式(1)
(式(1)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。*は結合位置を示す。)
【請求項3】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が下記式(2)で表される構造である、請求項1に記載のインク組成物。
【化2】


式(2)
(式(2)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。*は結合位置を示す。)
【請求項4】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物におけるアセタール構造が下記式(3)又は式(4)で表される構造である、請求項1に記載のインク組成物。
【化3】


式(3)
【化4】


式(4)
(式(3)及び式(4)中、R及びRは各々独立して、水素原子又はアルキル基を表す。Qは−CO−、−SO−、−C−又は−PO−を表す。Zは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−COO−基及び−NR−基(Rは水素原子又はアルキル基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は単結合を表す。Xはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性基を表す。*は結合位置を示す。)
【請求項5】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物における重合性基が、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が、重量平均分子量5,000〜100,000である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物と、アセタール構造を有さない多官能重合性化合物との総和に対する、前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物の含有量が50質量%〜100質量%である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が、(メタ)アクリレート繰り返し単位又はウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記(成分A)アセタール構造を有する多官能重合性化合物が、ウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)を含む、請求項8に記載のインク組成物。
【請求項10】
記録媒体上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット方式により付与して画像を形成する工程と、
前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程とを含む画像形成方法。
【請求項11】
請求項10の画像形成方法により得られる印画物。

【公開番号】特開2012−153853(P2012−153853A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16391(P2011−16391)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】