説明

インサイチュー配列決定用ポロニー蛍光ビーズ

小型化された、高密度のビーズ系アレイを提供する。クローンビーズを製造および使用する方法、ならびに小型化された、高密度のビーズ系アレイを製造および使用する方法も提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、小型化された高密度のビーズ系アレイ、小型化された高密度のビーズ系アレイを製造および使用する方法、ならびに該アレイの構成要素を製造および使用する方法に関する。なお、本出願は、2004年2月27日出願の米国特許仮出願第60/548,631号の優先権の恩典を主張し、事実上その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
政府の権益の記載
本発明は、DARPAが与える助成金番号F30602-01-2-0586およびエネルギー省が与える助成金番号DE-FG02-02ER63445の政府の援助を受けて成されたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ポリメラーゼコロニー(ポロニー(polony))法は、単分子増幅法であり、その方法により、それぞれ個々の分子の配列を高度に並列的に解明することが可能となる。しかし、ポロニー法のスループットは、数十から数千ミクロンの範囲である個々のコロニーの大きさに反比例する。
【0004】
クローンミクロスフェア(すなわちクローン増幅されたDNAを載せるビーズ)の集団を発生させるための方法は、当技術分野で公知である(例えば、Dressman (2003) Proc. Natal. Acad. Sci. USA 100:8817(非特許文献1); Brenner et al. (2000) Nat. Biotech. 18:630(非特許文献2))。しかし、これらの方法はいくつかの欠点に悩んでいる。Dressmanらの著作では、稼働に費用がかかり、数億個のビーズをを処理するには低すぎるスループット(すなわち1秒あたり70,000イベント未満)に悩む蛍光標示式細胞分取(FACS)によりビーズが分析される。Brennerらの著作では、物理的充填がビーズの散乱を制限するようにビーズが操作され、充填された平面アレイが形成される。
【0005】
【非特許文献1】Dressman (2003) Proc. Natal. Acad. Sci. USA 100:8817
【非特許文献2】Brenner et al. (2000) Nat. Biotech. 18:630
【発明の開示】
【0006】
概要
本発明は、効率的で、費用効率の高いビーズ系アレイの製造のための新規な方法を見出したことに一部基づく。そのようなアレイは、遺伝学の研究および診断への適用に特に有用である。本明細書に記載した方法および組成物は、数千万から数十億の別個の核酸配列を妥当な時間で経済的なやり方で問い合わせできるようにする。
【0007】
本発明の態様は、ビーズ系アレイおよびビーズ系アレイを作製する方法を目的とする。ある態様によると、多数のビーズを有するアレイが提供され、ここで、個々のビーズは、それらに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、実質的に同一の核酸配列の集団は、他のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる。多数のビーズを半流動培地中に固定化してアレイを形成する。ポリアクリルアミド、セルロース、ポリアミド、架橋アガロース、架橋デキストラン、または架橋ポリエチレングリコールから半流動培地を作製できる。ある局面では、半流動培地はx、y、およびz軸を有し、多数のビーズはそのxおよびy軸に対してランダムに配置される。それらのビーズを、例えば半流動培地の上面近くに単層として固定化できる。
【0008】
ある局面では、半流動培地を、顕微鏡用スライドまたはフローセルのような固体支持体に付着できる。固体支持体を半流動培地の底面に付着できる。
【0009】
他の局面では、実質的に同一の核酸配列の2つ、3つ、または4つの異なる集団を、それらのビーズに付着できる。他の局面では、それらのビーズはクローンビーズである。なお他の局面では、それらのビーズはライブラリーを含む。
【0010】
他の態様では、
実質的に同一の核酸配列の集団が付着した多数のビーズを提供する段階;
それらのビーズを半流動培地中に固定化してアレイを形成する段階;
その実質的に同一の核酸配列の集団を増幅して、実質的に同一の核酸配列の増幅された集団が付着した多数のビーズを形成する段階;
を含むビーズ系アレイを作製する方法を提供する。ある局面では、半流動培地は増幅プライマーを含む。他の局面では、半流動培地は、陽イオン性脂質、ポリアミン、またはポリカチオンのようなその半流動培地中で間隙を形成する添加剤を含む。
【0011】
他の態様では、
実質的に同一の核酸配列の集団が付着した多数のビーズを提供する段階;
その実質的に同一の核酸配列の集団を増幅して、実質的に同一の核酸配列の増幅された集団が付着した多数の固定化ビーズを形成する段階;
を含むビーズ系アレイを作製する方法を提供する。次に、それらのビーズを半流動培地中に固定化してアレイを形成する。ある局面では、エマルジョンPCRにより増幅を行う。
【0012】
なお他の態様では、
実質的に同一の核酸配列の集団が付着した多数のビーズを提供する段階;
その実質的に同一の核酸配列の集団を増幅して、実質的に同一の核酸配列の増幅された集団が付着した多数のビーズを形成する段階;
を含むビーズ系アレイを作製する方法を提供する。実質的に同一の核酸配列の増幅された集団が付着した多数のビーズを濃縮して、ビーズの濃縮された集団を形成し、それらのビーズを半流動培地中に固定化してアレイを形成する。
【0013】
本発明の態様は、第一の核酸配列が付着したビーズの集団を濃縮するための方法を目的とする。これらの方法は、ビーズの集団を提供する段階を含み、ここで、その集団の少なくとも一部は第一の核酸配列が付着したビーズを含む。そのビーズの集団を第一の核酸配列に相補的な第二の核酸配列と接触させ、そのビーズの集団および第二の核酸配列を一緒にインキュベートし、ハイブリダイゼーションが起こり、ハイブリダイズしたビーズの集団とハイブリダイズしないビーズの集団とを形成するようにする。次に、ハイブリダイズしたビーズの集団をハイブリダイズしないビーズの集団と分離する。ある局面では、第二の核酸を捕捉ビーズ上に固定化する。他の局面では、ハイブリダイズしたビーズの集団を、ハイブリダイズしないビーズの集団と密度または親和性により分離する。
【0014】
別の態様によると、多数のビーズが半流動培地中に固定化したアレイを含むキットが提供され、そのキットでは、実質的に同一の核酸配列の集団がそれらのビーズに付着している。
【0015】
詳細な説明
本発明は、増幅されたDNAを載せる多くのミクロスフェアを調製する方法およびそのアレイを形成する方法を提供する。次に、単一で少量の試薬を使用して、アレイのビーズの増幅されたDNAに様々なハイブリダイゼーションおよび酵素法を同時に適用できる。ある局面では、核酸の並列分析、例えばDNA配列決定およびRNA発現プロファイリングを本発明のビーズと組み合わせることができる。本明細書に記載するビーズならびにビーズ系高密度アレイを作製および使用する方法は、様々な遺伝学系研究および診断への適用に有用であり、それらについて以下でさらに論じる。
【0016】
本発明は、当技術分野で公知であるビーズ系方法に勝る利点を提供する。例えば、本明細書に記載する方法は、1ミクロンのスケールまで読み取りを減少させることにより、現行の配列決定法の分解能を大きく増加させる。本発明のある方法の別の利点は、ポリマーまたはゲルにビーズを埋め込むことにより、現行の「ポリメラーゼトラッピング」法が増強されることである。本明細書に記載するある方法のなお別の利点は、ビーズが0.4ミクロンよりも良い精度で固定化されたままであることから、埋め込みが画像レジストレーションを援助できることである。本発明は、増幅されていないビーズと比較して増幅されたビーズを濃縮するための簡便な方法も好都合に提供する。本発明の他の局面では、単層を含む固定化ビーズはz軸に対して秩序化されいるが、x軸およびy軸に対して完全に無秩序化されている。これは、ビーズのパターンに秩序を発生させる支持体(例えばビーズが納まるためのエッチングされたウェルを有する表面)を使用する必要なしにビーズのアレイを発生できるという利点を提供する。ビーズを埋め込み、またはそうでなく付着させるための、本明細書に記載される方法のさらなる利点は、その方法により取得系への組み込みが可能になることであり、その取得系では、ビーズが検出手段に対して移動して、その検出手段を用いて概して使用されうるであろう要素よりも大きい要素からデータを収集することが可能になる。
【0017】
本発明は、ビーズおよびビーズ系アレイを提供する。本発明に使用する用語「ビーズ」は、球形(例えばミクロスフェア)であるか、または不規則な形状を有しうる別個の粒子を指す。ビーズは直径約0.1μmと小さいか、または直径約数ミリメータと大きい場合がある。ビーズは、サイズが概して直径約0.1μmから200μm、直径約0.25μmから100μm、直径約0.5μmから50μm、直径約0.6μm〜40μm、直径約0.7μmから30μm、直径約0.8μmから20μm、直径約0.9μmから10μm、または直径約1μmから9μmの範囲でありうる。ある局面では、本発明のビーズは、直径約1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μmまたは9μmである。ビーズは、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロンなどを含む様々な材料を含みうるが、それに限定されるわけではない。
【0018】
ある例によると、ビーズは表面に官能基を有する場合があり、その官能基を使用してビーズに核酸配列を結合できる。ハイブリダイゼーション(例えばポリマーに対する結合)、共有付着、磁気付着、親和性付着などにより核酸配列をビーズに付着できる。例えばビーズをストレプトアビジンで被覆でき、核酸配列はビオチン部分を含みうる。ビオチンはビーズ上のストレプトアビジンと結合でき、よってビーズに核酸配列を付着できる。ストレプトアビジン、オリゴdT、およびヒスチジンタグ結合基質で被覆したビーズが商業的に入手可能である(Dynal Biotech, Brown Deer, WI)。例えば、カルボキシル、アミノ、およびヒドロキシル基のような核酸アレイを発生させるための化学法、または官能化シリコン化合物のような当技術分野で公知の固相化学法を使用してビーズを官能化することもできる(例えば、米国特許第5,919,523号参照、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)。
【0019】
支持体にオリゴヌクレオチドを固定化する方法が記載され、当技術分野で公知であり(ビーズ: Dressman et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:8817, Brenner et al. (2000) Nat. Biotech. 18:630, Albretsen et al. (1990) Anal. Biochem. 189:40およびLang et al. Nucleic Acids Res. (1988) 16:10861; ニトロセルロース: Ranki et al. (1983) Gene 21:77; セルロース: (Goldkorn (1986) Nucleic Acids Res. 14:9171; ポリスチレン: Ruth et al. (1987) Conference of Therapeutic and Diagnostic Applications of Synthetic Nucleic Acids, Cambridge U.K.; テフロン-アクリルアミド: Duncan et al. (1988) Anal. Biochem. 169:104; ポリプロピレン: Polsky-Cynkin et al. (1985) Clin. Chem. 31:1438; ナイロン: Van Ness et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:3345; アガロース:Polsky-Cynlcin et al., Clin. Chem. (1985) 31:1438; ならびにセファクリル: Langdale et al. (1985) Gene 36:201; ラテックス: Wolf et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:2911; 全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)、本明細書にさらに記載される。
【0020】
本明細書に使用する用語「付着する」は、共有相互作用および非共有相互作用の両方を指す。共有相互作用は、1対の電子(すなわち単結合)、2対の電子(すなわち二重結合)または3対の電子(すなわち三重結合)の共用により形成される2個の原子またはラジカルの間の化学結合である。共有相互作用は、電子対相互作用または電子対結合としても当技術分野で公知である。非共有相互作用には、ファンデルワールス相互作用、水素結合、弱化学結合(すなわち短距離非共有結合力を介する)、疎水性相互作用、イオン結合などがあるが、それに限定されるわけではない。Alberts et al., in Molecular Biology of the Cell, 3d edition, Garland Publishing, 1994に、非共有相互作用の総説を見出すことができ、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0021】
本発明の態様は、核酸配列(例えばオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列)の1個から数百万個のコピーが付着したビーズを提供する。一局面では、ビーズは、それに付着した単一核酸配列の多数のコピーを有しうる(すなわちクローンビーズ)。別の局面では、そのビーズは、それに付着した2、3、4、5、10個またはそれよりも大きい化学種の核酸配列を有しうる。例えば、一局面では、両方向の遺伝子配列(すなわち正のストランドおよび負のストランド)がビーズに付着している場合がある。
【0022】
ある態様では、実質的に同一の核酸配列の集団が付着したビーズを提供する。本明細書に使用する用語「実質的に同一の核酸配列」は、相互に対して少なくとも、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%の配列同一性を有する核酸配列を含むことを意図するが、それに限定されるわけではない。ある局面では、実質的に同一は、100%の配列同一性を含む。用語、実質的に同一は、ビーズに付着したすべての核酸配列、ビーズに付着したプライマー、および/またはビーズに付着した増幅産物にあてはまりうる。
【0023】
本明細書に使用する用語「オリゴヌクレオチド」は、概して合成手段により調製された一本鎖DNAまたはRNA分子を含むことを意図するが、それに限定されるわけではない。本発明のヌクレオチドは、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジンおよびチミジン由来のヌクレオチドのような概して天然ヌクレオチドであろう。オリゴヌクレオチドを「二本鎖」と称する場合、当業者は、水素結合性ヘリカルアレイ状に、例えばDNAと概して会合して一対のオリゴヌクレオチドが存在することを了解している。100%相補形態の二本鎖オリゴヌクレオチドに追加して、本明細書に使用するような用語「二本鎖」は、湾曲およびループのような構造特性を含む形態も含むことを意味する(Stryer, Biochemistry, Third Ed. (1988) 参照、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)。本明細書に使用する用語「ポリヌクレオチド」は、様々な異なるサイズでありうる核酸鎖を指す。ポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドと同じサイズでありうるし、またオリゴヌクレオチドのサイズの2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、もしくはそれよりも大きい場合がある。オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドには、本明細書に記載された任意の方法を使用してビーズに付着されたものと、増幅により作製されたもの(すなわち「増幅産物」)とが含まれる。
【0024】
オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドを天然供給源から単離でき、あるいは商業的な供給源から購入できる。オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド配列を、任意の適切な方法、例えばBeaucageおよびCarruthers((1981) Tetrahedron Lett. 22: 1859)に記載されたホスホルアミダイト法もしくはMatteucci et al. (1981) J. Am. Chem. Soc. 103:3185)によるトリエステル法、共に全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられるか、または市販の自動オリゴヌクレオチド合成装置もしくは本明細書に記載されるハイスループット、高密度アレイ法および当技術分野で公知の同方法のいずれかを使用する他の化学法により調製できる(米国特許第5,602,244号、第5,574,146号、第5,554,744号、第5,428,148号、第5,264,566号、第5,141,813号、第5,959,463号、第4,861,571号および第4,659,774号参照、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)。予備合成されたオリゴヌクレオチドを様々な売り手から商業的に獲得することもできる。
【0025】
本発明のある態様では、当技術分野で公知の様々なマイクロアレイ技法を使用してオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドを調製できる。予備合成されたオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド配列を支持体に付着できるし、あるいは光指向方法、フローチャネルおよびスポッティング法、インジェクト法、ピン系方法、およびビーズ系方法を使用してその場で合成でき、以下の参照に記述されている:McGall et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:13555; Synthetic DNA Arrays In Genetic Engineering, Vol. 20:111, Plenum Press (1998); Duggan et al. (1999) Nat. Genet. S21:10; Microarrays: Making Them and Using Them In Microarray Bioinformatics, Cambridge University Press, 2003; 米国特許出願公開第2003/0068633号および第2002/0081582号; 米国特許第6,833,450号、第6,830,890号、第6,824,866号、第6,800,439号、第6,375,903号及び第5,700,637号; ならびにPCT出願第WO 04/031399号、第WO 04/031351号、第WO 04/029586号、第WO 03/100012号、第WO 03/066212号、第WO 03/065038号、第WO 03/064699号、第WO 03/064027号、第WO 03/064026号、第WO 03/046223号、第WO 03/040410号および第WO 02/24597号;全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0026】
ある態様では、本発明のビーズは、ライブラリー、例えばゲノムライブラリー、cDNAライブラリーなどを分析するために有用である。分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当技術分野、例えば下記に見出すことができる:DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 2678; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; およびin Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 1233、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。本明細書でさらにライブラリーについて説明する。
【0027】
ある態様では、本発明のビーズを半流動培地中に固定化する。半流動培地は、有機および無機物質の両方を含み、半流動培地には、ポリアクリルアミド、セルロースおよびポリアミド(ナイロン)、ならびに架橋アガロース、デキストランまたはポリエチレングリコールがあるが、それに限定されるわけではない。例えば本明細書に記載するビーズをポリマーゲル中に物理的に固定化できる。そのゲルはz方向の寸法(例えば約30ミクロン)よりもxおよびy方向の寸法(例えば数センチメートル)の方が大きい場合があり、ここで、z方向の寸法はそのゲルの中に固定化されたビーズよりも実質的に大きい(例えばゲル30ミクロン対ビーズ1ミクロン)。
【0028】
ある局面では、半流動培地中に固定化されたビーズの少なくとも、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きい割合は、それらのビーズに付着した核酸配列(例えば増幅された核酸配列)を有する。すなわち、半流動培地中に固定化されたビーズ中には空席の(すなわちそれに付着した核酸配列を有さない)ものがある場合もあれば、増幅プライマーのみを有する(すなわちそれに付着した増幅された核酸配列を有さない)ものがある場合もあり、かつ/または核酸の不均一集団(すなわち実質的に同一ではない配列)が付着しているものがある場合もある。
【0029】
他の局面では、付着した核酸配列を含むそれぞれの固定化ビーズは、他の固定化ビーズとは異なる核酸配列を有するであろう。すなわち、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれよりも小さい割合の固定化ビーズが、一つまたは複数の他の固定化ビーズに付着した核酸配列と実質的に同一の核酸配列に付着した核酸配列(例えば増幅された核酸配列)を有するであろう。ビーズに付着した核酸配列は、ビーズに付着したすべての核酸配列、ビーズに付着したプライマーおよび/またはビーズに付着した増幅産物にあてはまりうる。
【0030】
なお他の局面では、本発明の半流動培地を固体支持体と共に使用する。例えば、上記の節に記載したゲルの一表面が固体支持体(例えばガラス表面)に付着される一方で、他方の表面が露出されるように、そのゲルを重合できる。ある局面では、ビーズが単層を形成し、単層がそのゲルの露出した表面近くに存在するように、ゲルを流し込むことができる。
【0031】
本発明の固体支持体を様々な形状に形作ることができる。ある態様では、その固体支持体は実質的に平面である。固体支持体の例には、スライド、マイクロタイター平板、フローセル、カバーガラス、マイクロチップなどのような平板、および微量遠沈管、試験管などのような容器、および管類、シート、パッド、フィルムなどがある。追加的に、固体支持体は、例えば生物学的、非生物学的、有機、無機、またはそれらの組み合わせでありうる。ある態様では、ビーズがその固体支持体に結合されうるようにそのビーズおよび/または固体支持体を官能化できる。官能基について本明細書にさらに論じる。
【0032】
ある態様では、標準的な落射蛍光顕微鏡でビーズのアレイを撮像できる。固定化ビーズの使用は、多サイクルのハイブリダイゼーション/酵素系操作の後で、ビーズ上に固定化されたDNAとハイブリダイズした分子上の視覚的に検出可能な標識、またはそのビーズに固定化されたDNA自体に組み込まれた視覚的に検出可能な標識の撮像を行うことにそのアレイを供することを可能にする。本明細書でさらに記載する配列決定アッセイに、様々な検出可能な標識を使用できる。本発明に使用するための標識の例には、フルオレセイン(例えばFITC)、ローダミン(例えばTRITC、RITC)、DAPI、BODIPY、Cy3、Cy5、Alexa、テキサスレッド、カスケードブルー、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アビジン、ビオチン、ルシフェラーゼ(例えばウミシイタケ(renilla)ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ)などのような視覚的に検出可能な標識がある。多くの適切な標識は当技術分野で公知であり、例えばMolecular Probes(Eugene, OR)およびSigma-Aldrich(St. Louis, MO)のカタログから注文することができ、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0033】
本発明の態様は、ビーズ上の核酸配列の増幅をさらに目的とする。ある局面では、オリゴヌクレオチドを増幅する方法には、以下でさらに記載するエマルジョンPCRがある。核酸配列を増幅する他の方法には、反応生成物を捕捉するためのプライマーを有するビーズを使用したエマルジョン中でのローリングサークル型増幅(超分岐または直鎖);水溶液中でのローリングサークル型増幅(超分岐または直鎖)後のビーズ上へのクローンの「捕捉」;エマルジョン中でのヘリカーゼ置換増幅(HDA);および例えばSiO2表面オリゴまたはゲル固定化オリゴ薄層を使用したその場のローリングサークル型増幅があるが、それに限定されるわけではない。
【0034】
ある局面では、オリゴヌクレオチドの増幅法は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなPCRの使用を伴うか、または連結鎖反応(ligation chain reaction)(LCR)(例えばLandegran et al. (1988) Science 241:1077-1080;およびNakazawa et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:360-364参照;全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)に関与する。代替的な増幅法には、自立配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. US. 86:1173、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) BioTechnology 6:1197、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)、反復PCR(Jaffe et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:2619;およびWilliams et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:7790;全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)または当業者に周知の技法を使用した他の任意の核酸増幅法がある。様々な増幅法が、米国特許第6,391,544号、第6,365,375号、第6,294,323号、第6,261,797号、第6,124,090号及び第5,612,199号に記載されており、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0035】
本発明の態様は、本明細書に記載する増幅法を使用してオリゴヌクレオチドを増幅する方法を目的とする。ある態様では、従来法を使用してオリゴヌクレオチドの3'末端での増幅部位に増幅プライマーを選択的にハイブリダイズすることによってオリゴヌクレオチドを増幅する。増幅プライマーは、6から100までであり、1,000まででさえあるヌクレオチド長であるが、概して10から40ヌクレオチド長である。しかし、種々の長さのオリゴヌクレオチドが使用される。増幅プライマーは、例えばエマルジョンPCRなどでは溶液中に存在しうるし、かつ/または本明細書に記載する半流動培地中に存在しうる
【0036】
概して、二つの核酸配列が少なくともヌクレオチド14から25個の伸長にわたり実質的に相補的、すなわち少なくとも、約65%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%相補的である場合に、選択的ハイブリダイゼーションが起こる。Kanehisa, M., 1984, Nucleic Acids Res. 12: 203参照、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0037】
全般的に、五つの要因が第二の核酸分子に対するプライマーのハイブリダイゼーションの効率性および選択性に影響する。これらの要因は、(i)プライマー長、(ii)ヌクレオチドの配列および/または組成、(iii)ハイブリダイゼーション温度、(iv)緩衝液の化学的性質、ならびに(v)プライマーがハイブリダイズする必要のある領域での立体障害のポテンシャルであるが、ランダムではないプライミング配列を設計する場合には重要な検討材料である。
【0038】
プライマー長と、プライマーが標的配列にアニールするであろう効率性および正確度の両方との間に正の相関が存在し、長鎖配列は、短鎖配列よりも高いTmを有し、所与の標的配列内に繰り返しがある見込みが低いことによって、雑多なハイブリダイゼーションが削減される。高GC含量を有するか、またはパリンドローム配列を含むプライマー配列は、それらの目的となる標的部位と同様に、自己とハイブリダイズする傾向がある。それは、二分子よりもむしろ単分子のハイブリダイゼーション動態が一般に溶液中で有利であるからである。同時に、その標的配列に緊密に結合するG-Cヌクレオチドの対形成を十分な数だけ含むプライマーを設計することが重要である。それは、そのような対のそれぞれが3個の水素結合で結合するのに比べ、AおよびT塩基が対形成する場合は2個の水素結合がみられるからである。ハイブリダイゼーション温度はプライマーのアニーリング効率と逆に変動し、ハイブリダイゼーション混合物に含まれうる有機溶媒、例えばホルムアミドの濃度はこれと同様であるが、塩濃度の増加は結合を促進する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、長鎖プローブは短鎖プローブよりも効率的にハイブリダイズするが、より許容性の条件では短鎖プローブが十分である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、概して約1M未満、より通常には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリダイゼーション温度は、低くは0℃から、22℃よりも大きい、約30℃よりも大きい、約37℃を上回る(最も頻繁には)までの範囲である。長鎖フラグメントは、特異的ハイブリダイゼーションにさらに高いハイブリダイゼーション温度を必要としうる。数個の要因がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響することから、パラメータの組み合わせが任意の一つのパラメータ単独の絶対的な尺度よりも重要である。ハイブリダイゼーション条件は当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に見出すことができ、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0039】
上記の最初の四つの検討材料を念頭において、プライマーを設計する。非常に多くの配列の相対的真価の推定を心の中で行う一方で、これらのいくつかのパラメータの評価およびプライマー配列の最適化を援助するためにコンピュータプログラムが設計されている(例えば、Hoover et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30:e43およびRouillard et al. (2004) Nucleic Acids Res. 32:W176参照、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)。
【0040】
ある例によると、対象となる核酸配列が付着したビーズを濃縮するための方法が提供される。対象となる核酸配列と相補的核酸配列とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、ビーズの集団を、対象となる核酸配列に相補的な核酸配列(すなわち相補的核酸配列)と接触させることにより、対象となる核酸配列を有するビーズを濃縮できる(ここで、少なくとも一つのビーズはそれに付着した対象となる核酸配列を有する)。次に、当技術分野で公知の方法を使用して、ビーズに付着した対象となる核酸配列を含むハイブリダイズしたビーズから、ハイブリダイズしないビーズを分離する。ある局面では、初発のビーズ集団での対象となる核酸配列が付着したビーズの割合に対して、対象となる核酸配列が付着したビーズを少なくとも、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも大きく濃縮する。ある態様では、相補的核酸配列を支持体上に固定化する。適切な支持体には、合成ポリマー支持体、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、置換ポリスチレン(例えばアミノ化またはカルボキシル化ポリスチレン)、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルクロリドなど、ポリマービーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、セファロース、アガロース、セルロース、またはアフィニティクロマトグラフィーに有用な任意の材料があるが、それに限定されるわけではない。対象となる核酸配列を有するビーズを濃縮する方法を、本明細書にさらに記載する。
【0041】
ある例によると、ビーズ上の核酸配列を配列決定する方法が提供される。可逆ターミネータ(reversible terminator)を用いた伸長による配列決定、蛍光インサイチュー配列決定(FISSEQ)、ピロシーケンシング、大規模並列シグニチャシーケンシング(massively parallel signature sequencing)(MPSS)など(Shendure et al. (2004) Nat. Rev. 5:335に記載、全体として参照により本明細書に組み入れられる)のような当技術分野で公知の一般的な配列決定法は、本明細書に記載されるビーズおよびビーズ系アレイを用いた使用に適する。可逆終止法(reversible termination method)は合成による段階的配列決定という生化学反応を使用し、その生化学反応は可逆終止および除去可能な蛍光と連結している(上記Shendure et al.および米国特許第5,750,341号および第6,306,597号、参照により本明細書に組み入れられる)。FISSEQは、
反応物にただ一つの種類の蛍光標識ヌクレオチド三リン酸を添加する段階;
組み込まれていないヌクレオチドを洗浄して除く段階;
蛍光を測定することによりヌクレオチドへの取り込みを検出する段階;および
そのサイクルを繰り返す段階;
を含む、DNAが伸長する方法である。各サイクルで、以前のサイクルからの蛍光を退色させるか、もしくはデジタル減算するか、またはフルオロホアをヌクレオチドから開裂させて洗浄して除く。FISSEQはさらにMitraら (2003) Anal. Biochem. 320:55に記載されており、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。ピロシーケンシングは、ヌクレオチド取り込みの各イベントの間に(すなわちヌクレオチドが成長中のポリヌクレオチド配列に加えられた場合に)ピロリン酸塩(PPi)が放出される方法である。DNAポリメラーゼ触媒反応で放出されたPPiを、ATPスルフリラーゼおよびルシフェラーゼにより共役反応で検出する。これを視覚的に検出できる。添加したヌクレオチドは、ヌクレオチド分解酵素により連続的に分解する。最初に添加したヌクレオチドが分解した後で、次のヌクレオチドを添加できる。この手順を繰り返すにしたがい、より長い伸長のテンプレート配列が推定される。ピロシーケンシングはさらにRonaghi et al. (1998) Science 281:363に記載されており、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。MPSSは、連結に基づくDNA配列決定をマイクロビーズ上で同時に利用する。すべての可能性のあるオーバーハングを含む標識アダプターの混合物を四つのヌクレオチドの標的配列にアニールする。アダプターの連結に成功した場合に標識を検出する。次に、制限酵素を使用してDNAテンプレートを開裂して、次の4塩基を露出させる。MPSSはさらにBrenner et al. (2000) Nat. Biotech. 18:630に記載されており、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0042】
本発明を、以下の実施例によりさらに例示するが、これらの実施例を限定するものとして解釈してはならない。本出願にわたり引用したすべての参照、特許および公表された特許出願の内容は、全体としてすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。
【0043】
実施例I
クローンビーズ
段階1:ビーズへのオリゴヌクレオチドのカップリング
Integrated DNA Technologies(Coralville, IA)から得た、商業的に入手可能なオリゴヌクレオチドを使用した。それらのオリゴヌクレオチドの5'末端の二重ビオチン部分を介して、ストレプトアビジンを被覆した常磁性ビーズ(1μM MYONE(商標)ビーズ(Dynal Biotech, Brown Deer, WI))にそれらのオリゴヌクレオチドを付着した(図1)。オリゴヌクレオチドの配列は、下記のライブラリー発生プロトコルに記載するライブラリー分子のPR1-F区域と同一であった(実施例VI)。この段階の後で、本明細書に記載するテンプレートライブラリーを増幅する間に、ビーズに固定化されたオリゴヌクレオチドがPCRプライマーとして作用することがこれにより可能になる。本明細書に記載するプロトコルでは、この配列は「フォワード」PCRプライマーと称される。
【0044】
フォワードプライマーを載せたビーズを発生させるための段階は、以下の通りであった。
1)微量遠沈管の側面にビーズを引きつける磁界を使用して、1×109個のMYONE(商標)ストレプトアビジン常磁性ビーズ(原液100μL)をTE 200ulで一回洗浄した。
2)ビーズをBind & Wash緩衝液180μl(5mM Tris-HCl(pH7.5)、0.5mM EDTA、1.0M NaCl)に再懸濁した。
3)100μM(2nmole)の5'二重ビオチン化フォワードPCRプライマー

20μlと共にビーズを25℃で30分間インキュベートした。
4)微量遠沈管の側面にビーズを引きつける磁界を使用して、ビーズをTE 200μlで2回洗浄した。
5)ビーズををTE 200μl(ビーズ5×108個/μl)に再懸濁して、次の段階で使用するまで4℃で保存した。
【0045】
段階2:マイクロエマルジョンの調製
油中水型エマルジョン中でPCR反応を実施した。エマルジョンの使用は、エマルジョンのごく少量の水性構成要素を相互に隔離した。その結果、PCR試薬類およびPCR反応産物類は温度サイクリング反応にわたって相互に隔離された。二つのPCRプライマーの一つとして、ビーズ(例えば段階1からのビーズ)に固定化したオリゴヌクレオチドを使用することにより、PCR反応の終了時にそれらのビーズに物理的に固定化されたPCR産物が生じた。そのPCR反応に使用したテンプレートは、ポリヌクレオチドの複合混合物からなり、それらのポリヌクレオチドは、分子により異なる介入配列を有する二つの隣接「共通」領域を含んだ。本実施例では、大腸菌(E. coli)ゲノムライブラリーを使用した。このライブラリーの特有の領域に隣接する共通配列を、本明細書では「PR1-F」および「PR1-R」と称する。ビーズを含むエマルジョンの大部分の水性構成要素がPCR反応の開始時に0個または1個のテンプレートのいずれかを含むように、低濃度のテンプレートをPCRに使用した。PCR反応の終了時に、多くのビーズはテンプレートを全く含まない区画に存在したことから、「空席」であった。他のビーズは、同じPCR産物の数千のコピーを含む点で「クローン」であった。各クローンビーズのPCR産物は、他のクローンビーズのPCR産物と異なった。あまり一般的でないのは、二つ以上のテンプレートを有する区画に存在するビーズであったが、これらのビーズもまた存在した。第三の種類の「非クローン」ビーズは、一つよりも多いテンプレートから得られたPCR産物の混合物を含んだ。このように、ビーズの分布は、空席、クローン、および非クローンの三つの区分に入り、これをポアソン分布を用いてモデル化できた。
【0046】
A. エマルジョンの油相の調製
驚くことに、エマルジョンの安定性は油相の各成分の比率に非常に敏感であることが見出された。したがって、ある実験から次の実験への可変性が最小であることを確実にするために、各成分を測定する場合には特に注意を払った(例えばピペット洗い込み、容積形シリンジによる測定など)。10%(v/v)Span 80を量るためにシリンジを使用すると、エマルジョンPCRの一貫した性能が可能になった。
1)10mlまたは1ml容のシリンジと16ゲージの針を用いて、鉱物油に溶かした10%(v/v)Span 80を調製した。
a)軽油9ml
b)SPAN(登録商標)80(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)1ml
2)ピペット洗い込みにより以下を微量遠沈管に加えた。
a)軽油(Sigma-Aldrich)545μl
b)鉱物油に溶かした10%SPAN(登録商標)80 450μl
c)TWEEN(登録商標)80(Sigma-Aldrich)4μl
d)TRITON(登録商標)X-100(Sigma-Aldrich)0.5μl
3)得られた溶液をボルテックスミキサーに30秒間かけて完全に混合した。
【0047】
B. エマルジョンの水相の調製
ヌクレオチドの濃度を下記に示した高い量に増加させることで、本明細書に記載するビーズ-ゲル撮像系に、より大きいシグナルが生じることが見出された。MgCl2濃度の同時増加も、ヌクレオチド:MgCl2の比を10:1に十分近づけて保つために必要であった。
【0048】
以下のものを微量遠沈管に加えて、静かにピペッティングすることで混合した。10×MgCl2-PLATINUM(登録商標)Taq PCR緩衝液8.0μl(Invitrogen, Carlsbad, CA)、50mM MgCl230μl(18.75mM)(Invitrogen)、(各)25mM dNTP混合物11.3μl(3.5mM)(Invitrogen)、2mM未修飾逆PCRプライマーPR1-R 1.0μl(Integrated DNA Technologies (IDT), Coralville, IA):

、10μM未修飾短鎖フォワードPCRプライマーPR1-3LF:IDT 0.4μl

、PR1-Fフォワードプライマーを載せる1ミクロンビーズ5μl、滅菌dH2O 20.5μl、PLATINUM(登録商標)Taq 4.5μl(Invitrogen、5U/μl)、および1nMテンプレートDNA 0.25μl。
【0049】
C. 油中水型エマルジョンの調製
以下のエマルジョンの調製は、ビーズ5μl(約2.5×109個)用である。使用したテンプレートの量から、一般に10%の増幅されたビーズが生じた。概して、スライド1枚あたりビーズ5〜50μlを濃縮の非存在下で使用するか、またはスライド1枚あたり濃縮したビーズ50〜200μlを使用した。水相に対する油相の比がエマルジョンの安定性に影響することが見出され、1:6の水相:油相比が一貫して安定なエマルジョンをもたらすことが決定された。
1)油相400μlを、磁気微量撹拌バーを入れて1400RPMに調整した閉ループ磁気撹拌プレートに置いた2ml容の丸底凍結バイアルに加えた。
2)撹拌中の油相に水相75μlを滴下した。
3)得られた混合物をVWR Scientific565型磁気撹拌装置の上で磁気微量撹拌バー(no.58948-353, VWR Scientific, West Chester, PA)で1400RPMで30分間撹拌した。
4)その管の内容物を200μl容試験管×8(各50μl)に分けた。
【0050】
D. 温度サイクリング
PCRサイクル数の増加および伸長時間の増加がシグナルを増加することが見出された。よって、75秒の伸長期を有する120回のPCRサイクルを使用した。
【0051】
以下のプログラムによりエマルジョンの温度サイクリングを行った(分:秒)。
a)94℃、2:00
b)94℃、0:15
c)57℃、0:30
d)70℃、1:15
e)段階b)〜d)をさらに119回繰り返す
f)72℃、2:00
g)使用まで4℃
【0052】
E. エマルジョンからのビーズの回収
以下のプロトコルを使用してエマルジョンからビーズを回収した。
1)200μl容PCR管×8の内容物を1本の1.5μl容微量遠沈管にプールした。
2)NX緩衝液(100mM NaCl;1% TRITON(登録商標)X-100;10mM Tris-HCl(pH7.5);1mM EDTA)800μlを加えた。
3)その管を30秒間ボルテックスミキサーで撹拌した。
4)その管を11,000RPMで1.5分間遠心分離した。
5)ペレットを乱すことなく上清約1150μlを取り出した。
6)段階2〜5をさらに2回繰り返した。
7)微量遠沈管の側面にビーズを引きつける磁気分離を使用して残りの液体を取り除いた。
8)ビーズをTE 50μlで2回洗浄した。
9)ビーズをTE 5μlに再懸濁した。
【0053】
F. 伸長していないフォワードプライマーをビーズから取り除くためのエキソヌクレアーゼ処理
エマルジョンPCRの後で、「増幅された」ビーズに、PCR産物(1本の鎖がビーズに固定化された2本鎖)と、残りの伸長していないフォワードプライマー(1本鎖)との両方を載せた。残りの伸長していないフォワードプライマーは核酸分析のその後の段階でバックグラウンドシグナルの供給源となりうることが見出された。よって、それを除去することが理想的であった。エキソヌクレアーゼIを使用して残りの伸長していないプライマーを選択的に消化した。
1)以下を混合した。
ビーズ+dH2O 86μl
10×エキソヌクレアーゼI反応緩衝液(New England Biolabs, Beverly, MA) 10μl
エキソヌクレアーゼI(20単位/μl、New England Biolabs) 4μl
2)得られた混合物を37℃で1時間インキュベートし、30分の時点で1回混合してビーズの沈降を打ち消した。
3)その混合物を80℃で20分間インキュベートしてエキソヌクレアーゼを不活性化した。
4)磁気分離を使用して、ビーズをNX緩衝液200μl×5で洗浄した。
5)使用までビーズを4℃で保存した。
【0054】
G. 水酸化ナトリウムによるビーズに結合した産物の1本鎖化
本段階は、ビーズに固定化したPCR産物の効率的な1本鎖化を可能にするために重要であることが見出された。
1)磁気分離によりビーズからすべての液体を除去
2)0.1M NaOH 50μlを加え、ビーズと混合
3)25℃で10分間インキュベート
4)0.1M NaOH 50μlで1回洗浄
5)TEで2回洗浄
6)TE 50μlにビーズを再懸濁
【0055】
このプロトコルは、当技術分野で公知のビーズ系方法を使用して発生したライブラリーよりも数桁複雑さの大きいライブラリーの増幅を可能にする。
【0056】
2ml容丸底凍結バイアル(no.430661, Corning)に入れた油相400μlに水相200μlを滴下することにより、油中水型マイクロエマルジョンを調製できる。VWRモデル565磁気撹拌装置の上で磁気微量撹拌バー(no.58948-353, VWR Scientific)でその混合物を1,400rpmで撹拌しながら、滴下を1分間かけて実施できる。水相の添加の後で、得られた混合物を合計30分間撹拌できる。磁気撹拌装置の中央に置いたラックに2本の管を配置することにより、一度に2個のエマルジョンを作製できる。
【0057】
実施例II
ビーズの濃縮
以下のプロトコルを使用して、クローンビーズから空席のビーズを分離できる。エマルジョンPCR反応での低テンプレート濃度および濃縮プロトコルの併用は、その他で可能であろうよりも高い割合の「クローン増幅された」ビーズをもたらした。濃縮の基本は、第二セットの大型(直径3ミクロン)、非磁性ビーズ(すなわち「捕捉ビーズ」)を使用することであり、その大型ビーズは「リバース」PCRプライマー配列(PR1-R)と同一の配列を有するプライマーを含む。リバースPCRプライマーに相補的配列は、PCR反応産物であるDNA鎖にのみ存在するであろうことから、増幅されたビーズはこれらの大型捕捉ビーズと選択的にハイブリダイズしたが、空席のビーズは捕捉ビーズと効率的にハイブリダイズしなかった。密度の差に基づいて(例えば密度勾配溶液を通過してビーズを遠心分離することにより)、1ミクロンの増幅ビーズとハイブリダイズした3ミクロンの捕捉ビーズを、1ミクロンの空席のビーズから分離した。
【0058】
捕捉ビーズを以下のように調製した。SPHERO(商標)ポリスチレンストレプトアビジン被覆ビーズ50μl(非常磁性、直径3ミクロンのビーズ、Spherotech, Libertyville, IL)を1.5μl容微量遠沈管にピペットで入れ、13.2krpmで30秒間遠心分離してペレットにし、Bind & Wash緩衝液50μl中に再懸濁した。ビーズをもう一度遠心分離し、すべての液体をビーズのペレットから取り出し、そのビーズをBind & Wash緩衝液49.5μlに再懸濁した。1mMビオチン修飾「捕捉プライマー」

0.5μlを加えた。時々混合しながら、ビーズを室温で20分間インキュベートした。ビーズを30秒間遠心分離してペレットにし、液体を除き、Bind & Wash緩衝液50μlを加えた。この洗浄段階を繰り返し、ビーズをBind & Wash緩衝液10μl中に再懸濁した。得られた捕捉ビーズを使用まで4℃で保存した。
【0059】
TEに入れた1ミクロンの加工されたビーズ40μl(上節で発生した増幅されたビーズと増幅されていないビーズとの混合物)をBind & Wash緩衝液20μlに再懸濁した。3ミクロンの捕捉ビーズ10μlを1ミクロンの加工されたビーズ20μlに加え、それらのビーズをピペッティングにより混合した。その混合物を56℃で10分間インキュベートすることにより捕捉ビーズを加工されたビーズとハイブリダイズした。次に、1.5μl容微量遠沈管に入れた60%(v/v)グリセロール150μlの上面にその混合物を注意深くピペットでのせた。微量遠沈管を13.2krpmで1分間遠心分離した。3ミクロンの非磁性ビーズと1ミクロンの磁性ビーズとの密度の差が原因で、3ミクロンのビーズは(それらのビーズとハイブリダイズした増幅された1ミクロンのビーズと共に)上清に残ったが、ハイブリダイズしない、未増幅の1ミクロン磁性ビーズは、管の底にペレットを形成した。得られた液体を微量遠沈管から取り出し(管の底にあるビーズのペレットを乱すことなく)、新しい微量遠沈管にピペットで入れた。捕捉ビーズとハイブリダイズして増幅されたビーズは、この上清中に濃縮された。
【0060】
次に、増幅された1ミクロンのビーズの濃縮画分を精製して捕捉ビーズを除いた。その上清を含む新しい管に水1mLを加え、ピペッティングにより混合し、13.2krpmで2分間遠心分離した。20から30μlの液体以外のすべてを取り除き、真水50μlを加え、混合し、13.2krpmで2分間もう一度遠心分離した。すべての液体をビーズのペレットから除き、そのビーズを0.1M水酸化ナトリウム50μlに再懸濁した。1ミクロンのビーズを3ミクロンの捕捉ビーズと解離させるために、時々混合しながらビーズを10分間インキュベートした。磁界を微量遠沈管に適用して、管の側面に1ミクロンの磁気ビーズを引きつけ、すべての上清を取り除いた。3ミクロンの捕捉ビーズを含む上清は白濁していた。1ミクロンのビーズを0.1M NaOHで1回、1×PCR緩衝液で3回洗浄した。1ミクロンのビーズをTE 5μLに再懸濁して4℃で保存した。
【0061】
図2A〜2Cは、上記のようなプロトコルを経たビーズのセットを示す。ビーズを様々な段階で取り出して、空席のビーズに対する増幅されたビーズの割合を調べた。これらの疑似色表示の図で、緑色のビーズは空席であり、赤色のビーズは増幅されていた。エマルジョンPCRにより発生した加工されたが未濃縮の1ミクロンビーズである出発材料のうち、約8%のビーズが増幅された(図2A)。上記手順により除去されたビーズのセットでは、1%未満が増幅されていた(図2C)。増幅されたビーズに関して濃縮された材料の画分では、増幅されたビーズの割合は8%から43%に上昇し(図2B)、これは5.5倍の濃縮であった。
【0062】
実施例III
無秩序化された固定化ビーズの単層
高分解能顕微鏡の視野深度に関連して、単層化の決定的な性質を理解することができる。例えば、分解能の点からみて商業的に入手可能な最高の対物レンズの一つである20×Plan Apo(NA=0.75)対物レンズの視野深度は1.9ミクロンである。クローンミクロスフェアが直径わずか1ミクロンの場合、単層からの重大な変位により、アレイを形成したビーズの撮像が不可能な結果となるであろうが、所与の視野内ですべてのビーズに対する焦点は維持される。
【0063】
以下の段階を増幅の前後実施できよう(例えばクローンミクロスフェアの集団を作製するための方法によって)、また場合によりビーズの濃縮プロトコルが行われた後でもよい。ビーズを単層化した後で、並列的な配列決定または他の形態の環状核酸分析を行うであろう。
【0064】
単層のビーズを形成するために、以下のプロトコルを使用した。以下の試薬を混合した。(所望の密度の)ビーズ3.00μl、dH2O 5.10μl、アクリルアミド:ビス(38%アクリルアミド、2%ビス-アクリルアミド、Roche)1.50μl、RHINOHIDE(商標)(ポリアクリルアミドゲル補強剤)0.60μl(Molecular Probes, Eugene, OR)、5% N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)1.20μl、および過硫酸アンモニウム溶液(APS)(0.5%)1.80μl。
【0065】
テフロン被覆したスライドグラスとカバーガラスとの間に混合した試薬を流し込み、重合させた結果、厚さ30ミクロンのゲルをもたらした。カバーガラスまたはスライドグラスのいずれかにシラン結合剤(Bind Silane)(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)を被覆して、ゲルが重合後にスライドグラスまたはカバーガラスのいずれかに接着するようにした。シラン結合剤中でガラス表面を被覆するためのプロトコルは、例えばMitraら(同上)に記載されている。簡潔には、酢酸220μlおよびシラン結合剤試薬4mLをdH2O 1リットルに入れて混合した。静かに振盪しながら1時間浸漬することにより、ガラス表面をこの溶液に曝露した。dH2Oに3回、100%エタノールに1回浸漬することによりガラス表面を洗浄した。スライドを風乾して、乾燥しながら保存した。
【0066】
重合の間に、ビーズがゲルの所望の側に沈降するような方向にそのスライドグラスおよび重合中のゲルを配置した。このように、ビーズはゲルの露出面に対して「上層」または「底層」のいずれかを形成するであろう(図3)。ビーズに固定化したDNAに対してハイブリダイゼーションおよび酵素反応を行うために、「上層」のゲルの中のビーズの方がそれらのビーズに適用された酵素およびオリゴヌクレオチドにはるかに接近可能であり、はるかに効率的な反応動態を許容することが見出された。これは意外なことではない。それは、ゲルに問い合わせするために使用する多くの酵素反応は酵素によって行われるが、ビーズがゲル内部深くに実際存在するならば、それらの酵素はビーズに接近するのに困難を有するであろうからである。ゲルは厚さ30ミクロンであるが、ビーズはわずか厚さ1ミクロンであった。ゲルの孔は大きかったが、ビーズが例えばゲルの底に位置するのであれば、ゲルを通過する酵素および/またはオリゴヌクレオチドの拡散は遅いであろう。
【0067】
最終産物は、アクリルアミドゲルがシラン結合剤試薬を介して付着されたガラス表面からなった(図3)。ゲルは厚さ約30ミクロンであった。ゲルの上面に単層になって(すなわちシラン結合剤を介してゲルが付着するカバーガラスから最も離れて)ビーズは存在した。
【0068】
本実施例は、触媒(APSおよびTEMED)の濃度が、当技術分野でゲルの重合に概して使用される濃度よりもはるかに低いので、ゲルを流し込んだ後でゲルは低速(約1時間)で重合し、ビーズは重力で沈降して、ゲルの片面に単層になるであろうことを提供している。重合工程が速すぎるならば、ビーズは単層になって沈降する時間を有さず、その結果として単一の焦点面に視覚化できないビーズの層となることが確定された。ゲルの露出面に単層になってビーズが沈降するように重合中のゲルを上下逆さにする行為は、酵素反応を可能にするために有利であり、ビーズ上のDNAを操作するためにその酵素反応をその後使用する。
【0069】
ビーズまたは他の支持体の「秩序化された」アレイ(すなわち当技術分野のビーズ系アレイ) を使用するための動機づけは、直交座標を有する秩序化されたアレイの形態を概してとり、同じ特性を繰り返し独立して観察する欲求または「アドレス指定能力」の欲求であった。本実施例に記載したアレイは、単層である点でz軸に対して秩序化しているが、x軸およびy軸に対しては無秩序化している。個々のビーズが高密度で視覚化および識別され、ゲルの所与の小区分が繰り返し独立して観察され、その観察結果をゲルの同じ小区分の以前の観察結果に対して整列することによって、各小区分内で個々のビーズに多数の独立した観察を行うことが可能になった。ビーズの位置は、たとえ多数の酵素操作、95℃の熱への曝露などを受けても不変のままであった。このように、無秩序化された単層の使用は、秩序化されたアレイを発生することに伴う多くの困難を回避するが、その一方で、同じ目標を実現する。
【0070】
実施例IV
一塩基伸長によるプライマーハイブリダイゼーションおよび配列決定
プロトコルのこの段階で、ビーズはアクリルアミドポリマーゲルの露出した表面に単層になって存在し、そのゲル自体はカバーガラスに付着している。よって、ビーズ表面のDNAを、ゲル中での絶対位置を乱すことなく様々な試薬および条件に容易に曝露できる。配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ指令プライマー伸長、制限エンドヌクレアーゼ指令配列特異的開裂、リガーゼ指令オリゴヌクレオチド連結、エキソヌクレアーゼ指令DNA分解などを含むが、それらに限定されるわけではない、多様な酵素反応および化学反応を、この形式に固定化したDNAに関して行えることが見出された。
【0071】
これらの酵素反応の例として、オリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイズしてから、蛍光ヌクレオチドでポリメラーゼ指令一塩基伸長を行うためのプロトコルを記載する。
【0072】
ビーズ上のPCR産物が一本鎖であることから、PCR産物は、今では5'から3'方向にかけて、ビーズに鎖を固定化している二重ビオチン部分、PR1-Fフォワードプライマー配列、未知配列(ライブラリーが構築された材料に依存してビーズ毎に可変である)、およびPR1-Rプライマーに相補的な配列からなる。ビーズに固定化したDNAにPR1-Rプライマーをハイブリダイズするために、ハイブリダイゼーション緩衝液(0.01% TRITON(登録商標)X-100を有する6×SSPE)に溶かした1μM PR1-R 100μlをゲルに適用し、フレームシール(FrameSeal)チャンバー125μlを用いて密封して、液体をゲルと接触させた。スライドを56℃で10分間加熱し、フレームシールチャンバーを取り除き、スライドを1×洗浄緩衝液(10mM Tris(pH7.5);50mM KCl;2mM EDTA;0.01% TRITON(登録商標)X-100)に浸漬した。洗浄ではスライドを振盪しながら2分間インキュベートし、1×洗浄緩衝液中でさらに2回洗浄した。このように、PR1-RプライマーをDNAとハイブリダイズした。PR1-Rプライマーの3'末端を、ビーズに固定化した分子の未知配列の直近に配置した。
【0073】
ポリメラーゼ指令単塩基伸長による第一未知塩基の同一性を問い合わせるために、ポリメラーゼとフルオロホア標識ddNTPとの両方を含む以下の混合物を調製した。1×ThermoSequenase(商標)緩衝液122μl(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、ThermoSequenase(商標)1μl(4u/uL, Amersham Biosciences)、R110-ddGTP 0.5μl(100μM、PerkinElmer, Wellesley, MA)、Cy5-ddCTP 0.5μl(100μM、PerkinElmer)、Cy3-ddUTP 0.5uL(100μM、PerkinElmer)、およびテキサスレッドddATP 0.5μl(100μM、PerkinElmer)。
【0074】
フレームシールチャンバー125μlを使用して上記のように混合物をスライドに適用し、42℃で5分間インキュベートして伸長させた。浸漬物を室温でゆっくり撹拌しながら1×洗浄緩衝液中で2分間洗浄し、その洗浄を1から2回繰り返してから撮像した。キセノンランプ光源と本明細書に使用したフルオロホアに適したフィルターセットとを備える落射蛍光顕微鏡で撮像を行った。四つのフルオロホアの一つだけに対応するフィルターにより各ビーズは蛍光を発し、これはDNA配列に取り込まれた塩基の同一性、よって未知の位置の同一性を明らかにした。
【0075】
実施例V
落射蛍光顕微鏡での撮像
カバーガラスに固定したゲルにビーズを固定化した。ゲルおよびガラスを両方見通して撮像できた。使用した%でアクリルアミドゲルは重大な自己蛍光も生じず、光の透過も妨害しなかったことが確定された。
【0076】
ビーズに固定化したDNAに組み込まれたか、またはそのDNAに会合した分子上の蛍光部分を撮像するために、自動X-Yステージ(Prior)および焦点コントロールを備える落射蛍光顕微鏡(Nikon TE2000)を使用した。落射蛍光照明は、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、またはハロゲン化水銀アークランプのいずれかによった。顕微鏡に取り付けたCCD系検出器により画像を取得した。典型的な倍率が10×〜40×である長作動距離対物レンズまたは高開口数対物レンズのいずれかを使用した。概して、スライドグラスに付着されたゲルにビーズを固定化した。または、時にはフローセルに取り付けたカバーガラスまたはフローセルに取り付けたスライドグラスに固定化ビーズ-ゲルを付着した。フローセルまたはスライドグラスのいずれかは、細部までステージに適合する。スライドグラスの場合、画像取得のサイクルの間に顕微鏡からそのスライドを取り外して実験プロトコル(例えば配列決定)を行うことができた。画像取得サイクルの間にスライドをステージから取り外すことに伴う一つの問題は、ミクロン単位の精度で顕微鏡のステージにそのスライドを正確に再配置できないことである。典型的には、100ミクロン以上の再配置誤差が予想されるであろう。40倍の倍率で7ミクロンのCCD画素サイズでは、この誤差は、あるサイクルから次のサイクルへの画像のずれが原因で、75%以上のデータ喪失をもたらすであろう。この問題は、スライドまたはフローセルを顕微鏡から取り外さずにスライドまたはフローセルの温度のゆらぎを伴う実験プロトコルを行ったとしても、より少ない程度で同じように起こりうることに留意すべきである。そのような温度変化は、スライドまたはフローセルの幾何形状に機械的変化を誘導するであろうし、画像のずれをもたらしうる。撮像およびスライドの取り外しの連続サイクルの後で、XおよびYで数ミクロン、Zで1ミクロン未満以内になるようにX、YおよびZ軸への顕微鏡のステージの正確な再配置を可能にするために、以下の段階を使用できる。
【0077】
段階1
実験の開始時に、撮像する表面の「焦点地図」を発生させた。この焦点地図は、顕微鏡が各取得サイクルの間に視察するためのビーズアレイx、y、z座標のリストである。この焦点地図は、対応するz位置を発生するためにそのリストでの各x、y位置での「自動焦点」ルーチンを遂行することにより通常は発生する。使用した自動焦点アルゴリズムは、METAMORPH(登録商標)取得ソフトウェア(Universal Imaging Corporation, Downingtown, PA)により実行され、透過明視野像、反射明視野像、または対象となるビーズを蛍光分子または蛍光分子類で標識した場合は落射蛍光像のいずれかを使用する。
【0078】
段階2
各撮像サイクルの開始時に、ソフトウェアは焦点地図の最初のx、y、zハードウェア位置に戻った。自動焦点ルーチンをその特定の視野に関して遂行して、z軸での位置決定誤差を補正した。次に、画像を取得し、画像レジストレーションソフトウェアプログラムに渡した。そのプログラムは、新しい画像をそのフレームの本来の画像とレジストレーションする目的で、その新しい画像を変換するためにxおよびy軸での適切なオフセットを見出した(1画素以内まで;その画素のサイズでミクロン単位の距離、通常は約7μmを与える)。ビーズを固定化したため、ビーズは、アレイに追加の特性を導入する必要を避ける基準マーカー(fiduciary marker)として働くことができた。このように、無秩序化されたビーズを有することは、精密な画像アライメントを行おうとする場合に大きな利点であった。次に、顕微鏡のステージをこれらのオフセットだけxおよびy方向に移動した。次に、ビーズアレイは段階1の本来の位置に近いx、y、z位置であった。この方法を使用してサブミクロンの分解能で画像をアライメントできることが見出された。第二の自動焦点を実施して、新しいx、y位置に焦点が合っていることを確認した。この新しい位置に原点をリセットした。
【0079】
段階3
本来の焦点地図で各位置を視察することにより画像を取得した。これらの画像は以前のサイクルすべてと一致しており、各フレームのビーズの大部分またはすべてに関してデータの抽出が可能であった。典型的な「焦点地図」のプロット座標の例を図4に示す。この図は、二つの大きな穴を有する円形ゲル(直径約1cm)を示す。赤色の点は、個々のフレームの相対XYZ座標を示す。図5は、透過明視野で高密度で撮像した単層ビーズのサンプル画像を示す。
【0080】
実施例VI
対タグのインビトロライブラリーの構築
直鎖dsDNA分子のプールをもたらすインビトロライブラリー構築プロトコルを開発した。そのライブラリーでは、各分子は長さ約134〜136bpであり、対象ゲノムから得られた17〜18bpのタグの特有の対を含む。これらの特有のタグは、ユニバーサルプライマー(PR1-RおよびPR1-F)に相補的な配列のセットに隣接し、追加のユニバーサルスペーサー配列(「T30」)がこれらのタグを分離している(図11)。特有のタグは、対象ゲノムに同一に配向して、対象ゲノムでのタグの分離が制約された範囲(例えば1000+/-100塩基)に入る点で、それらのタグは「対」になっている。このプロトコルは、完全にインビトロである点で特有であり、大腸菌(E. coli)への形質転換は必要ない。
【0081】
インビトロ法により構築されたこの形式のライブラリーは、従来のゲノムショットガン配列決定に比べて以下の利点を提供する:
(a)エマルジョンPCRプロトコルの方が短鎖配列を増幅するための効率がかなり高いことから、ライブラリー中の各増幅可能な分子の合計長を最小化する動機づけが存在する;
(b)サンガー(Sanger)に基づくゲノムプロジェクトの経験は、対形成した読み取りは、特にゲノムが繰り返しエレメントを含む場合に、ゲノムの再配列決定に大いに有用であることを指示している;
(c)特有の塩基を配列決定するために本明細書に記載する方法は、ユニバーサル「アンカー」配列を介して位置決定することに依存している。
このライブラリー形式では、二つのタグに関して近位および遠位アンカーの両方が存在し、そのことは、各タグについて独立して配列決定法を適用することによって、読み取り長を二倍にすることが効率的に可能になる。
【0082】
このライブラリー構築プロトコルは以下の段階を有した。
1. ゲノムDNAの精製
2. フラグメントを発生するためのゲノムDNAの切断
3. DNAフラグメントの末端修復およびA尾部形成
4. PAGEによる切断したフラグメントのサイズ選択
5. T尾部スペーサーオリゴヌクレオチド(「T30」)を用いた環化
6. ランダムヘキサマーを用いたローリングサークル型増幅(RCA)
7. MmeI(IIs型)を用いて消化して対タグを放出
8. タグ-T30-タグライブラリーのPAGE精製
9. タグ-T30-タグライブラリーの末端修復
10. FDV2(PR1-F)およびRDV2(PR1-R)プライマーオリゴヌクレオチドの連結
11. PAGEによる対タグライブラリーのサイズ選択
12. ニックトランスレーションを行ってdsDNAライブラリーのニックを除去
13. 対タグライブラリーのPCR増幅
14. 対タグライブラリーのPAGEサイズ選択
15. クローニングおよびサンガー配列決定によるライブラリーの妥当性確認
【0083】
「M」および「R」大腸菌株に関する対タグライブラリーを構築するために上記段階を実施したときの、上記段階のそれぞれに関する詳細なプロトコルを下記に示す。
【0084】
ゲノムDNAの精製
大腸菌株「M」および「R」それぞれに関して、LB 3mL中で培養物を一晩成長させ、製造業者のプロトコルの通りQiagen DNEASY(登録商標)組織キットを用いて単離した。各ゲノムDNAの精製物の収量は約30μgであった(Qiagen Inc., Valencia, CA)。
【0085】
広いサイズ分布のフラグメントを発生させるためのゲノムDNAの切断
両方の株からのゲノムDNAの切断をAgencourt Bioscience Corporation(Beverly, MA)により行った。下記のゲルにみられるように、結果として得られたDNAフラグメントのサイズ分布は極めて広範囲であった(図12)。
【0086】
DNAフラグメントの末端修復およびA尾部形成
特記のない限り、Nanodrop ND-1000分光光度計でDNAの定量をすべて行った。
【0087】
切断されたゲノム「M」DNAは57ng/μlと定量され、切断されたゲノム「R」DNAは55ng/μlと定量された。切断されたDNAフラグメントをEpiCentre END-IT(商標)DNA末端修復キット(Madison, WI)で末端修復した。各ライブラリーについて、以下の混合物を調製した:切断された大腸菌DNA(約9〜10μg)170μl;10×END-IT(商標)緩衝液25μl;10×END-IT(商標)ATP 25μl;10×END-IT(商標)dNTP 25μl;およびEND-IT(商標)酵素5μl、全体積250μl。
【0088】
反応物を室温で1時間インキュベートした。PCR産物の精製に関する製造業者の助言の通りQiagen QIAQUICK(登録商標)カラムでDNAを精製した。溶出に約90μlの緩衝液EB(10mM Tris・Cl、pH8.5)を使用した。「M」DNAを96.5ng/μlと定量し、「R」DNAを75.1ng/μlと定量した。各体積を約22μlの試験管4本に分割した。残余の酵素活性を除去するために、試験管を70℃に15分間加熱した。A尾部形成用マスター混合物を以下のように調製した。10×PCR緩衝液100μl(MgCl2を有さない)(Invitrogen, Carlsbad, CA)、50mM MgCl2 60μl(Invitrogen)(終濃度3mM)、100mM dATP 5μl(Invitrogen)(終濃度0.5mM)、Taq(5U/uL)5μl(New England Biolabs, Beverly, MA)、およびdH2O 610μl。
【0089】
熱不活性化した後で、切断され末端修復されたDNAフラグメント22μlを含む各試験管にマスター混合物78μlを加えた。温度サイクリング機で試験管を70℃で30分間インキュベートした。サイクリングプログラムは、試験管を4℃に冷却することで終了した。次に、これらの試験管を温度サイクラーから直接氷中に移した。
【0090】
DNAを以下のようにフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿(P:C:P)により精製した。
1. 等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を加えた。
2. 0.1容の3M NaOAc(pH5.2)を加えた。
3. グリコーゲン(20μg/μl)1.0μlを加えた。
4. 冷100%エタノール2.5容(-20℃で保存した瓶から)を加えた。
5. 上下逆にして混合した。
6. 試験管を-70℃に約30〜60分間入れた。
7. 4℃の室内で微量遠心分離器で10分間最高速度で回転した。
8. 上清を除去した。
9. 80%エタノール1mlを加えた。
10. 室温で微量遠心分離器で5分間最高速度で回転した。
11. 上清を除去した。
12. Speed-Vacに試験管を約5分間入れた。
13. 緩衝液EBまたはTE 40μlにペレットを再懸濁した。
【0091】
PAGEによる切断されたフラグメントのサイズ選択
各ライブラリーからの材料の半分をプレキャスト6%TBE-PAGEゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)にロードした。DNA 20μlを5×高密度試料緩衝液5uL(Novex, San Diego, CA)と混合した。これと同じローディング緩衝液を、このプロトコルでのその後のPAGEゲルのすべてに使用した。試料/ローディング緩衝液混合物を1レーンあたり12.5μlロードした(ライブラリー一つあたりレーン2本)。ゲルを標準的な装置で泳動し、約1000塩基対フラグメントに対応する領域をUVへの最小の曝露で切り出した。ゲルフラグメントをカミソリでサイコロ状に切り、各ライブラリーフラグメントをPAGE溶出緩衝液600μl(10mM Tris-HCl (pH7.5)、50mM NaCl、1mM EDTA (pH8.0))に移した。試験管を37℃で一晩インキュベートした。
【0092】
翌日、溶出液を微量遠心分離器で最高速度で1分間回転し、上清を新しい試験管に移した。回収率を改善するために、追加のPAGE緩衝液200uLでゲルフラグメントを洗浄した。DNAをP:C:Pプロトコルを使用して精製し、各ペレットを緩衝液EB 22μlに再懸濁した。
【0093】
A尾部形成段階を繰り返して、A尾部の潜在的部分分解の影響を最小にした。その分解は、ゲル精製中に起こった恐れがあった。末端修復およびA尾部形成の両方をPAGEに基づくサイズ選択の前よりもむしろ後に行ってもよい。A尾部形成用マスター混合物を以下のように調製した。10×PCR緩衝液(MgCl2なし)25.00μl、50mM MgCl2 15.00μl(終濃度3mM)、100mM dATP 1.25μl(終濃度0.5mM)、Taq(5U/μl)1.25μl、およびdH2O 152.50μl。
【0094】
A末端尾部形成用マスター混合物78μlを22μlに再懸濁したDNAを含む各試験管に加え、総容積100μlとした。各ライブラリーについて、これを2本の温度サイクラー適合性試験管にそれぞれ50μlに分割した。試験管を温度サイクリング機に入れて70℃で30分間インキュベートした。試験管を4℃に冷却することにより、サイクリングプログラムは終了した。次に、これらの試験管を温度サイクラーから直接氷中に移した。DNAをP:C:Pプロトコルにより精製した。各ライブラリーを緩衝液EB 10μlに再懸濁して、氷中に入れた。
【0095】
回収率を定量して回収したフラグメントのサイズ範囲を推定するために、精製した材料の20%を使用してプレキャスト6% TBE PAGEゲル(Invitrogen)を泳動した(図13)。ゲルに基づく定量では、「M」=43ng(2μl中、または全量の20%);範囲=約850〜1150、平均=約1000。ゲルに基づく定量では、「R」=18ng(2μl中、または全量の20%);範囲=約900〜1250;平均=約1075。各ライブラリーについて確保した残りの約8μlの体積には「M」フラグメント約171ngおよび「R」フラグメント約73ngが存在した。
【0096】
T尾部スペーサーオリゴヌクレオチド(「T30」)を用いた環化
次に、A尾部を有するライブラリーフラグメントを、T尾部スペーサーオリゴヌクレオチド「T30」を使用して環化した。二つの32bpオリゴヌクレオチドをアニールすることによりT30セグメントを調製して、1塩基の「T」突出を有する30bpのdsDNAフラグメントを発生させた。

T30セグメントは外向きMmeI部位に隣接している。
【0097】
混合して各オリゴについて終濃度50μMにし、温度サイクラーで95℃に10分間加熱し、温度サイクラーを止め、その混合物を1時間かけて室温にゆっくりと冷却させることにより、オリゴのアニーリングを行った。
【0098】
T30フラグメントとA尾部を有するライブラリーフラグメントとの連結を、QUICK LIGATION(商標)キット(New England Biolabs, Beverly, MA)を使用して実施した。反応物を以下のように調製した。「M」ライブラリー環化反応(合成体積80μl):「R」試験管からのA末端を有するフラグメント8.0μl(1000bpで約171ng=0.2599pmol);dH2O 27.2μl;T30 0.8μl(初発濃度1μM(0.8pmol、3倍モル過剰));2×QUICK LIGATION(商標)緩衝液40.0μl;およびQUICK(商標)T4 DNAリガーゼ4.0μl。「R」ライブラリー環化反応(総容積30μl):「R」試験管からのA末端を有するフラグメント8.0μl(1075bpで約73ng=0.1032pmol);dH2O 5.2μl;T30 0.3μl(初発濃度1μM(0.3pmol、3倍モル過剰));2×QUICK LIGATION(登録商標)緩衝液15.0μl;QUICK(商標)T4 DNAリガーゼ1.5μl。各試験管に酵素を加える前後に各反応物を十分に混合した。反応物を室温で10分間インキュベートしてから、氷中に移した。
【0099】
リガーゼを温度サイクラーで65℃で10分間熱不活性化した。すべての非環化材料を分解するために、エキソヌクレアーゼ混合物を加えた。このエキソヌクレアーゼ混合物を以下のように調製する:エキソヌクレアーゼI(20U/μl)4.0μl(New England Biolabs, Beverly, MA);エキソヌクレアーゼIII(100U/μl)0.4μl(New England Biolabs, Beverly, MA);およびTE 35.6μl。エキソヌクレアーゼ混合物10μlを「M」反応物80μlに加え、エキソヌクレアーゼ混合物3.75μlを「R」反応物30μlに加えた。試験管を37℃の温度サイクラーで45分間、その後に80℃で20分間インキュベートして、エキソヌクレアーゼを熱不活性化した。この材料を全く精製せずに、次の段階のRCA反応に直接使用した。
【0100】
ランダムヘキサマーを用いたローリングサークル型増幅(RCA)
REPLIPHI(商標)phi29キット(EpiCentre, Madison, WI)を使用してライブラリー材料の量を増幅するために、超分岐RCAを行った。以下のようにマスター混合物を調製した。dNTP混合物32.0μl(各25μM)、10×REPLIPHI(商標)phi29反応緩衝液80.0μl、ランダムDNAヘキサマー40.0μl(1mM、5'-NNNN*N*N-3'として合成、ここで「*」はホスホロチオエート結合を示す)、dH2O 552.0μl、および5×SybrGreen 16.0μl。そのマスター混合物を試験管2本に270μlずつ分割し、その試験管に「M」または「R」材料のいずれか30μlを混合して総容積300μlにした。次に、各試験管を50μlずつ6本に分割した。環化テンプレートを変性させるために、試験管を95℃に5分間加熱してから、4℃に速やかに冷却した。氷冷した各試験管にphi29酵素2.5μlを加えて、試験管1本あたり総容積52.5μlとした。試験管を十分に混合して、氷冷を続けた。温度サイクラーで試験管を30℃で一晩インキュベートした。
【0101】
RCA反応をリアルタイムPCR機で実施し、反応物に存在するSybrGreen色素を介して増幅を観察した。dsDNA含量は上昇し、2時間の時点で頭打ちになった。これは、一晩反応を実施する必要がないおそれがあることを示している。
【0102】
MICROCON-30(登録商標)カラム(Millipore, Billerica, MA)でTE合計1mLで洗浄してDNAを精製した。ペレットは十分量であった。MICROCON-30(登録商標)膜の数回の洗浄を使用して回収率を最大にした。50℃での加熱と追加の再懸濁緩衝液(緩衝液EB)の添加との組み合わせを使用してDNAを再懸濁した。各ライブラリーの約750μLを回収した。
【0103】
試料をNANODROP(登録商標)装置(NanoDrop Technologies, Wilmington, DE)で定量した:「M」=230ng/uLおよび「R」=204ng/uL。このように、RCA反応によって各ライブラリー約150μgがもたらされた。
【0104】
対タグを放出するためのMmeI(IIs型)を用いた消化
各ライブラリー約40μgをMmeIで消化した。MmeI部位はT30セグメントにあるその認識部位から離れたところを切断し、T30セグメントの末端のいずれかに外向きMmeI部位が存在することから、この消化は2bpの突出を有し約18bpのタグが隣接するT30セグメント(長さ約70bp)を放出すると予測した。MmeI消化前は、ゲノムフラグメントはT30を有して環化していたことから、これらのタグはそれらの起点に関して対形成していると予想した。
【0105】
反応物を以下のように調製した。MmeI、S-アデノシルメチオニン(SAM)、およびNEBuffer 4(lO×)をNew England Biolabs(Beverly, MA)から得た。32mM SAMを1×NEBuffer 4で1:20に希釈した(->1.6mM)。
【0106】
【表1】

【0107】
反応物を氷冷して調製し、酵素を加える前に試薬を十分に混合した。各反応物を125μlずつ試験管8本に分割し、37℃で30分間温度サイクラーでインキュベートした。エタノール2.5容の代わりにわずか2容しか使用せず、最初に熱不活性化を行わない以外は上記のように、P:C:P精製を行った。各ライブラリーについて消化されたフラグメントをTE 80μlに再懸濁した。約70bpのバンドは予想通り「M」および「R」レーンに観察された(図14)。
【0108】
PAGEによるタグ-T30-タグライブラリーの精製
ライブラリー一つあたり4本のレーンを使用して、各ライブラリー全量を上記のような10レーンのプレキャスト6%PAGEゲルを泳動した(ライブラリー20μlおよび5×色素5μl)。約70塩基対の明瞭なバンドを切り出した。各種類のライブラリーのすべてのレーンからのフラグメントを合わせ、溶出が約3時間であった以外は上記のようにゲルからの抽出を行った。P:C:P回収後に、各ライブラリーについてのDNAをTE約20μlに再懸濁した。回収した材料を定量するために診断ゲルを泳動した(図15)。「M」および「R」ライブラリーの両方は約12.5ng/μlと推定され、それぞれ18μlがこの時点で残っていた。
【0109】
タグ-T30-タグライブラリーの末端修復
タグ-T30-タグ分子は、MmeI消化の結果、2bpの3'突出を含んだ。上記のようにEpiCentre END-IT(商標)DNA末端修復キット(Madison, WI)を使用して末端を修復した。反応物を以下のように調製した。「M」または「R」フラグメント8.50μl(12.5ng/μl、約100ng)、10×END-IT(商標)緩衝液1.25μl、10×END-IT(商標)ATP 1.25μl、10×END-IT(商標)dNTP 1.25μl、およびEND-IT(商標)酵素0.25μl、総容積12.5μl。
【0110】
反応物を室温で45分間インキュベートしてから、4℃に直接移した。TE 40μlを加えることにより体積を50μlに増やし、反応物を上記のようにP:C:P抽出した。沈殿段階を-70℃で一晩行った。回収したDNAをTE 8μlに再懸濁した。
【0111】
FDV2(PR1-F)およびRDV2(PR1-R)プライマーオリゴヌクレオチドの連結
1:1に混合(終濃度50μM)して、95℃で10分間加熱し、かつその反応物を1時間かけてゆっくりと冷却させることによって、完全に相補的なオリゴヌクレオチド(100μM、HPLCで精製)をアニールすることにより、プライマー-アダプター(dsDNA、FDV2およびRDV2)を調製した。
【0112】
「アニールした」形式では、FDV2およびRDV2は以下の通りであった。

【0113】
FDV2およびRDV2分子はリン酸化しておらず、よって、自己-自己連結も相互連結もできないと予想された。末端修復され連結した分子はリン酸化しており、よって、過剰のFDV2およびRDV2を使用してライブラリー分子についてのコンカタマー化イベントを最小にした。ライブラリー分子へのプライマー-アダプターの連結は平滑末端-平滑末端であり、よって、連結効率を向上するためにポリエチレングリコール(PEG)の存在下で連結を実行した。各反応を以下のように設定した。dH2O 12.3μl、精製した平滑末端ライブラリーフラグメント(「M」または「R」約100ng、すなわち約2pmol)8.0μl、RDV2 1.0μl(50μM、50pmol)、FDV2 1.0μl(50μM、50pmol)、10×T4リガーゼ緩衝液2.5μl(New England Biolabs, Beverly, MA)、40% PEG 21.2μl(40%ポリエチレングリコール8000)、およびT4リガーゼ2.0μl(2000U/μL)(New England Biolabs)。PEGおよびリガーゼ以外のすべての試薬を混合することにより、反応物を室温で調製した。次にPEGを加えて混ぜ合わせ、リガーゼを加えて混ぜ合わせた。反応物を16℃で一晩インキュベートした。精製するために、反応体積をTEで100μlに増やし、P:C:P精製した。ペレットを緩衝液EB 10μlに再懸濁した。
【0114】
PAGEによる対タグライブラリーのサイズ選択
反応全体を10ウェルの6% PAGEゲルと適切なラダーとで実施した。未連結のRDV2およびFDV2(ライブラリーに対して大きくモル過剰で存在)がゲルの外まで泳動したと予想されるように、十分な距離だけゲルを泳動させた。予想通り適切なサイズの三重バンドを観察した(RDV2/ライブラリーフラグメント/RDV2連結、RDV2/ライブラリーフラグメント/FDV2連結、またはFDV2/ライブラリーフラグメント/FDV2連結に起因する)。完全な三重バンドを含む領域を切り出して、溶出が3時間であり、エタノール沈殿が-70℃で一晩であったことを除いて、上記のようにゲルから精製した。試料をそれぞれ緩衝液EB 20μlに再懸濁した。
【0115】
dsDNAライブラリーでのニックを除去するためのニックトランスレーション
ライブラリー分子だけが連結反応で5'-リン酸化されたので、連結産物は修復しなければならないニックを含むと予想された。残りの材料の半分と取り組んで、以下のようにニックトランスレーションを実施した。ライブラリー10.0μl(回収率100%と仮定、これはタグ-T30-タグ分子50ngと連結したプライマー-アダプターの量との合計のはずである)、dNTP混合物0.5μl(25mM、よって各ヌクレオチドの終濃度は500μM)、10×NEBuffer-2 2.5μl(New England Biolabs)、大腸菌DNAポリメラーゼI(10U/μl)1.0μl(New England Biolabs)、およびdH2O 11.0μl。反応物を調製し、氷冷しながら混合してから、16℃で30分間インキュベートした。精製するために、反応体積をTEで100μlに増やし、反応物をP:C:P精製して、TE 10μlに再懸濁した。
【0116】
対タグライブラリーのPCR増幅
PCRをこの場面で行って、1)我々が取り組まねばならないライブラリー材料の量を増やし、かつ2)ワンステップで外来連結産物を除去した。理論に拘束するつもりはないが、この段階で記載されたPCRから生じるはずである連結産物だけが、いずれかの側に正しく配向したRDV2およびFDV2が隣接したタグ-T30-タグを有する(T30セグメント自体は対称ではなく、よって、RDV2およびFDV2セグメントに対してどちらの配向でもどちらの方向でもありうることに注意)。
【0117】
複合混合物をPCR増幅しようとしていたことから、プライマー分子を使い果たす前にPCR反応を停止させることが重大であった。意図されたプライマーがいったん使い果たされたならば、ライブラリー分子が相互にプライマーとして働き始める事実、およびライブラリー分子が十分な類似性(約134個中約100個の同一塩基)を含むため、変性後に所定の一本鎖ライブラリー分子が厳密に相補的なパートナーと再アニールしそうにないという事実にこれは起因する。変性してプライマーが使い果たされた後で再アニールした、結果として生じたライブラリーは、多くの「ハイブリッド」ライブラリー分子を含みうる。
【0118】
リアルタイムPCR機でPCR増幅を行った(OPTICON(登録商標)2, MJ Research, Bio Rad, Waltham, MA)。
【0119】
【表2】

【0120】
マスター混合物(表2に示す)を499.5μlずつ2本の試験管に分割し、ライブラリー材料(「M」または「R」)0.5μlをそれぞれに加えた。各ライブラリーのPCRをそれぞれ50μlずつ試験管8本に分割して(総容積400μl)、温度サイクラーにかけた。温度サイクリングを以下のように行った。
1. 94℃、2分間
2. 94℃、30秒間
3. 55℃、30秒間
4. 72℃、90秒間
段階2に戻る
【0121】
DNAの量がプラトーになり始めたことから、15サイクルが経過した後に反応を停止した。各ライブラリーからの反応物を個々の試験管に合わせ、PCR産物の精製のために製造業者の助言の通りQIAQUICK(登録商標)(Qiagen, Valencia, CA)カラムで精製した。緩衝液EB 100μl中で再懸濁した。これは次の段階には体積が大きすぎると判断し、試料をエタノールで沈殿させ(フェノール抽出を行わなかった以外は、P:C:Pプロトコルの通り)、洗浄してTE 10μlに再懸濁した。
【0122】
PAGEによる対タグライブラリーのサイズ選択
6% PAGEゲルで反応を実施した。「最終」ライブラリーのバンド(約135塩基対での明瞭なバンド)を切り出し、溶出させ、前の通り精製した。これが最終精製段階であり、よってできるだけゲル精製を努めて厳密に行って、存在するおそれのある、いかなる非ライブラリー分子の混入も最小にすることが重大であった。PAGEゲルをラダーなしで泳動した。それは、これらラダーの分子は混入物にもなりうることが多いからであり、メスよりもカミソリの刃をギロチン型動作で使用した。
【0123】
一晩沈殿させてP:C:P精製した後で、回収したライブラリー材料をTE 10μlに再懸濁した。ライブラリーを定量するために、適切なマーカーを有する6%PAGEゲルを泳動した(図16)。ライブラリーおよびラダーのバンドの相対強度に基づき、濃度を2ng/μlと推定し、その結果、残余の各ライブラリーは約9×2=18ngであった。そのライブラリーが135bpであったならば、濃度は約23nMとなる。エマルジョンPCRに使用するためにライブラリーをTEに様々な濃度に希釈して、本来のライブラリーとそれらの希釈物との両方を-20℃で保存した。
【0124】
クローニングおよびサンガー配列決定によるライブラリーの妥当性確認
ライブラリーのタグが大腸菌由来で対形成しているであろうという予想の妥当性を確認するために、「R」ライブラリーフラグメントをInvitrogen TOPO(商標)-4キット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてクローニングしてから、M13F/M13Rを使用するPCRおよびサンガー配列決定(クローン一つあたり1つの読み取り)を行った。96個のPCR産物を配列決定に供したが、これらのうち20個は不正確な読み取りであるか、またはベクターもしくは混入物に関係するかのいずれかとして戻ってきた。残りの76個の挿入物は、予想通りRDV2およびFDV2セグメントが適切に隣接していると思われた。これら76個のうち:1個は6bpの挿入(TTATCA);1個は大腸菌ゲノムフラグメント(長さ65bp;BLASTで大腸菌MG1655ゲノムと63/63の100%の一致);1個は大腸菌ゲノムフラグメント(長さ70bp;BLASTで大腸菌MG1655ゲノムと69/69の100%の一致)であり;1個はNCBIデータベースに有意な一致を有さない約27bpが隣接するRDV2プライマーを含み;72個は予想通りT30セグメントによって分離された二つのタグを含んだ。
【0125】
これら72個のうち、タグの長さは以下の分布を有した:1個のタグは9bp;1個のタグは11bp;2個のタグは13bp;1個のタグは14bp;1個のタグは15bp;2個のタグは16bp;73個のタグは17bp;62個のタグは18bp;かつ1個のタグは22bpであった。対形成に関して、タグは大腸菌のゲノムと以下のように一致した:4個は、大腸菌ゲノムと完全に一致するタグが1個または全く存在しない状態であった(おそらく配列決定の誤りまたは非標準(non-canonical)配列が原因);1個は、両タグが特有の位置と一致したが、同じゲノム領域に由来しないと思われた点で「不対」であり;67個は対タグとして大腸菌ゲノムと一致した(予想された制約内のタグ間距離で同じ配向)。これらの67個の対タグについて、対タグの距離の分布は951+/-90bpであった。最小距離は729bpであり、最大距離は1162bpであった。
【0126】
このように、68個の読み取りについての対形成率は67/68、すなわち約98.5%であった。対形成した大腸菌タグを表し、T30セグメントがそれらのタグを分離しているライブラリーでのエマルジョンPCR増幅可能な分子の割合の最小推定値は67/76、すなわち88%であった。一方または両方のタグが一致不可能であった4個の読み取りが、サンガーの配列決定の誤りまたは「R」株と標準ゲノム配列参照との間の差異が原因で一致不可能であった対形成した読み取りを実際に表すならば、実際の割合はやや高くなりうるであろう。
【0127】
標本サイズは小さいが(n=72)、タグ配列で25/25/25/25頻度からの偏差が観察され、これは有意な傾向でありうる(表3に示す)。第一列の数は、あるプライマーもしくは他のプライマーとの、またはT30セグメントとのいずれかの接合部に関するタグ塩基の位置を表す。塩基の頻度を表にした基の鎖は、プライマーまたはT30セグメントからの伸長により(5'から3'に)配列決定するならば、これらの頻度の出現が予想されるような鎖である。カッコ内の数は、実際のカウント数(頻度とは対照的に)である。
【0128】
【表3】

【0129】
実施例VII
ビーズに連結したオリゴヌクレオチドに関する並列的な配列決定
ビオチンを介してストレプトアビジン被覆超常磁性ビーズ(直径8.8ミクロン)に連結したオリゴヌクレオチドに5から8塩基対の読み取りが得られた実験の結果を図6に示す。ビーズをアクリルアミドに固定化した。図6に示したビーズは、以前に公知の方法を使用した場合よりも、当業者が単一スライド上で単位面積あたり10,000倍多い特性を配列決定するのを可能にする。
【0130】
さらなる小型化に向けて、1ミクロンのビーズ上に短い配列決定用読み取り(テンプレート1個あたり4塩基対)を発生させるための実験を行った(図7)。それぞれのビーズがおよそ1から4個のアクティブ画素によってのみ表されることから、これらの結果は「1画素あたり1配列読み取り」の分解能に近づいている。この実証されたビーズのサイズおよび密度で、配列決定用読み取りを3インチのスライドグラスで1インチあたり3千万個を超える独立したビーズから得られうる。
【0131】
実施例VIII
ミクロスフェアの単層
実施例IIIに示したプロトコルの変形は、自己集合した単層での親和性を利用して、増幅されたビーズの濃縮を提供する。これは、増幅のための現行のプロトコルに関連する問題を回避する。そのようなプロトコルでは、希釈標的DNAを使用してビーズ1個あたりのアンプリコンの重複を避け、よって標的DNAがゼロのビーズの数は、ポアソン分布に近似される。
【0132】
本発明は、スライド上の核酸のパターン(例えば組織切片、マイクロアレイ、伸長した染色体中のRNA)の上に「その場で」密封チャンバーを形成するために(増幅の拡散を制限するための)類似のエマルジョンを使用することも含む。固定化エマルジョンの使用は、エマルジョン液滴のサイズを制約し、安定化し、かつそれをさらに一様な分布にすることも助けるであろう。
【0133】
3インチのスライドグラスの1インチあたり数億から数十億個の独立した配列決定用読み取りを得るために、同じ1ミクロンのビーズを高密度で充填できる。超常磁性ビーズの自己組織化単層(SOM)を発生した(図8)。横磁場を使用して多層も構築できる。1ミクロンのビーズの単層で完全に被覆したスライド1枚から30塩基対の読み取りを得ることは、約560億の塩基の配列をもたらすであろう。
【0134】
実施例IX
エマルジョン非存在下での粒子上の核酸増幅
理論に拘束するつもりはないが、ミクロンまたはサブミクロンサイズにポロニーの形状を減少させると、スループットが少なくとも1000倍改善するであろう。これは、ポリマービーズ(1μm常磁性ビースなど、Dynal, Oslo, Norwayから入手可能)、ポリマーネットワーク、またはポリマーナノ構造に一つの増幅プライマーを制約することにより実現しうる。このように、ポロニーの形状のサイズは、ビーズまたはポリマーマトリックスのサイズによって決定され、よって、ポリマーマトリックス(アクリルアミドゲル)の孔サイズおよび/または架橋含量ならびに標的アンプリコンの長さとは無関係である。従来のポロニーPCRに類似して、ポロニービーズについての実際の増幅段階は、ポリマーマトリックス(例えばアクリルアミドゲル)中で実施され、それは個々のビーズの位置を保持することを助け、アンプリコンの拡散を部分的に制約する。本発明の重要な一構成要素は、添加剤(例えば陽イオン性脂質、ポリアミン、ポリカチオンなど)の包含であり、それはポリマービーズを囲むゲル内間隙、例えばミセルまたは凝集体を形成し、固相での効率的な増幅を可能にする(図9A〜9D)。この改善の主な利点は、ビーズ付近への標的アンプリコンおよび他の増幅プライマーの分画が異なることであり、それは増幅効率および/またはビーズとの近接を増加させる。それは、エマルジョンを形成する必要性を回避し、よって、より単純なマルチプレックス増幅と、増幅すべき初発セットの分子の2Dまたは3D配置の保存さえも可能にする。
【0135】
代替として、第二増幅プライマーをポリマーマトリックスに固定化できる(例えばアクリダイト修飾または他の架橋法により)。このように、遊離の第二プライマーは増幅にほとんどまたは全く必要ない。これは、増幅の間にビーズ同士の交差を排除し、よって、クローン性を強化するであろう。ポリマーマトリックス(例えばアクリルアミドゲル)に追加して、ミセルまたは凝集体の形成は、たとえあったとしても(すなわち、残余の遊離第二増幅プライマーがあるか、または遊離の第二プライマーが増幅中に使用されるにしても)遊離の増幅産物の拡散をさらに制約しうる。ポリカチオン層(または網目構造)内のポリアニオン(例えばDNA)の移動性は、そのポリカチオンからの自由拡散よりも迅速であり得、よって、その反応はカチオン層が満たされるまでは指数的に近く、次にほとんど停止して、その後の画像の鮮鋭度がさらに増強しうる。
【0136】
図9A〜9Dは、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用により1μm Dynaビーズに予備連結した一増幅プライマーのコピーを示す。他の増幅プライマーをアクリダイト修飾して重合の際にポリアクリルアミドゲルマトリックスに取り込めるようにする(左)。対象となる核酸増幅テンプレートと共に二つのプライマーをアクリルアミドマトリックスに集合させる。PCR増幅を行ってから、Cy3標識プローブの変性およびハイブリダイゼーションを行った。増幅産物をほとんど検出できなかった(右)。(左)とは対照的に、集合した混合物に陽イオン性脂質を加えて15分間インキュベートすると、より強いシグナルが実証したように、増幅効率は大きく増強した。
【0137】
実施例X
ポロニー配列決定を使用したDNA修飾の分析
CpGジヌクレオチドのシトシン残基の5'炭素にメチル(CH3)基を付着すること(遺伝子外修飾と称する)は、細胞性遺伝子発現を制御するための重要なメカニズムを構成する。ゲノミクスメチル化パターンの動力学に関する定量的知識は、進化制御および病理状態を含む生物学に大きな影響を有するであろう。全ゲノムからの異常DNAメチル化の検出は、メチル化特異的酵素を用いた制限消化の後のディファレンシャルディスプレイ(MCA-RDA; Ueki et al. (2001) Cancer Res. 61:8540、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)またはマイクロアレイ分析(DMH (Yan et al. (2000) Clin. Cancer Res. 6:1432)、ECIST(Shi et al. (2002) Cancer Res. 62:3214、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)のいずれかに依存している。メチル化に差のある候補遺伝子座を同定できるが、それらのどれも任意の所定のCpGアイランドに典型的である組み合わせメチル化イベントを監視できない。多数のメチル化の関係をシスで(in cis)問い合わせることができる唯一の技法は、メチル化特異的配列決定である。しかし、亜硫酸水素塩で変換した個々のゲノムフラグメントのクローニングおよび従来の配列決定手順の性能は、その取り組みを労働集約的および低スループットとしている。
【0138】
一態様では、本発明は、メチル化特異的配列決定をポロニープラットフォームに適用して、従来のメチル化配列決定法に比べていくつかの利点を与えることを目的とする。(1)亜硫酸水素塩で変換したDNAフラグメントを固相または半固相(この場合、アクリルアミド)中で直接増幅でき、よって、骨の折れるクローニング段階の必要性およびクローニング効率の差によって導入される潜在的バイアスを撤廃できる。(2)数千から数百万の単分子に同時に問い合わせするようにメチル-dCの検出を高度に並列的に実現できる。二つの取り組み、すなわち繰り返しプロービングおよびFISSEQ(Zhu et al. (2003) Science 301:836; Mitra et al. (2003) Analyt. Biochen1. 320:55、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)を適用してメチル化イベントの差を監視できる。繰り返しプロービングは、一握りの公知の遺伝子座を研究するのに適しているが、FISSEQはゲノム全体の研究に確実に利点を有する(下記(4)参照)。(3)ポロニープラットフォームは単分子系技法であることから、投入材料はほとんど必要ない。よって、単一の細胞および/または染色体を利用できる。個々の細胞および/または染色体(例えば染色体の伸展)をポリマーマトリックスまたはゲル(例えばポリアクリルアミド)に包埋してから、亜硫酸水素塩による固相変換および増幅を行うことができる。これは、DNA精製段階を排除して、試料調製する間に、試料の損失および汚染の可能性を回避するであろう。(4)(3)の延長として、マルチプレックスPCRおよび/またはゲノム全体の増幅(例えばPhi29を用いた)を、亜硫酸水素塩で変換した細胞および/または染色体を用いて行える。これによって、ゲノムDNA全体のメチル化状態を単一細胞および/または単一染色体レベルで決定することが可能になる。
【0139】
実施例XI
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
シングルFISSEQステップのためのFRETのドナー-アクセプター対、例えばCy3-dATPドナーおよびCy5-dATPアクセプターを形成する二つの異なるフルオロホア標識dNTPを使用することによって、一続きのホモポリマー中の0、1および2個の同一の塩基を識別できる。一つはドナーdNTPの励起波長で最初に励起し、ドナーの発光波長およびアクセプターの波長の両方で発光を捜す。次に一つは、アクセプターの励起波長で励起し、アクセプターの発光波長で発光を捜す。一つは、順序を逆にして最初にアクセプターを励起してFRETの結果としてアクセプターフルオロホアの光退色を最小にしうる。
【0140】
例えば、所与のサイクルで導入される0個のdA残基が存在するならば、無(または低)シグナルが観察されるであろう。1個のdAは、FRETが生じる結果として励起された各フルオロホアに対応する発光波長の検出をもたらすであろう。2個のdAはFRETが生じる結果として、ドナーの励起波長で励起したときにアクセプターの波長での発光をもたらすであろう。3個以上のdAは、2個のdAの場合の量的な変形として決定されうる。
【0141】
実施例XII
ライブラリー
ローリングサークル/増幅用のライブラリー
ゲノムDNAから直接、環の大きなライブラリーを発生する一方法は、
NNNNNN...(共通プライマー1)..(切断部位)..(共通プライマー2)...NNNNNN
のように末端にランダムなN残基重合体を使用して、マイクロアレイハイブリダイゼーション用に内部タグを使用しないことであろう。これらのN残基重合体を使用してDNAにランダムにハイブリダイズできる。当技術分野での系とは異なり、このN残基重合体は1塩基だけ離れているよりも、むしろ相互にある距離を置いて位置できるであろう。この距離は、利用するオリゴヌクレオチドの長さに制約されるであろう。
【0142】
ポリメラーゼ、リガーゼおよびdNTPを使用してギャップを埋めて連結して、「南京錠をかけた(padlocked)」プローブを発生させることができる。再環化により南京錠を開けるよりもむしろ制限酵素(オリゴヌクレオチドに存在しない部位で)およびエキソヌクレアーゼでゲノムDNAを消化して、ゲノム塩基の伸長を含む環化プローブのみを残すことができる。それらの環をローリングサークル法に使用できる。または、エマルジョン法を使用するならば、環を開裂させることによりその南京錠を開けて、共通プライマーに隣接したゲノム配列を残すことができる。
【0143】
ジャンピングライブラリー
本実施例は、ポロニーの準備が整ったライブラリーをphi29ローリングサークル型アンプリマーにより発生できる一方法を示す。MmeI(またはEcoP15I)を使用してジャンピングライブラリーを発生させるために、以下の段階を実施できよう:
(1)エンドヌクレアーゼ(例えば、NlaIII(CATG^)またはCviJI**(NG^CN)またはDNアーゼさえ用いたゲノムの完全または部分開裂;4bpの突出は開始に最もすっきりした場所でありうる);
(2)任意のサイズ選択(サイズ選択が精密なほど複合繰り返し領域での配列の集合が精密である);
(3)環が形成するように二重のタグと二重のMmeIアダプターとの連結;
(4)任意のサイズ選択;
(5)MmeIで切断、平滑末端にして再度環化;
(6)ランダムなニック形成、配列特異的ニック形成酵素、DNA、PNA、RNAプライマーを用いた鎖への侵入、またはRNAポリメラーゼもしくはプリマーゼ開始により、環にローリングサークルを開始できる。
【0144】
この方法は、各末端から27塩基対までの配列情報と、さらに最初のエンドヌクレアーゼ部位に関する情報(NlaIIIについて合計62塩基対)とを与え、さらに重要にはより長いデノボ配列にわたる集合を可能にする。
【0145】
非ローリングサークルライブラリーに使用するための特定の制限酵素および本発明の非ローリングサークルライブラリーの非限定的な例は、以下の通りである:SAGE: BsmFI、New England Biolabs (NEB)より入手可能、Beverly, MA (Velculescu et al. (1995) Science 5235:484、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる);LongSage: MmeI、NEBより入手可能(Saha et al. (2002) Nat Biotechnol. 20:508、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる); CAGE: MmeI、NEBより入手可能(Shiraki et al. (2003) Proc. Natl. Acad.Sci. U.S.A. 100:15776、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる); SuperSage: EcoP15I (Matsumura et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100:15718、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる); SAGS: BsaXI、NEBより入手可能(Torstein and Meyerson, Serial Analysis of Genome Subsets)。BsmFIおよびEcoP15Iは5'突出を有するが、MmeIは3'突出を有する。MmeIについて、3'の2塩基対の情報は相補的な対を連結することにより保存される);および2塩基認識エンドヌクレアーゼCviJIを利用した迅速ショットガンクローニング(Fitzgerald et al. (1992) Nucleic Acids Res. 20:3753、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる)。
【0146】
実施例XIII
排除体積の拡大
本実施例は、PCRの必要なしに、増幅されたビーズ:反応体積の高い比でクローン増幅されたビーズを発生できる手段を提供する。別のポリマーと相互作用しているあるポリマー(または粒子)は、近くの追加の粒子とのさらなる相互作用を防止できる。ローリングサークル型増幅によりテンプレートを予備増幅して、長鎖のかさ高いコンカテマーを得る。このように、過剰のそのようなテンプレート(図10)を用いて、ビーズ1個あたり多数のコンカテマーが結合するイベントなしに試験管内のすべてのビーズを飽和させることができる。
【0147】
例えば、30塩基対のユニバーサルタグとゲノムライブラリーからの30塩基対の挿入配列とをそれぞれ有する60塩基長のニックの入った環のライブラリーを用いる。本来の環から下がる14タンデム一本鎖リピートに近くなるまでphi29ローリングサークル(ニック以外に全くプライマーを用いずに)を約1時間使用する。低塩でこれは約65bpの長さ(=200ミクロンの伸長)および数立方ミクロンの排除体積を有するであろう。テンプレートの希釈溶液が、相補的ユニバーサルタグを保有する1ミクロンのビーズと相互作用するならば、ビーズと接触する第一テンプレートは多数の点で結合し、結合から他のテンプレートを排除するであろう(図10に示す)。ビーズを低塩で洗浄して(他のテンプレートとの凝集体を減らし)、次にローリングサークル型増幅を(ビーズと結合したプライマーだけを用いて)再び開始する。理論に拘束するつもりはないが、これは配列決定用の十分量の一本鎖テンプレートを産生するはずである(各プライマーは多くのタンデム一本鎖繰り返しと結合しているであろうことから、PCRで得られるであろう量よりもいっそう多くがこれによって産生されうる)。この方法は、温度サイクリングまたはビーズソーティングの必要性を回避するはずである。
【0148】
実施例XIV
参照
各参照は、全体がすべての趣旨で参照として本明細書に組み入れられる。

【図面の簡単な説明】
【0149】
本発明の上記および他の特性ならびに利点は、添付の図面と共に解釈される例示的な態様の以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。
【0150】
【図1】ビオチン化プライマー(SEQ ID NO:1)およびストレプトアビジン被覆ビーズの略図を示す。
【図2】本明細書に記載した濃縮プロトコルを経たビーズを示す。(A)は、未濃縮のビーズを示す。増幅配列を含む(「増幅された」)ビーズは赤色で、増幅された配列を有さない(「空席の」)ビーズは緑色である。(B)は濃縮された増幅されたビーズを示す。(C)は空席のビーズを大きな割合で示すペレット画分からのビーズを示す。
【図3】本明細書に記載した単層化プロトコルの略図を示す。
【図4】焦点地図を示す。
【図5】高密度で透過明視野で単層ビーズの画像を示す。
【図6】8.8ミクロンのビーズに連結したオリゴヌクレオチドに関する並列的な配列決定を示す。5つの80塩基長オリゴヌクレオチドの一つをそれぞれ載せたビーズの集団をアクリルアミド中に固定化して、5〜8塩基対の読み取りが得られるまで多ラウンドの蛍光インサイチュー配列決定(FISSEQ)に供した。この加工後の画像は、スライドの領域を示し、疑似色は個々の配列を表す(暗青色は「ノイズシグニチャ」を表す)。600×600画素領域を示し、ここで分解能は各寸法1画素あたり約0.5ミクロンである。倒立落射蛍光顕微鏡で画像を取得した。
【図7】1ミクロンビーズに連結したオリゴヌクレオチドに関する並列的な配列決定を示す。それぞれが三つの80塩基長オリゴヌクレオチドのうち一つを載せた1ミクロンビーズの集団をアクリルアミド中に固定化して、4塩基対の読み取りが得られるまで多ラウンドのFISSEQに供した。より大きいビーズ(2.8ミクロン)を混ぜ込んで、画像レジストレーション用の基準マーカーとして作用させた。正しい配列シグニチャは疑似色の赤色、白色、黄色であり、ノイズシグニチャは疑似色の暗青色であり、基準マーカーは疑似色の緑色である。200×200画素の領域を示し、ここで、分解能は各寸法で1画素あたりおよそ0.5ミクロンである。倒立落射蛍光顕微鏡で画像を捕捉した。
【図8】対流自己集合により調製した常磁性ポリスチレンミクロスフェア(直径1ミクロン)の単層を示す図である。加える界面活性剤の量を変動することにより、その単層を粗充填(A)またはさらに密に充填(B)できる。
【図9】図9A〜図9Dは、エマルジョン非存在下の粒子上での核酸の増幅を示す。
【図10】排除体積の取り組みの略図を示す。
【図11】ライブラリー構築の最終産物の略図を示す。
【図12】切断後の切断フラグメントのサイズ選択のためのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)ゲルを示す。
【図13】サイズ選択したフラグメントを定量するためのPAGEゲルを示す。
【図14】MmeIで消化したローリングサークル型増幅(RCA)材料の診断6%PAGEゲルを示す。
【図15】ゲル精製したプライマーを有さないライブラリーの診断6%PAGEゲルを示す。
【図16】最終ライブラリーの診断6%PAGEゲルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のビーズを含むアレイであって、ここで個々のビーズはビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団は他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なり、かつ多数のビーズは半流動培地中に固定化されてアレイを形成する、アレイ。
【請求項2】
半流動培地が固体支持体に付着している、請求項1記載のアレイ。
【請求項3】
支持体がスライドグラスまたはフローセルである、請求項2記載のアレイ。
【請求項4】
個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の2つ、3つまたは4つの異なる集団を含む、請求項1記載のアレイ。
【請求項5】
個々のビーズの少なくとも40%がビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を含む、請求項1記載のアレイ。
【請求項6】
ビーズが単層として固定化されている、請求項1記載のアレイ。
【請求項7】
半流動培地がx、y、およびz軸を有し、多数のビーズがxおよびy軸に対してランダムに配置されている、請求項1記載のアレイ。
【請求項8】
半流動培地が上面および底面を有し、多数のビーズが上面近くに固定化されている、請求項1記載のアレイ。
【請求項9】
半流動培地が上面および底面を有し、固体支持体が底面に付着している、請求項2記載のアレイ。
【請求項10】
半流動培地が、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリアミド、架橋アガロース、架橋デキストラン、および架橋ポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項1記載のアレイ。
【請求項11】
多数のビーズが多数のクローンビーズ(clonal beads)を含む、請求項1記載のアレイ。
【請求項12】
多数のビーズがライブラリーを含む、請求項1記載のアレイ。
【請求項13】
以下の段階を含む、アレイを製造する方法:
a)多数のビーズを提供する段階であって、ここで個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる段階;および
b)アレイを形成するためにビーズを半流動培地中に固定化する段階。
【請求項14】
段階b)において固体支持体に半流動培地を付着させる段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
支持体が、スライドグラスまたはフローセルである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
多数のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の2つ、3つまたは4つの異なる集団を含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
個々のビーズの少なくとも40%がビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ビーズが単層として固定化されている、請求項13記載の方法。
【請求項19】
半流動培地がx、y、およびz軸を有し、多数のビーズがxおよびy軸に対してランダムに配置されている、請求項13記載の方法。
【請求項20】
半流動培地が上面および底面を有し、多数のビーズが上面近くに固定化されている、請求項13記載の方法。
【請求項21】
半流動培地が上面および底面を有し、固体支持体が底面に付着している、請求項14記載の方法。
【請求項22】
半流動培地が、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリアミド、架橋アガロース、架橋デキストラン、および架橋ポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項23】
多数のビーズが多数のクローンビーズを含む、請求項13記載の方法。
【請求項24】
多数のビーズがライブラリーを含む、請求項13記載の方法。
【請求項25】
以下の段階を含む、アレイを製造する方法:
a)多数のビーズを提供する段階であって、ここで個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる段階;
b)アレイを形成するためにビーズを半流動培地中に固定化する段階;および
c)ビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の増幅された集団を有する多数のビーズを形成するために、実質的に同一の核酸配列の集団を増幅する段階。
【請求項26】
半流動培地が増幅プライマーを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
半流動培地が半流動培地中に間隙を形成する添加剤を含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
添加剤が、陽イオン性脂質、ポリアミン、およびポリカチオンからなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
以下の段階を含む、アレイを製造する方法:
a)多数のビーズを提供する段階であって、ここで個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる段階;
b)ビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の増幅された集団を有する多数の固定化ビーズを形成するために、実質的に同一の核酸配列の集団を増幅する段階;および
c)アレイを形成するためにビーズを半流動培地中に固定化する段階。
【請求項30】
増幅がエマルジョンPCRにより行われる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
以下の段階を含む、アレイを製造する方法:
a)多数のビーズを提供する段階であって、ここで個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる段階;
b)ビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の増幅された集団を有する多数のビーズを形成するために、実質的に同一の核酸配列の集団を増幅する段階;
c)ビーズの濃縮された集団を形成するために、ビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の増幅された集団を有する多数のビーズを濃縮する段階;および
d)アレイを形成するためにビーズを半流動培地中に固定化する段階。
【請求項32】
以下の段階を含む、ビーズに付着した第一の核酸配列を有するビーズの集団を濃縮するための方法:
a)ビーズの集団を提供する段階であって、個々のビーズがビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団を有し、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる段階;
b)ビーズの集団を第一の核酸配列に相補的な第二の核酸配列と接触させる段階;
c)ハイブリダイゼーションが起こりハイブリダイズしたビーズの集団およびハイブリダイズしないビーズの集団を形成するようにビーズの集団および第二の核酸配列を一緒にインキュベートする段階;ならびに
d)ハイブリダイズしたビーズの集団をハイブリダイズしないビーズの集団から分離する段階。
【請求項33】
第二の核酸配列が捕捉ビーズ上に固定化されている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ハイブリダイズしたビーズの集団がハイブリダイズしないビーズの集団から密度または親和性により分離される、請求項32記載の方法。
【請求項35】
半流動培地中に固定化された多数のビーズを含むアレイを含むキットであって、多数のビーズがビーズに付着した実質的に同一のアミノ酸の集団を有する個々のビーズを含み、集団が他の個々のビーズに付着した実質的に同一の核酸配列の集団と配列が異なる、キット。
【請求項36】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項1記載の方法。
【請求項37】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項1記載の方法。
【請求項38】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項13記載の方法。
【請求項39】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項13記載の方法。
【請求項40】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項25記載の方法。
【請求項41】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項25記載の方法。
【請求項42】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項29記載の方法。
【請求項43】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項29記載の方法。
【請求項44】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項31記載の方法。
【請求項45】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項31記載の方法。
【請求項46】
実質的に同一の核酸配列がプライマーである、請求項32記載の方法。
【請求項47】
実質的に同一の核酸配列が増幅された核酸配列である、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−526772(P2007−526772A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500806(P2007−500806)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/006425
【国際公開番号】WO2005/082098
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(592257310)プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ (31)
【Fターム(参考)】