説明

インスタント写真装置

【目的】 シート長が搬送可能長よりも短いネガフィルムの搬送を途中で停止することにより,対応に時間がかかるジャムの発生を回避し,操作者の作業効率を向上させると共に装置の使用効率を向上させる。
【構成】 ネガフィルムカートリッジから引き出されたシートの長さをセンサ群411の各種センサからの検知信号により判断し,ネガフィルムカートリッジから引き出されたシート長が搬送可能長よりも短いと判断すると,シートの搬送を停止させる停止制御を行う制御部401を備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,感光性シートを装置内の収納容器に収納して用いるピールアパート式のインスタント写真装置に関し,より詳細には,収納容器から引き出された感光性シートの長さに応じて,感光性シートの搬送制御を行うインスタント写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ピールアパート式のインスタント写真装置では,感光性シート(ネガフィルム)と受像シート(ポジシート)を組み合わせて使用する。ピールアパート式のカメラ(インスタント写真装置)においては,使用するサプライ(ネガフィルム及びポジシート)が小サイズであるため,予めネガフィルムとポジシートを組み合わせて,パックフィルムとして用いている。
【0003】ところが,このようなパックフィルムは,サイズが大きくなると,取扱性が悪くなり,実用的でなくなるという欠点がある。このため,比較的大きなサプライを使用する大型のインスタント写真装置においては,ネガフィルムとポジシートを分けて,それぞれ独立した状態で装置へ載置する方式(以降,独立載置方式と記す)が採用されている。独立載置方式においてポジシートは,通常,現像剤を封入したポッドや,延展後の余剰現像剤を留めて置くトラップマスク等の付属部品を付設したポジシートアッセンブリーとして用いられる。
【0004】独立載置方式のインスタント写真装置では,一般的に,ポジシートは感光性がないために装置外にセットされ,また,ネガフィルムは感光性を有するので,長尺のネガフィルムをロール状にしてカートリッジ内に装填することにより装置内にセットされる。このため,一般的にインスタント写真装置は,カートリッジから引き出されたネガフィルムの長さを検知する機能を備えている。この機能により,ネガフィルムは,画像形成が行われる度に1枚分の長さ(1回の画像形成に用いられる長さ)ずつカートリッジから引き出され,切断されて使用され,また,カートリッジから引き出されたネガフィルムの長さが1枚分の長さに満たないときは,画像形成を行わないように制御が実行される。
【0005】このようなインスタント写真装置における画像形成は,先ず,ネガフィルムをカートリッジから引き出して露光し,続けて露光されたネガフィルムとポジシートとを重ね合わせてポッド内に封入されている現像剤を延展し,その状態でしばらく放置(この間に現像プロセスが実行される)することにより行われる。この現像プロセスの終了後にネガフィルムをポジシートから剥離することで画像が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来の装置内にネガフィルム(感光性シート)をセットするインスタント写真装置によれば,カートリッジから引き出されたネガフィルムの長さを検知して切断等を行っているが,カートリッジから引き出されたネガフィルムの長さに応じた搬送制御を行っていないため,カートリッジから引き出されたネガフィルムの長さが装置の搬送可能長よりも短かった場合,ネガフィルムの搬送を続けたために取り除き難い位置でジャムを発生させ,それによりジャム処理に時間がかかり,操作者の作業効率を低下させることがあるという問題点があった。
【0007】インスタント写真装置では,装置内に進入した光(迷光)によってネガフィルムが感光しないような構成となっているため,搬送可能長よりも短いネガフィルムを搬送すると,場合によってはユーザが除去できない場所にネガフィルムが入り込み,それによりサービスマンに依存しなければならなくなったり,時には装置を故障させる原因になることもある。また,対応に時間のかかるジャムは,装置の使用できない時間を増大させるため,装置の使用効率を低下させることになる。
【0008】本発明は上記に鑑みてなされたものであって,シート長が搬送可能長よりも短いネガフィルムの搬送を途中で停止することにより,対応に時間がかかるジャムの発生を回避し,操作者の作業効率を向上させると共に装置の使用効率を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために,感光性シートと受像シートを組み合わせて使用し,装置内に配設され,感光性シートを収納する収納容器と,収納容器から引き出された感光性シートの長さを検知するシート長検知手段とを備え,収納容器から引き出した感光性シートを切断して用いるピールアパート式のインスタント写真装置において,シート長検知手段の検知結果に基づいて,感光性シートの搬送を停止させる停止制御を実行する制御手段を具備したインスタント写真装置を提供するものである。
【0010】なお,前述した構成において,制御手段は,シート長検知手段により収納容器から引き出された感光性シートの長さが搬送可能長よりも短いと判断したとき,感光性シートの搬送を停止させることが望ましい。また,制御手段は,シート長検知手段が検知した長さに基づいて感光性シートの搬送を停止させたとき,その旨を通知する通知制御を行うことが望ましい。
【0011】
【作用】本発明のインスタント写真装置は,カートリッジから引き出されたネガフィルム(感光性シート)の長さが搬送可搬長よりも短いと判断すると,ネガフィルムの搬送を直ちに停止させ,その旨を操作者に通知する。
【0012】
【実施例】以下,本発明によるインスタント写真装置の一実施例について,〔1〕ポジシートアッセンブリーの構成,〔2〕ネガフィルム及びネガフィルムカートリッジの構成,〔3〕装置全体の構成および動作,〔4〕概略ブロック図,〔5〕制御部の制御動作の順に説明する。
【0013】〔1〕ポジシートアッセンブリーの構成本実施例では,ポジシート(受像シート)に現像剤を封入したポッドや,延展後の余剰現像剤を留めて置くトラップマスク等の付属部品を付設してポジシートアッセンブリーとして使用する。
【0014】図1(a)及び(b)は,ポジシートアッセンブリー100の構成を示す。図示の如く,ポジシートアッセンブリー100は,ポジシート101の受像面側の先端部に貼り付けられた黒色のリーダー102と,現像剤を収納してリーダー102の上に貼り付けられたポッド103と,ポジシート101の画像領域(図1(a)に示すa×bの領域)の端部の画像を良好なものにするために配設された先端マスク104,両サイドマスク105,及び,トラップマスク106と,両サイドマスク105上に貼り付けられたレール部材107とから構成される。
【0015】ここで,ポッド103から流出した現像剤は,レール部材107及び両サイドマスク105の厚さと略同一の厚みで均一にポジシート101上に延展できる構成である。
【0016】現像剤は,画像領域後端まで充分に行き渡るように,画像形成に必要な量よりも多くポッド103中に内封されている。余分な現像剤は画像領域後端まで均一に延展した後,トラップマスク106(図1(a)のDの部分)と後述するネガフィルム200(図2(a)のD’の部分)との間に溜められる。これによって余分な現像剤が装置内部にはみ出して現像ローラ及び搬送路等に付着して汚損するのを防止している。
【0017】リーダー102には,図1(b)に示すように,ポジシート種類識別コードが3つのマークM1,M2,M3によって形成されている。本実施例において,マークM1,M2,M3は,パンチによって穴を設けることで形成している。ポジシートアッセンブリー100は,図1(a)に示すように,リーダー102の上にポッド103を貼り付けた構成であるため,リーダー102の色を黒色としてポッド103の色(通常は白色系)と対比させることで,検知精度を向上させている。
【0018】〔2〕ネガフィルム及びネガフィルムカートリッジの構成本実施例によるネガフィルム(長尺感光性シート)200は,図2(a)及び(b)に示すように,芯部材を用いずにロール状に巻かれたものである。ネガフィルム200は,長尺(例えば,36枚分撮影可能)の銀塩を含む感光性帯状材から成り,潜像形成面(感光面)を内側にしてロール状に巻かれて,ネガフィルムカートリッジ201(図3参照)に収納される。
【0019】ネガフィルム200は明室(半暗室)で,図2(a)に示す状態でネガフィルムカートリッジ201に装填されるため,少なくとも図2(b)において斜線で示す領域(ネガフィルム200の先端部と後端部)は感光されることになる。このため,本実施例では,図2R>2(c)に示すように,長尺のネガフィルム200の先端と後端にマーク200bを有する遮光紙200aを設けることにより,ネガフィルム200をネガフィルムカートリッジ201に装填する際に無駄になる部分を最小に抑えている。
【0020】ネガフィルムカートリッジ201は,図3に示す如く,ロール状ネガフィルム200を包含するように円筒形状に樹脂成形されており,成形及びネガフィルム200の装填が容易に行なえるようにするため,上容器201a,下容器201bに2分割された構成である。
【0021】ネガフィルムカートリッジ201にネガフィルム200を装填する際は,下容器201bを設置し,その中にロール状のネガフィルム200の先端部がネガ繰出部204から数mm程度外側にでるように載置する。その後,上容器201aを被せ,嵌合部202により上下容器201a,201bの結合を行う。ネガフィルムカートリッジ201内に装填されたネガフィルム200は,ネガ誘導部203に沿って導かれ,ネガ繰出部204から引出しローラ312a,312bによって外部に繰り出される。また,容器201aの側面には,ネガフィルム200の種類を示すマーク部M4,M5,M6が配設されている。
【0022】ここで,ネガ繰出部204の近傍に配設されたセンサS8は,赤外線反射型センサであり,ネガ繰出部204から繰り出されたシート(ネガフィルム200或いは遮光紙200a)の有無,及びネガフィルム200と遮光紙200aを識別(検知信号の大きさから識別する)するためのものである。本実施例では,遮光紙200aの裏面のセンサS8が検知する位置に,ネガフィルム200と反射率の大きく異なるマーク200b(図2(c)参照)を設けることにより,遮光紙200aとネガフィルム200を識別し易くしている。
【0023】〔3〕装置全体の構成および動作図4は,本実施例によるインスタント写真装置の全体構成を示す概略断面図であり,大別して,原稿面を走査しながら照明光を照射し,所定位置(露光面)に結像させる光学系ユニット301と,該所定位置にネガフィルム200を搬送・露光させ,更に,ポジシートアッセンブリー100と位置合わせして重ね,その間に現像剤を延展させ,ポジシートアッセンブリー100に画像を転写形成する搬送ユニット302とから構成される。
【0024】光学系ユニット301は,コンタクトガラス303と,第1ミラー及び光源からなる第1走行体304と,第2ミラー及び第3ミラーからなる第2走行体305と,レンズ306,第4ミラー,及び,第5ミラーからなる第3走行体307と,第6ミラー308とから構成される。
【0025】ここで,第1走行体304に含まれる光源には蛍光灯408(図5参照)が用いられ,コンタクトガラス303に下向きに置かれた原稿をコンタクトガラス303と平行に移動(走査)しながら照射する。このとき,光路長を一定に保つために,第2走行体305は第1走行体304の1/2の速度で同方向に走査される。また,レンズ306及び第3走行体307の移動によって,変倍時の倍率及び共役長の調整を行う構成である。
【0026】原稿からの反射光は,図示の如く,第1,第2,及び第3ミラーで反射され,更に,レンズ306,第4,第5,及び第6ミラーを経て,露光位置Aでスリット露光される。
【0027】搬送ユニット302は,感光性のネガロールフィルム(ネガフィルム200)繰出部と,繰り出されたネガフィルム200をカットするネガフィルムカッター部と,ネガフィルム200を搬送・露光するネガフィルム搬送・露光部と,ポジシートアッセンブリー搬送部と,現像部とから構成される。以下,ネガフィルム200(図示せず)の搬送動作を説明して,ネガロールフィルム繰出部,ネガフィルムカッター部,ネガフィルム搬送・露光部の構成を詳細に説明する。
【0028】ネガフィルムカートリッジ201内にロール状に収納されたネガフィルム200は,引き出しローラ312a,312bにより,回転刃313a及び固定刃313b(カッター)の間を通してガイド板314上に搬送され,中間ローラ315a,315bに送られる。中間ローラ対315a,315b近傍には,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシートのジャムを検知するためのセンサS2(赤外線反射型センサ)が配設されている。
【0029】搬送されたネガフィルム200の先端が露光位置AのセンサS1 により検知された時(或いは,検知してから所定時間後)に第1走行体304及び第2走行体305が走査を開始し,ネガフィルム200が中間ローラ315a,315bにニップされてから,ガイド板314上の露光位置Aで露光・潜像形成処理が実行される。
【0030】ここで,露光・潜像形成時のネガフィルム200の搬送速度をVN ,第1走行体304の走行速度をV1 ,コピー倍率をmとすると,ネガフィルム200の搬送速度VN は,V1 =VN ×1/mの関係を満たすように制御される。
【0031】露光位置Aは,スリット領域にわたってフラット面であり,且つ,引き出しローラ312a,312b,及び,中間ローラ315a,315bのニップ高さと同一或いはそれより高く設けられている。更に,中間ローラ315a,315bと引き出しローラ312a,312bの周速は略同一で,ネガフィルム200がセンサS1により検知されてから所定時間後(中間ローラ315a,315bにニップされた後,若しくは,露光が開始されるタイミング),引き出しローラ312a,312bの駆動が停止され,適当な負荷を持ってフリーとなる。この結果,ネガフィルム200を露光位置A上で引っ張り気味に,且つ,ガイド板314上に密着された状態で搬送することができ,ネガフィルム200面上までの光路長と搬送速度を一定に保つことができる。
【0032】一定長にわたり露光・潜像形成されたネガフィルム200は一旦停止され,その後,回転刃313aが固定刃313bに接触しながら回転することにより,シート状に切断される。上記ネガフィルム200の停止タイミングはセンサS1がネガフィルム200の先端を検知してからの時間tを計測することにより決定される。
【0033】従って,切断されたネガフィルム200の後端部は露光・潜像形成が行われない(換言すれば,露光・潜像形成が行えない)部分となる。具体的には,少なくとも露光位置Aから固定刃313bの先端までの距離(この距離をGとする)以上に相当するネガフィルム200の後端部分が未使用状態,即ち,不必要に浪費される部分となる。このため,この距離Gが,ポジシートアッセンブリー100の後端部からポジシート101上に転写される画像部後端までの距離D’(図2参照)よりも小さくなるように,露光位置Aとカッター(回転刃313a及び固定刃313b)を配置し,ネガフィルム200の画像形成に利用されない不必要な部分(後端部)の浪費を少なくしている。
【0034】同様に,切断されたネガフィルム200の先端部も,少なくとも露光位置Aから中間ローラ315a,315bまでの距離(この距離をHとする)以上の長さにわたって露光・潜像形成が行えないが,距離Hが,ネガフィルム200の先端部からネガフィルム200上に作像される潜像部先端までの距離C’(図2参照)よりも小さくなるように露光位置Aと中間ローラ315a,315bを配置すればネガフィルム200の浪費を少なくすることができる。
【0035】切断されたネガフィルム200は,ローラ316a,316b,及び,ガイド部材317により約180°方向転換された後,ガイド板318a,318bによって導かれ,更に,ローラ320によって,その先端部分がレジストローラ321(ここでは,停止状態)に突き当たるまで搬送される。ここで,中間ローラ315a,315b〜ローラ316a,316b間の経路長は,装置の最小の搬送可能長L1である。
【0036】次に,ポジシートアッセンブリー100の搬送動作を説明して,ポジシートアッセンブリー搬送部の構成を詳細に説明する。実際は,このポジシートアッセンブリー100の搬送動作が,前述したネガフィルム200の搬送・露光・切断動作の前に実行される。ポジシートアッセンブリー100は,装置本体右下のガイド板311に沿って,図中の左側へ1枚ずつ手差し挿入する構成である。
【0037】ポジシートアッセンブリー100がガイド板311に沿って挿入され,センサS5によってその先端が検知されると,挿入ローラ対322が回転を開始する。挿入ローラ対322のコロは,ポジシートアッセンブリー100の先端に貼り付けられた現像剤ポッド103(図1(a)参照)をつぶさないようにポッド103より外側両端のみを把持するように配設されている。ポジシートアッセンブリー100は,挿入ローラ対322によりガイド板323a,323b間を搬送され,所定位置に停止されて待機状態となり,プリント動作が可能となる。この停止タイミングは,センサS6がポジシートアッセンブリー100の先端を検知してからの時間t’をカウントすることにより求められる。
【0038】ここで,所定のプリントスイッチが押下されると,前述したネガフィルム200の搬送・露光・切断動作が実行される。停止しているレジストローラ321に当接したネガフィルム200は,ガイド板319及びガイド板318b間でローラ対320の搬送力によって一定量撓まされる。所定量のネガフィルム200が撓んだ後,レジストローラ321の回転により案内板324a,324b間を搬送される。レジストローラ321の回転開始は,センサS3がネガフィルム200の先端を検知してからの時間をカウントすることにより決定される。このようにネガフィルム200を撓ませることにより,ネガフィルム200の先端縁をレジストローラ321のニップにならわせてスキュ矯正が行われる。レジストローラ321の回転によって搬送されたネガフィルム200はセンサS4によりその先端が検知され,現像ローラ325a,325bのニップへ搬送される。センサS4の検知からのタイミングにより,先ず挿入ローラ対322が回転してポジシートアッセンブリー100を停止している現像ローラ325a,325bに突き当て,ネガフィルム200と同様にスキュ矯正が行われる。その後,現像ローラ325a,325bが回転を開始する。
【0039】次に,所定位置で待機しているポジシートアッセンブリー100を先に搬送し,その後,ネガフィルム200の先端がレジストローラ321の回転によって現像ローラ325a,325bのニップに到達し,両者共に現像ローラ325a,325bの周速で搬送される。このとき,ポジシートアッセンブリー100とネガフィルム200の先端にはずれJが生じるが,このずれJは,少なくとも図1(a)のCよりも小さくなるように制御されている。
【0040】現像ローラ325a,325bは,ポッド103を開裂して現像剤を流出させ,ポジシートアッセンブリー100とネガフィルム200との間に流出した現像剤を延展させながら回転する。現像ローラ325a,325bを通過したポジシートアッセンブリー100及びネガフィルム200は,トレイ326及びフタ327とから構成される暗箱トレイに排出される。暗箱トレイは,ポジシート101が透明な部材(例えば,OHP用のシート)或いは薄手の部材等であった場合,ネガフィルム200が感光して良好な画像が得られなくなるのを防止するためのものであり,フタ327は,支軸328に回転可能,且つ,取り外し可能に軸支されている。また,現像ローラ325a,325bから搬送されたネガ・ポジ接合体を検知するセンサS7が配設されている。
【0041】また,ポジシートアッセンブリー100上でのポッド103の巾方向の長さL(図1(a)参照)は,搬送時にコロ等に圧接されて開裂しないように,画像領域の巾bと同等もしくは短くなっている。このため,ポッド103がF部で開裂後,画像領域巾bに延展するまでには多少の距離(図1(a)Eで示す距離)が必要である。また,前述したようにネガフィルム200とポジシートアッセンブリー100を合わせる際のずれJは,ポジシートアッセンブリー100の先端からポッド103の開裂部Fまでの距離Cより短くすれば良く,従って,図2(a)に示すネガフィルム200先端から潜像部先端までの距離C’は少なくともポッド103の開裂部から画像形成部先端までの距離Eより長くすれば良い。
【0042】〔4〕概略ブロック図次に,図5に示す制御系の概略ブロック図を参照して,制御部401を中心とした構成を説明する。制御部401には,装置本体に電力を供給するスイッチング電源402と,メッセージの表示及びキー入力等を担う操作部403と,ネガフィルム200,ポジシートアッセンブリー100の搬送,カッター,各ローラ等を駆動する動力となるメインモータ404と,第1走行体304,第2走行体305,及びレンズ306を駆動するスキャナモータ405と,変倍時におけるミラー(第2走行体305)移動用のミラーモータ406と,変倍時におけるレンズ306移動用のレンズモータ407と,コンタクトガラス303に載置された原稿画像を読み取るための光源である蛍光灯408と,安定した光を照射するように蛍光灯408に対して電圧を印加するランプ駆動回路409と,蛍光灯408に熱を供給するヒータ410と,センサS1〜S8を含むセンサ群411と,各種駆動系の動作制御用の各種のクラッチ及びソレノイド類(クラッチ・ソレノイド群)412と,蛍光灯408の光量を検知するセンサS9とが接続されている。また,スイッチング電源402には,装置外部の電源からの電力の供給を断続するためのパワースイッチ413と,パワースイッチ413により外部から供給された電力に含まれるノイズを除去するノイズフィルタ414とを介して電力が供給される。
【0043】以上の構成において,制御部401は,クロックパルスをカウントすることにより時間を計測する機能を有し,センサ群411の各種センサの検知信号,及び各種センサの検知信号の状態が維持されている時間に基づいて,シーケンス制御等の各種制御を実行する。
【0044】〔5〕制御部の制御動作以上の構成に基づいて,本実施例によるインスタント写真装置の制御部401の制御動作について,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシート(ネガフィルム200と遮光紙200aが混合したものもあるので,以降,このように記載する)の長さに応じて搬送する制御(以降,単にシート搬送制御と記す)を例にとって説明する。このシート搬送制御は,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシート長が最小の搬送可能長L1(中間ローラ315a,315b〜ローラ316a,316bのニップ間;図4参照)よりも短い際に,シートの搬送を停止することにより,シートが除去し難い等の対応に時間がかかるジャムの発生を回避するものである。図6は,シート搬送制御動作を示すフローチャートである。
【0045】先ず,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシートがネガフィルム200か否か判断し(S101),ネガフィルム200と判断すると,ここで一連の処理を終了し,反対にネガフィルム200ではないと判断すると,次に遮光紙200aか否か判断する(S102)。遮光紙200aと判断すると,次に遮光紙200aと判断した時点でのネガフィルムカートリッジ201から引き出したシート長が画像形成可能な長さ(規定長l;図2(a)参照)よりも短いか否か判断し(S103),シート長が規定長lよりも短くないと判断すると,ネガフィルム200が無くなった旨を通知するために操作部403の所定の表示器(図示せず)を点灯させて(S104),一連の処理を終了する。ここで,ステップS101において,ネガフィルム200と判断すると一連の処理を終了するのは,図2(a)〜(c)に示すように,ネガフィルム200の両端には遮光紙200aが設けられているためである。また,ステップS103において,シート長は引き出しローラ312a,312bを回転させている時間から求めている。
【0046】シート長が規定長lよりも短いと判断すると,次にシート長が最小の搬送可能長L1(L1>lである)以上か否か判断し(S105),シート長が搬送可能長L1以上と判断すると,シートを更に所定の長さ引き出した後にシートをカットし(S106),カットしたシートを装置外に排出し(S107),既に装置内に挿入されているポジシートアッセンブリー100を装置外に排出して(S108),一連の処理を終了する。ここで,ステップS106においてネガフィルムカートリッジ201からシートを更に引き出すのは,搬送可能長L1毎にシートをカットすると,シートの最後の長さが搬送可能長L1と一致しない限りシートの搬送を停止することになるためである。従って,これにより,シートの搬送を停止することなく,ネガフィルムカートリッジ201内のシートを全て装置外に排出できる確率を大きくすることができる。
【0047】ステップS105において,シート長が搬送可能長L1以上ではないと判断すると,次にシート長が搬送可能長L1になるまでネガフィルムカートリッジ201から搬送し(S109),次にシート長が搬送可能長L1になるまで搬送されたか否か,即ち,シート長が搬送可能長L1になるまでネガフィルムカートリッジ201にシートが残っていたか否か判断する(S110)。シートが残っていたと判断すると,ステップS106の処理に移行し,反対にシートが残っていなかったと判断すると,シートの搬送を直ちに停止させ(S111),シートの搬送を停止させた旨を,操作部403のジャムの発生を通知する表示器(図示せず)を点灯することにより操作者に通知して(S112),ステップS108の処理に移行する。
【0048】ここで,シートの搬送の停止時におけるジャム処理(即ち,シートの除去)について説明する。シートの搬送は,センサS8がネガフィルムカートリッジ201から引き出されるシートが無いと検知すると直ちに停止される。このため,引き出されたシートは,引き出しローラ312a,312bの近傍に位置している。このときには,図3に示すように,シートに容易に手が届くため,ジャム処理を容易,且つ,迅速に行うことができる。
【0049】ステップS102において,遮光紙200aではないと判断すると,即ちネガフィルムカートリッジ201から引き出されているシートの種類が判別できない場合,次にネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシート長が搬送可能長L1以上か否か判断し(S113),シート長が搬送可能長L1以上と判断すると,ステップS106の処理に移行し,直ちにシートがカットされて以降の処理が続行される。反対にシート長が搬送可能長L1以上ではないと判断すると,無駄にするシートを最小にするために直ちにシートをカットし(S114),シートの搬送を直ちに停止し(S115),ジャム表示を点灯させ(S116),ポジシートアッセンブリー100を装置外に搬出して(S117),一連の処理を終了する。
【0050】このように,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されたシート長に応じて,引き出されたシート長が搬送可能長L1よりも短い際に,シートの搬送を直ちに停止させることにより,シートが除去し難い位置でジャムを起こすことを回避するため,サービスマンに依存することなく,ジャム処理を容易に,且つ,迅速に行うことができ,作業効率を向上できる。これは,装置においてはトラブル(ジャム等)時の使用できない時間を短縮することであるため,装置の使用効率を向上させることができる。また,このとき,ジャムを起こすまでシートの搬送を行わずにその旨を操作者に通知するため,ジャムを起こすまでのシートの搬送に要する時間の浪費を回避できるという効果もある。
【0051】なお,本実施例では,シート長が搬送可能長L1よりも短い場合,シートの搬送を直ちに停止させているが,シート長に応じて搬送を停止する位置を変更するようにしても良い。これにより,シート長によっては操作者が最も除去し易い位置までシートを搬送することが可能となり,更にジャム処理を容易,且つ,迅速に行うことができるようになる。また,このとき,シート長が搬送可能長L1より短くなることはネガフィルムカートリッジ201内にシートが無くなったときだけではないので,ネガフィルムカートリッジ201から引き出されるシートの有無を考慮してシートの搬送の停止を行うことにより,更に前述した効果をあげることもできる。
【0052】また,予め適度な長さに設定した遮光紙を設けたネガフィルムのみを用いる場合,例えば,センサS8が遮光紙を検知すると,ネガフィルムカートリッジ内の全てのシート(このときは,遮光紙のみであるが)を引き出して装置外に排出させるようにすることも可能である。このときには,ジャムを発生させることなくネガフィルムカートリッジ内のシートを全て装置外に排出することができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明は,感光性シートと受像シートを組み合わせて使用し,装置内に配設され,感光性シートを収納する収納容器と,収納容器から引き出された感光性シートの長さを検知するシート長検知手段とを備え,収納容器から引き出した感光性シートを切断して用いるピールアパート式のインスタント写真装置において,シート長検知手段の検知結果に基づいて,感光性シートの搬送を停止させる停止制御を実行する制御手段を具備したため,シート長が搬送可能長よりも短いネガフィルムの搬送を途中で停止することにより,対応に時間がかかるジャムの発生を回避することができ,操作者の作業効率を向上させると共に装置の使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインスタント写真装置に使用するポジシートアッセンブリーの構成を示す説明図である。
【図2】本発明によるインスタント写真装置に使用するネガフィルムの構成を示す説明図である。
【図3】本発明によるインスタント写真装置の内部に装着されるネガフィルムカートリッジの構成を示す説明図である。
【図4】本発明によるインスタント写真装置の全体の構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明によるインスタント写真装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明によるシート搬送制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
200 ネガフィルム 200a 遮光紙
201 ネガフィルムカートリッジ
312a 312b 引き出しローラ
315a 315b 中間ローラ 316a 316b ローラ
401 制御部 403 操作部
S8 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 感光性シートと受像シートを組み合わせて使用し,装置内に配設され,前記感光性シートを収納する収納容器と,前記収納容器から引き出された感光性シートの長さを検知するシート長検知手段とを備え,前記収納容器から引き出した感光性シートを切断して用いるピールアパート式のインスタント写真装置において,前記シート長検知手段の検知結果に基づいて,感光性シートの搬送を停止させる停止制御を実行する制御手段を具備したことを特徴とするインスタント写真装置。
【請求項2】 前記制御手段は,前記シート長検知手段により前記収納容器から引き出された感光性シートの長さが搬送可能長よりも短いと判断したとき,感光性シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項1記載のインスタント写真装置。
【請求項3】 前記制御手段は,前記シート長検知手段が検知した長さに基づいて感光性シートの搬送を停止させたとき,その旨を通知する通知制御を行うことを特徴とする請求項1記載のインスタント写真装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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