説明

インストール方法及びプログラム

【課題】インストールの高速化を図るとともに、プログラムの開発を効率的に行えるようにする。
【解決手段】インストール方法は、インストール用データを用いて、処理部と不揮発的に記憶する記憶部を含むコンピュータにプログラムをインストールするインストール方法であって、インストール用データは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールと、記憶部にインストールする対象としてのインストール対象ファイルと、インストール対象ファイルのリストであり、記憶部でのインストール対象ファイルのインストール先が記された設定ファイルと、を別々に含み、処理部が、設定ファイルを参照し、展開後にインストール対象ファイルを移動せずに済むように、予め定められた記憶部のインストール先に、インストール対象ファイルを記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータへのプログラムのインストールに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータは、各種の処理を行えるように、プログラムやデータを記憶する必要がある。そして、CDやDVD等のインストール用の記憶媒体に格納されたプログラムを、コンピュータ内部のHDD等の不揮発的な記憶装置に展開させて、コンピュータにプログラムをインストールすることがある。このとき、インストール媒体に含まれるインストーラ(プログラムモジュール)は、プログラムを実行できるように、プログラムをコンピュータの記憶装置に記憶させる。
【0003】
そこで、図5、図6を用いて、コンピュータへのプログラムの従来のインストール方法を説明する。まず、図5に基づき、従来のコンピュータ1の概要を説明する。図5は従来のコンピュータ1の一例を示すブロック図である。
【0004】
まず、図5に示すコンピュータ1は、例えば、パーソナルコンピュータである。そして、コンピュータ1は、図5に示すように、演算処理や、圧縮や解凍などのデータ処理や、コンピュータ1の各部の動作を制御する処理部11を有する。処理部11は、例えば、基板として構成され、CPU11aのような演算、処理用の素子を含む。
【0005】
そして、コンピュータ1は、不揮発的にデータを記憶する記憶部12を有する。記憶部12は、RAM13よりも大きな容量を有する。記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。尚、記憶部12は、フラッシュROMを利用したSSDでもよい。記憶部12は、コンピュータ1を動作させ、各種処理を行わせるためのプログラム(例えば、OSや各種アプリケーション)やデータを記憶する。
【0006】
又、コンピュータ1は、データやプログラムを揮発的に記憶するメインメモリ(主記憶装置)としてRAM13を有する。RAM13には、記憶部12から読み出されたコンピュータ1を動作させ、各種処理を行わせるためのプログラム、データが蓄えられる。CPU11aは、RAM13内のプログラムやデータを利用し、演算や処理を行う。
【0007】
又、コンピュータ1は、ディスプレイ14を有する。ディスプレイ14は、例えば、プログラムを動作させた際、画面、画像を表示する。例えば、コンピュータ1にプログラムをインストールするとき、ディスプレイ14は、記憶部12におけるインストール先を定めるための画面や、インストールの進捗状況を知らせる画像(プログレスバー)を表示する。
【0008】
又、コンピュータ1は、入力部15を有する。入力部15は、例えば、キーボードやマウスである。例えば、コンピュータ1にプログラムをインストールするとき、使用者は、ディスプレイ14に表示された画面を参照しながら、入力部15を用いて入力を行う。又、例えば、インストールするとき、使用者は、ディスプレイ14に表示された画面を参照しながら、記憶部12におけるインストール先を指定する入力を行う。処理部11は、この入力に基づき、プログラムを記憶部12にインストールする
【0009】
又、コンピュータ1は、インストール媒体17を読み取るための読取部16を有する。読取部16は、例えば、CDやDVD等のディスクを読み取るディスクドライブである。尚、読取部16は、携帯型の半導体メモリ(例えば、USBメモリ)が差し込まれ内容を読み取るものであってもよい。そして、読取部16が読み取ったデータは、例えば、処理部11や、RAM13や、記憶部12に与えられる。
【0010】
次に、図5を用いて、コンピュータ1の記憶部12にインストールされるプログラムの従来例を説明する。
【0011】
例えば、図5に示すように、コンピュータ1は、タッチパネル21と表示部22(例えば、液晶パネル)等を備えるプログラマブル表示器2と通信可能に接続される。
【0012】
プログラマブル表示器2は、制御対象4を制御する制御装置3とネットワークやケーブル等により通信可能に接続される。制御装置3は、例えば、プログラマブルロジックコントローラやダイレクトデジタルコントローラである。制御対象4は、例えば、工作機器、ロボット、搬送装置、調節計(例えば、温度や貯蔵量や流量等)、バルブ、スイッチ、生産ライン撮影用のカメラ、ランプ、照明機器、空調機器など、制御される機械、機器、装置である。尚、プログラマブル表示器2に制御装置3の機能を持たせ、制御対象4と直接通信可能に接続することもできる。
【0013】
プログラマブル表示器2は、制御対象4の動作を制御(操作)し、指示するための操作用画面(例えば、設定画面)、操作用画像(例えば、設定用のキー、ボタンや、メータ等)を表示する。使用者は、プログラマブル表示器2に表示されたキーやボタンを押下し、制御対象4の動作を指示、操作するための入力を行える。又、プログラマブル表示器2は、使用者の入力に合わせ、表示する操作用画面や操作用画像を切り替える。尚、押されたキーやボタンは、タッチパネル21で認識される。又、使用者は、プログラマブル表示器2に表示されたメータを確認し、制御対象4の運転状況を確認できる。
【0014】
そして、プログラマブル表示器2での使用者の入力に合わせ、プログラマブル表示器2から制御装置3に向けて、制御対象4の動作を指示するデータが送信される。制御装置3は、受信したデータに合わせ、実際に制御対象4を制御する。これにより、使用者の意志に応じ、制御対象4が制御される。
【0015】
又、制御装置3は、エラー発生や動作速度等、制御対象4の動作状況に関する情報を制御対象4から取得する。そして、プログラマブル表示器2は、制御装置3から動作状況に関する情報を受信し、制御対象4の動作状態を示す操作用画像(例えば、メータや速度計や温度計等)を表示できる。
【0016】
そして、コンピュータ1には、例えば、プログラマブル表示器2で表示する操作用画面や、操作用画面内に配される操作用画像の作成や、操作用画像として配されるキーやボタンに対応して制御装置3に与える指示の設定等の処理を実現するプログラム(画面作成ソフトウェア)がインストールされる。
【0017】
その他、コンピュータ1にインストールされるプログラムを例に挙げると、例えば、コンピュータ1で作成した操作用画面や操作用画像を、プログラマブル表示器2に転送するための転送プログラムがある。又、過去のプログラマブル表示器2用に作成された操作用画面や操作用画像などのデータを、現行機種用に流用できるようにするためのコンバータがある。又、プログラマブル表示器2用の操作用画面や操作用画像をPC/AT互換機などのパーソナルコンピュータで表示可能とし、パーソナルコンピュータをプログラマブル表示器2と同様の表示器として使用できるようにするエミュレーションプログラムがある。
【0018】
又、生産ラインなどの現場に置かれたプログラマブル表示器2で表示された画面を、ネットワークを通じ離れた場所のコンピュータ1で閲覧するためのリモートモニタリングプログラムがある。又、生産ラインに設置されたカメラで撮像された映像を、ネットワークを通じ離れた場所のコンピュータ1で閲覧するためのリモートモニタリングプログラムがある。又、他社製品を用いて作成された制御装置3用のプログラムを、プログラマブル表示器2経由で制御装置3に与えるデータコピープログラムがある。
【0019】
尚、コンピュータ1にインストールできるプログラムは上記のものに限られず、その他のプログラマブル表示器2や制御装置3用のプログラムの他、プログラマブル表示器2や制御装置3用以外のプログラムもインストールすることができる。
【0020】
例えば、コンピュータ1にプログラムをインストールするためのインストール用データDは、インストール媒体17(例えば、CD−ROMやDVD等のディスク)に記憶される。使用者は、インストール媒体17を入手する。そして、使用者は、インストール媒体17の記憶内容を読取部16で読み取らせて、プログラムを記憶部12にインストールする。
【0021】
次に、図6を用いて、従来のインストール用データDを説明する。図6は従来のプログラマブル表示器2用のプログラムのインストール用データDの構成の一例を示す説明図である。
【0022】
例えば、図6(a)に示すように、インストール媒体17には、インストール用データDとしてプログラムモジュールD1、インストール対象ファイルD3が記憶される。
【0023】
プログラムモジュールD1は、プログラムをコンピュータ1にインストールするためのモジュールであり、インストーラである。例えば、プログラムモジュールD1の実行指示が入力部15で行われると、プログラムモジュールD1は、インストール媒体17からRAM13に転送される。そして、プログラムモジュールD1は、処理部11を動作させ、インストールを実行させる。
【0024】
インストール対象ファイルD3は、コンピュータ1でプログラムを利用できるようにするため、コンピュータ1の記憶部12にインストールされるファイルである。インストール対象ファイルD3は、一般に複数種に及ぶ。
【0025】
図6(a)は、インストール対象ファイルD3の一種として、プログラマブル表示器2用のプログラム(画面作成ソフトウェア)であるインストール対象ファイルD3a、インストール対象ファイルD3b、インストール対象ファイルD3cが、インストール用データDとしてインストール媒体17に格納される例を示している。
【0026】
例えば、インストール対象ファイルD3aは、プログラマブル表示器2で画面や画像を表示させるプログラムやデータをコンピュータ1で作成するためのプログラムを含むファイルであり、インストール対象ファイルD3bは、プログラマブル表示器2に接続される制御装置3や制御対象4を動作させるプログラムをコンピュータ1で作成するためのプログラムを含むファイルであり、インストール対象ファイルD3cは、コンピュータ1で作成したプログラマブル表示器2用のプログラムを、コンピュータ1からプログラマブル表示器2に転送するためのプログラムを含むファイルである。
【0027】
インストール用データDには、複数のインストール対象ファイルD3が含まれる。しかし、従来、それぞれのインストール対象ファイルD3は、圧縮処理され、1ファイル化(一体化、1パッケージ化)されている。言い換えると、図6(a)に破線で示すように、複数のインストール対象ファイルD3は、圧縮処理されて1つにまとめられている。そして、図6(a)に示すように、CDやDVD等のインストール媒体17に、1ファイル化されたインストール対象ファイルD3と、プログラムモジュールD1とが記憶されていた。
【0028】
更には、図6(b)に示すように、複数種のインストール対象ファイルD3に加えプログラムモジュールD1までも圧縮処理されて1つにまとめられる場合がある。このような圧縮処理を行う場合、インストール媒体17に記憶されるファイルは基本的に1つとなる。
【0029】
更に、コンピュータプログラムのインストール方式の一例を示す先行技術として、特許文献1を挙げる。具体的に、特許文献1には、ハードディスクと、RAMディスクと、コンピュータプログラムをストリーム形式で格納するプログラムインストール媒体と、プログラムインストール媒体からコンピュータプログラムを読み込んでハードディスクにインストールするインストールツールとを備え、インストールツールが、RAMディスクにスプールディレクトリを作成するスプールディレクトリ作成手段と、プログラムインストール媒体からコンピュータプログラムを構成するソフトウェアパッケージを読み出してスプールディレクトリに格納し、所定の前処理を行った後、ハードディスクにコンピュータプログラムのインストールを行うソフトウェアパッケージインストール手段と、を備えるインストール方式が記載されている。これにより、高速なインストールを可能とするコンピュータプログラムのインストール方式を提供しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0008]等参照)。
【特許文献1】特開平8−263337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
図6(a)、図6(b)を用いて説明したように、従来、複数のインストール対象ファイルは、1つのファイルにまとめられていた(1ファイル化されていた)。複数のインストール対象ファイルを1ファイル化することで、解凍を行う対象の個数が少なくて済み、明瞭、簡易であるという利点はある。そして、プログラムモジュールD1(インストーラ)の実行を指示すると、プログラムモジュールD1によって、1ファイル化された複数のインストール対象ファイルD3の解凍や、記憶部12へのインストールが自動的に行われる。使用者は、専門的知識がなくても、複雑な操作をすることなくプログラムをコンピュータ1にインストールできる。
【0031】
しかし、1ファイル化されたインストール対象ファイルD3をコンピュータ1の記憶部12(HDD)等にインストールするとき、解凍処理を一気に行うため、1ファイル化された複数種のインストール対象ファイルD3の全て(全内容)を、記憶部12のテンポラリフォルダにいったん展開(解凍)してしまう必要がある。尚、図6(b)のように、プログラムモジュールD1まで一緒に圧縮されている場合、プログラムモジュールD1及び複数種のインストール対象ファイルD3も、記憶部12のテンポラリフォルダへの解凍を一気に行うことになる。
【0032】
そして、一時的な展開完了後、テンポラリフォルダ内のそれぞれのインストール対象ファイルD3はコピーされ(移動され)、本来のインストール先のフォルダに本格的に記憶される。しかし、このようなインストール方法では、テンポラリフォルダへの展開と、テンポラリフォルダから本来のインストール先フォルダへのコピーの、少なくとも2回、同じ内容(データ)の書込が行われる。従って、2重に時間を要し、2度手間となり、プログラムのインストールに時間を要してしまうという問題がある。
【0033】
又、コンピュータ1にプログラムをインストールする場合、インストール対象ファイルD3は多数種に及ぶことが通常である。コンピュータ1にインストールしようとするプログラムのサイズが大きければ大きいほど、多くのインストール対象ファイルD3が作成される。しかし、修正等のため、一部のインストール対象ファイルD3を差し替えたい場合がある。そうすると、複数のインストール対象ファイルD3を1ファイル化する処理もやり直しとなる。従って、従来のような、複数のインストール対象ファイルD3の1ファイル化はプログラムの開発効率を低下させる場合があるという問題もある。
【0034】
尚、特許文献1記載の発明は、RAMディスクにスプールディレクトリを作成し、読み出したソフトウェアパッケージをスプールディレクトリに格納し、ハードディスクにコンピュータプログラムのインストールを行う。一般に、RAMディスクは、メインメモリの一部の記憶領域を割いて仮想的に設けられる(ハードウェアとして搭載される場合もあり得る)が、インストールするプログラムの容量が大きいと、1ファイル化されたファイルの一時的な展開の段階(解凍の段階)でオーバーフローが生じ得るという問題がある。又、特許文献1には、圧縮についての記述はなく、1ファイル化によるプログラムの開発効率低下の懸念は解消できない。
【0035】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、インストールの高速化を図るとともに、プログラムの開発を効率的に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記課題を解決するため請求項1に係るインストール方法は、インストール用データを用いて、処理部と不揮発的に記憶する記憶部を含むコンピュータにプログラムをインストールするインストール方法であって、前記インストール用データは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールと、前記記憶部にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルと、前記インストール対象ファイルのリストであり、前記記憶部での前記インストール対象ファイルのインストール先が記された設定ファイルと、を別々に含み、前記処理部が、前記設定ファイルを参照し、展開後に各前記インストール対象ファイルを移動せずに済むように、予め定められた前記記憶部のインストール先に、前記インストール対象ファイルを記憶させることとした。
【0037】
この方法によれば、プログラムモジュールや各インストール対象ファイルが、それぞれ別々とされ、処理部が、設定ファイルを参照して、展開後にインストール対象ファイルを移動せずに済むように予め定められた記憶部(例えば、ハードディスク)のインストール先にそれぞれのインストール対象ファイルを記憶部に記憶させる。複数のインストール対象ファイルを1ファイル化した場合では記憶部のテンポラリな領域に仮に(一時的に)インストール対象ファイルを解凍、展開する必要がある。しかし、本方法では、各インストール対象ファイルが1ファイル化されず、個別に記憶されたインストール対象ファイルがそれぞれ直接的に記憶部に記憶される。これにより、テンポラリフォルダ等に、インストール対象ファイルを一時的に解凍し、展開するというステップを設けず、直接、インストール先フォルダへのコピーを行うことができる。従って、インストールでの二度手間を省くことができ、プログラムのインストールの所要時間を短くすることができる。
【0038】
又、それぞれのインストール対象ファイルは、1つのファイルにまとめられない(1ファイル化されない)。これにより、インストール対象ファイルの修正、変更、追加があっても、インストール対象ファイルの差し替えや追加と、それに伴う設定ファイルの修正を行えば済む。言い換えると、インストール対象ファイルの差し替えや追加があったときの再度の1ファイル化の処理を行う必要がなくなる。特に、従来、プログラムのリリース前での複数回にわたる修正や、インストール対象ファイルが複数あるときや、インストール対象ファイルのデータサイズが大きいとき、再度の1ファイル化の処理に時間を要していた。しかし、本発明ではプログラムの開発における煩雑な処理(再度の1ファイル化処理)を無くすことができ、開発効率を高めることができる。
【0039】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記設定ファイルは、前記インストール対象ファイルのファイル名、及び、前記記憶部へのインストール先へのパスを含むこととした。
【0040】
この方法によれば、設定ファイルは、インストール対象ファイルのファイル名、及び、記憶部へのインストール先へのパスを含む。これにより、コンピュータにインストールを行うインストール対象ファイルが明確化される。又、コンピュータでのインストール対象ファイルの展開先(記憶先)も記され、インストール先も明確にされる。これにより、処理部は、設定ファイルを参照すれば、確実に記憶部にインストールすることができる。又、インストール対象ファイルの修正、変更、追加があっても、プログラムモジュール(インストーラ)の修正を行わず、設定ファイルを修正するだけで、インストール対象ファイルの修正、変更、追加に対応できる。
【0041】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記インストール対象ファイルは、自己解凍形式ファイルであり、前記処理部が、前記自己解凍形式ファイルを解凍して、前記設定ファイルに基づき、予め定められたインストール先に、前記インストール対象ファイルを記憶させることとした。
【0042】
この方法によれば、処理部が、設定ファイルに基づき、自己解凍形式ファイルを解凍して、予め定められたインストール先に記憶させる。インストール対象ファイルは、圧縮された状態なので、容量は小さくなる。これにより、インストール用データのサイズは、圧縮を行いつつ1ファイル化を行う場合と同等にできる。又、設定ファイルに基づき、自己解凍形式ファイルの実行を行うだけで、予め定められた記憶部のインストール先(例えば、フォルダ)にインストール対象ファイルを、展開、記憶させることができる。
【0043】
又、請求項4に係る発明は、請求項1〜3の発明において、前記設定ファイルは、各前記インストール対象ファイルについて、前記インストール対象ファイルの種類を示すセクション名を含み、前記セクション名は、番号が付され、前記番号は、同じセクション名を有する前記インストール対象ファイルでそれぞれ連番となるように付されており、前記処理部は、1つの前記インストール対象ファイルを前記記憶部に記憶させた後、次の前記番号が付された同じセクション名を有する前記インストール対象ファイルである連番ファイルがあれば、続いて、前記連番ファイルをインストール先に記憶させることとした。
【0044】
処理部は、1つのインストール対象ファイルを記憶させた後、次の番号が付された同じセクション名を有するインストール対象ファイルである連番ファイルがあれば、連番ファイルをインストール先に記憶させる。これにより、複数のインストール対象ファイルがあっても、番号を追うだけで、もれなくインストール対象ファイルをコンピュータにインストールすることができる。又、セクション名と連番により、同じセクション名を有するインストールがいくつ含まれるか管理しやすくなる。従って、インストール対象ファイルは、整合性を持たせられつつインストール用データに含められる。
【0045】
又、前記インストール用データは、インストール媒体に格納され、前記コンピュータは、前記インストール媒体を読み取る読取部を備えるようにしてもよい。
【0046】
この方法によれば、インストール媒体からコンピュータの記憶部に直接インストール対象ファイル等がインストールされる。従って、コンピュータにプログラムを高速にインストールすることができる。尚、インストール媒体には、例えば、CD−ROMや、DVDの可搬性のあるディスク状のインストール媒体を用いることができる。しかし、USBメモリ等の半導体メモリが用いられてもよい。
【0047】
又、請求項5に係るプログラムは、処理部と不揮発的に記憶を行う記憶部を含むコンピュータに、プログラムをインストールするインストール用データを含むプログラムであって、前記インストール用データは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールと、前記記憶部にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルと、前記インストール対象ファイルのリストであり、前記記憶部での前記インストール対象ファイルのインストール先が記された設定ファイルと、を別々に含み、前記プログラムモジュールは、前記処理部にインストール処理を行わせ、前記処理部に前記設定ファイルを参照させ、前記記憶部に展開後に前記インストール対象ファイルを移動しないように予め定められたインストール先に前記インストール対象ファイルを記憶させることとした。
【0048】
この構成によれば、請求項1と同様に、プログラムのインストールの所要時間を短くすることができ、開発効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0049】
上述したように、本発明によれば、インストールの高速化が図られ、使用者にとって有益である。又、プログラムの開発を効率的に行え、プログラムの開発者側にとっても有益である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係るコンピュータの一例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るインストール用データの構成の一例を示す説明図である。
【図3】実施形態に係るプログラムのインストール方法での処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係るプログラムのインストール方法での処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】従来のコンピュータの一例を示すブロック図である。
【図6】従来のインストール用データの構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図1〜図4を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0052】
(コンピュータ1)
まず、図1に基づき、本発明の実施形態に係るコンピュータ1の概要を説明する。図1は本発明の実施形態に係るコンピュータ1の一例を示すブロック図である。
【0053】
まず、図1に示す本実施形態のコンピュータ1は、例えば、パーソナルコンピュータであり、図5を用いた従来例と同様、コンピュータ1は、記憶部12、RAM13、ディスプレイ14、入力部15、読取部16を含む。そして、図1に示す本発明の実施形態のコンピュータ1は、従来例として示した図5のコンピュータと同様でよい。そこで、図1において、従来例の図5と共通する部分には、同一の符号を付し、説明を援用するものとして説明を省略する。
【0054】
又、図1に示す本実施形態のコンピュータ1には、プログラマブル表示器2が接続される。又、プログラマブル表示器2には制御装置3が接続される。又、制御装置3には、制御対象4が接続される。図1に示す本発明の実施形態のプログラマブル表示器2、制御装置3、制御対象4は、従来例として示した図5のものと同様でよい。そこで、プログラマブル表示器2、制御装置3、制御対象4についても、図1において、従来例の図5と共通する部分には、同一の符号を付し、説明を援用するものとして説明を省略する。
【0055】
コンピュータ1、プログラマブル表示器2、制御装置3、制御対象4といったハードウェアに関しては従来のものと同様でよい。しかし、本発明に係るインストール方法は、図1に示すように、インストール用データDに設定ファイルD2が存在するなどの点で、インストール用データDの構成が異なる。その結果、本実施形態におけるインストール方法は、従来のインストール方法とは異なる。そこで、まず、図2を用いてインストール用データDを詳細に説明する。
【0056】
(インストール用データD)
次に、図2を用いて、本発明の実施形態に係るインストール用データDを説明する。図2は本発明の実施形態に係るインストール用データDの構成の一例を示す説明図である。
【0057】
本実施形態でも、プログラムをコンピュータ1にインストールするためのインストール用データDは、例えば、インストール媒体17に記憶される。そこで、本実施形態でのインストール媒体17に格納されるインストール用データDの構成の一例を説明する。
【0058】
図2に示すように、インストール媒体17には、インストール用データDとしてプログラムモジュールD1、設定ファイルD2、インストール対象ファイルD3が別々に記憶される。
【0059】
プログラムモジュールD1は、プログラムをコンピュータ1にインストールするためのモジュールであり、インストーラである。プログラムモジュールD1は、インストールを行うためのプログラムといえる。そして、プログラムモジュールD1は、インストール媒体17に格納され、例えば、プログラムモジュールD1の実行指示が入力部15で行われると、プログラムモジュールD1は、インストール媒体17からRAM13に転送される。そして、処理部11を動作させ、インストールを実行させる。
【0060】
処理部11はRAM13に転送されたプログラムモジュールD1を実行する。例えば、プログラムモジュールD1に従い、処理部11は、インストールを実際に開始する前に、ライセンスキーの入力画面や、使用者の入力画面や、記憶部12におけるプログラムのインストール先(記憶先)の入力画面や、使用言語の選択画面を、ダイアログによる対話形式でディスプレイ14に表示させる。使用者は、入力部15を用いて、これらの画面でライセンスキーや、使用ユーザ名や法人名や、記憶先のディレクトリやフォルダ(例えば、「C:\Program Files\〜」といった形式)を入力する。
【0061】
これらの所定の項目について入力が行われると、処理部11は、プログラムモジュールD1に基づき、プログラムのインストールに必要なファイルをインストール媒体17から展開する。このインストールに必要なファイルが(実際に記憶部12にインストールされるファイルが)、図2に示すインストール対象ファイルD3である。
【0062】
本発明におけるそれぞれのインストール対象ファイルD3は、自己解凍形式ファイル(exeファイル)である。処理部11は、インストール対象ファイルD3を解凍し、解凍後のインストール対象ファイルD3を記憶部12のインストール先に直接的に記憶させる。図2は、上述のプログラマブル表示器2を利用するための画面作成ソフトウェアのインストール用データDの一例を示す。そして、それぞれのインストール対象ファイルD3は、例えば、操作用画面や操作用画像で用いる画像データやテキスト等のデータや、画面作成ソフトウェアの一部を構成する。
【0063】
具体的には、画面作成ソフトウェアのインストール用データDの一部として、インストール媒体17には、複数種のインストール対象ファイルD3が、自己解凍形式ファイルとして、個別に記憶される。従来のように1ファイル化は行なわれない。
【0064】
例えば、複数種のインストール対象ファイルD3の一種として、図2に示すように、図6を用いて説明したインストール対象ファイルD3a(プログラマブル表示器2で画面や画像を表示させるプログラムやデータをコンピュータ1で作成するためのプログラムを含むファイル)や、インストール対象ファイルD3b(プログラマブル表示器2に接続される制御装置3や制御対象4を動作させるプログラムをコンピュータ1で作成するためのプログラムを含むファイル)や、インストール対象ファイルD3c(コンピュータ1で作成したプログラマブル表示器2用のプログラムを、コンピュータ1からプログラマブル表示器2に転送するためのプログラムを含むファイル)をインストール対象ファイルD3の一種として含ませてもよい。又、インストール対象ファイルD3a〜D3c以外の種類のインストール対象ファイルD3も、インストール用データDの一部として含めることができる。そして、インストール対象ファイルD3a〜D3cなどのいずれのインストール対象ファイルD3も自己解凍形式ファイルとして、個別に(別々に)記憶される。
【0065】
インストール媒体17に記憶されるインストール対象ファイルD3は、複数(複数種)である。又、目的、用途、言語等に応じ、インストール媒体17には更に複数のインストール対象ファイルD3が記憶される場合もある。このように、複数のインストール対象ファイルD3がインストール媒体17に記憶される(図1では、便宜上1つのみ図示)。
【0066】
そして、インストール対象ファイルD3は、例えば、順に、インストール媒体17からRAM13に転送される。処理部11は、RAM13に転送されたインストール対象ファイルD3を解凍し、記憶部12の予め定められた記憶先(インストール先)に記憶させる。この記憶先は、設定ファイルD2に定められる。
【0067】
そして、設定ファイルD2は、インストール対象ファイルD3のリストファイルである。プログラムモジュールD1に基づき、処理部11は、設定ファイルD2の記載内容を参照し、インストール対象ファイルD3の解凍や記憶部12への記憶処理を行わせる。例えば、設定ファイルD2は、iniファイルである。そこで、設定ファイルD2の内容を図2に例示する。
【0068】
図2に示すように、設定ファイルD2は、以下の記述ブロック(様式)が積み重ねられた構造で記される。
[セクション名_*_#](#は数字)
File=
Path=
Size=
【0069】
セクション名は、インストール対象ファイルD3の大まかな属性、機能、用途、プログラム名などを示す。例えば、セクション名には、プログラムの商品名の省略名や機能が用いられる。インストール対象ファイルD3がプログラム用の操作説明書であれば、セクション名は、例えば、「Manual」とされる。
【0070】
セクション名に続く「*」の符号は、どの言語に対するものかを示す符号である。例えば、「*」の部分には「JP」(日本語用)や「EN」(英語用)といった、言語の種類を示す文字列(アルファベット)が記される。尚、「*」の符号は、記す必要がなければ省略されてもよい。
【0071】
又、「*」に続く「♯(数字)」は、同じセクション名の記述ブロックごとに連番で付される番号である。例えば、図2に示すように、「○○○○」というセクション名のインストール対象ファイルD3がインストール媒体17に2つ含まれる場合、一方には「1」の番号が、他方には「2」の番号が付される。このように、本実施形態では、同じセクション名については、1から始まる連番で番号が付される。例えば、プログラマブル表示器2用の画面作成ソフトウェアの場合、各インストール対象ファイルD3のうち、インストール対象ファイルD3aに対応するセクション名には「1」の番号が、インストール対象ファイルD3bに対応するセクション名には「2」の番号が、インストール対象ファイルD3cに対応するセクション名には「3」の番号が、というように、異なる番号がそれぞれ付される。尚、本実施形態の説明では、番号は「1」から始まる例を説明するが、「1」以外の数字から始まるようにしてもよい。
【0072】
そして、セクション名(記述ブロック)には、「File」、「Path」、「Size」の3つのキーが含まれる。「File」には、インストール媒体17に含まれるインストール対象ファイルD3(自己解凍形式ファイル)のうち、実行するインストール対象ファイルD3の名称が1つ記される。例えば、設定ファイルD2(iniファイル)から、実行するインストール対象ファイルD3への相対パスがファイル名として記される。
【0073】
「Path」は、インストール対象ファイルD3の解凍先のパスが記される。例えば、プログラムモジュールD1を実行すると表示されるインストール先の入力画面(ダイアログ)で指定されたフォルダに記憶する設定をパスとして記すことができる。
【0074】
即ち、設定ファイルD2は、インストール対象ファイルD3のファイル名、及び、記憶部12へのインストール先へのパスを含む。
【0075】
「Size」は、対応するインストール対象ファイルD3の解凍後(伸張後)のデータサイズを示す。例えば、各セクションの「Size」を合算すると、全てのインストール対象ファイルD3の解凍後(伸張後)の合計のデータサイズが求められる。例えば、インストール済みで解凍されたインストール対象ファイルD3のデータサイズの合計と、全インストール対象ファイルD3の「Size」の値の合算との比を演算する。例えば、この演算結果を用いて、処理部11は、インストールの進捗状況をディスプレイ14に表示させることができる。
【0076】
このように、設定ファイルD2には、各インストール対象ファイルD3に対し、1つの記述ブロックが記載される。言い換えると、1つの記述ブロックは、1つのインストール対象ファイルD3に対応する。そして、複数のインストール対象ファイルD3がある場合、設定ファイルD2は、記述ブロックの層構造をとる。
【0077】
ここで、インストール対象ファイルD3を追加する場合、設定ファイルD2に記述ブロックを追加する。このとき、既に設定ファイルD2に記述されているセクション名と同じであれば、既に設定ファイルD2に記述されている記述ブロックに対し連番となるように番号(「♯」の部分)の符号が付される。これにより、プログラムモジュールD1を修正することなくインストール対象ファイルD3の追加ができる。
【0078】
又、修正等により、インストール対象ファイルD3の差し替えを行う場合、記述ブロックの内容に変更の必要がなければ、単に、インストール対象ファイルD3の差し替えを行えばよい。又、差し替え後のインストール対象ファイルD3の名称や、インストール媒体17での格納場所や、インストール先の設定や、データサイズが変わっている場合、設定ファイルD2の内容が変更される。例えば、「File」、「Path」、「Size」のキーが修正、変更される。
【0079】
このように、プログラムモジュールD1を修正することなく、設定ファイルD2の記述内容を修正するだけでインストール対象ファイルD3の追加、差し替えができる。従来、インストール対象ファイルD3の追加、差し替えを行う場合、インストール対象ファイルD3の1ファイル化を再度行う必要があったが、本発明では目的とするインストール対象ファイルD3の差し替えや追加と、設定ファイルD2の記述内容を僅かに修正、追加するだけで済む。これにより、煩雑な1ファイル化の処理がなくなり、インストール媒体17の提供までのプログラムの開発の効率を高めることができる。
【0080】
特に、開発するプログラムのデータサイズが大きくなればなるほど、高い開発効率の向上効果を得ることができる。例えば、開発に用いるコンピュータの性能にもよるが、プログラムモジュールD1やインストール対象ファイルD3を1ファイル化するのに、長時間(例えば、30〜40分以上)要する場合もあり得る。そして、開発中のプログラムの規模が大きければ、プログラムにおけるエラー部分の発見や、エラーの要因の特定に時間を要し、複数回にわたり、インストール対象ファイルD3の差し替えが必要となる場合もある。しかし、本発明によれば、長時間を要する1ファイル化の処理をしなくて済むので、開発者は、大きなメリットを得る。
【0081】
尚、プログラムモジュールD1(インストーラ)内の細かな設定内容や、各インストール対象ファイルD3の内容は異なるが、本発明は、画面作成ソフトウェアだけでなく、その他のプログラム(例えば、図5の従来例で説明したコンバータやエミュレーションプログラムやリモートモニタリングプログラムやデータコピープログラム等)のインストールに関し、共通して適用できる。言い換えると、プログラムモジュールD1の基本的な仕組みや仕様を共通化することができる。そのため、例えば、1つのプログラムモジュールに対し、上記のプログラマブル表示器2に関連した複数のプログラムのインストール対象ファイルD3や設定ファイルD2をインストール媒体17に収めておくことで、同時に複数のプログラムをインストールするようにすることもできる。
【0082】
(プログラムのインストールの流れ)
次に、図3及び図4を用いて、本発明の実施形態に係るプログラムのインストール方法におけるインストールの流れの一例を説明する。図3及び図4は、本発明の実施形態に係るプログラムのインストール方法での処理の流れの一例を示すフローチャートである。尚、図3及び図4は、一連であるが、便宜上、2枚の図面に分割したものである。
【0083】
まず、図3のスタートの前段階では、プログラムのインストールのため、コンピュータ1の読取部16に、CDやDVDのディスクなどのインストール媒体17がセットされる。そして、コンピュータ1の入力部15を用い、プログラムモジュールD1(インストーラ)の実行が指示される。これにより、プログラムのインストールが開始される。このとき、プログラムモジュールD1は例えばRAM13に転送され、処理部11が、プログラムモジュールD1に基づいた処理を開始する(スタート)。
【0084】
そして、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、ユーザ名や、記憶部12におけるインストール先のフォルダや、使用言語などを設定、入力するためのダイアログをディスプレイ14に表示させる(ステップ♯1)。このとき、入力を求める各項目につき、ウィザード形式での入力が行われる。必要な入力が行われると、処理部11は、インストール媒体17から記憶部12へのインストール対象ファイルD3のインストール処理を開始する(ステップ♯2)。
【0085】
次に、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、設定ファイルD2のパスを作成する(ステップ♯3)。言い換えると、処理部11は、インストール媒体17の中のどこに設定ファイルD2があるかを確認、設定する。
【0086】
次に、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、インストール対象ファイルD3(自己解凍形式ファイル)があるフォルダのパスを作成する(ステップ♯4)。言い換えると、処理部11は、インストール媒体17の中のどこにインストール対象ファイルD3があるかを確認、設定する。
【0087】
更に、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、インストールに用いる(参照する)セクション名を作成する(ステップ♯5)。言い換えると、処理部11は、設定ファイルD2におけるセクション名の種類を確認する。例えば、プログラムモジュールD1に、インストールに用いるセクション名を予め定めたデータを含むようにしてもよい。
【0088】
セクション名が複数種に及ぶ場合もあり得るので、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、複数種のセクション名のうち、1つのセクション名を選択する(ステップ♯6)。そして、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、選択したセクション名に関し、設定ファイルD2内で、最も小さい番号である「1」の番号(連番)が付されたセクション名の記述ブロック内で定義されているインストール対象ファイルD3のファイル名を取得する(ステップ♯7)。言い換えると、設定ファイルD2から「File」のキーを読み出す。
【0089】
更に、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、ファイル名を取得できたインストール対象ファイルD3のインストール先(解凍先、記憶先)のパスを設定する(ステップ♯8)。言い換えると、設定ファイルD2から「Path」のキーを読み出す。続けて、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、ステップ♯1にて入力されたインストール先のフォルダに合わせ、ファイル名を取得できたインストール対象ファイルD3のインストール先のパスを実パスに変換する(ステップ♯9)
【0090】
続けて、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、ファイル名を取得できたインストール対象ファイルD3の実行(RAM13への読み出しや、解凍や、記憶部12への記憶)を開始する(ステップ♯10)。インストール対象ファイルD3の実行開始に伴い、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、専用のコマンドを作成する(ステップ♯11)。この専用のコマンドは、記憶部12のテンポラリフォルダ内への解凍を行った後、インストール対象ファイルD3の記憶先へコピーする二度手間を避けるためのコマンドである。具体的に、インストール媒体17からインストール対象ファイルD3を読み出し、直接的に、インストール先へ記憶を行うためのコマンドである。尚、専用のコマンドは、プログラムモジュールD1(インストーラ)内に予め用意されている(含められている)。
【0091】
例えば、従来のように、1ファイル化されたファイルを用いてプログラムをコンピュータ1にインストールする場合、プログラムの規模(データサイズ)が大きいと、インストールされるコンピュータ1の性能にも左右されるが、インストールに長時間要する場合がある(例えば、30〜40分)。
【0092】
1ファイル化されている場合、ファイルに含まれる内容の全てを一時的に解凍、展開する必要がある。言い換えると、1ファイル化されたファイルに含まれる内容の全てを記憶部12(HDD)のテンポラリフォルダ等に、一時的に解凍、展開しなければ、インストールを開始できない場合がある。このとき、テンポラリフォルダから、指定されたインストール先へのインストール対象ファイルD3のコピーが行われる。この2度にわたる同じデータの書込が、インストールに長時間を要する一因となっている。しかし、本発明ではインストール対象ファイルD3が直接的に記憶部12にインストールされるので、インストールに要する時間を短くすることができる。例えば、インストールに30〜40分要していた場合、10〜20分程度の短縮化を図ることができる。
【0093】
続いて、インストール対象ファイルD3が実行される(ステップ♯12)。具体的に、インストール対象ファイルD3のインストール媒体17から読み出しと、(自己)解凍と、指定されたインストール先(フォルダ等への記憶先)への記憶(格納)が行われる。このとき、従来のように、テンポラリフォルダ内に一時的に展開、格納された後、インストール先にコピーするといった二度手間は行われず、インストール対象ファイルD3は、直接的にインストール先に記憶される(ステップ♯12)。
【0094】
即ち、本発明のインストール方法は、インストール用データDを用いて、処理部11と不揮発的に記憶する記憶部12を含むコンピュータ1にプログラムをインストールするインストール方法であって、インストール用データDは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールD1と、記憶部12にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルD3と、インストール対象ファイルD3のリストであり、記憶部12でのインストール対象ファイルD3のインストール先が記された設定ファイルD2と、を別々に含み、処理部11が、設定ファイルD2を参照し、展開後にインストール対象ファイルD3を移動せずに済むように、予め定められた記憶部12のインストール先に、インストール対象ファイルD3を記憶させる。
【0095】
更に、インストール対象ファイルD3は、自己解凍形式ファイルであり、処理部11が、自己解凍形式ファイルを解凍して、設定ファイルD2に基づき、予め定められたインストール先に、インストール対象ファイルD3を記憶させる。
【0096】
インストール対象ファイルD3の実行により、インストール対象ファイルD3が解凍されて記憶部12に記憶されると、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、実行したインストール対象ファイルD3に対応するセクション名に付された番号の値に1を加算する演算(インクリメント)を行う(ステップ♯13)。
【0097】
次に、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、設定ファイルD2を参照し、インクリメント後の番号が付されたセクション名で定義されるインストール対象ファイルD3のファイル名の取得を試みる(ステップ♯14)。そして、処理部11は、ファイル名を取得できたかを確認し(ステップ♯15)、ファイル名を取得できれば(ステップ♯15のYes)、ステップ♯8に戻る。
【0098】
設定ファイルD2は、各インストール対象ファイルD3について、インストール対象ファイルD3の種類を示すセクション名を含み、セクション名は、番号が付され、番号は、同じセクション名を有するインストール対象ファイルD3でそれぞれ連番となるように付されており、処理部11は、1つのインストール対象ファイルD3を記憶部12に記憶させた後、次の番号が付された同じセクション名を有するインストール対象ファイルD3である連番ファイルがあれば、続いて、連番ファイルをインストール先に記憶させる。
【0099】
一方、セクション名の番号は、連番とされる。従って、インクリメント後の番号が付されたセクション名を参照し、ファイル名を取得できなければ(インクリメント後の番号が付されたセクション名の記述が設定ファイルD2になければ)、もはや、同じセクション名については、インストールすべきインストール対象ファイルD3はないことになる。
【0100】
そこで、ファイル名を取得できなければ(ステップ♯15のNo)、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、全てのセクション名についてファイル名の取得を既に行ったかを確認する(ステップ♯16)。もし、全セクション名についてファイル名の取得を行っていなければ(ステップ♯16のNo)、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、まだファイル名を取得していないセクション名を選択する(ステップ♯17)。そして、ステップ♯7に戻る。
【0101】
一方、もし、全てのセクション名についてファイル名の取得を行っていれば(ステップ♯16のYes)、もはや解凍しインストールすべきインストール対象ファイルD3は残っていないはずである。そこで、ステップ♯16のYesの場合、処理部11は、プログラムモジュールD1に従い、インストールが終了した旨のディスプレイ14での表示や、プログラムモジュールD1の終了等、処理部11は、プログラムのインストールを終了させるための処理を行う(ステップ♯18)。そして、本制御は、終了する(エンド)。
【0102】
このようにして、本実施形態に示すインストール方法によれば、プログラムモジュールD1や各インストール対象ファイルD3が、それぞれ別々とされ、処理部11が、設定ファイルD2を参照して、展開後にインストール対象ファイルD3を移動せずに済むように予め定められた記憶部12(例えば、ハードディスク)のインストール先に、それぞれのインストール対象ファイルD3を記憶部12に記憶させる。複数のインストール対象ファイルD3を1ファイル化した場合では記憶部12のテンポラリな領域に仮に(一時的に)インストール対象ファイルD3を解凍、展開する必要がある。しかし、本方法では、各インストール対象ファイルD3が、1ファイル化されず、個別に記憶されたインストール対象ファイルD3が、それぞれ直接的に記憶部12に記憶される。これにより、テンポラリフォルダ等に、インストール対象ファイルD3を一時的に解凍し、展開するというステップを設けず、直接、インストール先フォルダへのコピーを行うことができる。従って、インストールでの二度手間を省くことができ、プログラムのインストールの所要時間を短くすることができる。
【0103】
又、それぞれのインストール対象ファイルは、1つのファイルにまとめられない(1ファイル化されない)。これにより、インストール対象ファイルD3の修正、変更、追加があっても、インストール対象ファイルD3の差し替えや追加と、それに伴う設定ファイルD2の修正を行えば済む。言い換えると、インストール対象ファイルD3の差し替えや追加があったときの再度の1ファイル化の処理を行う必要がなくなる。特に、従来、プログラムのリリース前での複数回にわたる修正や、インストール対象ファイルD3が複数あるときや、インストール対象ファイルD3のデータサイズが大きいとき、再度の1ファイル化の処理に時間を要していた。しかし、本発明ではプログラムの開発における煩雑な処理(再度の1ファイル化処理)を無くすことができ、開発効率を高めることができる。
【0104】
又、設定ファイルD2は、インストール対象ファイルD3のファイル名、及び、記憶部12へのインストール先へのパスを含む。これにより、コンピュータ1にインストールを行うインストール対象ファイルD3が明確化される。又、コンピュータ1でのインストール対象ファイルD3の展開先(記憶先)も記され、インストール先も明確にされる。これにより、処理部11は、設定ファイルD2を参照すれば、確実に記憶部12にインストールすることができる。又、インストール対象ファイルD3の修正、変更、追加があっても、プログラムモジュールD1(インストーラ)の修正を行わず、設定ファイルD2を修正するだけで、インストール対象ファイルD3の修正、変更、追加に対応できる。
【0105】
又、処理部11が、設定ファイルD2に基づき、自己解凍形式ファイルを解凍して、予め定められたインストール先に記憶させる。インストール対象ファイルD3は、圧縮された状態なので、容量は小さくなる。これにより、インストール用データDのサイズは、圧縮を行いつつ1ファイル化を行う場合と同等にできる。又、設定ファイルD2に基づき、自己解凍形式ファイルの実行を行うだけで、予め定められた記憶部12のインストール先(例えば、フォルダ)にインストール対象ファイルD3を展開、記憶させることができる。
【0106】
又、処理部11は、1つのインストール対象ファイルD3を記憶させた後、次の番号が付された同じセクション名を有するインストール対象ファイルD3である連番ファイルがあれば、連番ファイルをインストール先に記憶させる。これにより、複数のインストール対象ファイルD3があっても、番号を追うだけで、もれなくインストール対象ファイルD3をコンピュータ1にインストールすることができる。又、セクション名と連番で、同じセクション名を有するインストールがいくつ含まれるか管理しやすくなる。従って、インストール対象ファイルD3は、整合性を持たせつつインストール用データDに含められる。
【0107】
又、インストール用データDは、インストール媒体17に格納され、コンピュータ1は、インストール媒体17を読み取る読取部16を備えるようにしてもよい。これにより、インストール媒体17からコンピュータ1の記憶部12に直接インストール対象ファイルD3等がインストールされる。従って、コンピュータ1にプログラムを高速にインストールすることができる。尚、インストール媒体17には、例えば、CD−ROMや、DVDの可搬性のあるディスク状のインストール媒体17を用いることができる。しかし、USBメモリ等の半導体メモリが用いられてもよい。
【0108】
又、上記では、本発明のインストール方法を説明したが、本発明は、図3、図4のフローチャートに示すように、プログラムの発明としても捉えることができる。具体的に、本発明のプログラムは、処理部11と不揮発的に記憶を行う記憶部12を含むコンピュータ1に、プログラムをインストールするインストール用データDを含むプログラムであって、インストール用データDは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールD1と、記憶部12にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルD3と、インストール対象ファイルD3のリストであり、記憶部12でのインストール対象ファイルD3のインストール先が記された設定ファイルD2と、を別々に含み、プログラムモジュールD1は、処理部11にインストール処理を行わせ、処理部11に設定ファイルD2を参照させ、記憶部12に展開後にインストール対象ファイルD3を移動しないように予め定められたインストール先にインストール対象ファイルD3を記憶させる。これにより、方法と同様に、プログラムのインストールの所要時間を短くすることができ、開発効率を高めることができる。
【0109】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、プログラムのコンピュータへのインストールに利用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 コンピュータ 11 処理部
12 記憶部 17 インストール媒体
D インストール用データ D1 プログラムモジュール
D2 設定ファイル
D3(D3a,D3b,D3c) インストール対象ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストール用データを用いて、処理部と不揮発的に記憶する記憶部を含むコンピュータにプログラムをインストールするインストール方法であって、
前記インストール用データは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールと、前記記憶部にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルと、前記インストール対象ファイルのリストであり、前記記憶部での前記インストール対象ファイルのインストール先が記された設定ファイルと、を別々に含み、
前記処理部が、前記設定ファイルを参照し、展開後に各前記インストール対象ファイルを移動せずに済むように、予め定められた前記記憶部のインストール先に、前記インストール対象ファイルを記憶させることを特徴とするインストール方法。
【請求項2】
前記設定ファイルは、前記インストール対象ファイルのファイル名、及び、前記記憶部へのインストール先へのパスを含むことを特徴とする請求項1記載のインストール方法。
【請求項3】
前記インストール対象ファイルは、自己解凍形式ファイルであり、
前記処理部が、前記自己解凍形式ファイルを解凍して、前記設定ファイルに基づき、予め定められたインストール先に、前記インストール対象ファイルを記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載のインストール方法。
【請求項4】
前記設定ファイルは、各前記インストール対象ファイルについて、前記インストール対象ファイルの種類を示すセクション名を含み、
前記セクション名は、番号が付され
前記番号は、同じセクション名を有する前記インストール対象ファイルでそれぞれ連番となるように付されており、
前記処理部は、1つの前記インストール対象ファイルを前記記憶部に記憶させた後、次の前記番号が付された同じセクション名を有する前記インストール対象ファイルである連番ファイルがあれば、続いて、前記連番ファイルをインストール先に記憶させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインストール方法。
【請求項5】
処理部と不揮発的に記憶を行う記憶部を含むコンピュータに、プログラムをインストールするインストール用データを含むプログラムであって、
前記インストール用データは、少なくとも、インストーラとしてのプログラムモジュールと、前記記憶部にインストールする対象としての複数のインストール対象ファイルと、前記インストール対象ファイルのリストであり、前記記憶部での前記インストール対象ファイルのインストール先が記された設定ファイルと、を別々に含み、
前記プログラムモジュールは、前記処理部にインストール処理を行わせ、前記処理部に前記設定ファイルを参照させ、前記記憶部に展開後に前記インストール対象ファイルを移動しないように予め定められたインストール先に前記インストール対象ファイルを記憶させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−48428(P2012−48428A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188987(P2010−188987)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】