説明

インスリン測定方法

【課題】本発明は、プロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けず、インスリンのみを高感度に正確に測定することのできる、インスリン特異的な測定方法及び測定試薬の提供を課題とする。
【解決手段】抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する抗体を用いることによりインスリンを特異的に測定できる測定方法及び試薬を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫反応を利用したインスリンの測定方法及び測定試薬に関する。さらに詳しくは、抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する抗体を用いるインスリン測定方法及び測定試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリンは、膵臓中のランゲルハンス島β細胞において、前駆体であるプロインスリンを経て生成される分子量約5800のペプチドホルモンである。糖代謝ならびにアミノ酸代謝や脂質代謝に関与し、代表的な生理作用は血糖降下である。糖尿病は、β細胞の減少や機能低下に基づくインスリン分泌不足や末梢組織でのインスリン作用不足によりもたらされる。それゆえ、β細胞のインスリン分泌機能を反映する血中インスリン濃度の測定は、糖尿病の診断や病態把握及び耐糖能異常の原因鑑別に有用な指標となっている。
【0003】
モノクローナル抗体を用いたインスリンの測定方法としては、次のような技術が知られている。
特許文献1には、不溶性担体に結合させたモノクローナル抗体と、該抗体とエピトープを競合せず、かつ酵素で標識されたモノクローナル抗体とを用いた酵素免疫測定法(以下、ELISA法という)によるインスリンの定量方法が開示されている。
特許文献2には、不溶性担体に結合させた認識部位の異なる2種類のモノクローナル抗体を用いた粒子凝集イムノアッセイ法によるインスリンの定量方法が開示されている。
上記文献は、いずれもインスリンに対する認識部位の異なる複数のモノクローナル抗体を用いてインスリンを測定する方法であるが、プロインスリン、インスリンアナログ製剤などのインスリン類似化合物との交差反応性については何ら開示されていないことから、インスリンのみを正確に、かつ、高感度で測定できるかどうかは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−148962号公報
【特許文献2】特開平3−118472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けず、インスリンのみを高感度に正確に測定することのできる、インスリン特異的な測定方法及び測定試薬の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、驚くべきことに、インスリンに反応する第1のモノクローナル抗体と、当該第1のモノクローナル抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、当該第1のモノクローナル抗体が結合したインスリンとは反応する第2モノクローナル抗体を組み合わせることで、プロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けず、インスリンのみを高感度に正確に測定できることを見出した。さらに検討した結果、上記、抗インスリン抗体が結合したインスリン(インスリン−抗インスリン抗体複合体:以下「インスリン−抗体複合体」ということがある)に反応する抗体を使用して、さまざまな態様のインスリン測定方法を構築できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
【0007】
〔1〕抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する抗体を用いることを特徴とする、インスリン測定方法。
〔2〕2種の抗体を用いるインスリン測定方法であって、
1)第1の抗体は、インスリンと反応する性質を有し、
2)第2の抗体は、第1の抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、第1の抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する、
〔1〕に記載のインスリン測定方法。
〔3〕第1の抗体及び第2の抗体が、ともにモノクローナル抗体である〔2〕に記載のインスリン測定方法。
〔4〕第1の抗体がポリクローナル抗体であり、第2の抗体がモノクローナル抗体である、〔2〕に記載のインスリン測定方法。
〔5〕第1のモノクローナル抗体が、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体である、〔3〕に記載のインスリン測定方法。
〔6〕少なくとも1種のモノクローナル抗体が、プロインスリン、インスリン類似化合物のいずれとも反応しない抗体である、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のインスリン測定方法。
〔7〕第2のモノクローナル抗体が、プロインスリン、インスリン類似化合物のいずれとも反応しない抗体である、〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のインスリン測定方法。
〔8〕第1のモノクローナル抗体及び第2のモノクローナル抗体が、ラテックスにそれぞれ固定化されており、ラテックス免疫凝集法によりインスリンを測定する〔3〕,〔5〕,〔6〕,〔7〕のいずれかに記載のインスリン測定方法。
〔9〕第1のモノクローナル抗体は固相に固定化されており、第2のモノクローナル抗体は標識物質で標識されている、ELISA法によりインスリンを測定する〔3〕,〔5〕,〔6〕,〔7〕のいずれかに記載のインスリン測定方法。
〔10〕第1のモノクローナル抗体は標識物質で標識されており、第2のモノクローナル抗体は固相に固定化されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法によりインスリンを測定する〔3〕,〔5〕,〔6〕,〔7〕のいずれかに記載のインスリン測定方法。
〔11〕抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、該抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する抗体を含むことを特徴とするインスリン測定試薬。
〔12〕2種の抗体を含むインスリン測定試薬であって、
1)第1の抗体はインスリンと反応する性質を有し、
2)第2の抗体は、第1の抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、第1の抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する、
〔11〕に記載のインスリン測定試薬。
〔13〕第1の抗体及び第2の抗体がともにモノクローナル抗体である〔12〕に記載のインスリン測定試薬。
〔14〕第1の抗体がポリクローナル抗体であり、第2の抗体がモノクローナル抗体である、〔12〕に記載のインスリン測定試薬。
〔15〕第1のモノクローナル抗体が、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体である、〔13〕に記載のインスリン測定試薬。
〔16〕少なくとも1種のモノクローナル抗体が、プロインスリン、インスリン類似化合物のいずれとも反応しない抗体である、〔13〕〜〔15〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬。
〔17〕第2のモノクローナル抗体は、プロインスリン、インスリン類似化合物のいずれとも反応しない抗体である、〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬。
〔18〕第1のモノクローナル抗体及び第2のモノクローナル抗体が、ラテックスにそれぞれ固定化されており、ラテックス免疫凝集法によりインスリンを測定する〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬。
〔19〕第1のモノクローナル抗体は固相に固定化されており、第2のモノクローナル抗体は標識物質で標識されている、ELISA法によりインスリンを測定する〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬。
〔20〕第1のモノクローナル抗体は標識物質で標識されており、第2のモノクローナル抗体は固相に固定化されている、ELISA法又はイムノクロマトグラフ法によりインスリンを測定する〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬。
〔21〕以下の性質を有ることを特徴する、モノクローナル抗体。
1)インスリンに結合する抗体が結合していないインスリンとは反応しない
2)インスリンに結合する抗体が結合したインスリンとは反応する
〔22〕さらに、プロインスリン、インスリン類似化合物のいずれとも反応しないという性質を有する〔21〕に記載のモノクローナル抗体。
〔23〕下記工程を含むモノクローナル抗体のスクリーニング方法。
1)インスリンと反応する抗体を選択する工程
2)1)で選択した抗体が結合していないインスリンとは反応せず、当該抗体が結合したインスリンと反応するモノクローナル抗体を選択する工程
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けずに、感度の高い、正確なインスリン測定が可能となった。また、本発明によれば、β細胞からのインスリン分泌を正確に把握できることから、糖尿病の病態把握に用いることもでき、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インスリンのアミノ酸配列を示す概念図である。図中(a)〜(e)部分は本発明の抗体との反応性を検討した各種インスリンアナログ製剤とのアミノ酸配列の違いを示す部分である。図中の○の中のアルファベットはアミノ酸の1文字表記である。 インスリンリスプロ:(a)(b)部分は「P−K」ではなく「K−P」を有する。インスリンアスパルト:(a)部分は「P」ではなく「D」を有する。 インスリングラルギン:(d)部分は「N」ではなく「G」を有し、更に(c)部分「T」に「RR」が付加されている。インスリンデテミル:(c)部分は「T」を有さず、更に(b)部分「K」にミリスチン酸(C14H28O2)が付加されている。インスリングルリジン:(b)部分は「K」ではなく「E」を有し、更に(e)部分は「N」ではなく「K」を有する。
【図2】インスリンと66221抗体の反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いた試験結果を示す図である。
【図3】インスリンと66226抗体の反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いた試験結果を示す図である。
【図4−1】プロインスリン及び各種インスリンアナログ製剤と66221抗体の反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いた試験結果を示す図である。(a)プロインスリン、(b)インスリンリスプロ、(c)インスリンアスパルト
【図4−2】同上。(d)インスリングラルギン、(e)インスリンデテミル
【図5−1】プロインスリン及び各種インスリンアナログ製剤と66226抗体の反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いた試験結果を示す図である。(a)プロインスリン、(b)インスリンリスプロ、(c)インスリンアスパルト
【図5−2】同上。(d)インスリングラルギン、(e)インスリンデテミル
【図6】1次抗体として66221抗体、2次抗体として66226抗体を用いて、1次抗体をプレートに固相化しインスリン、プロインスリン、各種インスリンアナログ製剤の反応性について調べたELISA法試験の結果を示す図である。
【図7】1次抗体として66226抗体、2次抗体として66221抗体を用いて、1次抗体をプレートに固相化しインスリン、プロインスリン、各種インスリンアナログ製剤の反応性について調べたELISA法試験の結果を示す図である。
【図8】インスリンアナログ製剤・インスリングルリジンと66221抗体(a)及び66226抗体(b)の反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いた試験結果を示す図である。
【図9】1次抗体として66221抗体、2次抗体として66226抗体を用いて、1次抗体をプレートに固相化しインスリン、プロインスリン、インスリンアナログ製剤・インスリングルリジンの反応性について調べたELISA法試験の結果を示す図である。
【図10】1次抗体として66226抗体、2次抗体として66221抗体を用いて、1次抗体をプレートに固相化しインスリン、プロインスリン、インスリンアナログ製剤・インスリングルリジンの反応性について調べたELISA法試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の代表的な態様である下記発明〔3〕を例として、発明を実施するための形態について説明する。発明〔3〕を詳説すると以下である。
『2種のモノクローナル抗体を用いるインスリン測定方法であって、
1)第1のモノクローナル抗体は、インスリンと反応する性質を有し、
2)第2のモノクローナル抗体は、第1のモノクローナル抗体が結合していないインスリンとは反応しないが、第1のモノクローナル抗体が結合したインスリンとは反応する性質を有する、インスリン測定方法。』
【0011】
本発明のモノクローナル抗体には、第1のモノクローナル抗体と第2のモノクローナル抗体があり、インスリンの測定に際してはこれらを組み合わせて用いる。第1のモノクローナル抗体は、インスリンと反応するモノクローナル抗体であればいずれのモノクローナル抗体でもよく、抗体分子全体のほかに、抗体のFab’部分などインスリンと反応することができる、抗体の機能性断片であってもよい。
第2のモノクローナル抗体は、以下の1)と2)の性質を有するモノクローナル抗体であればいずれのモノクローナル抗体でもよい。
1)第1のモノクローナル抗体が結合していないインスリンとは反応しない
2)第1のモノクローナル抗体が結合したインスリンとは反応する
上記「第1のモノクローナル抗体が結合したインスリンとは反応する」場合の第2のモノクローナル抗体の反応部位(認識部位)は、第1のモノクローナル抗体が結合したことによって起きるインスリンの構造の変化を認識して、当該構造が変化したインスリンに反応するものが望ましい。ここで、「インスリンの構造の変化」とは、インスリン−抗体複合体の形成により、インスリン分子自体に独立して生じた構造の変化や、抗体が結合したインスリンにおいて抗体とインスリン分子が協働して構成する構造等をいう。
【0012】
また、本発明の測定方法はプロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けないことが望ましいため、少なくとも1種のモノクローナル抗体は、プロインスリン及びインスリン類似化合物と反応しないことが望ましい。インスリン類似化合物としては、具体的には、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリングルリジンなどのインスリンアナログ製剤などが挙げられる。
本発明の第2のモノクローナル抗体の一態様として、これらの化合物のいずれとも交差反応しない抗体が挙げられ、本抗体をインスリンの測定に用いた場合には、当該化合物が試料中に存在しても、インスリンを特異的に測定することができる。一方のモノクローナル抗体がこれらプロインスリン及びインスリン類似化合物と反応しない性質を有していれば、他方のモノクローナル抗体はこれらの類似化合物と反応するものでも、反応しないものでもいずれでもよい。
【0013】
本明細書中、インスリンと「反応する」、インスリンを「認識する」、インスリンと「結合する」、インスリンと「交差反応性を示す」は、同義で用いられるが、これらの例示に限定されることはなく、最も広義に解釈する必要がある。抗体がインスリンなどの抗原(化合物)と「反応する」か否かの確認は、後述する抗原固相化ELISA法、競合ELISA法、サンドイッチELISA法などにより行うことができるほか、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)の原理を利用した方法(SPR法)などにより行うことができる。SPR法は、Biacore(登録商標)の名称で市販されている、装置、センサー、試薬類を使用して行うことができる。
【0014】
本発明の抗体と、ある化合物が「反応しない」とは、本発明の抗体がある化合物と実質的に反応しないことをいい、「実質的に反応しない」とは、例えば、上記SPR法に基づき、Biacore(登録商標)T100を使用し、本発明の抗体を固定化して測定を行った場合に、本発明の抗体の反応性の増強が認められないことをいう。詳細には、抗体と化合物との反応性が、コントロール(化合物非添加)の反応性と比べて有意な差がないことをいう。上記SPR法以外の当業者に周知の方法・手段によっても「実質的に反応しない」ことを確認できるのはいうまでもない。
【0015】
本発明の抗体によって抗原として認識されるインスリンは、インスリン分子の全体であってもよく、その一部であってもよい。
【0016】
「第1のモノクローナル抗体」としては、具体的にはハイブリドーマ(FERM BP−11233)が産生するモノクローナル抗体(66221抗体)が挙げられ、「第2のモノクローナル抗体」としては、ハイブリドーマ(FERM BP−11234)が産生するモノクローナル抗体(66226抗体)が挙げられる。
【0017】
本発明の抗体は、抗原(免疫原)としてインスリンをリン酸緩衝生理食塩水などの溶媒に溶解し、この溶液を動物に投与して免疫することによりに容易に製造できる。必要に応じて前記溶液に適宜のアジュバントを添加した後、エマルジョンを用いて免疫を行ってもよい。アジュバントとしては、油中水型乳剤、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、水酸化アルミニウムゲルなどの汎用されるアジュバントのほか、生体成分由来のタンパク質やペプチド性物質などを用いてもよい。例えば、フロイントの不完全アジュバント又はフロイントの完全アジュバントなどを好適に用いることができる。アジュバントの投与経路、投与量、投与時期は特に限定されないが、抗原を免疫する動物において所望の免疫応答を増強できるように適宜選択することが望ましい。
【0018】
免疫に用いる動物の種類も特に限定されないが、哺乳動物が好ましく、例えばマウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどを用いることができ、より好ましくはマウスを用いることができる。動物の免疫は、一般的な手法に従って行えばよく、例えば、抗原の溶液、好ましくはアジュバントとの混合物を動物の皮下、皮内、静脈、又は腹腔内に注射することにより免疫を行うことができる。免疫応答は、一般的に免疫される動物の種類及び系統によって異なるので、免疫スケジュールは使用される動物に応じて適宜設定することが望ましい。抗原投与は最初の免疫後に何回か繰り返し行うことが好ましい。
【0019】
モノクローナル抗体を得る場合、引き続き以下の操作が行われるが、それらの操作に限定されることはなく、モノクローナル抗体それ自体の製造方法については、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1988)に記載の方法に準じて行うことができる。
【0020】
最終免疫後、免疫した動物から抗体産生細胞である脾臓細胞あるいはリンパ節細胞を摘出し、高い増殖能を有するミエローマ細胞と細胞融合させることによりハイブリドーマを作製することができる。細胞融合には抗体産生能(質・量)が高い細胞を用いることが好ましく、またミエローマ細胞は融合する抗体産生細胞の由来する動物と適合性があることが好ましい。細胞融合は、当該分野で公知の方法に従って行うことができるが、例えば、ポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などを採用することができる。得られたハイブリドーマは公知の方法に従って増殖させることができ、産生される抗体の性質を確認しつつ所望のハイブリドーマを選択することができる。ハイブリドーマのクローニングは、例えば限界希釈法や軟寒天法などの公知の方法により行うことが可能である。
【0021】
第1のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選択について説明する。
ハイブリドーマの選択は、産生される抗体が実際の測定に用いられる条件を考慮し、選択の段階で効率的に行うことができる。例えば、ELISA法、RIA法等により、インスリンに反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより得られる。具体的には、まず、培養上清中のモノクローナル抗体を、固相化したインスリンと反応させ、次いで標識抗IgG抗体を反応させる抗原固相化ELISA法により、インスリンに対し高い反応性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
このようにして選別されたハイブリドーマを大量培養することにより、所望の特性を有するモノクローナル抗体を製造することができる。大量培養の方法は特に限定されないが、例えば、ハイブリドーマを適宜の培地中で培養してモノクローナル抗体を培地中に産生させる方法や、哺乳動物の腹腔内にハイブリドーマを注射して増殖させ、腹水中に抗体を産生させる方法などを挙げることができる。モノクローナル抗体の精製は、例えば陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法などを適宜組み合わせて行うことができる。
【0022】
また、第2のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選択は、上記第1のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選択の場合における固相化したインスリンを、第1のモノクローナル抗体と結合したインスリンに置き換えた選択方法(固相化した第1のモノクローナル抗体にインスリンを結合させ、第2のモノクローナル抗体候補とのサンドイッチ形成を確認する方法)や第2のモノクローナル抗体候補を固相化し、予め第1のモノクローナル抗体とインスリンをインキュベートして形成させたインスリン−抗体複合体抗体との反応を確認する選択方法、あるいはBiacore(登録商標)T100を用いてインスリンとの反応性を示さないものを選択する方法を適宜組み合わせて確認することにより得ることができる。
【0023】
本発明の抗体としては、抗体分子全体のほかに抗原抗体反応活性を有する抗体の機能性断片を使用することも可能であり、前記のように動物への免疫工程を経て得られたもののほか、遺伝子組み換え技術を使用して得られるものや、キメラ抗体を用いることも可能である。抗体の機能性断片としては、例えば、F(ab’)2、Fab’などが挙げられ、これらの機能性断片は前記のようにして得られる抗体をタンパク質分解酵素(例えば、ペプシンやパパインなど)で処理することにより製造できる。
【0024】
また、本発明のモノクローナル抗体は、第1または第2のモノクローナル抗体のいずれか、あるいは両方を不溶性担体上に固定された固定(固相)化抗体として使用したり、後述する当業者に周知慣用の標識物質で標識した標識抗体として使用することができる。このような固定化抗体や標識抗体はいずれも本発明の範囲に包含される。例えば、不溶性担体にモノクローナル抗体を物理的に吸着させ、あるいは化学的に結合(適当なスペーサーを介してもよい)させることにより固定化抗体を製造することができる。不溶性担体としては、ポリスチレン樹脂などの高分子基材、ガラスなどの無機基材、セルロースやアガロースなどの多糖類基材などからなる不溶性担体を用いることができ、その形状は特に限定されず、板状(例えば、マイクロプレートやメンブレン)、ビーズあるいは微粒子状(例えば、ラテックス粒子、金コロイド粒子)、筒状(例えば、試験管)など任意の形状を選択できる。
【0025】
本発明の第2のモノクローナル抗体と結合可能な標識抗体、標識プロテインA又は,標識プロテインG等を用いることにより、試料中のインスリンを測定することができる。標識抗体を製造するための標識物質としては、例えば酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、又は放射性同位体、金コロイド粒子、着色ラテックスなどが挙げられる。標識物質と抗体との結合法としては、当業者に利用可能なグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、又は過ヨウ素酸法などの方法を用いることができるが、固定化抗体や標識抗体の種類、及びそれらの製造方法は前記の例に限定されることはない。例えば、パーオキシダーゼやアルカリホスファターゼなどの酵素を標識物質として用いる場合にはその酵素の特異的基質(酵素が西洋ワサビパーオキシダーゼ(以下、HRPという)の場合には、例えばO−フェニレンジアミン(以下、OPDという)あるいは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ALPの場合には、p−ニトロフェニル・ホスフェートなど)を用いて酵素活性を測定することができ、ビオチンを標識物質として用いる場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的である。
【0026】
本明細書において、「不溶性担体」を「固相」、抗原や抗体を不溶性担体に物理的あるいは化学的に担持させることあるいは担持させた状態を「固定」、「固定化」、「固相化」、「感作」、「吸着」と表現することがある。また、「検出」又は「測定」という用語は、インスリンの存在の証明及び/又は定量などを含めて最も広義に解釈する必要があり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
【0027】
本発明の抗体を用いる測定方法における検出対象の「試料」としては、主に生体(生物)由来の体液を挙げることができる。具体的には、血液(全血)、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、膵臓抽出液、涙液、耳漏又は前立腺液などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明により提供される測定用試薬(キット)の態様としては、インスリンの測定ができる試薬であれば、特に限定されるものではない。以下、代表的な標識イムノアッセイ法であるELISA法、イムノクロマトグラフ法と、代表的な粒子凝集イムノアッセイ法であるラテックス免疫凝集法(以下、LTIA法という)を例にそれぞれを説明する。
【0029】
<標識イムノアッセイ法:ELISA法>
試料中に存在するインスリンを検出するための測定用試薬(キット)の態様として、以下の要素:
(a)第1のモノクローナル抗体を固定化した固相(プレートなど)、及び
(b)標識物質で標識された第2のモノクローナル抗体、
をあげることができる。
【0030】
第1のモノクローナル抗体を固定化した固相(プレートなど)は、試料中のインスリンを捕捉してインスリン−抗体複合体を形成する。標識物質で標識された第2のモノクローナル抗体は、当該インスリン−抗体複合体に反応してサンドイッチを形成し、標識物質に応じた方法により標識物質の量を測定することにより、試料中のインスリンを測定することができる。第1のモノクローナル抗体の固相への固定化の方法、第2のモノクローナル抗体の標識物質での標識の方法など、測定試薬(キット)を構成する上での具体的な方法は本明細書中に記載された方法のほか、当業者に周知の方法を制限なく使用することができる。この構成の場合、ホモジーニアスな測定系として構成することもできるが、ヘテロジーニアスな測定系として構成することが好ましい。
【0031】
特に好適な態様として、発明〔19〕(第1のモノクローナル抗体は固相に固定化されており、第2のモノクローナル抗体は標識物質で標識されている、ELISA法によりインスリンを測定する発明〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬)をあげることができる。
【0032】
また、測定用試薬の感度や特異性を考慮して、
(a)標識物質で標識された第1のモノクローナル抗体、及び
(b)第2のモノクローナル抗体を固定化した固相(プレートなど)、
という上記とは逆の構成を採用することもできる。
この構成の場合、被検試料と標識物質で標識された第1のモノクローナル抗体含有溶液を混合し、予めインスリン−抗体複合体を溶液中で形成させておき、第2のモノクローナル抗体を固定化した固相に添加することが好ましい。この構成においては、感度の向上などを意図して、発明〔15〕(第1のモノクローナル抗体が、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体である、発明〔13〕に記載のインスリン測定試薬)のように標識物質で標識された第1のモノクローナル抗体として、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体を使用することが好適に可能である。
【0033】
特に好適な態様として、発明〔20〕(第1のモノクローナル抗体は標識物質で標識されており、第2のモノクローナル抗体は固相に固定化されている、ELISA法によりインスリンを測定する発明〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬)をあげることができる。
【0034】
<標識イムノアッセイ法:イムノクロマトグラフ法>
一般的なイムノクロマトグラフ法では、メンブレンなどのシート状の固相支持体上、長さ方向に対して、端から順番に「1.被検試料供給部位」、「2.第1のモノクローナル抗体を含む標識試薬(第1のモノクローナル抗体は金コロイド粒子などの標識物質で標識されている)を、メンブレン上において展開可能に保持した標識試薬部位」、「3.標識物質で標識された第1のモノクローナル抗体とインスリンの複合体を捕捉するための第2のモノクローナル抗体を固定化した捕捉試薬部位」を被検試料溶液が毛細管現象により連続的に移動するよう構成されている。
具体的には、まず、インスリンを含む被検試料を被検試料供給部位に所定量添加すると、試料が固相支持体を展開移動する過程で標識試薬部位に侵入し、インスリンが標識試薬(第1のモノクローナル抗体を含む)と結合しインスリン−標識試薬の複合体が形成される。インスリン−標識試薬複合体はそのままメンブレン上を展開移動し、メンブレン上の第2のモノクローナル抗体を含む捕捉試薬部位に侵入すると、固相支持体上に固定化された捕捉試薬に捕捉され、捕捉試薬(第2のモノクローナル抗体)−インスリン−標識試薬(第1のモノクローナル抗体)の複合体が捕捉試薬位置に形成される。そして、標識試薬を任意の方法(可視可能な金コロイド粒子の場合はその凝集像、酵素の場合は基質を添加することによる発色反応)で検出することで、被分析物質の存在を判定することができる。
なお、理解を容易にするため、「1.被検試料供給部位」と「2.第1のモノクローナル抗体を含む標識試薬(第1のモノクローナル抗体は金コロイド粒子などの標識物質で標識されている)を、メンブレン上において展開可能に保持した標識試薬部位」を、独立して被検試料の移動方向順に記載したが、上から「1」、「2」の順で積み上げられた構造など、当業者に周知の態様・構成が採用されうることを当業者は当然に理解することができる。
【0035】
イムノクロマトグラフ法においては、被検試料が「2.第1のモノクローナル抗体を含む標識試薬(第1のモノクローナル抗体は金コロイド粒子などの標識物質で標識されている)を、メンブレン上において展開可能に保持した標識試薬部位」を通過する時点で、インスリン−抗体複合体が形成させるので、前記ELISA法と同様に感度の向上などを意図して、発明〔15〕(第1のモノクローナル抗体が、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体である、発明〔13〕に記載のインスリン測定試薬)のように標識物質で標識された第1のモノクローナル抗体として、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体を使用することが好適に可能である。
【0036】
イムノクロマトグラフ法の測定試薬の特に好適な態様として、発明〔20〕(第1のモノクローナル抗体は標識物質で標識されており、第2のモノクローナル抗体は固相に固定化されている、イムノクロマトグラフ法によりインスリンを測定する発明〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬)をあげることができる。
【0037】
<粒子凝集イムノアッセイ法:LTIA法>
試料中に存在するインスリンを検出するための測定用試薬(キット)のA〜Dの4態様として、それぞれ少なくとも以下の要素:
A.(a)第1のモノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子及び(b)第2のモノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子
B.(a)第1のモノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子及び(b)第2のモノクローナル抗体
C.(a)第1のモノクローナル抗体及び(b)第2のモノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子
D.(a)第1のモノクローナル抗体及び第2のモノクローナル抗体の両抗体を固定化したラテックス粒子
をあげることができる。
【0038】
これらの測定用試薬(キット)はLTIA法に好適に使用できる。A〜Dに使用されるラテックス粒子は、感度向上などの所望の性能を得るため、粒子径や種類を適宜選択することができる。ラテックス粒子としては、抗原あるいは抗体の担持に適したものであれば良い。例えば、ポリスチレン、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ラテックス粒子の形状は特に限定されないが、その平均粒子径は、ラテックス粒子表面の抗体又は抗原と測定対象物との凝集反応の結果生じる凝集体が、肉眼又は光学的に検出できるに十分な大きさを有することが好ましい。好ましい平均粒子径としては0.02〜1.6μmであり、特に0.03〜0.5μmが好ましい。また、金属コロイド、ゼラチン、リポソーム、マイクロカプセル、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなる粒子をラテックス粒子に代えて使用することもできる。
【0039】
例えば、臨床検査で使用されるLTIA法の試薬は、通常、第一試液、第二試液の形態で提供され、順次被検試料と混合して使用される。上記A〜Dの各態様における、(a)、(b)は、その両方又は一方を、第一試液あるいは第二試液に含有させることができる。これらの含有のさせかたは、臨床検査における測定機器の仕様や測定試薬の設計(性能や使い易さなど)を考慮し、適宜選択しうる。一般にはAの態様の(a),(b)の両方を第二試液に含有させることが好適であるが、Aの態様の(a)を第一試液、(b)を第二試液に含有させることなども好適に使用しうる。
【0040】
特に好適な態様として、発明〔18〕(第1のモノクローナル抗体及び第2のモノクローナル抗体が、ラテックスにそれぞれ固定化されており、ラテックス免疫凝集法によりインスリンを測定する発明〔13〕,〔15〕,〔16〕,〔17〕のいずれかに記載のインスリン測定試薬)をあげることができる。
【0041】
以上、本発明の代表的な態様である発明〔3〕を例として、本発明を実施するための形態を説明したが、「インスリン−抗体複合体」に対する抗体を使用することを限度として、例えば発明〔4〕のように、第1の抗体にポリクローナル抗体を使用することや、発明〔5〕のように、第1の抗体に、互いに認識部位が異なる2以上のモノクローナル抗体を使用することなど、本発明が種々の態様をとりうることを当業者は当然に理解することができる。
【0042】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
〔試験例1〕本発明のモノクローナル抗体の製造方法
1.免疫用抗原の調製
ヒトインスリン(Fitzgerald社製 30−AI51)をコンプリートフロインドアジュバント(Wako社製)と1:1で混合後、連結シリンジを用いてエマルジョンを作製し、免疫用抗原とした。
【0044】
2.ハイブリドーマの作製
上記、免疫用抗原を雌のBALB/cマウスの背部皮下に注入した(1匹当たり20〜50μg)。この操作(免疫)を1週間毎に2回繰り返した。免疫開始3週間後、試験採血にて高い抗体価が確認されたマウスから脾臓を摘出し、50%−PEG1450(シグマ社製)を用いた常法により細胞融合を行った。ミエローマ細胞はSP2/Oを用いた。得られた融合細胞は、脾臓細胞として2.5×106個/mLになるようにHAT、15%ウシ胎児血清及び10%のBM−Condimed H1 Hybridoma Cloning Supplement(Roche社製)を含むRPMI1640培地に懸濁し、96穴培養プレートに0.2mLずつ分注した。これを5%CO2インキュベーター中で37℃にて培養した。
【0045】
3.第1のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
細胞融合7日後に1次スクリーニングとして、培養上清を用いて後述する抗原固相化ELISA法を行い、インスリンに対し高い反応性を示したwellを1次陽性wellとして選別した。該1次陽性well中の細胞は、24穴プレートにおいて継代した。継代2日後、2次スクリーニングとして、培養上清を用いて後述する競合ELISA法を行い、インスリンに対し高い反応性を示すwellを2次陽性wellとして選択した。
3−1.抗原固相化ELISA用プレートの作製
150mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2;以下、PBSという)で1μg/mLの濃度に調製したインスリンをスクリーニング用抗原として、50μL/wellずつ96穴プレートに固相化し、4℃で一晩静置した。0.05%Tween(登録商標)20及び0.1%プロクリン300(SUPELCO社製)を含むPBS溶液(以下、PBSTという)400μL/wellで3回洗浄後、1%BSAを含むPBST(以下、BSA-PBSTという)を100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行い、ELISA用プレートを作製した。該ELISA用プレートは、PBSTで3回洗浄後、各試薬を添加して実施例記載の各ELISA法試験に用いた。
3−2.抗原固相化ELISA法
(i)抗原固相化したELISA用プレートに、BSA−PBSTにより段階希釈した各マウス抗血清、あるいは融合細胞の培養上清を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(ii)PBSTで3回洗浄後、HRP−Gt F(ab’)2−Anti−Mouse Ig’s(BIOSOURCE社製 AMI4404)をBSA−PBSTで5000倍希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iii)PBSTで3回洗浄後、0.02%過酸化水素水を含む0.2Mクエン酸緩衝液(以下、基質溶解液という)にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLにて溶解し、50μL/wellずつ添加して室温で1時間静置した。
(iv)1mM EDTAを含む1.5N硫酸(以下、反応停止液という)を50μL/wellずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
3−3.競合ELISA法
(i)抗原固相化したELISA用プレートにヒトインスリン(Fitzgerald社製30−AI51)をBSA−PBSTで各0μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mLに希釈した溶液を25μL/wellずつ分注した。
(ii)次いで、BSA−PBSTで各5倍、25倍に希釈した融合細胞の培養上清あるいはその原液を25μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iii)以降の操作は、前記3−2.抗原固相化ELISA法の工程(ii)〜(iv)と同様に行った。
【0046】
4.第2のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
細胞融合7日後に、培養上清を用いて後述のサンドイッチELISA法を行い、後述のクローニング及びモノクローナル抗体採取にて、予め採取したF(ab’)2処理化した第1のモノクローナル抗体と結合させたインスリンに対し高い反応性を示すwellを選択した。
4−1.サンドイッチELISA法
(i)Immuno Pure(登録商標) F(ab’)2 Preparation Kit(PIERCE社製 Prod#44888)を使用して第1のモノクローナル抗体(ここでは66221抗体)をF(ab’)2処理化した。
(ii)PBS溶液に2μg/mLの濃度に調製したF(ab’)2処理化済み第1のモノクローナル抗体を50μL/wellずつ96穴プレートに固相化し、4℃で一晩静置した。PBST400μL/wellで3回洗浄後、BSA-PBSTを100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行い、ELISA用プレートを作製した。
(iii)ELISA用プレートに、ヒトインスリン(Fitzgerald社製 30−AI51)をBSA−PBSTで0.5μg/mLに希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iv)PBSTで3回洗浄後、BSA−PBSTで段階希釈した融合細胞の培養上清を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(v)PBSTで3回洗浄後、HRP−Gt−Anti−Mouse IgG−Fc(BETHYL LABORATORIES社製 A90―131P)をBSA−PBSTで10000倍希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(vi)PBSTで3回洗浄後、基質溶解液にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLにて溶解し、50μL/wellずつ添加して室温で1時間静置した。
(vii)反応停止液を50μL/wellずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
5.クローニング及びモノクローナル抗体採取
上記3.及び4.のスクリーニングで選択したハイブリドーマを限界希釈法にてクローニングし、それぞれハイブリドーマ66221、66226を得た。次いで各ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体を採取するため、2週間前にプリスタン0.5mLを腹腔内に注射しておいた12週齢の雌BALB/cマウスに、ハイブリドーマを細胞数0.5×106個の量で腹腔内に投与した。14日後に腹水を採取し、遠心処理して上清を得た。上清を等量の吸着用緩衝液(3mol/L NaCl、1.5mol/L Glycine−NaOH緩衝液、pH8.5)と混和後、ろ過した。該ろ液を、吸着用緩衝液で平衡化したプロテインAセファロースカラムに通し、ろ液中の抗体をカラムに吸着させた後、0.1mol/Lクエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出させた。該溶出液を、1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で中和後、PBSで透析を行い、抗体を採取した。
以下、66221抗体、66226抗体としてそれぞれ試験に用いた。
【0047】
66221抗体及び66226抗体を産生するハイブリドーマは、出願人によって独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に2009年4月8日に寄託手続がされ、受託番号(FERM P−21800、FERM P−21801)が付与され、その後2010年2月17日に原寄託に基づくブタペスト条約に基づく寄託へ移管され、受託番号(FERM BP−11233、FERM BP−11234)が付与されている。
【0048】
〔試験例2〕本発明のモノクローナル抗体のプロインスリン及びインスリン類似化合物との交差反応性
66221抗体及び66226抗体のプロインスリン及びインスリン類似化合物との交差反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いて試験を行った。インスリン類似化合物としては、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミルなどのインスリンアナログ製剤を用いた。
1.試薬及び器具
1−1.モノクローナル抗体
(i)66221抗体:2.30mg/mL
(ii)66226抗体:3.99mg/mL
1−2.アナライト
(i)リコンビナントヒトインスリン:Fitzgerald社製 30−AI51
(ii)プロインスリン:IRR社製 Proinsulin, Human, for Immunoassay, NIBSC code: 84/611
(iii)インスリンアナログ製剤
(1)インスリンリスプロ100単位/mL:日本イーライリリー社製、
(2)インスリンアスパルト100単位/mL:ノボノルディスクファーマ社製
(3)インスリングラルギン100単位/mL:サノフィ・アベンティス社製
(4)インスリンデテミル100単位/mL:ノボノルディスクファーマ社製
1−3.Biacore(登録商標)機器及び専用試薬類一式(Biacore社製:現GE Healthcare社製、次の(i)〜(viii)はBiacore社製当時の製品及びカタログNo.であるが、現在はGE Healthcare社より入手可能である。)
(i)Biacore(登録商標) T100:Biacore社製 JJ−1037−02
(ii)Series S Sensor Chip CM5:Biacore社製 BR−1005−30
(iii)Amine Coupling Kit:Biacore社製 BR−1000−50
(iv)Acetate 5.0:Biacore社製 BR−1003−51
(v)α−Mouse Immunoglobulins:Biacore社製 BR−1005−14
(vi)Glycine 1.5:Biacore社製 BR−1003−54
(vii)Glycine 2.0:Biacore社製 BR−1003−55
(viii)HBS−EP+ 10×(ランニングバッファー):Biacore社製 BR−1006−69(使用時、NaOHでpH8.5に調製後、精製水にて10倍希釈して用いる。)
【0049】
2.試験方法
Sensor Chipに固定化したα−Mouse Immunoglobulinsに66221抗体あるいは66226抗体をキャプチャーさせ、アナライトとしてインスリン、プロインスリン、各種インスリンアナログ製剤を添加することでそれぞれの反応性を評価した。具体的な操作手順は以下のとおりである。
(i)Sensor Chip CM5にα−Mouse Immunoglobulinsを固定化した(付属の取扱説明書に従った)。
(ii)HBS−EP+ (pH8.5)で66221抗体あるいは66226抗体を5μg/mLとなるよう希釈し、流速30μL/minで300秒間添加した。
(iii)HBS−EP+ (pH8.5)で各種抗原を10ng/mLに希釈し、0ng/mL、10ng/mLの2濃度につき各120秒間添加した。またその際にフリーランニングによる解離時間を120秒間と設定した。
(iv)Glycine 1.5とGlycine 2.0を1:1で混合して再生溶液とし、再生処理を180秒間行った。
【0050】
3.結果
3−1.インスリンとの反応結果
66221抗体及び66226抗体について、Biacore(登録商標)T100を用いてインスリンとの反応性を確認した。結果を図2及び図3に示す。インスリン濃度10ng/mLにおいて、66221抗体では8.5RUの反応性が認められた(図2)。一方、66226抗体では全く反応性が認められなかった(図3)。なお、縦軸「RU」とはBiacore(登録商標)測定系における独自の単位を示しており、センサー表面上での反応による質量変化を表している。
【0051】
3−2.プロインスリン及びインスリンアナログ製剤との反応結果
66221抗体及び66226抗体について、Biacore(登録商標)T100を用いてプロインスリンあるいは各種インスリンアナログ製剤(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル)との反応性を確認した。結果を図4−1、図4−2、図5−1及び図5−2に示す。抗原濃度10ng/mLにおいて、66221抗体ではいずれも5.5〜13RUのレスポンスが認められた。一方、66226抗体では全く反応性が認められなかった。
【0052】
〔実施例1〕本発明のモノクローナル抗体の組み合わせによるインスリンの測定1<LTIA法>
1.ラテックス粒子の作製
攪拌機、還流用冷却器、温度検出器、窒素導入管及びジャケットを備えたガラス製反応容器 (容量2L) に、蒸留水1100g、スチレン200g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.2g、及び、蒸留水50gに過硫酸カリウム1.5gを溶解した水溶液を仕込み、容器内を窒素ガスで置換した後、70℃で攪拌しながら48時間重合した。
重合終了後、上記溶液をろ紙にてろ過処理し、ラテックス粒子を取り出した。得られたラテックス粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡装置 (日本電子社製、「JEM−1010型」) を用いて10000倍の倍率でラテックス粒子を撮影し、最低100個以上の粒子について画像解析することにより平均粒子径を測定した。得られた平均粒子径は0.3μmであった。
【0053】
2.抗インスリン抗体感作ラテックス粒子の調製
2−1.66221抗体感作ラテックス粒子溶液の作製
平均粒子径0.3μmの1.0%ラテックス溶液(5mM トリス緩衝液(以下、Tris−HClという)(pH8.5)に、等量の5mM Tris−HCl(pH8.5)で0.60mg/mLに希釈した66221抗体溶液を添加して4℃2時間攪拌した。その後、等量の0.5%BSA含有5mM Tris−HCl(pH8.5)を添加して4℃1時間攪拌した。次に、これを遠心して上清を除去後、沈殿を5mM Tris−HCl(pH8.5)で再懸濁し、66221抗体感作ラテックス粒子溶液を作製した。
2−2.66226抗体感作ラテックス粒子溶液の作製
平均粒子径0.3μmのラテックスを用いて上記と同じ方法により66226抗体感作ラテックス粒子溶液を作製した。
【0054】
3.試薬の調製
3−1.第一試薬の調製
500mMの塩化ナトリウム及び0.2%BSAを含む5mM Tris−HCl(pH8.5)を調製し第一試薬とした。
3−2.第二試薬の調製
66221抗体感作ラテックス粒子溶液及び66226抗体感作ラテックス粒子溶液を等量混合し、5mM Tris−HCl(pH8.5)で波長600nmでの吸光度が5.0Absとなるように希釈して第二試薬とした。
【0055】
4.測定方法
第一試薬と第二試薬を組合せ、日立7170形自動分析装置を用いてインスリン濃度依存的な粒子凝集塊の形成を確認した。具体的には、濃度0μU/mL、5μU/mL、25μU/mL、50μU/mL、100μU/mL、200μU/mLのインスリン溶液10μLに、第一試薬150μLを加えて37℃で5分間加温後、第二試薬50μLを加えて攪拌した。その後5分間の凝集形成に伴う吸光度変化を、主波長570nm、副波長800nmにて測定した。
【0056】
【表1】

【0057】
5.測定結果
表1よりインスリン濃度依存的に感度が上昇し定量が可能であることが確認された。
【0058】
〔実施例2〕本発明のモノクローナル抗体の組み合わせによるインスリンの測定2<ELISA法>
66221抗体及び66226抗体をそれぞれ固相化し、2次抗体としてそれぞれ別の抗体を組み合わせてインスリン、プロインスリン及びインスリン類似化合物の反応性についてELISA法を用いて試験を行った。
1.使用した抗体及び抗原種
(1)モノクローナル抗体
66221抗体:2.30mg/mL
66226抗体:3.99mg/mL
(2)抗原種
インスリン、プロインスリン、インスリンアナログ製剤(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル)は、試験例2と同じものを用いた。
【0059】
2.ELISA測定方法
(i)PBSに66221抗体あるいは66226抗体を2μg/mLに希釈した溶液を96穴プレートに50μL/wellずつ固相化し、室温で2時間静置した。
(ii)PBST400μL/wellで3回洗浄後、BSA−PBSTを100μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行い、ELISA用プレートを作製した。
(iii)ELISA用プレートに、ヒトインスリン、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤をBSA−PBSTで各0ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mLに希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(iv)PBSTで3回洗浄後、ビオチン標識化した66221抗体あるいは66226抗体をBSA−PBSTで1μg/mLに希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(v)PBSTで3回洗浄後、Immuno Pure(登録商標)Streptavidin,HRP Conjugated(PIERCE社製 Prod#21126)をBSA−PBSTで5000倍に希釈した溶液を50μL/wellずつ分注し、室温で1時間静置した。
(vi)PBSTで3回洗浄後、基質溶解液にOPD(東京化成工業社製)を2mg/mLにて溶解し、50μL/wellずつ添加して室温で1時間静置した。
(vii)反応停止液を50μL/wellずつ添加し、タイターテック(登録商標)マルチスキャンプラスMKII(Flow Laboratories社製)を用いて波長492nmにて吸光度を測定した。
【0060】
3.結果
3−1.66221抗体固相化プレート測定結果
試験結果を表2及び図6に示す。
66221抗体を1次抗体、66226抗体を2次抗体とした場合、インスリンでは濃度依存的な吸光度の上昇が認められたものの、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル)では濃度依存的な吸光度の上昇がまったく認められなかった。
【0061】
【表2】

【0062】
3−2.66226抗体固相化プレート測定結果
試験結果を表3及び図7に示す。
66226抗体を1次抗体、66221抗体を2次抗体とした場合、インスリン、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤(インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル)のいずれに対しても濃度依存的な吸光度の上昇が全く認められなかった。
【0063】
【表3】

【0064】
4.考察
前記結果より、66221抗体を1次抗体、66226抗体を2次抗体とした場合、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤とは交差反応性を示さないことから、それらの影響を受けずにインスリンのみを定量できることがわかる。また、66226抗体を1次抗体、66221抗体を2次抗体とした場合には、インスリンを測定できなかったことから、66226抗体は、インスリンとは反応性を示さず、66221抗体が結合したインスリンと反応することがわかる。一方、前記試験例2のBiacore(登録商標)T100を用いた本発明のモノクローナル抗体の交差反応性試験結果では、66221抗体は、インスリン、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤のいずれとも反応するものの、66226抗体では、それらいずれとも反応しなかった。
これらのことから、本測定系の反応機序としては、66221抗体が先にインスリンに結合することで、インスリンに何らかの構造変化が起こり、66226抗体は当該構造変化部位を特異的に認識することでサンドイッチが成立するものと考えられる。
【0065】
〔試験例3〕本発明のモノクローナル抗体のインスリン類似化合物との交差反応性
66221抗体及び66226抗体のインスリン類似化合物との交差反応性についてBiacore(登録商標)T100を用いて試験を行った。インスリン類似化合物として、インスリンアナログ製剤であるインスリングルリジンを用いた。
1.試薬及び器具
1−1.モノクローナル抗体
(i)66221抗体:2.30mg/mL
(ii)66226抗体:3.99mg/mL
1−2.アナライト
インスリンアナログ製剤
(i)インスリングルリジン 100単位/mL:サノフィ・アベンティス社製
1−3.Biacore(登録商標)機器及び専用試薬類一式
Biacore(登録商標)機器及び専用試薬類一式は、試験例2と同じものを用いた。
【0066】
2.試験方法
アナライトとしてインスリンアナログ製剤であるインスリングルリジンを用いた以外は試験例2に記載の方法と同様に行った。
【0067】
3.結果
3−1.インスリンアナログ製剤との反応結果
66221抗体及び66226抗体について、Biacore(登録商標)T100を用いてインスリンアナログ製剤・インスリングルリジンとの反応性を確認した。結果を図8に示す。66221抗体及び66226抗体のいずれも全く反応性が認められなかった。なお、縦軸「RU」とはBiacore(登録商標)測定系における独自の単位を示しており、センサー表面上での反応による質量変化を表している。
【0068】
〔実施例3〕本発明のモノクローナル抗体の組み合わせによるインスリンの測定3<ELISA法>
66221抗体及び66226抗体をそれぞれ固相化し、2次抗体としてそれぞれ別の抗体を組み合わせてインスリン、プロインスリン及びインスリン類似化合物の反応性についてELISA法を用いて試験を行った。
1.使用した抗体及び抗原種
(1)モノクローナル抗体
66221抗体:2.30mg/mL
66226抗体:3.99mg/mL
(2)抗原種
インスリン、プロインスリン、インスリンアナログ製剤(インスリングルリジン)。
【0069】
2.ELISA測定方法
インスリンアナログ製剤としてインスリングルリジンを用いた以外は、すべて実施例2と同様の方法で行った。
【0070】
3.結果
3−1.66221抗体固相化プレート測定結果
試験結果を表4及び図9に示す。
実施例2と同様、66221抗体を1次抗体、66226抗体を2次抗体とした場合、インスリンでは濃度依存的な吸光度の上昇が認められたものの、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤(インスリングルリジン)では濃度依存的な吸光度の上昇がまったく認められなかった。
【0071】
【表4】

【0072】
3−2.66226抗体固相化プレート測定結果
試験結果を表5及び図10に示す。
実施例2と同様、66226抗体を1次抗体、66221抗体を2次抗体とした場合、インスリン、プロインスリン及びインスリンアナログ製剤(インスリングルリジン)のいずれに対しても濃度依存的な吸光度の上昇が全く認められなかった。
【0073】
【表5】

【0074】
4.考察
前記結果より、66221抗体を1次抗体、66226抗体を2次抗体とした場合、66226抗体を1次抗体、66221抗体を2次抗体とした場合のいずれも、インスリンアナログ製剤・インスリングルリジンとは交差反応性を示さないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のモノクローナル抗体によれば、プロインスリン及びインスリン類似化合物の影響を受けずに、感度の高い、正確なインスリン測定が可能となった。また、本発明によれば、β細胞からのインスリン分泌を正確に把握できることから、糖尿病の病態把握に用いることもでき、非常に有用である。
【受託番号】
【0076】
(1)FERM BP−11233
(2)FERM BP−11234
【0077】
[寄託生物材料への言及]
(1)66221抗体を産生するハイブリドーマ66221
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年4月8日(2009年4月8日)(原寄託日)
平成22年2月17日(2010年2月17日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11233
(2)66226抗体を産生するハイブリドーマ66226
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成21年4月8日(2009年4月8日)(原寄託日)
平成22年2月17日(2010年2月17日)(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−11234

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の性質を有するモノクローナル抗体を含むことを特徴とするインスリン測定試薬。
1)抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しない
2)前記1)の抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する
【請求項2】
2)の性質が、1)の抗インスリン抗体が結合したことによって起きるインスリンの構造の変化を認識する性質である、請求項1に記載のインスリン測定試薬。
【請求項3】
1)の抗インスリン抗体が、受託番号FERM BP−11233で国際寄託されたハイブリドーマ66221である請求項1または2に記載のインスリン測定試薬。
【請求項4】
以下の性質を有することを特徴とする、モノクローナル抗体。
1)抗インスリン抗体が結合していないインスリンとは反応しない
2)前記1)の抗インスリン抗体が結合したインスリンとは反応する
【請求項5】
2)の性質が、1)の抗インスリン抗体が結合したことによって起きるインスリンの構造の変化を認識する性質である、請求項4に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
1)の抗インスリン抗体が、受託番号FERM BP−11233で国際寄託されたハイブリドーマ66221である請求項4または5に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
さらに、プロインスリンおよびインスリン類似化合物のいずれとも反応しないという性質を有する請求項4〜6のいずれかに記載のモノクローナル抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237442(P2011−237442A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149985(P2011−149985)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2010−546566(P2010−546566)の分割
【原出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(390037327)積水メディカル株式会社 (111)
【Fターム(参考)】