説明

インターネットファクシミリ装置

【課題】インターネットファクシミリ送信を分割して行う場合に、電子メールのメッセージIDの重複を無くし、かつ分割送信内の順序がメッセージIDから判明するようにする。
【解決手段】原稿を1ページ読み取る毎にメッセージIDを作成し、かつメッセージIDを、時刻、ジョブ番号、キュー番号の他にページ番号から作成する。分割送信する複数の電子メールに、分割順序を示すデータを付加したメッセージIDを付与するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はインターネットファクシミリ装置に関し、特にファクシミリデータを分割送信する際の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットファクシミリ送信では送信側のメモリの節約のためなどに、1つの画像データあるいは1つの画像ファイルを複数の電子メールに分割して送信することがある。分割送信では、インターネットファクシミリ送信用の電子メールのヘッダの所定の個所に、総ページ数とページ番号とを記載することが知られている(特許文献1)。そしてこの場合に、複数の電子メール間で、メッセージIDが同一になることがある。例えばメッセージIDを時刻情報を含むように作成し、時刻情報で複数の電子メールを区別するようにすると、時刻情報が秒までの単位やこれよりも粗い単位の場合、同じ時刻に複数の分割メールが生成されることがある。この場合メッセージIDは複数の分割メール間で共通となる。分割送信以外の場合、例えば1秒以内に複数の電子メールを作成することは通常は有り得ない。そしてメッセージIDは電子メールを特定するための基本的なデータなので、メッセージIDが重複すると、送受信の管理上問題がある。
【特許文献1】特開平10−322506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、インターネットファクシミリ送信を分割して行う場合に、メッセージIDの重複を無くし、かつ分割送信内での順序がメッセージIDから判明するようにすることにある。
請求項2の発明での追加の課題は、原稿を全ページ読み取る前に送信を開始でき、しかも最終ページであることが受信側で判明するようにすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、メッセージIDの重複を防止するための具体的な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、1つの画像データ、即ち1つの原稿画像に対する画像データやインターネットファクシミリ送信を依頼された1つのファイルの画像データを分割し、複数の電子メールとしてインターネットファクシミリ送信するための分割送信手段と、電子メールに時刻情報を含むメッセージIDを付与するためのメッセージID付与手段とを備えた、インターネットファクシミリ装置において、分割送信する複数の電子メールに、分割順序を示すデータを付加したメッセージIDを付与するためのメッセージID付与手段を設けたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、画像データを所定ページ数、例えば1ページ取得する毎に、メッセージID付与手段でメッセージIDを付与し、分割送信手段で電子メールを送信するようにすると共に、前記画像データの最後のページを取得した際に、メッセージID付与手段で最後の分割送信であることを示すデータを付加したメッセージIDを付与する。
【0006】
特に好ましくは、メッセージID付与手段では、メッセージIDを前記時刻情報とジョブ番号、送信キュー番号及びページ番号から作成する。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、分割送信される複数の電子メールに、分割の順序を示すメッセージIDを付与するので、秒までの単位の時刻情報を用いてメッセージIDを作成する場合でも、分割メール間でメッセージIDが同一になることがない。このため分割送信した電子メールの一部が未着になった場合にどの電子メールが未着なのかを特定でき、また受信した複数の電子メールを並べて送信された画像ファイルを復元するのも容易になる。さらに受信ジャーナルや送信ジャーナルにメッセージIDが共通の電子メールが記載されることが無くなり、ジャーナルの管理上も便利で、メッセージIDをチェックメッセージに利用できる。
【0008】
ここで画像データを所定ページ数取得する毎に、分割の順序付きのメッセージIDを送信すると、画像データ全体を取得する前に送信を開始できるので、インターネットファクシミリ装置のメモリを節約できる。そして画像の最終部分を取得して送信する際に、分割送信の最後であることを示すデータをメッセージIDに付与すると、受信側では最後の電子メールを受信したことを認識できる。
さらにメッセージIDを、時刻情報とジョブ番号、及び送信キュー番号並びにページ番号から作成すると、分割送信での順序を示すデータを付加したメッセージIDを簡単に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0010】
図1〜図3に、実施例のインターネットファクシミリ装置2,3を示す。4は送信側のLANで、6はメールサーバで、8はゲートウェイである。10はインターネットで、受信側のLAN12に同様のゲートウェイ14とメールサーバ16並びにインターネットファクシミリ装置2と同様のインターネットファクシミリ装置3を接続する。なお、インターネットファクシミリ装置2,3にメールサーバ機能を設ける場合、メールサーバ6,16は不要である。
【0011】
インターネットファクシミリ装置2の構成を説明すると、20は主制御部で、インターネットファクシミリ装置2の最上位のコントローラである。22はユーザインターフェースで、インターネットファクシミリ装置2の操作上のユーザのマニュアル入力を受け付け、特に複数ページから成る原稿を読み取ってインターネットファクシミリ送信する際に、分割送信するか否かの入力を受け付ける。24はプリンタ、26はスキャナで、28はハードディスクやRAMなどのメモリで、30は分割送信処理部である。分割送信処理部30は、スキャナ26で読み取った複数ページから成る原稿、あるいはLAN4に接続されたクライアントから送信された複数ページから成る原稿などに対し、ユーザインターフェース22やクライアントからの指示に従い、1つのファイルを複数ファイルに分割し、複数の電子メールとして送信する。
【0012】
32はLANインターフェースで、LAN4に接続されたクライアントからの分割送信の指示等は、ユーザインターフェース22ではなく、LANインターフェース32で受け付ける。またLANインターフェース32は、送信キュー34(送信の待ち行列)を1〜複数備えて送信ジョブを収容し、所定の順序で実行する。LANインターフェース32のヘッダ作成部36は送信する電子メールのヘッダを作成し、分割送信を行う際にメッセージIDに分割送信のページ数を追加し、分割送信の最後の電子メールには分割送信の最後であることを示すデータを追加する。なお電子メールの本文あるいは添付ファイルは、スキャナ26で読み取った原稿やクライアントから受信した画像である。MDN処理部38では、受信した電子メールに対するMDN(既読通知)が要求されている場合に、受信した電子メール中のメッセージIDを記載したMDNを作成する。このようにしてインターネットファクシミリの分割送信を受けると、分割送信中のどの電子メールを受信したのかを特定したMDNを作成する。
【0013】
図2に実施例での分割送信のアルゴリズムを示す。ユーザは分割送信(クイック送信)を行うかどうかを、ユーザインターフェースやクライアント端末などから指定する(ステップ1)。分割送信を行わない場合、送信原稿の全ページをスキャンし(ステップ2)、現在時刻とジョブ番号並びに送信キューの番号からメッセージIDを作成し(ステップ3)、マルチページの1通の電子メールとして送信する(ステップ4)。
【0014】
分割送信を行う場合、例えば1ページ単位で分割送信し、1ページスキャンする毎に(ステップ5)、現在時刻とジョブ番号並びに送信キューの番号とページ番号から、メッセージIDを作成する(ステップ6)。そしてスキャンした原稿を1ページ添付した電子メールを送信し(ステップ7)、これを最終ページまで繰り返し(ステップ8)、最終ページでは”end”などの最終ページであることを示す記号や、例えば3ページから成る原稿に対して”/3”等の総ページ数を示すデータを追加する。分割送信は主としてメモリの節約を目的とするから、例えば1ページスキャンする毎に送信し、全ページスキャンしてから送信するようなことは行わない。
【0015】
図3に分割送信でのメッセージIDの例を示す。例えば2005年6月6日10時8分52秒からスキャンを開始したものとする。ここで、スキャンする原稿全体に対するインターネットファクシミリ送信のジョブ番号が5671で、送信キューの番号が1番であるとする。この場合、高速のスキャナを用いると、読み込みタイミングによっては、複数のページに対して同一の時刻に読み込みを完了することがあり、ジョブ番号やキュー番号は共通なので、そのままではメッセージIDも同一になる。これに対して実施例では、1つのジョブ内でのベージ番号、例えば”P001”などをメッセージIDに付加する。途中のページまでスキャンした段階では総ページ数は不明なので、”1/3”などの何ページ中の何枚目のページであるかのデータは付加しない。そして最終ページであることは、例えばスキャナで次の原稿用紙を検出できないことから判明し、この場合、ページ番号の後に最終ページであることを示すデータ、例えば”end”を付加する。
【0016】
ここでは原稿1ページ単位で分割送信するものとしたが、複数ページ単位で分割送信しても良い。また分割送信はスキャナで読み取った原稿に限らず、クライアントからLANを介して転送された原稿に対して行っても良い。またメッセージIDの作成に用いる時刻はID作成時の時刻である。実施例では、時刻とジョブ番号、キュー番号とページ数とからメッセージIDを作成したが、少なくとも時刻を用いることの他は、メッセージIDの作成手法自体は任意である。
【0017】
実施例では、分割送信した複数の電子メール間で、メッセージIDが重複することがないので、メッセージIDによりどの電子メールかを一意に特定できる。さらにメッセージIDにページ番号を付加するので、分割して受信した電子メールから元の原稿画像を復元するのも容易である。またメッセージIDが重複することがないので、送信側や受信側のジャーナルの管理が容易で、チェックメッセージとしてメッセージIDを利用する際にも便利である。また未着の分割メールがあれば、受信側で容易に検出でき、MDNを要求しておくことにより、送信側でもどのページがメールボックスから取り出されたかを知ることができる。さらに最後の電子メールに対してその旨の記号を付加するので、最後の部分の画像を受信したことや総ページ数も判明する。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例のインターネットファクシミリのブロック図
【図2】実施例でのメッセージIDの作成とインターネットファクシミリ送信とのアルゴリズムを示すフローチャート
【図3】実施例でのメッセージIDの作成例を模式的に示す図
【符号の説明】
【0019】
2,3 インターネットファクシミリ装置
4 送信側LAN
6,16 メールサーバ
8,14 ゲートウェイ
10 インターネット
12 受信側LAN
20 主制御部
22 ユーザインターフェース
24 プリンタ
26 スキャナ
28 メモリ
30 分割送信処理部
32 LANインターフェース
34 送信キュー
36 ヘッダ作成部
38 MDN処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの画像データを分割し複数の電子メールとしてインターネットファクシミリ送信するための分割送信手段と、電子メールに時刻情報を含むメッセージIDを付与するためのメッセージID付与手段とを備えた、インターネットファクシミリ装置において、
前記メッセージID付与手段を、分割送信する複数の電子メールに、分割順序を示すデータを付加したメッセージIDを付与するように構成したことを特徴とする、インターネットファクシミリ装置。
【請求項2】
前記画像データを所定ページ数取得する毎に、メッセージID付与手段でメッセージIDを付与し、分割送信手段で電子メールを送信するようにすると共に、
前記画像データの最後のページを取得した際に、メッセージID付与手段で最後の分割送信であることを示すデータを付加したメッセージIDを付与するようにしたことを特徴とする、請求項1のインターネットファクシミリ装置。
【請求項3】
メッセージID付与手段では、メッセージIDを前記時刻情報とジョブ番号、送信キュー番号及びページ番号から作成するようにしたことを特徴とする、請求項2のインターネットファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−36414(P2007−36414A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213745(P2005−213745)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】