説明

インターポーザーの実装方法および実装装置

【課題】 インターポーザーのアンテナ形成済シートへの実装作業を連続的にかつ確実に行うことができるインターポーザーの実装方法および実装装置を提供すること。
【解決手段】 第1非導電層11と、拡大電極12,12と、ICチップ13とを有するインターポーザー10を準備する。第2非導電層21と、複数のアンテナ22とを有し、帯状に延びるアンテナ形成済シート20の各アンテナ22上にインターポーザー10を順次載置する。回転押圧体40と受け部材60との間でアンテナ形成済シート20およびインターポーザー10を連続的に移動させながら挟圧するとともに、回転押圧体40の内部にある固定ヒータ45により加熱された回転加熱部47によって第1非導電層11を融解し、インターポーザー10の拡大電極12,12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とを接合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行うことができる非接触ICタグを有する非接触ICタグ付きシートを製造するためのインターポーザーの実装方法および実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行う非接触ICタグは、ICチップとアンテナを有しており、このような非接触ICタグは基材シートに設けられ、このようにして非接触ICタグ付きシートが得られる。この場合、予めICチップと一対の拡大電極とを有するインターポーザーを準備しておき、このインターポーザーを基材シートのアンテナ上に実装することにより非接触ICタグ付きシートを製造する方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述のように、インターポーザーは一対の拡大電極と、これらの拡大電極に接合されたICチップとを有しており、インターポーザーの各拡大電極はアンテナの異なる接点に電気的に接続されている。また、アンテナの形状は、ICタグとリーダ・ライタとの間でデータの送受信を行う際の電磁波の周波数によって決定される。
【0004】
なお、リーダ・ライタとデータを送受信する際に用いられる電磁波の周波数によっては、インターポーザー自体を非接触ICタグとして用いることができる。この場合、一対の拡大電極がアンテナとして機能するが、最終的な製品または製品を包装する包装体への実装を容易にするため、一対の拡大電極をアンテナ形成済シートのアンテナに接合することもある。本願におけるインターポーザーという用語は、このようにそれ自体が非接触ICタグとして機能するインターポーザーを含んだ概念である。
【0005】
【特許文献1】特開2003−281491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の製造方法においては、インターポーザーを作製した後、第1搬送装置および第2搬送装置の2段階の搬送ステップを経てインターポーザーをアンテナ形成済シート(基材シート)のアンテナ上に載置して当該インターポーザーをアンテナ上に実装している。
【0007】
このような場合、インターポーザーをアンテナ形成済シートのアンテナ上に迅速にかつ確実に実装することが求められている。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、インターポーザーのアンテナ形成済シートへの実装作業を連続的にかつ確実に行うことができるインターポーザーの実装方法および実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1非導電層と、この第1非導電層上に設けられた拡大電極と、拡大電極上に設けられたICチップとを有するインターポーザーを、第2非導電層と、この第2非導電層上に設けられた複数のアンテナとを有し、帯状に延びるアンテナ形成済シート上に実装するインターポーザーの実装方法において、アンテナ形成済シートの各アンテナ上にインターポーザーを順次載置する工程と、回転押圧体と受け部材との間でアンテナ形成済シートおよびインターポーザーを連続的に移動させながら挟圧するとともに、回転押圧体の内部にある固定ヒータにより加熱された回転押圧体の回転加熱部によってインターポーザーの第1非導電層を融解し、インターポーザーの拡大電極とアンテナ形成済シートのアンテナとを接合させる工程と、を備えたことを特徴とするインターポーザーの実装方法である。
また、本発明は、第1非導電層と、この第1非導電層上に設けられた拡大電極と、拡大電極上に設けられたICチップとを有するインターポーザーを、第2非導電層と、この第2非導電層上に設けられた複数のアンテナとを有し、帯状に延びるアンテナ形成済シート上に実装するインターポーザーの実装装置において、アンテナ形成済シートを連続的に移動させながら支持する受け部材と、アンテナ形成済シート上に載置されたインターポーザーを、受け部材との間で挟持してアンテナ形成済シート側に押圧する回転押圧体と、を備え、回転押圧体は、内側に配置された固定ヒータと、固定ヒータの外側に耐熱ベアリングを介して設けられた回転加熱部とを有し、回転押圧体と受け部材との間でアンテナ形成済シートおよびインターポーザーを連続的に移動させながら挟圧するとともに、回転押圧体の内部にある固定ヒータにより加熱された回転押圧体の回転加熱部によってインターポーザーの第1非導電層を融解し、インターポーザーの拡大電極とアンテナ形成済シートのアンテナとを接合させることを特徴とするインターポーザーの実装装置である。
【0010】
このようなインターポーザーの実装方法および実装装置によれば、帯状のアンテナ形成済シートを連続して搬送するとともに、このアンテナ形成済シート上にインターポーザーを載置し、インターポーザーとアンテナ形成済シートとを回転押圧体と受け部材との間で連続的に移動させながら挟持して押圧するので、インターポーザーをアンテナ形成済シート上に連続的に実装することができる。しかも、インターポーザーの第1非導電層を回転押圧体の押圧力により突き破るのみならずこの回転押圧体の回転加熱部の熱によって第1非導電層を融解させるので、インターポーザーの拡大電極を容易かつ確実にアンテナ形成済シートのアンテナに電気的に接続させることができる。さらに、融解した第1非導電層が再び冷却されて固化することによりインターポーザーをアンテナ形成済シートに融着させるので、インターポーザーとアンテナ形成済シートとの間の接着強度を大きくすることができ、実装されたインターポーザーがアンテナ形成済シートから剥離することを確実に防止することができる。
【0011】
本発明のインターポーザーの実装装置においては、受け部材は加熱ローラからなることが好ましい。
このようなインターポーザーの実装装置によれば、インターポーザーの第1非導電層を回転押圧体の回転加熱部のみならず受け部材の熱によっても融解させることができるので、インターポーザーの拡大電極をより確実にアンテナ形成済シートのアンテナに電気的に接続させることができる。
【0012】
本発明のインターポーザーの実装装置においては、回転押圧体において、回転加熱部は外周上に伝熱性のカシメ突部を複数有しており、回転加熱部のカシメ突部がインターポーザーをアンテナ形成済シート側に押圧するとともに、カシメ突部の熱によりインターポーザーの第1非導電層を融解することが好ましい。
このようなインターポーザーの実装装置によれば、インターポーザーをアンテナ形成済シート側に押圧する際にカシメ突部を用いているので、インターポーザーの第1非導電層をより確実にカシメ突部の押圧力により突き破ることができる。
【0013】
本発明のインターポーザーの実装装置においては、回転押圧体における回転加熱部のカシメ突部の設置ピッチは、アンテナ形成済シート上のインターポーザーの載置ピッチと同一であることが好ましい。
このようなインターポーザーの実装装置によれば、実装工程において回転押圧体のカシメ突部は確実にアンテナ形成済シート上のインターポーザーに対応する位置にくるようになるので、インターポーザーに対して回転押圧体のカシメ突部が確実に押圧および加熱を行うことができる。
【0014】
本発明のインターポーザーの実装装置においては、回転加熱部は、カシメ突部に内蔵されこのカシメ突部の温度を測定する温度測定部を更に有しており、固定ヒータには、温度測定部によるカシメ突部の測定温度に基づいて、当該固定ヒータを制御してカシメ突部の温度を調整するヒータ温度制御部が接続されていることが好ましい。
このようなインターポーザーの実装装置によれば、実装工程においてカシメ突部を所期の温度に維持することができ、インターポーザーの第1非導電層をより確実にカシメ突部の熱により融解させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインターポーザーの実装方法および実装装置によれば、帯状のアンテナ形成済シートを連続して搬送するとともに、このアンテナ形成済シート上にインターポーザーを載置し、インターポーザーとアンテナ形成済シートとを回転押圧体と受け部材との間で連続的に移動させながら挟持して押圧するので、インターポーザーをアンテナ形成済シート上に連続的に実装することができる。しかも、インターポーザーの第1非導電層を回転押圧体の押圧力により突き破るのみならずこの回転押圧体の回転加熱部の熱によって第1非導電層を融解させるので、インターポーザーの拡大電極を容易かつ確実にアンテナ形成済シートのアンテナに電気的に接続させることができる。さらに、融解した第1非導電層が再び冷却されて固化することによりインターポーザーをアンテナ形成済シートに融着させるので、インターポーザーとアンテナ形成済シートとの間の接着強度を大きくすることができ、実装されたインターポーザーがアンテナ形成済シートから剥離することを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図5は、本発明によるインターポーザーの実装装置および実装方法の実施の形態を示す図である。
【0017】
このうち図1は、搬送されるアンテナ形成済シートにインターポーザーを載置する工程を示す概略図であり、図2は、アンテナ形成済シートおよびこのアンテナ形成済シート上に載置されたインターポーザーを示す縦断面図であり、図3は、本発明によるインターポーザーの実装装置の概略を示す斜視図である。また、図4は、図3のインターポーザー実装装置の回転押圧体の詳細を示す断面図であり、図5は、インターポーザーをアンテナ形成済シートに実装した後のインターポーザー実装済シートの縦断面図である。
【0018】
まず、図5において、本発明によるインターポーザーの実装方法によって得られるインターポーザー実装済シート(非接触ICタグ付シート)1について簡単に説明する。
図5に示すように、インターポーザー実装済シート1は、第2非導電層21と、この第2非導電層21上に設けられたアンテナ(第2導電層)22とを有するアンテナ形成済シート20と、このアンテナ形成済シート20上に実装され、第1非導電層11と、この第1非導電層11上に設けられた一対の拡大電極(第1導電層)12,12と、拡大電極12,12上に設けられたICチップ13とを有するインターポーザー10とを備えている。図5に示すように、インターポーザー10の一対の拡大電極12,12は、各々アンテナ形成済シート20のアンテナ22に直接的に接合されている。
【0019】
このようなインターポーザー実装済シート1は、以下のような工程を順次経ることにより製造される。
【0020】
まず、インターポーザー10およびアンテナ形成済シート20の準備工程について図2を用いて説明する。
【0021】
この準備工程においては、非導電性の第1非導電層11上に、接着剤(図示せず)を介してアルミニウム、銅等からなる金属箔の導電性の一対の拡大電極(第1導電層)12,12を形成し、さらに、これらの拡大電極12,12上にICチップ13を実装することにより、第1非導電層11と、拡大電極12,12と、ICチップ13とを有するインターポーザー10を製造する。第1非導電層11は熱により融解するものとなっており、具体的には例えばポリエチレン(PE)、塩化ビニル(PVC)、ABS等の合成樹脂シートからなっている。
【0022】
一方、例えば紙、樹脂からなる非導電性の第2非導電層21上に、接着剤(図示せず)を介してアルミニウム、銅等からなる金属箔の導電性のアンテナ(第2導電層)22を形成することにより、第2非導電層21と、アンテナ22とを有するアンテナ形成済シート20を製造する。
【0023】
なお、各拡大電極12およびアンテナ22は金属箔からなるものに限られず、例えば印刷やエッチングで形成されるものであってもよい。
【0024】
次に、インターポーザー10をアンテナ形成済シート20に実装する実装方法について説明する。
【0025】
はじめに本実施の形態におけるインターポーザーの実装装置について説明する。
インターポーザーの実装装置は、図1に示すように、アンテナ形成済シート20を供給する供給ロール31および巻取ロール32と、アンテナ形成済シート20の各アンテナ22上に複数のインターポーザー10を一定ピッチで順次載置するインターポーザー載置装置33とを備えている。この場合、供給ロール31と巻取ロール32とによりアンテナ形成済シート20を図1の矢印方向に搬送するアンテナ形成済シート搬送装置が構成される。
【0026】
また、図3に示すように、アンテナ形成済シート20の搬送方向に沿って、インターポーザー載置装置33よりも下流側に回転押圧体40と受ローラ(受け部材)60とが配置されている。
このうち回転押圧体40は、アンテナ形成済シート20と、このアンテナ形成済シート20上に載置されたインターポーザー10のうち、インターポーザー10側に配置されている。一方、受ローラ60は内部に加熱源を有する加熱ローラからなり、アンテナ形成済シート20の裏側(第2非導電層21側)に配置されている。
【0027】
回転押圧体40および受ローラ60は、いずれも回転軸41、61を中心として回動する円盤状をなし、アンテナ形成済シート20とインターポーザー10とを、回転押圧体40と受ローラ60との間で連続的に移動させながら挟圧するようになっている。
【0028】
図4に示すように、回転押圧体40は、内部に配置された固定ヒータ45と、固定ヒータ45の外側に耐熱ベアリング46を介して設けられた回転加熱部47とを有している。この回転加熱部47はその外周上に伝熱性のカシメ刃(カシメ突部)48を複数有している。また、図3に示すように、回転軸41は回転加熱部47に接続されており、この回転軸41にはカップリング42を介してモータ43が連結されている。このような構成によりモータ43によって回転加熱部47が回動するようになっている。一方、固定ヒータ45は軸44を介してヒータ固定装置49により固定されている。
【0029】
回転押圧体40のカシメ刃48は合金工具鋼(SKS3、SKD11)、高速度工具鋼(SKH51)、粉末ハイス、超硬合金等からなっており、このカシメ刃48の熱伝導率は例えば25〜35W/m・℃となっている。
図3に示すように、回転加熱部47の外周上におけるカシメ刃48の設置ピッチAは、アンテナ形成済シート20上においてインターポーザー載置装置33により載置されたインターポーザー10の載置ピッチBと同一となっている。
【0030】
さらに、図4に示すように、カシメ刃48の内部には、このカシメ刃48の温度を測定する熱電対(温度測定部)50が設けられている。また、固定ヒータ45にはヒータ温度制御部51が電気的に接続されており、このヒータ温度制御部51には熱電対50から測定温度が例えば無線信号により送られるようになっている。ヒータ温度制御部51は、熱電対50により測定されたカシメ刃48の測定温度に基づいて、固定ヒータ45を制御してカシメ刃48の温度を調整するようになっている。
【0031】
ヒータ温度制御部51は、例えばPID制御によりカシメ刃48の実際の温度をこのカシメ刃48の予め設定された設定温度に維持するよう、固定ヒータ45の制御を行っている。インターポーザー10をアンテナ形成済シート20に実装する実装工程においては、固定ヒータ45が耐熱ベアリング46および回転加熱部47を介してカシメ刃48を加熱し、ヒータ温度制御部51によって、このカシメ刃48の温度が例えば200℃以上となるように調整されるようになっている。
【0032】
また、ヒータ温度制御部51には、カシメ刃48の設定温度を表示する設定温度モニタ(図示せず)およびカシメ刃48の測定温度を表示する測定温度モニタ(図示せず)が設けられている。
【0033】
次に、本実施の形態の実装方法について述べる。
まず、図1および図2に示すように、アンテナ形成済シート20が供給ロール31から繰り出され、巻取ロール32に巻き取られる。この間、インターポーザー載置装置33によりインターポーザー10がアンテナ形成済シート20のアンテナ22上に載置される。この際に、インターポーザー10の第1非導電層11の裏面またはアンテナ形成済シート20のアンテナ22の表面に接着剤が予め塗布されており、インターポーザー10をアンテナ形成済シート20に仮接着させる。その後、アンテナ形成済シート20およびインターポーザー10は図1の矢印方向に搬送されて、図3に示す回転押圧体40と受ローラ60とが配置された箇所まで達する。
【0034】
回転押圧体40の回転加熱部47は、モータ43によってアンテナ形成済シート20と同期して回動している。
アンテナ形成済シート20およびインターポーザー10は、回転押圧体40まで達した後もなお連続的に搬送されて回転押圧体40と受ローラ60との間で挟持される。
【0035】
この際に、回転押圧体40における回転加熱部47のカシメ刃48の設置ピッチAとアンテナ形成済シート20上のインターポーザー10の載置ピッチBが同一であることによって回転押圧体40のカシメ刃48はインターポーザー10に対応する位置にくるようになっており、このカシメ刃48がインターポーザー10をアンテナ形成済シート20側(図3の下方)に押圧する。
このときに、カシメ刃48は固定ヒータ45により耐熱ベアリング46および回転加熱部47を介して加熱されている。また、熱電対50がカシメ刃48の温度を測定し、カシメ刃48の測定温度が無線信号によりヒータ温度制御部51に送られる。ヒータ温度制御部51は、この測定温度に基づいて固定ヒータ45を制御してカシメ刃48の温度を調整しており、その結果カシメ刃48は例えば200℃以上に維持される。
【0036】
ここで、インターポーザー10の第1非導電層11をカシメ刃48の押圧力および熱によって突き破ることにより、インターポーザー10の一方の拡大電極12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とを直接的に接合させることができる。この際に、インターポーザー10の第1非導電層11はカシメ刃48の熱により融解している。
【0037】
その後、アンテナ形成済シート20およびインターポーザー10は、図示しない下流側の他の回転押圧体40および受ローラ60まで搬送される。アンテナ形成済シート20とインターポーザー10とが、下流側の他の回転押圧体40および受ローラ60まで送られると、上述と同様にして、インターポーザー10の他方の拡大電極12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とが直接的に接合される。
ここで、上述のような2段階の実装工程を設ける代わりに、回転押圧体40および受ローラ60をそれぞれ2つ用意し、一本の回転軸41により2つの回転押圧体40を支持させるとともに一本の回転軸61により2つの受ローラ60を支持させるようになっていてもよい。この場合、各回転押圧体40および各受ローラ60はアンテナ形成済シート20の送り方向に沿って平行状態となり、2つの回転押圧体40は同時に対応する各受ローラ60との間でアンテナ形成済シート20およびインターポーザー10を挟圧し、このことによりインターポーザー10の2つの拡大電極12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とをそれぞれ同時に接合させることができる。このような構成によれば、2段階の実装工程を設ける場合に比べて装置全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0038】
このようにして、インターポーザー10の各拡大電極12,12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とが電気的に接続され、図5に示すような、第2非導電層21と、第2非導電層21上のアンテナ22と、アンテナ22上に接合されたインターポーザー10とからなるインターポーザー実装済シート(非接触ICタグ付シート)1が得られる。
【0039】
以上のように本実施の形態によれば、帯状のアンテナ形成済シート20を連続して搬送するとともに、このアンテナ形成済シート20上にインターポーザー10を載置し、インターポーザー10とアンテナ形成済シート20とを回転押圧体40と受ローラ(受け部材)60との間で連続的に移動させながら挟持して押圧するので、インターポーザー10をアンテナ形成済シート20上に連続的に実装することができる。しかも、インターポーザー10の第1非導電層11を回転押圧体40の押圧力により突き破るのみならずこの回転押圧体40の回転加熱部47の熱によって第1非導電層11を融解させるので、インターポーザー10の拡大電極12,12を容易かつ確実にアンテナ形成済シート20のアンテナ22に電気的に接続させることができる。さらに、融解した第1非導電層11が再び冷却されて固化することによりインターポーザー10をアンテナ形成済シート20に融着させるので、インターポーザー10とアンテナ形成済シート20との間の接着強度を大きくすることができ、実装されたインターポーザー10がアンテナ形成済シート20から剥離することを確実に防止することができる。
【0040】
また、受ローラ60が加熱ローラからなるので、インターポーザー10の第1非導電層11を回転押圧体40の回転加熱部47のみならず受ローラ60の熱によっても融解させることができ、インターポーザー10の拡大電極12,12をより確実にアンテナ形成済シート20のアンテナ22に電気的に接続させることができる。
【0041】
また、回転押圧体40において、回転加熱部47は外周上に伝熱性のカシメ刃48を複数有しており、回転加熱部47のカシメ刃48がインターポーザー10をアンテナ形成済シート20側に押圧するとともに、カシメ刃48の熱によりインターポーザー10の第1非導電層11を融解している。このようにインターポーザー10をアンテナ形成済シート20側に押圧する際にカシメ刃48を用いているので、インターポーザー10の第1非導電層11をより確実にカシメ刃48の押圧力により突き破ることができる。
【0042】
また、回転押圧体40における回転加熱部47のカシメ刃48の設置ピッチAは、アンテナ形成済シート20上のインターポーザー10の載置ピッチBと同一であることにより、実装工程において回転押圧体40のカシメ刃48は確実にアンテナ形成済シート20上のインターポーザー10に対応する位置にくるようになるので、インターポーザー10に対して回転押圧体40のカシメ刃48が確実に押圧および加熱を行うことができる。
【0043】
また、回転加熱部47は、カシメ刃48に内蔵されこのカシメ刃48の温度を測定する熱電対50を更に有しており、固定ヒータ45には、熱電対50によるカシメ刃48の測定温度に基づいて、当該固定ヒータ45を制御してカシメ刃48の温度を調整するヒータ温度制御部51が接続されている。このため、実装工程においてカシメ刃48を所期の温度に維持することができ、インターポーザー10の第1非導電層11をより確実にカシメ刃48の熱により融解させることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態において、インターポーザー10のICチップ13はアンテナ22と反対側を向いているが、インターポーザー10のICチップ13がアンテナ22側を向いていてもよい。この場合、アンテナ22とICチップ13との間に絶縁層が挿入されており、回転押圧体40と受ローラ60との間でアンテナ形成済シート20およびインターポーザー10を挟圧するとともに、回転押圧体40の回転加熱部47によって当該絶縁層を融解し、このことによりインターポーザー10の拡大電極12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22とを接合させるようになっている。
【0045】
また、他の変形例としては、アンテナ形成済シート20を移動させながら支持する受け部材として図3に示す受ローラ60の代わりに、複数のローラにより張架された無端状の循環ベルト(図示せず)を用いることもできる。この循環ベルトは回転押圧体40に当接するとともにこの回転押圧体40の回動に同期して循環移動を行うよう構成されている。
そして、この無端状の循環ベルトと回転押圧体40との間でアンテナ形成済シート20とインターポーザー10とを連続的に移動させながら挟圧することにより、インターポーザー10の拡大電極12とアンテナ形成済シート20のアンテナ22との接合を行うことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】搬送されるアンテナ形成済シートにインターポーザーを載置する工程を示す概略図である。
【図2】アンテナ形成済シートおよびこのアンテナ形成済シート上に載置されたインターポーザーを示す縦断面図である。
【図3】本発明によるインターポーザーの実装装置の概略を示す斜視図である。
【図4】(a)は、図3のインターポーザー実装装置の回転押圧体の詳細を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のX−X矢視断面図である。
【図5】インターポーザーをアンテナ形成済シートに実装した後のインターポーザー実装済シートの縦断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 インターポーザー実装済シート
10 インターポーザー
11 第1非導電層
12,12 拡大電極
13 ICチップ
20 アンテナ形成済シート
21 第2非導電層
22 アンテナ
31 供給ロール
32 巻取ロール
33 インターポーザー載置装置
40 回転押圧体
41 回転軸
42 カップリング
43 モータ
44 固定軸
45 固定ヒータ
46 耐熱ベアリング
47 回転加熱部
48 カシメ刃(カシメ突部)
49 ヒータ固定装置
50 熱電対(温度測定部)
51 ヒータ温度制御部
60 受ローラ(受け部材)
61 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1非導電層と、この第1非導電層上に設けられた拡大電極と、拡大電極上に設けられたICチップとを有するインターポーザーを、第2非導電層と、この第2非導電層上に設けられた複数のアンテナとを有し、帯状に延びるアンテナ形成済シート上に実装するインターポーザーの実装方法において、
アンテナ形成済シートの各アンテナ上にインターポーザーを順次載置する工程と、
回転押圧体と受け部材との間でアンテナ形成済シートおよびインターポーザーを連続的に移動させながら挟圧するとともに、回転押圧体の内部にある固定ヒータにより加熱された回転押圧体の回転加熱部によってインターポーザーの第1非導電層を融解し、インターポーザーの拡大電極とアンテナ形成済シートのアンテナとを接合させる工程と、
を備えたことを特徴とするインターポーザーの実装方法。
【請求項2】
第1非導電層と、この第1非導電層上に設けられた拡大電極と、拡大電極上に設けられたICチップとを有するインターポーザーを、第2非導電層と、この第2非導電層上に設けられた複数のアンテナとを有し、帯状に延びるアンテナ形成済シート上に実装するインターポーザーの実装装置において、
アンテナ形成済シートを連続的に移動させながら支持する受け部材と、
アンテナ形成済シート上に載置されたインターポーザーを、受け部材との間で挟持してアンテナ形成済シート側に押圧する回転押圧体と、を備え、
回転押圧体は、内側に配置された固定ヒータと、固定ヒータの外側に耐熱ベアリングを介して設けられた回転加熱部とを有し、
回転押圧体と受け部材との間でアンテナ形成済シートおよびインターポーザーを連続的に移動させながら挟圧するとともに、回転押圧体の内部にある固定ヒータにより加熱された回転押圧体の回転加熱部によってインターポーザーの第1非導電層を融解し、インターポーザーの拡大電極とアンテナ形成済シートのアンテナとを接合させることを特徴とするインターポーザーの実装装置。
【請求項3】
受け部材は加熱ローラからなることを特徴とする請求項2記載のインターポーザーの実装装置。
【請求項4】
回転押圧体において、回転加熱部は外周上に伝熱性のカシメ突部を複数有しており、
回転加熱部のカシメ突部がインターポーザーをアンテナ形成済シート側に押圧するとともに、カシメ突部の熱によりインターポーザーの第1非導電層を融解することを特徴とする請求項2または3記載のインターポーザーの実装装置。
【請求項5】
回転押圧体における回転加熱部のカシメ突部の設置ピッチは、アンテナ形成済シート上のインターポーザーの載置ピッチと同一であることを特徴とする請求項4記載のインターポーザーの実装装置。
【請求項6】
回転加熱部は、カシメ突部に内蔵されこのカシメ突部の温度を測定する温度測定部を更に有しており、
固定ヒータには、温度測定部によるカシメ突部の測定温度に基づいて、当該固定ヒータを制御してカシメ突部の温度を調整するヒータ温度制御部が接続されていることを特徴とする請求項4または5記載のインターポーザーの実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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