説明

インダクタンス部品

【課題】本発明は、圧粉磁心のインダクタンス低下を抑制し、大電流下で使用可能かつ小型のインダクタンス部品を提供することを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、閉ループを構成する圧粉磁心1と、前記圧粉磁心1に巻回されたコイル2とを備え、前記圧粉磁心1の磁歪定数が正であり、前記閉ループの内周側が封止材3にて充填封止された構成をとることにより、圧粉磁心断面積の大形化を抑制でき、大電流下で小型のインダクタンス部品を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ、チョークコイル、トランス等のインダクタンス部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のインダクタンス部品は、図6に示すごとく、脚部1aを有する圧粉磁心1と、前記脚部1aに巻回されたコイル2とを備えた構成としていた。そして、低印加磁場における高いインダクタンス値を利用していた。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−184616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来の構成においては、大電流下における小型化が困難となっていた。
【0006】
すなわち、大電流化を図ると印加磁場が大きくなり、それに伴って、図7に示すごとくインダクタンス値は低下してしまう。従って、インダクタンス値をある一定以上保とうと思えば、印加磁場を減じるために圧粉磁心の断面積を大きくせざるを得ず、その結果として大電流下での小型化が困難となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、大電流下でのインダクタンス部品の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、閉ループを構成する圧粉磁心と、前記圧粉磁心に巻回されたコイルとを備え、前記圧粉磁心の磁歪定数が正であり、前記閉ループの内周側が封止材にて充填封止された構成をとる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のような構成をとることにより、圧粉磁心にはその閉ループの内周側に充填された封止材の収縮によって、閉ループの伸張を妨げる方向に応力が働く。このため、圧粉磁心の磁化挙動が制限され、磁気飽和を起こしにくくなる結果、大電流下でのインダクタンス低下を抑制することができる。これにより、圧粉磁心断面積の大形化を抑制でき、大電流下で小型のインダクタンス部品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品のその他の実施例を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品のその他の実施例を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品のその他の実施例を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の印加磁場に対するインダクタンス変化を示す図
【図6】従来のインダクタンス部品の断面図
【図7】従来のインダクタンス部品の印加磁場に対するインダクタンス変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品について、図面を参照しながら説明する。本発明におけるインダクタンス部品は、図1に示すごとく、閉ループを構成する圧粉磁心1と、前記圧粉磁心1に巻回されたコイル2とを備え、前記圧粉磁心1の磁歪定数が正であり、前記閉ループの内周側が封止材3にて充填封止された構成を備えている。
【0012】
このような構成により、圧粉磁心1の閉ループの内周側に充填された封止材3の収縮によって、閉ループの伸張が妨げられる方向に応力が働く。このため、磁歪定数が正である圧粉磁心1の磁化挙動が制限され、磁気飽和を起こしにくくなる結果、図5に示す如く、大電流下でのインダクタンス低下を抑制することができる。これにより、圧粉磁心断面積の大形化を抑制でき、大電流下で小型のインダクタンス部品を提供することが可能となる。
【0013】
本発明に用いられる圧粉磁心1は図1に示すように閉ループを構成する必要があるが、図2に示す例のように、個別に成形された2つのE型の圧粉磁心4、5を組み合わせることにより形成される閉ループに対しても、前記閉ループの内周側を充填封止することによって同様の効果が得られる。
【0014】
また、本発明に用いられる圧粉磁心は、図3に示す例のように、個別に成形されたE型の圧粉磁心6およびI型の圧粉磁心7を組み合わせることにより形成される閉ループに対しても、前記閉ループの内周側を充填封止することによって同様の効果が得られる。
【0015】
なお、閉ループの一部にギャップが設けられていたとしても、上述した小型化に関する効果を得ることはできる。
【0016】
また、閉ループの内周側を充填封止した封止材内部や表面に気泡やポアが形成されたとしても、上述した小型化に関する効果を得ることはできる。
【0017】
なお、本実施の形態においては、図1に示す如く、圧粉磁心1における中脚1aにコイル2を巻回する構成を説明したが、図4に示す如く、外脚1bに巻回する構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、インダクタ、チョークコイル、トランス等のインダクタンス部品の小型化に有用である。
【符号の説明】
【0019】
1 圧粉磁心
1a 中脚
1b 外脚
2 コイル
3 封止材
4 E型圧粉磁心
5 E型圧粉磁心
6 E型圧粉磁心
7 I型圧粉磁心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループを構成する圧粉磁心と、
前記圧粉磁心に巻回されたコイルと、を備え、
前記圧粉磁心の磁歪定数が正であり、
前記閉ループの内周側が封止材にて充填封止された
インダクタンス部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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