説明

インテリジェント型ロボット多機能ボードゲームシステム

【課題】ユーザがロボットまたはロボットアームとインタラクティブにボードゲームを行なうことができる、ボードゲームシステムを提供すること。
【解決手段】ボードゲームシステム10であって、主にタッチスクリーン20、コンピュータデバイス30及びロボットアーム40を含んで成り、コンピュータデバイス30がプロセッサ及びメモリを含み、メモリ内に少なくとも1つのボードゲームソフトウェアプログラムが保存される。プロセッサがボードゲームソフトウェアプログラムを実行するとき、タッチスクリーン20がボードゲームソフトウェアプログラムの表現するゲームインターフェース351を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットアームを利用したボードゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまなボードゲーム(board game)ソフトウェアプログラムがすでに開発されており、ユーザがコンピュータを相手に象棋(中国将棋)やチェス等の囲碁・将棋類のゲーム、或いは大富豪等のゲームを行なうことを可能にしている。しかしながら、ユーザがコンピュータと対面するときの感覚は非常にリアルさに欠けるため、従来技術において人とロボットが囲碁・将棋類のゲームをするという考え方が開発されている。例えば、米国特許第4398720号(Robot Computer Chess Game:ロボット・コンピュータ・チェス・ゲーム)がそれである。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4398720号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ロボットアームはすでに開発が成熟しているが、米国特許第4398720号のようにコマを掴む機能を有するロボットアームは非常に高価であり、且つ、ロボットアームに異なる種類や大きさ、形状のコマを掴ませるのは極めて高難度である(近隣のコマに触れないよう考慮する必要もあるため)。
【0005】
また、米国特許第4398720号が採用している碁盤は実際の碁盤であるため、異なる種類の囲碁・将棋類のゲームを行ないたい場合は、碁盤、コマ、及び関連の制御ソフトウェアを交換する必要があり、困難であるだけでなく、非常に精密なロボットアームでなければ目的を達することはできない。
【0006】
このため、さまざまなボードゲームで遊ぶことを可能にし、且つ、難度とコストを大幅に低くすることが必要である。
【0007】
本発明の主な目的は、ユーザがロボットまたはロボットアームとインタラクティブにボードゲームを行なうことができる、ボードゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達するため、本発明のボードゲームシステムは主にタッチスクリーン、コンピュータデバイス及びロボットアームを含んで成り、前記コンピュータデバイスはプロセッサ及びメモリを含み、前記メモリ内に少なくとも1つのボードゲームソフトウェアプログラムが保存され、プロセッサがボードゲームソフトウェアプログラムを実行するとき、前記タッチスクリーンがボードゲームソフトウェアプログラムの表現するゲームインターフェース(例えば碁盤)を表示する。このため、異なるボードゲームで遊ぶときは、タッチスクリーンが対応するゲームインターフェースを表示する。
【0009】
本発明のロボットアームは接触端を含み、ボードゲームソフトウェアプログラムが実行されると、コンピュータデバイスで前記ロボットアームを制御し、ロボットアームの接触端を前記タッチスクリーンに接触させることができ、一人または複数のユーザ(人間)がボードゲームシステムと前記ボードゲームを行なうことができる。
【0010】
このほか、ロボットアームの接触端には緩衝機構及び安全感知装置を設置し、前記タッチスクリーンを破損する確率を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は例えば象棋(中国将棋)、チェス、囲碁、五目並べ、チェッカーズ等の囲碁・将棋類のゲームや大富豪等のあらゆるボードゲームの実現に適用でき、これらのゲームは、通常すべて特定の図形の盤面及び一定のゲーム規則に従い特定の図形内で移動する「コマ」(piece)を有し、一人または複数の人が一定順序に従い交替でコマを動かして遊ぶものである。上述の特性に合致するゲームであれば、本発明はすべて適用することができる。本発明において、ロボットアームまたはロボットが一方のプレイヤー、一人または複数のユーザが他方のプレイヤーとなり、タッチスクリーンに盤面と「コマ」が表示される。本発明の技術内容についてより理解を促すため、以下、比較的多くの人が知っている囲碁・将棋類のゲームを例として、3つの具体的な実施の形態を挙げ説明する。
【0012】
〔実施の形態1〕
以下、図1〜4に本発明の実施の形態1を示す。
【0013】
ボードゲームシステム10は主にタッチスクリーン20、コンピュータデバイス30及びロボットアーム40を含む。この実施の形態1においてタッチスクリーン20、コンピュータデバイス30及びロボットアーム40はすべて一つとして統合されている。タッチスクリーン20とコンピュータデバイス30は電気的に接続され、且つ、ロボットアーム40とコンピュータデバイス30も電気的に接続される。
【0014】
コンピュータデバイス30はプロセッサ31、メモリ32(DRAMやハードディスク等のメモリを含む)及びスピーカー33を含む。メモリ32には少なくとも1つのボードゲームソフトウェアプログラム35が保存される。プロセッサ31がボードゲームソフトウェアプログラム35を実行するとき、タッチスクリーン20がボードゲームソフトウェアプログラム35に対応するゲームインターフェース351を表示する。スピーカー33の機能は主に娯楽効果を生むためであり、例えば囲碁・将棋類ゲームの進行に合わせて音響効果や拍手、嘲笑などの音を発し、リアルさを増すことができる。
【0015】
ボードゲームソフトウェアプログラム35は例えばチェス、象棋(中国将棋)、囲碁、チェッカーズ等とすることができる。現在すでに多くのボードゲームソフトウェアプログラムが存在するため、このボードゲームソフトウェアプログラム35の詳細について以下では説明を省略する。囲碁・将棋類のゲームを例とすると、本発明の「碁盤」はタッチスクリーン20であり、「碁盤」上のマス線と「コマ」はタッチスクリーン20が表示する映像であるため、ボードゲームシステム10はさまざまな囲碁・将棋類ゲームを提供し、一人または複数のユーザが遊ぶことができる。
【0016】
本発明のロボットアーム40は接触端41を含み、ボードゲームソフトウェアプログラム35が実行されると、コンピュータデバイス30で前記ロボットアーム40を制御することができ、ロボットアーム40の接触端41で前記タッチスクリーン20の「碁盤」ある位置に表示された「コマ」に触れることで「コマ」を「持ち上げる」ことを代表し、さらにコンピュータデバイス30でロボットアーム40を制御し、別の位置に移動させてタッチスクリーン20に触れさせることで、「コマ」を「置く」ことを代表する。コンピュータデバイス30は「コマ」の位置の変化とそのときの状況に基づき、自動的に各種反応を生成し、例えば移動された相手方の「コマ」を取ってしまったり、「チェックメイト」の表示を発したり、相手方に次の一手を求めたりする。このため、本発明は一人または複数の多ユーザ(人間)がボードゲームシステム10と各種囲碁・将棋類のゲームで遊ぶことができる。
【0017】
タッチスクリーン20は基本的に二種類あり、一つは物体で実際に触れる必要があるタッチスクリーン20であり、もう一つは特殊なセンサーペンをタッチスクリーン20に感知させるものであり、二つ目の方法によれば、実際にはセンサーペンをタッチスクリーン20に接近させるだけでタッチスクリーン20に感知させることができる。現在ロボットアーム40の制御は極めて正確であるため、ロボットアーム40がタッチスクリーン20を破損する心配はあまり必要ないが、タッチスクリーン20を破損させる確率を低くするため、図2に示すように、接触端41はゴムなどの硬性でない材質を採用することが望ましい。また、緩衝機構42(バネなど)を採用し、ロボットアーム40の制御に若干の誤差を許容させてもよい。さらには、安全感知装置43を設置し、万一接触端41がタッチスクリーン20に向かって下方向に接触する距離が一定距離を超過したとき、接触端41が安全感知装置43(ボタンなど)を押し、この安全感知装置43が信号を発してコンピュータデバイス30にロボットアーム40を持ち上げさせたり、元の位置に戻させたりすることができる。安全手順の問題については、下述する手順403においてさらに説明する。安全感知装置43はロボットアーム40がタッチスクリーン20を破損するのを防止するほか、ユーザがうっかりロボットアーム40に押される危険を回避することができる。
【0018】
以下、図4のロボットアーム40の作動フロー図を参照する。
【0019】
手順401:ロボットアーム40がコンピュータデバイス30から目標位置信号を受信する。
【0020】
ボードゲームソフトウェアプログラム35の設計は、例えばどの位置にどのコマを移動させるか、または囲碁の場合コマをどの位置に置くかなど、「コンピュータ側」の次の一手をどうするか常に計算できるようになっている。このため、位置はロボットアーム40の行き先の目標位置に変換することができ(通常は座標値を得た後、ロボットアーム中の各モーターの回転角度を制御する)、ロボットアーム40の制御は従来技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0021】
手順402:ロボットアーム40を目標位置に移動させ、タッチスクリーン20に触れさせる。
【0022】
手順403:この手順は安全確保のための手順であり、例えば次の二つの方法がある:
第一方法:タッチスクリーン20が接触を感知したらロボットアーム40に位置回復を要求する。
第二方法:接触端41が安全感知装置43を押し、このとき安全感知装置43が信号を発してコンピュータデバイス30にロボットアーム40の位置を回復させる。
【0023】
以上の二つの安全手順のいずれか一つまたは二つを選択することができる。
【0024】
異常状況が発生して手順403を行う必要がある場合、警告を発することができ、例えばロボットアーム40の校正手順を行なうことを要求する。
【0025】
但し、現在のロボットアーム40の制御はすでに非常に正確であるため、この手順403は必須ではないことに注意が必要である。
【0026】
手順404:ロボットアーム40が目標位置に到達した後、ロボットアーム40がタッチスクリーン20を離れる。次の手順は状況により、ロボットアーム40がまず元の位置を回復したり、すぐに次の目標位置信号を受信してロボットアーム40が次の目標位置へ移動を継続したりする。
【0027】
但し、手順401は一度に一つ以上の目標位置信号を受信することができ、順序に従いロボットアーム40を各目標位置へ移動させることができる点に注意が必要である。また、ロボットアーム40は人形(図示しない)上に人形の腕として設置すると、美観やおもしろみを増すことができる。
【0028】
〔実施の形態2〕
図5〜7に実施の形態2のボードゲームシステム10aを示す。ボードゲームシステム10aはロボットデバイス50を含み、ロボットアーム40はロボットデバイス50の一部を成す。このロボットデバイス50は最良の設計においてその他の用途を有することができ、囲碁・将棋類のゲームを行うときは、ロボットデバイス50の接続インターフェース51をコンピュータデバイス30の出入力インターフェース38に接続することができる。図5にロボットデバイス50とタッチスクリーン20を結合させていない状態を示し、図6に結合させた状態を示す。本実施の形態において、ロボットデバイス50の接続インターフェース51はタッチスクリーン20を結合させるための凹槽511を備え、ロボットデバイス50とタッチスクリーン20を結合させると、ロボットアーム40とタッチスクリーン20の相対的位置関係も確定される。但し、ロボットアーム40とタッチスクリーン20の相対位置関係はその他方法で達成することもできる点に注意が必要であり、例えばロボットデバイス50が映像キャプチャ装置及び映像分析ソフトウェアを含み、タッチスクリーン20の位置を知ることができるようにしてもよい。実施の形態2の重点は、実施の形態1のようにロボットアーム40とタッチスクリーン20を固定状態で結合させなくてもよいという点にある。
【0029】
〔実施の形態3〕
以下、図8〜9に実施の形態3のボードゲームシステム10bを示す。このボードゲームシステム10bの重点は、ロボットデバイス50b内のコンピュータデバイス30bがボードゲームソフトウェアプログラムを実行でき、且つ、ボードゲームシステム10bはタッチスクリーン20を含まなくてもよい点にあり、例えばケーブル381でタッチスクリーン20と接続することができる。当然、ロボットデバイス50bもタッチスクリーン20を設けた設計としてもよく、通常タッチスクリーン20は閉じた状態とし、ユーザが遊びたいときタッチスクリーン20を開くことができる。
【0030】
本発明の精神は、牌類のゲーム(マージャン等を含む)に延伸して適用することもできる点に注意が必要である。これらゲームとボードゲームの主な違いは、前者が特殊な盤面を必要としない点であり、牌はボードゲームの「コマ」と似ているため、本発明はゲームソフトウェアプログラムを変更するだけで、同様にさまざまな一人または複数のユーザがロボットと遊ぶ牌類のゲームも提供することができる。
【0031】
上述のように、本発明はその目的、手段及び効果のいずれをとっても従来技術とは異なる特徴を示しており、審査委員各位には一日も早く社会に貢献できるよう特許を認めていただけるよう願うものである。注意が必要なのは、上述のいくつかの実施の形態は説明のための例を挙げただけのものであり、本発明が主張する権利範囲は特許請求の範囲に基づくものとし、上述の実施の形態のみに限られない点である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のボードゲームシステムの実施の形態1の外観図である。
【図2】本発明のロボットアームの接触端の断面図である。
【図3】本発明のボードゲームシステムの実施の形態1のハードウェアの構成図である。
【図4】本発明のロボットアームの作動フロー図である。
【図5】本発明のボードゲームシステムの実施の形態2の外観図であり、ロボットデバイスとタッチスクリーンが結合されていない状態を示す。
【図6】本発明のボードゲームシステムの実施の形態2の外観図であり、ロボットデバイスとタッチスクリーンが結合された状態を示す。
【図7】本発明のボードゲームシステムの実施の形態2のハードウェア構成図である。
【図8】本発明のボードゲームシステムの実施の形態3の外観図である。
【図9】本発明のボードゲームシステムの実施の形態3のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0033】
10、10a、10b ボードゲームシステム
20 タッチスクリーン
30、30b コンピュータデバイス
31 プロセッサ
32 メモリ
33 スピーカー
35 ボードゲームソフトウェアプログラム
351 ゲームインターフェース
38 出入力インターフェース
381 ケーブル
40 ロボットアーム
41 接触端
42 緩衝機構
43 安全感知装置
50、50b ロボットデバイス
51 接続インターフェース
511 凹槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードゲームシステムであって、コンピュータデバイスと、タッチスクリーンと、ロボットアームを含んで成り、前記コンピュータデバイスはプロセッサとメモリを含み、前記メモリに少なくとも1つのボードゲームソフトウェアプログラムが保存され、前記プロセッサが前記ボードゲームソフトウェアプログラムを実行することができ、前記タッチスクリーンは前記コンピュータデバイスと電気的に接続され、前記ボードゲームソフトウェアプログラムが実行されると、前記タッチスクリーンが前記ボードゲームソフトウェアプログラムに対応するゲームインターフェースを表示し、前記ロボットアームは前記コンピュータデバイスと電気的に接続され、前記ロボットアームは接触端を含み、上述の構造により、前記ボードゲームソフトウェアプログラムが実行されると、前記コンピュータデバイスで前記ロボットアームを制御して前記ロボットアームの前記接触端を前記タッチスクリーンに接触させることができ、ユーザが前記ボードゲームシステムと前記ボードゲームソフトウェアプログラムで遊ぶことができることを特徴とする、
ボードゲームシステム。
【請求項2】
前記接触端が緩衝機構及び安全感知装置を含み、前記タッチスクリーンを破損する確率を減少し、且つ、前記ロボットアームと前記タッチスクリーンが固定された状態で結合される、請求項1に記載のボードゲームシステム。
【請求項3】
さらにロボットデバイスを含み、そのうち、前記ロボットアームが前記ロボットデバイスに接続され、且つ、前記接触端が緩衝機構及び安全感知装置を含み、前記タッチスクリーンを破損する確率を減少する、請求項1に記載のボードゲームシステム。
【請求項4】
ロボットデバイスを含み、前記ロボットデバイスがタッチスクリーンと電気的に接続され、ユーザがボードゲームを行なうことができ、前記ロボットデバイスがコンピュータデバイスとロボットアームを含んで成り、前記コンピュータデバイスがプロセッサとメモリを含み、そのうち前記メモリに少なくとも1つのボードゲームソフトウェアプログラムが保存され、前記プロセッサが前記ボードゲームソフトウェアプログラムを実行することができ、前記ボードゲームソフトウェアプログラムに対応するゲームインターフェースを前記タッチスクリーンに表示し、前記ロボットアームは前記コンピュータデバイスと電気的に接続され、前記ロボットアームが接触端を含み、上述の構造により、前記ボードゲームソフトウェアプログラムが実行されると、前記コンピュータデバイスで前記ロボットアームを制御し、前記ロボットアームの前記接触端を前記タッチスクリーンに接触させることができ、ユーザが前記ボードゲームシステムと前記ボードゲームソフトウェアプログラムで遊ぶことができることを特徴とする、ボードゲームシステム。
【請求項5】
前記接触端が緩衝機構及び安全感知装置を含み、前記タッチスクリーンを破損する確率を減少する、請求項4に記載のボードゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−212617(P2008−212617A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103508(P2007−103508)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(507119548)國立台灣科技大學 (5)
【Fターム(参考)】