説明

インナミラー装置

【課題】静電気により電子回路の作動に異常が発生することを効果的に抑制する。
【解決手段】インナミラー装置10では、ハウジング12内に電子基盤36が設けられており、金属板48が電子基盤36の電子回路38を被覆すると共に、金属板48の挟持脚50が電子基盤36のグランド46に接触されている。このため、ハウジング12内に侵入した静電気が金属板48へ到来することで、静電気が電子回路38へ到来することを効果的に抑制でき、静電気により電子回路38の作動に異常が発生することを効果的に抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に配置されたインナミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インナミラー装置としては、ミラーハウジングのミラー保持部にルームミラーが保持されると共に、ミラーハウジング内に電子回路基板が内蔵されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このインナミラー装置では、ミラーハウジング内にミラー保持部に沿って導電体が設けられると共に、導電体と電子回路基板のアース線路とが接続線を介して接続されている。これにより、ミラーハウジングからの静電気が導電体及び接続線を介してアース線路に流れることで、静電気により電子回路基板の電子回路の作動に異常が発生することが抑制されている。
【特許文献1】特開2005−297617公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、静電気により電子回路の作動に異常が発生することを効果的に抑制できるインナミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のインナミラー装置は、車室内に配置され、ミラーが設けられたハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、電子回路が設けられた電子基盤と、導電性を有し、前記電子基盤を被覆する被覆部材と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載のインナミラー装置は、請求項1に記載のインナミラー装置において、前記ミラーに前記被覆部材を接続した、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載のインナミラー装置は、請求項1又は請求項2に記載のインナミラー装置において、前記被覆部材は前記ハウジングに前記電子基盤を固定する、ことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載のインナミラー装置は、請求項3に記載のインナミラー装置において、前記ハウジングと前記被覆部材との間に前記電子基盤を挟持して前記ハウジングに前記電子基盤を固定する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載のインナミラー装置では、車室内に配置されたハウジングにミラーが設けられており、ハウジング内に設けられた電子基盤に電子回路が設けられている。
【0010】
ここで、導電性を有する被覆部材が電子基盤を被覆している。このため、静電気が被覆部材へ到来することで、静電気が電子回路へ到来することを効果的に抑制でき、静電気により電子回路の作動に異常が発生することを効果的に抑制できる。
【0011】
請求項2に記載のインナミラー装置では、ミラーに被覆部材が接続されている。このため、静電気がミラーから電子回路へ到来することを効果的に抑制でき、静電気により電子回路の作動に異常が発生することを一層効果的に抑制できる。
【0012】
請求項3に記載のインナミラー装置では、被覆部材がハウジングに電子基盤を固定している。このため、ハウジングに電子基盤を固定する部材を別途設ける必要をなくすことができ、構成を簡単にすることができる。
【0013】
請求項4に記載のインナミラー装置では、ハウジングと被覆部材との間に電子基盤が挟持されて、ハウジングに電子基盤が固定されている。このため、ハウジングに電子基盤を固定する構成を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るインナミラー装置10の主要部が上方から見た断面図にて示されており、図2には、インナミラー装置10が車両右斜め後方から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、上方を矢印UPで示す。
【0015】
本実施の形態に係るインナミラー装置10は、ハウジング12(筐体)を備えており、ハウジング12は、車室14内におけるフロントガラス(図示省略)の上端の車幅方向中央又は天井(図示省略)の車両前側端の車幅方向中央に支持されている。ハウジング12は、車両前側の略直方体形容器状のボデー16と、車両後側の略矩形環状のリム18と、を有している。
【0016】
ボデー16の車両後側面は、略矩形状の開口20にされており、開口20はボデー16の内部を車両後側へ開口させている。ボデー16の内面には、開口20の近傍において、係合部としての柱状の係合突起22が所定数(本実施の形態では10個)突出形成されており、所定数の係合突起22は、開口20の周部に沿って配置されている。ボデー16の内部には、車両右側部分において、挟持部としての板状の挟持板24が所定数(本実施の形態では2個)形成されており、挟持板24は、ボデー16の車両前側の内面から車両後側へ突出している。ボデー16の内面には、挟持板24の近傍において、固定部としての略円筒状の固定筒26が特定数(本実施の形態では2個)形成されており、固定筒26は、ボデー16の車両前側の内面から車両後側へ突出している。
【0017】
リム18には、被係合部としてのU字形枠状の係合枠28が所定数(本実施の形態では10個)形成されており、所定数の係合枠28は、ボデー16の所定数の係合突起22に対応して、リム18の周方向に沿って配置されると共に、それぞれ車両前側へ突出している。所定数の係合枠28内には、所定数の係合突起22がそれぞれ挿入係合されており、これにより、リム18とボデー16とが嵌合された状態に組み付けられて、ハウジング12が構成されている。
【0018】
ハウジング12の内部には、ミラーとしての略矩形板状のガラスプリズム30が設けられている。ガラスプリズム30は、リム18に取り付けられており、ガラスプリズム30の周部全体にリム18が配置されることで、ガラスプリズム30の表側(車両後側)の鏡面32がリム18の内部を介して車両後側へ開放されている。ガラスプリズム30の裏面側部分(車両前側部分)には、導電部としての反射膜34が設けられており、反射膜34は、金属製にされて導電性を有すると共に、周部が車両前側へ露出している。また、ガラスプリズム30の肉厚は、上側部分から下側部分へ向けて徐々に薄くされている。
【0019】
ハウジング12の内部には、板状の電子基盤36が設けられており、電子基盤36は、ガラスプリズム30の車両前側に配置されている。電子基盤36の表面(車両後側面)には、電子回路38が設けられており、電子回路38には、集積回路40、電子素子42(トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオード等)及びコネクタ44等が設けられている。コネクタ44は、電子基盤36の周部に所定数(本実施の形態では電子基盤36の下端の右側部、車両左側端の上側部及び下側部の3個)設けられており、コネクタ44には、接続線としてのワイヤハーネス(図示省略)が接続されている。また、電子基盤36の周部には、グランド46が所定数(本実施の形態では電子基盤36の上端の右側部及び車両左側端の下側部の2個)設けられており、グランド46は、車両のアースに接続されている。
【0020】
ハウジング12の内部には、被覆部材としての板状の金属板48が設けられており、金属板48は、ガラスプリズム30と電子基盤36との間に配置されると共に、プレス成形等により制作された金属製のものにされて導電性を有している。金属板48の周部には、挟持手段としての断面略L字形板状の挟持脚50が所定数(本実施の形態では5個)一体に形成されており、挟持脚50は金属板48から車両前側へ突出されている。特定数の挟持脚50(本実施の形態では金属板48の上端かつ車両右側部の挟持脚50及び金属板48の車両左側端かつ下端の挟持脚50)の先端側部分は、固定手段としてのネジ52によって、ボデー16の特定数の固定筒26にそれぞれ固定されており、これにより、金属板48がボデー16に固定されると共に、所定数の挟持脚50の先端側部分とボデー16の所定数の挟持板24との間に電子基盤36が挟持されて、金属板48によって電子基盤36がボデー16に固定されている。特定数の挟持脚50(固定筒26に固定された挟持脚50)は、電子基盤36のグランド46に接触されており、これにより、金属板48が車両のアースに接続されている。
【0021】
金属板48は、電子基盤36の電子回路38(特に集積回路40及び電子素子42)の部分を、車両後側において、被覆しており、金属板48(挟持脚50の先端側部分を除く)は、電子基盤36から車両後側に離間されて、ガラスプリズム30(反射膜34)に接近されている。金属板48の周部には、所定数(本実施の形態では金属板48の下端かつ車両右側部及び金属板48の車両左側端の2個)の露出孔54が貫通形成されており、露出孔54は電子基盤36のコネクタ44を車両後側へ露出させている。
【0022】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0023】
以上の構成のインナミラー装置10では、金属板48が電子基盤36の電子回路38の車両後側を被覆すると共に、金属板48の挟持脚50が電子基盤36のグランド46に接触されて金属板48が車両のアースに接続されている。このため、金属板48が避雷針と同様の機能を有しており、例えば車両の乗員がハウジング12やガラスプリズム30に接触する等によって、ハウジング12内に侵入した静電気が、ハウジング12やガラスプリズム30(特に反射膜34)から、金属板48へ到来する。これにより、静電気が電子基盤36(電子回路38)やワイヤハーネスへ到来することを効果的に抑制でき、静電気により電子回路38の作動(制御)に異常が発生することを効果的に抑制できる。
【0024】
また、金属板48の挟持脚50の先端側部分がボデー16の固定筒26に固定されることで、金属板48によって電子基盤36がボデー16に固定されている。このため、ボデー16に電子基盤36を固定する部材を別途設ける必要をなくすことができ、インナミラー装置10の構成を簡単にすることができる。
【0025】
さらに、金属板48の挟持脚50の先端側部分とボデー16の挟持板24との間に電子基盤36が挟持されることで、電子基盤36がボデー16に固定されている。このため、ボデー16に電子基盤36を固定する構成を簡単にすることができる。
【0026】
[第2の実施の形態]
図3には、本発明の第2の実施の形態に係るインナミラー装置60の主要部が上方から見た断面図にて示されている。
【0027】
本実施の形態に係るインナミラー装置60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0028】
本実施の形態に係るインナミラー装置60では、金属板48に接続部としての断面L字形板状の延伸板62が設けられており、延伸板62は、金属板48に所謂切り起こしによって形成されている。延伸板62は、金属板48から車両後側へ延伸されており、延伸板62の先端がガラスプリズム30の反射膜34の周部(車両前側への露出部分)に接触されることで、金属板48と反射膜34とが接続されて導通されている。
【0029】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0030】
さらに、ガラスプリズム30の反射膜34と金属板48とが延伸板62を介して導通されている。このため、静電気がガラスプリズム30の反射膜34から電子基盤36(電子回路38)やワイヤハーネスへ到来することを効果的に抑制でき、静電気により電子回路38の作動に異常が発生することを一層効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインナミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るインナミラー装置を示す車両右斜め後方から見た分解斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るインナミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 インナミラー装置
12 ハウジング
30 ガラスプリズム(ミラー)
36 電子基盤
38 電子回路
48 金属板(被覆部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置され、ミラーが設けられたハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、電子回路が設けられた電子基盤と、
導電性を有し、前記電子基盤を被覆する被覆部材と、
を備えたインナミラー装置。
【請求項2】
前記ミラーに前記被覆部材を接続した、ことを特徴とする請求項1記載のインナミラー装置。
【請求項3】
前記被覆部材は前記ハウジングに前記電子基盤を固定する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインナミラー装置。
【請求項4】
前記ハウジングと前記被覆部材との間に前記電子基盤を挟持して前記ハウジングに前記電子基盤を固定する、ことを特徴とする請求項3記載のインナミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−238976(P2008−238976A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82807(P2007−82807)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)