説明

インビトロ被検体センサおよびその使用方法

正確かつ反復可能な生体液の試料分析を提供するインビトロ電気化学的センサが提供される。実施形態はオーバーハングが延在する試料室を備えたセンサを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被検体を検出するための分析センサに関する。
本願は、米国の法人であり、米国を除くすべての国を指定する出願人であるアボット・ダイアベティス・ケア社(Abbott Diabetes Care,Inc.)、ならびに米国のみを指定する出願人である、両者とも米国民であるベンジャミン・ジェイ・フェルドマン(Benjamin J.Feldman)およびイ・ワン(Yi Wang)の名において、PCT国際出願として2006年9月25日に出願されたものであり、かつ、2005年9月27日出願の米国特許出願シリアル番号第11/237447号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
生物学的被検体の存在および濃度を決定するために、電気化学的分析センサが一般に用いられる。このようなセンサは、例えば、糖尿病患者の血糖値を監視するために用いられる。
【0003】
現在利用可能な多数のセンサ・ストリップ製品は比較的大きな試料体積、例えば3μL以上の血液または他の生体液を一般に必要とするが、1μL以下などの小さな体積サイズを求める傾向がある。例えば、米国特許第6143164号、第6338790号、および第6616819号は、小体積(すなわち1μL未満の)センサの種々の構成を提供している。
【0004】
センサ内の試料室の容積が小さくなるにつれて、試料室を分析しようとする試料で充填することがますます困難になる。
米国特許第6071391号では、分析しようとする試料を容易に受け取る電気化学的センサ・ストリップを提供することを試みている。この試料室は周縁部で部分的に開放され、内部接着層によって部分的に閉鎖されるように設計されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気化学的センサが引き続き使用されるので、試料体積の小さい生体液を分析に利用し、かつ、試料の充填が容易である電気化学的センサに引き続き関心がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気化学的センサは、試料室、特に小容積の試料室の充填を容易にする構成を有する。幾つかの実施形態では、試料は分析中に試料室内で流動しないように維持される。
【0007】
試料室は、大容積または小容積の試料室を含めて、任意の好適なサイズとすることができる。ある実施形態では、試料室は約1μL(マイクロリットル)以下の試料、幾つかの実施形態では、約0.5μL以下の試料、幾つかの実施形態では約0.25μL以下の試料、および他の実施形態では0.1μL以下の試料を含むようにサイズ設定され、ある実施形態では、試料室は約0.05μL以下、さらには約0.03μL以下の容積を有する。試料室内には測定領域が存在する。測定領域は、試料室と同じ容積を有してもよいし、試料室より小さい容積を有してもよい。試料室は実質的に境界が無くてもよい。例えば、試料室周囲のある割合は無境界でもよく、例えば、周囲の約10%以上が無境界でもよく、例えば、周囲の約50%以上が無境界でもよく、例えば、周囲の70%以上、例えば80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上が無境界であってもよい。ある実施形態
では、試料室は直線状の側部を含んでもよく、少なくとも1つ、2つ、またはそれ以上の直線状の側部、例えば3つの側部において大気に開放されていてもよい。例えば、矩形状の試料室は6つの直線状の側部を有し、このうちの少なくとも2または3つは無境界であってもよく、したがって、外部環境に開放されていてもよい。複数の側部が開放されていることにより、分析しようとする試料での試料室の充填が促進される。毛管力が試料室の充填を引っ張るか、促進する。
【0008】
本発明のセンサは、被検体、例えばブドウ糖の検出および定量のために用いられ、多くの実施形態では、小体積の、例えばマイクロリットル以下の試料を用いて、検出および定量が行われる。概して、本発明は、例えば電量分析法、電流測定法、電位差測定法、またはこれらの組合せによって、被検体をある量で、例えば小体積の試料で分析するためのセンサである。センサは測光法に用いるのに適したものであってもよい。
【0009】
本発明のセンサは非浸出性もしくは非拡散性または浸出性もしくは拡散性の電子伝達剤、例えば酵素を利用し得る。多くの場合、センサは、追加または代替として、非浸出性もしくは非拡散性または浸出性もしくは拡散性の第2の電子伝達剤、例えば、酸化還元媒介剤であってもよい媒介剤を利用し得る。
【0010】
本発明のセンサは全体的なセンサ構成を形成する2つの基材と、これら基材間のスペーサと、作用電極と、少なくとも1つの対向電極とを含み得る。2つの基材およびスペーサは一緒に、これら基材間に試料室を画定する。作用電極および対向電極の少なくとも一部は、試料室内に存在する。本発明の実施形態によれば、これら基材はセンサの試料受け取り端部または縁部において整列しておらず、基材の少なくとも1つはスペーサの端部を越えて延在している。すなわち、少なくとも1つの基材がスペーサを越えて片持ち梁になっている。幾つかの実施形態では、両方の基材がスペーサの端部を越えて延在し、例えば、一方の基材が他方の基材よりも更に延びていてもよい。多くの実施形態では、センサはストリップ等の形状であってもよい。殆どの実施形態では、試料室へ通じる入口を有する、センサの試料受け取り端部、側部または縁部には、基材オーバーハングすなわち片持ち梁が存在する。先端充填センサ・ストリップなどの幾つかの実施形態では、スペーサ片持ち梁はセンサ・ストリップの先端にある。
【0011】
本発明を特徴付けるこれらおよびその他の特徴は、特に添付の特許請求の範囲により指摘される。本発明のセンサ、それらの利点、それらの使用、およびそれらの使用により得られる目的をよりよく理解するために、本発明の好適な実施形態が例示かつ説明されている添付図面およびそれに付随する説明を参照されたい。
【0012】
ここで図面を参照するが、同様の参照番号および文字は幾つかの図面を通して対応する構造体を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において用いられる場合、以下の定義により、述べられている用語が定義される。すなわち、
「生体液」とは、被検体の測定が可能な任意の体液であり、例えば、血液、間質液、皮膚液、汗、涙、および尿である。「血液」とは、全血と、無細胞成分、すなわち血漿および血清とを含む。
【0014】
「対向電極」とは、作用電極と併せて用いられ、作用電極を流れる電流と大きさが等しく符号が反対の電気化学的電流が流れる電極を指す。用語「対向電極」とは、説明が「対向電極」が参照または対向/参照電極を除外することを規定しない限りは、参照電極(すなわち、対向/参照電極)としても機能する対向電極を含むことを意味する。
【0015】
「電気化学的センサ」または「電気化学的センサ・ストリップ」、およびこれらの変形例は、電気化学的な酸化還元反応によって、被検体の存在を検出および/または被検体の濃度を測定するように構成された装置である。これらの反応は被検体の量または濃度と相関し得る電気信号に変換される。
【0016】
「電気分解」とは、直接電極上におけるまたは1つ以上の電子伝達剤(例えば、酸化還元媒介剤および/または酵素)を介した化合物の電気酸化または電気還元である。
「電子伝達剤」とは、酸化還元媒介剤と被検体との間あるいは作用電極と被検体との間で電子を輸送する分子である。電子伝達剤は酸化還元媒介剤と併用されてもよい。
【0017】
用語「対向電極対」とは、作用電極の作用面が対向電極の表面とほぼ対向するように配置された作用電極および対向電極の構成を指す。
「表示電極」とは、試料室および/または測定領域の部分的充填または完全な充填を検出する1つまたは複数の電極を含む。
【0018】
「層」とは、1つ以上の層を含む。
「測定領域」とは、被検体分析で測定される試料の部分のみを含むような大きさにされた試料室の1領域として本明細書では定義される。
【0019】
「非拡散性」、「非浸出性」、または「非放出性」の化合物とは、被検体分析の期間中に作用電極の作用面から実質的に拡散しない化合物である。
用語「コプレーナ電極対」の「プレーナ電極対」とは、作用電極の作用面が対向電極の表面に対して少なくともほぼ平面的に配置された、作用電極および対向電極の構成を指す。「プレーナ電極対」または「コプレーナ電極対」は典型的には、同一基材上に設けられる。
【0020】
「酸化還元媒介剤」とは、被検体と作用電極との間で、直接または電子伝達剤を介して電子を輸送する物質である。
「参照電極」とは、説明が「参照電極」が対向/参照電極を除外することを規定しない限りは、対向電極(すなわち、対向/参照電極)としても機能する参照電極を含むことを意味する。
【0021】
「作用電極」とは、被検体が、酸化還元媒介剤の媒介がある場合、または媒介がない場合で、電気酸化または電気還元される電極である。
「作用面」とは、非浸出性の酸化還元媒介剤で被覆され、試料に曝露される作用電極の部分であるか、または酸化還元媒介剤が拡散性である場合には、「作用面」とは試料に曝露される作用電極の部分である。
【0022】
「オーバーハング」とは、別の基材を過ぎるか、または超えて延びる基材の部分である。多くの実施形態では、オーバーハングを含む基材は上部基材であり、オーバーハングは基板の長手方向に延びる部分である。
【0023】
本発明のインビトロ被検体センサは、被検体濃度をどのような試料体積で測定するように設計されてもよいが、小体積の試料の被検体濃度、例えば、約1μL以下、例えば約0.5μL以下、例えば0.25μL以下、更に例えば0.1μL以下の体積を有する試料の被検体濃度を決定する際に特に有用である。幾つかの実施形態では、試料の体積は0.05μL以下または0.03μL以下であってもよい。幾つかの実施形態では、生体液は血液であり、対象の被検体はブドウ糖または乳酸である。
【0024】
上記に要約したように、センサはスペーサによって分離された2つの基材を含み、多くの実施形態では、センサは片持ち梁構成を有する。基材はスペーサと共に、(以下で示すように)上部基材および底部基材の対向する表面とスペーサの前面とによって画定された試料室を形成する。多くの実施形態では、基材の1つ(例えば、上部基材)が、基材の端部(試料充填端部)においてオーバーハングを提供する。このオーバーハングは試料室へ至る空間の延長部を提供し、この空間は毛管空間とすることができる。オーバーハングは、長さが等しくない複数の基材および/またはそれらの長手方向軸線に沿って変位された複数の基材によって提供されてもよい。ある実施形態では、試料室は毛管室であり、オーバーハングはその毛管延長部分を提供して、毛管作用による毛管室の充填を容易にする。毛管室は毛管作用による充填に適したサイズを有し、幾つかの実施形態では、ただ1つのアクセス・ポートを有する。すなわち、液体試料の進入およびガス(例えば空気)の通気または退出は同じアクセス・ポートを経由する。アクセス・ポートは、試料進入用であろうと、ガス退出用であろうと、またはこの両方であろうと、湾曲した、または別の形で半径を有する側部を有してもよく、または、例えば矩形の2つ以上(例えば3つの)の側部を有する直線としてもよい。
【0025】
全体的に図面を参照し、特に図1〜3および8を参照すると、本発明のインビトロ電気化学的センサ10の第1の実施形態が概略的に示されており、このセンサは、特にこの実施形態では、小容積センサである。センサ10は第1の基材12、第2の基材14、およびこれらの基材間に配置されたスペーサ15を有する。以下に記載するように、センサ・ストリップ10は、少なくとも1つの作用電極および少なくとも1つの対向電極を含む。センサ10は、この特定の実施形態では略矩形を有する層状構造である。すなわち、その長さは幅よりも長いが、他の形状も可能である。
【0026】
図2を参照すると、第1すなわち底部基材12は、第1の端部12Aおよび反対側の第2の端部12Bを有する。第2すなわち上部基材14は、第1の端部14Aおよび反対側の第2の端部14Bを有する。スペーサ15は、第1すなわち前方(試料充填)端部15Aおよび反対側の第2の端部15Bを有する。この開示のために、第1の端部12A、14A、15Aを「遠位端」とみなし、第2の端部12B、14B、15Bを「近位端」とみなす。以下に詳細に記載するように、センサ・ストリップ10の遠位端においては、基材第1の端部12Aおよび基材第1の端部14Aは意図的に整列されていない。すなわち、第1の基材端部12Aおよび第2の基材端部14Aは意図的に変位すなわち互いに位置をずらされて、第2の基材の一部が第1の基材の端部12Aを超えてセンサの長手軸線方向に延在している。この図示の実施形態では、スペーサ端部15Aも端部12A、14Aと整列されていない。すなわち、スペーサ端部15Aは基材端部12Aおよび基材端部14A両方から変位されている。以下に更に詳細に記載するように、1つ以上の基材の互いのこの位置ずれが、オーバーハング17を提供する。
【0027】
センサの寸法は変更してもよい。ある実施形態では、センサ・ストリップ10の全長は約20mm以上および約50mm以下であり得る。例えば、長さは約30〜45mm、例えば約30〜40mmであってもよい。しかし、より短いセンサ・ストリップ10およびより長いセンサ・ストリップ10を製造することも考えられる。ある実施形態では、センサ・ストリップ10の全長は、約3mm以上および約15mm以下であってもよい。例えば、幅は約4〜10mm、約5〜8mm、または約5〜6mmであってもよい。特定の1例では、センサ・ストリップ10は長さ約32mmおよび幅約6mmを有する。別の特定の例では、センサ・ストリップ10は長さ約40mmおよび幅約5mmを有する。更に別の特定の例では、センサ・ストリップ10は長さ約34mmおよび幅約5mmの幅を有する。
(基材)
上記のように、センサ・ストリップ10は第1の基材12、第2の基材14、すなわち
センサ・ストリップ10の全体的な形状およびサイズを形成する非導電性の不活性基材を有する。基材12、14は、実質的に剛性でもよいし、実質的に可撓性であってもよい。ある実施形態では、基材12、14は可撓性または変形可能である。基材12、14に適した材料の例には、これに限定するものではないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、および他の「プラスチック」またはポリマーが挙げられる。ある実施形態では、基材材料は「メリネックス(Melinex)」ポリエステルである。他の非導電性材料を用いてもよい。
【0028】
図1〜3に示したこの実施形態では、基材14は、第1の端部14Aから第2の端部14Bまで測定した場合、第1の端部12Aから第2の端部12Bまでの基材12よりも長く、基材14のこの追加の長さがオーバーハング17を与える。多くの実施形態では、第1の端部12Aから第2の端部12Bまでの基材12の長さは約8mm以上および約48mm以下、例えば約28mm〜約38mmであり、例えば約30〜約35mmであり得る。1例では、長さは約31mmである。多くの実施形態では、第1の端部14Aから第2の端部14Bまでの基材14の長さは、約10mm以上および約50mm以下、例えば、長さは約30〜約45mmである。1例では、長さは約32mmである。基材12、14の幅は同じでもよいし、異なっていてもよく、多くの実施形態では同じであり、ある実施形態では、約1mm以上および約15mm以下、例えば約2〜5mmである。基材12、14の厚さは同じでも異なっていてもよく、変わってもよく、ある実施形態では、厚さは少なくとも約0.05mmおよび概ね約3mm以下、例えば、約0.20〜約2mmであってもよい。ある実施形態では、厚さは約0.25mmである。
【0029】
基材12、14がより幅広くなるかつ/またはより厚くなり得るように、基材12および基材14の一方または両方について、より短い長さとより長い長さのいずれを用いてもよいことを理解されたい。
(スペーサ層)
上記のように、基材12と基材14との間にはスペーサ15が配置される。スペーサ15は第1の基材12を第2の基材14から分離する。スペーサ15は、典型的には少なくとも基材12,14と同程度の可撓性および変形性(または同程度の剛性)のある不活性非導電性基材である。ある実施形態では、スペーサ15は接着層あるいは両面接着テープまたはフィルムである。正確な被検体測定を妨げる可能性のある、物質の拡散または放出を阻止または最小化すべく、スペーサ15用に選択される接着剤は選択されるべきである。
【0030】
スペーサ15の厚さは試料室の深さを画定し、この厚さは毛管容積を有する試料室を提供する寸法であり得る。ある実施形態では、スペーサ15厚さは、少なくとも約0.01mm(10μm)および約1mmまたは約0.5mm以下であってもよい。例えば、厚さは約0.02mm(20μm)〜約0.2mm(200μm)であってもよい。ある特定の実施形態では、厚さは約0.05mm(50μm)であり、別の実施形態では、約0.1mm(100μm)である。
【0031】
スペーサ15の長さは、基材12の長さ未満および/または基材14の長さ未満であってもよく、かつ/または、スペーサおよび基材の一方または両方はそれらの長手軸線に沿って変位されてもよい。以下に詳細に記載するように、スペーサ15の第1の端部15Aは、第1の端部12A、14Aとは整列されず、後退している。第2の端部15Bは第2の端部12B、14Bと整列されていてもよいし、そうでなくてもよい。スペーサ15の幅は基材の幅と同じでもよいし、異なっていてもよく、多くの実施形態では、幅は基材12および基材14の幅と概ね同じである。
(基材オーバーハング)
上記のように、本発明の種々の実施形態によれば、第2の基材14はスペーサ15の遠
位端を越えて延在する。特に、第1の端部14Aは第1の端部15Aを越えて延在する。この片持ち梁状の基材の長さが、図3の参照番号16により示される。第1の基材12はスペーサ15の遠位端を越えて延在する。特に、第1の端部12Aは第1の端部15Aを越えて延在する。この延長部の長さは、図3の参照番号18により示される。また、第2の基材14は、第1の基材12の遠位端を越えて突出している。特に、第1の端部14Aは、第1の端部12Aを越えて突出するか、延在する。このオーバーハングは参照番号17により示され、片持ち梁16から延長部分18の分だけ少ない長さである。本明細書で議論される種々のフィーチャの配置を分かり易くするために、図3には点線が含まれている。図示の実施形態では、基材14のオーバーハング17の上または下には、他のセンサ・ストリップ10構造が配置されない。
【0032】
片持ち梁16の寸法は様々であってよい。説明を分かり易くするために、片持ち梁16は、センサ10の全長に対して特徴付けられ得る。例えば、片持ち梁16は、センサ10の長さの約0.05%〜約50%、例えばセンサ10の長さの約1%〜約20%、例えば約4%〜約10%、例えばセンサ10の長さの約6%の範囲であってもよいが、より大きいオーバーハングまたはより小さいオーバーハングの使用も考えられる。片持ち梁16は一定の長さを有することができ、すなわち、第2の基材14は、少なくとも約0.25mm、例えば少なくとも約0.5mm、または、例えば少なくとも約1mmだけスペーサ層15を越えて延在し得る。ある実施形態では、片持ち梁16は約20mm以下であってもよい。約2mmの片持ち梁16が具体的な1例である。
【0033】
延長部18の寸法は様々であってよい。説明を分かり易くするために、延長部18はセンサ10の全長に対して特徴付けられ得る。例えば、延長部18は、センサ10の長さの約0.05%〜約50%、例えばセンサ10の長さの約1%〜約20%、例えば約4%〜約10%、例えばセンサ10の長さの約4%の範囲であってもよいが、より大きい延長部またはより小さい延長部の使用も考えられる。延長部18はある長さを有することができ、すなわち、第1の基材14は、少なくとも約0.25mm、例えば少なくとも約0.5mm、または、例えば少なくとも約1mmだけスペーサ層15を越えて延在し得る。ある実施形態では、延長部18は約20mm以下であってもよい。約1mmの延長部18が具体的な1例である。
【0034】
上記のように、第2の基材14が第1の基材12を越えて延在するか、基材12から突出している距離をここではオーバーハング17と呼ぶ。幾つかの実施形態では、オーバーハング17の長さはゼロである。すなわち、片持ち梁16の長さは延長部18の長さと同じである。オーバーハングが存在している実施形態では、オーバーハングの寸法は様々であってよい。ある実施形態では、オーバーハングは毛管室を提供するような寸法であり、皮膚表面がこのようにして形成されたオーバーハング毛管室の壁を提供し、毛管力を用いて試料を試料室20内に引き込む。したがって、ある実施形態では、オーバーハングは、ユーザの皮膚に対向して配置されたときに片持ち梁16の表面とユーザの皮膚等の対向表面とによって画定される毛管容積を有する毛管空間を提供するようなサイズにされてもよい。毛管容積は約10nL(0.01μL)〜約10,000nL(10μL)、例えば約100nL(0.1μL)〜約1000nL(1μL)、例えば約200nL(0.2μL)〜約500nL(0.5μL)の範囲であってもよい。図示のように、オーバーハングおよびひいてはこのオーバーハングによって形成される毛管室は試料室と流体連通するので、オーバーハングと接触した試料は試料室に流れ込む。
【0035】
オーバーハング17の正確な寸法は様々であってよい。説明を分かり易くするために、センサ10の全長に対してオーバーハング17を特徴付けることが1つの方法である。例えば、オーバーハング17は、ストリップ10の全長の約0.5%〜約20%、例えば、ストリップ10の長さの1%〜約10%、例えば、2%〜約5%、例えば3%の範囲であ
ってもよい。ある実施形態では、オーバーハング17は少なくとも約0.1mmであってもよく、幾つかの実施形態では、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.5mm、およびその他の幾つかの実施形態では、少なくとも約1mmであってもよい。ある実施形態では、オーバーハング17は約10mm以下、例えば約5mm以下、例えば1mm以下、例えば、約0.25mm〜約0.5mmであってもよく、ある実施形態では、オーバーハングは約0.1mmであってもよい。
【0036】
片持ち梁16は延長部18と等しいかそれより大きくてもよい。すなわち、片持ち梁16:延長部18の比は少なくとも約1:1であってもよい。ある実施形態では、片持ち梁16:延長部18の比は少なくとも約1.5:1であってもよく、少なくとも約2:1であってもよい。片持ち梁16:延長部18の比は約10:1以下であってもよく、幾つかの実施形態では、約5:1以下である。1例では、延長部18は約1mmであり、片持ち梁16は約2mmである。すなわち、延長部18は片持ち梁16の半分であり、これは片持ち梁16:延長部18の比が2:1ということである。
【0037】
幾つかの実施形態では、オーバーハング17は延長部18にほぼ等しくてもよい。すなわち、オーバーハング17:延長部18の比は約1:1であってもよい。その他の幾つかの実施形態では、オーバーハング17は片持ち梁16の約半分、すなわち約50%に等しいものとしてもよい。すなわち、オーバーハング17:片持ち梁16の比は約1:2であってもよい。また更なる実施形態では、片持ち梁16は延長部18の長さのほぼ2倍(約2:1の比)であってもよく、したがって、オーバーハング17は片持ち梁16の約半分(約1:2の比)、延長部18にほぼ等しく(約1:1の比)てもよい。
【0038】
オーバーハング17は、これに関連する試料接触表面積(すなわち、試料と接触するオーバーハングの表面の表面積)を有し、この面積はオーバーハングの距離すなわち長さと、オーバーハング17(殆どの実施形態では、基材14および/またはセンサ・ストリップ10の幅である)の幅とを乗算したものである。ある実施形態では、オーバーハング17の表面積は少なくとも約0.1mmおよび約1cm以下、例えば約2mm〜約30mm、例えば約5mm〜約10mmであってもよい。幾つかの実施形態では、オーバーハング17の表面積は、約1mm〜約5mmであってもよい。
【0039】
多くの実施形態では、第2の端部12Bおよび14Bは概ね整列されている。すなわち、端部12B、14Bは他方から延びてもいないし、突出してもいない。オーバーハングが存在する場合、ある実施形態では、オーバーハングは約2mm以下であってもよい。不整列すなわちオーバーハングが第2の端部12B、14Bに存在する幾つかの実施形態がある。例えば、第2の端部12B、14Bは、オーバーハング、タブ、インデントを含んでもよいし、別法では、計測器に接続されるような構成でもよい。ここではセンサ・ストリップ10の説明のためおよび基材12、14の説明のために、第2の端部12B、14Bは整列しているものとする。したがって、1つの基材が別の基材よりも長いとき、第2の端部12B、14Bは整列され、反対側の端部、すなわち端部12A、14Aは整列されていないと仮定される。スペーサ端部15Bも端部12B、14Bと概ね整列されている。
(試料室)
更に図3およびまた図10も参照すると、センサ・ストリップ10は、分析しようとするある体積の試料を受け取る試料室20を含む。試料室20は、試料が室20内に提供されると、試料が作用電極および対向電極の両方に電解的に接触し、これによって電極間に電流が流されて被検体の電気分解(電気酸化または電気還元)を発生させることを可能にするように構成されている。図3および8の実施形態では、センサ・ストリップ10は、センサ・ストリップ10の遠位端において試料室20内に試料を受け取るように構成される。すなわち、この遠位端がセンサ・ストリップ10の試料受け取り端部である。
【0040】
上記のように、試料室20は、基材12、基材14と、スペーサ15の第1のすなわち遠位端15Aとによって部分的に画定される。延長部18は試料室20を画定する基材12の部分であり、オーバーハング17の一部ではない基材14の片持ち梁16の部分も試料室20を画定する。したがって、オーバーハング17は試料室20から延在し、試料室20と連通している。図示のように、試料室周囲の一部分は開放されているか、無境界であり、ある実施形態では、実質的部分、すなわち試料室の周囲の大部分に等しいかそれより多くの部分が無境界である。例えば、試料室周囲の一定の割合は無境界であってもよく、例えば周囲の約10%以上は無境界であってもよく、例えば、周囲の約50%以上が無境界であってもよく、周囲の、例えば70%以上、例えば80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上が無境界であってもよい。
【0041】
図示のように、この特定の試料室は、3つの要素である基材12、基材14および第1の端部15Aが試料室20の3つの側部を画定するような側部を有するものとして特徴付けられ得る。試料室20の少なくとも1つの他の側部は開放されており、この実施形態では、試料室20の3つの他の側部が開放されている。
【0042】
図10を参照すると、センサ・ストリップ10の平面図が示されている。この図から、試料室20は側部20A、20B、20C、20Dを有する。側部20A,20Cおよび20Dは大気に開放されている。すなわち、これらの側部は無境界である。側部20Aは第1の基材12が第1の端部12Aにおいて終端する場所として画定される。側部20Bはスペーサの第1の端部15Aによって画定される。側部20C、20Dは基材12、14の側縁部と整列される。他の実施形態では、より多くの側部、より少ない側部、湾曲した側部を有する試料室、あるいは試料室20とは異なる試料室が設計されてもよいことを理解されたい。
【0043】
試料室20は生体液の試料をその中に受け取るのに十分な容積を有する。センサ・ストリップ10が小容積センサを有している場合のような幾つかの実施形態では、試料室20は約1μL以下、例えば約0.5μL以下、例えばまた約0.25μL以下の容積を有する。約0.05μL以下および約0.03μL以下の容積のような、約0.1μL以下の容積も試料室20に適している。試料室20は、毛管力または他の表面張力によって、分析しようとする試料を試料室20内に引き込むのを促進する寸法を有する。基材12と14との間にスペーサ15を含む実施形態では、試料室20の厚さは概ねスペーサ15の厚さである。
【0044】
測定領域が試料室20内に含まれ、被検体分析中に調べられる試料の部分のみを含む試料室の領域である。幾つかの実施形態では、測定領域は試料室20の容積にほぼ等しい容積を有する。幾つかの実施形態では、測定領域は試料室の100%以下、例えば80%以下、例えば、75%以下を含む。ある実施形態では、試料室は、2005年9月12日出願の「In Vitro Analyte Sensor,and Methods」と題された同時係属出願である代理人整理番号第12008.88US01号に記載されたような部分充填試料室である。
(電極)
上記のように、センサ・ストリップ10は作用電極と少なくとも1つの対向電極とを含む。対向電極は対向/参照電極であってもよい。多数の対向電極が存在する場合、対向電極の1つが対向電極になり、1つ以上の対向電極が参照電極になり得る。図4〜9を参照すると、好適な電極構成の6例が示されている。
(作用電極)
少なくとも1つの作用電極が、第1の基材12または第2の基材14上の一方の上に配置される。図4を参照すると、基材12の上には作用電極22が示されている。作用電極
22は、例えば計測器に接続するための、近位端まで延びる導電性トレース26を含む。
【0045】
作用電極22は金、炭素、白金、二酸化ルテニウム、パラジウムなどの導電性材料または他の非腐食性導電性材料の層とすることも可能である。好適な導電性エポキシの1例は、ECCOCOAT CT5079−3炭素充填導電性エポキシコーティング(Carbon−Filled Conductive Epoxy Coating)[マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn)所在のダブリュー・アール・グレースカンパニー社(W.R.Grace Company)から入手可能]である。
【0046】
作用電極22は種々の方法のいずれかを用いて基材12上に付与され得る。電極22は、蒸着または真空蒸着、スパッタリング、平坦な表面またはエンボス加工された表面あるいは凹状表面への印刷、別個のキャリアまたはライナからの転写、エッチング、あるいは成形などによって付着され得る。作用電極22を付与するにはスクリーン印刷が好適な方法であるが、圧電印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、フォトリソグラフィ、および塗装法など他の方法を用いることが可能である。
【0047】
作用電極22の材料は、典型的には比較的低い電気抵抗を有し、動作中のセンサの電位範囲にわたって典型的には電気化学的に不活性である。
作用電極22は、以下に記載のように対向電極と一緒に被検体を分析するために試料室20に設けられる。
(対向電極)
センサ・ストリップ10は典型的には、試料室20内の基材12または14上に配置された少なくとも1つの対向電極を含む。図4を参照すると、基材14上には2つの対向電極24が示されている。各対向電極24は、例えば計測器に接続するための、近位端まで延びる導電性トレース28を含む。
【0048】
対向電極24は作用電極22と同様に作られてもよい。対向電極24は対向/参照電極であってもよい。あるいは、別個の参照電極が試料室と接触された状態で設けられてもよい。対向/参照電極または参照電極に適した材料には、非導電性ベース材料上に付与(例えば印刷)されたAg/AgClまたはAg/AgBrおよび銀金属ベース上の塩化銀が挙げられる。同じ材料および方法を用いて、作用電極22の構築に使用可能であるように、対向電極24を形成することもできるが、異なる材料および方法を用いてもよい。対向電極24は多数の導電性材料、例えば、Ag/AgClおよび炭素の混合物を含むことも可能である。
(電極構成)
作用電極22および対向電極24を、互いに対向し、向き合うように配置して、対向電極対を形成し得る。図4を参照すると、作用電極22、具体的には作用電極22Aは試料室20に相当する基材12の表面を占める。対向電極24、具体的には対向電極24A、24A’は共に、試料室20に相当する基材14の全表面より少ない面積を占める。組立時、作用電極22Aは対向電極24A、24A’の各々に重なって、対向電極対を形成する。
【0049】
図5を参照すると、第2の対向する電極対構成が示されている。作用電極22Bは試料室20に相当する面積よりも著しく小さい基材12上の一定面積を占める。対向電極24B、24B’は共に、試料室20に相当する基材14の全表面よりも著しく小さい面積を占める。作用電極22Bは2つの対向電極24B、24B’間に概ね等しく離間されており、組立時、作用電極22Bは対向電極24B、24B’に直接重ならない。
【0050】
図7を参照すると、第3の対向する電極対構成が示されている。作用電極22Dは試料室20に相当する基材12の表面を占める。対向電極24Dは試料室20に相当する基材
14の表面を占める。組立時、作用電極22Dは対向電極24Dに重なって、対向する電極対を形成する。
【0051】
図8を参照すると、第4の対向する電極対構成が示されている。作用電極22Eは試料室20に相当する基材12の表面を占める。対向電極24Eは、試料室20に相当する基材14の表面および試料室20外部の基材14の追加の領域を占める。組立時、作用電極22Eは対向電極24Eに重なって、対向する電極対を形成する。
【0052】
図9を参照すると、第5の対向する電極対構成が示されている。作用電極22Fは試料室20に相当する基材12の表面を占める。2つの対向電極24F、24F’の各々は、試料室20に相当する基材14上の表面の約半分を占める。電極24F、24F’は共に、試料室20に相当する基材14のほぼ全表面を占める。
【0053】
作用電極22および対向電極24を互いに概ね平面的に、例えば同じ基材の上に配置して、コプレーナまたはプレーナ電極対を形成することができる。図6を参照すると、作用電極22Cおよび対向電極24Cは共に、試料室20に相当する基材14の表面の一部を占め、これによりコプレーナ電極対が形成される。図6の構成では、参照電極または対向/参照電極は存在せず、基材12の上には構造体が存在しない。
【0054】
図4〜9に示すように、電極対は対向またはコプレーナであってもよく、対向電極対は互いに直接対向している必要はない。電極対は基材12、14の全面積を占めてもよいし、そうでなくてもよい。また、電極対は同じサイズでなくてもよい。
【0055】
図示の電極の各々は、センサの近位端に電極を接続する導電性トレースを含むことに留意されたい。このようなトレースは計測器に電極を接続するのに用いられる。
また、図4〜9には示していないが、試料室が試料で十分充填されたことを決定するために、センサ・ストリップ10は充填表示電極を含んでもよい。
(代替的なセンサ設計)
図11および12を参照すると、センサ・ストリップ10の2つの変形例がセンサ・ストリップ40および80として示されている。センサ・ストリップ40および80の各々は、丸みがある遠位端、湾曲状の遠位端、あるいはそれらストリップに関連する半径を有する遠位端を有する。また、図12のセンサ・ストリップ80はこれに関連する、近位端から遠位端の方に向かってテーパを有する。センサ・ストリップ40は第2の基材の遠位端44Aによって画定された試料受け取り遠位端40Aを含む。遠位端44Aは第1の基材の遠位端42Aおよびスペーサの遠位端45Aから突出している。センサ・ストリップ80は第2の基材の遠位端84Aによって画定された試料受け取り遠位端80Aを含む。遠位端84Aは第1の基材の遠位端82Aおよびスペーサの遠位端85Aから突出している。
【0056】
図13を参照すると、センサ・ストリップ10の変形例であるセンサ・ストリップ100が示されている。センサ・ストリップ100は、遠位端102Aを有する第1の基材102と、遠位端104Aを有する第2の基材104とを含む。基材102と104との間にはスペーサ105が配置されている。センサ・ストリップ100はセンサ・ストリップ10に類似するが、遠位端102A、104Aはそれに関連するある角度を有する。センサ・ストリップ100はオーバーハング107を含み、これは端部102Aを越える遠位端の104Aのオーバーハングである。角度の付いた遠位端102A、104Aは、例えば、センサ・ストリップ10の一部分を薄く切ることによって形成することも可能である。センサ・ストリップ100の角度の付いた端部は、例えばセンサ・ストリップ100がその遠位端周囲で旋回されたとき(すなわち、遠位端102A、104Aが下げられるか、分析しようとする生体液の上で動かされるとき)、試料室の充填を促進し得る。
(検出化学物質)
作用電極22に加えて、被検体の分析のために1つ以上の検出化学物質が試料室20に提供されてもよい。検出化学物質は作用電極22と試料内の被検体との間の電子の輸送を促進する。センサ・ストリップ10には任意の好適な検出化学物質を用いてもよい。検出化学物質は1つ以上の物質を含み得る。
【0057】
検出化学物質は拡散性または浸出性であってもよいし、非拡散性または非浸出性であってもよい。ここでの議論のために、用語「拡散性」とは、「拡散性または浸出性」を表すために用いられ、用語「非拡散性」とは、「非拡散性または非浸出性」およびその変形例を表すために用いられる。検出化学物質成分の設置は、少なくとも部分的には、それらが拡散性か否かに依存する。例えば、非拡散性および/または拡散性の1つ以上の成分の両方は、作用電極22上で検出層を形成し得る。あるいは、1つ以上の拡散性成分が、分析しようとする試料を導入する前に、試料室20内の表面上に存在してもよい。他の例として、1つ以上の拡散性成分が、試料を試料室20に導入する前に、試料内に設置されてもよい。
(電子伝達剤)
検出化学物質は一般に、被検体へのまたは被検体からの電子の伝達を促進する電子伝達剤を含む。電子伝達剤は拡散性または非拡散性でもよく、作用電極22上に層として存在してもよい。好適な電子伝達剤の1例は、被検体の反応を触媒する酵素である。被検体がブドウ糖の場合、例えば、ブドウ糖酸化酵素、またはピロロキノリンキノングルコース脱水素酵素(PQQ)などのグルコース脱水素酵素が用いられる。他の被検体には他の酵素を用いることも可能である。
【0058】
電子伝達剤は、それが拡散性か否かにかかわらず、作用電極22と被検体との間の電流を促進し、分子の電気化学的分析を可能にする。電子伝達剤は電極と被検体との間の電子輸送を促進する。
(酸化還元媒介剤)
検出化学物質は、電子伝達剤に追加して、またはそれに代わるものとして、酸化還元媒介剤を含んでもよい。ある実施形態は、遷移金属化合物または遷移金属錯体である酸化還元媒介剤を用いる。好適な遷移金属化合物または遷移金属錯体の例には、オスミウム、ルテニウム、鉄およびコバルトの化合物または錯体が挙げられる。これらの錯体においては、遷移金属は、典型的には1、2、3または4座である1つ以上のリガンドに配位結合されている。酸化還元媒介剤は重合酸化還元媒介剤または酸化還元ポリマー(すなわち、1つ以上の酸化還元種を有するポリマー)であることも可能である。好適な酸化還元媒介剤および酸化還元ポリマーの例は、例えば、米国特許第6338790号、米国特許第6605200号、および第6605201号に開示されている。
【0059】
酸化還元媒介剤が非拡散性である場合、酸化還元媒介剤は層として作用電極22上に配置され得る。酸化還元媒介剤および電子伝達剤を有するある実施形態では、その酸化還元媒介剤および電子伝達剤が共に非浸出性である場合、両成分は個々の層として作用電極22上に配置されるか、または、併せられて、単一層として付与される。
【0060】
この酸化還元媒介剤は、それが拡散性か否かにかかわらず、作用電極22と被検体との間で電流を媒介し、電極上の直接な電気化学的反応には適さない可能性のある分子の電気化学的分析を可能にする。この媒介剤は電極と被検体との間で電子を輸送するための物質として機能する。
(センサの製造)
上記のセンサ・ストリップ10、100は、基材12、14が例えばスペーサ15によって離間されたサンドイッチ状または層状の構造である。このような構造は任意の好適な方法によって種々の層を積層することによって製造され得る。センサ・ストリップ10、
100および本発明のその他のセンサを製造するための代替的方法は、センサを成形することである。
【0061】
成形には、少なくとも2つの離間された導電性電極(例えば、ワイヤ)をモールド内に配置し、電極の一端が流体試料を受け取る手段をその中に有する状態で、この電極周囲に絶縁性材料のボディを成形する工程を含むことが考えられる。更に具体的には、成形には、少なくとも2つの離間された導電性電極(例えば、ワイヤ)をモールド内に配置し、流体試料と接触したときに処理済みの電極の電気特性を変化させるために、成形の前または後で、1つ以上の化学物質を用いて電極の少なくとも1つを処理し、電極の一端が流体試料を受け取る手段をその中に有する状態で、電極周囲に絶縁性材料のボディを成形する工程を含むことが考えられる。このボディは、多数のピースとして、例えば、ボディと成形完了後に相互に取り付けられるためのエンド・キャップとを備える2ピースとして成形してもよいし、単一ピースとして成形してもよい。
【0062】
センサのためのオーバーハングの好適な長さを決定し、このようなオーバーハングをセンサが含むようにセンサを製造することによって、センサが製造されてもよい。例えば、センサは、第1の長さを有する第1の基材と第2の長さを有する第2の基材とを含む1つ以上の基材の上に電極を配置し、少なくとも1つの電極の一部を1つ以上の検出試薬と接触させ、互いに固定された層状の配向に維持するために2つの基材間にスペーサを配置することにより構成することによって製造されてもよい。基材は第1のセンサの追加の長さがセンサの遠位端すなわち試料受け取り端に存在するように配置される。
【0063】
幾つかの実施形態では、基材が同じ長さであるか否かにかかわらず、基材の一方(例えば上部基材)が、試料受け取り端部にて他方の基材(例えば、底部基材)の端部をある距離超えて延在してオーバーハングを提供するように、それらの長手軸線に沿って互いに変位されてもよい。近位端には接触パッドが設けられてもよい。
(センサの用途)
本発明の被検体センサ、例えばセンサ・ストリップ10、100の一般的な用途は、患者または他のユーザにおける生体液中の被検体濃度、例えば、血液、間質液等のグルコース濃度を決定することである。センサ・ストリップ10は薬局で、病院で、医院で、医師から、およびその他の医療装置の供給元から入手可能であり得る。多数のセンサ・ストリップ10、100は一緒にパッケージングされて、単一ユニット、例えば25、50、または100個のストリップのパッケージとして販売されてもよい。
【0064】
センサ・ストリップ10は電気化学的分析または測光試験に使用することができる。センサ・ストリップ10は一般に電気計測器と共に用いられるように構成され、種々の電子機器に接続可能なものであってもよい。計測器はセンサ・ストリップ10と概ね同じ場所で入手可能であってもよく、時には、例えばキットとしてセンサ・ストリップ10と一緒にパッケージングされてもよい。
【0065】
計測器に接続可能な好適な電子機器の例には、データ処理端末、例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)、ラップトップ型コンピュータまたは携帯型装置などの携帯型コンピュータ(例えば、携帯情報端末(PDA))等が挙げられる。電子機器は有線または無線接続を介して受信機とデータ通信を行うように構成される。また、電子機器は、ユーザの検出された血糖値に相当するデータを格納、検索および更新するためにデータ網(図示せず)に更に接続されてもよい。
【0066】
計測器に接続された種々の装置は、例えば、共通の規格、例えば802.11またはブルートゥースRFプロトコルあるいはIrDA赤外線プロトコルを用いてサーバ装置と無線通信してもよい。サーバ装置は別の携帯型装置、例えば携帯情報端末(PDA)または
ノートブック型コンピュータ、あるいはデスクトップ型コンピュータ、電気機器等のより大型の装置とすることも考えられる。幾つかの実施形態では、サーバ装置は液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、およびボタン、キーボード、マウスまたはタッチスクリーンなどの入力装置も有する。こういった構成を用いて、ユーザはサーバ装置の1つ以上のユーザ・インタフェースと相互交信することによって間接的に計測器を制御することができ、次いでこのユーザ・インタフェースは無線リンクを介して計測器と相互交信する。
【0067】
サーバ装置は、例えば計測器および/またはサービス装置からデータ保存またはコンピュータにグルコースのデータを送信するために、別の装置と通信することもできる。例えば、サーバ装置は命令(例えば、インシュリン・ポンプ・プロトコル)を医療機関のコンピュータから送信および/受信することも考えられる。こういった通信の例には、パーソナル・コンピュータ(PC)と同調するPDA、セルラー・ネットワークを介して他方のコンピュータと通信する携帯電話、または医師のオフィスにあるコンピュータ・システムと通信を行う家庭用電気機器がある。
【0068】
患者またはユーザから生体液、例えば血液の試料を採取するための穿刺装置または他の機構も、センサ・ストリップ10および計測器と概ね同じ場所で入手可能であってもよく、時に、キットとしてセンサ・ストリップ10および/または計測器と一緒にパッケージングされてもよい。
【0069】
センサ・ストリップ10、100は、「統合装置」に、すなわち、センサと計測器または穿刺装置などの第2の要素とを有する装置に包含されるのに特に適している。他のセンサ・ストリップ、例えばオーバーハング17を有しておらず片持ち梁16が延長部18に概ね等しいストリップも、統合装置に包含されるのに適するであろう。統合装置は電気化学的分析または測光分析を提供することに基づいたものであってもよい。幾つかの実施形態では、センサ・ストリップ10、100は、計測器および穿刺装置の両方と統合されてもよい。1つの要素に多数の要素を一緒に含めることにより、被検体のレベルを取得するのに必要なデバイス数が低減され、サンプリング工程が促進される。
【0070】
例えば、実施形態には、本発明のストリップ、皮膚穿刺要素、およびストリップに付与された試料中の被検体濃度を決定するためのプロセッサの1つ以上を備えたハウジングを含んでもよい。複数のストリップ10、100がハウジング内部のカセット内に保持されてもよく、ユーザによって起動されると、一つのストリップ10、100がその少なくとも一部分がハウジングから延びてカセットから分与されてもよい。
(センサ・ストリップの動作)
使用中、生体液の試料がセンサの内に試料室に提供され、そこで被検体のレベルが決定される。多くの実施形態では、決定されるのは血液、間質液等のグルコースのレベルである。また多くの実施形態では、生体液の源は、例えば、センサ・ストリップと一緒に統合装置内に存在し得る穿刺装置等を用いて患者の皮膚を穿刺した後に患者から抜かれた血液の滴である。
【0071】
本発明の方法の実施形態には、ユーザの皮膚にセンサ(例えば、センサのオーバーハング)を接触させて毛管空間を形成する工程と、このようにして形成された毛管空間内の皮膚切開部から得た一定体積の流体をセンサの試料室に移す工程とを含んでもよい。このように、他の基材および/または試料室と接触させる前に、まず、最初にセンサの基材の少なくとも一部(例えば、上部基材のオーバーハング)に生体液を接触させてもよい。
【0072】
図14A、14Bおよび14Cは、本発明の実施形態に係るセンサ・ストリップ10の充填工程を段階的に示している。この充填はセンサオーバーハングによって提供される毛
管作用によって促進される。図14Aでは、センサ・ストリップ10は、分析しようとする血液などの生体液の滴の上にある角度で配置されている。図14Bは旋回可能に血液の滴の上に下げられたセンサ・ストリップ10を示しており、基材14および特にオーバーハング17が血液に隣接して、例えば血液の上に配置されている。センサ・ストリップ10はその近位端で旋回するか、その近位端付近にある。この位置においては、センサ・ストリップ10が更に下げられると、上記容積を有する毛管空間がオーバーハングおよび皮膚によって形成される。血液試料は片持ち梁16において、特にオーバーハング17において、直接基材14と接触する。図14Cでは、血液と接触すると、血液試料の一部が毛管作用により試料室20内に引き込まれる。この作用はセンサ・ストリップ10の表面特性および寸法の機能であり、特に、オーバーハング17と血液が位置する表面との間の空間の機能である。基材14の表面は試料室20内に血液を引き込むのを促進する親水性であってもよい。オーバーハングが大きくなるほど、試料室20の充填が更に容易になることを理解されたい。
【0073】
図15A、15Bおよび15Cは、センサ・ストリップ10を充填するための本発明の方法の別の実施形態を段階的に示している。図15Aでは、センサ・ストリップ10は、分析しようとする生体液、例えば血液、間質液等の滴に対して概ね平面的に配置されている。すなわち、センサ・ストリップ10および血液は典型的には同じ支持表面上にある。図15Bは、血液の滴内に押圧されているか移動されているセンサ・ストリップ10を示しており、試料室20は血液の高さに配置されている。この位置においては、センサ・ストリップ10が更に押圧されると、血液試料は試料室20の側部20A(図10を参照)と直接接触する。図15Cでは、血液と接触すると、血液試料の一部がオーバーハング17と血液の滴が存在する表面との間の毛管作用により試料室20内に引き込まれる。この毛管作用は、センサ・ストリップ10の表面特性および寸法の機能、特にオーバーハング17の機能である。試料室と同様に、オーバーハングによって形成された図15Cの毛管室は完全に充填された状態が示されているが、単なる例示のためのものであって、本発明の範囲を制限しようとするものではない。毛管室および/または試料室は完全には充填される必要はないし、完全にまたは部分的に同時に充填されなくてもよいことを理解されたい。試料室が充填されることで、毛管室から試料が部分的または完全に排出され得る。
【0074】
上記2つの方法を組み合わせれば、血液試料に向かってストリップ100を滑らせ、次いでその遠位端周囲または付近でストリップ100を旋回させて試料室を充填することによって、図13のセンサ・ストリップ100は充填され得る。血液は毛管作用によって試料室内に引き込まれる。
【0075】
センサ・ストリップ10、100は、電極22、24への電位の印加を用いて操作されてもよいし、用いずに操作されてもよい。1実施形態では、電気化学的反応が同時に起こるので、作用電極22と1つ以上の対向電極24との間に電位を印加しなくてもよい。別の実施形態では、作用電極22と1つ以上の対向電極24との間に電位が印加される。この電位は一定であってもよいし、そうでなくてもよい。この電位の大きさは酸化還元媒介剤に依存する。
【0076】
ここに開示した本発明は、センサ・ストリップ10、100の使用における、電位の利用や、または電位を利用しないことに向けられたものではない。検出化学物質および電極に関連するような電位に関する詳細は、例えば米国特許第6338790号において議論されている。
【0077】
いずれにしても、試料が試料室と接触される前、間または後で、センサが計測器と結合され、試料中の被検体、例えばブドウ糖の濃度が決定される。
種々の具体的で好適な実施形態および技法を参照して本発明を説明してきた。しかし、
当業者であれば、本発明の精神および範囲内で維持しながら、多数の変形および改変が可能であることが明白であろう。
【0078】
本明細書中のすべての刊行物、特許出願、および参考文献は、本発明が属する技術分野の当業者の水準を示すものである。すべての刊行物、特許出願、および他の参考文献を、各々の刊行物、特許出願、および他の参考文献を特定的にかつ個々に援用した場合と同し範囲で、本願明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の原理に係る電気化学的センサ・ストリップの第1の実施形態の略斜視図。
【図2】図1のセンサ・ストリップの側面図。
【図3】図1および2のセンサ・ストリップの第1の端部の拡大図。
【図4】組立時に作用電極および互いに対向する2つの対向電極を有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第1の実施形態の平面図。
【図5】組立時に作用電極および互いに対向する2つの対向電極を有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第2の実施形態の平面図。
【図6】組立時に作用電極および対向電極プレーナを有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第3の実施形態の平面図。
【図7】組立時に作用電極および対向電極プレーナを有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第4の実施形態の平面図。
【図8】組立時に作用電極および対向電極プレーナを組立時に有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第5の実施形態を示す平面図。
【図9】組立時に作用電極および対向電極プレーナを有するように構成された、分解された状態で示された本発明のセンサ・ストリップの電極構成の第6の実施形態の平面図。
【図10】図1、2および3のセンサ・ストリップの平面図。
【図11】センサ・ストリップの第2の実施形態の平面図。
【図12】センサ・ストリップの第3の実施形態の平面図。
【図13】第1の実施形態に類似する、本発明の原理に係る電気化学的センサ・ストリップの第2の実施形態の側面図。
【図14A】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する工程の略図。
【図14B】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する工程の略図。
【図14C】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する工程の略図。
【図15A】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する別の工程の略図。
【図15B】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する別の工程の略図。
【図15C】図1、2、3および10のセンサ・ストリップを生体液で充填する別の工程の略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサの試料受け取り端部においてオーバーハング基材壁を有する試料室を備えた、試料中の被検体の濃度を決定する片持ち梁被検体センサ。
【請求項2】
前記オーバーハング基材壁が、約10nL〜約10,000nLの範囲の毛管容積を提供する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記毛管容積が約100nL〜約1000nLの範囲である、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記試料室の周囲の約10%〜約95%が無境界である、請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサ。
【請求項5】
前記試料室の周囲の約50%〜約95%が無境界である、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記試料室が少なくとも2つの無境界の側部を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のセンサ。
【請求項7】
前記試料室が3つの無境界側部を含む、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記オーバーハングが前記センサの長さの約0.05%〜約50%の範囲である、請求項1乃至7のいずれかに記載のセンサ。
【請求項9】
前記オーバーハングが、約0.1mm〜1cmの範囲の表面積を有する請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項10】
前記オーバーハングが、少なくとも約0.1mmの長さを有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のセンサ。
【請求項11】
前記オーバーハングが少なくとも約1mmの長さを有する、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記センサが、第1の基材および第2の基材と、該第1の基材と該第2の基材との間のスペーサとを備え、該第1の基材、第2の基材およびスペーサが共に前記試料室の少なくとも一部を画定する、請求項1乃至11のいずれかに記載のセンサ。
【請求項13】
前記オーバーハングが前記第2の基材と隣接する、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記第2の基材の長さが前記第1の基材の長さよりも大きい、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
前記第1の基材と前記第2の基材の位置がそれらの長手軸線に沿ってずれている、請求項12に記載のセンサ。
【請求項16】
前記試料室が約1マイクロリットル以下の容積を有する、請求項1乃至15のいずれかに記載のセンサ。
【請求項17】
前記試料室が約0.5マイクロリットル以下の容積を有する、請求項16に記載のセンサ。
【請求項18】
前記試料室が約0.1マイクロリットル以下の容積を有する、請求項17に記載のセンサ

【請求項19】
前記センサがグルコース・センサである、請求項1乃至18のいずれかに記載のセンサ。
【請求項20】
ある表面に向かい合って配置されたとき毛管室を形成するように構成されたオーバーハングを有する試料室を備えた、試料中の被検体の濃度を決定するセンサ。
【請求項21】
前記毛管室が、約10nL〜約10,000nLの範囲の容積を有する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
前記容積が約100nL〜約1000nLの範囲である、請求項21に記載のセンサ。
【請求項23】
前記センサが片持ち梁センサである、請求項20乃至22のいずれかに記載のセンサ。
【請求項24】
液体およびガスが出入りするための単一アクセス・ポートを含む試料室を備えた被検体センサ。
【請求項25】
前記アクセス・ポートが湾曲状部分を有する請求項24に記載のセンサ。
【請求項26】
前記試料室が、隣接する3つの側部を含み、該隣接する3つの側部が前記アクセス・ポートを提供する、請求項24乃至25のいずれかに記載のセンサ。
【請求項27】
生体液中の被検体を決定する統合システムであって、
内部空間を有するハウジングと、
センサの試料受け取り端部においてオーバーハング基材壁を有する試料室を含む、該内部空間内に位置決めされた試料中の被検体の濃度を決定するための請求項1乃至26に記載の少なくとも1つのセンサと、
センサに適用された被検体の濃度を決定するプロセッサとを備えた、統合システム。
【請求項28】
皮膚穿刺要素を更に備えた、請求項27に記載の統合システム。
【請求項29】
試料中の被検体の濃度を決定するシステムであって、
センサの試料受け取り端部においてオーバーハング基材壁を有する試料室を備えた、試料中の被検体の濃度を決定するための請求項1乃至26のいずれかに記載のセンサと、
計測器とを備えた、システム。
【請求項30】
請求項1乃至26のいずれかに記載の被検体センサの試料室に試料を提供する方法であって、該センサのオーバーハングに該試料を接触させて、該試料室に該試料を提供する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記接触工程が、ある表面に向かい合って前記オーバーハングを配置して、前記オーバーハングおよび該表面によって毛管容積を提供する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記管容積が約10nL〜約10,000nLの範囲である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記毛管容積が約100nL〜約1000nLの範囲である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記試料室内の前記試料の少なくとも一部分中の被検体の濃度を決定する工程を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記被検体濃度が約1マイクロリットル以下の試料を用いて決定される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記被検体濃度が電量分析法を用いて決定される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記被検体濃度が電流測定法を用いて決定される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記被検体濃度が電位差測定法を用いて決定される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記被検体濃度が測光法を用いて決定される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記センサが、前記試料室を画定するためにスペーサによって第2の基材から離間された第1の基材を含み、前記第2のセンサが前記オーバーハングを含み、前記接触工程が、最初に前記試料を前記オーバーハングと接触させ、次いで該第1の基材および前記試料室の少なくとも一方を前記試料と接触させる工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
センサの試料受け取り端部においてオーバーハング基材壁を有する試料室を備えた試料中の被検体の濃度を決定するための請求項1乃至26のいずれかに記載のセンサと、
計測器とを備えた、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公表番号】特表2009−510405(P2009−510405A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532491(P2008−532491)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/037371
【国際公開番号】WO2007/038464
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.