説明

インプラントを挿入するためのアプリケータを組み立てるためのキット及びその方法

インプラント(3)、特に活性物質を含んでいる棒状のインプラントを、ヒト又は動物の皮下へと挿入するための使い捨て可能なアプリケータ(2)を組み立てるためのキット(1)であって、第1要素(4)と、第2要素(8)と、を備えており、第1要素(4)は、順に、アプリケータ(2)を把持し操作するためのハンドル(7)を備えたメインハウジング部材(5、6)と、カニューレ(11)と、メインハウジング部材(5、6)に取り付けられたカニューレ・ホルダ(15)と、を備えており、メインハウジング部材(5、6)は、カニューレ(11)の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)内へのインプラント(3)の導入を可能にする、開口を、有しており、第2要素(8)は、上記開口を閉じるためのものであり、順に、第2ハウジング部材(9)と、第2ハウジング部材(9)に取り付けられた又は第2ハウジング部材(9)と一体的な全体を形成しており、且つ、カニューレ(11)及び/又はカニューレ・ホルダ(15)の内側に取り付け可能である、ロッド(10)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント、特に活性物質を含んでいる棒状のインプラントを、ヒト又は動物の皮下へと挿入するための、使い捨て可能なアプリケータを、組み立てるためのキットに関する。更に、本発明は、アプリケータを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,820,267号は、一回分の投与量を備えている、細長薬剤ペレットの一本又は複数本を皮下埋め込みするための装置に関するものであり、その装置では、無菌及び二次汚染への配慮が、各患者に対して未使用の針及び栓塞子を要求するので、マガジン供給を適用できない。装置は、その基端部に、管状バレル内をスライドするハブによって支持されたカニューレを、含んでおり、バレルは、カニューレを引き抜く際、埋め込まれたペレットを適所に維持するために、選択的にカニューレを突き抜く、栓塞子を、支持している。一回分のペレット投与量の場合には、ペレットは、カニューレの前部分に運ばれる。一方、多数回分のペレット投与量の場合は、詰め込む前に、追加のペレットが、ハブの基端部と係合可能な開いた円筒管内へ運ばれる。それによって、栓塞子は、廃棄されたスリーブからカニューレへペレットを移動させるために、利用できる。スリーブ内でのハブの再配置は、患者の組織からカニューレの先端部を離脱させることなく、遂行され、そして、追加の埋め込みが実行できる。
【0003】
米国特許第3,016,895号は、インジェクター、特に、動物に固形物を皮下挿入するために設計されたタイプの獣医用インジェクターに関するものである。米国特許第3,016,895号は、装置を開示しており、その装置では、長手方向に孔の開いた、ペレットの受け取り且つ詰め込みユニットが、インジェクターの本体と並ばないように、ヒンジ連結されて取り付けられており、それにより、インジェクターを都合よく詰め込むため、固体ペレットを簡単に挿入できる。
【0004】
国際公開第2004/089458号明細書は、埋め込み可能な物体を患者の皮下に挿入するための装置を開示しており、その装置は、当該装置を把持するためのハンドルと、ハンドルに接続された基部と、を具備している。基部は、柱、カニューレ、及び斜めの軌道に配置された可撓性アクチュエータを、備えている。カニューレは、柱の回りに同軸に配置されており、伸びた位置から縮んだ位置へ柱を越えて長手方向にスライド可能であり、伸びた位置では、埋め込み可能な物体はカニューレ内に留まっており、縮んだ位置では、埋め込み可能な物体はカニューレから取り去られている。手術では、埋め込み装置は、埋め込み可能な物体が、手動で又はカートリッジを用いて詰め込まれる。国際公開第2004/089458号明細書による一実施形態の装置は、キットであり、それは、埋め込み装置に追加部分を含むことができ、追加部分は、患者内に、治療、薬剤、又は、マイクロカプセル化センサーを埋め込むために、一緒に一体化できる。キットは、第1部分にインプランターを含んでいる。第2部分は、注射器、針、外科用メス、及び、他のあらゆる必要な器具を、含んでいる。第3部分は、埋め込み処理の無菌状態を維持するための、グローブ、ドレープ、包帯、及び、他の手続必需品と、取扱説明書と、を含んでいる。第4部分は、追加のカニューレ及び柱を含んでいる。
【0005】
国際公開第01/68168号明細書は、1つ又は数個のインプラントを挿入するための使い捨ての装置を開示しており、この装置は、筒状カニューレ10と、プランジャ20と、ハンドル30と、を備えており、カニューレ10は、先端11を備えており、インプラントのための容器としても機能し、ハンドル30は、カニューレ10へ向けられた第1端部31及びカニューレから離れる方に向けられた第2端部32を有している。プランジャ20及びハンドル30は、固定する方法で互いに取り付けられており、又は、取り付け可能であり、プランジャ20がその中に位置するように、カニューレ10は、長手方向に移動可能に配置されている。国際公開第01/68168号明細書の装置は、以下の2点を特徴としている。i)カニューレ10の先端11が、ハンドル30によって又はハンドル30へ接続された一部分によって覆われるように、カニューレ10は、1つ以上のインプラントを挿入後、プランジャ20の頂部に引かれることができ、及び/又は、ii)カニューレ10は、その極端位置へ引かれるとき、ハンドル30の第2端部32へ向かって、プランジャ20に関して回復不能に固定されて配置されている。
【0006】
欧州特許第1300173号は、患者の皮下に皮下インプラントを含み且つ配置するための、手持ち式のインプランターに関するものである。図11〜13は、バイアル90を含んでいるインプラントを利用することにより、インプランターが事前に詰め込まれない場合に、インプランター110内にインプラント18を詰め込むための、好ましい方法が図示されている。バイアル90は、移送、貯蔵、及び、詰め込みの間、インプラントを、無菌状態に維持する。
【0007】
米国特許出願公開第2001/031940号明細書は、インプラントを投与するための装置に関するものである。この装置は、プランジャと、注入カニューレと、両者の間の活性物質容器と、を有するシリンジ状の装置である。活性物質容器は、インプラントの意図せぬ送出を防止するための2つの保持部材を具備している。保持部材は、柔軟であり、Oリングであってもよい。
【0008】
国際公開第98/58698号明細書は、管状針2と本体3とを備えた埋め込み装置1を開示している。管状針2は、好ましくは面取りされた先端形状を有したタイプのものであり、本体3は、プランジャ5を備えた針部分に隣接しており、好ましくは、針先端形状に調和可能な面取りされた針先端形状を有している。装置は、インプラント8を保持することが可能なチャンバー7を備えることによって、前もって詰め込み可能に作られており、そのチャンバーは、プランジャ5の周囲より外側に放射状に配置されており、プランジャを囲むチャネル6へ直接的に又は間接的に開いた接続を有している。プランジャは、移動することにより、チャンバーを閉じたり開いたりできる。
【特許文献1】米国特許第4,820,267号
【特許文献2】米国特許第3,016,895号
【特許文献3】国際公開第2004/089458号明細書
【特許文献4】国際公開第01/68168号明細書
【特許文献5】欧州特許第1300173号
【特許文献6】米国特許出願公開第2001/031940号明細書
【特許文献7】国際公開第98/58698号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、冒頭部分に基づいたキットを提供することであり、そのキットは、カニューレ及び/又はカニューレ・ホルダ内へのインプラントの(自動化された)導入中に、しばしば脆弱であるインプラントを損傷する危険性を減少させ、且つ、たとえアプリケータが、例えば人間工学及び/又は作動の安全を高めるための複雑な設計的機構を備えている場合であっても、アプリケータの組み立ての後期におけるそのような導入を、容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明によるキットは、第1要素と、第1要素と分離した第2要素と、を備えており、
第1要素は、順に、アプリケータを把持し操作するためのハンドルを備えたメインハウジング部材と、好ましくはハウジングから伸びているカニューレと、メインハウジング部材に好ましくはスライド可能に取り付けられたカニューレ・ホルダと、を備えており、メインハウジング部材は、カニューレの基端部及び/又はカニューレ・ホルダ内へのインプラントの導入を可能にする、開口を、有しており、
第2要素は、上記開口を閉じるためのものであり、順に、メインハウジング部材に対して少なくとも部分的に相補的形状の第2ハウジング部材と、第2ハウジング部材に取り付けられた又は第2ハウジング部材と一体的な全体を形成しており、且つ、カニューレ及び/又はカニューレ・ホルダの内側に取り付け可能である、ロッドと、を備えている。
【0011】
従って、インプラントは、カニューレの先端部との接触を回避して、カニューレの基端部及び/又はカニューレ・ホルダ内へ導入でき、また、そのような導入を、アプリケータが完成する直前まで遅らせることができる。
【0012】
第1要素及び第2要素は、一方の部材を他方の部材へ不可逆的に取り付ける、例えばスナップ嵌合するための、相補的機構を、備えている。
【0013】
たとえインプラントがリール上での保管に起因して僅かに曲がっている場合であっても、導入時にカニューレとインプラントとの間の適した配置を容易にするために、メインハウジング部材の開口、特に開口の縁部と、カニューレの管腔の基端部及び/又はカニューレ・ホルダと、の間の距離は、使用されるインプラントの長さより短く、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。
【0014】
更なる実施形態では、ハンドルは、第1要素から伸びているカニューレの長さの、少なくとも30%以上、好ましくは少なくとも50%以上、更に好ましくは少なくとも80%以上、又は、その全長以上、長く伸びている。
【0015】
本発明は、以下の工程を備えた、使い捨て可能なアプリケータを組み立てる方法に、更に関連しているものであり、
第1要素4と、第1要素4と分離した第2要素8と、を準備する工程と、
インプラントを、開口を通してカニューレの基端部及び/又はカニューレ・ホルダ内へ、導入する工程と、
カニューレ及び/又はカニューレ・ホルダの内側にロッドを取り付け、且つ、一方のハウジング部材を他方のハウジング部材へ好ましくは不可逆的に取り付けることによって開口を閉じる、工程と、であり、
第1要素は、アプリケータを把持し操作するためのハンドルを備えたメインハウジング部材と、好ましくはハウジングから伸びているカニューレと、メインハウジング部材に好ましくはスライド可能に取り付けられたカニューレ・ホルダと、を備えており、メインハウジング部材は、カニューレの基端部及び/又はカニューレ・ホルダ内へのインプラントの導入を可能にする、開口を、有しており、
第2要素は、上記開口を閉じるためのものであり、メインハウジング部材に対して少なくとも部分的に相補的形状の第2ハウジング部材と、第2ハウジング部材に取り付けられた又は第2ハウジング部材と一体的な全体を形成しているロッドと、を備えている。
【0016】
最後に、本発明は、この方法によって得られた使い捨て可能なアプリケータに関するものであり、そのアプリケータは、無菌包装内に収容されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を、本発明による好ましい実施形態を概略的に示す図面を参照して、更に詳しく説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明によるキットを示しており、キットは、インプラント3、特に避妊薬等の活性物質を含んでいる棒状のインプラントを、ヒトの皮下へと挿入するための使い捨て可能なアプリケータ2(図3及び図4では組み立てられた状態で示されている)を、組み立てるためのものである。
【0019】
キット1は、第1要素4及び第2要素8を備えている。第1要素4は、順に、超音波により一体に溶接された2つの半殻5、6から成るメインハウジング部材を備えており、(組み立てられた状態の)アプリケータ2を把持し操作するためのハンドル7と、開いた後方(基端)部分と、を提供している。第2要素8は、順に、メインハウジング部材5、6に対して相補的形状の後部殻9から成り且つ(組み立てられた状態の)アプリケータ1の表面の少なくとも20%に及ぶ、第2ハウジング部材と、第2ハウジング部材9に取り付けられた又は第2ハウジング部材9と一体的な全体を形成している、ロッド10と、を備えている。
【0020】
更に図3から図5に関しては、組み立てられたアプリケータ(それぞれアプリケータの拡大図)を示しており、第1要素4は、インプラント3を収容する金属カニューレ11と、インプラント3の移動の自由を規制するために、カニューレ11の先端へと伸びているピン13を備えている、保護カバー12と、カニューレ11をハウジング5、6、9内へ引き込むためのアクチュエータ14と、を備えている。カニューレ11は、カニューレ・ホルダ15に固定されており、カニューレ・ホルダ15は、ハウジング5、6の内部にスライド可能に収容されている。この目的のため、半殻5、6のそれぞれの内壁及び後部殻9には、平行な長手方向のガイド16が設けられており、カニューレ・ホルダ15には、対応する長手方向溝17が設けられている(図5)。カニューレ・ホルダ15は、可撓性部材18によってアクチュエータ14に接続されており、この実施例では、可撓性部材18は、カニューレ・ホルダ15及びアクチュエータ14と共に一体的な全体を形成している。アプリケータの構成によっては、剛直な部材、及び/又は、アプリケータの組み立ての際に接続される、別個のアクチュエータ、可撓性部材、及びカニューレ・ホルダ、を使用することが、より好都合な場合もある。可撓性部材18は、その両側に且つ好ましくはアクチュエータ14の直下に、横突起19を備えている(図5)。メインハウジング部材5、6の内壁は、順に、対応する2つのストッパ20を備えており(図4)、ストッパ20は、突起19の通過を防止して、アクチュエータ14が意図せずに後方へ引かれるのを防止している。また、横突起19及びストッパ20は、カニューレ・ホルダ15及びカニューレ11が、挿入の際、後方へ押されるのを防止している。
【0021】
ハンドル17の頂部には、トラック21が、アクチュエータ14をガイドするために設けられている。ガイド22は、トラック21の直下に含まれており、アクチュエータ14を押し下げた際に、アクチュエータ14が充分に下方へ曲がるのを可能にして、横突起19がストッパ20を通過できるようにするために、アクチュエータ14の下方に充分な余地を提供するように形作られている。カニューレ11の引き込みは、以下の一作業において実行でき、すなわち、典型的には人差し指を用いてアクチュエータ14へ圧力を加えると、アクチュエータ14は、ストッパ20を越えながら下方へと曲がり、続いて、引き込み位置へと曲がる。
【0022】
また、2つの弾性リップ23が、カニューレ・ホルダ15の後端(基端)に設けられている。メインハウジング部材5、6の内側壁は、順に、対応する2つのストッパ(図示せず)を備えており、それらのストッパは、リップ23の後方への動きを阻止し、それによって、後方向におけるカニューレ・ホルダ15の長手位置を画定する。インプラント3がカニューレ11から突き出るのを防止するために、この機構が、カニューレ・ホルダ15を最も前方の位置へと押しやることが、好ましい。作動時には、リップ23は、内部へと曲がり、ストッパを通過する。
【0023】
レバー24は、ハンドル7の前端に枢動可能に接続されている。レバー24は、レバー24とハンドル7の内壁との間を延びているばね25を用いて、カニューレ11に向かって、軽く付勢されている。本発明の実施例では、レバー24は、保護カバー12及びインプラント3と、相互作用する。この目的のため、レバー24は、下方の壁に位置する第1突起26(図4)と、上縁に位置する一対の横突起27(図5)と、を備えている。
【0024】
保護カバー12(特に図5参照)は、自身の内壁に、一対の隆部28を備えており、隆部28は、半殻5、6の外面の対応するスロット29と協働して、カバー12とメインハウジング部材との間にスライド係合を強いている。更に、カバー12は、ノッチ31によってそれぞれ遮断された、一対のキー30を、上縁に備えている。
【0025】
カニューレ11は、順に、開口32を備えており、開口32は、突起26がインプラント3に係合し、それによって、インプラント3をカニューレ11の内壁に対して軽く押し付けることができるようにしている。
【0026】
保護カバー12が所定の位置にあるとき、レバー24の横突起27は、キー30によって支持されており、第1突起26は、インプラント3をちょうど越えている。
【0027】
保護カバー12が、取り外され、すなわち、長手方向にスライドしてメインハウジング部材から離れる場合には、キー30は、横突起27の下をスライドする。カニューレ11の内部にインプラント3が存在しない場合には、レバー24の突起26は、開口32を通ってカニューレ11へと自由に進入できる。すなわち、横突起27がノッチ31に達したときに、レバー24は、下降し、それによって、カバー12の更なる移動を阻止して、カバー12が取り外されるのを防止し、また、アプリケータがそれ以上使用されるのを防止する。インプラント3が存在する場合には、レバー24は、横突起27が依然としてノッチ31を越えている状態で、ごく僅かだけ下降し、第1突起26を開口32を通じてインプラント3に当接させ、したがって、一方では、カバー12が取り外されるのを可能とし、他方では、インプラント3をカニューレ11の内壁に向かって軽く押し付け、すなわち、インプラント3をカニューレ11の内部に固定する。
【0028】
更に、カバー12は、底部内壁に、ステー33を備えており、ステー33は、好ましくは、上面に、アプリケータ2の長手方向に延びるV形溝を有している。保護カバー12をメインハウジング部材5、6へと配置する際、ステー33は、カニューレ11を僅かに持ち上げ、ピン13に対するカニューレ11の先端の横位置及び高さを、再現性をもって画定し、これにより、カニューレの先端とカバー12の内壁との間の接触を防止する。
【0029】
最後に、メインハウジング部材5、6は、第2ハウジング部材に対応する機構との連携のために、好ましくは後部に、例えば2つのガイド34の少なくとも1つ、及び/又は、例えば2つの弾性フック34Aの少なくとも1つ、を備えている。
【0030】
キットの第2要素8は、ブラケット35を備えており、ブラケット35は、それぞれに突起36A、37Aが設けられている2つの弾性フィンガー36、37を用いて、後部殻9に挿入され且つスナップ嵌合されている。下方のフィンガー37は、端部付近に、好ましくはくさび形の第2突起38を備えており、突起38は、その引き込み位置にカニューレ・ホルダ15を固定する働きをする。ブラケット35は、上記ロッド10を携行する。
【0031】
この実施例では、アプリケータが組み立てられてカニューレ11が延伸位置にあるときに、インプラント3が、カニューレ11の内部に完全に収容されて、典型的にはロッド10の先端に当接するように、ロッド10の長さは、カニューレ・ホルダ15及びカニューレ11の管腔の長さと、インプラント3の長さと、に調節されている。カニューレ11が引き込み位置にあるとき、インプラント3は、カニューレ11から完全に追い出され、ロッド10の先端は、(引き込まれた)カニューレ11の先端から延伸する。
【0032】
最後に、後部殻9は、メインハウジング部材5、6に後部殻9をスライド可能に取り付けるために、例えば2つのガイド39(具体的にはガイド34)の内の少なくとも1つを備えており、及び/又は、メインハウジング部材5、6へ殻をスナップ嵌合するために、例えば2つの隆部39Aの内の少なくとも1つの機構を備えている。
【0033】
以上の説明から明らかであるように、メインハウジング部材は、人間工学及び作動の安全を高める幾つかの高性能な機構を備えている。従って、幾つかのアプリケータが、製造中、品質テストを通過せず不合格となることが、より簡単な構造の場合よりも、頻繁に起こり得る。そのような場合、アプリケータに含まれている比較的高価なインプラントも、失われる。
【0034】
本発明のキットでは、インプラントは、第1要素及び第2要素が承認された後で且つアプリケータが完成される直前に、カニューレの基端部及び/又はカニューレ・ホルダ内へ導入できる。更に、インプラントの導入の間の、カニューレの先端との接触を、効果的に回避できる。
【0035】
インプラントの自動導入を容易にするため、カニューレ11の管腔の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ15は、漏斗形状の入口40を備えている。インプラントがカニューレの上縁に接触するのを防止するため、すなわち、カニューレ内への挿入の間にインプラントが損傷する危険性を更に減少させるため、漏斗形状の入口の最も狭い部分の直径は、カニューレの内径と等しい又はそれより小さい。
【0036】
また、第1要素4、特にメインハウジング部材は、1つ以上の工具との相互作用を高める機構を、備えることができる。この実施例では、メインハウジング部材5、6は、開いた後部分の縁部に、インプラント3をカニューレ・ホルダ15内へ導入するための工具の適した配置のための充分な余地を設けるために、ノッチ41を備えている。
【0037】
この実施例では、キット2は、以下の工程を用いて製造される。それは、
カニューレ11の少なくとも基端部を金型に導入し、基端部の周りにカニューレ・ホルダ15を成型し、そして、カニューレ・ホルダ15及びカニューレ11の入口40の正確な配置を提供する、工程と、
カニューレ・ホルダ15、カニューレ11、アクチュエータ14、レバー24、及び、ばね25を、半殻5、6の内部へ配置し、超音波によってそれらを溶接する、工程と、
カバー12をメインハウジング部材5、6の上へ置く、工程と、
ロッド10を後部殻9へ取り付け、得られた第1要素及び第2要素が製造規格を順守しているかを検査する、工程と、である。
【0038】
キットは、現在、同じ施設でも、又は、他の場所、例えばインプラントが製造された施設でも、インプラントを収容できる状態である。
【0039】
インプラント3は、この実施例では、大きな直径のリールに巻き付いた繊維の形態で提供されており、以下の工程を用いて、アプリケータ2内へ導入される。それは、
リールから繊維の端部を取り、インプラント3を寸法に切断し、インプラント3を検査し、カニューレ11の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ15内へ、第1要素4の開いた後部分を通して、インプラント3を導入する、工程と、
ロッド10をカニューレ11及び/又はカニューレ・ホルダ15の内部へ取り付け、第2要素8を第1要素4へスナップ嵌合することにより、開口を閉じる、工程と、
アプリケータ2を殺菌し、包装する、工程と、である。
【0040】
本発明によるキットは、脆弱なインプラント、特に活性物質を長期間に渡ってゆっくりと放出するインプラントを、用いるのに、特に適している。そのようなインプラントの好ましい実施例は、例えば3年間という長期間に渡って妊娠の予防を提供する、単一棒の避妊薬インプラントである。これは、長さが40mmであり直径が2mmである生分解性でない棒からなっている。挿入後、この棒は、プロゲストゲン・ホルモン、すなわちエトノゲストレル(etonogestrel)をゆっくりと放出する。
【0041】
本発明は、上述の実施形態に限定されるわけではなく、上述の実施形態は、特許請求の範囲の範疇においてさまざまなやり方で変更することができる。例えば、一実施形態では、少なくとも、メインハウジング部材及び第2ハウジング部材、カニューレ・ホルダ、及び、ロッドは、例えば射出成型によって、合成物質で作られている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるキットの斜視図である。
【図2】本発明によるキットの斜視図である。
【図3】アプリケータの斜視図である。
【図4】図3のアプリケータの断面側面図である。
【図5】図3のアプリケータの拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント(3)、特に活性物質を含んでいる棒状のインプラントを、ヒト又は動物の皮下へと挿入するための使い捨て可能なアプリケータ(2)を組み立てるためのキット(1)であって、
第1要素(4)と、第1要素(4)と分離した第2要素(8)と、を備えており、
第1要素(4)は、順に、アプリケータ(2)を把持し操作するためのハンドル(7)を備えたメインハウジング部材(5、6)と、カニューレ(11)と、メインハウジング部材(5、6)に取り付けられたカニューレ・ホルダ(15)と、を備えており、メインハウジング部材(5、6)は、カニューレ(11)の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)内へのインプラント(3)の導入を可能にする、開口を、有しており、
第2要素(8)は、上記開口を閉じるためのものであり、順に、メインハウジング部材(5、6)に対して少なくとも部分的に相補的形状の第2ハウジング部材(9)と、第2ハウジング部材(9)に取り付けられた又は第2ハウジング部材(9)と一体的な全体を形成しており、且つ、カニューレ(11)及び/又はカニューレ・ホルダ(15)の内側に取り付け可能である、ロッド(10)と、を備えている、ことを特徴とするキット(1)。
【請求項2】
第1要素(4)及び第2要素(8)が、一方の部材を他方の部材へ不可逆的に取り付ける、相補的機構(34、39)を備えている、請求項1記載のキット(1)。
【請求項3】
開口と、カニューレ(11)の管腔の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)と、の間の距離が、使用されるインプラント(3)の長さより短く、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である、請求項1又は2に記載のキット(1)。
【請求項4】
カニューレ(11)の管腔の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)が、漏斗形状の入口(40)を備えている、前記請求項のいずれか1つに記載のキット(1)。
【請求項5】
漏斗形状の入口(40)の最も狭い部分の直径が、カニューレ(11)の内径と等しい又はそれより小さい、請求項4記載のキット(1)。
【請求項6】
メインハウジング部材が、2つの半殻(5、6)を備えており、第2ハウジング部材が更なる殻(9)を備えており、
殻(5、6、9)は、組まれた状態で、空洞と、実質的には閉じられたハウジングと、を形成している、前記請求項のいずれか1つに記載のキット(1)。
【請求項7】
第1要素(4)が、アクチュエータ(14)を備えており、
アクチュエータ(14)は、組まれた状態で、ロッド(10)を越えて、カニューレ(11)及びカニューレ・ホルダ(15)を引き込むことができるように、カニューレ・ホルダ(15)に接続されている、前記請求項のいずれか1つに記載のキット(1)。
【請求項8】
ハンドル(7)が、第1要素(4)から伸びているカニューレ(11)の長さの、少なくとも30%以上、好ましくは少なくとも50%以上、更に好ましくは少なくとも80%以上、又は、その全長以上、長く伸びている、前記請求項のいずれか1つに記載のキット(1)。
【請求項9】
第1要素(4)が、カニューレ(11)の少なくとも一部分に沿って伸びているレバー(24)を有する機構を、備えており、
レバー(24)は、第1位置と第2位置との間において、回転可能であり、及び/又は、スライド可能であり、及び/又は、柔軟であり、
第1位置では、インプラント(3)が、カニューレ(11)及び/又はカニューレ・ホルダ(15)の内側に固定されており、
第2位置では、インプラント(3)が、取り外されている、前記請求項のいずれか1つに記載のキット(1)。
【請求項10】
使い捨て可能なアプリケータ(2)を組み立てる方法であって、
第1要素(4)と、第1要素と分離した第2要素(8)と、を準備する工程と、
インプラント(3)を、開口を通して、カニューレ(11)の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)内へ、導入する工程と、
カニューレ(11)及び/又はカニューレ・ホルダ(15)の内側にロッド(10)を取り付け、且つ、一方のハウジング部材を他方のハウジング部材へ取り付けることによって開口を閉じる、工程と、を連続して備えており、
第1要素(4)は、アプリケータ(2)を把持し操作するためのハンドル(7)を備えたメインハウジング部材(5、6)と、カニューレ(11)と、メインハウジング部材(5、6)に取り付けられたカニューレ・ホルダ(15)と、を備えており、
メインハウジング部材(5、6)は、カニューレ(11)の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)内へのインプラント(3)の導入を可能にする、開口を、有しており、
第2要素(8)は、上記開口を閉じるためのものであり、順に、メインハウジング部材(5、6)に対して少なくとも部分的に相補的形状の第2ハウジング部材(9)と、第2ハウジング部材(9)に取り付けられた又は第2ハウジング部材(9)と一体的な全体を形成しているロッド(10)と、を備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
カニューレ(11)の基端部及び/又はカニューレ・ホルダ(15)内にインプラント(3)を導入する前に、インプラント(3)をリールから取って寸法に切断する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
カニューレ(11)の少なくとも基端部を金型に導入し、基端部の周りにカニューレ・ホルダ(15)を成型することによって、カニューレ・ホルダ(15)が、製造される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
インプラント(3)の導入前に、少なくとも第1要素(4)が、製造規格を順守しているか検査される、請求項10〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1つに記載の方法を用いて得られ、無菌包装内に収容されている、ことを特徴とする、使い捨て可能なアプリケータ(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−523515(P2009−523515A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550747(P2008−550747)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050406
【国際公開番号】WO2007/082889
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507249362)ナムローゼ・フェンノートシャップ・オルガノン (3)
【氏名又は名称原語表記】N.V. ORGANON
【Fターム(参考)】