インホイールモータの潤滑装置
【課題】 安定したオイルの吸い込みを達成できるインホイールモータの潤滑装置を提供すること。
【解決手段】 インホイールモータの潤滑装置において、ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材に、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材を設けた。
【解決手段】 インホイールモータの潤滑装置において、ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材に、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インホイールモータの潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潤滑装置として特許文献1に記載の技術が知られている。この公報には、オイルパンに溜められた潤滑油を吸い込む吸い込み管をエンジンの本体側に回動可能に連結する技術が開示されている。これにより、エンジンが傾斜すると、吸い込み管が重力によって回動し安定した潤滑油の吸入を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−293373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の駆動輪のホイール内に配置されるインホイールモータの潤滑を行うにあたり、上記特許文献1の技術を採用した場合、下記に示す問題があった。すなわち、バネ下に配置されるインホイールモータでは振動等の影響により油面の変化が激しく、また、コンパクト化の要求から貯留できる油量が限られている。このとき、上記特許文献1のように吸い込み管を回動させたとしても、潤滑油の動きと吸い込み管の動きの位相を合わせることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、安定したオイルの吸い込みを達成できるインホイールモータの潤滑装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のインホイールモータの潤滑装置では、ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材に、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材を設けた。
【発明の効果】
【0007】
これにより、オイルの移動と吸入路形成部材の回動による移動との位相ずれを抑制でき、安定したオイルの吸入を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のドライブユニットの構成を表す概略図である。
【図2】各要件を定義するためのドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図3】各要件を定義するための吸入路形成部材と回動補助部材との関係を示す拡大断面図である。
【図4】実施例1のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図5】実施例1のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図6】実施例2のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図7】実施例2のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図8】実施例3のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図9】実施例3のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図10】実施例3の変形例を示す概略図である。
【図11】実施例4のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図12】実施例4のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図13】実施例4の変形例を表す図である。
【図14】実施例5のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図15】実施例5のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。
【図16】実施例6のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図17】実施例6のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は本発明のインホイールモータの潤滑装置が適用された実施例1のドライブユニットの構成を表す概略図である。このドライブユニットDUは、駆動輪SのホイールWH内に配置されたインホイールモータと言われるものである。ドライブユニットDUは円筒形であって両側が閉塞されたハウジング1と、ハウジング1内周に固定支持され複数のコイルから成るステータ2と、複数の永久磁石対から構成されステータ2の内周側において回転するロータ3と、ロータ3と一体に回転する駆動軸4を有する。ステータ2とロータ3によりモータを構成する。尚、図1に示すように、ハウジング1は車両等に搭載された状態を表し、図1中の上方向は車両搭載時の鉛直方向上方と一致し(以下、上と記載する)、下方向は車両搭載時の鉛直方向下方と一致する(以下、下と記載する)。以下の説明において高い、低いという言葉は、この上下方向に沿った概念を表すものとする。
【0010】
ハウジング1の下部にはステータ2の一部が浸漬するオイルパン7が形成されている。また、ハウジング1の左側面には円筒部を閉塞する側壁1aが形成され、この側壁1aにはオイルポンプ10及び各流路が設けられている。また、ロータ3にはオイルポンプ10が接続され、ロータ3の回転数に応じてオイルパン7内のオイルをハウジング1の上部に汲み上げる。
【0011】
駆動軸4には減速機構として遊星歯車機構PGが設けられている。遊星歯車機構PGはサンギヤSと、ピニオンPを軸支するピニオンキャリヤPCと、リングギヤRから構成されている。駆動軸4はサンギヤSに連結され、ピニオンキャリヤPCには出力軸5が連結され、リングギヤRはハウジング1に対して固定支持されている。出力軸5は車両の駆動輪Sを支持するホイールWHに接続されている。
【0012】
オイルパン7には、オイルポンプ10の吸入側と接続された吸入油路11に対して回動可能に取り付けられた吸入路形成部材100が接続されている。尚、詳細については後述する。また、オイルポンプ10の吐出側と接続された吐出油路12には、ハウジング1内の上部に開口するオイル供給ポート13が形成されている。ロータ3が回転駆動し、オイルポンプ10が回転駆動されると、オイルパン7に貯留されたオイルは吸入路形成部材100を介して汲み上げられ、オイル供給ポート13から吐出する。この吐出されたオイルはステータ2,ロータ3,遊星歯車機構PG及び各摺動部等に供給され、潤滑や冷却を行った後、再度オイルパン7に回収される。
【0013】
〔吸入路形成部材の構成〕
次に、吸入路形成部材の構成について説明するにあたり各構成の位置関係の定義を図2及び図3を用いて説明する。図2はドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。図2(a)は側壁1a側から吸入路形成部材100を見たA-A断面図(RearView)を示し、図2(b)はB-B断面図を示す。実施例1の吸入路形成部材100は、略L字形状のパイプであり、吸入油路11との接合部において回動可能に接続されている。この接合部の中心を以下、回動中心と記載する。吸入路形成部材100はロータ軸と平行に延在された第1パイプ101とロータ軸と直交方向に延在された第2パイプ102を有する。以下、第2パイプ102が回動する際に通過する平面を回動平面と定義し、回動中心の周りに第2パイプ102の下端が移動する方向を回動周方向と定義する。また、第2パイプ102の中心を吸入部軸と定義する。この吸入部軸は回動に伴い回動する軸となる。
【0014】
回動中心は、左右方向にあってはロータ軸と一致し、上下方向にあってはロータ軸よりも下方、かつ、静的な初期オイル面よりも上方に位置している。尚、静的な初期オイル面とはドライブユニットに真下方向の重力加速度が作用する以外の力が作用していない状態を表し、この初期オイル面はロータ3の下端より下方、更にはステータ2の下端内周面より下方に設定されている。また、吸入路形成部材100の下端に該当する第2パイプ開口部102aは、初期オイル面よりも下方、かつ、オイルパン7の最下端よりも上方に位置され、言い換えると、第2パイプ102は回動中心からオイルパン7の最下端の長さよりも短い長さに設定されている。
【0015】
図3は吸入路形成部材と回動補助部材との関係を示す拡大断面図である。尚、角度関係を定義するにあたり、便宜的に回動補助部材200としてプレート状のものを用いる。回動補助部材200と吸入部軸との成す角をαとし(図3(a)参照)、回動補助部材200と回動平面との成す角をβとする(図3(b),(c)参照)。尚、図3(c)に示す図は吸入路形成部材100を下面側から見た図(BottomView)を示す。
【0016】
図4は実施例1のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例1の回動補助部材200は略長方形のプレート形状であり、この回動補助部材200は吸入部軸との成す角αを0度、回動平面との成す角βを90度に設定している。また、回動補助部材200の上端は、初期オイル面よりも深さH1(例えば5mm)に位置し、オイルパン7の最下端よりも高さH2(例えば10mm)に位置している。また、回動補助部材200の回動軸方向側端は、側壁1aの内壁との間に所定隙間T1に位置している。実施例1の場合、ドライブユニット内壁の形状は円筒部下端にあってはロータ軸を中心とする円形であることから、何ら外力が作用していないときの吸入路形成部材100の吸入部軸が下方に向いているときがドライブユニット内壁や側壁1aの内壁と最も近接した位置となる。よって、この状態を基準に回動補助部材200の位置を規定することとした。このように、回動補助部材200の位置は、内壁から所定隙間H2,T1を有しているため、吸入路形成部材100が回動するにあたり内壁と接触することがない。尚、H1<H2の関係となるのが好ましい。
【0017】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図5は実施例1のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。図5(a)に外力が働いていない初期状態を表し、加速等によって加速度Gが作用した瞬間を図5(b)に、加速度Gが定常的に作用している定常時を図5(c)に示す。初期状態から加速度Gが作用すると、内部のオイルにも加速度Gが作用することから、オイルがドライブユニット内壁に沿って移動しようとする。しかし、回動補助部材200によってオイルの流れが阻害され、図5(b)に示すように、回動補助部材200よりも前方側のオイル面は高く、回動補助部材200よりも後方側のオイル面は低くなる。このとき、オイルが回動補助部材200にぶつかることによる流体力によって吸入路形成部材100にも後方側に移動させる力が作用する。そして、定常時になると、オイル面の傾斜に対して略直行方向を向いて吸入路形成部材100の吸入部軸も傾斜する。これにより、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、安定した吸入を確保する。
【0018】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)駆動輪SのホイールWH内に配置され、モータを収装するドライブユニットDUと、ドライブユニット内の下方に貯留されたオイルを吸入し、ドライブユニット内に供給するオイルポンプ10と、オイルポンプ10の吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材100と、吸入路形成部材100に設けられ、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材100の回動方向の力に変換する回動補助部材200と、を備えた。よって、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、走行状態に係らず安定したオイル吸入を達成できる。
【0019】
(2)回動補助部材200は、プレートであるため、簡易な構成でオイルの移動抵抗を形成することができる。
【0020】
(3)回動補助部材200は、吸入路形成部材の回動平面に対して所定角度βを有するため、オイルの移動に対して有利に抵抗を付与(回動補助をする)ことができる。
【0021】
(4)特に、実施例1では所定角度βは90度であるため、回動平面に対し垂直方向のオイルの移動に対して最も効率よく抵抗を付与する(回動補助をする)ことができる。
【0022】
(5)回動補助部材200は、吸入路形成部材100の吸入部軸に対して所定角度αを有するため、オイルの移動に対して有利に抵抗を付与(回動補助をする)ことができる。
【0023】
(6)特に、実施例1では所定角度αは0度であるため、回動平面に対し垂直方向のオイルの移動に対して有利に抵抗を付与することができる。
【0024】
(7)回動補助部材200は、モータのロータ3よりも下方に設置されているため、オイル面が低く設定されていても、効率よくオイルの移動に抵抗を付与することができる。また、ロータ3との干渉を防ぐことができる。
【0025】
(8)回動補助部材200の下端は、回動範囲においてドライブユニット内壁との間に所定隙間H2を有するため、回動中にドライブユニット内壁と干渉することがなく、吸入路形成部材100の安定した作動を阻害することがない。
【0026】
(9)尚、所定隙間H2は、回動範囲のうち、回動補助部材200の下端とドライブユニット内壁とが最も近接する位置(実施例1では初期状態)を基準として設定されているため、回動したとしてもこれら隙間が狭くなることがなく、安定した作動を実現できる。また、回動初期において最もオイルの移動抵抗を付与することができる。
【0027】
(10)回動補助部材200は、初期位置においてオイル面よりも下方の所定高さ位置(オイル面よりH1だけ深い位置)に配置されているため、回動補助部材200の全ての面でオイルの移動抵抗を付与することができる。
【0028】
(11)回動補助部材200の回動軸方向側端は、回動範囲においてドライブユニット内壁との間に所定隙間T1を有するため、回動中にドライブユニット内壁と干渉することがなく、吸入路形成部材100の安定した作動を阻害することがない。
【0029】
(12)尚、所定隙間T1は、回動範囲のうち、回動補助部材200の回動軸方向側端とドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されているため、回動したとしてもこれら隙間が狭くなることがなく、安定した作動を実現できる。ちなみに、実施例1では側壁1aの内壁は平面形状であるため、全ての回動範囲において所定隙間T1は一定である。
【実施例2】
【0030】
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図6は実施例2のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例2の回動補助部材200は略長方形のプレート形状であり、この回動補助部材200は吸入部軸との成す角αを90度、回動平面との成す角βを90度に設定している。また、回動補助部材200の上面(上端)は、初期オイル面よりも深さH1に位置し、オイルパン7の最下端よりも高さH2に位置している。また、回動補助部材200の回動軸方向両側端は、側壁1aの内壁との間あっては所定隙間T1に位置し、ステータ2との間にあっては所定隙間T2に位置している。実施例2の場合、ドライブユニット内壁の形状は円筒部下端にあってはロータ軸を中心とする円形であることから、回動補助部材200の吸入部軸方向及び回動軸方向の両方に直行する方向側端は、吸入路形成部材100が最も傾いたときにドライブユニット内壁と最も近接した位置となる。よって、この状態を基準に回動補助部材200の位置を規定し、ドライブユニット内壁との間で隙間W1を設定することとした。このように、回動補助部材200の位置は、内壁から所定隙間H2,T1,W1を有しているため、吸入路形成部材100が回動するにあたり内壁と接触することがない。尚、H1<H2,(T1=T2)<W1の関係となるのが好ましい。
【0031】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図7は実施例2のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。図7(a)に外力が働いていない初期状態を表し、加速等によって加速度Gが作用した瞬間を図7(b)に、加速度Gが定常的に作用している定常時を図7(c)に示す。初期状態から加速度Gが作用すると、内部のオイルにも加速度Gが作用することから、オイルがドライブユニット内壁に沿って移動しようとする。このとき、図7(b)に示すように、回動補助部材200の上面より上に位置するオイルは下方に移動しようとし、一方回動補助部材200の下面より下に位置するオイルは上方に移動しようとする。このように回動補助部材200によってオイルの流れが阻害され、オイルが回動補助部材200にぶつかることによる流体力によって回動補助部材200にモーメントが発生し、吸入路形成部材100を後方側に移動させる力が作用する。そして、定常時になると、オイル面の傾斜に対して略直行方向を向いて吸入路形成部材100の吸入部軸も傾斜する。これにより、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、安定した吸入を確保する。加えて、実施例2の回動補助部材200はオイル面に対して平面的に広がるように配置されているため、ドライブユニットDUに上下方向の振動が入力されたとしても、オイルが上下に飛散するのを防止することができ、より安定したオイル面を得ることができる。
【0032】
以上説明したように、実施例2にあっては実施例1の各効果(1)〜(5),(7)〜(12)に加えて下記に列挙する作用効果を得ることができる。
【0033】
(13)回動補助部材200は、吸入路形成部材100の吸入部軸に対して所定角度α=90度であるため、オイルが円筒状のオイルパン7内を移動する際、オイルの移動による流体力によってモーメントを発生させることができ、吸入路形成部材100を効果的に移動させることができる。また、上下方向の振動等が入力されたとしてもオイルの飛散を抑制することができ、安定したオイル面を得ることができる。
【0034】
(14)尚、実施例2の回動補助部材200の吸入部軸方向の位置を、回動補助部材200より上方のオイル液量と下方のオイル液量とが略一致する高さ位置に設定してもよい。この場合、効率よくモーメント力を発生させることができる。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図8は実施例3のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例3の回動補助部材200は略クノ字形状に屈曲した屈曲面を有する構成であり、それ以外の構成については実施例1と同じである。
【0036】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図9は実施例3のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。基本的な作用は実施例1と同じである。ただし、屈曲した方向に加速度Gが作用するときは効果的にオイルの移動を捕獲できる。このことは、言い換えると、屈曲した方向と逆向きに加速度が作用した場合には、十分にオイルの移動を捕獲できず、加速度の方向によって回動補助部材200に生じる流体力が異なる、すなわち異方性を有する。
【0037】
ここで、実施例3の変形例について説明する。図10は実施例3の変形例を示す概略図である。実施例3では吸入路形成部材100の回動軸方向一方側にのみ回動補助部材200を設けた。これに対し、変形例3では回動軸方向両側に回動補助部材200を設けたものである。また、実施例3ではクノ字形状に屈曲した屈曲面を有していたが、変形例では御椀状に湾曲した屈曲面を有する。加えて、上述したように屈曲面とオイルの移動方向との間に異方性を有することから、一方の屈曲方向と他方の屈曲方向とを反対向きに形成している。これにより、異方性を解消することができる。
【0038】
以上説明したように、実施例3にあっては実施例1の(1)〜(12)の効果に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
【0039】
(15)回動補助部材200は屈曲面を有するため、屈曲方向へのオイルの移動に対しより効果的にオイルを捕獲することができる。この屈曲面は、クノ字形状でもよいし、御椀形状でもよい。また、オイルの移動方向に対する異方性を解消するにあたり、吸入路形成部材100の回動軸方向の両側で異なる屈曲方向を設定することができる。
【実施例4】
【0040】
次に実施例4について説明する。図11は実施例4のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例2と同じであるため異なる点についてのみ説明する。実施例2では平坦なプレートを回動補助部材として採用した。これに対し、実施例4では、回動補助部材200の中央部(吸入路形成部材100が貫通する箇所)に、回動軸方向に沿って隆起した屈曲面201を形成した点が異なる。
【0041】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図12は実施例4のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。基本的な作用は実施例2と同じである。ただし、プレートの上側に隆起した屈曲面201を有するため、回動補助部材200の上に位置するオイルの左右移動に対しても流体力を受けることができ、より効果的に回動補助を行うことができる。
【0042】
次に、実施例4の変形例について説明する。図13は実施例4の変形例を表す図である。実施例4では平坦なプレートの一部に上方に屈曲した屈曲面を形成したが、変形例では全体を緩やかな屈曲面として形成したものである。この場合にも、実施例4と同様の作用効果を得ることができる。尚、実施例4及びその変形例において屈曲面の屈曲頂点は吸入部形成部材100と重なる中心に位置することが望ましい。これは回動方向の異方性を抑制する必要があるからである。
【0043】
以上説明したように、実施例4にあっては、実施例2の効果に加えて、実施例1,3の効果も得ることができる。
【実施例5】
【0044】
次に実施例5について説明する。図14は実施例5のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例2と同じであるため異なる点についてのみ説明する。実施例2では、ドライブユニット内壁の形状が、ロータ軸を中心とした円弧形状を有していたのに対し、実施例5では、ドライブユニット内壁の一部の形状を、回動軸を中心とした円弧形状とした点が異なる。尚、側壁1aやステータ2の形状は変更がないため、オイルパン7を構成する円筒部分の下方に着目して説明する。
【0045】
オイルパン7の底面形状は、初期状態において回動補助部材200が位置する高さ(図14のP点参照)まではロータ軸を中心とする円弧形状である。ここから回動軸を中心とする円弧形状となるようにドライブユニット内壁よりも内周側に突出した内壁部材300が形成されている。言い換えると、回動補助部材200の回動方向端部とドライブユニット内壁との隙間X1が回動範囲において略一定となるように形成されている。この内壁部材300は走行時等においてオイルが移動する最大範囲まで担保する程度の高さまで形成されている。
【0046】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図15は実施例5のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。図15(a),(b)に示す基本的な作用は実施例2と同じである。ここで、オイルの移動に伴い吸入路形成部材100が回動していくと、実施例2の場合、ドライブユニット内壁と回動方向端部との間の隙間が広がっていってしまう。この隙間が広がると、回動補助部材200の下方に位置するオイルの移動による流体力が逃げてしまい、十分なモーメントを発生させることができない。これに対し、実施例5では、隙間X1が回動範囲において略一定となるように内壁部材300を配置したことで、回動位置によらず常時安定した流体力を作用させることができ、安定した吸入路形成部材100の作動を得ることができる。尚、実施例5の場合、オイル面が変化すると、実施例2に比べてオイルを貯留する容積が減少することを意味する。この場合、オイル面が上昇するため、より安定したオイルの吸入を確保することができるという効果が得られる。
【0047】
以上説明したように実施例5にあっては、実施例2の作用効果に加えて下記の効果が得られる。
【0048】
(16)オイル面変動時の回動補助部材200とドライブユニット内壁との距離が、略一定(初期の距離以下)となるように内壁部材300を設けた(ドライブユニット内壁を構成した)ため、安定的にオイルの流体力を得ることができる。
【0049】
(17)内壁部材300(ドライブユニットの内壁)は、回動中心を中心とする円弧形状であるため、一定の隙間X1を確保することができ、安定的にオイルの流体力を得ることができる。尚、実施例5では、初期状態において回動補助部材200より下に位置するオイルパン形状としてロータ軸を中心とする円弧形状とし、初期状態において回動補助部材200より上に位置するオイルパン形状として回動中心を中心とする円弧形状とすることで、オイル面が変動するとオイル面と回動中心との距離を近づけることができ、より安定したオイル吸入を達成することができる。
【実施例6】
【0050】
次に実施例6について説明する。図16は実施例6のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例5と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例5では、内壁部材300を初期状態の回動補助部材200の高さ位置から上方に形成した。これに対し、実施例6では、初期状態の回動補助部材200の高さ位置よりも下方から上方に向けて内壁部材300を形成した点が異なる。更に、内壁部材300とドライブユニット内壁との間の空間を利用して補助タンク70を形成した。また、内壁部材300の下端にはワンウェイバルブ301が形成されている。このワンウェイバルブ301はオイルがオイルパン7側から補助タンク70側に移動しようとすると、その移動を妨げ、一方、補助タンク70側からオイルパン7側にどうしようとすると、その移動は許容するものである。すなわち、内壁部材300を広い領域に形成すると、その分だけ貯留できるオイルの量が減少する。よって、オイル不足を回避する観点から、補助タンク70を形成し、オイルパン内のオイルが減少したときは補助タンク70側から適宜オイルがオイルパン7側に供給されることでオイル不足を解消している。
【0051】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図17は実施例6のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。図17(a),(b)に示す基本的な作用は実施例5と同じである。ここで、オイルが移動するにあたり、内壁部材300の下端に形成されたワンウェイバルブ301の作用によってオイルパン7内のオイルは補助タンク70側には供給されない。よって、オイルパン7内のオイルの全てはオイルパン7内のオイル面変化に作用させることができる。また、加速度の作用が無くなり、初期状態に戻った場合において、仮にオイルパン7内のオイルが減少し、オイルパン7内のオイル面が補助タンク70のオイル面よりも低くなっている場合には、ワンウェイバルブ301を介して補助タンク70のオイルがオイルパン7側に供給され、両者のオイル面は同じ高さとなる。このようにオイル量不足を解消することができるものである。
【0052】
以上説明したように、実施例6にあっては実施例5の作用効果に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(18)ドライブユニット内壁に補助タンク70を有するため、内壁部材300によって貯留するオイル量が減少したとしても、オイル量不足を解消することができる。
【0053】
以上実施例1〜6について説明したが、本発明は他の車両構成に適用してもよい。例えば、実施例1〜4に示す構成に実施例5,6を組み合わせてもよい。また、内壁部材としてプレート状の隔壁を備えた構成を示したが、ドライブユニット内壁にリブ等を形成し、これにより内壁部材として形成してもよい。
【0054】
また、オイルポンプ10をハウジング1の側壁1a内に取り付けた例を示したが、オイルポンプを別体として構成してもよいし、他の位置に配置してもよい。また、オイルポンプ10で汲み上げたオイルを吐出するポートとしてオイル供給ポート13を一箇所に設けた例を示したが、潤滑や冷却が必要な複数個所にオイル供給ポート13を形成してもよい。
【0055】
また、実施例1では減速機構を備えたインホイールモータを示したが、減速機構を備えることなくモータのロータ3と駆動輪Sとが直結された構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0056】
1 ハウジング
1a 側壁
2 ステータ
3 ロータ
4 駆動軸
5 出力軸
7 オイルパン
10 オイルポンプ
11 吸入油路
12 吐出油路
13 オイル供給ポート
70 補助タンク
100 吸入路形成部材
200 回動補助部材
201 屈曲面
300 内壁部材
301 ワンウェイバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、インホイールモータの潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潤滑装置として特許文献1に記載の技術が知られている。この公報には、オイルパンに溜められた潤滑油を吸い込む吸い込み管をエンジンの本体側に回動可能に連結する技術が開示されている。これにより、エンジンが傾斜すると、吸い込み管が重力によって回動し安定した潤滑油の吸入を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−293373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の駆動輪のホイール内に配置されるインホイールモータの潤滑を行うにあたり、上記特許文献1の技術を採用した場合、下記に示す問題があった。すなわち、バネ下に配置されるインホイールモータでは振動等の影響により油面の変化が激しく、また、コンパクト化の要求から貯留できる油量が限られている。このとき、上記特許文献1のように吸い込み管を回動させたとしても、潤滑油の動きと吸い込み管の動きの位相を合わせることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、安定したオイルの吸い込みを達成できるインホイールモータの潤滑装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のインホイールモータの潤滑装置では、ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材に、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材を設けた。
【発明の効果】
【0007】
これにより、オイルの移動と吸入路形成部材の回動による移動との位相ずれを抑制でき、安定したオイルの吸入を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のドライブユニットの構成を表す概略図である。
【図2】各要件を定義するためのドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図3】各要件を定義するための吸入路形成部材と回動補助部材との関係を示す拡大断面図である。
【図4】実施例1のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図5】実施例1のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図6】実施例2のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図7】実施例2のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図8】実施例3のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図9】実施例3のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図10】実施例3の変形例を示す概略図である。
【図11】実施例4のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図12】実施例4のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態を表す概略図である。
【図13】実施例4の変形例を表す図である。
【図14】実施例5のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図15】実施例5のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。
【図16】実施例6のドライブユニットのオイルパン部分を拡大した拡大断面図である。
【図17】実施例6のオイル面変化時の吸入路形成部材の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は本発明のインホイールモータの潤滑装置が適用された実施例1のドライブユニットの構成を表す概略図である。このドライブユニットDUは、駆動輪SのホイールWH内に配置されたインホイールモータと言われるものである。ドライブユニットDUは円筒形であって両側が閉塞されたハウジング1と、ハウジング1内周に固定支持され複数のコイルから成るステータ2と、複数の永久磁石対から構成されステータ2の内周側において回転するロータ3と、ロータ3と一体に回転する駆動軸4を有する。ステータ2とロータ3によりモータを構成する。尚、図1に示すように、ハウジング1は車両等に搭載された状態を表し、図1中の上方向は車両搭載時の鉛直方向上方と一致し(以下、上と記載する)、下方向は車両搭載時の鉛直方向下方と一致する(以下、下と記載する)。以下の説明において高い、低いという言葉は、この上下方向に沿った概念を表すものとする。
【0010】
ハウジング1の下部にはステータ2の一部が浸漬するオイルパン7が形成されている。また、ハウジング1の左側面には円筒部を閉塞する側壁1aが形成され、この側壁1aにはオイルポンプ10及び各流路が設けられている。また、ロータ3にはオイルポンプ10が接続され、ロータ3の回転数に応じてオイルパン7内のオイルをハウジング1の上部に汲み上げる。
【0011】
駆動軸4には減速機構として遊星歯車機構PGが設けられている。遊星歯車機構PGはサンギヤSと、ピニオンPを軸支するピニオンキャリヤPCと、リングギヤRから構成されている。駆動軸4はサンギヤSに連結され、ピニオンキャリヤPCには出力軸5が連結され、リングギヤRはハウジング1に対して固定支持されている。出力軸5は車両の駆動輪Sを支持するホイールWHに接続されている。
【0012】
オイルパン7には、オイルポンプ10の吸入側と接続された吸入油路11に対して回動可能に取り付けられた吸入路形成部材100が接続されている。尚、詳細については後述する。また、オイルポンプ10の吐出側と接続された吐出油路12には、ハウジング1内の上部に開口するオイル供給ポート13が形成されている。ロータ3が回転駆動し、オイルポンプ10が回転駆動されると、オイルパン7に貯留されたオイルは吸入路形成部材100を介して汲み上げられ、オイル供給ポート13から吐出する。この吐出されたオイルはステータ2,ロータ3,遊星歯車機構PG及び各摺動部等に供給され、潤滑や冷却を行った後、再度オイルパン7に回収される。
【0013】
〔吸入路形成部材の構成〕
次に、吸入路形成部材の構成について説明するにあたり各構成の位置関係の定義を図2及び図3を用いて説明する。図2はドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。図2(a)は側壁1a側から吸入路形成部材100を見たA-A断面図(RearView)を示し、図2(b)はB-B断面図を示す。実施例1の吸入路形成部材100は、略L字形状のパイプであり、吸入油路11との接合部において回動可能に接続されている。この接合部の中心を以下、回動中心と記載する。吸入路形成部材100はロータ軸と平行に延在された第1パイプ101とロータ軸と直交方向に延在された第2パイプ102を有する。以下、第2パイプ102が回動する際に通過する平面を回動平面と定義し、回動中心の周りに第2パイプ102の下端が移動する方向を回動周方向と定義する。また、第2パイプ102の中心を吸入部軸と定義する。この吸入部軸は回動に伴い回動する軸となる。
【0014】
回動中心は、左右方向にあってはロータ軸と一致し、上下方向にあってはロータ軸よりも下方、かつ、静的な初期オイル面よりも上方に位置している。尚、静的な初期オイル面とはドライブユニットに真下方向の重力加速度が作用する以外の力が作用していない状態を表し、この初期オイル面はロータ3の下端より下方、更にはステータ2の下端内周面より下方に設定されている。また、吸入路形成部材100の下端に該当する第2パイプ開口部102aは、初期オイル面よりも下方、かつ、オイルパン7の最下端よりも上方に位置され、言い換えると、第2パイプ102は回動中心からオイルパン7の最下端の長さよりも短い長さに設定されている。
【0015】
図3は吸入路形成部材と回動補助部材との関係を示す拡大断面図である。尚、角度関係を定義するにあたり、便宜的に回動補助部材200としてプレート状のものを用いる。回動補助部材200と吸入部軸との成す角をαとし(図3(a)参照)、回動補助部材200と回動平面との成す角をβとする(図3(b),(c)参照)。尚、図3(c)に示す図は吸入路形成部材100を下面側から見た図(BottomView)を示す。
【0016】
図4は実施例1のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例1の回動補助部材200は略長方形のプレート形状であり、この回動補助部材200は吸入部軸との成す角αを0度、回動平面との成す角βを90度に設定している。また、回動補助部材200の上端は、初期オイル面よりも深さH1(例えば5mm)に位置し、オイルパン7の最下端よりも高さH2(例えば10mm)に位置している。また、回動補助部材200の回動軸方向側端は、側壁1aの内壁との間に所定隙間T1に位置している。実施例1の場合、ドライブユニット内壁の形状は円筒部下端にあってはロータ軸を中心とする円形であることから、何ら外力が作用していないときの吸入路形成部材100の吸入部軸が下方に向いているときがドライブユニット内壁や側壁1aの内壁と最も近接した位置となる。よって、この状態を基準に回動補助部材200の位置を規定することとした。このように、回動補助部材200の位置は、内壁から所定隙間H2,T1を有しているため、吸入路形成部材100が回動するにあたり内壁と接触することがない。尚、H1<H2の関係となるのが好ましい。
【0017】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図5は実施例1のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。図5(a)に外力が働いていない初期状態を表し、加速等によって加速度Gが作用した瞬間を図5(b)に、加速度Gが定常的に作用している定常時を図5(c)に示す。初期状態から加速度Gが作用すると、内部のオイルにも加速度Gが作用することから、オイルがドライブユニット内壁に沿って移動しようとする。しかし、回動補助部材200によってオイルの流れが阻害され、図5(b)に示すように、回動補助部材200よりも前方側のオイル面は高く、回動補助部材200よりも後方側のオイル面は低くなる。このとき、オイルが回動補助部材200にぶつかることによる流体力によって吸入路形成部材100にも後方側に移動させる力が作用する。そして、定常時になると、オイル面の傾斜に対して略直行方向を向いて吸入路形成部材100の吸入部軸も傾斜する。これにより、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、安定した吸入を確保する。
【0018】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)駆動輪SのホイールWH内に配置され、モータを収装するドライブユニットDUと、ドライブユニット内の下方に貯留されたオイルを吸入し、ドライブユニット内に供給するオイルポンプ10と、オイルポンプ10の吸入側に接続され、回動中心を有すると共にドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材100と、吸入路形成部材100に設けられ、オイルの移動による流体力を吸入路形成部材100の回動方向の力に変換する回動補助部材200と、を備えた。よって、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、走行状態に係らず安定したオイル吸入を達成できる。
【0019】
(2)回動補助部材200は、プレートであるため、簡易な構成でオイルの移動抵抗を形成することができる。
【0020】
(3)回動補助部材200は、吸入路形成部材の回動平面に対して所定角度βを有するため、オイルの移動に対して有利に抵抗を付与(回動補助をする)ことができる。
【0021】
(4)特に、実施例1では所定角度βは90度であるため、回動平面に対し垂直方向のオイルの移動に対して最も効率よく抵抗を付与する(回動補助をする)ことができる。
【0022】
(5)回動補助部材200は、吸入路形成部材100の吸入部軸に対して所定角度αを有するため、オイルの移動に対して有利に抵抗を付与(回動補助をする)ことができる。
【0023】
(6)特に、実施例1では所定角度αは0度であるため、回動平面に対し垂直方向のオイルの移動に対して有利に抵抗を付与することができる。
【0024】
(7)回動補助部材200は、モータのロータ3よりも下方に設置されているため、オイル面が低く設定されていても、効率よくオイルの移動に抵抗を付与することができる。また、ロータ3との干渉を防ぐことができる。
【0025】
(8)回動補助部材200の下端は、回動範囲においてドライブユニット内壁との間に所定隙間H2を有するため、回動中にドライブユニット内壁と干渉することがなく、吸入路形成部材100の安定した作動を阻害することがない。
【0026】
(9)尚、所定隙間H2は、回動範囲のうち、回動補助部材200の下端とドライブユニット内壁とが最も近接する位置(実施例1では初期状態)を基準として設定されているため、回動したとしてもこれら隙間が狭くなることがなく、安定した作動を実現できる。また、回動初期において最もオイルの移動抵抗を付与することができる。
【0027】
(10)回動補助部材200は、初期位置においてオイル面よりも下方の所定高さ位置(オイル面よりH1だけ深い位置)に配置されているため、回動補助部材200の全ての面でオイルの移動抵抗を付与することができる。
【0028】
(11)回動補助部材200の回動軸方向側端は、回動範囲においてドライブユニット内壁との間に所定隙間T1を有するため、回動中にドライブユニット内壁と干渉することがなく、吸入路形成部材100の安定した作動を阻害することがない。
【0029】
(12)尚、所定隙間T1は、回動範囲のうち、回動補助部材200の回動軸方向側端とドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されているため、回動したとしてもこれら隙間が狭くなることがなく、安定した作動を実現できる。ちなみに、実施例1では側壁1aの内壁は平面形状であるため、全ての回動範囲において所定隙間T1は一定である。
【実施例2】
【0030】
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図6は実施例2のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例2の回動補助部材200は略長方形のプレート形状であり、この回動補助部材200は吸入部軸との成す角αを90度、回動平面との成す角βを90度に設定している。また、回動補助部材200の上面(上端)は、初期オイル面よりも深さH1に位置し、オイルパン7の最下端よりも高さH2に位置している。また、回動補助部材200の回動軸方向両側端は、側壁1aの内壁との間あっては所定隙間T1に位置し、ステータ2との間にあっては所定隙間T2に位置している。実施例2の場合、ドライブユニット内壁の形状は円筒部下端にあってはロータ軸を中心とする円形であることから、回動補助部材200の吸入部軸方向及び回動軸方向の両方に直行する方向側端は、吸入路形成部材100が最も傾いたときにドライブユニット内壁と最も近接した位置となる。よって、この状態を基準に回動補助部材200の位置を規定し、ドライブユニット内壁との間で隙間W1を設定することとした。このように、回動補助部材200の位置は、内壁から所定隙間H2,T1,W1を有しているため、吸入路形成部材100が回動するにあたり内壁と接触することがない。尚、H1<H2,(T1=T2)<W1の関係となるのが好ましい。
【0031】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図7は実施例2のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。図7(a)に外力が働いていない初期状態を表し、加速等によって加速度Gが作用した瞬間を図7(b)に、加速度Gが定常的に作用している定常時を図7(c)に示す。初期状態から加速度Gが作用すると、内部のオイルにも加速度Gが作用することから、オイルがドライブユニット内壁に沿って移動しようとする。このとき、図7(b)に示すように、回動補助部材200の上面より上に位置するオイルは下方に移動しようとし、一方回動補助部材200の下面より下に位置するオイルは上方に移動しようとする。このように回動補助部材200によってオイルの流れが阻害され、オイルが回動補助部材200にぶつかることによる流体力によって回動補助部材200にモーメントが発生し、吸入路形成部材100を後方側に移動させる力が作用する。そして、定常時になると、オイル面の傾斜に対して略直行方向を向いて吸入路形成部材100の吸入部軸も傾斜する。これにより、オイルの移動と吸入路形成部材100の移動の位相ずれを抑制することができ、安定した吸入を確保する。加えて、実施例2の回動補助部材200はオイル面に対して平面的に広がるように配置されているため、ドライブユニットDUに上下方向の振動が入力されたとしても、オイルが上下に飛散するのを防止することができ、より安定したオイル面を得ることができる。
【0032】
以上説明したように、実施例2にあっては実施例1の各効果(1)〜(5),(7)〜(12)に加えて下記に列挙する作用効果を得ることができる。
【0033】
(13)回動補助部材200は、吸入路形成部材100の吸入部軸に対して所定角度α=90度であるため、オイルが円筒状のオイルパン7内を移動する際、オイルの移動による流体力によってモーメントを発生させることができ、吸入路形成部材100を効果的に移動させることができる。また、上下方向の振動等が入力されたとしてもオイルの飛散を抑制することができ、安定したオイル面を得ることができる。
【0034】
(14)尚、実施例2の回動補助部材200の吸入部軸方向の位置を、回動補助部材200より上方のオイル液量と下方のオイル液量とが略一致する高さ位置に設定してもよい。この場合、効率よくモーメント力を発生させることができる。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図8は実施例3のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。実施例3の回動補助部材200は略クノ字形状に屈曲した屈曲面を有する構成であり、それ以外の構成については実施例1と同じである。
【0036】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図9は実施例3のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。基本的な作用は実施例1と同じである。ただし、屈曲した方向に加速度Gが作用するときは効果的にオイルの移動を捕獲できる。このことは、言い換えると、屈曲した方向と逆向きに加速度が作用した場合には、十分にオイルの移動を捕獲できず、加速度の方向によって回動補助部材200に生じる流体力が異なる、すなわち異方性を有する。
【0037】
ここで、実施例3の変形例について説明する。図10は実施例3の変形例を示す概略図である。実施例3では吸入路形成部材100の回動軸方向一方側にのみ回動補助部材200を設けた。これに対し、変形例3では回動軸方向両側に回動補助部材200を設けたものである。また、実施例3ではクノ字形状に屈曲した屈曲面を有していたが、変形例では御椀状に湾曲した屈曲面を有する。加えて、上述したように屈曲面とオイルの移動方向との間に異方性を有することから、一方の屈曲方向と他方の屈曲方向とを反対向きに形成している。これにより、異方性を解消することができる。
【0038】
以上説明したように、実施例3にあっては実施例1の(1)〜(12)の効果に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
【0039】
(15)回動補助部材200は屈曲面を有するため、屈曲方向へのオイルの移動に対しより効果的にオイルを捕獲することができる。この屈曲面は、クノ字形状でもよいし、御椀形状でもよい。また、オイルの移動方向に対する異方性を解消するにあたり、吸入路形成部材100の回動軸方向の両側で異なる屈曲方向を設定することができる。
【実施例4】
【0040】
次に実施例4について説明する。図11は実施例4のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例2と同じであるため異なる点についてのみ説明する。実施例2では平坦なプレートを回動補助部材として採用した。これに対し、実施例4では、回動補助部材200の中央部(吸入路形成部材100が貫通する箇所)に、回動軸方向に沿って隆起した屈曲面201を形成した点が異なる。
【0041】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図12は実施例4のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態を表す概略図である。基本的な作用は実施例2と同じである。ただし、プレートの上側に隆起した屈曲面201を有するため、回動補助部材200の上に位置するオイルの左右移動に対しても流体力を受けることができ、より効果的に回動補助を行うことができる。
【0042】
次に、実施例4の変形例について説明する。図13は実施例4の変形例を表す図である。実施例4では平坦なプレートの一部に上方に屈曲した屈曲面を形成したが、変形例では全体を緩やかな屈曲面として形成したものである。この場合にも、実施例4と同様の作用効果を得ることができる。尚、実施例4及びその変形例において屈曲面の屈曲頂点は吸入部形成部材100と重なる中心に位置することが望ましい。これは回動方向の異方性を抑制する必要があるからである。
【0043】
以上説明したように、実施例4にあっては、実施例2の効果に加えて、実施例1,3の効果も得ることができる。
【実施例5】
【0044】
次に実施例5について説明する。図14は実施例5のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例2と同じであるため異なる点についてのみ説明する。実施例2では、ドライブユニット内壁の形状が、ロータ軸を中心とした円弧形状を有していたのに対し、実施例5では、ドライブユニット内壁の一部の形状を、回動軸を中心とした円弧形状とした点が異なる。尚、側壁1aやステータ2の形状は変更がないため、オイルパン7を構成する円筒部分の下方に着目して説明する。
【0045】
オイルパン7の底面形状は、初期状態において回動補助部材200が位置する高さ(図14のP点参照)まではロータ軸を中心とする円弧形状である。ここから回動軸を中心とする円弧形状となるようにドライブユニット内壁よりも内周側に突出した内壁部材300が形成されている。言い換えると、回動補助部材200の回動方向端部とドライブユニット内壁との隙間X1が回動範囲において略一定となるように形成されている。この内壁部材300は走行時等においてオイルが移動する最大範囲まで担保する程度の高さまで形成されている。
【0046】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図15は実施例5のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。図15(a),(b)に示す基本的な作用は実施例2と同じである。ここで、オイルの移動に伴い吸入路形成部材100が回動していくと、実施例2の場合、ドライブユニット内壁と回動方向端部との間の隙間が広がっていってしまう。この隙間が広がると、回動補助部材200の下方に位置するオイルの移動による流体力が逃げてしまい、十分なモーメントを発生させることができない。これに対し、実施例5では、隙間X1が回動範囲において略一定となるように内壁部材300を配置したことで、回動位置によらず常時安定した流体力を作用させることができ、安定した吸入路形成部材100の作動を得ることができる。尚、実施例5の場合、オイル面が変化すると、実施例2に比べてオイルを貯留する容積が減少することを意味する。この場合、オイル面が上昇するため、より安定したオイルの吸入を確保することができるという効果が得られる。
【0047】
以上説明したように実施例5にあっては、実施例2の作用効果に加えて下記の効果が得られる。
【0048】
(16)オイル面変動時の回動補助部材200とドライブユニット内壁との距離が、略一定(初期の距離以下)となるように内壁部材300を設けた(ドライブユニット内壁を構成した)ため、安定的にオイルの流体力を得ることができる。
【0049】
(17)内壁部材300(ドライブユニットの内壁)は、回動中心を中心とする円弧形状であるため、一定の隙間X1を確保することができ、安定的にオイルの流体力を得ることができる。尚、実施例5では、初期状態において回動補助部材200より下に位置するオイルパン形状としてロータ軸を中心とする円弧形状とし、初期状態において回動補助部材200より上に位置するオイルパン形状として回動中心を中心とする円弧形状とすることで、オイル面が変動するとオイル面と回動中心との距離を近づけることができ、より安定したオイル吸入を達成することができる。
【実施例6】
【0050】
次に実施例6について説明する。図16は実施例6のドライブユニットのオイルパン7部分を拡大した拡大断面図である。基本的な構成は実施例5と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例5では、内壁部材300を初期状態の回動補助部材200の高さ位置から上方に形成した。これに対し、実施例6では、初期状態の回動補助部材200の高さ位置よりも下方から上方に向けて内壁部材300を形成した点が異なる。更に、内壁部材300とドライブユニット内壁との間の空間を利用して補助タンク70を形成した。また、内壁部材300の下端にはワンウェイバルブ301が形成されている。このワンウェイバルブ301はオイルがオイルパン7側から補助タンク70側に移動しようとすると、その移動を妨げ、一方、補助タンク70側からオイルパン7側にどうしようとすると、その移動は許容するものである。すなわち、内壁部材300を広い領域に形成すると、その分だけ貯留できるオイルの量が減少する。よって、オイル不足を回避する観点から、補助タンク70を形成し、オイルパン内のオイルが減少したときは補助タンク70側から適宜オイルがオイルパン7側に供給されることでオイル不足を解消している。
【0051】
〔オイル面変化時の作用〕
次に、オイル面が変化した場合の作用について説明する。図17は実施例6のオイル面変化時の吸入路形成部材100の作動状態及びオイル面の変化状態を表す概略図である。図17(a),(b)に示す基本的な作用は実施例5と同じである。ここで、オイルが移動するにあたり、内壁部材300の下端に形成されたワンウェイバルブ301の作用によってオイルパン7内のオイルは補助タンク70側には供給されない。よって、オイルパン7内のオイルの全てはオイルパン7内のオイル面変化に作用させることができる。また、加速度の作用が無くなり、初期状態に戻った場合において、仮にオイルパン7内のオイルが減少し、オイルパン7内のオイル面が補助タンク70のオイル面よりも低くなっている場合には、ワンウェイバルブ301を介して補助タンク70のオイルがオイルパン7側に供給され、両者のオイル面は同じ高さとなる。このようにオイル量不足を解消することができるものである。
【0052】
以上説明したように、実施例6にあっては実施例5の作用効果に加えて下記の作用効果を得ることができる。
(18)ドライブユニット内壁に補助タンク70を有するため、内壁部材300によって貯留するオイル量が減少したとしても、オイル量不足を解消することができる。
【0053】
以上実施例1〜6について説明したが、本発明は他の車両構成に適用してもよい。例えば、実施例1〜4に示す構成に実施例5,6を組み合わせてもよい。また、内壁部材としてプレート状の隔壁を備えた構成を示したが、ドライブユニット内壁にリブ等を形成し、これにより内壁部材として形成してもよい。
【0054】
また、オイルポンプ10をハウジング1の側壁1a内に取り付けた例を示したが、オイルポンプを別体として構成してもよいし、他の位置に配置してもよい。また、オイルポンプ10で汲み上げたオイルを吐出するポートとしてオイル供給ポート13を一箇所に設けた例を示したが、潤滑や冷却が必要な複数個所にオイル供給ポート13を形成してもよい。
【0055】
また、実施例1では減速機構を備えたインホイールモータを示したが、減速機構を備えることなくモータのロータ3と駆動輪Sとが直結された構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0056】
1 ハウジング
1a 側壁
2 ステータ
3 ロータ
4 駆動軸
5 出力軸
7 オイルパン
10 オイルポンプ
11 吸入油路
12 吐出油路
13 オイル供給ポート
70 補助タンク
100 吸入路形成部材
200 回動補助部材
201 屈曲面
300 内壁部材
301 ワンウェイバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪のホイール内に配置され、モータを収装するドライブユニットと、
前記ドライブユニット内の下方に貯留されたオイルを吸入し、前記ドライブユニット内に供給するポンプと、
前記ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共に前記ドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材と、
前記吸入路形成部材に設けられ、オイルの移動による流体力を前記吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材と、
を備えたことを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、プレートであることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記吸入路形成部材の回動平面に対して所定角度を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項4】
請求項3に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は90度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項5】
請求項2ないし4いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記吸入路形成部材の吸入部軸に対して所定角度を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は0度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項7】
請求項5に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は90度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項8】
請求項2ないし7いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記プレートは、屈曲面を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記モータのロータよりも下方に設置されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項10】
請求項9に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材の下端は、回動範囲において前記ドライブユニット内壁との間に所定隙間を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項11】
請求項10に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定隙間は、回動範囲のうち、前記回動補助部材の下端と前記ドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項12】
請求項1ないし11いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、初期位置においてオイル面よりも下方の所定高さ位置に配置されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項13】
請求項12に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定高さ位置は、該位置より上方のオイル液量と該位置より下方のオイル液量とが略一致する高さ位置であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項14】
請求項1ないし13いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材の回動軸方向側端は、回動範囲において前記ドライブユニット内壁との間に所定隙間を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項15】
請求項14に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定隙間は、回動範囲のうち、前記回動補助部材の回動軸方向側端と前記ドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項16】
請求項1ないし15いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
オイル面変動時の前記回動補助部材とドライブユニット内壁との距離が、初期の距離以下となるように前記ドライブユニット内壁を構成したことを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項17】
請求項16に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記ドライブユニットの内壁は、前記回動中心を中心とする円弧形状であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項18】
請求項16ないし18いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記ドライブユニット内壁に補助タンクを有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項1】
駆動輪のホイール内に配置され、モータを収装するドライブユニットと、
前記ドライブユニット内の下方に貯留されたオイルを吸入し、前記ドライブユニット内に供給するポンプと、
前記ポンプの吸入側に接続され、回動中心を有すると共に前記ドライブユニット内の下方に開口する吸入路形成部材と、
前記吸入路形成部材に設けられ、オイルの移動による流体力を前記吸入路形成部材の回動方向の力に変換する回動補助部材と、
を備えたことを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、プレートであることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記吸入路形成部材の回動平面に対して所定角度を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項4】
請求項3に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は90度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項5】
請求項2ないし4いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記吸入路形成部材の吸入部軸に対して所定角度を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は0度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項7】
請求項5に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定角度は90度であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項8】
請求項2ないし7いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記プレートは、屈曲面を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、前記モータのロータよりも下方に設置されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項10】
請求項9に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材の下端は、回動範囲において前記ドライブユニット内壁との間に所定隙間を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項11】
請求項10に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定隙間は、回動範囲のうち、前記回動補助部材の下端と前記ドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項12】
請求項1ないし11いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材は、初期位置においてオイル面よりも下方の所定高さ位置に配置されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項13】
請求項12に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定高さ位置は、該位置より上方のオイル液量と該位置より下方のオイル液量とが略一致する高さ位置であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項14】
請求項1ないし13いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記回動補助部材の回動軸方向側端は、回動範囲において前記ドライブユニット内壁との間に所定隙間を有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項15】
請求項14に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記所定隙間は、回動範囲のうち、前記回動補助部材の回動軸方向側端と前記ドライブユニット内壁とが最も近接する位置を基準として設定されていることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項16】
請求項1ないし15いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
オイル面変動時の前記回動補助部材とドライブユニット内壁との距離が、初期の距離以下となるように前記ドライブユニット内壁を構成したことを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項17】
請求項16に記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記ドライブユニットの内壁は、前記回動中心を中心とする円弧形状であることを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【請求項18】
請求項16ないし18いずれか1つに記載のインホイールモータの潤滑装置において、
前記ドライブユニット内壁に補助タンクを有することを特徴とするインホイールモータの潤滑装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−228536(P2010−228536A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77110(P2009−77110)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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