説明

ウィルス遺伝子発現を効率的に阻害する低分子干渉RNAおよびその使用方法

【課題】C型肝炎ウィルス(HCV)感染の処置および予防の方法、それに用いる組成物およびキットの提供。
【解決手段】HCVの内部リボソームエントリー部位(IRES)配列を標的にするshRNAおよびsiRNA構築物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、低分子干渉RNA(shRNAおよびsiRNA)を用いた、例えばC型肝炎IRESを介した遺伝子発現などのウィルス遺伝子発現の阻害に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法§119において、全体として参照により本明細書に組み入れられる、2004年9月10日に出願された、米国特許仮出願第60/608,574号の恩典を主張する。
【0003】
連邦政府委託研究または開発に関する記述
本発明は、部分的に、National Institutes of Healthからのグラント第5R43AI056611号によって支援された仕事の間になされた。政府は、本発明における特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
C型肝炎ウィルス(HCV)感染の処置および予防は、この世界的な健康問題を制御することに対する主要な難問である;既存の治療は、部分的にのみ効果的であり、ワクチンは現在利用できない。C型肝炎(HCV)ウィルスは、世界的に1億7千万人よりも多くに感染し、肝臓移植の主な原因である。リバビリンおよびPEG化(pegylated)インターフェロンアルファを含む既存の処置は、患者のおよそ50%においてのみ効果的であり、かつ実質的な副作用を有する。より効果的なHCV処置の開発は、良い小動物モデルの欠如、組織培養細胞におけるウィルスの安定培養の不可能性、および高いウィルス突然変異率によって妨げられる[1-3](非特許文献1〜3)。HCVレプリコンシステムの利用可能性は、HCV複製、宿主-細胞相互作用、および抗ウィルス剤の評価の調査を可能にし、より最近では、完全HCV感染を可能にするトランスジェニックキメラヒト化マウス肝臓モデルが開発された[4-7](非特許文献4〜7)。さらに、HCV IRES依存性レポーターシステムのインビボイメージングの使用は、同じ動物を使用して複数の時点にわたるマウス肝臓における抗HCV剤による送達および阻害の効率的な評価を容易にした[8](非特許文献8)。
【0005】
RNA干渉は、遺伝子発現の低下をもたらす進化的に保存された経路である。〜19〜29 bpの合成低分子干渉RNA(short interfering RNA)(siRNA)が、免疫応答を活性化することなく哺乳類細胞および動物における遺伝子発現を効果的に阻害し得るという発見は、治療法としてこれらの阻害剤を開発するための相次ぐ活動をもたらした[9](非特許文献9)。siRNAの化学的安定化は、増加した血清半減期を引き起こし[10](非特許文献10)、送達の課題が克服され得るならば、静脈内投与が、正の治療帰結を達成し得ることを示唆する。さらに、低分子ヘアピンRNA(shRNA)も、哺乳類細胞における標的遺伝子の強固な阻害を示し、バクテリオファージ(例えば、T7、T3、またはSP6)または哺乳類(U6もしくはH1などのpol IIIまたはpolII)プロモーターから簡単に発現され得、それらがウィルス送達に対する優れた候補であるようにする[11](非特許文献11)。
【0006】
実質的な取り組みは、既存の処置が完全に効果的ではないので、HCVに対する効果的な核酸に基づく阻害剤を見出すためになされている([4, 12](非特許文献12)において概説される)。これらの取り組みは、伝統的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、ホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー[8]、リボザイム、およびより最近ではsiRNAを含む。多くの研究グループは、siRNAがヒト組織培養細胞[13-19](非特許文献13〜19)および動物システム[20](非特許文献20)におけるHCVを効果的に標的にし得ることを示した。しかしながら、動物におけるshRNAの効果の報告はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Sookoian, S.C., New therapies on the horizon for hepatitis C. Ann Hepatol, 2003. 2: 164-70.
【非特許文献2】Randall, G. and C.M. Rice, Interfering with hepatitis C virus RNA replication.Virus Res, 2004. 102: 19-25.
【非特許文献3】Radhakrishnan, S.K., T.J. Layden, and A.L. Gartel, RNA interference as a new strategy against viral hepatitis. Virology, 2004. 323: 173-81.
【非特許文献4】Hugle, T. and A. Cerny, Current therapy and new molecular approaches to antiviral treatment and prevention of hepatitis C. Rev Med Virol, 2003. 13: 361-71.
【非特許文献5】Blight, K.J., A.A. Kolykhalov, and C. M. Rice, Efficient intiation of HCV RNA replication in cell culture. Science, 2000. 290: 1972-4.
【非特許文献6】Pietschmann, T. and R. Bartenschlager, Tissue culture and animal models for hepatitis C virus. Clin Liver Dis, 2003. 7: 23-43.
【非特許文献7】Mercer, D.F., D.E. Schiller, J.F. Elliott, D.N. Douglas, C. Hao, A. Rinfret, W.R. Addison, K.P. Fischer, T.A. Churchill, J.R. Lakey, D.L. Tyrrell, and N.M. Kneteman, Hepatitis C virus replication in mice with chimeric human livers. Nat Med, 2001. 7: 927-33.
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【非特許文献10】Layzer, J.M., A.P. McCaffrey, A.K. Tanner, Z. Huang, M.A. Kay, and B.A. Sullenger, In vivo activity of nuclease-resistant siRNAs. Rna, 2004. 10: 766-71.
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【非特許文献12】McHutchison, J.G. and K. Patel, Future therapy of hepatitis C. Hepatology, 2002. 36: S245-52.
【非特許文献13】Wilson, J.A., S. Jayasena, A. Khvorova, S. Sabatinos, I.G. Rodrigue-Gervais, S. Arya, F. Sarangi, M. Harris-Brandts, S. Beaulieu, and C.D. Richardson, RNA interference blocks gene expression and RNA synthesis from hepatitis C replicons propagated in human liver cells. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100: 2783-8.
【非特許文献14】Randall, G., A. Grakoui, and C.M. Rice, Clearance of replicating hepatitis C virus replicon RNAs in cell culture by small interfering RNAs. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100: 235-40.
【非特許文献15】Yokota, T., N. Sakamoto, N. Enomoto, Y. Tanabe, M. Miyagishi, S. Maekawa, L. Yi, M. Kurosaki, K. Taira, M. Watanabe, and H. Mizusawa, Inhibition of intracellular hepatitis C virus replication by synthetic and vector-derived small interfering RNAs. EMBO Rep, 2003. 4: 602-8.
【非特許文献16】Kapadia, S.B., A. Brideau-Andersen, and F.V. Chisari, Interference of hepatitis C virus RNA replication by short interfering RNAs. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100: 2014-8.
【非特許文献17】Kronke, J., R. Kittler, F. Buchholz, M.P. Windisch, T. Pietschmann, R. Bartenschlager, and M. Frese, Alternative approaches for efficient inhibition of hepatitis C virus RNA replication by small intefering RNAs. J Virol, 2004. 78: 3436-46.
【非特許文献18】Sen, A., R. Steele, A.K. Ghosh, A. Basu, R. Ray, and R.B. Ray, Inhibition of hepatitis C virus protein expression by RNA interference. Virus Res, 2003. 96: 27-35.
【非特許文献19】Zhang, J., O. Yamada, T. Sakamoto, H. Yoshida, T. Iwai, Y. Matsushita, H. Shimamura, H. Araki, and K. Shimotohno, Down-regulation of viral replication by adenoviral-mediated expression of siRNA against cellular cofactors for hepatitis C virus. Virology, 2004. 320: 135-43.
【非特許文献20】McCaffrey, A.P., L. Meuse, T.T. Pham, D.S. Conklin, G.J. Hannon, and M.A. Kay, RNA interference in adult mice. Nature, 2002. 418: 38-9.
【発明の概要】
【0008】
発明の簡単な概要
本発明は、ウィルスにおけるIRESを介した遺伝子発現の阻害に対する方法、組成物、およびキットを提供する。
【0009】
図4Aにおいて掲載される阻害性RNA配列に対して、相補的配列が含意され、例えば3'末端などの、各々の鎖の一端または両端に添付され得る標的に無関係の配列であり、当業者にとって馴染みがあると思われる。図4Aおよび表1において示される阻害性(アンチセンス認識)配列は、shRNAまたはsiRNAのいずれかに組み入れられ得る。shRNAの場合において、示される配列は、通常は標的に無関係のヌクレオチド残基から成るループによってその相補的配列に付加的に連結される。そのようなループの例は、図1Bおよび1Cにおいて記載されるshRNA配列において示される。siRNAおよびshRNA両方の場合において、標的に相補的な鎖は、概して、完全に相補的であるが、いくつかの態様において、ミスマッチ(例えば、配列番号:13、14、および15を参照されたい)を含み得、標的にされるウィルスの様々な遺伝的変異体または表現型に合致するように順に調整され得る。標的に相同的な鎖は、例えば天然のマイクロRNAと同様に、約1〜約5ヌクレオチドのミスマッチ、挿入、または欠失を有することによって、約0〜5部位において異なり得る。
【0010】
一つの局面において、本発明は、ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用することが可能である少なくとも一つの低分子干渉RNAを含む組成物を提供し、ウィルス遺伝子発現の阻害は、ウィルス標的配列との低分子干渉RNAの相互作用に起因する。一つの態様において、組成物は、例えば、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:17、および配列番号:18からなる群より選択される配列を含む、選択される配列からなる、もしくは本質的に選択される配列からなる、または配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に選択される配列からなる、少なくとも一つのshRNAを含む。一つの態様において、shRNAは、配列番号:12において記載される配列を含む、該配列からなる、または本質的に該配列からなる。別の態様において、組成物は、少なくとも一つのsiRNAを含む。一つの態様において、組成物は、例えば、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、または本質的にそれ該配列からなる少なくとも一つのsiRNAまたはshRNAを含む。いくつかの態様において、低分子干渉RNA、例えばshRNAまたはsiRNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウィルス配列と相互作用する。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、C型肝炎ウィルス配列に結合する。一つの態様において、低分子干渉RNAは、C型肝炎ウィルスの内部リボソームエントリー部位(IRES)配列内の配列に、好ましくは、配列番号:26(配列番号:11の残基344〜374)において記載される配列に結合する。一つの態様において、C型肝炎ウィルスは、HCV遺伝型1aである。いくつかの態様において、本発明の組成物は、例えば水または生理食塩水などの薬学的に許容される賦形剤を含み、任意で治療的有効量において提供される。一つの態様において、組成物は、本明細書において記載されるような少なくとも一つのshRNAまたはsiRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる薬学的組成物である。
【0011】
別の局面において、本発明は、上に記載される組成物のいずれかを含み、かつ任意で本明細書において記載されるようにウィルスにおける遺伝子発現を阻害するまたは個体においてウィルス感染を処置する方法に用いられる説明書をさらに含む、キットを提供する。一つの態様において、キットは、ヒトなどの個体におけるHCV感染を処置するための方法に用いられるものであり、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18からなる群より選択される配列を含む、該配列からなる、もしくは本質的に該配列からなる、または配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に該配列からなるshRNA、または配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に該配列からなるsiRNAを含み、かつ任意で、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する方法に用いられる説明書、またはヒトなどの個体におけるC型肝炎(HCV遺伝型1aなど)ウィルス感染を処置する方法に用いられる説明書をさらに含む。
【0012】
別の局面において、本発明は、ウィルスのポリヌクレオチド配列に少なくとも部分的に相補的でありかつ結合することが可能であるshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAの治療的有効量および薬学的に許容される賦形剤を個体に投与することを含み、低分子干渉RNAのウィルスポリヌクレオチド配列への結合が、ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する、例えばヒトなどの哺乳類などの個体におけるウィルス感染の処置に対する方法を提供する。一つの態様において、ウィルス感染は、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウィルスを含む。いくつかの態様において、ウィルスは、C型肝炎遺伝型1a、1b、2a、および2bからなる群より選択される。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、本明細書において記載されるshRNAまたはsiRNA配列ならびに本明細書において記載されるsiRNAまたはshRNA配列の一つの5 nt以内に位置する配列のいずれかを含む、該配列からなる、または本質的にそ該配列からなる。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウィルス配列に結合する。一つの態様において、ウィルスは、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウィルスである。一つの態様において、低分子干渉RNAは、配列番号:26において記載されるHCV 1aのIRES領域内の約19〜約25ヌクレオチドの配列に結合する。処置は、治療(例えば、感染の少なくとも一つの症候における改良または減少)または治癒を含み得る。いくつかの態様において、shRNAは、例えば静脈内注射によって、非経口的に投与される。
【0013】
別の局面において、本発明は、ウィルスを低分子干渉RNAに接触させることまたは低分子干渉RNAをウィルス含有細胞に導入することを含み、例えばshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAが、ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的であり、かつ例えばウィルスポリヌクレオチド配列の開裂を誘導することによってウィルス遺伝子発現を阻害することが可能である配列を含む、ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、本明細書において記載されるshRNAまたはsiRNA配列のいずれかを含む、該配列からなる、または本質的に該配列からなる。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウィルス配列に結合する。一つの態様において、ウィルスは、HCV 1aなどのC型肝炎ウィルスである。一つの態様において、低分子干渉RNAは、配列番号:26において記載されるHCV遺伝型1aのIRES領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列、ならびに本明細書において記載されるsiRNAまたはshRNAの一つの5 nt以内に位置する配列に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Aは、C型肝炎遺伝型1aのIRESヌクレオチド配列を示す(GenBankアクセッション番号AJ242654を参照されたい)。配列344〜374、本明細書において記載される阻害剤の多くの標的領域は、下線が引かれる。Heptazymeリボザイム(www.sirna.com;189〜207位)、Chiron 5U5 siRNA [25](286〜304位)、ISIS 14803ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド[34](330〜349位)、Mizusawa 331 siRNA [15](322〜340位)、およびホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー[8, 35](344〜363位)を含む様々な領域(太字で示される)は、阻害剤によって首尾よく標的にされている。HCV IRESおよびその他のHCVエレメントを下方調節することがテストされているsiRNAのより完全なリストは、[2, 3]において見出され得る。
【図1B】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Bは、対応するDNA鋳型のU6プロモーターからのpol III転写に起因するshRNA HCVa-wtおよびその突然変異変異体のRNA配列を示す。HCVa-wtの二つの塩基対(下線部)は、示されるような1(HCVSNP1またはHCVSNP2)または2ミスマッチ(HCVa-mut)shRNAを含むHCVa-wtのバージョンを作り出すために変更された。
【図1C】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Cは、shRNA HCVb-wt、HCVc-wt、およびHCVd-wtの配列を示す。
【図1D】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Dは、shRNA HCVa-wt、HCVb-wt、HCVc-wt、およびHCVd-wtに対する示された標的部位をともなうHCV IRESの二次構造を示す。
【図1E】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Eは、HCV IRES標的を産生するために使用されるpCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物、ならびにHCV IRESを置換する脳心筋炎ウィルスからのIRESを有し、それ故にHCVに特異的なshRNAに対する任意の標的を欠くEMCV IRESコントロールを図式的に示す。各々の場合において、ホタルルシフェラーゼ発現は、IRES配列からの翻訳の阻害に依存するが、レニラルシフェラーゼは、キャップ依存的な様式で発現される。
【図1F】293FT組織培養細胞におけるHCV IRES依存性遺伝子発現の阻害。図1Fは、293FT細胞におけるHCV IRESを介した遺伝子発現を阻害する能力に対するshRNAのスクリーニングの結果を示す。293FT細胞は、24ウェル組織培養プレートのウェルにおいて、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物、pSEAP2(トランスフェクションおよび特異性コントロールとして)、およびshRNA(1 nMで)でコトランスフェクションされた。プラスミドpUC18は、ウェルあたり計800 ng核酸を提供するために添加された。トランスフェクションの48時間後、細胞は溶解され、ルミノメーターによってホタルルシフェラーゼ活性が測定された。すべてのデータは、3回行なわれた個々の独立の実験の結果でり、かつSEAPに対して標準化された。
【図2A】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Aは、HCV-IRESによる(HCV-IRES driven gene)遺伝子発現の阻害を示す。標的プラスミドは、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(図1Eにおいて示されるようなHCV IRES)であった。pUC18プラスミドは、ウェル(24ウェル組織培養プレート)あたりのトランスフェクションあたり800 ngの最終総計核酸濃度を与えるために、トランスフェクション混合に添加された。48時間後、上清がSEAP解析のために除去され、次いで、実施例1において記載されるように、細胞は溶解され、ホタルおよびレニラ(示されない)ルシフェラーゼ活性が測定された。ホタルルシフェラーゼおよびSEAP活性は、100に標準化された。
【図2B】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Bは、HCVa-wt shRNAが、HCV IRESを欠く類似の標的を阻害しないことを示す。細胞は、pCDNA3/EMCVデュアルルシフェラーゼレポーター(EMCV IRES)がpCDNA3/HCVの代わりに標的として使用されたこと以外は、図2Aにおけるようにトランスフェクションされた。データは、100に標準化されたSEAP活性によって除算されたルシフェラーゼ活性として提示される。
【図2C】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Cは、shRNAの効力における単一塩基ミスマッチの効果を示す。実験条件は、図2Aにおいて記載されるようなものであった。SNP1およびSNP2は、図1Bにおいて示されるような突然変異塩基対を含む。
【図2D】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Dは、HCVa-wtおよび突然変異(HCVa-mut)またはコントロール(229)shRNAによるHCV-IRESによる遺伝子発現の阻害の用量反応を示す。実験条件は、図2Aにおいて記載されるようなものであった。データは、100に標準化されたSEAPによって除算されたルシフェラーゼとして示される。すべてのデータは、3回行なわれた個々の独立の実験の結果である。
【図2E】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Eは、shRNA標的部位を欠くデュアルルシフェラーゼレポーターからの遺伝子発現に対するHCVa-wt、HCVa-mut、および229 shRNAの用量反応を示す。手順は、標的がHCV IRESの代わりにEMCV IRESによって駆動されるホタルルシフェラーゼであったこと以外、図2Dにおいて記載されるようなものであった。
【図2F】293FT細胞におけるshRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害の特異性および効力。293FT細胞は、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1 pmoleのインビトロ転写shRNAでコトランスフェクションされた。図2Fは、shRNAが、標的RNAの破壊を引き起こすことを示す。コトランスフェクションされた293FT細胞のノーザンブロット解析は、以下のように行なわれた:阻害剤なし(レーン1)、229(レーン2)、HCVa-wt(レーン3)、またはHCVa-mut(レーン4)でトランスフェクションされた細胞から単離された10μgの全RNAは、変性ゲル電気泳動によって分離され、膜に転写され、順に32Pラベル化fLuc、SEAP、または伸長因子1A(EF1A)cDNAプローブにハイブリダイズされた。RNAブロットは、可視化および定量のためのストレージフォスファースクリーン(BioRad FX Molecular Imager)に曝露された。
【図3A】ヒト肝細胞細胞系Huh7におけるHCV shRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害。阻害は、Huh7細胞が使用されたこと以外は、図2Dにおいて記載されるように測定された。図3Aは、HCVa-wtおよびHCVa-mut shRNAに対する線量を示す。すべてのデータは、SEAPによって除算されたルシフェラーゼ活性として提示される。すべてのデータは、3回行なわれた個々の独立の実験から生成された。
【図3B】ヒト肝細胞細胞系Huh7におけるHCV shRNAによるHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害。図3Bは、HCVa-wt shRNAが、HCV IRESを欠く類似の標的を阻害しないことを示す。細胞は、pCDNA3/EMCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(EMCV IRES)がpCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(HCV IRES)の代わりに添加されたこと以外は、図3Aにおけるようにトランスフェクションされた。すべてのデータは、SEAPによって除算されたルシフェラーゼ活性として提示される。すべてのデータは、3回行なわれた個々の独立の実験から生成された。
【図4A】HCV遺伝型1aに対する25 nt標的部位(配列番号:26)内に含まれるすべての7つの起こり得る19-bp shRNAのインビトロ転写バージョンおよび合成siRNAの阻害性効能。図4Aは、siRNAおよびshRNAの19 bpウィルス認識配列の配列、ならびにエチジウムブロマイドで染色された10%天然ポリアクリルアミドゲル上でのそれらの純度の解析を示す。siRNA:センスおよびアンチセンス鎖は、3'-UU突出を含んだ;shRNA:ループ配列および3'、5'端突出は、25 bp shRNAにおけるものと同一であった。
【図4B】HCV遺伝型1aに対する25 nt標的部位(配列番号:26)内に含まれるすべての7つの起こり得る19-bp shRNAのインビトロ転写バージョンおよび合成siRNAの阻害性効能。図4B:RNA阻害剤は、293 FT細胞において濃度1 nMでHCV IRESを介した遺伝子発現の阻害に対してアッセイされた。
【図4C】HCV遺伝型1aに対する25 nt標的部位(配列番号:26)内に含まれるすべての7つの起こり得る19-bp shRNAのインビトロ転写バージョンおよび合成siRNAの阻害性効能。図4C:図4Bと同じだが、阻害剤は、293 FT細胞において0.1 nMでアッセイされた。
【図5A】マウスにおけるHCV IRESを介したレポーター遺伝子発現の阻害。デュアルルシフェラーゼHCV IRESレポータープラスミド(10μg)およびSEAP(注入効率および非特異的阻害を制御するために添加される)は、100μgの示されるHCV shRNAまたはコントロール229 shRNAとともに、実施例1において記載されるようにマウスの尾静脈に、直接的にまたはshRNAを発現する100μgのpol III発現プラスミド(またはコントロールとしてpUC18プラスミド)の形式で共に注入された。注射後の様々な時点(24、36、48、60、72、84、および100時間)において、ルシフェリンが腹腔内に投与され、マウスはIVISインビボイメージングシステムを使用してイメージングされ(84時間の時点からの代表的なマウスが、図5Aにおいて示される)、ImageQuantソフトウェアを使用して定量された(直接的なRNA送達に対して図5Bにおいて示される)。各々の時点は、4〜5マウスの平均を示す。96時間の時点において、マウスは出血させられ、SEAP活性の量が、実施例1において記載されるようにpNPPアッセイによって決定された。定量データは、pUC18コントロールマウス(100%、明確にするために、エラーバーは、pUC18コントロールにおいて示されない;エラーバーは、示されるその他と同様である)に対して標準化されたSEAP活性で除算されたルシフェラーゼとして提示される。
【図5B】マウスにおけるHCV IRESを介したレポーター遺伝子発現の阻害。デュアルルシフェラーゼHCV IRESレポータープラスミド(10μg)およびSEAP(注入効率および非特異的阻害を制御するために添加される)は、100μgの示されるHCV shRNAまたはコントロール229 shRNAとともに、実施例1において記載されるようにマウスの尾静脈に、直接的にまたはshRNAを発現する100μgのpol III発現プラスミド(またはコントロールとしてpUC18プラスミド)の形式で共に注入された。注射後の様々な時点(24、36、48、60、72、84、および100時間)において、ルシフェリンが腹腔内に投与され、マウスはIVISインビボイメージングシステムを使用してイメージングされ(84時間の時点からの代表的なマウスが、図5Aにおいて示される)、ImageQuantソフトウェアを使用して定量された(直接的なRNA送達に対して図5Bにおいて示される)。各々の時点は、4〜5マウスの平均を示す。96時間の時点において、マウスは出血させられ、SEAP活性の量が、実施例1において記載されるようにpNPPアッセイによって決定された。定量データは、pUC18コントロールマウス(100%、明確にするために、エラーバーは、pUC18コントロールにおいて示されない;エラーバーは、示されるその他と同様である)に対して標準化されたSEAP活性で除算されたルシフェラーゼとして提示される。
【図6】マウスにおけるHCV IRESを介したレポーター遺伝子発現のshRNAおよびホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー阻害の比較。マウスは、100μgの示されるHCV shRNA阻害剤またはHCV IRES発現構築物を阻害することが以前に示されている 1 nmoleのモルホリノオリゴヌクレオチドをともなって、デュアルルシフェラーゼHCV IRESレポータープラスミドおよびpSEAPで、図5において記載されるように共に注射された[8]。マウスは、処置後の様々な時間(12、24、48、および144時間)においてイメージングされた。示されるデータは、48時間の時点に対するものである。定量データは、pUC18コントロール(添加なし)マウスに対して標準化されたルシフェラーゼおよびSEAP活性として提示される。提示される結果は、構築物あたり3〜5マウスからである。
【図7】nsp-1遺伝子を標的にするshRNAによる複製能の高いGFP発現セムリキ森林熱ウィルス(SFV-GFP-VA7)の阻害。BHK-21細胞は、阻害剤を発現するプラスミドで一過的にトランスフェクションされた。トランスフェクションの24時間後、細胞は、10μlのウィルス(〜100%感染に対して十分な感染効率(MOI))で感染させられ、感染の24時間後にフローサイトメトリーによってウィルスを介したGFP発現に対してアッセイされた。siRNAを介した抑制のレベルは、〜35%である。ラベル:Nsp 1;Nsp-1遺伝子を標的にする shRNA(nsp-1#2)、空ベクター;pU6、ナイーブ;非感染BHK細胞。
【図8】shRNAによる複製不全SFV(SFV-PD713P-GFP)の阻害。BHK-21細胞は、阻害剤を発現するプラスミドで一過的にトランスフェクションされた。トランスフェクションの46時間後、細胞は、1時間無血清培地において8%PEGをともなって、5のMOIでSFV-GFPウィルスに感染させられた。次いで、完全培地が添加され、細胞はオーバーナイトで37℃でインキュベートされた。細胞は、感染の9、24、32、99、および125時間後に、フローサイトメトリーによって解析された。明確にするために、3つの時点のみが示される(9、24、および32時間)。各々のshRNAの阻害の量は、カプシドshRNAに対して標準化された。カプシドmRNAは、このSFV-GFP複製不全ウィルスに存在せず、それ故に、カプシドshRNAは、GFP発現に対する効果を有しないはずである。この実験に対するshRNA発現構築物に対するトランスフェクション効率は、〜70%であり、実際のウィルス阻害が、示されるレベルよりも有意に高いことを示唆する。バーの第5セット(混合)は、nsp1〜4およびカプシドを標的にするshRNAの混合物を指す。
【図9】HCVa-wt shRNAおよびHCVa-mut shRNAならびに無関連コントロールshRNA(229)によるHuh7細胞におけるHCVレプリコンシステムの阻害;用量反応。試験化合物の抗ウィルス活性は、ヒト肝芽腫細胞系、Huh7のトランスフェクションによって得られる安定HCV RNA複製細胞系、AVA5においてアッセイされた(Blight, et al. (2000) Science 290:1972)。RNAに基づく阻害剤は、DsRed発現プラスミドとともに〜80パーセントのコンフルエントな培養へとコトランスフェクションされ、HCV RNAレベルは、ドットブロットハイブリダイゼーションを使用してトランスフェクションの48時間後に査定された。アッセイは、3通りの培養で実施された。計4〜6の非処置コントロール培養、ならびに10、3、および1 IU/ml a-インターフェロン(細胞毒性をともなわない活性抗ウィルス剤)、ならびに100、10、および1μMリバビリン(抗ウィルス活性なしおよび細胞毒性)で処置された3通りの培養は、陽性抗ウィルスおよび毒性コントロールとしての役目をした。トランスフェクション効率は、蛍光顕微鏡法(DsRed発現)によって推定された。3通りに処置された培養におけるHCVおよびb-アクチンRNAレベルの両方は、非処置培養(計6)において検出されたRNAの平均レベルのパーセンテージとして決定された。b-アクチンRNAレベルは、毒性の尺度として、および各々の試料における細胞RNAの量を標準化するために使用される。30%以下のHCV RNAのレベル(コントロール培養に対して)は、陽性抗ウィルス効果であると考えられ、50%以下のb-アクチンRNAのレベル(コントロール培養に対して)は、細胞毒性効果であると考えられる。細胞毒性は、確立された中性赤色色素取り込みアッセイ(Korba, B. E. and J. L. Gerin (1992))を使用して測定される。B型肝炎ウィルス複製に対するヌクレオシド類似体の活性を決定するための基準化細胞培養アッセイの使用(Antivir. Res. 19:55-70)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、ウィルス遺伝子発現を阻害するおよび/または哺乳類におけるウィルス感染を処置するための組成物、方法、およびキットを提供する。
【0016】
RNA干渉は、ウィルス感染を処置することに対する新しい治療的アプローチの潜在性を与える。本発明は、ウィルス配列を標的にしかつウィルス遺伝子発現を阻害する(すなわち、軽減するまたは排除する)低分子干渉RNA(例えば、shRNAおよびsiRNA)、およびヒトなどの哺乳類におけるウィルス感染の処置に対して低分子干渉RNAを使用する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の低分子干渉RNA構築物は、低分子干渉RNAのアンチセンス配列によって認識される標的配列内またはその近くのウィルスポリヌクレオチド配列の開裂を誘導することによって、ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する。
【0017】
本明細書において使用されるように、「低分子干渉RNA」は、ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用することが可能である一つまたは複数の短い配列を含むRNA構築物を指す。相互作用は、低分子干渉RNAの相補的(アンチセンス)配列とウィルス標的のポリヌクレオチド配列との間の直接的な結合の形式、または低分子干渉RNAのアンチセンス配列が標的配列を認識することを可能にする酵素的機構(例えば、タンパク質複合体)を介する間接的な相互作用の形式であり得る。しばしば、低分子干渉RNAによる標的配列の認識は、低分子干渉RNAの認識(アンチセンス)配列によって認識される標的部位内またはその近くのウィルス配列の開裂を引き起こす。低分子干渉RNAは、排他的にリボヌクレオチド残基から成り得る、または特に末端にもしくはセンス鎖上に一つまたは複数の修飾残基を含み得る。本明細書において使用されるような「低分子干渉RNA」という語は、shRNAおよびsiRNAを包含し、その両方は、構造形の特定の特徴および型をともなうRNA構築物を指すことが当業者にとって理解されかつ公知である。
【0018】
本明細書において使用されるように、「shRNA」は、ヘアピンループを形成する二本鎖領域および一端でループ領域を含むRNA配列を指す。二本鎖領域は、典型的には、長さが約19〜約29ヌクレオチドであり、ループ領域は、典型的には、長さが約2〜約10ヌクレオチドである。本発明者らの好ましいshRNAの一つ、HCVa-wt shRNAは、25-bp二本鎖領域(配列番号:12)、10-ntループ、5'末端上のGG延長、および3'末端上のUU延長を有する。
【0019】
本明細書において使用されるように、「siRNA」という語は、二本鎖領域および各々の末端における非相同性残基の3'突出を含むRNA分子を指す。二本鎖領域は、典型的には、長さが約18〜約30ヌクレオチドであり、突出は、非相同性残基の任意の長さであり得るが、2ヌクレオチド突出が好ましい。本発明者らの好ましいsiRNAの一つ、HCVa-wt siRNAは、25-bp二本鎖領域(配列番号:12)および各々の3'末端上のUU延長を有する。
【0020】
一つの態様において、本明細書において使用されるような低分子干渉RNAは、C型肝炎(「HCV」)の内部リボソームエントリー部位(IRES)エレメントの配列に相補的な配列を含む。一つの態様において、ウィルスは、HCV遺伝型1aである。
【0021】
siRNA遺伝子阻害は、多くの哺乳類システムにおける遺伝子発現を強固に阻害することが示されている。二次構造のその高いレベルにより、HCV IRESは、si/shRNAに対する不十分な標的であることが示唆されている。しかしながらMizusawaは、最近、293およびHuh7組織培養細胞におけるHCV IRESの成功した標的化を報告し、それぞれ遺伝子発現の50および74パーセントのノックダウンを報告した。同様に、Seoおよび共労者[25]は、5-2 Huh7細胞においてHCV複製を阻害する(〜85%ノックダウン)100 nM siRNAの能力を報告した。本発明者らは、AUG翻訳開始部位を含むかつその下流のHCV IRESの3'末端に向けられた低分子干渉RNA(shRNAおよびsiRNA)が、293FT細胞において0.3 nMでHCV IRES依存性ルシフェラーゼ発現の96パーセントのノックダウンおよびHuh7細胞において0.1 nMで75パーセントのノックダウンを誘導することを実証した(図2Dおよび3Aを参照されたい)。さらに、マウス肝臓へのshRNAの直接的な送達は、HCV IRES依存性レポーター発現を強力に阻害することが示された。これは、RNAヘアピンの直接的な送達(プラスミドまたはウィルスベクターからインビボで発現されていない)に続く動物モデルにおけるRNAiを介した遺伝子阻害の最初の実証である。水圧注入に続いてマウス肝臓へ直接的に送達されたshRNAの有効性は、血液において見出されたヌクレアーゼの高いレベルを考えると、驚くべきことであった。これらのshRNAが肝臓における遺伝子発現を効果的にノックダウンするという観測は、これらのshRNA阻害剤が(1)非常に強力であり、遺伝子阻害を引き起こすためにマウス肝臓において高いレベルで必要とされない、(2)それらがヌクレアーゼによって開裂され得る前に肝臓に非常に迅速に送達される、または(3)直鎖状RNAよりもヌクレアーゼ分解に対して本質的により安定であることを示す(または、これらの特徴の組み合わせ)。
【0022】
最近の報告は、バクテリオファージプロモーターからのインビトロ合成転写産物が、非天然5'三リン酸の存在により、インターフェロンアルファおよびベータを強力に誘導することを示唆する[26]。さらに、pol III発現ベクターから発現されたshRNAは、IFNも誘導し得る[27]。このインターフェロン誘導が、どのようにHCV感染に対する臨床設定におけるshRNAの使用に影響を及ぼすのかははっきりしていない。現在のHCV治療は、インターフェロンアルファでの処置を含み、インターフェロンがshRNAによって誘導される場合、それは陽性効果を有し得ることを示唆する。今まで、RNAiの投与に続くインターフェロン関連副作用は、動物において報告されていない[3]。siRNAの的外れの効果ならびにRNAiがレンチウィルスベクターによって送達される場合の潜在的な細胞毒性効果に関する付加的な関心事が持ち上がっている[28]。その他の薬剤学のように、いくつかの潜在的な薬剤の適切なテストは、最も高い活性を有するものを同定するために、かつ許容できない的外れな効果を有するものに対してスクリーニングするために、必要とされると思われる。
【0023】
HCV 5'-UTRにおけるIRES領域は、高度に保存されており(92〜100%同一[15, 29-31])、不変であるように見えるいくつかのセグメントを有し、IRESが核酸に基づく阻害剤に対する第一の標的であるようにする。AUG翻訳開始コドンの周りの領域は、特に高度に保存されており、様々な地理的位置からの81の単離体にわたって、+8〜-65位で不変である(-2位における単一のヌクレオチド変異の例外をともなう)[32]。IRESモチーフにおける配列の保存にもかかわらず、高度に保存されていても、単一の配列を標的にすることは、エスケープ突然変異体を防ぐのに十分である可能性は低い。RNAウィルスは、RNAポリメラーゼの高いエラー率およびプルーフリーディング活性の欠如によるそれらの高い突然変異率に対して悪評が高い。平均して、HCV RNAが複製されるたびに、一つのエラーが新しい鎖に組み入れられる。このエラー率は、活性感染におけるウィルス粒子の驚異的な産生によって作り上げられる(慢性感染患者において1日あたりおよそ1兆)[33]。それ故に、いくつかの保存された部位が標的にされる必要がある、または代わりにshRNAがリバビランおよびPEG化インターフェロンなどとの組み合わせ処置の構成要素として使用されるべきであるという可能性が高い。単一のミスマッチは、shRNA活性を完全にブロックしないことが留意されるべきである(図2Dを参照されたい);したがって、各々のshRNAは、限定された数の突然変異に対してある活性を有し得る。
【0024】
McCaffreyおよび同僚は、AUG翻訳開始部位における保存されたHCV IRES部位に向けられたホスホロジアミダイトモルホリノオリゴヌクレオチドが、レポーター遺伝子発現を強力に阻害することを最近報告した[8]。本発明者らは、shRNA阻害に対する比較のために、同じモルホリノ阻害剤を使用した。この部位を標的にするモルホリンおよびshRNAの両方は、IRES依存性遺伝子発現を強力にかつ強固に阻害した。モルホリノにおける4つの突然変異が、活性をブロックするために必要とされたが、shRNAにおける2つの変化が十分であり、より大きなshRNA特異性を示唆する。shRNA阻害剤における非天然残基の欠如およびおそらくより少ない結果として起こる副作用と合わせられるこの潜在的な利点は、モルホリノオリゴマーの増加した安定性によって均衡を保たれる。
【0025】
本発明者らは、ホタルルシフェラーゼ(fLuc)発現がHCV IRESに依存する、デュアルレポータールシフェラーゼプラスミドを使用した[24]。上流レニラルシフェラーゼの発現は、HCV IRES依存性ではなく、Cap依存性プロセスにおいて翻訳される。HCV IRES shRNAの直接的なトランスフェクションまたは代わりにpolIII-プロモーターベクターから発現されたshRNAは、ヒト293FTおよびHuh7細胞におけるHCV IRESを介したfLuc発現を効率的にブロックした。二重の突然変異を含むコントロールshRNAは、fLuc発現に対する効果をほとんどまたは全く有さず、単一の突然変異のみを含むshRNAは、部分的な阻害を示した。これらのshRNAは、DNA構築物が尾静脈を介して水圧トランスフェクションによって肝臓における細胞に送達されるマウスモデルにおいても評価された。デュアルルシフェラーゼ発現プラスミド、shRNA、および分泌アルカリホスファターゼプラスミドは、肝臓における細胞にトランスフェクションするために使用され、動物は、12〜96時間にわたる時点でイメージングされた。インビボイメージングは、直接的にまたは代わりにpolIII-プラスミドベクターから発現されたHCV IRES shRNAが、HCV IRES依存性レポーター遺伝子発現を阻害することを明らかにした;突然変異体または無関連shRNAは、ほとんどまたは全く効果を有しなかった。これらの結果は、RNAとして送達されるまたはウィルスもしくは非ウィルスベクターから発現されるshRNAが、HCVおよび関連ウィルスの制御に対する効果的な抗ウィルス剤として有用であることを示唆する。
【0026】
HCV IRESドメインIV上の異なる部位を標的にする3つの付加的なshRNAのアッセイは、標的位置がHCVa-wtのものから6 ntシフトした、別の強力なshRNA、HCVd-wtを明らかにした。HCVb-wtおよびHCVc-wtは、より低く効率的な阻害剤であった。
【0027】
効力に対する局所配列効果をさらに調べるために、HCV1aの31-bp部位(344〜374)内のすべての起こり得る位置を標的にする、HCV IRESの配列に相補的な19 bp配列を含む7つのインビトロ転写shRNA構築物および同じ19 bp配列を含む対応する合成siRNAが、阻害性活性に対してアッセイされた。HCVa-wt shRNAに対応する25-bp合成siRNAもテストされた。それらのすべては、活性の高いレベルを示した。概して、siRNAは、shRNAよりも強力であった。最も強力なHCVd-wtは、1 nM(>90%阻害)、0.1 nM(〜90%阻害)、およびさらに0.01 nM濃度(〜40%阻害)において効果的であった。したがって、HCV IRES上の領域344〜374を標的にするようにデザインされた19〜25 bp shRNAおよびsiRNAは、いくつかの局所的な差をともなって、概して強力である。
【0028】
shRNAのループ領域のサイズおよび配列の効果も調べられた。shRNAステムループのループ領域は、2〜3 ntほどであり得、サイズに対するはっきりとした上限を有しない;実際問題として、それは通常、4と9 ntとの間であり、非標的遺伝子に相補的であるなどの意図されない効果を引き起こさない配列である。GNRAテトラループなどの高度に構造化されたループ配列が許容される。ループは、分子のいずれの端であってもよい;つまり、センス鎖は、ループに対して5'または3'のいずれであってもよい。非相補的二本鎖領域(およそ1〜6 bp、例えば4 CG bp)が、例えば強化二本鎖フォーメーションに対する「CGクランプ」としての役目をするために、標的二本鎖とループとの間に置かれてもよい。非相補的二本鎖が使用される場合、標的相補的二本鎖の少なくとも19 bpが必要である。
【0029】
3'末端は、非標的相補的2-nt突出、最もしばしばUUまたはdTdTを有することが好ましいが、それは、高いヌクレアーゼ耐性のための化学的修飾ヌクレオチドを含む任意のヌクレオチドであり得る。その他の(より好ましくない)態様において、3'末端上に一つまたはゼロのヌクレオチド突出がある。
【0030】
5'末端は、標的相補的二本鎖領域を超えて延長する、図1Bにおいて示される2つのG、またはGAAAAAA配列(示されない)、またはただ一つもしくはゼロのヌクレオチドのような非相補的延長を有し得る。図1Bにおいて示される配列において、2つの5'のGは、T7プロモーターからの転写を簡単にするために主として含まれる。
【0031】
本発明によって包含されるその他の変化は、標的相補的二本鎖領域に対する約19と約30 bpとの間の長さの変異、標的にされる配列における小さなシフト(好ましくは0〜約2 ntであるが、標的に沿ういずれかの方向における約10 ntもの大きさのシフトが、標的可能な領域内に位置し得る)である。同様に、ミスマッチも許される:アンチセンス鎖において約1〜約2およびセンス鎖において約1〜約9(後者は、ヘアピン二本鎖を脱安定化するが、標的へのアンチセンス鎖の結合の強度に影響を及ぼさない;許される数は、標的相補的二本鎖の長さに部分的に依存する)。本発明者らは、29-bp標的相補的二本鎖領域内の7つのG-Uミスマッチを成功して使用した。図1Bにおいて示される2つの突然変異が、阻害を大きく無効にしたが、その他の位置における突然変異を有するその他の突然変異体は、特にそれらが末端と間隔をあけずにおよび/または末端の近くにある場合、より良く許され得る。すべてのこれらの示唆され許される変異は、当技術分野において公知である、または本出願において実証される。
【0032】
本発明の方法
本発明は、ウィルスを、ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用することが可能である配列を含む本明細書において記載されるようなshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAと接触させることを含む、ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、ウィルスを接触させることは、低分子干渉RNAをウィルスを含む細胞、すなわちウィルス感染細胞に導入することを含む。本明細書において使用されるような「遺伝子発現を阻害すること」は、ウィルスの少なくとも一つの遺伝子の発現の軽減(すなわち、レベルにおける減少)または排除を指す。いくつかの態様において、遺伝子発現の阻害は、低分子干渉RNAが結合するウィルス標的配列の開裂によって遂行される。
【0033】
本発明は、ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用することが可能である配列を含む本明細書において記載されるようなshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAの治療的有効量を含む組成物を哺乳類に投与することを含む、哺乳類におけるウィルス感染を処置するための方法を提供する。いくつかの態様において、哺乳類はヒトである。一つの態様において、哺乳類はヒトであり、ウィルス感染は、HCV遺伝型1aでの感染などのHCV感染であり、低分子干渉RNAは、HCVのIRESの配列と少なくとも相補的である配列を含む。
【0034】
本明細書において使用されるように、「治療的有効量」は、望ましい治療帰結(例えば、ウィルス感染の軽減または排除)をもたらすと思われる低分子干渉RNAの量を指す。治療的有効量は、一つまたは複数の用量において投与され得る。
【0035】
概して、哺乳類におけるウィルス感染を処置するための方法において、低分子干渉RNAは、薬学的に許容される担体をともなって投与される。本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される担体」(本明細書においてほとんど同じ意味で「薬学的に許容される賦形剤」とも呼ばれる)は、低分子干渉RNAの投与を容易にする相対的に不活性の物質を指す。例えば、担体は、組成物に対する型もしくは硬度を与え得る、または希釈剤として作用し得る。薬学的に許容される担体は、生体適合性であり(すなわち、宿主に対して毒性ではない)、かつ薬理学的有効物質に対する投与の特定の投与法に適している。適した薬学的に許容される担体は、安定剤、湿潤および乳化剤、様々な浸透圧に対する塩、封入剤、バッファー、ならびに皮膚浸透エンハンサーを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、薬学的に許容される担体は、水または生理食塩水である。薬学的に許容される担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Alfonso R. Gennaro, ed., 18th edition, 1990)において記載される。
【0036】
ウィルス感染を処置するための方法において、本明細書において記載されるような低分子干渉RNAは、概して非経口的に、例えば皮下に、静脈内に、筋内に投与される。
【0037】
組成物
本発明は、本明細書において記載されるような少なくとも一つの低分子干渉RNAを含む、ウィルス遺伝子発現を阻害するおよび/または哺乳類におけるウィルス感染を処置するための組成物を提供する。本発明の組成物は、本明細書において記載されるような、二つ以上の低分子干渉RNAを含み得る。本発明に従って、例えばshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチドのウィルスポリヌクレオチド配列と実質的に相補的である配列を含み、ウィルスのポリヌクレオチド配列との低分子干渉RNAの実質的に相補的な配列の相互作用が、例えばウィルスポリヌクレオチド配列の開裂によってウィルス遺伝子発現を阻害する。
【0038】
いくつかの態様において、組成物は、配列番号:12、17、18、19、20、21、22、23、24、および25からなる群より選択される配列を含むshRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、配列番号:19、20、21、22、23、24、および25より選択される配列を含むsiRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、例えばHCV遺伝型1aなどのHCVのIRES要素内の約19〜約30ヌクレオチドの配列に結合する、すなわちそれと実質的に相補的な配列を含むshRNAまたはsiRNAを含む。
【0039】
いくつかの態様において、本発明は、本明細書において記載されるような低分子干渉RNAおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、例えばヒトなどの哺乳類への非経口投与に対して製剤される。
【0040】
キット
本発明は、本明細書において記載されるような低分子干渉RNAを含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、本明細書において記載されるウィルス遺伝子発現を阻害するための方法および/または哺乳類におけるウィルス感染の処置のための方法に用いられる説明書も含む。説明書は、印刷された形式、またはフロッピーディスク、CD、もしくはDVDなどの電子媒体の形式、またはそのような説明書が獲得され得るウェブサイトアドレスの形式で提供され得る。
【0041】
いくつかの態様において、キットは、例えばshRNAまたはsiRNAなどの少なくとも一つの低分子干渉RNAの少なくとも一つの単位用量を含む本発明の薬学的組成物、およびウィルス感染を処置または予防するための使用法に関して医療提供者へ情報を提供する説明書を含む。低分子干渉RNAは、滅菌水を含む薬学的組成物または乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物としてしばしば含まれる。
【0042】
適した包装が提供される。本明細書において使用されるように、「包装」は、システムにおいて習慣的に使用され、かつ個体への投与に適した本発明の組成物を固定限度内に保持することが可能な固体マトリクスまたは材料を指す。そのような材料は、ガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリカーボネート)、ボトル、バイアル、紙、プラスチック、ならびにプラスチックホイル積層エンベロープおよび同様のものを含む。e-ビーム滅菌技術が採用される場合、包装は、内容物の滅菌を可能にするために十分に低い密度を有するべきである。
【0043】
キットは、例えば静脈内投与のためのシリンジもしくは装置などの本発明の薬学的組成物の投与に対する装置、および/または例えば、投与のための乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物を調製するための水、生理食塩水、もしくはデキストロース溶液などの希釈剤などの滅菌溶液を任意で含んでもよい。
【0044】
(表1)shRNAまたはsiRNAに組み入れられ得る出願において開示される標的配列ならびにそのようなshRNAおよびsiRNAの例のリスト

【0045】
以下の実施例は、本発明を例証するが限定しないことを意図される。
【実施例】
【0046】
実施例
実施例1. shRNA発現カセット、T7転写反応、およびレポーター遺伝子アッセイのデザインおよび構築
化学的合成オリゴヌクレオチドは、IDT(Coralville, IA)から獲得され、RNA分解酵素-およびピロゲン-フリー水(Biowhittaker)に懸濁され、以下に記載されるようにアニーリングされた。shRNAを作るための以下のオリゴヌクレオチドペアは、T7プロモーターエレメント(二重下線部)、センスおよびアンチセンスHCV IRES配列、ならびにmiR-23マイクロRNAループ構造(細胞質局在を促進すると報告されている[21, 22])を含む。
T7-HCVa-wt fw:

T7-HCVa-wt rev:

(T7プロモーター配列、二重下線部)。HCVa-mut shRNAに対するT7転写産物は、ヌクレオチド変化(G→CおよびC→G)が一重下線部残基における合成オリゴヌクレオチドへ組み入れられたこと以外は、同一であった。
【0047】
HCVa-wt shRNA(図1B)は、HCV IRES上の領域344〜374を標的にするようにデザインされた;HCVb-wtは、領域299〜323を標的にするようにデザインされた(図1C);HCVc-wtは、領域318〜342を標的にするようにデザインされた(図1C);かつHCVd-wtは、領域350〜374を標的にするようにデザインされた(図1C)。
【0048】
shRNA 1〜7番(HCV IRES上の344〜362、345〜363、346〜364、347〜365、348〜366、349〜367、350〜368位を標的にする;19 bpウィルス認識配列を示す図4Aを参照されたい)は、MEGAscriptキット(Ambion)を使用してインビトロで転写され、HCVa-wt shRNAと同じループ配列および5'、3'-突出を含んだ。siRNA 1〜7番(19 bpウィルス認識配列を示す図4Aを参照されたい)は、Dharmacon(Lafayette, CO)で化学的に合成され、センスおよびアンチセンス鎖の両方上に3'-UU突出を含んだ。
【0049】
コントロールshRNA 229(腫瘍壊死因子アルファを標的にする)を調製するために使用されるオリゴヌクレオチドペアは、

である。
【0050】
pol III U6 shRNA発現ベクター構築- 低分子ヘアピンshRNA発現ベクターのデザイン
オリゴヌクレオチドペアは、RNAポリメラーゼバッファー(例えば、120μlの各々の60μl 5×アニーリングバッファー(Promega; 1×=10 mM Tris-HCl(pH 7.5)、50 mM NaCl)における100μMオリゴヌクレオチド)において2分間95℃で一緒にインキュベートされ、40℃未満まで1時間にわたってゆっくりと冷却(アニーリング)された。オリゴヌクレオチドは、Bbs1/BamH1-分解pCRII-U6プラスミド(Bbs1およびBamH1認識部位または突出は、オリゴヌクレオチド配列において下線を引かれる)への迅速なクローニングに対して4-塩基突出を提供するようにデザインされた。pCRII-U6 pol III発現プラスミドは、TAクローニングキット(Invitrogen)を使用して、pCRIIベクター(Invitrogen)へ、プライマーならびに

[23]を使用してヒトHT-1080ゲノムDNAから獲得されたPCR産物をサブクローン化することによって調製された。アニーリングされたオリゴヌクレオチド(HCV IRES shRNAをコードする)からなるカセットは、Bbs1/BamH1-分解pCRII-U6プラスミドへライゲーションされた。発現shRNAは、細胞質局在を促進するためのmiR-23マイクロRNAループ構造を含む[21, 22]。最終pCRII-U6構築物は、シークエンシングによって確認された。使用されたプライマーペアは、

であった。下線部残基における適当な配列変化を含むオリゴヌクレオチド(上記を参照されたい)は、図1Bにおいて示されかつ上に記載されるように、pCRII-U6/HCVa-mut(二重突然変異)、HCVsnp1(5'側における単一の変化)、およびHCVsnp2(3'端における単一の変化)を生成するために使用された。コントロールpCRII-U6/229は、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、同様の方式で調製された。

【0051】
T7転写反応
オリゴヌクレオチドペアは、RNAポリメラーゼバッファー(120μlの各々の60μl 5×転写バッファー(Promega)における100μMオリゴヌクレオチド)において2分間95℃でインキュベートされ、40℃未満まで1時間にわたってゆっくりと冷却(アニーリング)された。shRNAは、AmpliScribe T7 Flash転写キット(Epicentre Technologies)を使用して、5μMの結果として生じたアニーリングされたdsDNA鋳型から4時間42℃で転写され、その後、防腐剤を除去するためにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回徹底的に洗浄されたゲル濾過スピンカラム(Microspin G-50, Amersham Biosciences)上での精製が続いた。
【0052】
siRNA
siRNAは、RNAのアニーリング化学合成(Dharmacon)相補鎖によって調製され、各々は、適当な認識配列プラス3'端上の(突出)UU延長を含んだ。
【0053】
トランスフェクションおよびレポーター遺伝子アッセイ
ヒト293FT(Invitrogen)およびHuh7細胞(ATCC)は、2 mM L-グルタミンおよび1 mMピルビン酸ナトリウムで補足された、10%ウシ胎仔血清(HyClone)をともなうDMEM(Biowhittaker)において維持された。トランスフェクションの前日に、細胞は24ウェルプレートに1.7×105 細胞/ウェルで播種され、トランスフェクションの時間において〜80%の細胞コンフルエンシーを引き起こした。細胞は、製造業者の説明書に従って、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクションされた。阻害実験に対して、293FTまたはHuh7細胞は、40 ng pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼ(レニラおよびホタル)レポーター構築物、50 ng pSEAP2-コントロールプラスミド(BD Biosciences Clontech、トランスフェクションコントロールとして)、および示される量のT7生成shRNA(典型的な量1 pmole)またはpCRII-U6 shRNA発現構築物(710 ng)でコトランスフェクション(3回)された。補償pUC18プラスミドが、トランスフェクション混合に添加され、トランスフェクションあたり800 ng総核酸の最終濃度を与えた。48時間後、上清が除去され、15〜30分間65℃で加熱され、5〜10μlの上清が、150μl p-ニトロフェニルリン酸液体基質システム(pNPP、Sigma)に添加された。室温での30〜60分インキュベーションの後、試料は、Molecular Devices Thermomaxマイクロプレートリーダー上で読まれ(405 nm)、かつSOFTmaxソフトウェア(Molecular Devices)を使用して定量された。残った細胞は溶解され、Dual-Luciferase Reporterアッセイシステム(Promega)およびMicroLumat LB 96 P ルミノメーター(Berthold)を使用してルシフェラーゼ活性が測定された。
【0054】
マウス
6週齢メスBalb/cマウスは、Stanford Universityの動物施設から獲得された。動物は、NIH Guidelines for Animal CareおよびGuidelines of Stanford Universityに従って処置された。
【0055】
マウス水圧注入およびインビボイメージング
水圧尾静脈注入は、RNasinの省略を含むわずかな改変をともなって、McCaffreyおよび同僚によって記載されるように行なわれた[24]。阻害剤(RNAまたはプラスミド)を含む総体積1.8 mlのリン酸緩衝生理食塩水、10μgのpHCV Dual Lucプラスミド、および2μg pSEAP2-コントロールプラスミド(BD Biosciences Clontech、SV40早期プロモーターを含む)が、〜5秒にわたってマウス尾静脈へ間断なく注入された(群あたりN=4〜6動物)。示された時間において、100μlの30 mg/mlルシフェリンが、腹腔内に注入された。注入の10分後、生きた麻酔されたマウスは、IVIS7イメージングシステム(Xenogen Corp., Alameda, CA)を使用して解析され、結果として生じた光放出データは、LivingImageソフトウェア(Xenogen)を使用して定量された。生の値は、分あたりの相対検出光として報告され、各々の群(N=4〜5動物)に対する標準誤差が示される。
【0056】
分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)アッセイ
5日目に、マウスは、目の後眼窩静脈を介して出血させられた。血清は、マイクロ遠心によって血液細胞から分離され、内因性アルカリリン酸塩を不活性化するために30分間65℃で加熱され、5〜10μlの血清が、150μl pNPP液体基質システムに添加された(上記を参照されたい)。室温での30〜60分インキュベーションの後、試料は、上に記載されるように読まれ(405 nm)かつ定量された。
【0057】
実施例2
ヒト組織培養細胞におけるHCV IRESを介した遺伝子発現のshRNA阻害
この調査において、C型肝炎IRESの保存された領域を標的にするように実施例1におけるようにデザインされかつ構築された低分子干渉RNA(short interfering RNA)(shRNAおよびsiRNA)は、ヒト組織培養細胞におけるHCV IRESを介したレポーター発現を阻害するそれらの能力に対してテストされた。
【0058】
図1Aは、HCV IRES標的部位(パネルA)ならびにT7プロモーター配列およびHCV IRES標的を含むハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドから調製された鋳型のT7転写に起因するHCV shRNA(図1B)を示す。下線部残基は、突然変異体HCV shRNAを生成するために変えられたものである。shRNAは、細胞質局在を促進することが以前に示唆された[21, 22]mir-23マイクロRNAループ構造ならびに非Watson-Crick G:U塩基対合を介してハイブリダイズもし得る5'(2つのグアニン)および3'(2つのウリジン)末端における2つのヌクレオチドをともなう25 bp RNAステムを含む。ベクター送達shRNAに対して、重複オリゴヌクレオチドは、poIII発現ベクター(pCRII-U6、実施例1を参照されたい)へサブクローン化された。
【0059】
本発明者らは、HCV IRESのドメインIVにおける近くの位置を標的にする同じステム長およびループ配列をともなう3つのその他のshRNAもデザインした(図1C)。HCVb-wt shRNAは、高度に構造化された領域を標的にし(効能を比較するために、陰性コントロールとして使用される)、HCVc-wtおよびHCVd-wt shRNAは、生化学的フットプリント法調査に従ってより「アクセスしやすい」領域を標的にする(図1D;Brown et al., 1992)。すべてのRNAは、HCVa-wt shRNAと同様に、T7プロモーターを含むdsDNA鋳型からインビトロで転写された。
【0060】
HCV IRESを介した遺伝子発現を阻害するHCV shRNAの有効性をテストするために、ヒト293FTまたは肝細胞Huh7細胞は、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼ発現プラスミド、分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド(pSEAP2、トランスフェクションの効能を制御するために)、ならびにインビトロ合成shRNAまたは代わりに対応するshRNAカセットを含むpol III発現ベクターでコトランスフェクションされた。
【0061】
図1Fにおいて見られるように、AUG翻訳開始部位(それぞれ、344〜368および350〜374)のすぐ下流のIRESの領域を標的にするHCVa-wtおよびHCVd-wt shRNAの両方は、ヒト293FT細胞におけるHCV IRESを介したfLuc発現を強く阻害する。HCVc-wt(318〜342を標的にする)は、中程度の阻害を示し、HCVb-wt(299〜323)は、予想されたように、ごくわずかな活性を示した。したがって、予備スクリーニングは、強力なshRNA、HCVa-wtを明らかにし、さらなる詳細な調査に対して選ばれた。
【0062】
AUG翻訳開始部位のすぐ下流のIRESの領域を標的にするHCVa-wt shRNAは、ヒト293FT(図2)および肝細胞Huh7(図3B)細胞系の両方において、HCV IRESを介したfLuc発現を強く阻害する。RNAヘアピンの対合において2つの変化を含む突然変異体shRNA(HCVa-mut)(ミスマッチ位置に対して、図1Bを参照されたい)または無関係TNF(229)shRNAのいずれかを使用した場合、ほとんどまたは全く阻害は観測されなかった。229 TNF shRNAは、TNF発現を阻害することにおいて高度に効果的であり(Seyhan et al., 2005)、このshRNAが、RNAi装置によって効果的に利用されることを示唆する。上流または下流位置(それぞれ、SNP1およびSNP2;図2Cを参照されたい)のいずれかにおける、ヘアピン領域における単一のヌクレオチド変化は、部分的な効果を有した。HCV shRNAが、HCV IRESが脳心筋炎ウィルス(EMCV)IRESによって置換された類似のデュアルルシフェラーゼ構築物に対して標的にされた場合、ほとんどまたは全く阻害は観測されなかった。(図2Bおよび3B)。
【0063】
shRNAがそれらの標的mRNAを分解することによって作用していたことを確認するために、ノーザンブロット解析が行なわれた(図2F)。阻害剤なし、またはHCVa-wt、HCVmut1/2、または229 shRNAでトランスフェクションされた細胞から単離された等量の総RNAは、ゲル電気泳動によって分離された。分離されたRNAは、膜に転写され、fLuc、SEAP、および伸長因子1A(EF1A)に特異的な放射性ラベル化cDNAプローブにハイブリダイズされた。HCVa-wt shRNA(レーン3)は、ホスホイメージャーによる定量の後、fLuc mRNA蓄積を特異的に阻害した(SEAPおよびEF1A mRNAレベルに対して補正された場合、229 shRNA(レーン2)と比較して63%阻害;HCVa-mut1/2に対して阻害は観測されなかった)(レーン3および4を比較されたい)。
【0064】
用量反応実験は、HCVa-wt shRNAが、293FT細胞において0.3 nMで(96パーセント阻害、図2Dを参照されたい)、およびHuh7細胞において0.1 nMで(75パーセント阻害、図3Aを参照されたい)、HCV IRES依存性遺伝子発現を効果的に阻害することを示した。
【0065】
効力に対する局所配列効果をさらに調べるために、HCVaの31-bp部位(344〜374;図4A)内のすべての起こり得る位置を標的にする、7つのインビトロ転写19 bp shRNAおよび対応する合成19 bp siRNAが、阻害活性に対してアッセイされた。HCVa-wt shRNAに対応する25-bp合成siRNAもテストされた。それらのすべては、活性の高いレベルを示した(図4B)。最も強力なのは、HCVaのsiRNAおよびshRNAバージョンならびに1 nM(>90%阻害、図4B)および0.1 nM(〜90%阻害、図4C)で効果的であった、siRNA 3番であった。したがって、HCV IRES上の領域344〜374を標的にするようにデザインされた19〜25 bp shRNAおよびsiRNAは、いくつかの局所差をともなって強力である。
【0066】
実施例3
マウスモデルシステムにおけるHCV IRESを介した遺伝子発現のshRNA阻害
標的遺伝子発現を阻害するHCV shRNAおよびHCV shRNA発現プラスミドの能力は、マウス肝臓へ核酸を送達するための水圧注入を使用して、マウスモデルシステムへと拡張された。図5は、pHCVデュアルLuc、pSEAP2、およびshRNA(shRNAまたはshRNAを発現するpol III発現ベクターのいずれかの質量に基づいて、標的に対して10倍過剰)を含む大体積のPBS(1.8 ml)を、マウスの尾静脈に注射した結果を示す(n=4〜5マウス)。図5Bにおいて示される時点において、ルシフェリンが腹腔内に注射され、マウスは、高解像度冷却CCDカメラでイメージングされた。(図5Aは、84時間の時点における各々のセット(セットあたり、4〜5マウス)から選ばれた代表的なマウスを示す。)テストされたすべての時点において、HCV shRNAは、shRNA阻害剤の代わりにpUC18を注射されたマウスと比較して、98(84時間の時点)〜94(48時間の時点)パーセント阻害の範囲で、ルシフェラーゼ発現を強固に阻害した。突然変異体(mut)またはコントロール(229)shRNAは、ほとんどまたは全く効果を有しなかった。おそらくDNAの欠損またはプロモーターサイレンシングにより[8]、ルシフェラーゼ活性が、時間とともに減少すること、およびデータが各々の時点内で標準化されることが留意されるべきである(上記の図5の説明を参照されたい)。
【0067】
図6は、この同じ部位を効果的に標的にすることを以前に示された[8]ホスホロアミダイトモルホリノオリゴマーとのHCVa-wt shRNA阻害活性の比較を示す。HCVa-wt shRNAおよびモルホリノオリゴマーの両方は、テストされたすべての時点においてルシフェラーゼ発現を効果的にブロックした。データは、48時間の時点に対して示され、阻害は、それぞれHCVa-wt shRNAおよびモルホリノ阻害剤に対して、99.95および99.88パーセントであった。
【0068】
実施例4
shRNAを使用したセムリキ森林熱ウィルス(SFV)の阻害
SFVは、より悪性のプラス鎖RNAウィルスに対するモデルシステムとして使用されている。SFV成長に対するRNAiの阻害性効果を検査するために、本発明者らは、4つのSFV遺伝子(nsp-1、nsp-2およびnsp-4、ならびにカプシド)およびnsp-4部位に対する一つのミスマッチコントロールを標的にするshRNAを生成し、U6プロモーターからそれらを発現させ、かつeGFPレポーター遺伝子を発現する複製能の高いSFV株SFV-A7のバージョンであるSFV-A7-EGFPの増殖を阻害するそれらの能力をテストした[49]。SFV-GFP複製の控えめな軽減(〜35%)は、nsp-1を標的にするshRNAで見られた(図7)が、nsp-2、nsp-4、もしくはカプシドコード領域、またはミスマッチsiRNAでは見られなかった(示されず)。
【0069】
シンドビスウィルスに対して効果的であることが以前に示された[50]カプシドコード領域内の部位は、SFVに対して効果的ではなかった。この部位におけるシンドビス-SFV配列相同性は、77%のみである。SFVは、非常に迅速に成長するウィルスであり、その感染サイクルの間に200,000細胞質RNAまで産生する。本発明者らがよりゆっくりと成長するウィルスから細胞をより良く保護し得るかどうかを見るために、本発明者らは、2つの別個の実験において、SFV-GFPの複製不全株に対するこれらのsiRNAの効果もテストした。図8は、このSFV株を標的にするU6-発現shRNAが、5日までの時間期間にわたってウィルス発現を≧70%軽減し得ることを示す。この効果は、非構造遺伝子nsp-1、nsp-2、およびnsp-4を標的にするsiRNAならびにnsp-4への一つのミスマッチをともなうsiRNAでは見られたが、カプシド遺伝子(この不活発ウィルスにおいて欠如している)またはその他のコントロールに対しては見られなかった(図8)。shRNAによって標的にされる配列の長さが、29 ntであり、nsp-4ミスマッチshRNAにおいて使用される単一のミスマッチが、RNAi効果に対して明らかに破壊的ではないことに留意されたい。様々なshRNAの有効性における広範な変異は、SFVなどの迅速に複製しかつ高度に突然変異原性のウィルスに対処する場合、最良のsiRNAおよびshRNAを見出すためのライブラリーアプローチの重要性を強調する。
【0070】
前述の発明が、理解の明確性の目的のために例証および例によってある程度詳細に記載されているが、特定の変化および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実行され得ることは、当業者にとって明らかであると思われる。それ故に、説明は、添付の特許請求の範囲によって線引きされる本発明の範囲を限定するように構築されるべきではない。
【0071】
本明細書において引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が参照によりそのように組み入れられることが具体的に示された場合と同じ程度に、すべての目的に対して全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0072】
参照






【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子干渉RNAをウィルス含有細胞に導入する段階を含み、該低分子干渉RNAがウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的である配列を含み、該ウィルスのポリヌクレオチド配列との該低分子干渉RNAの少なくとも部分的に相補的な配列の相互作用がウィルスにおける遺伝子発現の阻害を引き起こす、ウィルスにおける遺伝子発現を阻害する方法。
【請求項2】
低分子干渉RNAが、shRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
低分子干渉RNAが、siRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
低分子干渉RNAが、約19〜約30ヌクレオチドのウィルス配列を認識する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
ウィルスが、C型肝炎ウィルスである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
低分子干渉RNAが、C型肝炎ウィルスの内部リボソームエントリー部位(IRES)配列内の配列と相互作用する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
IRES配列が、配列番号:11において記載される配列を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
低分子干渉RNAが、配列番号:26において記載される領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列を認識する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
低分子干渉RNAが、shRNAである、請求項5〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
shRNAが、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
shRNAが、配列番号:12において記載される配列を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
低分子干渉RNAが、siRNAである、請求項5〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
siRNAが、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ウィルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的である配列を含む低分子干渉RNAの治療的有効量を含む組成物を哺乳類に投与する段階を含み、該ウィルスのポリヌクレオチド配列との該低分子干渉RNAの少なくとも部分的に相補的な配列の相互作用がウィルスにおける遺伝子発現の阻害を引き起こす、哺乳類におけるウィルス感染を処置する方法。
【請求項15】
低分子干渉RNAが、shRNAである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
低分子干渉RNAが、siRNAである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
低分子干渉RNAが、約19〜約30ヌクレオチドのウィルス配列を認識する、請求項14〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
哺乳類がヒトであり、かつウィルス感染がC型肝炎ウィルスを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
低分子干渉RNAが、C型肝炎ウィルスのIRES配列内のポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的である配列を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
IRES配列が、配列番号:11において記載される配列を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
低分子干渉RNAが、配列番号:26において記載される領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列に結合し認識する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
低分子干渉RNAが、shRNAである、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
shRNAが、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
shRNAが、配列番号:12において記載される配列を有する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
低分子干渉RNAが、siRNAである、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
siRNAが、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
配列番号:12、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含むshRNAを含む組成物。
【請求項28】
配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、および配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含むsiRNAを含む組成物。
【請求項29】
請求項27記載のshRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項30】
請求項28記載のsiRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項31】
請求項1、5〜8、14、および18〜21のいずれか一項記載の方法に用いられるshRNAおよび説明書を含むキット。
【請求項32】
shRNAが、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項31記載のキット。
【請求項33】
請求項1、5〜8、14、および18〜21のいずれか一項記載の方法に用いられるsiRNAおよび説明書を含むキット。
【請求項34】
siRNAが、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、および配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、請求項33記載のキット。
【請求項35】
C型肝炎ウィルスが、遺伝型1aである、請求項18記載の方法。
【請求項36】
哺乳類がヒトである、請求項14記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136542(P2012−136542A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45015(P2012−45015)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2007−531467(P2007−531467)の分割
【原出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507078991)ソマジェニックス  インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】