説明

ウイルスの診断法およびこれに使用するウェル

【課題】
【解決手段】本発明はウイルスの診断方法で利用するのに適した単独のフラットベース型ウェルに関する。特に、このウェルは、湾曲したベースとは対照的に、平らでフラットなベースを有する。また、本発明は、このような単独のウェルを利用するウイルスの診断方法に関する。この方法の実施例では、ホルモンおよび酵素を含む特別に開発された組織培養用培地が利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスの診断方法で利用するのに好適な単独のフラットベース型ウェルに関する。特に、このウェルは、湾曲したベースとは対照的な平らまたはフラットなベースを有する。本発明はまた、このような単独のウェルを利用するウイルスの診断方法に関する。この方法の実施例では、ホルモンおよび酵素を含む特別に開発された組織培養用培地を使用する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスを特定する従来の診断方法は、特定のウイルスに対する感受性に基づいて選択した特殊な細胞系を容器に播種(seed)するステップと、ウイルスを含んでいると思われる生体サンプルを細胞培養(cell culture)に接種(inoculate)するステップとを含む。このような生体サンプルは、唾液、尿、糞、髄液(CSF)、呼吸器官の液体、ならびに口、鼻腔、腔、喉、皮膚、生殖器などから綿棒で集めた標本を含む。接種された細胞培養は培養され、細胞はウイルスによって引き起こされる細胞変性効果について検査される。特定のウイルスは特定の細胞で増殖するので、ウイルスは、細胞変性効果(CPE)を引き起こす細胞の種類、または細胞変性効果を引き起こさない細胞の種類に基づいて特定できる。
【0003】
この方法に代わる多くの手順が存在し、これは、ウイルス組織標本を接種した細胞をトリプソニセーション(trypsonisation)により取り出され、フルオレセイン(FITC)分子などのレポータ分子により標識されたウイルス由来のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を利用してウイルス検出を行う。別の代替例は、細菌培養管内にカバースリップを具え、細胞の回収を増進する。
【0004】
従来の(または伝統的−ドラム)方法は、適切な細胞系が播種されたスクリューキャップ管を利用する。細胞の集密度が約80%になった後、管は適切な標本で接種され、最長で3週間CPEが観察される。最初の1週間は、CPEの毎日の観察が必要である。第2週および第3週は、これよりも頻度の低い観察が必要である。しばしば、ブラインド継代がウイルスの回収を増進するために必要とされる。
【0005】
この方法の不利点の一つは、管を毎日観察する必要があるために、時間や労働力が増大することである。通常、主観を排除するために2人が光学顕微鏡で同一の管のCPEの観察する。さらに、総てのウイルスが目に見えるCPEを引き起こすわけでないため、この方法ではウイルスは検出できない。さらに、従来の管による方法で観察されるCPE情報は、細胞系の感受性と、目に見えるCPEを引き起こすウイルスの能力に大きく依存している。また、標本の毒性は、不都合にもウイルスによるCPEと同じような変化を生じさせ、失敗を引き起こす。また、長期間が経過した後だけ、CPEを引き起こすウイルスもある(例えば、サイトメガロウイルス(CMV))。このように、従来の管による方法よって得られた結果は、大部分がCPE検出に基づいており、通常、他の方法により確認されないため、診断が不正確になる可能性がある。従来の管による方法の別の制約は、管が蓄積されるため、標本ごとに2または3本以上の管を使用することが難しいことである。例えば、1日に40の標本の場合、最初の1週間だけで、500本の分析される管が作られる。
【0006】
シェルバイアル法は、当業者が利用するウイルス回収の現在最も進んだ方法である。この方法は、直径が16mmで5mlのプラスチック製のバイアル(シェルバイアル)であて透明の蓋を有するバイアルを利用する。以下の適切な処理では、円形の(13mm)カバースリップがバイアル内に挿入される。次に、感受性のある細胞系がバイアルに播種され、これが、カバースリップ上で単分子層を成長させる。細胞単分子層の集密度が約80から90%に達したとき、培地が捨てられ、単分子層に患者の標本を接種し、バイアルが培養される。次に、培養されたバイアルはCPEが観察され、カバースリップが取り出される。次に、カバースリップは顕微鏡スライドに固定され、モノクローナル抗体により染色される。
【0007】
シェルバイアル法の利点は、接種の後にバイアルを遠心分離処理することにより、ウイルスの回収が促進され、これにより、結果を得る時間を2または3日に短縮できることである。さらに、シェルバイアル法を利用することにより、目に見えるCPEを待つ必要がない。カバースリップは2または3日目に取り出され、適切なモノクローナル抗体により染色され、抗体抗原染色法を用いて結果を確認できる。
【0008】
しかしながら、シェルバイアル法は多くの不利点がある。この方法は、カバースリップが、洗浄剤およびアセトンで何度も洗った後、蒸留水で洗って殺菌するといった特別な処置を必要とするために時間がかかる。また、カバースリップは、バイアルに手で挿入しなければならない。さらに、免疫蛍光染色が必要な場合、処理がより複雑になり時間がかかる。シェルバイアルの培地は捨てられ、カバースリップは、特別な鉗子を用いて手で取り出して空気乾燥させ、真空グリースを利用して顕微鏡スライドに固定しなければならない。カバースリップは手荒な取り扱いによって壊れたり意図せず回転したりすることがあり、また、単分子層を裏返して顕微鏡スライドに固定するため、カバースリップを取り出すのは煩わしい。播種された細胞がカバースリップの底で増殖した場合、カバースリップがバイアルにくっつき、カバースリップを取り出すのが困難であるという別の複雑さが生じる。実際は、従来の管による方法の場合、シェルバイアル法を利用することにより管が蓄積してしまうため(すなわち、1日に40の標本の場合、1週間で500のバイアルが作られる)、標本ごとに2または3本以上の管を利用できない。さらに、円形の13mmカバースリップを覆うために、免疫蛍光染色用の多くのモノクローナル抗体が必要である。
【0009】
96ウェルプレートによる方法は別の方法であり、この方法は、同じ細胞系で増殖するウイルスを回収する限られた場合にのみ利用される。例えば、ウェルがLLC−MK2細胞系が播種された場合、パラインフルエンザおよびまたはインフルエンザウイルスの回収が可能である。96ウェルプレートによる方法には、播種された細胞系を特定の標本で接種するのが比較的容易であるという利点がある。さらに、多くの標本は同じプレートに接種でき、遠心分離による促進も可能である。さらに、96ウェルプレートによる方法は、少量の培地(シェルバイアル法で使用される1−1.5mlの代わりに0.3ml)を使用し、また、抗原抗体技術を用いて結果を確認でき、さらに、この方法は容易にCPEの観察を「読み取る」ことができる。
【0010】
しかしながら、96ウェルプレートによる方法も不利点がある。プレート全体を抗原抗体検出に利用しなけれなならず、これは一般に実用的でなく、また、標本の数がプレート全体が要する数よりも少ない場合であっても、プレート全体を同じ日に使用しなければならない。これは、毎日新しい別のプレートセットを使用しなければならないことを意味する。これは不利なことに、一旦検出が完了すると、失敗したときまたは長い培養期間後に、再処理に利用可能な細胞が残っていないという状態が生じる。さらに、通常、1または2つの異なる細胞系しか各プレートで使用できず、同じ種類の標本が同じプレートで培養される。オーストラリアのイノベーション特許第2001100242で説明されている単独のウェルによる方法は、前述した従来の方法に関する問題を解決し、バイアル診断を行う代替的、効果的、および経済的な方法を提供している。この特許の開示は、全体を参照することによりここに組み込まれている。
【0011】
フラットベース型ウェルは、診断検査に利用する場合に特定の利益を提供することが知られている。具体的にこれは、例えば、円形または湾曲したベースのウェルと比べて、より精密な分析を提供する。しかしながら、単純なフラットベース型ウェルは、ウェルのベースにメニスカスを形成する傾向があり、ウェルのベース全体の溶液の分散が一様でなくなるという不都合を有する。これを考慮して発明者は、以下に説明するように、この問題を解決するフラットベース型ウェルを開発した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明の第1の態様は、検査で利用するフラットベース型ウェルを提供し、当該ウェルが、
液体サンプルを収容する開口部と、当該開口部から延在する側壁と、チャンバベースとを有するメインチャンバと、
前記メインチャンバのチャンバベースから延在し、規定量の前記液体サンプルを収容するように構成されたサブチャンバとを具え、当該サブチャンバがフラットベースを有する。
【0013】
有利なことに、この構成は、前記サブチャンバに収容された液体サンプルにより、前記メインチャンバの側壁にメニスカスが形成されないことを保証する。むしろ、前記サブチャンバに収容された液体サンプルは、前記サブチャンバから前記メインチャンバに向かっておよび/または前記メインチャンバへ盛り上がる凸面を維持してもよい。この構成はまた、液体サンプルが収容されるベース面が平らであることを保証し、前述したようにより精密な分析を提供する。
【0014】
別の実施例では、本発明は、本発明の単独のフラットベース型ウェルを1以上具えるウェルユニットを提供する。
【0015】
他の実施例では、本発明は検査を行う方法を提供し、前記方法は、本発明の単独のフラットベース型ウェルを使用するステップまたは本発明のウェルユニットを利用するステップを具える。
【0016】
さらに、本発明の別の態様は、ウイルスを検出する方法を提供し、前記方法は、
事前に選択された細胞系が播種された本発明の単独のフラットベース型ウェルを1以上用意するステップと、
分析される標本を前記1以上のウェルに接種するステップと、
前記1以上のウェル内の事前に選択された1以上のウイルスを調査するステップとを具える。
【0017】
さらなる実施例では、本発明はウイルスを検出する方法を提供し、当該方法は、
ウイルスの接種に適した細胞系が播種された、ここで説明する本発明の単独のフラットベース型ウェルを用意するステップと、
標本に特別な事前処置を施して、検出されるウイルスを潜在的に含むサンプルを取得するステップと、
前記サンプルを前記細胞系に接種するステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
前記接種された細胞系のサンプル培地を、少なくとも一のホルモンおよび少なくとも一の酵素を具える細胞培養用培地を含むウイルス回収用培地と取り替えるステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
前記培養された細胞系にウイルスが存在するかどうか分析するステップとを具える。
【0018】
さらに別の実施例では、本発明は、本発明の単独のフラットベース型ウェルまたはウェルユニットの検査における使用を提供する。
【0019】
本発明の別の態様は、ウイルス検出方法における本発明の単独のフラットベース型ウェルの使用を提供し、前記方法は、
事前に選択された細胞系が播種された、ここで説明する本発明の単独のフラット型ウェルを1以上用意するステップと、
分析される標本を前記1以上のウェルに接種するステップと、
前記1以上のウェル内の事前に選択された1以上のウイルスを調査するステップとを具える。
【0020】
さらなる実施例では、本発明は、ウイルス検出方法における本発明の単独のフラットベース型ウェルの使用を提供し、前記方法は、
ウイルスの接種に適した細胞系が播種された、ここで説明する本発明の単独のフラットベース型ウェルを用意するステップと、
標本に特別な事前処置を施して、検出されるウイルスを潜在的に含むサンプルを取得するステップと、
前記サンプルを前記細胞系に接種するステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
細胞系のサンプル培地を、少なくとも一のホルモンおよび少なくとも一の酵素を含む細胞培養用培地を具えるウイルス回収用培地と取り替えるステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
前記培養された細胞系にウイルスが存在するかどうか分析するステップとを具える。
【0021】
本発明の実施例は、非限定的な添付した図面に示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
メインチャンバおよびサブチャンバは、サブチャンバがメインチャンバのチャンバベースから延在する任意の好適な形状としてもよい。単独のフラットベース型ウェルは、標本を収容するウェルのベースが平らである任意の好適な形状としてもよい。例えば、ウェルは、断面が、円形、四角形、三角形、または六角形であってもよい。また、ウェルは、断面が高さに沿って一様であってもよい。代替的に、ウェルは上端部または底端部に向かって先端部が細くなっていてもよい。ウェルは、従来のマイクロタイタトレイアセンブリおよび従来の技術によって使用される標準的な材料を利用して形成されると理解されるであろう。
【0023】
メインチャンバの断面は四角形であり、サブチャンバの断面は円形であることが好適である。本実施例では、サブチャンバの環状の側面部の円弧が、メインチャンバの各側面の端部に延在することが好ましい。これは、この形状をよく表わしている添付図面から理解されるであろう。
【0024】
通常、サブチャンバは、全体で約30μlの規定量を入れることができ、サブチャンバ内では、液体サンプルが、サブチャンバの開口部から盛り上がる凸面を有利に有する液滴を形成し、さらに、液体の深さはサブチャンバを通してほぼ一定であり、これにより、ウェルに収容された液体サンプルが、ウェルの側壁にメニスカスを形成するという不都合を軽減する。
【0025】
メインチャンバとサブチャンバの高さの比率は10:1で、メインチャンバとサブチャンバの幅の比率は2:1から1:1であることが好適である。好適な実施例では、ウェルの高さは、メインチャンバの高さ10mmおよびサブチャンバの深さ1mmを含む11mmである。ウェルの幅は通常8mmであり、ウォールの厚みが約1mmであり、サブチャンバの内側の幅は約6mmである。したがって、メインチャンバの容量は、通常約360μlであり、サブチャンバの容量は、通常約28.3μlである。
【0026】
この特別な実施例は、ウェルがウェルユニット内で使用される場合にも同様の利益を提供する。例えば、多くのウェルを一緒にして、単独で利用しない場合である。したがって、本発明の代替的な実施例では、本発明のウェルを1以上具えるウェルユニットが提供される。ウェルユニットは、例えば、オーストラリアイノベーション特許第2001100242に説明するような96または48ウェルプレート構成またはユニットとすることができる。
【0027】
当業者であれば、ウェルをプレートに挿入する必要がある検査方法の場合、ウェルが挿入されるウェルプレートにウェルを容易に取り付ける手段をウェルに設けることができることは理解できるであろう。例えば、前述したようにウェルの先端部を細くして、ウェルプレートの受け部に摩擦により取り付けてもよい。代替的に、ウェルが挿入されるプレートの受け部と共力するリブ、窪み、または溝をウェルに設けてもよい。
【0028】
いくつかの例では、分析中やプレートの輸送中は、ウェルがウェルプレートから取り外される。このため、好適な実施例では、ウェルは色識別またはマークなどの特定するものを有する。ウェルは、例えば、プレート上の位置(行および列)を示すマークを有していてもよい。
【0029】
分析を補助するために、ウェルはまた、マークが付けられた区分を有するフラットベースを有していてもよい。例えば、各ウェルのフラットベースは、フラットベースを4分割する十字線を有してもよい。したがって、4分の1を分析することにより、フラットベース全体の分析に有用なデータを提供する。このために、フラットベースの区分を任意の数にすることは好適であると理解されるであろう。
【0030】
本発明のウェルは非常に広範な用途を有する。大ざっぱに言うと、本発明のウェルは検査に有用である。当業者であれば、このような検査には、限定ではないが、酵素免疫測定法(ELISA)、細菌細胞培養、PCR増幅技術、タンパク結晶化技術、抗ウイルス感受性試験、ならびに化学スクリーニングおよび薬剤スクリーニング技術が含まれると理解できるであろう。ある実施例では、例えば、本発明のウェルはウイルス診断検査に有用である。
【0031】
ここで使用するように、検査について言及は、マイクロタイタウェルを利用する従来の研究技術を意味すると理解すべきである。
【0032】
したがって、第2の態様では、本発明はウイルスを検出する方法を提供し、前記方法は、
事前に選択された細胞系が播種された、ここで説明する本発明の単独のフラットベース型ウェルを1以上を提供するステップと、
分析される標本を前記1以上のウェルで培養するステップと、
前記1以上のウェル内の事前に選択された1以上のウイルスを調査するステップとを具える。
【0033】
ある実施例では、本発明は検査を実行する方法を提供し、前記方法は、ここで説明する本発明の1以上の単独のフラットベース型ウェルを利用する。この検査はウイルス診断検査であることが好適である。
【0034】
さらなる実施値では、本発明はウイルスを検出する方法を提供し、前記方法は、
ウイルスの接種に適した細胞系が播種された、ここで説明する本発明の単独のフラットベース型ウェルを提供するステップと、
標本に特別な事前処置を施して、検出されるウイルスを潜在的に含むサンプルを取得するステップと、
前記サンプルを前記細胞系に接種するステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
前記接種された細胞系のサンプル培地を、少なくとも一のホルモンおよび少なくとも一の酵素を含む細胞培養用培地を具えるウイルス回収用培地と取り替えるステップと、
前記接種された細胞系を培養するステップと、
前記培養された細胞系にウイルスが存在するかどうか分析するステップとを具える。
【0035】
この方法では、前記サンプル培地は通常、前記サンプルで接種される維持培地であることが理解できるであろう。
【0036】
ここで使用するように、「単独のフラットベース型ウェル」の語は、標本を収容するウェルのベースがフラットである限り、その目的の範囲内の任意の断面形状を有する単独のウェルを含む。
【0037】
本発明のウイルス診断の態様では、単独のフラットベース型ウェルを利用することにより、倒立蛍光顕微鏡または光学顕微鏡などの標準的な技術を用いたウイルスの調査は、例えば、円形または僅かに湾曲したベースを有するウェルのベースに収容されたサンプルの調査に比べて、より精密な結果を保証する。
【0038】
分析される特定のウイルスの増殖および分離の適合性に応じて決定される、事前に選択された細胞系を既に播種された単独のフラットベース型ウェルが提供される。例えば、細胞系LLC−MK2はパラインフルエンザウイルスの検出に好適であり、インフルエンザウイルスはMDCK、HEP−2は呼吸器系合胞体ウイルス(RSV)、MRC−5は、サイトメガロウイルス(CMV)、単純性疱疹ウイルス(HSV)、エンテロウイルス、およびライノウイルスの検出に好適である。当業者であれば、所定のウイルスの増殖および分離に適した細胞系を選択できるであろう。
【0039】
ここで説明した前記細胞系が播種された単独のフラットベース型ウェルは、選択物の検査方法において、即時利用(すなわち、フォーマットを利用する準備ができている)に適した形態でもよいことが分かるであろう。当業者であれば、フォーマットを利用する準備ができている状態では、事前に選択された細胞系は通常、集密度が約80−90%であることは分かるであろう。また、このような事前に選択された細胞系の保存安定性は、播種される特定の細胞系に依存することは分かるであろう。
【0040】
代替的に、前記細胞系が播種された単独のフラットベース型ウェルは、長期保存に適した形態でもよい。例えば、前記細胞系が播種されたフラットベース型ウェルは、細胞を長期保存する通常の技術を利用して凍結してもよい。例えば、細胞を凍結する処理方法を限定するわけでないが、細胞は単独のフラットベース型ウェル内で好適な集密度まで増殖でき、増殖培地を好適な保存培地と交換してもよい。このステップに続いて、細胞は冷却処理して最終的に摂氏約−70〜80度で保存できる。保存培地は、冷凍用防腐剤(cryopreservative)を含んでもまたは含まなくてもよい。保存培地に追加される冷凍用防腐剤は、限定するわけではないが、DMSOおよび/または血清を含んでもよい。当業者であれば、好適な冷凍用防腐剤とその使用方法を熟知しているであろう。総ての細胞系が冷凍処理で生き残るわけではなく、当業者であれば、この点についていずれの細胞系が好適であるかあるいは好適でないか分かるであろう。
【0041】
凍結した状態の細胞系は適切に解凍処理され、保存培地はウイルス回収用培地と取り替えられることは明らかであろう。当業者であれば、一旦解凍した細胞は、ここで説明する本発明の方法を実行する前に、集密度が80−90%になるまで増殖されることは分かるであろう。
【0042】
対象である細胞系を「播種」されたフラットベース型ウェルへの言及は、ウイルス診断検査で利用される前に、事前に選択された細胞系を事前に播種されたウェルを意味すると理解すべきである。代替的に、播種されるウェルは、ウイルス診断検査で利用された後に実際に播種してもよい。ウェルに播種するステップは、増殖培地で希釈された事前に選択された細胞系をウェルの内部に配置するサブステップと、細胞の集密度が約80−90%になるまで細胞をCO培養器で培養するサブステップと、増殖培地を維持培地と交換するステップとを含んでもよい。
【0043】
複数のウェルが特定のウイルスの増殖および分離のために直接比較される場合、各ウェル内の培地の体積は同一であるべきだと理解されるであろう。
【0044】
特定の実施例では、複数のウェルが、事前に選択された細胞系を播種され、ウェルアレイ、例えば、従来の96ウェルプレートの12×8のアレイまたは48ウェルプレートの6×8のアレイを提供する。代替的に、より大きなアレイが必要な場合は、14×8のアレイ等を提供してもよい。提供されるウェルの数は特に限定しない。このようなアレイが提供される場合、異なる細胞は通常、検出されるウイルスに応じてアレイの別の列に播種される。
【0045】
本発明の事前に播種された単独のフラットベース型ウェルは密閉されるのが好適であり、これにより輸送が可能であり、雑菌の混入や蒸発を防ぐことを理解されるであろう。例えば、ウェルが複数の場合、密閉材は、ウェルアレイ全体にフィットする標準的な48または96ウェルプレートカバー等のカバーの形状にすることができる。代替的に、単独のフラットベース型ウェルの場合、密閉材は、個々のウェルを密閉する好適なキャップの形状にしてもよい。さらに、密閉材は好適な密閉用の膜でもよい。
【0046】
ここで説明する本発明の複数のウェル用または単独のフラットベース型ウェル用のカバーは、使用時に役立つマークを有してもよいことは理解されるであろう。例えば、カバーは、収納されている細胞系を示す記号または文字を含んでもよい。
【0047】
分析される標本を1以上の細胞に接種するステップは、周知の方法により行われる。例えば、これは通常、接種される各ウェルから適切な量の維持培地を取り出すステップと、通常、約200−300μlの量の標本の上清を各ウェルに配置するステップとを含む。次に、ウェルは、使用する遠心分離の種類に応じて、例えば、4000rpmおよび35°Cで約50−60分間、遠心分離/培養してもよい。
【0048】
遠心分離器から取り外した後、接種材料は、例えば真空吸引により取り出され、好適な維持培地またはウイルス回収用培地と入れ替えてもよい。これには、ホルモンおよび酵素を含有する細胞培養用培地が含まれることが好適である。
【0049】
ここで使用するように、「分析される標本」は、ウイルスが混入されまたは混入されていない対象から取得されるサンプル標本を含む。したがって、サンプルは、検出可能なウイルスを含んでいてもよく、またはウイルスを含んでいなくてもよい。好適なサンプルは、唾液、血清、尿、糞、髄液(CSF)、気管支肺胞洗浄液および鼻咽腔吸引液などの呼吸器官の液体、および口、鼻腔、喉、皮膚、生殖器などから綿棒で集めた標本を含む。サンプル標本は、細胞系およびウイルスに適合する好適な培地で希釈することにより生成してもよい。
【0050】
対象は、ウイルスに感染した任意の種類の動物でもよい。例えば、対象は、鳥、魚、または哺乳類でもよい。いくつかの実施例では、対象は哺乳類である。好適な哺乳類は、羊、牛、豚、鹿等の飼育動物、犬、猫、ウサギ、モルモット等のペット、動物園にいる捕獲動物、および人間を含む。好適な哺乳類は人間である。他の実施例では、対象は、鳥、特に鶏や七面鳥などの飼育されている鳥でもよい。ウイルス検出に好適なサンプルを取得するための、標本の特殊な事前処理方法は、当業者なら分かるであろうが、超音波処理および遠心分離を含んでもよい。
【0051】
ここで使用するように、「ウイルス回収用培地」の語は、ウイルスの増殖および分離に使用される培地を意味する。例えば、ウイルス回収用培地は維持培地を含む。ホルモンおよび酵素の双方を投与された細胞培養用培地は、細胞系の感受性を最大限に維持し、ウイルスが細胞壁に付着するのを補助することによりウイルスの回収を最適化し、ある場合には、結果を取得する時間を削減することが発明者により発見されている。
【0052】
細胞培養用培地に追加される酵素は限定しないが、当業者であれば、好適な酵素を特定できるであろう。いくつかの実施例では、「酵素」の語は、タンパク分解酵素を意味する。これらの実施例では、酵素は、セリンまたはアスパルテートが好ましい。典型的な酵素は、トリプシン、キモトリプシン、またはペプシンを含む。好適な実施例では、酵素はトリプシンである。
【0053】
細胞培養用培地に追加されるホルモンは限定しないが、当業者であれば、好適なホルモンを特定できるであろう。いくつかの実施例では、「ホルモン」の語は、コルチコステロイド、好適にはグルココルチコイドを意味する。ホルモンは、デクサメタゾーン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)、およびアルドステロンから選択するのが好適である。好適な実施例では、ホルモンはデクサメタゾーンである。ホルモンは、人工的または自然に分泌されるものでもよい。
【0054】
ホルモンおよび酵素を組み合せるのが最も好適な実施例ではあるが、代替的に、DMSO(ジメチルスルホキシド)およびDEAE(デキストラン)もまた有用である。
【0055】
培養用培地に追加される酵素の量は、1−5μg/mlの範囲が好適であり、約2.5μg/mlが好ましい。培養用培地のホルモンの濃度は、10−4Mから10−6Mの範囲が好適であり、約10−5Mが好ましい。しかしながら、好適なデクサメタゾーンおよびトリプシンの場合、濃度が約10−5Mの約2.5μg/mlのトリプシンおよびデクサメタゾーンを追加した細胞培養用培地により最適な結果が得られることが分かっている。
【0056】
したがって、本発明の方法の特定の実施例は、濃度が約10−5Mで約2.5μg/mlのトリプシンを追加した細胞培養用培地を含むウイルス回収用培地を利用する。
【0057】
本発明で利用される細胞培養用培地は特に限定しない。例えば、これらは、培地−199、DMEM、RPMI−1640、またはMEM−EAGLEを含んでもよい。しかしながら、容易に分かるように、細胞の増殖をサポートでき、当業者が容易に利用できる様々な別の培地がある。しかしながら、好適な実施例では、細胞培養用培地はMEM−EAGLEである。
【0058】
細胞培養用培地は、細胞およびウイルスの増殖をサポートする添加剤や当業者にとって周知な添加剤を追加してもよい。特定の細胞系および/またはウイルスは、最適な増殖や生存能力のための特別な添加剤を要することが知られている。典型的な添加剤は、L−グルタミン、アミノ酸、血清、ハンクス平衡塩、D−グルコースなどの糖、無機塩、ビタミン、フェニルレッド、HEPESなどの緩衝剤、およびTween80などの表面活性剤を含む。
【0059】
前述したウイルス回収用培地は、従来の管による方法およびシェルバイアル方法などのウイルスを特定する従来の診断処理で利用してもよい。代替的に、ウイルス回収用培地は、ここで説明するように本発明の方法で利用してもよい。
【0060】
本発明の方法で利用されるウイルス回収用培地は、細胞の培養に好適な多数の別のウイルスを回収するのに利用してもよい。当業者であれば、このようなウイルスは、限定でないが、呼吸器系ウイルスであるパラインフルエンザ1,2,3,4(PI1,2,3,4)、インフルエンザA,B(InfA,B)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス(AD)、ライノウイルス(RH)、サイトメガロウイルス(CMV)、ならびにエコーウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、およびポリウイルスからなるエンテロウイルス群のウィルスを含み、また、限定ではないが、単純ヘルペスウイルス(HSV)1,2、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、風疹、おたふくかぜ、麻疹、ロータウイルス、およびポリオーマウイルスなどの非呼吸器系ウイルスを含むことが分かるであろう。
【0061】
本発明の方法では、接種された細胞は、分析される標本とともに周知の条件で培養してもよい。例えば、接種された細胞は、37°Cで45から90分、特に60分といった、細胞がウイルスに感染する期間培養される。培養は、培養器または遠心分離器により行ってもよい。
【0062】
ウィルスは、免疫螢光検査法、染色法、CPEの可視化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの一般に利用される分子技術、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、および増幅による核酸配列(NASBA)といった免疫検出法などの本技術分野で周知な一般的な検出方法を用いて検出してもよい。
【0063】
調査用のウェルを準備するために、通常、洗浄ステップが従来の方法により行われる。例えば、通常、維持培地は取り出され、細胞がウェル内で空気乾燥される。次に、ウェルは、例えば、冷たいメタノール−アセトン混合液(1:2の割合)を充填され、約−25°Cで15分間凝固される。混合液が除去された後、ウェルは再び空気乾燥される。次に、特異的なモノクローナル抗体は、検出されるウィルスと、必要であれば培養されるウェルに応じて各ウェルに追加してもよい。次に、モノクローナル抗体は破棄され、ウェルは再び洗浄される。この処理は、2回目の抗体を用いて繰り返し行ってもよい。
【0064】
最後の空気乾燥の後、1−2滴の蛍光剤を含む培地をウェルや免疫蛍光で調べられる内容物に追加してもよい。
【0065】
ここで、本発明の実施例を示す添付図面を参照する。
【0066】
図1を参照すると、本発明で使用されるフラットベース型ウェル10の特に好適な実施例が、四角形の断面を有するメインチャンバ11と、円形の断面を有するサブチャンバ12とを具える。サブチャンバ12は、メインチャンバ11のチャンバベース13から延在している。サブチャンバの開口部14が、メインチャンバのチャンバベース13により規定される。サブチャンバ12の外側壁15の円弧は、メインチャンバ11の各外側壁16に延在している(図3に最もよく示す)。
【0067】
メインチャンバ11の一つの壁16は、ウェル10が配置されるウェルプレートの共働部分(図示せず)を受ける溝17を具える。これにより、容易にウェル10をプレートに確実にロックし、ウェル10をプレートから取り外すことに関する問題を軽減する。
【0068】
サブチャンバ12は所定の体積を有し、また、液体サンプルを収容し、液体サンプルをサブチャンバの開口部14から盛り上がる凸面を有利に有する小滴の形状にする。これは、ウェルの側壁にメニスカスを形成するウェルに配置された液体サンプルに比べて、液体の深さをサブチャンバ全体でほぼ一定にすることを保証する。この場合には、メニスカスが形成されるウェルの側面の液体の深さは、メニスカスが最も低くなるウェルの中央部よりも実質的に大きくなる。
【0069】
ウェルの高さXは、メインチャンバの10mmの高さYと、サブチャンバの1mの深さZを含む11mmであることが好適である。ウェルは通常、幅Wが8mmであり、約1mmの壁の厚さTを有する。したがって、内側の幅Wiは約6mmである。メインチャンバは、通常、約360μlの容量を有し、サブチャンバは約28.3μlの容量を有する。
【0070】
図4は、検出されるウイルス、関連のある細胞系、および各細胞系を取り出した日のリストを含む典型的な12×8のウェルプレートの構成(すなわち、2×6×8)を示している。このプレートは、本発明の96個の個別のフラットベース型ウェルで構成されている。
【0071】
図4に示すように、このプレートは、以下の順序で異なる細胞系が播種できる。
行1−3 LLC−MK2
行4,5 MDCK
行6 Hep2
行7 A549
行8 RK13
行9−12 MRC−5
【0072】
この形式で構成されたプレートは、例えば、限定ではないが、呼吸器系ウイルスパラインフルエンザ1,2,3,4(PI1,2,3,4)、インフルエンザA,B(InfA,B)、RSV、アデノウイルス(AD)、ライノウイルス(RH)、サイトメガロウイルス(CMV)、ならびにエコーウイルス(Eco)、コクサッキーウイルス(cox)、エンテロウイルス(Ent)、およびポリウイルス(Polio)からなるエンテロウイルス群のウィルス、また、限定ではないが、非呼吸器系ウイルスの単純ヘルペスウイルス(HSV)1,2、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の選択ができる。
【0073】
さらなる例では、6×8ウェルプレートの構成は、以下の順序で播種される細胞系で構成してもよい。
行1−3 A549
行4−6 MRC−5
【0074】
これは、例えば、CMV、HSV1,2、VZV、AD、およびエンテロウイルス群のウイルスなどのウイルスの検出ができる。
【0075】
最後に、14×8の構成は、適切な細胞系を利用して、PI1,2,3,4、InfA,B、RSV、AD、RH、ENT(Echo、cox、Ent、Polio)、HSV1,2、VZV、風疹、おたふくかぜ、麻疹、ロータウイルス、および他の病原体ウイルスなどの病原菌を最終的に検出できる。
【0076】
ウェルが独立しているため、細胞系の取り出しは、問題の特定のウイルスを検出するのに適したタイムスケジュールに応じて選択できる。具体的には、PI1−4の検出が必要な場合は、例えば、2日目にA3がA列のウェルA1から取り出される。同様に、InfA,Bの検出が必要な場合は、2日目にウェルA4およびA5が取り出される。しかしながら、エンテロウイルスの検出が必要な場合は、適切な日(1−3日目)にウェルA11が取り出される。このようにウェルが独立していることにより、この選択的な取り出しとウイルスの検出が容易になる。
【0077】
ここで、本発明のある態様のキットを利用した以下の特別な処理を参照すると、この処理の多くのステップは最適であるが、本発明を限定するものと考えるべきではない。
【0078】
真空および殺菌したガラスパストゥールピペットを利用して、接種される総てのウェルから培地を吸引する。有利なことに、大きくて先端部が細い容器にパストゥールピペットを配置することは容易である。
【0079】
使い捨てのピペットを利用することにより、ウェルプレートの適切な数のウェルが、ウェル毎に約150−200μlの標本によって接種される。余った標本は、約−70°Cで保存される。次に、蓋がプレートに配置され、日付がプレート内の接種されたウェルに書かれる。
【0080】
プレートは、デジタルバランスで計量され、総てのプレートが同じ重量(+/−0.5g)になり遠心分離器内で釣り合いがとれるまで、バランスプレートおよびカードにより釣り合いをとる。遠心分離器は、約37°Cおよび3500rpmで60分間作動する。真空の殺菌したパストゥールピペットを使用して、各標本が各ウェルから吸引され、標本ごと新しい使い捨てのピペットを使用して、各ウェルをウイルス回収用培地BACで充填する。
【0081】
次に、標本は、プレートをCO培養器内に慎重に配置することにより、CO培養器(5%)で37°Cの加湿した環境で培養され、最後の標本を接種した後、最大で7日間37°Cで培養される。
【0082】
免疫蛍光染色法は、特異的なモノクローナル抗体を利用して単独のウェル内の特定のウイルスを検出するのに有利である。通常、以下の処理が行われる。
【0083】
300μlの冷たいアセトンおよびメタノール混合液(2:1)を各ウェルに追加して、−20°Cで15分間凝固してもよい。次に、固定液が破棄され、再び標本が2−3分間空気で乾燥される。次に、特異的なモノクローナル抗体(一次)が各ウェルに追加され、カバースリップが適切な位置に配置され、標本が37°Cで30分間培養される。次に、標本が培養器から取り出され、各ウェルがリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で充填される。次に、PBSが破棄される。この処理がさらに4回繰り返される。さらに、サンプルが3分間空気で乾燥され、この後、一次抗体に特異的な二次抗体が各ウェルに追加される。この後、サンプルの培養が再び行われ、前述したPBSによる繰り返し処理が行われ、最後に、再蒸留水による洗浄が行われる。次に、少量(1滴)の特別に用意された封入剤が追加され、結果が蛍光顕微鏡で観察される。また、免疫蛍光染色法の1ステップを利用してもよい。
【0084】
本明細書および請求項では、文脈が他に要求しない限り、「具える」の語は、上述の完全体、完全体群、またはステップを含むが、他の完全体または完全体群またはステップを排除するものでないと理解されるであろう。
【0085】
当業者であれば、ここで説明した本発明は、ここで具体的に説明した以外の変更および修正が可能であると分かるであろう。本発明は、このような総ての変更および修正を含むと理解すべきである。また、本発明は、本明細書で個々にまたは纏めて言及または示唆した総てのステップ、特徴、構成、混合物、および合成物を含み、また、前記ステップまたは特徴の2つ以上の総ての組み合せを含む。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、ウェルの斜視図を示す概略図である。
【図2】図2は、ウェルの側面図を示す概略図である。
【図3】図3は、ウェルの底面図を示す概略図である。
【図4】図4は、12×8配列の典型的なウェル構成を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査で利用するのに好適な単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記ウェルが、
(i)液体サンプルを収容する開口部と、当該開口部から延在する側壁と、チャンバベースとを有するメインチャンバと、
(ii)前記メインチャンバのチャンバベースから延在し、規定量の前記液体サンプルを収容するように構成されたサブチャンバとを具え、当該サブチャンバがフラットベースを有することを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項2】
請求項1に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記メインチャンバが四角形の断面を有し、前記サブチャンバが円形の断面を有することを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記ウェルは、当該ウェルが挿入されるウェルプレートに容易に取り付ける手段が設けられていることを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項4】
請求項3に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記ウェルは先端が細くなっており、ウェルプレートの受け部に摩擦ばめされることを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項5】
請求項3に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記ウェルは、前記ウェルプレートの受け部と共力するリブ、窪み、または溝が設けられていることを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記ウェルが窪み形状を有することを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項7】
請求項6に記載の単独のフラットベース型ウェルにおいて、前記フラット型ベースは、分析を補助するように構成されたマークの付いた区分が設けられていることを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルが、ウイルス回収用培地内に事前に選択された細胞系が播種されており、前記播種されたウェルが、凍った状態または直ぐに利用できる状態で提供されることを特徴とする単独のフラットベース型ウェル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを複数具えるウェルユニット。
【請求項10】
検査を行う方法において、前記方法が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを利用するステップまたは請求項9に記載のウェルユニットを利用するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
ウイルスを検出する方法において、前記方法が、
(i)事前に選択された細胞系が播種された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを1以上用意するステップと、
(ii)分析される標本を前記1以上のウェルに接種するステップと
(iii)前記1以上のウェル内の事前に選択された1以上のウイルスを調査するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
ウイルスを検出する方法において、前記方法が、
(i)ウイルスの接種に適した細胞系が播種された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを用意するステップと、
(ii)標本に特別な事前処置を施して、検出されるウイルスを潜在的に含むサンプルを取得するステップと、
(iii)前記サンプルを前記細胞系に接種するステップと、
(iv)前記接種された細胞系を培養するステップと、
(v)前記接種された細胞系のサンプル培地を、少なくとも一のホルモンおよび少なくとも一の酵素を含む細胞培養用培地を具えるウイルス回収用培地と取り替えるステップと、
(vi)(v)の前記接種された細胞系を培養するステップと、
(vii)(vi)の前記細胞系にウイルスが存在するかどうか分析するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルまたは請求項9に記載のウェルユニットの検査における使用。
【請求項14】
ウイルスの検出方法における請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルの使用において、前記方法が、
(i)事前に選択された細胞系が播種された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを1以上用意するステップと、
(ii)分析される標本を前記1以上のウェルに接種するステップと、
(iii)前記1以上のウェル内の事前に選択された1以上のウイルスを調査するステップとを具えることを特徴とする使用。
【請求項15】
ウイルスの検出方法における請求項1乃至9のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルの使用において、前記方法が、
(i)ウイルスの接種に適した細胞系が播種された請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単独のフラットベース型ウェルを用意するステップと、
(ii)標本に特別な事前処置を施して、検出されるウイルスを潜在的に含むサンプルを取得するステップと、
(iii)前記サンプルを前記細胞系に接種するステップと、
(iv)前記接種された細胞系を培養するステップと、
(v)前記接種された細胞系のサンプル培地を、少なくとも一のホルモンおよび少なくとも一の酵素を含む細胞培養用培地を具えるウイルス回収用培地と取り替えるステップと、
(vi)(v)の前記接種された細胞系を培養するステップと、
(vii)(vi)の前記細胞系にウイルスが存在するかどうか分析するステップとを具えることを特徴とする使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−532501(P2008−532501A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500010(P2008−500010)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000325
【国際公開番号】WO2006/094364
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507233268)
【Fターム(参考)】