ウイルス感染の検出のための方法と装置
この出願は、一般に、複合化技術、例えば、スライドに基づく、マイクロタイタープレートに基づく、及び膜に基づく、マイクロアレイ及びビーズの技術を用いた、ウイルス感染の高処理量の、再現性のある、そして安価な検出のための装置及び方法に関する。上記装置と方法は、多数の試験サンプル中の多重ウイルス感染の同時検出を許容する。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明は、一般に、ウイルス感染の検出に関し、特定すれば、複合した(multiplexing)技術を用いた高処理量で再現性のある安価なウイルス感染検出のための装置及び方法に関する。
技術背景
ウイルス感染は多数の慣用的アプローチ、例えば、エンザイムリンクドイムノソルベントアッセイ(ELISA)、エンザイムリンクドイムノアッセイ(EIA)、及びウエスタンブロットにより検出することができ、概してウイルス抗原又はウイルス抗原に対する抗体の存在を検出する。慣用のアッセイの限界は、低処理量、低自動化サンプル及び試薬(reagents)の大量の消費、及び高いアッセイコストを含む。例えば、実験室のマウス及びラットにおいてウイルスの感染を監視するための共通に使用される方法は、動物の血清中の抗ウイルス抗体を検出するためのELISAである。しかしながら、当該アッセイは時間を浪費してアッセイあたりたった一つの抗体レベルしか測定することができない。
【0002】
近年、複合化されたアッセイが徐々にイムノアッセイの分野において、特に薬剤(drug)発見及び臨床診断目的のためのファーマコゲノミクスにおいて普及する技術になった。複合化されたアッセイは、単一のサンプルからの複数の(multiple)サンプルの検出又は定量を可能にさせる。複合化されたアッセイを実施するためのアプローチの一つはマイクロアレイであり、DNA/RNAベースのアレイシステムとして最初に開発されたが、他のアレイシステム、例えば蛋白質マイクロアレイを含むように発展した。蛋白質マイクロアレイはDNAマイクロアレイにより使用されるハードウエアとソフトウエアと両立可能である。蛋白質マイクロアレイは蛋白質−蛋白質相互作用、蛋白質−リガンド又は蛋白質−薬剤相互作用、並びに酵素アッセイの分析を楽にするので、蛋白質マイクロアレイは基礎的な研究及び開発、薬剤標的の同定及び確認、薬剤スクリーニング、毒性スクリーニング、リード最適化、及び臨床試験及び疾患管理のための患者の層別化(stratification)において使用されてきた(例えば、Bussow.et al.,Nucleic Acids Res,26:5007−5008,1998;Eisen et al.,Methods Enzymol.303:179−2000,1999;Knezevic,et al.,Proteomics,1:1271−1278,2001;Adam et al.,Proteomics,1:1264−1270,2001;Zhu et al.,Current Opinion in Chemical Biology,5:40−45,2001;及びRonald et al.,Proteome Research,1:233−237,2002)。
【0003】
様々な蛋白質マイクロアレイに加えて、他の複合化された蛋白質分析のアプローチは、ビーズに基づく技術を含み、蛍光色でコードされたか又は微小球と呼ばれる異なるサイズのビーズの表面上において複数の蛋白質の別個のバイオアッセイを実施する。バイオアッセイの間、それらのビーズはコンパクトな分析機/フローサイトメーター中で読まれて、サンプルが直接フルオロフォアにより標識されるリアルタイムの全てにおいて、同時にバイオアッセイを正体確認して結果を測定する。
【0004】
複合化されたアッセイ技術、例えばマイクロアレイ及びビーズ技術が、多くの研究及び臨床応用において採用されたが、動物におけるウイルス感染を監視するためには使用されていない。
【0005】
発明の概要
本発明の一つの側面は、複合化アプローチ、例えばマイクロアレイ及びビーズ技術を用いてウイルス感染を高処理量検出するための低価格の方法に関する。当該方法は、臨床診断、動物サーベイランス、及び研究の応用のために使用することができる。
【0006】
一つの態様において、当該方法は、多数の標的リガンドを捕捉することができる多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに生物学的サンプルを接触させ、そして捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出する工程を含む。生物学的サンプル中の標的リガンドの存在は、対象(subject)の中のウイルス感染の指標であるが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは多数の生物学的サンプルの中の標的リガンドの同時検出が可能である。
【0007】
関連する態様において、蛋白質マイクロアレイは、チップに基づくマイクロアレイであるかマイクロタイターに基づくマイクロアレイである。
別の関連する態様において、標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合は、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される。
【0008】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる多数のサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出する工程を含む。生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在は、対象内のウイルス感染の指標であって、但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは多数の生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出を可能にする。
【0009】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを標識された標的リガンド標準物の存在下でマイクロアレイシステム中の蛋白質サブアレイと接触させるが、その際、標識された標的リガンド標準物は蛋白質サブアレイへの結合に関して生物学的サンプル内の標的リガンドと競合し、そして標識された標的リガンド標準物の蛋白質サブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在を決定する工程を含むが、その際、マイクロアレイシステムは多数の蛋白質サブアレイを含み、そして多数のサンプルの中の多数の標的リガンドを同時に捕捉することができ、そして標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含む。
【0010】
別の態様において、上記方法は、多数の標的リガンドを捕捉することができる多数の抗−リガンドを含む膜に基づくマイクロアレイに対象からの生物学的サンプルを接触させ、そして捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに膜に基づくマイクロアレイを接触させることにより捕捉された標的リガンドを検出する工程を含む。生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在は対象内のウイルス感染の指標であって、但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかである。
【0011】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを多数のマイクロビーズ種に接触させるが、マイクロビーズ各種(each species)は生物学的サンプル中の標的リガンドを捕捉できる抗−リガンドによりコートされており;標的リガンドを標識するが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり;そして標的リガンドとマイクロビーズの結合を測定する工程を含む。標的リガンドは多数のマイクロビーズと接触させる前か又は後に標識することができ、そして標識リガンドのマイクロビーズへの結合がウイルス感染の指標である。
【0012】
本発明の別の側面は、対象中のウイルス感染の検出のためのマイクロアレイとビーズに関する。
一つの態様において、本発明は、固相支持体上に組み立てられた多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムを提供する。各サブアレイは、上記固相支持体に固定化された多数の抗−リガンドを含み、そして各抗−リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである標的リガンドに特異的に結合できる。
【0013】
関連する態様において、上記固相支持体はスライドか又はマイクロタイタープレートの何れかである。
別の態様において、本発明は、多数のマイクロビーズ種を含むビーズシステムを提供し、マイクロビーズの各種は生物学的サンプルの中の標的リガンドを捕捉することができる抗−リガンドによりコートされており、但し、標的リガンドがウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである。
【0014】
また別の態様において、本発明は、対象内のウイルス感染を検出するためのキットを提供する。当該キットは、上記のマイクロアレイ及び/又はマイクロビーズシステム、及び標的リガンドに結合できる標識試薬(labeling reagent)を含む。
【0015】
開示の追加の側面は、一部、記載において示され、記載から一部は明らかになり、及び/又は発明を実施することから学習してよい。発明は、請求の範囲において示されて特定して指摘され、そして開示は請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の詳細な説明は発明の様々な態様の例示的代表であって、請求された発明を限定するものではない。添付の図面はこの明細書の一部をなし、そして記載と共に、態様を例示するように機能するが発明を限定するためには機能しない。
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用される用語「動物ウイルス」は、動物宿主細胞内で生殖及び増殖できるあらゆるウイルスを意味する。動物ウイルスは、限定ではないが、ヒト、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、サル、マウス、ラット、イヌ、ロバ、ネコ、ウシ(cattle)、ウマ、チキン、アヒル、ブタ及びウシ(cow)からのウイルスを含む。
【0017】
本明細書において使用される用語「生物学的サンプル」は、あらゆる形態、例えば、全血、血清、血漿、尿、唾液、糞、髄液、細胞及び組織等の中の生物学的サンプルを意味する。
【0018】
本明細書において使用される用語「リガンド」は、リガンド/抗リガンド結合対の一つのメンバーを意味する。リガンドは、例えば、相補なハイブリダイズした核酸二重鎖結合対の中の核酸鎖の一方(one);エフェクター/受容体結合対の中のエフェクター分子又は受容体分子;又は抗原/抗体結合対の中の抗原又は抗体であってよい。
【0019】
本明細書において使用される用語「抗−リガンド」は、リガンド/抗−リガンド結合対の反対のメンバーを意味する。抗−リガンドは、相補なハイブリダイズした核酸二重鎖結合対の中の核酸鎖の他方(the other);エフェクター/受容体結合対の中のエフェクター分子又は受容体分子;又は抗原/抗体結合対の中の抗原又は抗体であってよい。
【0020】
本明細書において使用される「抗体」は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を意味する。さらに、用語「抗体」は、完全なイムノグロブリン分子、キメライムノグロブリン分子、又はFab或いはF(ab’)2断片を意味する。そのような抗体及び抗体断片は、当業界でよく知られた技術により生産することができ、Harlow and Lane(Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,コールドスプリングハーバーN.Y.(1989))及びKohler et al.,(Nature 256:495−97(1975))及び米国特許番号5,545,806,5,569,825及び5,625,126に記載されたものを含み、引用により本明細書に編入される。相応じて、本明細書において定義された抗体は、結合したVHとVLドメインを含み、そして抗体の天然イディオタイプのコンフォメーション及び特異的結合活性を保持する単鎖抗体(ScFv)も含む。そのような単鎖抗体は当業界でよく知られており、標準の技術により生産することができる。(例えば、Alvarez et al.,Hum.Gene Ther.8:229−242(1997)を参照。)本発明の抗体は、あらゆるアイソタイプIgG,IgA,IgD,IgE及びIgMのものであり得る。
【0021】
本明細書において使用される「抗−ウイルス抗体」は、ウイルス抗原に特異的に結合する抗体を含む。
本明細書において使用される「抗原」は、脊椎動物に投与された際に、免疫応答を導き出すことができ、それにより抗原に特異的に結合する抗体の生産と放出を促進させる。本明細書において定義される抗原は、抗原/抗体の複合体を形成するように抗体により特異的に結合された分子及び/又はモイエティを含む。発明によれば、抗原は、限定ではないが、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、核酸、DNA、RNA、サッラライド類、それらの。組み合わせ、それらの断片、又はそれらの模倣物を含む。
【0022】
本明細書において使用される「ウイルス抗原」は、ウイルスに由来するあらゆる抗原を含み、そしてウイルスに由来する抗原に対する免疫応答を導き出すことができて、それによりウイルス由来の抗原に特異的に結合する抗体の生産と放出を促進させる抗原物質を含む。
【0023】
本明細書において使用される「模倣物(mimetic)」は、化学物質、又は有機分子、又はあらゆる他の模倣物を含み、その構造は抗体又は抗原の結合領域に基づくか又は由来する。例えば、結合領域、例えばペプチドの結合ループの構造を模倣するために、予測された化学構造をかたどる(model)ことができる。そのようなかたどり(modeling)は、標準の方法を用いて実施することができる。特に、ペプチドと蛋白質の結晶構造は当業界でよく知られた方法にしたがってX線結晶学により決定することができる。ペプチドは、必要ならば、結晶化を楽にするために長い配列にコンジュゲートすることもできる。次に、結晶構造に由来するコンフォメーションの情報を用いて当業界で利用可能な小分子のデータベースを検索し、蛋白質として同じ結合機能を有することが予測されるペプチド模倣物を同定することができる(Zhao et al.,Nat.Struct.Biol.2:1131−1137(1995))。この方法により同定された模倣物は、本明細書において記載される結合アッセイに従い目的の最初に同定された分子と同じ結合機能を有するものとしてさらに特性決定することができる。
【0024】
代わりに、模倣物をペプチドとほとんど同じ様式にてコンビナトリアルケミストリーのライブラリーから選択することもできる(例えば、Eichler et al.,Med.Res.Rev.15:481−96(1995);Blondelle et al.,Biochemistry.J 313:141−147(1996);Perez−Paya et al.,J.Biol.Chem.271:4120−6(1996)を参照)。
【0025】
「アレイ」は、広義に、基体上の位置的に異なるロケーションにおける作用因子(agent)(例えば、蛋白質、抗体)の配置を意味する。いくつかの例において、アレイ上の作用因子は、作用因子の同定がアレイ上のその位置から決定できるように、空間的に(spatially)コードされる。
【0026】
「マイクロアレイ」は、一般に、基体上で作用因子と共に形成された複合体を検出するために、検出が顕微鏡的検出の使用を必要とするアレイを意味する。アレイ上の「ロケーション」又は「スポット」は、作用因子を含むアレイ表面上の位置決め(localized)されたエリアを意味し、各々が規定されることにより、隣接するロケーションから識別可能になる(例えば、アレイ全体にわたり配置されるか、又はロケーションが他のロケーションから識別されるのを可能にするような、いくつかの検出可能な特性を有する)。一般に、各ロケーションは単一の種類の作用因子を含むが、必要ではない。ロケーションはあらゆる便利な形態を有することができる(例えば、環状、長方形、楕円形、又はくさび型)。ロケーションのサイズ又は面積は有意に変化し得る。いくつかの例において、ロケーションの面積は1cm2より大きく、例えば、2−20cm2であり、この範囲内のあらゆる面積を含む。より一般には、ロケーションの面積は1cm2より小さく、他の例では1mm2より小さく、また別の例においては0.5mm2より小さく、またさらに別の例においては10,000μm2より小さいか、あるいは100μm2より小さい。本明細書において使用される「チップ/スライドに基づくマイクロアレイ」は、チップ又はスライドの形態にて固相支持体上に組み立てられた(fabricated)マイクロアレイを意味する。
【0027】
本明細書において使用される「マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ」は、マイクロタイタープレート、例えば96−ウエルのマイクロプレートのウエルの底に組み立てられたマイクロアレイを意味する。
【0028】
本明細書において使用される「固相支持体」は、抗原又は抗体を結合できるあらゆる支持体を意味する。よく知られた支持体又は担体(carrier)は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ類、天然又は修飾されたセルロース類、ポリアクリルアミド類、斑糲岩(gabbros)、及び磁鉄鉱(magnetite)を含む。支持体の材料は、実際、カップリングされた分子が抗原又は抗体を結合できる限り、如何なる可能な構造上の輪郭を有してよい。即ち、支持体の輪郭は、ビーズのような球形、又は試験管あるいはマイクロタイタープレートのウエルの内部表面のような円筒形であってよい。代わるものとして、上記表面は、平坦、例えばシート、膜、試験ストリップ、チップ、スライド等であってよい。好ましい支持体は、ニトロセルロース膜、ニトロセルロース−コートされたスライド、96−ウエルマイクロタイタープレート、及びポリスチレン又はカルボキシルビーズを含む。当業者は、多数の他の担体が抗体又は抗原を結合するのに適していることを理解し、或いは日常の実験の使用により同じものを確かめることが可能になる。
【0029】
本明細書において使用される「多数の」なる句は、属の中の2つ又はそれより多い種を意味する。例えば、多数の抗原は2つ又はそれより多い抗原を意味する。
蛋白質と抗体の間の結合を意味するために使用されるときの「特異的に結合する」、「特異的結合親和性」(又は単に「特異的親和性」)、「特異的に認識する」なる句及び他の関連する用語は、蛋白質及び他の生物製剤(biologics)の異種集団の存在下で蛋白質の存在を確定する(determinative)結合反応を意味する。即ち、デザインされた条件下では、特定された抗体が優先的に特定の蛋白質に結合し、そしてサンプル中に存在する他の蛋白質には有意な量にて結合しない。蛋白質に特異的に結合する抗体は、少なくとも103M−1又は104M−1、ときには105M−1又は106M−1、いくつかの例においては106M−1又は107M−1、好ましくは108M−1から109M−1、そしてより好ましくは約1010M−1から1011M−1又はそれより高い結合定数を有する。様々な免疫アッセイフォーマットを用いることにより、特定の蛋白質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫アッセイは蛋白質と免疫反応するモノクローナル抗体を選択するのに日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応活性を決定するために使用することができる免疫アッセイのフォーマット及び条件の記載に関しては、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバー出版ニューヨークを参照)。
【0030】
「標識」は、物理的、化学的、光学的、電磁気学的、電気化学的及び/又は他の方法を用いることにより検出することができる。利用可能な検出可能な標識の例は、限定ではないが、放射線同位元素、フルオロフォア、発色体、マスラベル(mass labels)、電子密度粒子、磁気粒子、スピンラベル、化学ルミネッセンスを発する分子、電気化学的に活性な分子、酵素、コファクター、及び酵素基質を含む。
ウイルス検出のためのマイクロアレイ及びビーズシステム
本発明は、マイクロアレイ及びビーズに基づく技術を用いたウイルス感染の検出のための複合化された(multiplexed)アプローチを提供する。本発明の一つの側面は、複合化アプローチを用いたウイルス感染の高処理量検出のための低価格な装置、例えば、チップに基づくマイクロアレイ、マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ、膜に基づくマイクロアレイ、及びビーズ技術に関する。上記装置は、動物のサーベイランス、研究及び診断の応用のために使用することができる。
【0031】
一つの態様において、本発明は、多数の試験サンプル中の多数の標的リガンドの同時検出が可能なマイクロアレイシステムを提供する。当該マイクロアレイシステムは、チップに基づくマイクロアレイ、マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ、及び膜に基づくマイクロアレイの形態にて固相支持体上に固定化された抗−リガンドを含む。当該抗−リガンドは標的リガンド、例えば、ウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体に特異的に結合することができる。
【0032】
本発明のマイクロアレイは、適切な固相支持体(例えば、基体)上で如何なるフォーマットにても組み立てることができる。適切な固相支持体の例は、限定ではないが、化学的にコートされたか又はコートされていないガラス、及びポリマースライド、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ニトロセルロース、ナイロン及び/又は適切な材料、例えば、Biotrans(ICN),Zeta−プローブ(Bio−Rad)、Colony/Plaque Screen(NEN),Hybond−N+(アマシャム)、Magnacharge(MSI),Magnagraph(MSI)及びHybond ECL(アマシャム)、化学修飾されたか又は修飾されていないシリコンウエファーから作られた様々な種類の膜、コーティングされているか又はされていないポリスチレンから作られた様々な種類のマイクロタイタープレート、ポリマーの表面、金属酸化物又はその他から作られた孔性フィルター、及びヒドロゲルを含む。
【0033】
固相支持体の材料の他の例は、シリコン、二酸化珪素、石英、ガラス、孔制御されたガラス、タンス、アルミナ、酸化タンタル、ゲルマニウム、窒化珪素、ゼオライト、及び砒化ガリウムを含む。多くの金属、例えば、金、プラチナアルミニウム、銅、チタン、及びそれらの合金は、アレイの固相支持体の材料のためのオプションでもある。さらに、多くのセラミック及びポリマーも固相支持体の材料として使用してよい。固相支持体の材料として使用してよいポリマーは、限定ではないが、以下:ポリスチレン、ポリ(テトラ)フルオロエチレン(PTEE);ポリビニリデンジフルオリド;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート;ポリビニルエチレン;ポリエチレンイミン;ポリ(エーテルエーテル)ケトン;ポリオキシメチレン(POM);ポリビニルフェノール;ポリアクチド;ポリメタクリルイミド(PMI);ポリアルケンスルフォン(PAS);ポリプロピルエチレン、ポリエチレン;ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA);ポリジメチルシロキサン;ポリアクリルアミド;ポリイミド;及びブロック−コポリマーを含む。アレイのための好ましい固相支持体材料は、シリコン、二酸化珪素、ガラス及びポリマーを含む。結合分子が存在する固相支持体の材料は、上記の基体材料の何れかの組み合わせであってもよい。
【0034】
固相支持体の外面的形態は、二次元平面又は平坦表面材料、三次元フロースルーシリコン及びガラスウエファー、並びに孔性フィルター又はヒドロゲルを含む。それら全ての固相支持体は、ウイルス感染の複合化検出のための追加の支持材料があってもなくても使用することができる。固相支持体はマニュアル、半自動化又は自動化モードにて適用及び操作のためのカートリッジ内部に組み立ててよい。
【0035】
抗−リガンドは、限定ではないが、ウイルス抗原、抗ウイルス抗体、又はウイルス抗原或いは抗ウイルス抗体、を捕捉/に結合できるあらゆる他の分子、例えば、ソマロジック(SomaLogic)社(ボウルダー、CO)のアプタマーを含む。アプタマーは単鎖オリゴヌクレオチド(通常は診断応用のためのDNA)であり、特定の配列依存性の形態を想定し(assume)、そして2つの分子の間のロックと鍵の適合に基づいて標的蛋白質に結合する。アプタマーはRINK”http://www.somalogic.com/glossary/glossary.html”\l”selproces”SELEXプロセスを用いて同定される。
【0036】
抗−リガンドは様々な官能基の間の共有相互作用又は非共有相互作用を通して固相支持体に固定化してよい。固定化技術の詳細な考察は、例えば、米国特許番号6,329,209及び6,305,418に見いだすことができ、それらの全体を引用により本明細書に編入する。
【0037】
本発明のアレイは、固相支持体材料と結合分子(即ち、抗−リガンド)の間のコーティングを任意にさらに含んでよい。このコーティングは、固相支持体上に形成されるか又は固相支持体材料上に適用されてよい。固相支持体材料は、例えば、物理的蒸気被覆(PVD)、プラズマ増強化学蒸気被覆(PECVD)、又は熱処理に基づいた薄膜技術によるコーティングにより修飾することができる。別法として、プラズマ曝露を用いることにより、固相支持体を直接活性化するか又は変化させ、そしてコーティングを創製することができる。例えば、プラズマ腐食(etch)手法を用いることにより、ポリマー表面(例えば、極性官能基、例えばヒドロキシル、カルボキシル酸、アルデヒド等を曝露するために、ポリスチレン又はポリエチレン)を酸化、そしてコーティングとして作用させることができる。
【0038】
抗−リガンドをマイクロスポッティングにより固相支持体上に被覆(deposited)させることができる。マイクロスポッティングは、固相表面上に予め作成された生化学物質を少量プリントすることにより、自動化されたマイクロアレイ生産を可能にさせる被覆技術を包含する。プリンティングは、固相支持体の表面とデリバリー機構、例えばピン又はキャピラリーの間の直接表面接触により達成される。ロボット制御システム及び複合化されたプリントヘッドは、自動化されたマイクロアレイの組み立てを可能にさせる。抗−リガンドは、圧電セラミック又はマイクロソレノイドバルブによる非接触分配(dispensing)により固相支持体上に被覆することもできる。マイクロアレイ生産のための他の技術は、フォトリトグラフとインクジェット技術を含む。マイクロアレイを組み立てる技術は、例えば、Brownらに対する米国特許番号5,807,522、Shalanらに対する米国特許番号6,110,426及びShivashankarらに対する米国特許番号6,139,831に記載されており、それらの全体を引用により本明細書に編入する。
【0039】
出願に応じて、単一マイクロアレイは数十から数百のウイルスからの抗原又は当該抗原に対する抗体を固定化してよく、そして複数のウイルス特異的抗体/抗原を各ウイルスに関して用いてよい。マイクロアレイ上のスポットは、各々、異なる種の蛋白質を表してよく、或いはマイクロアレイ上の複数のスポットは同じ種の蛋白質を表してよい。同じウイルスからの別々の抗原又は当該抗原に対する異なる別々の抗体を、別個に或いは混合物の中でスポットしてよい。当業者には知られているとおり、陽性対照及び陰性対照も各マイクロアレイに含ませる。マイクロアレイ上に被覆される抗体/抗原の濃度は、ダイナミックレンジ、アッセイ感度及び特異性に関して最適化されることになる。固相支持体上の蛋白質の固定化効率は様々な因子に依存し、蛋白質の濃度、固定化時間及びスポット後の環境(温度及び湿度等)、及び保存条件(温度及び湿度等)を含む。
【0040】
発明の一つの態様において、本発明のマイクロアレイは、少なくとも5スポット/cm2、好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000又は10,000スポット/cm2の密度を有する。
【0041】
別の態様において、複数マイクロアレイは複数サンプル中のウイルス感染の同時検出のために単一のスライド又はチップ上に組み立てられる。図1は、各サンプル中の8血清サンプルまで及び15までのウイルス感染を検出するために使用できる代表的動物ウイルス感染スライドを示す。図2は、各サンプル中の16血清サンプルまで及び15までのウイルス感染を検出するために使用できる代表的動物ウイルス感染スライドを示す。表1は、マウスサーベイランスマイクロアレイチップのためのウイルス抗原の代表的リストを示す。一般には、各ウイルス抗原とその陰性対照が2通り存在する。上記アレイは標的リガンドの不在下で標識システムと反応する陽性対照も含むはずである。上記検出スライドは任意にスライドを特定するために使用されるバーコードを含む。
【0042】
【表1】
【0043】
別の態様において、本発明のマイクロアレイは、96−ウエルマイクロタイタープレート、例えば、Corning(登録商標)96−ウエルポリスチレンHigh Bond Microplate(黒で透明の平底)の底に組み立てる。蛋白質マイクロアレイの組み立てのためのマイクロタイタープレートの所望の特徴は、イオン性基及び/又は疎水性領域を有する中から大バイオ分子(>10kD)の高親和性結合表面;及び100から2000ng/IgG/cm2の範囲、好ましくは300から600ng/IgG/cm2の範囲、そしてより好ましくは400から500ng/IgG/cm2の範囲の大きな結合能力を含む。マイクロアレイの組み立てに適したマイクロタイタープレートは、低いバックグラウンド蛍光しか供給せないべきであり、そして340nmまでの波長の読みを可能にすべきである。当該プレートは、蛍光アッセイの間にウエルからウエルへのクロストークを減じ、標準のマイクロプレートフットプリント及び寸法に適合し、そして上部と底部の両方の読み装置における使用に適するべきである。上記マイクロタイタープレートは、25から400μl、好ましくは75から200μlの作業容量(working volume)を有してよい。
【0044】
マイクロタイタープレート上のマイクロアレイの組み立ては、例えば、米国特許番号、6,803,238に記載されており、その全体は引用により本明細書に編入される。マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイを使用することにより高処理量様式にてウイルス感染を検出することができ、そして標準のプレートに基づくELISA自動プロセス、例えばサンプル又は試薬のデリバリー、インキュベーション及び洗浄の工程に容易に適合される。
【0045】
別の態様において、本発明のマイクロアレイは、膜支持体、例えば、ニトロセルロース膜上に組み立てる。
マイクロアレイを用いたウイルス検出の方法
本発明の別の側面は、本発明のマイクロアレイを用いてウイルス感染を検出する方法に関する。一般には、当該マイクロアレイを試験サンプルとインキュベートすることにより、試験サンプル中のあらゆる標的リガンドを捕捉する。一つ又はそれより多くの標的リガンドの存在は、試験サンプルが得られた対象内の一つ又はそれより多くのウイルス感染の指標である。
【0046】
一つの態様において、標的リガンドは、抗−ウイルス抗体であり、そしていわゆる「抗原ダウン」免疫アッセイにより捕捉されたリガンドである。図3に示されるとおり、マイクロアレイ上の抗−リガンドは固定化されたウイルス抗原を含む。各アレイスポットは、固定化されたウイルス固定化又は各アレイスポット上のウイルス抗原の混合物を含んでよい。第1のインキュベーションは、試験サンプル(例えば、動物血清)中のウイルス特異的抗体がアレイ表面上に固定化されたウイルス抗原により捕捉されるのを許容する。第2のインキュベーションは、標識された二次抗体が、捕捉されたウイルス特異的抗体に結合して対応するアレイスポット上でシグナルを生じることを許容する。
【0047】
利用される検出技術に応じて、標識された標的蛋白質又は様々な標識された検出試薬(例えば、標識された抗体又は標識されたパッケージ)を使用することにより、標的蛋白質とパッケージ/抗体試薬の間の複合体の形成を検出することができる。様々な異なる標識をこれらの検出スキムにおいて使用することができる。上記蛋白質、抗体又はパッケージは、標識がパッケージ/抗体試薬と標的蛋白質の間の複合体の形成を干渉せず、そしてそのような複合体が形成されたなら検出可能なシグナルを生じることができる限りにおいて、様々な異なる種類の標識の何れかにより標識され得る。適切な標識は、限定ではないが、放射線標識、化学発光標識、クロモフォア、電子密度粒子、NMRスピンラベル、質量分光分析における検出に適したケミカルタグ、赤外線分光分析又はNMR分光分析により検出可能な作用因子(agent)、及び酵素基質又はコファクターを例えば含む。特に空間的に解析された蛋白質に関しては、燐光体イメージャー及び光化学技術を用いて放射線標識が検出され得る。
【0048】
ある(certain)方法はフルオロフォアを利用するが、なぜならば、標識された蛋白質から蛍光を検出するための様々な市販の検出器が利用可能だからである。様々な蛍光分子を標識として使用することができ、例えば、フルオレセイン及びフルオレセイン誘導体、ローダミン及びローダミン誘導体、ナフチルアミン及びナフチルアミン誘導体、ベンズアミジゾール、エチジウム、プロピジウム、アンスラサイクリン、ミスラマイシン、アクリジン、アクチノマイシン、メロシアニン、クマリン、ピレン、クリセン、スチベン、アンスラセン、ナフタレン、サリチル酸、ベンズ−2−オキサ−1−ジアゾール(ベンゾフラザンとも呼ばれる)、フルオレスカミン及びBodipy染料を含む。
【0049】
蛍光標識は安定で安価なフルオロフォア、高感度且つ環境の安全性による利益のためにマイクロアレイにおいて広く使用されてきたが、蛍光検出は高価な装置を必要とする。さらに、チップ表面上の自己蛍光が高いバックグラウンド及びノイズ比に対する低シグナルを引き起こすためマイクロアレイ技術における蛍光の応用を制限もする。新規な検出戦略、例えば、比色イメージングは、複合化されたマイクロアレイに基づくシステムに対して別の検出方法を提供する。比色検出の魅力的な特徴の一つは低いバックグラウンドである。蛍光イメージングにおいては、励起源を必要とし、そして一定量のシグナルがフルオロフォアの存在しないマイクロアレイのエリアにおいて生じる。比色イメージングにおいては、しかしながら、反応物、例えば標識酵素が存在する場合にのみ、フォトンが生じる。結果的に、非特異的放射線が顕著に減少する。さらに、比色イメージングは励起源関連の問題、例えば抗原のウオームアップ及びドリフト及び光散乱による干渉を有さない。
【0050】
比色イメージングの別の魅力的な特徴は、その低コストである(匹敵する蛍光スキャニング装置のフラクションにおけるイメージ取得及び分析コストに関するソフトウエアに付随したCCDに基づく比色スキャナー)。蛍光スキャニング技術を補うため、比色システムは、研究者が着色された標識の完全スペクトルを使用することを許容し、ホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、金銀発色剤、及び着色された反応沈殿物を生じさせる他のあらゆる標識システムの生成物を含む。
【0051】
好ましい態様において、「抗原ダウン」マイクロアレイ中の捕捉された抗−ウイルス抗体は、ビオチン化されたか又は酵素標識された二次抗体を用いて、次に、ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート(蛍光検出のため)又は酵素基質(比色検出のため)とのインキュベーションにより検出される。
【0052】
別の態様において、本発明は、その表面上に固定化されたウイルス抗原特異的抗体を含む抗体マイクロアレイを提供する。図4に示すとおり、当該マイクロアレイは、「サンドイッチ」アッセイにおいて使用することができ、マイクロアレイ上の抗体が試験サンプル中の特異的抗原(例えば、ウイルス表面抗原)を捕捉し、そして捕捉された抗原が捕捉されたウイルス抗原に特異的に結合する標識二次抗体により検出される。好ましい態様において、二次抗体は、ビオチン化されるか又は酵素標識される。ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート(蛍光検出のため)又は酵素基質(比色検出のため)との続くインキュベーションにより、検出は達成される。
【0053】
一般に、複合化されたアッセイは複数のインキュベーション工程を含み、サンプルとのインキュベーション、及び様々な試薬とのインキュベーション(例えば、一次抗体、二次抗体、リポート試薬等)を含む。繰り返しの洗浄もインキュベーション工程の間に必要である。本発明の複合化アッセイは、ほんの1回又は2回のインキュベーションしか必要としない迅速アッセイ様式にて実施してよい。例えば、抗原マイクロアレイを最初にサンプルとインキュベートし、そして次に一次抗体と二次抗体の混合物とインキュベートするか又は一次抗体、二次抗体及び染色試薬の混合物とインキュベートしてよい。蛋白質マイクロアレイをサンプル及び全ての必要な試薬の混合物に曝露することにより、検出可能な免疫複合体(例えば、捕捉された抗ウイルス抗体/抗Ig/標識複合体)の形成が単一のインキュベーション工程にて達成される。
【0054】
また別の態様において、本発明は、抗体マイクロアレイを用いた競合免疫アッセイを提供する。簡単に言えば、固定化された抗ウイルス抗体を含むマイクロアレイを標識されたウイルス抗原標準物の存在下で試験サンプルとインキュベートする(図5)。標識されたウイルス抗原が固定化された抗原特異的抗体への結合に関して試験サンプル中の未標識ウイルス抗原と競合する。そのような競合設定においては、試験サンプル中の増加した濃度の特異的ウイルス抗原が固定化抗体への標識ウイルス抗原標準物への低下した結合、即ち標識からのシグナル強度の低下を導く。
【0055】
本発明のマイクロアレイは、マニュアル、半自動及び自動様式にて処理することができる。マニュアル様式は、試薬及びサンプルのマイクロアレイへのデリバリー、サンプルインキュベーション及びマイクロアレイ洗浄を含む全てのアッセイ工程に関してのマニュアル操作を意味する。半自動様式は、サンプル及び試薬のマイクロアレイへのデリバリーに関してはマニュアル操作であるが、インキュベーション及びマイクロアレイ洗浄の工程に関しては自動であることを意味する。自動様式においては、3つの工程(サンプル/試薬デリバリー、インキュベーション及び洗浄)がコンピューター制御されるか又はキーパッド内の統合されたブレッドボードユニットにより制御され得る。例えば、抗原マイクロアレイをProteinArray Workstation(パーキンエルマーライフサイエンセズ、ボストン、MA)又はAssay 1200(登録商標)(Zyomyx,ヘイワード、CA)により処理され得る。
【0056】
CCDカメラ又はPMT又は蛍光、比色及び化学発色によるCCDラインスキャナーを含む様々な光学装置を用いて、マイクロアレイシグナルを検出し、そしてマイクロアレイイメージを取得することができる。マイクロアレイに基づくアッセイの定量は、他の手段、例えば質量分光分析及び表面プラズマ共鳴により達成することもできる。取得されたマイクロアレイイメージは、スタンドアローンイメージ分析ソフトウエアによるか又はイメージ取得と分析ソフトウエアのパッケージを用いて分析することができる。例えば、抗原マイクロアレイの定量は蛍光PMTに基づくスキャナー−ScanArray 3000(ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)又は比色CCD−に基づくスキャナー−VisionSpot(アライドバイオテック、ジャムスビル(Ijamsvile)、MD)により達成することができる。一般には、イメージ分析は、アッセイリポートのデータの獲得とプレパレーションと別のソフトウエアパッケージを含む。イメージを取得してからアッセイリポート生成するまでの全アッセイプロセスをスピードアップするため、イメージ取得、イメージ分析、及びリポート生成を含む全ての分析工程を一つのソフトウエアパッケージにより制限し及び/又は制御することができる。そのような統一された制御システムはユーザーフレンドリーな様式にてイメージ分析とアッセイリポートの生成を提供するはずである。
ビーズシステムとアッセイ方法
本発明の別の側面は、ウイルス感染の検出のためのビーズに基づく免疫アッセイの利用に関する。ビーズに基づくアッセイにおいては、分子反応が顕微鏡的なビーズの表面上で起こる。ビーズは様々な原料、例えば、ポリスチレン、物理的又は化学的に修飾されたガラス、シリコン、金属酸化物、及びカルボキシル基を含む表面を有する他の原料を作成することができる。
【0057】
標的リガンド(例えば、ウイルス抗原又は抗ウイルス抗体)は、試薬、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN−ヒドロキシスルフォサクシニミド(S−NHS)によるアミンカップリングによりカルボキシル化(COOH)ビーズ表面上に共有固定化され得る。他のアプローチは、アルデヒド又はエポキシ基を含むビーズ表面上に抗原又は抗体を固定化することを含む。抗原又は抗体は、高蛋白質結合ビーズ表面、例えば様々なポリマーでコートされた表面に非共有固定化されてもよい。
【0058】
ビーズは蛍光染料により内部をカラーコードされ、そしてビーズの表面が試験サンプル中の標的リガンドと結合できる抗リガンド(例えば、ウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体)で標識される。標的リガンドは、今度は、直接に蛍光タグにより標識されるか又は間接に蛍光タグへコンジュゲートされた抗−リガンドにより標識される。よって、発色には2つの源が存在し、一つはビーズからであり、そして他方は蛍光タグからである。別法として、ビーズは異なるサイズで内部コードされ得る。
【0059】
2つの染料並びに異なるサイズのビーズからの異なる蛍光強度のブレンドを用いることにより、数百の異なる標的リガンドまでをアッセイは測定することができる。アッセイの間、カラー/サイズコードされたビーズ、蛍光標識された抗−リガンド、及びサンプルを含む混合物を混合し、そしてビーズを一直線に並べるための精密な流体工学を用いる装置へ注入される。ビーズは、次に、レーザーを通過し、そしてそれらのカラー又はサイズを根拠に、分類され(get sorted)るか又は発色強度に関して測定され、各反応に関しての定量データへ処理される。
【0060】
サンプルが直接蛍光により標識される場合は、システムは溶液中の未結合のフルオロフォアを除去することなくビーズ上の蛍光のみを読んで定量することができる。様々なカラー又はサイズで別々にされたビーズによりアッセイは複合化することができる。サンプルを直接フルオレセインで標識した場合に、リアルタイムの測定が達成される。一般には、フルオロフォアで標識された二次抗体が未標識のサンプルには必要である。標準アッセイ工程はサンプルの抗−リガンドコートされたビーズとのインキュベーション、ビオチン又はフルオロフォア標識された二次抗体とのインキュベーション、及び蛍光シグナルの検出を含む。蛍光シグナルは、ビーズ上で発色する(developed)ことができ(ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート)、そしてビーズ分析機により読み出される。ビーズ表面に固定化された抗−リガンドに応じて、ビーズに基づく免疫アッセイは抗原ダウンタイプ(図3)、サンドイッチタイプ(図4)、又は競合タイプ(図5)の免疫アッセイであることができる。
キット
本発明は、(1)上で記載された、マイクロアレイに基づくウイルス感染検出システム及び/又はビーズに基づくウイルス感染検出システム、及び(2)検出アッセイを実施するために必要な一つ又はそれより多い試薬を含む、ウイルス感染キットにも関する。当該試薬は、限定ではないが、標識された二次抗体、標識された抗原、酵素基質、ブロッキング剤、及び洗浄バッファーを含む。
【0061】
本明細書において記載されるとおり、本発明のマイクロアレイ及びビーズシステムは、ヒト及び動物におけるウイルス感染のために使用することができる。表1は、本発明のマイクロアレイ及びビーズシステムにより検出できるマウスウイルスの代表的なリストを提供する。当業者は、本発明のマイクロアレイ及びビーズのシステムが、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、チキンポックスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス、VZV)、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、エプスタインバールウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ロタウイルス、肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、及びインフルエンザウイルスにより引き起こされたヒトのウイルス感染の検出のために使用することができる。ウイルス感染の検出のための本発明のマイクロアレイ及びビーズのシステムを、他の実験室動物、例えば、ラット、ウサギ、フェレット及びハツカネズミ、農場の動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、チキン、アヒル、ガチョウ、ヘラジカ及びラマ、及びペット、例えば、ネコ及びイヌにおいて用いることも想像できる。例えば、ラットサイトメガロウイルスマイクロアレイは、キラムラットウイルス(KRV)、レオウイルスタイプ3(REO 3)、ラット排煙ウイルス(PVM)、センダイウイルス、唾液腺涙腺炎ウイルス(SDAV)、マウスアデノウイルス(MAD FL)、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、脳髄膜炎ウイルス(GD VII)、及びトールマンH1ウイルス(H1)により引き起こされる感染を検出するために製造されてよい。同様に、ウシサーベイランスマイクロアレイを、ウイルス感染、例えば、口蹄疫、風土性ウシ白血病(enzootic bovine leucosis)、ブルータング、風土病、シカの出血性疾患、牛疫、アルカバン病(Arkabane disease)、ウシのウイルス性下痢粘膜疾患(bovine viral diarrhea−mucosal disease)、感染性ウイルス性鼻気管炎、パラ結核炎、ブルセラ病、結核、ウシカンピロバクター、及び炭疽菌を検出するために製造してよい。
実施例
実施例1:マウスサーベイランスマイクロアレイ
抗原マイクロアレイをマウス血清中の14までのウイルス感染の同時検出のために製造した。14のウイルス抗原とそれらの陰性対照を被覆させることによりマイクロアレイを組み立てたが、両者は市販品(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)であり、図1と表1に示すとおりにレイアウトされる。ウイルス抗原は、細胞培養物又は卵培養物、並びにその培養物及び培地からの抽出物に由来した。陰性対照は培地にウイルスを接種しない以外は、同一の様式にて調製した。ニトロセルロースをコートされたスライド(シュライヒャーアンドシュエルバイオサイエンス社、キーン、NH)をチップスライドとして用いた。マウスイムノグロブリンG(IgG)を陽性対照として用いた。スポットされたチップを2時間空気乾燥し、使用準備ができた。
実施例2:マウスサーベイランスマイクロアレイの特異性
感染したマウス抗血清(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)を負荷する前に、マウスサーベイランスマイクロアレイをTris−バッファー(pH7.2)と15分間インキュベートして非結合抗原を洗い流した。マウスサーベイランスマイクロアレイを、次に、2時間室温において30ulの抗−マウスKウイルスマウス血清とTris−緩衝化塩溶液pH7.2による1:1600希釈にてインキュベートした。マイクロアレイを最初のインキュベーション後に洗浄し、ビオチン化されたヤギ抗マウス抗体と1時間インキュベートし、再び洗浄し、そして次にストレプトアビジン−Cy5コンジュゲートと30分間インキュベートした。蛍光スキャナーにより蛍光イメージを取得して、イメージ分析ソフトウエアにより分析した。図6Aに示すとおり、マウスKウイルス及び陽性対照のスポットのみがインキュベーション後にライトアップされた(lit up)。
【0062】
次のセットの実験において、感染したマウス血清1と2と呼ばれるマウス抗血清の2つのカクテルを、4つ及び6つの異なるマウス抗血清とそれぞれ混合することにより調製した。特定すると、感染したマウス血清1は、センダイウイルス、EDIM,マウスアデノウイルスFL(MAD FL)及びREO3に対する抗血清を含み;そして感染したマウス抗血清2は、PVM,センダイ、EDIM,MAD FL,REO3,及びマウスアデノウイルスK87(MAD K87)に対する抗血清を含む。15分間のTris−バッファー(pH7.2)とのインキュベーションの後に、マウスサーベイランスマイクロアレイを、感染したマウス血清1又は感染したマウス血清2の何れかと共に、2時間室温においてインキュベートすることにより、アッセイの特異性を評価した。マイクロアレイを次にTris緩衝塩溶液、pH7.2により洗浄し、1時間、室温において、マウスIgGに特異的なビオチン化されたか又はホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)標識された二次抗体と共にインキュベートし、アレイと1時間インキュベートし、次に、結合シグナルの生成のためのストレプトアビジン−Cy5又はHRPカラー基質とインキュベーションした。蛍光又はカラーイメージを蛍光又は比色スキャナーにより取得し、そしてイメージ分析ソフトウエアにより分析した。各工程に必要なサンプルと試薬の容量は、マイクロアレイあたり35μlであった。図7Aは、比色スキャナーにより検出されたマウスサーベイランスマイクロアレイの結果を示す。感染した血清中に存在する特異的抗体と相互作用したウイルススポット上にのみ、シグナルが発せられた。健康なマウスの血清とインキュベートしたアレイ上では、陽性対照よりも僅かなシグナルしかなかった。結果を図7Bにて見積もった。
【0063】
いっしょにすると、これらの結果は、マウスサーベイランスマイクロアレイが様々なウイルス感染に対しての抗血清の特異的検出を提供することを示唆する。マイクロアレイはマウス血清中の多重ウイルス感染を同時に検出するのに使用することができる。さらに、複合化されて安価なアッセイが、約3時間で、少量のサンプルと試薬だけで、潜在的に自動化されて高処理量の様式において完了した。
実施例3:蛍光及び比色マイクロアレイアッセイを用いた動物のウイルス感染の複合化検出
この実験においては、2つの同一の抗原マイクロアレイスライドを比色及び蛍光検出にそれぞれ用いた。抗原マイクロアレイを感染したマウス血清2と1時間室温においてインキュベートし、次に、HRP標識されたヤギ抗−マウス抗体(比色スライド)又はビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(蛍光スライド)と1時間室温においてインキュベーションし、そしてHRPカラー基質(比色スライド)又はストレプトアビジン−Cy5(蛍光スライド)と30分間インキュベートした。蛍光レーザースキャナー−ScanArray 3000(ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)又は比色CCDスキャナー−VisionSpot(アライドバイオテック、ジャムスビル(Ijamsvile)、MD)によりアッセイイメージを取得した。取得したイメージの定量分析は、市販のソフトウエア−GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いて実施した。各ウイルス抗原及びその陰性対照の複製されたスポット上でシグナルを平均化した。図8Aと8Bは、それぞれ、マイクロアレイの蛍光イメージと相対シグナル強度を示す。図9Aと9Bに示されるとおり、安価な比色方法が、図8Aと8Bにおいて示された蛍光検出と類似のマイクロアレイイメージングに関してのアッセイ感度と特異性を達成した。
実施例4:ビーズに基づく免疫アッセイを用いた動物ウイルス感染の複合化検出
単一アッセイにおける複数の動物ウイルス感染の同時検出のための複合化免疫アッセイがビーズに基づくアレイにより達成されたが、その際、ウイルス抗原を異なる蛍光で標識されたビーズ上に固定化し、そしてアッセイをビーズリーダーにより検出した。
【0064】
Bio−Plex Amine Coupling Kit(バイオラッド、ヘラクレス、CA)を用いて、ウイルス抗原(チャールズリバー、ウイルミントン、MA)をBio−Plex COOH(カルボキシル化された)ビーズ(ルミネックス、オースチン、TX)上に固定化し、そしてキットにおける手法はビーズ活性化及びウイルス抗原カップリングに関して従った。ビーズアッセイをルミネックス100ビーズリーダー(ルミネックス、オースチン、TX)上で作動させ、データを獲得し、そしてアプライドサイトメトリーシステム、サクラメント、CAからのソフトウエアで分析した。簡単に言えば、Bio−Plex Amine Coupling Kit(バイオラッド、ヘラクレス、CA)中のアッセイバッファーにより96ウエルのフィルタープレートを予め湿潤させた。当該バッファーをフィルタープレート真空マニフォールド(ミリポア、ビレリカ、MA)により除去した。複数のビーズ加工(working)溶液をボルテックスし、そして各ウエルにピペッティングした。非コンジュゲート抗原とバッファーを次に除去した。抗血清中の抗ウイルス抗体を3回のインキュベーションを含む手法により室温において検出したので、各インキュベーション後に1回、3回の洗浄工程を伴った。3回のインキュベーションは、(1)マウス抗血清(チャールズリバー、ウイルミントン、MA)とビーズを1時間インキュベートし;(2)ビオチン化されたヤギ抗マウスをビーズと30分間インキュベートし;そして(3)ストレプトアビジン−PEとビーズを10分間インキュベートした。ビーズを各インキュベーション後に洗浄し、Luminex 100マイクロプレートリーダーにより96ウエルフィルタープレート中で読んだ。表2は、3つのマウスウイルス感染の複合化検出のビーズアッセイの結果を要約したが、表1に記載されるとおり、P2,P3及びP6は陽性抗原を示し、そしてN2,N2及びN6は陰性抗原を示した;マウス抗血清(2,3,6)の混合物は、抗原P2,P3及びP6に特異的なマウス抗血清の混合物を意味する。表2及び図10に示したアッセイ結果は、ビーズに基づく複合化アッセイを用いた3つのマウス抗血清の混合物中の3つのマウスウイルス感染の検出の成功を示す。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例5:96ウエルマイクロプレートビーズのマイクロアレイを用いたマウスウイルス感染の複合化検出
マウスウイルス感染の複合化検出を96ウエルマイクロプレートに基づくマイクロアレイを用いて達成したが、その際、マウスウイルス抗原をウエルの底に固定化した。表1に記載されたとおり、陽性マウスウイルス抗原、P1(PBS中16ug/ml),P2(PBS中16ug/ml),及びP5(PBS中19ug/ml),及び関連の陰性対照、N1(PBS中16ug/ml),N2(PBS中16ug/ml),及びN5(PBS中19ug/ml)をポリスチレンCorning Costar 3712プレート(コーニング、アクトン、MD)の透明な底の黒いウエル上にRadius 3XVPスポッター(Radius Biosciences,ガイセルスベルグ、MD)を用いて被覆させた。アレイのデザインを図11(A)に示す。スポットされたプレートアレイを4℃に一晩保持した。
【0067】
感染したマウス抗血清(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)を負荷する前に、プレートアレイをPBS洗浄バッファー(pH7.2,Tween−20 0.2%)と3回インキュベートした。PBS(pH7.2)中で1:100希釈にてマウス抗血清(P2とP5)をアレイと(ウエルあたり40ml)2時間インキュベートした。マウスIgGに特異的なビオチン化された二次抗体をアレイと1時間インキュベートした。結合スポットの蛍光発色のために、ストレプトアビジン−Cy5をアレイに添加した。プレート−アレイの蛍光イメージをAlphaArray7000(アルファイノテック、サンレアンドロ、CA)により取得し、そしてGenePix4.0(アクソンインスツルメント、ユニオンシティ、CA)をアレイイメージ分析のために用いた。
【0068】
図11は、2つのマウスウイルス感染(P2とP5)の同時の検出の成功を示すプレート−アレイのアッセイ結果を示す。陰性対照とP1抗原スポットに関しては蛍光シグナルがほとんど発色されず、マウス抗血清の複合化検出に関してのプレートに基づくマイクロアレイのアッセイ特異性を証明する。
【0069】
上記の記載は本発明の現在好ましい態様を詳細に説明する。実施においてそれらの多数の修飾とバリエーションがこれらの記載の理解の上で当業者には発生すると予測される。それらの修飾とバリエーションは添付された特許請求の範囲内に包含されると信じられる。
この出願において引用された文書の全てはそれら全体を引用により編入する。さらに、データベースに引用された全ての配列と開示された全ての文献はそれらの全体を編入する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、スライドあたり8つのサブアレイとバーコードによる動物サーベイランスのスライドの模式的デザインである。黒いスポットと白いスポットは15のウイルス抗原を示し(P1−P15,黒いスポット)、そしてそれら各々の陰性対照(N1−N15,白いスポット)を2通りにて示す。網かけのスポットは陽性対照(C1)を2通りに異なる濃度において示す。その現在の設定において、各スライドは8つまでの血清サンプルと15までのウイルスを各サンプル中で検出するために用いることができる。バーコードはアレイスライドを識別するのに使用することができる。表1は、マウスサーベイランススライドに関しての陽性ウイルス抗原の代表的リストを提供する。
【図2】図2は、スライドあたり16のサブアレイと動物サーベイランスチップの模式的デザインである。図1と同様に、黒いスポットと白いスポットは15のウイルス抗原を示し(P1−P15,黒いスポット)、そしてそれら各々の陰性対照(N1−N15,白いスポット)を2通りにて示す。網かけのスポットは陽性対照(C1)を2通りに異なる濃度において示す。この設定において、各スライドは16までの血清サンプルと15までのウイルスを各サンプル中で検出するために用いることができる。
【図3】図3は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた「抗原−ダウン」免疫アッセイの模式図である。
【図4】図4は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた「サンドイッチ」免疫アッセイの模式図である。
【図5】図5は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた競合免疫アッセイの模式図である。
【図6A】図6A及び6Bは、図1のマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの特異性を証明する。図6Aは、マウスKウイルスに関する陽性シグナルによるサブアレイのイメージである。当該サブアレイは図1及び表1に示されたウイルス抗原レイアウトを有し、位置P15におけるマウスKウイルスのウイルス抗原が位置N15における陽性対照に相当する。当該サブアレイをマウスKウイルスに対する抗体を含むマウス血清サンプルとインキュベートした。
【図6B】図6A及び6Bは、図1のマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの特異性を証明する。図6Bは、図6AのマウスKウイルスのイメージ分析を示す。P1とN1は表1の中のウイルス抗原1とその陰性対照を示し、そして別の抗原に関するものなどである。
【図7A】図7A及び7Bは、比色スキャナーによるマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの複合化検出を示す。図7Aは、別の血清と対照サンプルに暴露されたマウスサーベイランスマイクロアレイのイメージを示す。当該イメージは、SpotWareスキャナー(TeleChem International,Sunnyvale,CA)を用いて取得された。
【図7B】図7A及び7Bは、比色スキャナーによるマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの複合化検出を示す。図7Bは、図7A中のイメージの定量分析であり、市販のソフトウエア−GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いた。各ウイルス感染の比色シグナルを2通りのスポットで平均した。
【図8A】図8A及び8Bは、蛍光レーザースキャナー(ScanArray 3000,ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)によるマウスサーベイランスマイクロアレイの複合化検出を示す。図8Aは、異なるマウス血清及び対照サンプルへ暴露されたマウスサーベイランスマイクロアレイのイメージを示す。当該マイクロアレイは陽性対照以外図1に示すとおりにデザインされた。
【図8B】図8A及び8Bは、蛍光レーザースキャナー(ScanArray 3000,ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)によるマウスサーベイランスマイクロアレイの複合化検出を示す。図8Bは、図8Aのマイクロアレイの定量分析であり、GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いた。
【図9A】図9A及び9Bは、マウスサーベイランスマイクロアレイを用いたウイルス感染の比色検出と蛍光検出の間の比較を示す。2つの同一のマイクロアレイスライドをそれそれ同じマウス血清中で抗ウイルス抗体の比色検出と蛍光検出のために使用した。シグナルは各ウイルス抗原とその陰性対照の2通りのスポットにて平均した。図9Aは、PVMウイルス抗原のスポットに対して平均化された陽性シグナルを示す(P3)。
【図9B】図9A及び9Bは、マウスサーベイランスマイクロアレイを用いたウイルス感染の比色検出と蛍光検出の間の比較を示す。2つの同一のマイクロアレイスライドをそれそれ同じマウス血清中で抗ウイルス抗体の比色検出と蛍光検出のために使用した。シグナルは各ウイルス抗原とその陰性対照の2通りのスポットにて平均した。図9Bは、PVMウイルス抗原の陰性対照に対して平均化されるシグナルを示す(N3)。
【図10】図10は、ビーズに基づくアッセイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。Luminex 100ビーズリーダーをデータの取得と分析のために使用した。マウスウイルス抗原と陰性対照を異なる比色ビーズに固定化した(Luminex,オースチン、TX)。マウス抗血清をビーズとインキュベートし、次に、ビオチン化されたヤギ抗−マウス、及びストレプトアビジン−PEコンジュゲートとインキュベートした。
【図11A】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Aは、ウエル中での4x4サブアレイデザインを示す。P1,P2,P5,N1,N2,N5を表1に記載する。PBSとPCはそれぞれ陰性対照と陽性対照である。
【図11B】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Bは、異なるアッセイ条件下でのプレート−アレイイメージを示す:1−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(1.0ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション;2−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(0.1ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション;3−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(10ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(10ug/ml)とのインキュベーション;4−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(1.0ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション。
【図11C】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Cは、蛍光強度に関するアッセイ結果を示す。
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明は、一般に、ウイルス感染の検出に関し、特定すれば、複合した(multiplexing)技術を用いた高処理量で再現性のある安価なウイルス感染検出のための装置及び方法に関する。
技術背景
ウイルス感染は多数の慣用的アプローチ、例えば、エンザイムリンクドイムノソルベントアッセイ(ELISA)、エンザイムリンクドイムノアッセイ(EIA)、及びウエスタンブロットにより検出することができ、概してウイルス抗原又はウイルス抗原に対する抗体の存在を検出する。慣用のアッセイの限界は、低処理量、低自動化サンプル及び試薬(reagents)の大量の消費、及び高いアッセイコストを含む。例えば、実験室のマウス及びラットにおいてウイルスの感染を監視するための共通に使用される方法は、動物の血清中の抗ウイルス抗体を検出するためのELISAである。しかしながら、当該アッセイは時間を浪費してアッセイあたりたった一つの抗体レベルしか測定することができない。
【0002】
近年、複合化されたアッセイが徐々にイムノアッセイの分野において、特に薬剤(drug)発見及び臨床診断目的のためのファーマコゲノミクスにおいて普及する技術になった。複合化されたアッセイは、単一のサンプルからの複数の(multiple)サンプルの検出又は定量を可能にさせる。複合化されたアッセイを実施するためのアプローチの一つはマイクロアレイであり、DNA/RNAベースのアレイシステムとして最初に開発されたが、他のアレイシステム、例えば蛋白質マイクロアレイを含むように発展した。蛋白質マイクロアレイはDNAマイクロアレイにより使用されるハードウエアとソフトウエアと両立可能である。蛋白質マイクロアレイは蛋白質−蛋白質相互作用、蛋白質−リガンド又は蛋白質−薬剤相互作用、並びに酵素アッセイの分析を楽にするので、蛋白質マイクロアレイは基礎的な研究及び開発、薬剤標的の同定及び確認、薬剤スクリーニング、毒性スクリーニング、リード最適化、及び臨床試験及び疾患管理のための患者の層別化(stratification)において使用されてきた(例えば、Bussow.et al.,Nucleic Acids Res,26:5007−5008,1998;Eisen et al.,Methods Enzymol.303:179−2000,1999;Knezevic,et al.,Proteomics,1:1271−1278,2001;Adam et al.,Proteomics,1:1264−1270,2001;Zhu et al.,Current Opinion in Chemical Biology,5:40−45,2001;及びRonald et al.,Proteome Research,1:233−237,2002)。
【0003】
様々な蛋白質マイクロアレイに加えて、他の複合化された蛋白質分析のアプローチは、ビーズに基づく技術を含み、蛍光色でコードされたか又は微小球と呼ばれる異なるサイズのビーズの表面上において複数の蛋白質の別個のバイオアッセイを実施する。バイオアッセイの間、それらのビーズはコンパクトな分析機/フローサイトメーター中で読まれて、サンプルが直接フルオロフォアにより標識されるリアルタイムの全てにおいて、同時にバイオアッセイを正体確認して結果を測定する。
【0004】
複合化されたアッセイ技術、例えばマイクロアレイ及びビーズ技術が、多くの研究及び臨床応用において採用されたが、動物におけるウイルス感染を監視するためには使用されていない。
【0005】
発明の概要
本発明の一つの側面は、複合化アプローチ、例えばマイクロアレイ及びビーズ技術を用いてウイルス感染を高処理量検出するための低価格の方法に関する。当該方法は、臨床診断、動物サーベイランス、及び研究の応用のために使用することができる。
【0006】
一つの態様において、当該方法は、多数の標的リガンドを捕捉することができる多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに生物学的サンプルを接触させ、そして捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出する工程を含む。生物学的サンプル中の標的リガンドの存在は、対象(subject)の中のウイルス感染の指標であるが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは多数の生物学的サンプルの中の標的リガンドの同時検出が可能である。
【0007】
関連する態様において、蛋白質マイクロアレイは、チップに基づくマイクロアレイであるかマイクロタイターに基づくマイクロアレイである。
別の関連する態様において、標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合は、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される。
【0008】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる多数のサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出する工程を含む。生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在は、対象内のウイルス感染の指標であって、但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは多数の生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出を可能にする。
【0009】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを標識された標的リガンド標準物の存在下でマイクロアレイシステム中の蛋白質サブアレイと接触させるが、その際、標識された標的リガンド標準物は蛋白質サブアレイへの結合に関して生物学的サンプル内の標的リガンドと競合し、そして標識された標的リガンド標準物の蛋白質サブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在を決定する工程を含むが、その際、マイクロアレイシステムは多数の蛋白質サブアレイを含み、そして多数のサンプルの中の多数の標的リガンドを同時に捕捉することができ、そして標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含む。
【0010】
別の態様において、上記方法は、多数の標的リガンドを捕捉することができる多数の抗−リガンドを含む膜に基づくマイクロアレイに対象からの生物学的サンプルを接触させ、そして捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに膜に基づくマイクロアレイを接触させることにより捕捉された標的リガンドを検出する工程を含む。生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在は対象内のウイルス感染の指標であって、但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかである。
【0011】
別の態様において、上記方法は、対象からの生物学的サンプルを多数のマイクロビーズ種に接触させるが、マイクロビーズ各種(each species)は生物学的サンプル中の標的リガンドを捕捉できる抗−リガンドによりコートされており;標的リガンドを標識するが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり;そして標的リガンドとマイクロビーズの結合を測定する工程を含む。標的リガンドは多数のマイクロビーズと接触させる前か又は後に標識することができ、そして標識リガンドのマイクロビーズへの結合がウイルス感染の指標である。
【0012】
本発明の別の側面は、対象中のウイルス感染の検出のためのマイクロアレイとビーズに関する。
一つの態様において、本発明は、固相支持体上に組み立てられた多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムを提供する。各サブアレイは、上記固相支持体に固定化された多数の抗−リガンドを含み、そして各抗−リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである標的リガンドに特異的に結合できる。
【0013】
関連する態様において、上記固相支持体はスライドか又はマイクロタイタープレートの何れかである。
別の態様において、本発明は、多数のマイクロビーズ種を含むビーズシステムを提供し、マイクロビーズの各種は生物学的サンプルの中の標的リガンドを捕捉することができる抗−リガンドによりコートされており、但し、標的リガンドがウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである。
【0014】
また別の態様において、本発明は、対象内のウイルス感染を検出するためのキットを提供する。当該キットは、上記のマイクロアレイ及び/又はマイクロビーズシステム、及び標的リガンドに結合できる標識試薬(labeling reagent)を含む。
【0015】
開示の追加の側面は、一部、記載において示され、記載から一部は明らかになり、及び/又は発明を実施することから学習してよい。発明は、請求の範囲において示されて特定して指摘され、そして開示は請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の詳細な説明は発明の様々な態様の例示的代表であって、請求された発明を限定するものではない。添付の図面はこの明細書の一部をなし、そして記載と共に、態様を例示するように機能するが発明を限定するためには機能しない。
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用される用語「動物ウイルス」は、動物宿主細胞内で生殖及び増殖できるあらゆるウイルスを意味する。動物ウイルスは、限定ではないが、ヒト、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、サル、マウス、ラット、イヌ、ロバ、ネコ、ウシ(cattle)、ウマ、チキン、アヒル、ブタ及びウシ(cow)からのウイルスを含む。
【0017】
本明細書において使用される用語「生物学的サンプル」は、あらゆる形態、例えば、全血、血清、血漿、尿、唾液、糞、髄液、細胞及び組織等の中の生物学的サンプルを意味する。
【0018】
本明細書において使用される用語「リガンド」は、リガンド/抗リガンド結合対の一つのメンバーを意味する。リガンドは、例えば、相補なハイブリダイズした核酸二重鎖結合対の中の核酸鎖の一方(one);エフェクター/受容体結合対の中のエフェクター分子又は受容体分子;又は抗原/抗体結合対の中の抗原又は抗体であってよい。
【0019】
本明細書において使用される用語「抗−リガンド」は、リガンド/抗−リガンド結合対の反対のメンバーを意味する。抗−リガンドは、相補なハイブリダイズした核酸二重鎖結合対の中の核酸鎖の他方(the other);エフェクター/受容体結合対の中のエフェクター分子又は受容体分子;又は抗原/抗体結合対の中の抗原又は抗体であってよい。
【0020】
本明細書において使用される「抗体」は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を意味する。さらに、用語「抗体」は、完全なイムノグロブリン分子、キメライムノグロブリン分子、又はFab或いはF(ab’)2断片を意味する。そのような抗体及び抗体断片は、当業界でよく知られた技術により生産することができ、Harlow and Lane(Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,コールドスプリングハーバーN.Y.(1989))及びKohler et al.,(Nature 256:495−97(1975))及び米国特許番号5,545,806,5,569,825及び5,625,126に記載されたものを含み、引用により本明細書に編入される。相応じて、本明細書において定義された抗体は、結合したVHとVLドメインを含み、そして抗体の天然イディオタイプのコンフォメーション及び特異的結合活性を保持する単鎖抗体(ScFv)も含む。そのような単鎖抗体は当業界でよく知られており、標準の技術により生産することができる。(例えば、Alvarez et al.,Hum.Gene Ther.8:229−242(1997)を参照。)本発明の抗体は、あらゆるアイソタイプIgG,IgA,IgD,IgE及びIgMのものであり得る。
【0021】
本明細書において使用される「抗−ウイルス抗体」は、ウイルス抗原に特異的に結合する抗体を含む。
本明細書において使用される「抗原」は、脊椎動物に投与された際に、免疫応答を導き出すことができ、それにより抗原に特異的に結合する抗体の生産と放出を促進させる。本明細書において定義される抗原は、抗原/抗体の複合体を形成するように抗体により特異的に結合された分子及び/又はモイエティを含む。発明によれば、抗原は、限定ではないが、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、核酸、DNA、RNA、サッラライド類、それらの。組み合わせ、それらの断片、又はそれらの模倣物を含む。
【0022】
本明細書において使用される「ウイルス抗原」は、ウイルスに由来するあらゆる抗原を含み、そしてウイルスに由来する抗原に対する免疫応答を導き出すことができて、それによりウイルス由来の抗原に特異的に結合する抗体の生産と放出を促進させる抗原物質を含む。
【0023】
本明細書において使用される「模倣物(mimetic)」は、化学物質、又は有機分子、又はあらゆる他の模倣物を含み、その構造は抗体又は抗原の結合領域に基づくか又は由来する。例えば、結合領域、例えばペプチドの結合ループの構造を模倣するために、予測された化学構造をかたどる(model)ことができる。そのようなかたどり(modeling)は、標準の方法を用いて実施することができる。特に、ペプチドと蛋白質の結晶構造は当業界でよく知られた方法にしたがってX線結晶学により決定することができる。ペプチドは、必要ならば、結晶化を楽にするために長い配列にコンジュゲートすることもできる。次に、結晶構造に由来するコンフォメーションの情報を用いて当業界で利用可能な小分子のデータベースを検索し、蛋白質として同じ結合機能を有することが予測されるペプチド模倣物を同定することができる(Zhao et al.,Nat.Struct.Biol.2:1131−1137(1995))。この方法により同定された模倣物は、本明細書において記載される結合アッセイに従い目的の最初に同定された分子と同じ結合機能を有するものとしてさらに特性決定することができる。
【0024】
代わりに、模倣物をペプチドとほとんど同じ様式にてコンビナトリアルケミストリーのライブラリーから選択することもできる(例えば、Eichler et al.,Med.Res.Rev.15:481−96(1995);Blondelle et al.,Biochemistry.J 313:141−147(1996);Perez−Paya et al.,J.Biol.Chem.271:4120−6(1996)を参照)。
【0025】
「アレイ」は、広義に、基体上の位置的に異なるロケーションにおける作用因子(agent)(例えば、蛋白質、抗体)の配置を意味する。いくつかの例において、アレイ上の作用因子は、作用因子の同定がアレイ上のその位置から決定できるように、空間的に(spatially)コードされる。
【0026】
「マイクロアレイ」は、一般に、基体上で作用因子と共に形成された複合体を検出するために、検出が顕微鏡的検出の使用を必要とするアレイを意味する。アレイ上の「ロケーション」又は「スポット」は、作用因子を含むアレイ表面上の位置決め(localized)されたエリアを意味し、各々が規定されることにより、隣接するロケーションから識別可能になる(例えば、アレイ全体にわたり配置されるか、又はロケーションが他のロケーションから識別されるのを可能にするような、いくつかの検出可能な特性を有する)。一般に、各ロケーションは単一の種類の作用因子を含むが、必要ではない。ロケーションはあらゆる便利な形態を有することができる(例えば、環状、長方形、楕円形、又はくさび型)。ロケーションのサイズ又は面積は有意に変化し得る。いくつかの例において、ロケーションの面積は1cm2より大きく、例えば、2−20cm2であり、この範囲内のあらゆる面積を含む。より一般には、ロケーションの面積は1cm2より小さく、他の例では1mm2より小さく、また別の例においては0.5mm2より小さく、またさらに別の例においては10,000μm2より小さいか、あるいは100μm2より小さい。本明細書において使用される「チップ/スライドに基づくマイクロアレイ」は、チップ又はスライドの形態にて固相支持体上に組み立てられた(fabricated)マイクロアレイを意味する。
【0027】
本明細書において使用される「マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ」は、マイクロタイタープレート、例えば96−ウエルのマイクロプレートのウエルの底に組み立てられたマイクロアレイを意味する。
【0028】
本明細書において使用される「固相支持体」は、抗原又は抗体を結合できるあらゆる支持体を意味する。よく知られた支持体又は担体(carrier)は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ類、天然又は修飾されたセルロース類、ポリアクリルアミド類、斑糲岩(gabbros)、及び磁鉄鉱(magnetite)を含む。支持体の材料は、実際、カップリングされた分子が抗原又は抗体を結合できる限り、如何なる可能な構造上の輪郭を有してよい。即ち、支持体の輪郭は、ビーズのような球形、又は試験管あるいはマイクロタイタープレートのウエルの内部表面のような円筒形であってよい。代わるものとして、上記表面は、平坦、例えばシート、膜、試験ストリップ、チップ、スライド等であってよい。好ましい支持体は、ニトロセルロース膜、ニトロセルロース−コートされたスライド、96−ウエルマイクロタイタープレート、及びポリスチレン又はカルボキシルビーズを含む。当業者は、多数の他の担体が抗体又は抗原を結合するのに適していることを理解し、或いは日常の実験の使用により同じものを確かめることが可能になる。
【0029】
本明細書において使用される「多数の」なる句は、属の中の2つ又はそれより多い種を意味する。例えば、多数の抗原は2つ又はそれより多い抗原を意味する。
蛋白質と抗体の間の結合を意味するために使用されるときの「特異的に結合する」、「特異的結合親和性」(又は単に「特異的親和性」)、「特異的に認識する」なる句及び他の関連する用語は、蛋白質及び他の生物製剤(biologics)の異種集団の存在下で蛋白質の存在を確定する(determinative)結合反応を意味する。即ち、デザインされた条件下では、特定された抗体が優先的に特定の蛋白質に結合し、そしてサンプル中に存在する他の蛋白質には有意な量にて結合しない。蛋白質に特異的に結合する抗体は、少なくとも103M−1又は104M−1、ときには105M−1又は106M−1、いくつかの例においては106M−1又は107M−1、好ましくは108M−1から109M−1、そしてより好ましくは約1010M−1から1011M−1又はそれより高い結合定数を有する。様々な免疫アッセイフォーマットを用いることにより、特定の蛋白質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫アッセイは蛋白質と免疫反応するモノクローナル抗体を選択するのに日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応活性を決定するために使用することができる免疫アッセイのフォーマット及び条件の記載に関しては、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバー出版ニューヨークを参照)。
【0030】
「標識」は、物理的、化学的、光学的、電磁気学的、電気化学的及び/又は他の方法を用いることにより検出することができる。利用可能な検出可能な標識の例は、限定ではないが、放射線同位元素、フルオロフォア、発色体、マスラベル(mass labels)、電子密度粒子、磁気粒子、スピンラベル、化学ルミネッセンスを発する分子、電気化学的に活性な分子、酵素、コファクター、及び酵素基質を含む。
ウイルス検出のためのマイクロアレイ及びビーズシステム
本発明は、マイクロアレイ及びビーズに基づく技術を用いたウイルス感染の検出のための複合化された(multiplexed)アプローチを提供する。本発明の一つの側面は、複合化アプローチを用いたウイルス感染の高処理量検出のための低価格な装置、例えば、チップに基づくマイクロアレイ、マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ、膜に基づくマイクロアレイ、及びビーズ技術に関する。上記装置は、動物のサーベイランス、研究及び診断の応用のために使用することができる。
【0031】
一つの態様において、本発明は、多数の試験サンプル中の多数の標的リガンドの同時検出が可能なマイクロアレイシステムを提供する。当該マイクロアレイシステムは、チップに基づくマイクロアレイ、マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイ、及び膜に基づくマイクロアレイの形態にて固相支持体上に固定化された抗−リガンドを含む。当該抗−リガンドは標的リガンド、例えば、ウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体に特異的に結合することができる。
【0032】
本発明のマイクロアレイは、適切な固相支持体(例えば、基体)上で如何なるフォーマットにても組み立てることができる。適切な固相支持体の例は、限定ではないが、化学的にコートされたか又はコートされていないガラス、及びポリマースライド、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ニトロセルロース、ナイロン及び/又は適切な材料、例えば、Biotrans(ICN),Zeta−プローブ(Bio−Rad)、Colony/Plaque Screen(NEN),Hybond−N+(アマシャム)、Magnacharge(MSI),Magnagraph(MSI)及びHybond ECL(アマシャム)、化学修飾されたか又は修飾されていないシリコンウエファーから作られた様々な種類の膜、コーティングされているか又はされていないポリスチレンから作られた様々な種類のマイクロタイタープレート、ポリマーの表面、金属酸化物又はその他から作られた孔性フィルター、及びヒドロゲルを含む。
【0033】
固相支持体の材料の他の例は、シリコン、二酸化珪素、石英、ガラス、孔制御されたガラス、タンス、アルミナ、酸化タンタル、ゲルマニウム、窒化珪素、ゼオライト、及び砒化ガリウムを含む。多くの金属、例えば、金、プラチナアルミニウム、銅、チタン、及びそれらの合金は、アレイの固相支持体の材料のためのオプションでもある。さらに、多くのセラミック及びポリマーも固相支持体の材料として使用してよい。固相支持体の材料として使用してよいポリマーは、限定ではないが、以下:ポリスチレン、ポリ(テトラ)フルオロエチレン(PTEE);ポリビニリデンジフルオリド;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート;ポリビニルエチレン;ポリエチレンイミン;ポリ(エーテルエーテル)ケトン;ポリオキシメチレン(POM);ポリビニルフェノール;ポリアクチド;ポリメタクリルイミド(PMI);ポリアルケンスルフォン(PAS);ポリプロピルエチレン、ポリエチレン;ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA);ポリジメチルシロキサン;ポリアクリルアミド;ポリイミド;及びブロック−コポリマーを含む。アレイのための好ましい固相支持体材料は、シリコン、二酸化珪素、ガラス及びポリマーを含む。結合分子が存在する固相支持体の材料は、上記の基体材料の何れかの組み合わせであってもよい。
【0034】
固相支持体の外面的形態は、二次元平面又は平坦表面材料、三次元フロースルーシリコン及びガラスウエファー、並びに孔性フィルター又はヒドロゲルを含む。それら全ての固相支持体は、ウイルス感染の複合化検出のための追加の支持材料があってもなくても使用することができる。固相支持体はマニュアル、半自動化又は自動化モードにて適用及び操作のためのカートリッジ内部に組み立ててよい。
【0035】
抗−リガンドは、限定ではないが、ウイルス抗原、抗ウイルス抗体、又はウイルス抗原或いは抗ウイルス抗体、を捕捉/に結合できるあらゆる他の分子、例えば、ソマロジック(SomaLogic)社(ボウルダー、CO)のアプタマーを含む。アプタマーは単鎖オリゴヌクレオチド(通常は診断応用のためのDNA)であり、特定の配列依存性の形態を想定し(assume)、そして2つの分子の間のロックと鍵の適合に基づいて標的蛋白質に結合する。アプタマーはRINK”http://www.somalogic.com/glossary/glossary.html”\l”selproces”SELEXプロセスを用いて同定される。
【0036】
抗−リガンドは様々な官能基の間の共有相互作用又は非共有相互作用を通して固相支持体に固定化してよい。固定化技術の詳細な考察は、例えば、米国特許番号6,329,209及び6,305,418に見いだすことができ、それらの全体を引用により本明細書に編入する。
【0037】
本発明のアレイは、固相支持体材料と結合分子(即ち、抗−リガンド)の間のコーティングを任意にさらに含んでよい。このコーティングは、固相支持体上に形成されるか又は固相支持体材料上に適用されてよい。固相支持体材料は、例えば、物理的蒸気被覆(PVD)、プラズマ増強化学蒸気被覆(PECVD)、又は熱処理に基づいた薄膜技術によるコーティングにより修飾することができる。別法として、プラズマ曝露を用いることにより、固相支持体を直接活性化するか又は変化させ、そしてコーティングを創製することができる。例えば、プラズマ腐食(etch)手法を用いることにより、ポリマー表面(例えば、極性官能基、例えばヒドロキシル、カルボキシル酸、アルデヒド等を曝露するために、ポリスチレン又はポリエチレン)を酸化、そしてコーティングとして作用させることができる。
【0038】
抗−リガンドをマイクロスポッティングにより固相支持体上に被覆(deposited)させることができる。マイクロスポッティングは、固相表面上に予め作成された生化学物質を少量プリントすることにより、自動化されたマイクロアレイ生産を可能にさせる被覆技術を包含する。プリンティングは、固相支持体の表面とデリバリー機構、例えばピン又はキャピラリーの間の直接表面接触により達成される。ロボット制御システム及び複合化されたプリントヘッドは、自動化されたマイクロアレイの組み立てを可能にさせる。抗−リガンドは、圧電セラミック又はマイクロソレノイドバルブによる非接触分配(dispensing)により固相支持体上に被覆することもできる。マイクロアレイ生産のための他の技術は、フォトリトグラフとインクジェット技術を含む。マイクロアレイを組み立てる技術は、例えば、Brownらに対する米国特許番号5,807,522、Shalanらに対する米国特許番号6,110,426及びShivashankarらに対する米国特許番号6,139,831に記載されており、それらの全体を引用により本明細書に編入する。
【0039】
出願に応じて、単一マイクロアレイは数十から数百のウイルスからの抗原又は当該抗原に対する抗体を固定化してよく、そして複数のウイルス特異的抗体/抗原を各ウイルスに関して用いてよい。マイクロアレイ上のスポットは、各々、異なる種の蛋白質を表してよく、或いはマイクロアレイ上の複数のスポットは同じ種の蛋白質を表してよい。同じウイルスからの別々の抗原又は当該抗原に対する異なる別々の抗体を、別個に或いは混合物の中でスポットしてよい。当業者には知られているとおり、陽性対照及び陰性対照も各マイクロアレイに含ませる。マイクロアレイ上に被覆される抗体/抗原の濃度は、ダイナミックレンジ、アッセイ感度及び特異性に関して最適化されることになる。固相支持体上の蛋白質の固定化効率は様々な因子に依存し、蛋白質の濃度、固定化時間及びスポット後の環境(温度及び湿度等)、及び保存条件(温度及び湿度等)を含む。
【0040】
発明の一つの態様において、本発明のマイクロアレイは、少なくとも5スポット/cm2、好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000又は10,000スポット/cm2の密度を有する。
【0041】
別の態様において、複数マイクロアレイは複数サンプル中のウイルス感染の同時検出のために単一のスライド又はチップ上に組み立てられる。図1は、各サンプル中の8血清サンプルまで及び15までのウイルス感染を検出するために使用できる代表的動物ウイルス感染スライドを示す。図2は、各サンプル中の16血清サンプルまで及び15までのウイルス感染を検出するために使用できる代表的動物ウイルス感染スライドを示す。表1は、マウスサーベイランスマイクロアレイチップのためのウイルス抗原の代表的リストを示す。一般には、各ウイルス抗原とその陰性対照が2通り存在する。上記アレイは標的リガンドの不在下で標識システムと反応する陽性対照も含むはずである。上記検出スライドは任意にスライドを特定するために使用されるバーコードを含む。
【0042】
【表1】
【0043】
別の態様において、本発明のマイクロアレイは、96−ウエルマイクロタイタープレート、例えば、Corning(登録商標)96−ウエルポリスチレンHigh Bond Microplate(黒で透明の平底)の底に組み立てる。蛋白質マイクロアレイの組み立てのためのマイクロタイタープレートの所望の特徴は、イオン性基及び/又は疎水性領域を有する中から大バイオ分子(>10kD)の高親和性結合表面;及び100から2000ng/IgG/cm2の範囲、好ましくは300から600ng/IgG/cm2の範囲、そしてより好ましくは400から500ng/IgG/cm2の範囲の大きな結合能力を含む。マイクロアレイの組み立てに適したマイクロタイタープレートは、低いバックグラウンド蛍光しか供給せないべきであり、そして340nmまでの波長の読みを可能にすべきである。当該プレートは、蛍光アッセイの間にウエルからウエルへのクロストークを減じ、標準のマイクロプレートフットプリント及び寸法に適合し、そして上部と底部の両方の読み装置における使用に適するべきである。上記マイクロタイタープレートは、25から400μl、好ましくは75から200μlの作業容量(working volume)を有してよい。
【0044】
マイクロタイタープレート上のマイクロアレイの組み立ては、例えば、米国特許番号、6,803,238に記載されており、その全体は引用により本明細書に編入される。マイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイを使用することにより高処理量様式にてウイルス感染を検出することができ、そして標準のプレートに基づくELISA自動プロセス、例えばサンプル又は試薬のデリバリー、インキュベーション及び洗浄の工程に容易に適合される。
【0045】
別の態様において、本発明のマイクロアレイは、膜支持体、例えば、ニトロセルロース膜上に組み立てる。
マイクロアレイを用いたウイルス検出の方法
本発明の別の側面は、本発明のマイクロアレイを用いてウイルス感染を検出する方法に関する。一般には、当該マイクロアレイを試験サンプルとインキュベートすることにより、試験サンプル中のあらゆる標的リガンドを捕捉する。一つ又はそれより多くの標的リガンドの存在は、試験サンプルが得られた対象内の一つ又はそれより多くのウイルス感染の指標である。
【0046】
一つの態様において、標的リガンドは、抗−ウイルス抗体であり、そしていわゆる「抗原ダウン」免疫アッセイにより捕捉されたリガンドである。図3に示されるとおり、マイクロアレイ上の抗−リガンドは固定化されたウイルス抗原を含む。各アレイスポットは、固定化されたウイルス固定化又は各アレイスポット上のウイルス抗原の混合物を含んでよい。第1のインキュベーションは、試験サンプル(例えば、動物血清)中のウイルス特異的抗体がアレイ表面上に固定化されたウイルス抗原により捕捉されるのを許容する。第2のインキュベーションは、標識された二次抗体が、捕捉されたウイルス特異的抗体に結合して対応するアレイスポット上でシグナルを生じることを許容する。
【0047】
利用される検出技術に応じて、標識された標的蛋白質又は様々な標識された検出試薬(例えば、標識された抗体又は標識されたパッケージ)を使用することにより、標的蛋白質とパッケージ/抗体試薬の間の複合体の形成を検出することができる。様々な異なる標識をこれらの検出スキムにおいて使用することができる。上記蛋白質、抗体又はパッケージは、標識がパッケージ/抗体試薬と標的蛋白質の間の複合体の形成を干渉せず、そしてそのような複合体が形成されたなら検出可能なシグナルを生じることができる限りにおいて、様々な異なる種類の標識の何れかにより標識され得る。適切な標識は、限定ではないが、放射線標識、化学発光標識、クロモフォア、電子密度粒子、NMRスピンラベル、質量分光分析における検出に適したケミカルタグ、赤外線分光分析又はNMR分光分析により検出可能な作用因子(agent)、及び酵素基質又はコファクターを例えば含む。特に空間的に解析された蛋白質に関しては、燐光体イメージャー及び光化学技術を用いて放射線標識が検出され得る。
【0048】
ある(certain)方法はフルオロフォアを利用するが、なぜならば、標識された蛋白質から蛍光を検出するための様々な市販の検出器が利用可能だからである。様々な蛍光分子を標識として使用することができ、例えば、フルオレセイン及びフルオレセイン誘導体、ローダミン及びローダミン誘導体、ナフチルアミン及びナフチルアミン誘導体、ベンズアミジゾール、エチジウム、プロピジウム、アンスラサイクリン、ミスラマイシン、アクリジン、アクチノマイシン、メロシアニン、クマリン、ピレン、クリセン、スチベン、アンスラセン、ナフタレン、サリチル酸、ベンズ−2−オキサ−1−ジアゾール(ベンゾフラザンとも呼ばれる)、フルオレスカミン及びBodipy染料を含む。
【0049】
蛍光標識は安定で安価なフルオロフォア、高感度且つ環境の安全性による利益のためにマイクロアレイにおいて広く使用されてきたが、蛍光検出は高価な装置を必要とする。さらに、チップ表面上の自己蛍光が高いバックグラウンド及びノイズ比に対する低シグナルを引き起こすためマイクロアレイ技術における蛍光の応用を制限もする。新規な検出戦略、例えば、比色イメージングは、複合化されたマイクロアレイに基づくシステムに対して別の検出方法を提供する。比色検出の魅力的な特徴の一つは低いバックグラウンドである。蛍光イメージングにおいては、励起源を必要とし、そして一定量のシグナルがフルオロフォアの存在しないマイクロアレイのエリアにおいて生じる。比色イメージングにおいては、しかしながら、反応物、例えば標識酵素が存在する場合にのみ、フォトンが生じる。結果的に、非特異的放射線が顕著に減少する。さらに、比色イメージングは励起源関連の問題、例えば抗原のウオームアップ及びドリフト及び光散乱による干渉を有さない。
【0050】
比色イメージングの別の魅力的な特徴は、その低コストである(匹敵する蛍光スキャニング装置のフラクションにおけるイメージ取得及び分析コストに関するソフトウエアに付随したCCDに基づく比色スキャナー)。蛍光スキャニング技術を補うため、比色システムは、研究者が着色された標識の完全スペクトルを使用することを許容し、ホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、金銀発色剤、及び着色された反応沈殿物を生じさせる他のあらゆる標識システムの生成物を含む。
【0051】
好ましい態様において、「抗原ダウン」マイクロアレイ中の捕捉された抗−ウイルス抗体は、ビオチン化されたか又は酵素標識された二次抗体を用いて、次に、ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート(蛍光検出のため)又は酵素基質(比色検出のため)とのインキュベーションにより検出される。
【0052】
別の態様において、本発明は、その表面上に固定化されたウイルス抗原特異的抗体を含む抗体マイクロアレイを提供する。図4に示すとおり、当該マイクロアレイは、「サンドイッチ」アッセイにおいて使用することができ、マイクロアレイ上の抗体が試験サンプル中の特異的抗原(例えば、ウイルス表面抗原)を捕捉し、そして捕捉された抗原が捕捉されたウイルス抗原に特異的に結合する標識二次抗体により検出される。好ましい態様において、二次抗体は、ビオチン化されるか又は酵素標識される。ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート(蛍光検出のため)又は酵素基質(比色検出のため)との続くインキュベーションにより、検出は達成される。
【0053】
一般に、複合化されたアッセイは複数のインキュベーション工程を含み、サンプルとのインキュベーション、及び様々な試薬とのインキュベーション(例えば、一次抗体、二次抗体、リポート試薬等)を含む。繰り返しの洗浄もインキュベーション工程の間に必要である。本発明の複合化アッセイは、ほんの1回又は2回のインキュベーションしか必要としない迅速アッセイ様式にて実施してよい。例えば、抗原マイクロアレイを最初にサンプルとインキュベートし、そして次に一次抗体と二次抗体の混合物とインキュベートするか又は一次抗体、二次抗体及び染色試薬の混合物とインキュベートしてよい。蛋白質マイクロアレイをサンプル及び全ての必要な試薬の混合物に曝露することにより、検出可能な免疫複合体(例えば、捕捉された抗ウイルス抗体/抗Ig/標識複合体)の形成が単一のインキュベーション工程にて達成される。
【0054】
また別の態様において、本発明は、抗体マイクロアレイを用いた競合免疫アッセイを提供する。簡単に言えば、固定化された抗ウイルス抗体を含むマイクロアレイを標識されたウイルス抗原標準物の存在下で試験サンプルとインキュベートする(図5)。標識されたウイルス抗原が固定化された抗原特異的抗体への結合に関して試験サンプル中の未標識ウイルス抗原と競合する。そのような競合設定においては、試験サンプル中の増加した濃度の特異的ウイルス抗原が固定化抗体への標識ウイルス抗原標準物への低下した結合、即ち標識からのシグナル強度の低下を導く。
【0055】
本発明のマイクロアレイは、マニュアル、半自動及び自動様式にて処理することができる。マニュアル様式は、試薬及びサンプルのマイクロアレイへのデリバリー、サンプルインキュベーション及びマイクロアレイ洗浄を含む全てのアッセイ工程に関してのマニュアル操作を意味する。半自動様式は、サンプル及び試薬のマイクロアレイへのデリバリーに関してはマニュアル操作であるが、インキュベーション及びマイクロアレイ洗浄の工程に関しては自動であることを意味する。自動様式においては、3つの工程(サンプル/試薬デリバリー、インキュベーション及び洗浄)がコンピューター制御されるか又はキーパッド内の統合されたブレッドボードユニットにより制御され得る。例えば、抗原マイクロアレイをProteinArray Workstation(パーキンエルマーライフサイエンセズ、ボストン、MA)又はAssay 1200(登録商標)(Zyomyx,ヘイワード、CA)により処理され得る。
【0056】
CCDカメラ又はPMT又は蛍光、比色及び化学発色によるCCDラインスキャナーを含む様々な光学装置を用いて、マイクロアレイシグナルを検出し、そしてマイクロアレイイメージを取得することができる。マイクロアレイに基づくアッセイの定量は、他の手段、例えば質量分光分析及び表面プラズマ共鳴により達成することもできる。取得されたマイクロアレイイメージは、スタンドアローンイメージ分析ソフトウエアによるか又はイメージ取得と分析ソフトウエアのパッケージを用いて分析することができる。例えば、抗原マイクロアレイの定量は蛍光PMTに基づくスキャナー−ScanArray 3000(ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)又は比色CCD−に基づくスキャナー−VisionSpot(アライドバイオテック、ジャムスビル(Ijamsvile)、MD)により達成することができる。一般には、イメージ分析は、アッセイリポートのデータの獲得とプレパレーションと別のソフトウエアパッケージを含む。イメージを取得してからアッセイリポート生成するまでの全アッセイプロセスをスピードアップするため、イメージ取得、イメージ分析、及びリポート生成を含む全ての分析工程を一つのソフトウエアパッケージにより制限し及び/又は制御することができる。そのような統一された制御システムはユーザーフレンドリーな様式にてイメージ分析とアッセイリポートの生成を提供するはずである。
ビーズシステムとアッセイ方法
本発明の別の側面は、ウイルス感染の検出のためのビーズに基づく免疫アッセイの利用に関する。ビーズに基づくアッセイにおいては、分子反応が顕微鏡的なビーズの表面上で起こる。ビーズは様々な原料、例えば、ポリスチレン、物理的又は化学的に修飾されたガラス、シリコン、金属酸化物、及びカルボキシル基を含む表面を有する他の原料を作成することができる。
【0057】
標的リガンド(例えば、ウイルス抗原又は抗ウイルス抗体)は、試薬、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN−ヒドロキシスルフォサクシニミド(S−NHS)によるアミンカップリングによりカルボキシル化(COOH)ビーズ表面上に共有固定化され得る。他のアプローチは、アルデヒド又はエポキシ基を含むビーズ表面上に抗原又は抗体を固定化することを含む。抗原又は抗体は、高蛋白質結合ビーズ表面、例えば様々なポリマーでコートされた表面に非共有固定化されてもよい。
【0058】
ビーズは蛍光染料により内部をカラーコードされ、そしてビーズの表面が試験サンプル中の標的リガンドと結合できる抗リガンド(例えば、ウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体)で標識される。標的リガンドは、今度は、直接に蛍光タグにより標識されるか又は間接に蛍光タグへコンジュゲートされた抗−リガンドにより標識される。よって、発色には2つの源が存在し、一つはビーズからであり、そして他方は蛍光タグからである。別法として、ビーズは異なるサイズで内部コードされ得る。
【0059】
2つの染料並びに異なるサイズのビーズからの異なる蛍光強度のブレンドを用いることにより、数百の異なる標的リガンドまでをアッセイは測定することができる。アッセイの間、カラー/サイズコードされたビーズ、蛍光標識された抗−リガンド、及びサンプルを含む混合物を混合し、そしてビーズを一直線に並べるための精密な流体工学を用いる装置へ注入される。ビーズは、次に、レーザーを通過し、そしてそれらのカラー又はサイズを根拠に、分類され(get sorted)るか又は発色強度に関して測定され、各反応に関しての定量データへ処理される。
【0060】
サンプルが直接蛍光により標識される場合は、システムは溶液中の未結合のフルオロフォアを除去することなくビーズ上の蛍光のみを読んで定量することができる。様々なカラー又はサイズで別々にされたビーズによりアッセイは複合化することができる。サンプルを直接フルオレセインで標識した場合に、リアルタイムの測定が達成される。一般には、フルオロフォアで標識された二次抗体が未標識のサンプルには必要である。標準アッセイ工程はサンプルの抗−リガンドコートされたビーズとのインキュベーション、ビオチン又はフルオロフォア標識された二次抗体とのインキュベーション、及び蛍光シグナルの検出を含む。蛍光シグナルは、ビーズ上で発色する(developed)ことができ(ストレプトアビジン−フルオロフォアコンジュゲート)、そしてビーズ分析機により読み出される。ビーズ表面に固定化された抗−リガンドに応じて、ビーズに基づく免疫アッセイは抗原ダウンタイプ(図3)、サンドイッチタイプ(図4)、又は競合タイプ(図5)の免疫アッセイであることができる。
キット
本発明は、(1)上で記載された、マイクロアレイに基づくウイルス感染検出システム及び/又はビーズに基づくウイルス感染検出システム、及び(2)検出アッセイを実施するために必要な一つ又はそれより多い試薬を含む、ウイルス感染キットにも関する。当該試薬は、限定ではないが、標識された二次抗体、標識された抗原、酵素基質、ブロッキング剤、及び洗浄バッファーを含む。
【0061】
本明細書において記載されるとおり、本発明のマイクロアレイ及びビーズシステムは、ヒト及び動物におけるウイルス感染のために使用することができる。表1は、本発明のマイクロアレイ及びビーズシステムにより検出できるマウスウイルスの代表的なリストを提供する。当業者は、本発明のマイクロアレイ及びビーズのシステムが、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、チキンポックスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス、VZV)、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、エプスタインバールウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ロタウイルス、肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、及びインフルエンザウイルスにより引き起こされたヒトのウイルス感染の検出のために使用することができる。ウイルス感染の検出のための本発明のマイクロアレイ及びビーズのシステムを、他の実験室動物、例えば、ラット、ウサギ、フェレット及びハツカネズミ、農場の動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、チキン、アヒル、ガチョウ、ヘラジカ及びラマ、及びペット、例えば、ネコ及びイヌにおいて用いることも想像できる。例えば、ラットサイトメガロウイルスマイクロアレイは、キラムラットウイルス(KRV)、レオウイルスタイプ3(REO 3)、ラット排煙ウイルス(PVM)、センダイウイルス、唾液腺涙腺炎ウイルス(SDAV)、マウスアデノウイルス(MAD FL)、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、脳髄膜炎ウイルス(GD VII)、及びトールマンH1ウイルス(H1)により引き起こされる感染を検出するために製造されてよい。同様に、ウシサーベイランスマイクロアレイを、ウイルス感染、例えば、口蹄疫、風土性ウシ白血病(enzootic bovine leucosis)、ブルータング、風土病、シカの出血性疾患、牛疫、アルカバン病(Arkabane disease)、ウシのウイルス性下痢粘膜疾患(bovine viral diarrhea−mucosal disease)、感染性ウイルス性鼻気管炎、パラ結核炎、ブルセラ病、結核、ウシカンピロバクター、及び炭疽菌を検出するために製造してよい。
実施例
実施例1:マウスサーベイランスマイクロアレイ
抗原マイクロアレイをマウス血清中の14までのウイルス感染の同時検出のために製造した。14のウイルス抗原とそれらの陰性対照を被覆させることによりマイクロアレイを組み立てたが、両者は市販品(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)であり、図1と表1に示すとおりにレイアウトされる。ウイルス抗原は、細胞培養物又は卵培養物、並びにその培養物及び培地からの抽出物に由来した。陰性対照は培地にウイルスを接種しない以外は、同一の様式にて調製した。ニトロセルロースをコートされたスライド(シュライヒャーアンドシュエルバイオサイエンス社、キーン、NH)をチップスライドとして用いた。マウスイムノグロブリンG(IgG)を陽性対照として用いた。スポットされたチップを2時間空気乾燥し、使用準備ができた。
実施例2:マウスサーベイランスマイクロアレイの特異性
感染したマウス抗血清(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)を負荷する前に、マウスサーベイランスマイクロアレイをTris−バッファー(pH7.2)と15分間インキュベートして非結合抗原を洗い流した。マウスサーベイランスマイクロアレイを、次に、2時間室温において30ulの抗−マウスKウイルスマウス血清とTris−緩衝化塩溶液pH7.2による1:1600希釈にてインキュベートした。マイクロアレイを最初のインキュベーション後に洗浄し、ビオチン化されたヤギ抗マウス抗体と1時間インキュベートし、再び洗浄し、そして次にストレプトアビジン−Cy5コンジュゲートと30分間インキュベートした。蛍光スキャナーにより蛍光イメージを取得して、イメージ分析ソフトウエアにより分析した。図6Aに示すとおり、マウスKウイルス及び陽性対照のスポットのみがインキュベーション後にライトアップされた(lit up)。
【0062】
次のセットの実験において、感染したマウス血清1と2と呼ばれるマウス抗血清の2つのカクテルを、4つ及び6つの異なるマウス抗血清とそれぞれ混合することにより調製した。特定すると、感染したマウス血清1は、センダイウイルス、EDIM,マウスアデノウイルスFL(MAD FL)及びREO3に対する抗血清を含み;そして感染したマウス抗血清2は、PVM,センダイ、EDIM,MAD FL,REO3,及びマウスアデノウイルスK87(MAD K87)に対する抗血清を含む。15分間のTris−バッファー(pH7.2)とのインキュベーションの後に、マウスサーベイランスマイクロアレイを、感染したマウス血清1又は感染したマウス血清2の何れかと共に、2時間室温においてインキュベートすることにより、アッセイの特異性を評価した。マイクロアレイを次にTris緩衝塩溶液、pH7.2により洗浄し、1時間、室温において、マウスIgGに特異的なビオチン化されたか又はホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)標識された二次抗体と共にインキュベートし、アレイと1時間インキュベートし、次に、結合シグナルの生成のためのストレプトアビジン−Cy5又はHRPカラー基質とインキュベーションした。蛍光又はカラーイメージを蛍光又は比色スキャナーにより取得し、そしてイメージ分析ソフトウエアにより分析した。各工程に必要なサンプルと試薬の容量は、マイクロアレイあたり35μlであった。図7Aは、比色スキャナーにより検出されたマウスサーベイランスマイクロアレイの結果を示す。感染した血清中に存在する特異的抗体と相互作用したウイルススポット上にのみ、シグナルが発せられた。健康なマウスの血清とインキュベートしたアレイ上では、陽性対照よりも僅かなシグナルしかなかった。結果を図7Bにて見積もった。
【0063】
いっしょにすると、これらの結果は、マウスサーベイランスマイクロアレイが様々なウイルス感染に対しての抗血清の特異的検出を提供することを示唆する。マイクロアレイはマウス血清中の多重ウイルス感染を同時に検出するのに使用することができる。さらに、複合化されて安価なアッセイが、約3時間で、少量のサンプルと試薬だけで、潜在的に自動化されて高処理量の様式において完了した。
実施例3:蛍光及び比色マイクロアレイアッセイを用いた動物のウイルス感染の複合化検出
この実験においては、2つの同一の抗原マイクロアレイスライドを比色及び蛍光検出にそれぞれ用いた。抗原マイクロアレイを感染したマウス血清2と1時間室温においてインキュベートし、次に、HRP標識されたヤギ抗−マウス抗体(比色スライド)又はビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(蛍光スライド)と1時間室温においてインキュベーションし、そしてHRPカラー基質(比色スライド)又はストレプトアビジン−Cy5(蛍光スライド)と30分間インキュベートした。蛍光レーザースキャナー−ScanArray 3000(ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)又は比色CCDスキャナー−VisionSpot(アライドバイオテック、ジャムスビル(Ijamsvile)、MD)によりアッセイイメージを取得した。取得したイメージの定量分析は、市販のソフトウエア−GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いて実施した。各ウイルス抗原及びその陰性対照の複製されたスポット上でシグナルを平均化した。図8Aと8Bは、それぞれ、マイクロアレイの蛍光イメージと相対シグナル強度を示す。図9Aと9Bに示されるとおり、安価な比色方法が、図8Aと8Bにおいて示された蛍光検出と類似のマイクロアレイイメージングに関してのアッセイ感度と特異性を達成した。
実施例4:ビーズに基づく免疫アッセイを用いた動物ウイルス感染の複合化検出
単一アッセイにおける複数の動物ウイルス感染の同時検出のための複合化免疫アッセイがビーズに基づくアレイにより達成されたが、その際、ウイルス抗原を異なる蛍光で標識されたビーズ上に固定化し、そしてアッセイをビーズリーダーにより検出した。
【0064】
Bio−Plex Amine Coupling Kit(バイオラッド、ヘラクレス、CA)を用いて、ウイルス抗原(チャールズリバー、ウイルミントン、MA)をBio−Plex COOH(カルボキシル化された)ビーズ(ルミネックス、オースチン、TX)上に固定化し、そしてキットにおける手法はビーズ活性化及びウイルス抗原カップリングに関して従った。ビーズアッセイをルミネックス100ビーズリーダー(ルミネックス、オースチン、TX)上で作動させ、データを獲得し、そしてアプライドサイトメトリーシステム、サクラメント、CAからのソフトウエアで分析した。簡単に言えば、Bio−Plex Amine Coupling Kit(バイオラッド、ヘラクレス、CA)中のアッセイバッファーにより96ウエルのフィルタープレートを予め湿潤させた。当該バッファーをフィルタープレート真空マニフォールド(ミリポア、ビレリカ、MA)により除去した。複数のビーズ加工(working)溶液をボルテックスし、そして各ウエルにピペッティングした。非コンジュゲート抗原とバッファーを次に除去した。抗血清中の抗ウイルス抗体を3回のインキュベーションを含む手法により室温において検出したので、各インキュベーション後に1回、3回の洗浄工程を伴った。3回のインキュベーションは、(1)マウス抗血清(チャールズリバー、ウイルミントン、MA)とビーズを1時間インキュベートし;(2)ビオチン化されたヤギ抗マウスをビーズと30分間インキュベートし;そして(3)ストレプトアビジン−PEとビーズを10分間インキュベートした。ビーズを各インキュベーション後に洗浄し、Luminex 100マイクロプレートリーダーにより96ウエルフィルタープレート中で読んだ。表2は、3つのマウスウイルス感染の複合化検出のビーズアッセイの結果を要約したが、表1に記載されるとおり、P2,P3及びP6は陽性抗原を示し、そしてN2,N2及びN6は陰性抗原を示した;マウス抗血清(2,3,6)の混合物は、抗原P2,P3及びP6に特異的なマウス抗血清の混合物を意味する。表2及び図10に示したアッセイ結果は、ビーズに基づく複合化アッセイを用いた3つのマウス抗血清の混合物中の3つのマウスウイルス感染の検出の成功を示す。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例5:96ウエルマイクロプレートビーズのマイクロアレイを用いたマウスウイルス感染の複合化検出
マウスウイルス感染の複合化検出を96ウエルマイクロプレートに基づくマイクロアレイを用いて達成したが、その際、マウスウイルス抗原をウエルの底に固定化した。表1に記載されたとおり、陽性マウスウイルス抗原、P1(PBS中16ug/ml),P2(PBS中16ug/ml),及びP5(PBS中19ug/ml),及び関連の陰性対照、N1(PBS中16ug/ml),N2(PBS中16ug/ml),及びN5(PBS中19ug/ml)をポリスチレンCorning Costar 3712プレート(コーニング、アクトン、MD)の透明な底の黒いウエル上にRadius 3XVPスポッター(Radius Biosciences,ガイセルスベルグ、MD)を用いて被覆させた。アレイのデザインを図11(A)に示す。スポットされたプレートアレイを4℃に一晩保持した。
【0067】
感染したマウス抗血清(チャーチルアプライドバイオテクノロジー社、UK)を負荷する前に、プレートアレイをPBS洗浄バッファー(pH7.2,Tween−20 0.2%)と3回インキュベートした。PBS(pH7.2)中で1:100希釈にてマウス抗血清(P2とP5)をアレイと(ウエルあたり40ml)2時間インキュベートした。マウスIgGに特異的なビオチン化された二次抗体をアレイと1時間インキュベートした。結合スポットの蛍光発色のために、ストレプトアビジン−Cy5をアレイに添加した。プレート−アレイの蛍光イメージをAlphaArray7000(アルファイノテック、サンレアンドロ、CA)により取得し、そしてGenePix4.0(アクソンインスツルメント、ユニオンシティ、CA)をアレイイメージ分析のために用いた。
【0068】
図11は、2つのマウスウイルス感染(P2とP5)の同時の検出の成功を示すプレート−アレイのアッセイ結果を示す。陰性対照とP1抗原スポットに関しては蛍光シグナルがほとんど発色されず、マウス抗血清の複合化検出に関してのプレートに基づくマイクロアレイのアッセイ特異性を証明する。
【0069】
上記の記載は本発明の現在好ましい態様を詳細に説明する。実施においてそれらの多数の修飾とバリエーションがこれらの記載の理解の上で当業者には発生すると予測される。それらの修飾とバリエーションは添付された特許請求の範囲内に包含されると信じられる。
この出願において引用された文書の全てはそれら全体を引用により編入する。さらに、データベースに引用された全ての配列と開示された全ての文献はそれらの全体を編入する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、スライドあたり8つのサブアレイとバーコードによる動物サーベイランスのスライドの模式的デザインである。黒いスポットと白いスポットは15のウイルス抗原を示し(P1−P15,黒いスポット)、そしてそれら各々の陰性対照(N1−N15,白いスポット)を2通りにて示す。網かけのスポットは陽性対照(C1)を2通りに異なる濃度において示す。その現在の設定において、各スライドは8つまでの血清サンプルと15までのウイルスを各サンプル中で検出するために用いることができる。バーコードはアレイスライドを識別するのに使用することができる。表1は、マウスサーベイランススライドに関しての陽性ウイルス抗原の代表的リストを提供する。
【図2】図2は、スライドあたり16のサブアレイと動物サーベイランスチップの模式的デザインである。図1と同様に、黒いスポットと白いスポットは15のウイルス抗原を示し(P1−P15,黒いスポット)、そしてそれら各々の陰性対照(N1−N15,白いスポット)を2通りにて示す。網かけのスポットは陽性対照(C1)を2通りに異なる濃度において示す。この設定において、各スライドは16までの血清サンプルと15までのウイルスを各サンプル中で検出するために用いることができる。
【図3】図3は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた「抗原−ダウン」免疫アッセイの模式図である。
【図4】図4は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた「サンドイッチ」免疫アッセイの模式図である。
【図5】図5は、蛋白質マイクロアレイ又はマイクロビーズを用いた競合免疫アッセイの模式図である。
【図6A】図6A及び6Bは、図1のマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの特異性を証明する。図6Aは、マウスKウイルスに関する陽性シグナルによるサブアレイのイメージである。当該サブアレイは図1及び表1に示されたウイルス抗原レイアウトを有し、位置P15におけるマウスKウイルスのウイルス抗原が位置N15における陽性対照に相当する。当該サブアレイをマウスKウイルスに対する抗体を含むマウス血清サンプルとインキュベートした。
【図6B】図6A及び6Bは、図1のマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの特異性を証明する。図6Bは、図6AのマウスKウイルスのイメージ分析を示す。P1とN1は表1の中のウイルス抗原1とその陰性対照を示し、そして別の抗原に関するものなどである。
【図7A】図7A及び7Bは、比色スキャナーによるマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの複合化検出を示す。図7Aは、別の血清と対照サンプルに暴露されたマウスサーベイランスマイクロアレイのイメージを示す。当該イメージは、SpotWareスキャナー(TeleChem International,Sunnyvale,CA)を用いて取得された。
【図7B】図7A及び7Bは、比色スキャナーによるマウスサーベイランスマイクロアレイスライドの複合化検出を示す。図7Bは、図7A中のイメージの定量分析であり、市販のソフトウエア−GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いた。各ウイルス感染の比色シグナルを2通りのスポットで平均した。
【図8A】図8A及び8Bは、蛍光レーザースキャナー(ScanArray 3000,ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)によるマウスサーベイランスマイクロアレイの複合化検出を示す。図8Aは、異なるマウス血清及び対照サンプルへ暴露されたマウスサーベイランスマイクロアレイのイメージを示す。当該マイクロアレイは陽性対照以外図1に示すとおりにデザインされた。
【図8B】図8A及び8Bは、蛍光レーザースキャナー(ScanArray 3000,ジェネラルスキャニング、ウオータータウン、MA)によるマウスサーベイランスマイクロアレイの複合化検出を示す。図8Bは、図8Aのマイクロアレイの定量分析であり、GenePix Pro4.0(Axon Instruments,ユニオンシティー、CA)を用いた。
【図9A】図9A及び9Bは、マウスサーベイランスマイクロアレイを用いたウイルス感染の比色検出と蛍光検出の間の比較を示す。2つの同一のマイクロアレイスライドをそれそれ同じマウス血清中で抗ウイルス抗体の比色検出と蛍光検出のために使用した。シグナルは各ウイルス抗原とその陰性対照の2通りのスポットにて平均した。図9Aは、PVMウイルス抗原のスポットに対して平均化された陽性シグナルを示す(P3)。
【図9B】図9A及び9Bは、マウスサーベイランスマイクロアレイを用いたウイルス感染の比色検出と蛍光検出の間の比較を示す。2つの同一のマイクロアレイスライドをそれそれ同じマウス血清中で抗ウイルス抗体の比色検出と蛍光検出のために使用した。シグナルは各ウイルス抗原とその陰性対照の2通りのスポットにて平均した。図9Bは、PVMウイルス抗原の陰性対照に対して平均化されるシグナルを示す(N3)。
【図10】図10は、ビーズに基づくアッセイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。Luminex 100ビーズリーダーをデータの取得と分析のために使用した。マウスウイルス抗原と陰性対照を異なる比色ビーズに固定化した(Luminex,オースチン、TX)。マウス抗血清をビーズとインキュベートし、次に、ビオチン化されたヤギ抗−マウス、及びストレプトアビジン−PEコンジュゲートとインキュベートした。
【図11A】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Aは、ウエル中での4x4サブアレイデザインを示す。P1,P2,P5,N1,N2,N5を表1に記載する。PBSとPCはそれぞれ陰性対照と陽性対照である。
【図11B】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Bは、異なるアッセイ条件下でのプレート−アレイイメージを示す:1−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(1.0ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション;2−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(0.1ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション;3−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(10ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(10ug/ml)とのインキュベーション;4−抗血清とのインキュベーション、続くビオチン化ヤギ抗−マウス抗体(1.0ug/ml)とストレプトアビジン−Cy5(1.0ug/ml)とのインキュベーション。
【図11C】図11A−11Cは、96−ウエルのマイクロタイタープレートに基づくマイクロアレイによるマウス抗血清の複合化検出を示す。図11Cは、蛍光強度に関するアッセイ結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又はそれより多い対象(subject)からの複数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の標的リガンドを捕捉することができる多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに生物学的サンプルを接触させ、そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象の中のウイルス感染の指標であり、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムはである、
方法。
【請求項2】
蛋白質マイクロアレイが、チップに基づくマイクロアレイであるかマイクロタイターに基づくマイクロアレイである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多数のサブアレイが多数のウイルス抗原を含む抗原アレイであり、そして標的リガンドが多数のウイルス抗原に特異的に結合することができる抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一又はそれより多い対象がヒト対象である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
一又はそれより多い対象がペット、実験室動物又は農場の動物である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
一又はそれより多い対象がマウスであり、そして多数のウイルス抗原がMHV,MVM,PVM,TMEV,EDIM,MSGV,LCM,センダイウイルス、ポリオーマウイルス、エクストロメリアウイルス(Extromelia virus)、マウス単純ヘルペスウイルス、及びマウスアデノウイルスからの抗原を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
多数のサブアレイが抗体アレイであり、そして標的リガンドがウイルス抗原である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
蛋白質マイクロアレイシステムがバーコードを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合が比色検出により検出される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
一又はそれより多い対象からの多数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;
インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる多数のサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出するが、その際、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
方法。
【請求項12】
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
一又はそれより多い対象からの多数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の生物学的サンプルを多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに接触させるが、各生物学的サンプルを多数の標識された標的リガンド標準物の存在下でサブアレイシステムと接触させ、標識された標的リガンド標準物はサブアレイへの結合に関して生物学的サンプル中の多数の標的リガンドと競合し;そして
標識された標的リガンド標準物のサブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプル中の標的リガンドの存在を決定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含む、
方法。
【請求項14】
生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
対象内のウイルス感染を検出する方法であって、
多数の標的リガンドを捕捉することができる多数の抗−リガンドを含む、膜に基づくマイクロアレイに、対象からの生物学的サンプルを接触させ;そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに、膜に基づくマイクロアレイを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
方法。
【請求項16】
対象内のウイルス感染を検出する方法であって、当該方法は、
対象からの生物学的サンプルを多数のマイクロビーズ種に接触させるが、マイクロビーズ各種(each species)は生物学的サンプル中の標的リガンドを捕捉できる抗−リガンドによりコートされており;
標的リガンドを標識するが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり;そして
標的リガンドとマイクロビーズの結合を測定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドは多数のマイクロビーズと接触させる前か又は後に標識し、そして標識リガンドのマイクロビーズへの結合がウイルス感染の指標である、
方法。
【請求項17】
対象内のウイルス感染の検出のためのマイクロアレイシステムであって、マイクロアレイシステムは固相支持体上に組み立てられた多数のサブアレイを含み、各サブアレイは上記固相支持体に固定化された多数の抗−リガンドを含み、但し、各抗−リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである標的リガンドに特異的に結合できる、
マイクロアレイシステム。
【請求項18】
多数の抗−リガンドが共有結合を通して固相支持体に固定化されている、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項19】
多数の抗−リガンドが非共有結合を通して固相支持体に固定化されている、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項20】
固相支持体がスライドの形態である、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項21】
固相支持体がマイクロタイタープレートであり、そして各サブアレイがウエルの底に位置する、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項22】
対象内のウイルス感染を検出するためのマイクロビーズシステムであって、
多数のマイクロビーズ種を含むが、マイクロビーズの各種は生物学的サンプルの中の標的リガンドを捕捉することができる抗−リガンドによりコートされており、但し、標的リガンドがウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
マイクロビーズシステム。
【請求項23】
対象内のウイルス感染を検出するためのキットであって、当該キットは、
請求項17記載のマイクロアレイシステム;及び
標的リガンドに結合することができる標識試薬
を含むキット。
【請求項24】
標識試薬が検出可能なタグにコンジュゲートされた抗−リガンドを含む、請求項23記載のキット。
【請求項25】
対象内のウイルス感染を検出するためのキットであって、当該キットは、
請求項22記載のマイクロビーズシステム;及び
標的リガンドに結合することができる標識試薬
を含むキット。
【請求項26】
非ヒト動物においてウイルス感染を検出するための方法であって、上記方法は、
非ヒト動物からの生物学的サンプルを多数の標的リガンドを捕捉することができる少なくとも一つのサブアレイを含むマイクロアレイシステムに接触させ、そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、非ヒト動物の中のウイルス感染の指標であり、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出が可能である、
方法。
【請求項27】
非ヒト動物中のウイルス感染を検出するための方法であって、当該方法は、
非ヒト動物からの生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;
インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる少なくとも一つのサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出するが、その際、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出が可能である、
方法。
【請求項28】
非ヒト動物中のウイルス感染を検出するための方法であって、当該方法は、
非ヒト動物中からの生物学的サンプルを、標識された標的リガンド標準物の存在下でマイクロアレイシステム中のサブアレイと接触させるが、標識された標的リガンド標準物はサブアレイへの結合に関して生物学的サンプル中の多数の標的リガンドと競合し;そして
標識された標的リガンド標準物のサブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプル中の標的リガンドの存在を決定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含み、そし標的リガンドがウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体と競合する、
方法。
【請求項1】
一又はそれより多い対象(subject)からの複数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の標的リガンドを捕捉することができる多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに生物学的サンプルを接触させ、そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象の中のウイルス感染の指標であり、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムはである、
方法。
【請求項2】
蛋白質マイクロアレイが、チップに基づくマイクロアレイであるかマイクロタイターに基づくマイクロアレイである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多数のサブアレイが多数のウイルス抗原を含む抗原アレイであり、そして標的リガンドが多数のウイルス抗原に特異的に結合することができる抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一又はそれより多い対象がヒト対象である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
一又はそれより多い対象がペット、実験室動物又は農場の動物である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
一又はそれより多い対象がマウスであり、そして多数のウイルス抗原がMHV,MVM,PVM,TMEV,EDIM,MSGV,LCM,センダイウイルス、ポリオーマウイルス、エクストロメリアウイルス(Extromelia virus)、マウス単純ヘルペスウイルス、及びマウスアデノウイルスからの抗原を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
多数のサブアレイが抗体アレイであり、そして標的リガンドがウイルス抗原である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
蛋白質マイクロアレイシステムがバーコードを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
標識された抗リガンドの捕捉された標的リガンドへの結合が比色検出により検出される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
一又はそれより多い対象からの多数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;
インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる多数のサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出するが、その際、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
方法。
【請求項12】
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
一又はそれより多い対象からの多数の生物学的サンプルの中の多重ウイルス感染を同時に検出するための方法であって、当該方法は、
多数の生物学的サンプルを多数のサブアレイを含むマイクロアレイシステムに接触させるが、各生物学的サンプルを多数の標識された標的リガンド標準物の存在下でサブアレイシステムと接触させ、標識された標的リガンド標準物はサブアレイへの結合に関して生物学的サンプル中の多数の標的リガンドと競合し;そして
標識された標的リガンド標準物のサブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプル中の標的リガンドの存在を決定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含む、
方法。
【請求項14】
生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、蛍光検出、化学発光検出、又は比色検出により検出される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
対象内のウイルス感染を検出する方法であって、
多数の標的リガンドを捕捉することができる多数の抗−リガンドを含む、膜に基づくマイクロアレイに、対象からの生物学的サンプルを接触させ;そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに、膜に基づくマイクロアレイを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
方法。
【請求項16】
対象内のウイルス感染を検出する方法であって、当該方法は、
対象からの生物学的サンプルを多数のマイクロビーズ種に接触させるが、マイクロビーズ各種(each species)は生物学的サンプル中の標的リガンドを捕捉できる抗−リガンドによりコートされており;
標的リガンドを標識するが、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり;そして
標的リガンドとマイクロビーズの結合を測定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドは多数のマイクロビーズと接触させる前か又は後に標識し、そして標識リガンドのマイクロビーズへの結合がウイルス感染の指標である、
方法。
【請求項17】
対象内のウイルス感染の検出のためのマイクロアレイシステムであって、マイクロアレイシステムは固相支持体上に組み立てられた多数のサブアレイを含み、各サブアレイは上記固相支持体に固定化された多数の抗−リガンドを含み、但し、各抗−リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである標的リガンドに特異的に結合できる、
マイクロアレイシステム。
【請求項18】
多数の抗−リガンドが共有結合を通して固相支持体に固定化されている、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項19】
多数の抗−リガンドが非共有結合を通して固相支持体に固定化されている、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項20】
固相支持体がスライドの形態である、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項21】
固相支持体がマイクロタイタープレートであり、そして各サブアレイがウエルの底に位置する、請求項17記載のマイクロアレイシステム。
【請求項22】
対象内のウイルス感染を検出するためのマイクロビーズシステムであって、
多数のマイクロビーズ種を含むが、マイクロビーズの各種は生物学的サンプルの中の標的リガンドを捕捉することができる抗−リガンドによりコートされており、但し、標的リガンドがウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかである、
マイクロビーズシステム。
【請求項23】
対象内のウイルス感染を検出するためのキットであって、当該キットは、
請求項17記載のマイクロアレイシステム;及び
標的リガンドに結合することができる標識試薬
を含むキット。
【請求項24】
標識試薬が検出可能なタグにコンジュゲートされた抗−リガンドを含む、請求項23記載のキット。
【請求項25】
対象内のウイルス感染を検出するためのキットであって、当該キットは、
請求項22記載のマイクロビーズシステム;及び
標的リガンドに結合することができる標識試薬
を含むキット。
【請求項26】
非ヒト動物においてウイルス感染を検出するための方法であって、上記方法は、
非ヒト動物からの生物学的サンプルを多数の標的リガンドを捕捉することができる少なくとも一つのサブアレイを含むマイクロアレイシステムに接触させ、そして
捕捉された標的リガンドに特異的に結合する標識された抗−リガンドに蛋白質マイクロアレイシステムを接触させることにより、捕捉された標的リガンドを検出するが、生物学的サンプル中の標的リガンドの存在が、非ヒト動物の中のウイルス感染の指標であり、
但し、標的リガンドはウイルス抗原又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出が可能である、
方法。
【請求項27】
非ヒト動物中のウイルス感染を検出するための方法であって、当該方法は、
非ヒト動物からの生物学的サンプルを、標的リガンドとリガンド/抗−リガンド複合体を形成することができる標識された抗−リガンドと共にインキュベートし;
インキュベートされた生物学的サンプルを、リガンド/抗−リガンド複合体を捕捉することができる少なくとも一つのサブアレイを含む蛋白質マイクロアレイシステムと接触させ;そして
捕捉されたリガンド/抗−リガンド複合体を検出するが、その際、生物学的サンプルの中の標的リガンドの存在が、生物学的サンプルが得られた対象内のウイルス感染の指標である
工程を含み、
但し、標的リガンドはウイルス抗原であるか又は抗−ウイルス抗体の何れかであり、そしてマイクロアレイシステムは生物学的サンプルの中の多数の標的リガンドの同時検出が可能である、
方法。
【請求項28】
非ヒト動物中のウイルス感染を検出するための方法であって、当該方法は、
非ヒト動物中からの生物学的サンプルを、標識された標的リガンド標準物の存在下でマイクロアレイシステム中のサブアレイと接触させるが、標識された標的リガンド標準物はサブアレイへの結合に関して生物学的サンプル中の多数の標的リガンドと競合し;そして
標識された標的リガンド標準物のサブアレイへの結合のレベルに基づいて生物学的サンプル中の標的リガンドの存在を決定する
工程を含むが、
但し、標的リガンドはウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体を含み、そし標的リガンドがウイルス抗原及び抗−ウイルス抗体と競合する、
方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2007−532905(P2007−532905A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508405(P2007−508405)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012019
【国際公開番号】WO2005/118885
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505174552)アライド・バイオテック・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012019
【国際公開番号】WO2005/118885
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505174552)アライド・バイオテック・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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