説明

ウェハーレンズの製造方法、ウェハーレンズ、及びレンズユニット

【課題】ウェハーレンズやその積層体を個片化する際における破損の発生を抑制できるウェハーレンズの製造方法を提供すること。
【解決手段】基板101とスペーサー部106の熱膨張係数の差を55ppm/℃以下と小さくするので、積層構造体1000を構成するウェハーレンズ100,200又は積層レンズアレイ500の製造や切断時に、基板101とスペーサー部106との間に膨張収縮差が生じにくくなり、これらの間に比較的大きな応力が発生しにくくなって、ウェハーレンズ100,200を構成するレンズ部であるレンズ要素11,12等が剥離したり割れたりすることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断によって個片化されるウェハーレンズの製造方法等に関し、特に撮像レンズ等に用いるためのウェハーレンズの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハーレンズの製造方法として、基板(例えば、ガラス平板)と成形型との間に硬化性樹脂を介在させ、この硬化性樹脂を硬化させて、レンズ部を成形するものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなウェハーレンズからレンズユニットを得る方法として、複数のウェハーレンズを準備し、これらウェハーレンズの間にスペーサーをはさんだり、ウェハーレンズのレンズ部と同時に成形された突出部を突き当てたりすることにより、ウェハーレンズを適当な間隔で積み重ねて接着し、接着によって得られた積層体の平板部をカットすることによって、多数のレンズユニットに個片化する方法が開発されている。
【0003】
しかしながら、ウェハーレンズやその積層体を個片化する際にレンズ部やレンズユニットの一部が剥離したり割れたりすることがあった。このような破損は、切断時にウェハーレンズや積層体の切断箇所に応力が付与され或いは切断箇所が加熱されるためと考えられるが、レンズユニット等を作製する上で歩留まりを下げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4420141号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ウェハーレンズやその積層体を個片化する際における破損の発生を抑制できるウェハーレンズの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、上記のような製造方法によって得られるウェハーレンズ、及びレンズユニットを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る第1のウェハーレンズの製造方法は、基板と、基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部と、レンズ部の周囲に形成される支持部とを備えるウェハーレンズの製造方法であって、基板と支持部との熱膨張係数の差が55ppm/℃以下である。つまり、基板の熱膨張係数と支持部の熱膨張係数とは、等しく或いは近くなっている。
【0008】
上記ウェハーレンズの製造方法によれば、基板と支持部との熱膨張係数の差を55ppm/℃以下とするので、ウェハーレンズの製造や切断時に基板と支持部との間に膨張収縮差が生じにくくなり、これらの間に比較的大きな応力が発生しにくくなって、ウェハーレンズを構成するレンズ部等が剥離したり割れたりすることを防止できる。
【0009】
本発明の具体的な態様又は側面では、上記第1のウェハーレンズの製造方法において、支持部が、レンズ部と樹脂層で一体に形成されている。この場合、樹脂層を利用してウェハーレンズを他のウェハーレンズや撮像素子にアライメントして固定することができるが、このような樹脂層が破損の原因となることを防止できる。
【0010】
本発明の別の具体的な側面では、支持部が、複数のレンズ部よりも突起して外部に隣接する部材との間隔を光軸方向に調整する突起部である。
【0011】
本発明のさらに別の具体的な側面では、支持部が、複数のレンズ部よりも相対的に肉厚に形成された平坦部である。
【0012】
本発明のさらに別の具体的な側面では、支持部が、複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有するスペーサー部である。この場合、スペーサー部を利用してウェハーレンズを他のウェハーレンズや撮像素子にアライメントして固定することができるが、このようなスペーサー部が破損の原因となることを防止できる。
【0013】
本発明に係る第2のウェハーレンズの製造方法は、第1基板と、第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、第2基板と、第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、を備え、第1樹脂層と第2樹脂層とを接合することによって、第1レンズ群と第1レンズ群とを連結し、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下である。
【0014】
上記ウェハーレンズの製造方法によれば、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層との熱膨張係数の最大差を55ppm/℃以下とするので、ウェハーレンズの製造や切断時に第1基板、第1樹脂層、第2基板、第2樹脂層等の間に比較的大きな応力が発生しにくくなり、ウェハーレンズを構成する各部の損傷を防止できる。
【0015】
本発明の別の具体的な側面では、上記第2のウェハーレンズの製造方法において、第1樹脂層のうち複数のレンズ部の外側と、第2樹脂層のうち複数のレンズ部の外側とを接合することによって、第1レンズ群と第2レンズ群とを連結する。
【0016】
本発明のさらに別の具体的な側面では、第1樹脂層のうち複数のレンズ部と、第2樹脂層のうち複数のレンズ部とを接合することによって、第1レンズ群と第1レンズ群とを連結する。
【0017】
本発明に係る第3のウェハーレンズの製造方法は、第1基板と、第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、第2基板と、第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、第2レンズ群に対して第1レンズ群の反対側に接合され、複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有するスペーサー部と、を備えるウェハーレンズの製造方法であって、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層と、スペーサー部との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下である。
【0018】
本発明に係る第4のウェハーレンズの製造方法は、第1基板と、第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、第2基板と、第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、第2レンズ群に対して第1レンズ群の反対側に接合され、複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有する第1スペーサー部と、第1レンズ群と第1レンズ群とを連結するように第1レンズ群と第1レンズ群とに接合され、複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有する第2スペーサー部と、を備えるウェハーレンズの製造方法であって、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層と、第1スペーサー部と、第2スペーサー部との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下である。
【0019】
上記第3及び第4のウェハーレンズの製造方法によれば、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層と、第1スペーサー部と、第2スペーサー部との熱膨張係数の最大差を55ppm/℃以下とするので、ウェハーレンズの製造や切断時に第1基板、第1樹脂層、第2基板、第2樹脂層、スペーサー部等の間に比較的大きな応力が発生しにくくなり、ウェハーレンズを構成する各部の損傷を防止できる。
【0020】
本発明の別の具体的な側面では、上記第1のウェハーレンズの製造方法において、基板と、支持部との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下である。この場合、ウェハーレンズの切断時に比較的大きな応力が付与されても、局所的な応力集中が起こりにくくなり、ウェハーレンズの破損が抑えられる。また、ウェハーレンズに局所な応力が内在しにくくなり、応力の開放によるウェハーレンズを破損を抑制できる。
【0021】
本発明の別の具体的な側面では、上記第2〜4ウェハーレンズの製造方法において、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下である。
【0022】
本発明のさらに別の具体的な側面では、上記第3、4のウェハーレンズの製造方法において、第1基板と、第1樹脂層と、第2基板と、第2樹脂層と、スペーサーの曲げ弾性率の最大差が15GPa以下である。
【0023】
本発明のさらに別の具体的な側面では、上記第1〜4ウェハーレンズの製造方法において、熱膨張係数の差が、120℃から140℃までの温度範囲の平均値に基づいて決定される。
【0024】
本発明に係るウェハーレンズは、基板と、基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部と、複数のレンズ部の周囲に形成される支持部とを備えるウェハーレンズであって、基板と支持部との熱膨張係数の差が55ppm/℃以下である。
【0025】
上記ウェハーレンズでは、基板と支持部との熱膨張係数の差が55ppm/℃以下であるので、ウェハーレンズの製造や切断時に基板、支持部等の間に比較的大きな応力が発生しにくくなり、ウェハーレンズを構成する各部の損傷を防止できる。
【0026】
本発明に係るレンズユニットウェハーレンズは、上記ウェハーレンズの製造方法を用いて製造される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(A)は、第1実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の平面図であり、(B)は、(A)に示す積層構造体のAA矢視断面図である。
【図2】積層構造体を個片化したレンズユニットの断面図である。
【図3】ウェハーレンズを含む積層構造体の製造工程について説明するフローチャートである。
【図4】(A)〜(E)は、ウェハーレンズの製造工程を説明するための図である。
【図5】(A)〜(C)は、ウェハーレンズの製造工程を説明するための図である。
【図6】第2実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の側方断面図である。
【図7】第3実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の側方断面図である。
【図8】第4実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の側方断面図である。
【図9】第5実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の側方断面図である。
【図10】第6実施形態のウェハーレンズを含む積層構造体の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
【0029】
A)ウェハーレンズ
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るウェハーレンズについて説明する。
【0030】
図1(A)及び1(B)に示すように、積層構造体1000は、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とをZ軸方向に積層したものである。積層構造体1000をダイシングによって切り出すことにより、一対の複合レンズ10と撮像素子330とを積層した撮像装置700(図2参照)を得ることができる。ここで、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とは、それぞれXY面に平行に延びており、積層構造体1000全体としても、XY面に平行に延びている。このうち、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とを積層したものは、本明細書において便宜上積層レンズアレイ500と呼ぶが、広義のウェハ−レンズに含まれる。
【0031】
積層構造体1000のうち第1ウェハーレンズ100は、スペーサー付ウェハーレンズであり、第1レンズ群とも呼ぶ。第1ウェハーレンズ(第1レンズ群)100は、例えば円盤状であり、基板101と、第1樹脂層102と、第2樹脂層103と、IRカットフィルター層104と、絞り105と、スペーサー部106とを有する。ここで、第1及び第2樹脂層102,103は、軸AXに垂直なXY面内での並進及び軸AXのまわりの回転に関して相互にアライメントされて基板101に接合されている。第1ウェハーレンズ100には、これを構成する光学素子として、多数の複合レンズ10が形成されXY面に沿って2次的に配列されている。複合レンズ10は、光学面を形成するレンズ本体10aと、レンズ本体10aの周辺に存在するフランジ部10bと、フランジ部10bに接続されるスペーサー部材10cとを有する。なお、フランジ部10bは、樹脂層102,103の一部だけでなく基板101の一部を含むものとなっている。
【0032】
第1ウェハーレンズ100のうち基板101は、第1ウェハーレンズ100の全体に亘って延びる平板であり、例えばガラスで形成されている。基板101の厚さは、基本的には光学的仕様によって決定されるが、第1ウェハーレンズ100の離型時において破損しない程度の厚さとなっている。基板101は、複合レンズ10のレンズ本体10aの中央部とフランジ部10bとを構成する。なお、基板101の材料としては、ガラスのほか、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができるが、特にガラスが好ましい。基板101の具体的な厚みは、用途にもよるが、例えば0.2mm以上、1.5mm以下とされる。
【0033】
第1樹脂層102は、樹脂製であり、基板101の一方の面101a上に形成されている。第1樹脂層102は、複数の第1レンズ要素11を有する。各第1レンズ要素11は、複合レンズ10のレンズ本体10aの上部を構成する。各第1レンズ要素11は、基板101上のXY面内で2次元的に配列されている。第1レンズ要素11は、例えば凸形状の非球面型のレンズ部であり、図2に示すように第1光学面11aと第1フランジ面11bとを有する。第1光学面11aと第1フランジ面11bとは、転写によって一括成形される第1成形面102aとなっている。第1樹脂層102の切断位置における厚みは、例えば0.01mm以上、0.3mm以下とされる。
【0034】
第1樹脂層102は、光硬化性樹脂で形成されている。光硬化性樹脂には、光硬化性樹脂の重合を開始させる光重合開始剤が含まれている。光硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂等を使用することができる。アクリル樹脂、アリルエステル樹脂、ビニル系樹脂を使用する場合、光重合開始剤のラジカル重合により反応硬化させることができ、エポキシ系樹脂を使用する場合、光重合開始剤のカチオン重合により反応硬化させることができる。
【0035】
第2樹脂層103は、第1樹脂層102と同様に、樹脂製であり、基板101の他方の面101b上に形成されている。第2樹脂層103は、複数の第2レンズ要素12を有する。各第2レンズ要素12は、互いに分離した状態で独立しており、複合レンズ10のレンズ本体10aの下部を構成する。各第2レンズ要素12は、基板101上のXY面内で2次元的に配列している。各第2レンズ要素12の位置は、基板101の反対側の各第1レンズ要素11の位置に対応している。第2レンズ要素12は、例えば凹形状の非球面型のレンズ部であり、図2に示すように第2光学面12aと第2フランジ面12bとを有する。第2光学面12aと第2フランジ面12bとは、転写によって一括成形される第2成形面103aとなっている。第1樹脂層102の切断位置における厚みは、例えば0.01mm以上、0.3mm以下とされる。
【0036】
第2樹脂層103に用いられる光硬化性樹脂は、第1樹脂層102の光硬化性樹脂と同様のものである。ただし、両樹脂層102,103を同一の光硬化性樹脂で形成する必要はなく、別の光硬化性樹脂で形成することができる。
【0037】
IRカットフィルター層104は、赤外線を反射し可視光を透過させる。IRカットフィルター層104は、基板101上の全面に略均一な厚さ及び密度に形成されている。つまり、IRカットフィルター層104は、基板101と第1樹脂層102との間に、これらを分割するように設けられている。IRカットフィルター層104は、例えば干渉フィルターであり、高屈折材料として例えばTa、TiO等を、低屈折材料として例えばSiO等を交互に積層させて形成されている。IRカットフィルター層104は、例えば真空蒸着、スパッタリング等によって形成する。
【0038】
絞り105は、基板101と第1樹脂層102との間、及び基板101と第2樹脂層103との間に設けられている。絞り105は、図2に示すように絞り部材である絞り本体105aと、開口105bとを有する。絞り本体105aは、基板101の少なくともいずれか一方の面101a,101bのレンズ本体10aを除いた領域の一部に形成されている。絞り本体105aは、レンズ本体10aに干渉しないように配置されている。開口105bは、略円形であり、レンズ本体10aに対応する位置に形成されている。絞り本体105aは、遮光性の金属膜、レジスト、シリコン成膜物、カーボン成膜物等で形成されている。なお、絞り本体105aは、基板101と第1樹脂層102との間及び基板101と第2樹脂層103との間のいずれか一方に設けるのみでもよい。
【0039】
スペーサー部106は、支持部として機能するものである。スペーサー部(支持部)106は、ガラス、セラミックス、樹脂等からなる平板状の部材であって複合レンズ10に対応する配列で孔が形成されている。スペーサー部106は、ダイシングによって複数のスペーサー部材10cに分割される。各スペーサー部材10cは、筒状の支持体6aと断面円形の開口6bとを有する。開口6bは、レンズ本体10aの光軸OAを通すように光軸OAに沿って延びている。支持体6aは、レンズ本体10aを避けてレンズ本体10aの周囲のフランジ部10bに固定されている。この際、支持体6aの根元側(図面上側)の端面106aは、図面下側の第2フランジ面12bに接着されている。なお、スペーサー部106やスペーサー部材10cは、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200との間隔を調整するための部材であり、撮像装置700を構成する2つの複合レンズ10,10間の距離を調整する役割を有する。このため、支持体6aの先端側(図面下側)の端面106bは、両ウェハーレンズ100,200を貼り合わせる段階で、第2ウェハーレンズ200を構成する複合レンズ10のうち図面上側の第1フランジ面11bに接着される。
【0040】
スペーサー部106の厚みは、レンズ要素11,12間、或いはレンズ要素12と撮像素子330との間隔を適切に保つような値とする。スペーサー部106の具体的な厚みは、レンズ要素11,12の光学的特性、撮像素子の性能、撮像用レンズとして求められる機能や用途などにもよるが、概ね0.1mm以上0.8mm以下が好ましく、0.2mm以上、0.6mm以下が更に好ましい。0.1mm以上の場合、取り扱いが容易で、また、応力緩和性が高く、剥離や割れといった故障が生じにくい。また、0.8mm以下であると、透過率が高く好ましい。スペーサー部106の透過率については、ウェハーレンズとスペーサーを光硬化型の接着剤を用いて接合する際にスペーサー部106を通して接着剤に光を照射して硬化させることから、スペーサー部106の硬化光の波長域における光透過率が高いことが重要である。例えば波長350nmの光の透過率が30%以上であれば、第1ウェハーレンズ100の本体との接合時にUV硬化が速く進み好ましい。更に好ましくは、50%以上である。
【0041】
スペーサー部106の具体的な材料は、軟質ガラス、樹脂、有機無機ハイブリッド材料とうであり、特に限定されないが、耐熱性の有る樹脂、または、耐熱性の有る有機無機ハイブリッド材料が良い。有機無機ハイブリッド材料は、耐熱性の有るガラス繊維強化樹脂、フィラー強化樹脂、有機−シリカハイブリッド等が良い。特に有機シリカハイブリッドが良く、中でも、エポキシ樹脂−シリカハイブリッドおよびアクリル−シリカハイブリッドは、レンズ樹脂部との接着性も良好で好ましい。
【0042】
第2ウェハーレンズ200は、スペーサー付ウェハーレンズであり、第2レンズ群とも呼ぶ。第2ウェハーレンズ(第2レンズ群)200は、第1ウェハーレンズ100と同様に、例えば円盤状であり、基板101と、第1樹脂層102と、第2樹脂層103と、IRカットフィルター層104と、絞り105と、スペーサー部106とを有する。第2ウェハーレンズ200の構成は、IRカットフィルター層104の有無を除いて第1ウェハーレンズ100の構成と略同様である。なお、第2ウェハーレンズ200の場合、スペーサー部106やスペーサー部材10cは、第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300との間隔を調整するための部材であり、先端側の端面106bは、第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とを貼り合わせる段階で、撮像素子アレイ300の光路外領域の適所に接着される。
【0043】
B)材料の熱膨張係数
以上の第1ウェハーレンズ100は、第2ウェハーレンズ200等ともにダイシングによって切断されるが、この際、第1及び第2樹脂層102,103が剥離等したり、基板101やスペーサー部106が割れたりすることを防止する必要がある。このため、第1ウェハーレンズ100の材料の組み合わせを適宜選択して、基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下となるようにしている。これにより、ダイシング時に第1及び第2樹脂層102,103が加熱されても、各部において膨張量の差が生じにくくなり、意図しない応力の発生を回避できる。ここで、熱膨張係数は、第1ウェハーレンズ100が処理される温度環境を考慮し、例えば室温から160℃までの温度範囲で、基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、スペーサー部106の熱膨張係数との相対的な大小を比較する。具体的には、例えば室温から160℃までにおける基板101の平均熱膨張係数と、室温から160℃までにおける第1及び第2樹脂層102,103の平均熱膨張係数と、室温から160℃までにおけるスペーサー部106の平均熱膨張係数とを比較して、最大値と最小値との差が55ppm/℃以下となるように、基板101の材料と、第1及び第2樹脂層102,103の材料と、スペーサー部106の材料とを選択する。ただし、ダイシング時の破損が問題なので、ダイシング時に想定される100℃〜160℃の温度範囲のみを考慮することもできる。つまり、100℃〜160℃における基板101の平均熱膨張係数と、100℃〜160℃における第1及び第2樹脂層102,103の平均熱膨張係数と、100℃〜100℃におけるスペーサー部106の平均熱膨張係数とを比較して、最大値と最小値との差が55ppm/℃以下となるように、基板101の材料と、第1及び第2樹脂層102,103の材料と、スペーサー部106の材料とを選択する。なお、ダイシング時に想定される温度範囲は、通常さらに限定された120℃〜140℃程度となる。この場合、120℃〜140℃における基板101の平均熱膨張係数と、120℃〜140℃における第1及び第2樹脂層102,103の平均熱膨張係数と、120℃〜140℃におけるスペーサー部106の平均熱膨張係数とを比較して、最大値と最小値との差が55ppm/℃以下となるように、基板101の材料と、第1及び第2樹脂層102,103の材料と、スペーサー部106の材料とを選択する。
【0044】
以上にように、第1ウェハーレンズ100の材料の組み合わせを適宜選択して、基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下となるようにした場合、樹脂層102,103の剥離等の問題が発生しにくくなることが実験的に確かめられた。特に、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が35ppm/℃以下となるようにした場合、樹脂層102,103の剥離等の問題の発生が大きく低減した。
【0045】
以上では、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101と樹脂層102,103とスペーサー部106とについて熱膨張係数の差を考えたが、IRカットフィルター層104や絞り105の熱膨張係数との関係で熱膨張係数の差が大きくならないことが望ましい。ただし、IRカットフィルター層104や絞り105の体積は、樹脂層102,103等に比較して小さく、樹脂層102,103等について設定した上記のように狭い熱膨張係数の制限を設ける必要はない。
【0046】
さらに望ましい条件として、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101と第1及び第2樹脂層102,103とスペーサー部106との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下となるようにする。これにより、第1ウェハーレンズ100の切断時に比較的大きな応力が付与されても、局所的な応力集中が起こりにくくなり、第1ウェハーレンズ100の破損が抑えられる。また、第1ウェハーレンズ100に局所な応力が内在しにくくなり、応力の開放による第1ウェハーレンズ100を破損を抑制できる。特に、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との曲げ弾性率の最大差が8GPa以下となるようにした場合、第1ウェハーレンズ100を破損が大きく抑制された。なお、第1ウェハーレンズ100段階で複合レンズ10を切り出した場合、複合レンズ10の光学的な諸特性は、公知の手法によって製造されたものと同等以上であった。
【0047】
以下、第2ウェハーレンズ200の材料の適宜選択について説明する。第2ウェハーレンズ200についても、第1ウェハーレンズ100と同様にダイシング時に剥離、割れ等の問題が生じる。このため、第2ウェハーレンズ200を構成する材料の組み合わせを適宜選択して、基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下となるようにしている。これにより、ダイシング時に第1及び第2樹脂層102,103が加熱されても、各部において膨張量の差が生じにくくなり、意図しない応力の発生を回避できる。なお、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106とを形成する材料の熱膨張係数も、第1ウェハーレンズ100の場合と同様に考える。つまり、第2ウェハーレンズ200が処理される温度環境としてし、例えば室温から160℃までの温度範囲、100℃〜160℃の温度範囲、好ましくは120℃〜140℃の温度範囲において、各材料の熱膨張係数が判断される。
【0048】
以上にように、第2ウェハーレンズ200の材料を適宜選択して、基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下となるようにした場合、樹脂層102,103の剥離等の問題が発生しにくくなることが実験的に確かめられた。特に、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との熱膨張係数の最大差が35ppm/℃以下となるようにした場合、樹脂層102,103の剥離等の問題の発生が大きく低減した。
【0049】
さらに望ましい条件として、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101と第1及び第2樹脂層102,103とスペーサー部106との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下となるようにする。これにより、第2ウェハーレンズ200の切断時に比較的大きな応力が付与されても、局所的な応力集中が起こりにくくなり、第2ウェハーレンズ200の破損が抑えられる。また、第2ウェハーレンズ200に局所な応力が内在しにくくなり、応力の開放による第2ウェハーレンズ200を破損を抑制できる。特に、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101と、第1及び第2樹脂層102,103と、スペーサー部106との曲げ弾性率の最大差が8GPa以下となるようにした場合、第2ウェハーレンズ100を破損が大きく抑制された。
【0050】
以上では、第1ウェハーレンズ100を構成する材料の組み合わせの熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する材料の組み合わせの熱膨張係数とを個別に説明したが、両ウェハーレンズ100,200が接合された状態でダイシングが行われる場合、第1ウェハーレンズ100を構成する材料の熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する材料の熱膨張係数との差が大きくなりすぎないようにする必要がある。具体的には、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、スペーサー部106の熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、スペーサー部106の熱膨張係数との最大差が55ppm/℃以下となるようにする。また、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、スペーサー部106の曲げ弾性率と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、スペーサー部106の曲げ弾性率との最大差が15GPa以下(好ましくは8GPa以下)となるようにする。
【0051】
C)ウェハーレンズ及び複合レンズの製造方法
図3、図4(A)〜4(F)を参照しつつ、ウェハーレンズ100の製造工程について説明する。なお、以下では第1樹脂層102の成形について説明するが、第2樹脂層103の成形についても同様の工程を行う。
【0052】
まず、研削加工等によって第1樹脂層102の最終形状に対応するマスター型30(図4(A)参照)を作製する(ステップS11)。次に、マスター型30上に樹脂材料41bを塗布し、マスター型30の上方からサブマスター基板42を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂材料41bを光硬化させる(ステップS12)。この際、樹脂材料41bにマスター型30の第1転写面31が転写され、樹脂材料41bに第2転写面43(第2光学転写面及び第2フランジ転写面)が形成される。これにより、サブマスター成形部41が形成される。なお、サブマスター基板42上の転写位置を変えて本工程のサブマスター型硬化工程(ステップS12)と次工程のサブマスター型離型工程(ステップS13)とを繰り返し、第2転写面43をさらにアレイ状に形成してもよい。
【0053】
次に、図4(B)に示すように、マスター型30からサブマスター成形部41とサブマスター基板42とを一体として離型することで、サブマスター型40が作製される(ステップS13)。その後、図示を省略するが、サブマスター型40の第2転写面43上に無機酸化物膜を形成する。無機酸化物膜は、例えば真空蒸着やスパッタリング等によって形成する。さらに、この無機酸化物膜上に離型剤を塗布する。
【0054】
次に、以上の工程で得たサブマスター型40を利用して、ウェハーレンズ100を作製する。まず、図4(C)に示すように、基板101上にIRカットフィルター層104を形成する(ステップS14)。IRカットフィルター層104は、例えば真空蒸着、スパッタリング等によって形成する。例えば、真空蒸着によってIRカットフィルター層104を形成する場合、真空装置60を用いて高屈折材料と低屈折材料とを基板101の一方の面101a上に交互に積層させる。真空装置60の駆動装置61の動作により、蒸着源62から高屈折材料として例えばTaを加熱し気化又は昇華させて基板101の一方の面101a上に付着させる。また、駆動装置61の動作により、蒸着源63から低屈折材料として例えばSiOを加熱し気化又は昇華させて基板101の一方の面101a上に付着させる。IRカットフィルター層104は、膜密度が1.5g/cm以上2.0g/cm以下となるように形成されている。
【0055】
次に、図4(D)に示すように、基板101の一方の面101a上に絞り105を形成する(ステップS15)。絞り105は、例えば基板101の面101a上に蒸着やスパッタリング等によって不透明な金属膜を成膜し、その後、開口105bを形成するためのパターニングをすることよって形成する。また、絞り105は、暗色のフォトレジストを成膜し、その後、開口105bを形成するためのパターニングをすることによっても形成することができる。
【0056】
次に、図4(E)に示すように、サブマスター型40上に樹脂102b(第1樹脂層102を形成する光硬化性樹脂)を塗布し、サブマスター型40の上方から基板101を押圧しながら不図示のUV発生装置により紫外線を照射させ、間に挟まれた樹脂102bを光硬化させる(ステップS16)。この際、樹脂102bにサブマスター型40の第2転写面43が転写され、樹脂102bに第1成形面102a(図2の第1光学面11a及び第1フランジ面11b)が形成される。これにより、第1樹脂層102が形成される。なお、光硬化の後、完全に硬化させるために熱によって硬化させてもよい。
【0057】
詳細な説明を省略するが、図5(A)に示すように、サブマスター型40と同様の構造を有するが転写面が異なるサブマスター型140を利用して、上述と同様の工程で基板101の他方の面101bに第2樹脂層103を形成する。
【0058】
その後、図5(B)に示すように、一対のサブマスター型40,140を離間させることにより、基板101と樹脂層102,103とを一体として離型する(ステップS17)。
【0059】
次に、ウェハーレンズ本体すなわち第2樹脂層103にシート状のスペーサー部106を貼り付ける(ステップS18)。具体的には、スペーサー部106の片面に接着剤を塗布する。その後、基板101や第2樹脂層103に対してスペーサー部106をアライメントし、スペーサー部106の接着面を第2樹脂層103の表面に押し付けるとともに、接着剤にUV光を照射して硬化させる。これにより、基板101と樹脂層102,103とを一体化したウェハーレンズ本体にスペーサー部106を固定した第1ウェハーレンズ100が完成する。
【0060】
以上の工程(ステップS11〜S18)と同様の工程で、第1ウェハーレンズ100と略同様の構造を有する第2ウェハーレンズ200が完成する。
【0061】
その後、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200と接合して積層レンズアレイ500を作製するとともに、第2ウェハーレンズ200側に撮像素子アレイ300を貼り付ける(ステップS19)。つまり、第1ウェハーレンズ100に固定したスペーサー部106の端面に接着剤を塗布して第2ウェハーレンズ200と貼り合わせてUV光を照射する。これにより、第1ウェハーレンズ100に第2ウェハーレンズ200が固定又は接合される。次に、第2ウェハーレンズ200に対して第1ウェハーレンズ100の反対側に撮像素子アレイ300を貼り付ける(ステップS19)。つまり、第2ウェハーレンズ200に固定したスペーサー部106の端面に接着剤を塗布して撮像素子アレイ300と貼り合わせてUV光を照射する。これにより、第1ウェハーレンズ100に撮像素子アレイ300が固定又は接合される。以上により、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とを積層した積層構造体1000が完成する。
【0062】
その後、図1に示すカットラインDXに沿ってウェハーレンズ100,200等を切断、すなわちダイシングする(ステップS20)。ここで、カットラインDXは、基板101、第1及び第2樹脂層102,103、IRカットフィルター層104が重なる部分に設けられており、絞り105上には設けられていない。このようなダイシングにより、ウェハーレンズ100,200等は、四角柱状に切り出され、複合レンズ10等を積層した構造の撮像装置700となる。
【0063】
以上の説明では、積層構造体1000が第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とを備えるとして説明したが、積層構造体1000を第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とで構成することもできる。この場合、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とを積層した積層レンズアレイ500によって積層構造体1000を構成することになる。このような積層レンズアレイ500をダイシングによって個片化し、別途作製した個別の撮像素子330と接合することもできる。なお、以下に説明する実施形態でも、積層構造体1000に撮像素子アレイ300を含めているが、撮像素子アレイ300を省略して積層レンズアレイ500で構成することもできる。
【0064】
第1実施形態のウェハーレンズの製造方法によれば、基板101とスペーサー部106の熱膨張係数の差を55ppm/℃以下とするので、積層構造体1000を構成するウェハーレンズ100,200又は積層レンズアレイ500の製造や切断時に、基板101とスペーサー部106との間に膨張収縮差が生じにくくなり、これらの間に比較的大きな応力が発生しにくくなって、ウェハーレンズ100,200を構成するレンズ部であるレンズ要素11,12等が剥離したり割れたりすることを防止できる。
【0065】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係るウェハーレンズを含む積層構造体について説明する。なお、第2実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法は第1実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態と同様であるものとする。
【0066】
図6に示すように、積層構造体1000を構成する第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とは、図1に示すようなスペーサー部106を介在させることなく直接的に接合されている。第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200との間隔等を調整するため、第1ウェハーレンズ100に外付けで接着していたスペーサー部106に代えて第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層103の適所に形成された突起部206を用いる。
【0067】
同様に、第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とは、図1に示すようなスペーサー部106に代えて第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層103の適所に形成された突起部206を介して接合されている。
【0068】
第1及び第2ウェハーレンズ100,200において、突起部206は、第2樹脂層103の成形に際して一括して形成される。つまり、図5(A)に示す第2樹脂層103の形成段階で、第2樹脂層103に第1レンズ要素11から離間して第1レンズ要素11を囲む隆起を形成することにより、スペーサー部106と形状的に類似する突起部206を得ることができる。第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とを接合する際には、第1ウェハーレンズ100に設けた突起部206の先端側の端面206bに接着剤を塗布し、第2ウェハーレンズ200の第1樹脂層102の適所に当接させてUV光を照射する。第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とを接合する際には、第2ウェハーレンズ200に設けた突起部206の先端側の端面206bに接着剤を塗布し、撮像素子アレイ300の対応箇所に当接させてUV光を照射する。
【0069】
本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数との最大差が55ppm/℃以下となるようにする。
【0070】
また、本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率との最大差が15GPa以下となるようにする。
【0071】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係るウェハーレンズを含む積層構造体について説明する。なお、第3実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法は第1又は第2実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態等と同様であるものとする。
【0072】
図7に示すように、積層構造体1000を構成する第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とは、図1に示すようなスペーサー部106を介在させることなく直接的に接合されている。第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200との間隔等を調整するため、第1ウェハーレンズ100に外付けで接着していたスペーサー部106に代えて第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層103の適所に形成された突起部206を用いる。ただし、第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とは、スペーサー部106を介して接合されている。
【0073】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係るウェハーレンズを含む積層構造体について説明する。なお、第4実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法は第1実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態と同様であるものとする。
【0074】
図8に示すように、積層構造体1000を構成する第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とは、図1に示すようなスペーサー部106を介在させることなく直接接合されている。第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200との間隔等を調整するため、第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層303の肉厚に形成された平坦部303sと、第2ウェハーレンズ200の第1樹脂層302の肉厚に形成された平坦部302tとを用いる。本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とを接合する際には、第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層303の平坦部303sと、第2ウェハーレンズ200の第1樹脂層302の平坦部302tとを、接着剤によって接着する。
【0075】
本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、スペーサー部106の熱膨張係数との最大差が55ppm/℃以下となるようにする。
【0076】
また、本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、スペーサー部106の曲げ弾性率との最大差が15GPa以下となるようにする。
【0077】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係るウェハーレンズを含む積層構造体について説明する。なお、第5実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法は第1実施形態又は第4実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態等と同様であるものとする。
【0078】
図9に示すように、積層構造体1000を構成する第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とは、図1に示すようなスペーサー部106を介在させることなく直接接合されている。第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300との間隔等を調整するため、第2ウェハーレンズ200の第2樹脂層303の肉厚に形成された平坦部303sを用いる。
【0079】
第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300とを接合する際には、第2ウェハーレンズ200の第2樹脂層303の平坦部303sと、撮像素子アレイ300の対応箇所とを、接着剤によって接着する。
【0080】
本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数との最大差が55ppm/℃以下となるようにする。
【0081】
また、本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率と、第2ウェハーレンズ200を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率との最大差が15GPa以下となるようにする。
【0082】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態に係るウェハーレンズを含む積層構造体について説明する。なお、第6実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法は第1実施形態又は第5実施形態のウェハーレンズの構造や製造方法を変形したものであり、特に説明しない部分は第1実施形態等と同様であるものとする。
【0083】
図10に示すように、積層構造体1000は、第1ウェハーレンズ100と撮像素子アレイ300とで構成される。第1ウェハーレンズ100と撮像素子アレイ300とは、図1に示すようなスペーサー部106を介在させることなく直接接合されている。第2ウェハーレンズ200と撮像素子アレイ300との間隔等を調整するため、第2ウェハーレンズ200の第2樹脂層303の肉厚に形成された平坦部303sを用いる。
【0084】
第1ウェハーレンズ100と撮像素子アレイ300とを接合する際には、第1ウェハーレンズ100の第2樹脂層303の平坦部303sと、撮像素子アレイ300の対応箇所とを、接着剤によって接着する。
【0085】
本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の熱膨張係数と、第1及び第2樹脂層102,103の熱膨張係数との最大差が55ppm/℃以下となるようにする。
【0086】
また、本実施形態の場合、第1ウェハーレンズ100を構成する基板101の曲げ弾性率と、第1及び第2樹脂層102,103の曲げ弾性率との最大差が15GPa以下となるようにする。
【0087】
〔実施例〕
積層構造体1000を実際に作製し、これを個片化することによって、積層された複合レンズ10を製造し、実施形態の製造方法の評価を行なった。結果は、以下の表1のようなものとなった。
【表1】

表1において、面S1〜S4は、ウェハーレンズ100,200の物体側から数えた面を意味し、成形面102a,103aを意味する。
【0088】
実施例1では、第1ウェハーレンズ100の基板101として、0.5mm厚で直径10cmのガラスエポキシ基板(三菱化成PGE−6771)を準備し、基板101の両面101a,101b上に、総厚1.2μmのIRカットフィルター層104を形成した。基板101の物性は、上記表1に示すとおりであり、IRカットフィルター層104は、SiOとTaとを蒸着機で交互に成膜して積層したものとした。
【0089】
次に、例えば面101a側に形成したIRカットフィルター層104上に、総厚800nmの複数層の酸化クロム層を有する金属膜を蒸着機で成膜し、その上にポジ型フォトレジストを公知の方法で塗布し乾燥させてレジスト層とした。その後、マスクを用いて、レジスト層の露光・現像処理を行い、さらに露光部の酸化クロム層をエッチングで除去し、不要なレジストを除去後、130℃、2分加熱して、第1レンズ要素11に対応する開口105bを有する絞り105を形成した。面101b側(又は面101b側に形成したIRカットフィルター層104)上にも同様に絞り105を形成した。
【0090】
次に、絞り105等を形成した基板101の片側の表面上にエポキシ系樹脂を滴下し、成形型で押圧しながらUV光を照射し、樹脂を硬化させることで第1樹脂層102を形成した。同様に、基板101の他方の表面上にエポキシ系樹脂を滴下し、成形型で押圧しながらUV光を照射し、樹脂を硬化させることで第2樹脂層103を形成した。
【0091】
次いで、第1及び第2樹脂層102,103を備える基板101の第2樹脂層103側にスペーサー部106を接着してスペーサー付ウェハーレンズすなわち第1ウェハーレンズ100を得た。スペーサー部106は、基板101と同じガラスエポキシ製で、第1レンズ要素11に対応する位置に開口6bを有するものとした。スペーサー部106は、接着剤を介して第2樹脂層103に貼り付けられ、UV光の照射によって接着剤を硬化させることで、スペーサー部106を第2樹脂層103に固定した。
【0092】
その後、第1ウェハーレンズ100のスペーサー部106側を台座に固定し、公知のダイサーでブレードにより、回転数20000rpm、切断速度4mm/sの条件にて、第1樹脂層102側からダイシングを行なった。このダイシングによって個片化された平面視正方形の撮像レンズが得られた。
【0093】
なお、表1において、熱膨張係数は、対象物をTMA(熱機械分析装置)を使用して測定し、測定結果から120℃〜140℃における平均の熱膨張係数を算出した。また、対象物の曲げ弾性率は、JIS K 7203に準拠して測定して得たものである。
【0094】
ダイシング後の状態評価は、個片化された10個の撮像レンズの断面を顕微鏡で観察することによって行なった。評価に際して、第1樹脂層102と、第2樹脂層103と、IRカットフィルター層104とについて、剥離や割れの有無等の状態を観察した。また、基板101と、スペーサー部106とについて、割れの有無等の状態を観察した。これらの故障状態は、以下の4段階のレベルで判別を行なった。
(1)レベル4:樹脂層102,103及びIRカットフィルター層104における剥離や割れ、基板101及びスペーサー部106における割れ等として現れる故障が発生した撮像レンズが10個の撮像レンズ中で0個である場合
(2)レベル3:同様の故障が発生した撮像レンズが10個の撮像レンズ中で1個である場合
(3)レベル2:同様の故障が発生した撮像レンズが10個の撮像レンズ中で2〜8個である場合
(4)レベル1:同様の故障が発生した撮像レンズが10個の撮像レンズ中で8個以上である場合
【0095】
実施例2〜8も、実施例1と同様の方法で作製したが、実施例2は、基板101の材料とスペーサー部106の材料として、ネオプリムL−3430(三菱瓦斯化学社製のポリイミド)を用い、スペーサー部106については、ネオプリムL−3430から得たシートに公知の方法で穴あけした。実施例3は、基板101の材料とスペーサー部106の材料として、コンポラセンE(荒川化学工業社製のエポキシ基を有する有機ポリシロキサン)を用い、スペーサー部106については、コンポラセンEから得たシートに公知の方法で穴あけした。
【0096】
実施例4、5は、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200とを積層して積層レンズアレイ500としたものである。実施例4は、撮像素子アレイ300側にのみスペーサー部106を設けたものであり、図7の第3実施形態の構造に対応するものとなっており、実施例5は、第1ウェハーレンズ100と第2ウェハーレンズ200との双方にスペーサー部106を設けたものであり、図1の第1実施形態の構造に対応するものとなっている。
【0097】
実施例6〜8は、スペーサーとしても機能する第2樹脂層103を設けたウェハーレンズ100,200である。この場合、ウェハーレンズ100として、撮像素子アレイ300側に窪みを形成したもの(図8に例示するような、スペーサーを別体として設けないで樹脂層がスペーサーとなっているコの字断面のレンズ)を用いて積層構造体1000を形成する。窪みを形成する場合、絞り105は、黒色フィラーとエポキシ樹脂とを含有する材料をインクジェット法で塗布し乾燥して、3μm厚の膜を形成することで作製した。実施例6は、第1ウェハーレンズ100の単層タイプであり、図10の第6実施形態の構造に対応するものとなっており、実施例7、8は、図8の第4実施形態等の構造に対応するものとなっている。実施例7、8の違いは、第1樹脂層102の第1レンズ要素11と、第2樹脂層103の第1レンズ要素12との外縁のフランジ面11b,12bで突き当て及び接着を行なうか、フランジ面11b,12bの外側で突き当て及び接着を行なうかである。
【0098】
比較例1、2、3は、実施例1、5、7にそれぞれ対応する構造を有するが、基板101の材料等が異なるものとなっている。
【0099】
以上、本実施形態に係る光学素子の製造方法等について説明したが、本発明に係る光学素子の製造方法は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、第1及び第2光学面11a、12aの形状、大きさは、用途や機能に応じて適宜変更することができる。
【0100】
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100,200は、円盤状である必要はなく、楕円形等の各種輪郭を有するものとできる。例えばウェハーレンズ100,200を当初から四角板状に成形することで、ダイシング工程を簡略化することができる。
【0101】
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100内に形成される第1及び第2レンズ要素11,12の数も、図示の9つに限らず、2つ以上の任意の複数とすることができる。この際、第1及び第2レンズ要素11,12の配置は、ダイシングの都合から格子点上が望ましい。さらに、隣接するレンズ要素11,12の間隔も、図示のものに限らず、加工性等を考慮して適宜設定することができる。
【0102】
また、上記実施形態において、ウェハーレンズ100,200の基板101の一方の面101a又は他方の面101bにのみ樹脂層を設けてもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、切断予定部分に絞り105の絞り本体105aを設けていないが、ウェハーレンズ100,200の切断時に第1及び第2樹脂層102,103等に影響を与えなければ、切断予定部分に絞り本体105aを設けてもよい。
【符号の説明】
【0104】
6a…支持体、 6b…開口、 10…複合レンズ、 10a…レンズ本体、 10c…スペーサー部材、 11,12…レンズ要素、 11a,12a…光学面、 330…撮像素子、 100,200…ウェハーレンズ、 101…基板、 102,103…樹脂層、 102a,103a…成形面、 104…カットフィルター層、 105…絞り、 106…スペーサー部、 206…突起部、 300…撮像素子アレイ、 500…積層レンズアレイ、 700…撮像装置、 1000…積層構造体、 第AX…軸、 DX…カットライン、 OA…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部と、前記レンズ部の周囲に形成される支持部とを備えるウェハーレンズの製造方法であって、
前記基板と前記支持部との熱膨張係数の差が55ppm/℃以下であることを特徴とするウェハーレンズの製造方法。
【請求項2】
前記支持部は、前記レンズ部と樹脂層で一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項3】
前記支持部は、前記複数のレンズ部よりも突起して外部に隣接する部材との間隔を光軸方向に調整する突起部であることを特徴とする請求項2に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項4】
前記支持部は、前記複数のレンズ部よりも相対的に肉厚に形成された平坦部であることを特徴とする請求項2に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項5】
前記支持部は、前記複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有するスペーサー部であることを特徴とする請求項1に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項6】
第1基板と、前記第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、
第2基板と、前記第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、前記第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、を備え、
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とを接合することによって、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とを連結し、
前記第1基板と、前記第1樹脂層と、前記第2基板と、前記第2樹脂層との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下であることを特徴とするウェハーレンズの製造方法。
【請求項7】
前記第1樹脂層のうち前記複数のレンズ部の外側と、前記第2樹脂層のうち前記複数のレンズ部の外側とを接合することによって、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とを連結することを特徴とする請求項6に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項8】
第1基板と、前記第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、
第2基板と、前記第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、前記第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、
前記第2レンズ群に対して前記第1レンズ群の反対側に接合され、前記複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有するスペーサー部と、を備えるウェハーレンズの製造方法であって、
前記第1基板と、前記第1樹脂層と、前記第2基板と、前記第2樹脂層と、前記スペーサー部との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下であることを特徴とするウェハーレンズの製造方法。
【請求項9】
第1基板と、前記第1基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第1樹脂層とを有する第1レンズ群と、
第2基板と、前記第2基板の少なくとも一方の基板面上に成形され複数のレンズ部を有する第2樹脂層とを有するとともに、前記第1レンズ群に隣接して配置される第2レンズ群と、
前記第2レンズ群に対して前記第1レンズ群の反対側に接合され、前記複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有する第1スペーサー部と、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とを連結するように前記第1レンズ群と前記第2レンズ群とに接合され、前記複数のレンズ部の光軸を通す複数の開口を有する第2スペーサー部と、を備えるウェハーレンズの製造方法であって、
前記第1基板と、前記第1樹脂層と、前記第2基板と、前記第2樹脂層と、前記スペーサー部との熱膨張係数の最大差が55ppm/℃以下であることを特徴とするウェハーレンズの製造方法。
【請求項10】
前記基板と、前記支持部との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項11】
前記第1基板と、前記第1樹脂層と、前記第2基板と、前記第2樹脂層との曲げ弾性率の最大差が15GPa以下であることを特徴とする請求項6から9までのいずれか一項に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項12】
前記第1基板と、前記第1樹脂層と、前記第2基板と、前記第2樹脂層と、前記スペーサーの曲げ弾性率の最大差が15GPa以下であることを特徴とする請求項8及び9のいずれか一項に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項13】
熱膨張係数の差は、120℃から140℃までの温度範囲の平均値に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載のウェハーレンズの製造方法。
【請求項14】
基板と、前記基板の少なくとも一方の基板面上に成形される複数のレンズ部と、前記複数のレンズ部の周囲に形成される支持部とを備えるウェハーレンズであって、
前記基板と前記支持部との熱膨張係数の差が55ppm/℃以下であることを特徴とするウェハーレンズ。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか1項に記載のウェハーレンズの製造方法を用いて製造されることを特徴とするレンズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−1055(P2013−1055A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137080(P2011−137080)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】