説明

ウェブコンテンツ変換編集システム

【課題】 移動局における制約を吸収する。
【解決手段】 ウェブコンテンツ変換編集システム12では、移動局10から圧縮されたコンテンツを要求された際には、アプリケーションサーバ13a〜13cから非圧縮のコンテンツを取得する。そして、取得した当該コンテンツを移動局10により指定された圧縮タイプに圧縮して移動局10へ送るようにする。これにより、コンテンツ提供元から取得したコンテンツを解凍した後に、さらに圧縮する処理を行う必要をなくすことができ、処理効率が低下することを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ上に位置するコンテンツ提供元のアプリケーションサーバから移動通信網における移動局が、コンテンツを取得するためのウェブコンテンツ変換編集システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、1980年代のアナログ方式の移動通信システム(NTT方式,AMPS(Advanced Mobile Phone Service),TACS(Total Access Communications System)など)が第1世代と呼ばれ、1990年代のディジタル方式の移動通信システム(PDC(Personal Digital Cellular telecommunication system),GSM(global system for mobile communication),IS−54,IS−95など)が第2世代(以下、「2Gシステム」という)と呼ばれている。これらの移動通信システムの普及はめざましく、我が国においては移動電話の普及台数は6000万台を超えるまでに至っている。このような移動電話は携帯電話機として普及しており、携帯電話機を端末としてインターネットメールを送受信することや、ウェブコンテンツをインターネット上のサーバから取得することが行われるようになってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オフィスや家庭におけるパーソナルコンピュータ等に導入されている一般的なウェブブラウザや、ウェブサイト上で公開されている各種コンテンツ等は、パーソナルコンピュータ等の大型のディスプレイ装置に表示することを前提として設計されて提供されている。一方、携帯電話機においては携帯性を重視していることから、ディスプレイにおけるメッセージ表示領域や、取得したデータを格納するメモリ領域が制限されている。また、携帯電話機のほとんどは、一般的なウェブブラウジング機能を備えているが、パーソナルコンピュータ等にインストールされているウェブブラウザの豊富な機能の全てを備えてはいない。従って、携帯電話機からインターネット上で公開されている各種コンテンツを取得しようとしてもコンテンツを完全に取得できない場合があるという問題点があった。また、各種コンテンツを取得した場合に、表示できなかったり表示されても異常な表示になってしまうという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、移動局における制約を吸収することのできるウェブコンテンツ変換編集システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のウェブコンテンツ変換編集システムは、移動局とコンテンツ提供元との間で送受信されるメッセージの変換編集を行うウェブコンテンツ変換編集システムであって、前記移動局からのコンテンツを要求する要求メッセージを処理して前記コンテンツ提供元に送信する第1制御手段と、前記要求メッセージに対応して前記コンテンツ提供元から取得した応答メッセージを処理して前記移動局へ送信する第2制御手段とを備え、前記第1制御手段は、前記移動局から圧縮されたコンテンツを要求する要求メッセージを受け取った際に、前記コンテンツ提供元から非圧縮とされているコンテンツを取得する要求メッセージに編集して前記コンテンツ提供元に送信するようにしている。
【0006】
また、上記本発明のウェブコンテンツ変換編集システムにおいて、前記第2制御手段は、前記編集した要求メッセージに応じて前記コンテンツ提供元から取得した非圧縮とされているコンテンツを、前記移動局から前記要求メッセージにより指定された圧縮タイプになるよう圧縮処理して前記移動局へ送信するようにしてもよい。
さらに、上記本発明のウェブコンテンツ変換編集システムにおいて、前記移動局からのコンテンツを取得する要求メッセージに、受け入れられる圧縮タイプ情報が指定されていた場合は、前記第2制御手段は、前記移動局が受け入れることができるコンテンツサイズが少なくとも設定されている定義ファイルに設定されているコンテンツサイズと、前記編集した要求メッセージに対応して前記コンテンツ提供元から取得した非圧縮のコンテンツのコンテンツサイズとを対比して、取得した当該コンテンツのコンテンツサイズが前記定義ファイルに設定されているコンテンツサイズ以上とされている場合に、前記取得した非圧縮のコンテンツを指定された圧縮タイプになるよう圧縮処理して前記移動局へ送るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
このような本発明によれば、移動局から圧縮されたコンテンツを要求された際には、コンテンツ提供元からは非圧縮のコンテンツを取得し、指定された圧縮タイプに圧縮して送るようにしている。これにより、コンテンツ提供元から取得したコンテンツを解凍した後に、さらに圧縮する処理を行う必要をなくすことができ、処理効率が低下することを防止することができる。また、移動局の仕様上の制約等を極力吸収することができ、移動局におけるウェブ通信におけるユーザビリティを向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムを備えるネットワークの概略構成を図1に示す。
図1に示すネットワークは、移動通信網とインターネット等の他のネットワークとを有しており、移動通信網は、例えば携帯電話機とされる移動局(MS)10と無線通信路11として示されている。また、他のネットワークはそのネットワーク上に位置しているアプリケーションサーバ13a、13b、13cとして示されている。本発明にかかるウェブコンテンツ変換編集システム12は、移動通信網と他のネットワークとの間に配置されており、移動局10とコンテンツ提供元であるアプリケーションサーバ13a〜13cとの間で送受信されるメッセージの変換編集を行っている。
【0009】
移動局10は、アプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかからコンテンツを取得する際にHTTP(HyperText Transport Protocol)リクエスト(Request)をアプリケーションサーバ13a〜13cに向けて送信する。このHTTPリクエストを受けたアプリケーションサーバ13a〜13cは、要求されたコンテンツをエンティテイボディとするHTTPレスポンス(Response)を移動局10へ向けて送り出す。この場合において、移動局10とアプリケーションサーバ13a〜13cとの間に配置されている本発明にかかるウェブコンテンツ変換編集システム12は、次に説明するウェブコンテンツ変換編集に関する後述する各種処理を実行する。
【0010】
ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するウェブコンテンツ変換編集処理の一つにページサイズチェック処理がある。このページサイズチェック処理は、移動局10がコンテンツを取得する際に、アプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかから送られて来たHTTPレスポンスにおけるコンテンツであるエンティテイボディのバイト長をチェックする処理である。このページサイズチェック処理を行うことにより、移動局10が不用意にコンテンツ提供側のアプリケーションサーバ13a〜13cから大きなコンテンツを取得することを防止し、無線通信路11のリソースを有効に利用できるようになる。ページサイズチェック処理においてあらかじめ設定する上限バイト長は、HTTP/1.1のレスポンスヘッダで指定されるコンテンツタイプ(text(テキスト)、image(イメージ)、application(アプリケーション)等)毎にページサイズチェック定義ファイルで設定するようにしている。
【0011】
このページサイズチェック定義ファイルでは、コンテンツタイプおよびそのサイズ長が、間に「,」を入れて示されている。その一例を説明すると、「text/x-mml,1024」は、コンテンツがx-mmlタイプのテキストファイルのバイト長の上限が1024バイト長未満とされていることを意味しており、当該タイプのバイト長が1024バイト以上とされている場合は、チェックエラーを送信する。また、「text/*,0」は、コンテンツがページサイズチェック定義ファイルで定義されている以外のテキスト系コンテンツとされている場合は、非許容コンテンツとしてエラー送信することを意味している。さらに、「image/png.2048」はPNG(Portable Network Graphics)タイプのイメージファイルのバイト長の上限が2048バイト未満とされていることを意味しており、当該タイプのバイト長が2048バイト以上とされている場合は、チェックエラーを送信する。他のコンテンツタイプに対するサイズ長も、図3に示すページサイズチェック定義ファイルにおける該当する定義ファイルを同様に解釈することができる。
【0012】
ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するコンテンツ変換編集処理におけるページサイズチェック処理では、アプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかからコンテンツを取得した時に、エンティテイボディのバイト長情報を得る。そして、ページサイズチェック定義ファイルを参照して、この定義ファイルに設定されているコンテンツタイプおよびサイズ長と、取得されたコンテンツのコンテンツタイプとエンティテイボディのバイト長とを対比する。ここで、アプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかから取得したコンテンツのコンテンツタイプが一致しない場合は、コンテンツタイプが異なる旨のエラーメッセージを、要求されたコンテンツに代えて移動局10へ送信する。また、エンティテイボディのバイト長が設定されているサイズ長以上と判断された際に、あらかじめ用意されているコンテンツのサイズが大きすぎる旨のエラーメッセージを、要求されたコンテンツに代えて移動局10へ送信する。なお、HTTP/1.1のレスポンスヘッダにおいてコンテンツがCGI(Common Gateway Interface)等のプログラムとされてコンテンツサイズが未指定とされている場合は、エンティティボディ部のサイズを計算してそのバイト長を算出し、算出結果に基づいてページサイズチェック処理を行うようにする。
【0013】
ここで、ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するページサイズチェック処理のフローチャートを図2に示す。
ページサイズチェック処理がスタートすると、ステップS10にてアプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかからHTTPリクエストに対して取得されたHTTPレスポンスにおけるレスポンスヘッダよりtext/HTML等のコンテンツタイプ(Content-Type)を取得する。次いで、ステップS11にてレスポンスヘッダから取得されたコンテンツタイプと、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されているコンテンツタイプとを対比してコンテンツタイプが一致するか否かが判断される。ここで、一致すると判断された場合はステップS13に分岐してページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズの設定値が”0”か否かが判断される。ここで、当該コンテンツタイプのサイズの設定値が”0”と判断されると、そのコンテンツタイプはサポートされていないことからステップS20に分岐して「未サポートコンテンツである」旨のページを移動局10へ送信して、移動局10の表示部にそのページを表示させる。この場合、コンテンツは取得されず移動局10へ送られない。
【0014】
また、ステップS14にて当該コンテンツタイプのサイズの設定値が”0”でないと判断されると、ステップS14に進んでレスポンスヘッダにコンテンツのサイズ(Content-Length)が設定されているか否かが判断される。ここで、レスポンスヘッダにコンテンツのサイズ(Content-Length)が設定されていると判断された場合は、ステップS15に進んでレスポンスヘッダより「1236」等のコンテンツのサイズ(Content-Length)が取得される。また、ステップS14にてレスポンスヘッダにコンテンツのサイズ(Content-Length)が設定されていないと判断された場合は、ステップS16へ分岐してHTTPレスポンスのエンティティボディ部のサイズを計算して代用する。ただし、コンテンツを分割して送るチャンクド(Chunked)転送コーディングとされている場合は、分割されているコンテンツを結合後、エンティティボディ部のサイズを計算して代用する。
【0015】
そして、ステップS15あるいはステップS16の処理が終了すると、ステップS17にて取得あるいは計算されたコンテンツのサイズが、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズ以上か否かが判断される。ここで、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズより小さいと判断された場合は、HTTPレスポンスにおけるコンテンツのサイズが移動局10の仕様に合ったサイズとされていることからステップS18に進み、取得されたHTTPレスポンスが編集されることなくそのまま移動局10へ送信される。また、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズ以上と判断された場合はステップS19に進み、HTTPレスポンスにおけるコンテンツのサイズが大きすぎて移動局10の仕様を逸脱していることから、「コンテンツサイズが大きすぎる」旨のページを、コンテンツに替えて移動局10へ送信して、移動局10の表示部にそのページを表示させる。なお、ステップS11にてページサイズチェック定義ファイル中で設定されているコンテンツタイプとを対比してコンテンツタイプが一致しないと判断された場合は、そのコンテンツタイプを制限する条件が設定されていないことからステップS12に進んで取得されたHTTPレスポンスが編集されることなくそのまま移動局10へ送信される。
【0016】
以上説明したページサイズチェック処理においては、コンテンツを分割して送るチャンクド転送コーディングが指定されている場合は、コンテンツをアプリケーションサーバ13a〜13cのいずれかからコンテンツを分割して取得してウェブコンテンツ変換編集システム12が移動局10へ送る際に、分割されたコンテンツを結合した全体のサイズにおいてページサイズチェック処理を行うようにする。なお、コンテンツタイプおよびサイズを定義するページサイズチェック定義ファイルはその設定内容が変更可能とされている。
【0017】
次に、ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するウェブコンテンツ変換編集処理の一つにレンジリクエスト対応処理がある。レンジリクエストとは、コンテンツの内で範囲を指定してその範囲だけを取得するリクエストである。ところで、コンテンツが圧縮処理等されている場合は、コンテンツの圧縮処理の形態がウェブコンテンツ変換編集システム12を間に挟んで異なる場合があり、この場合には移動局10側とアプリケーションサーバ13a〜13cのコンテンツ提供側において、コンテンツのサイズ等の物理的実体が異なる場合がある。すると、移動局10がレンジリクエストにより部分コンテンツの要求をした際に、要求した部分コンテンツと取得した部分コンテンツとの間にデータの矛盾が生じるおそれがあることになる。
【0018】
そこで、これを防止するために、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、移動局10から受け取ったHTTPリクエストにおけるヘッダーにレンジを指定するヘッダがあった場合(レンジリクエスト)は、このレンジを指定しているレンジリクエストのヘッダーを削除してアプリケーションサーバ13a〜13c側へ送り、アプリケーションサーバ13a〜13c側からのレスポンスとして全コンテンツを受け取るようにする。そして、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、受け取った全コンテンツの内のレンジリクエストのヘッダーにおいて指定された範囲の部分コンテンツを移動局10へ送るようにする。これにより、要求した部分コンテンツと取得した部分コンテンツとの間にデータの矛盾が生じるおそれを防止することができる。しかし、移動局10からの全てのレンジリクエストの要求を拒否してしまうと、アプリケーションサーバ13a〜13c側から常に全コンテンツを送信することになり通信効率が低下することになる。そこで、要求した部分コンテンツと取得した部分コンテンツとの間にデータの矛盾が生じるおそれが通常は生じないファイルタイプをレンジリクエスト対象処理外のファイルとして定義している。このRangeリクエスト対象処理外定義ファイルの一例を図5に示す。そして、HTTPリクエストにより要求されたコンテンツのファイルタイプの拡張子が、図5に示す定義された拡張子と一致する場合は、レンジリクエストをそのままアプリケーションサーバ13a〜13cへ向けて送信する。これにより、通信効率の低下を防止することができる。
【0019】
ここで、Rangeリクエスト対応処理のフローチャートを図4に示す。
Rangeリクエスト対応処理がスタートされると、ステップS30にてHTTPリクエストのリクエストヘッダよりコンテンツのファイルタイプを示す拡張子が取得される。次いで、ステップS31にてリクエストヘッダから取得された拡張子がRangeリクエスト対象処理外定義ファイル中で設定されている拡張子と一致するか否かが判断される。Rangeリクエスト対象処理外定義ファイルの一例が図5に示されており、レンジリクエスト対応処理対象外のファイルタイプを示す拡張子が設定されている。ステップS31にてリクエストヘッダから取得された拡張子がRangeリクエスト対象処理外定義ファイル中で設定されている拡張子と一致すると判断された場合は、リクエストされているコンテンツのファイルタイプは、レンジリクエスト対応処理対象外のファイルタイプとなる。そこで、ステップS35に分岐してリクエストヘッダを編集することなく、そのままアプリケーションサーバ13a〜13cへ向けてウェブコンテンツ変換編集システム12から送信される。この場合、レンジリクエストとされていてもそのままアプリケーションサーバ13a〜13cに、そのHTTPリクエストが送信される。
【0020】
また、ステップS31にてリクエストヘッダから取得された拡張子がRangeリクエスト対象処理外定義ファイル中で設定されている拡張子と一致しないと判断された場合は、リクエストされているコンテンツのファイルタイプは、レンジリクエスト対応処理が行われるファイルタイプとなる。そこで、ステップS32に進んで、HTTPリクエストのリクエストヘッダにレンジ(Range)が指定されているレンジリクエストとされているか否かが判断される。ここで、HTTPリクエストがレンジリクエストと判断された場合は、ステップS34へ分岐してリクエストヘッダからレンジ(Range)部分を削除して、アプリケーションサーバ13a〜13cへ向けて編集したHTTPリクエストを送信する。
【0021】
これにより、コンテンツ提供元であるアプリケーションサーバ13a〜13cからは全コンテンツのHTTPレスポンスが送信され、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、HTTPレスポンスとして全コンテンツを受け取るようになる。そして、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、受け取った全コンテンツの内のレンジリクエストにおいて指定された範囲の部分コンテンツを移動局10へ送るようにする。また、ステップS32にてリクエストヘッダにレンジ(Range)が指定されておらずレンジリクエストでないと判断された場合は、ステップS33に進んでリクエストヘッダを編集することなく、そのままアプリケーションサーバ13a〜13cへ向けてHTTPリクエストを送信する。
【0022】
このように、レンジリクエストのリクエストヘッダからレンジ(Range)部分を削除しないファイルタイプをRangeリクエスト対象処理外定義ファイルにて設定して、該当するファイルタイプのレンジリクエストを受け取ったときには、レンジリクエストヘッダからレンジ(Range)部分を削除することなくアプリケーションサーバ13a〜13c側へ送るようにしている。これにより、通信効率の低下を防止することができる。なお、Rangeリクエスト対象処理外定義ファイルで設定しておくRangeリクエスト対応処理の対象外のファイルタイプとしては、図5に示すように移動局10側とアプリケーションサーバ13a〜13cのコンテンツ提供側において、コンテンツのサイズ等の物理的実体が異なるおそれの少ないjpegやpngのファイルタイプとされる。
【0023】
次に、ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するウェブコンテンツ変換編集処理の一つにHTTPエンティティボディの圧縮処理がある。
HTTPエンティティボディの圧縮処理は、移動局10側とコンテンツを提供するアプリケーションサーバ13a〜13c側の間で転送されるデータ量を減らし、無線通信路11のリソースを有効に利用するために行われる。ウェブコンテンツ変換編集システム12は、アプリケーションサーバ13a〜13c側から受信したHTTPレスポンスにおいて、移動局10からの要求に応じエンティティボディ(コンテンツ)を圧縮して移動局10側に送信する。なお、アプリケーションサーバ13a〜13cから圧縮したエンティティボディを送ると、その圧縮タイプを移動局10において受け入れられない場合があることから、ウェブコンテンツ変換編集システム12において圧縮されているエンティティボディを解凍してから圧縮することになり、処理効率が低下する。これを防止するために、ウェブコンテンツ変換編集システム12はアプリケーションサーバ13a〜13c側から非圧縮のエンティティボディを、HTTPレスポンスとして受け取るようにする。そして、ウェブコンテンツ変換編集システム12において、コンテンツの変換及び編集処理を行った後、圧縮処理を行うようにする。
【0024】
ところで、移動局10はHTTPリクエストにおけるアクセプト・エンコーディング(Accept-Encoding)ヘッダにより、受け入れられる圧縮タイプを指定するようにしている。このアクセプト・エンコーディングヘッダにおいて、指定している圧縮タイプの値がNULL値(または、「identify」)とされている場合は、移動局10においてコンテンツ圧縮が許容されていない場合である。また、圧縮タイプのいずれかが指定されている場合、および、アクセプト・エンコーディングヘッダが指定されていない場合は、移動局10においてコンテンツ圧縮が許容されている場合であり、この場合に限ってウェブコンテンツ変換編集システム12において、移動局10において受け入れられる圧縮タイプのエンティティボディの圧縮を行うようにしている。
【0025】
この場合、コンテンツ提供側においてはコンテンツを圧縮して送信させないことを通知するため、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、移動局10からのHTTPリクエストにNULL値(または、「identify」)を設定したアクセプト・エンコーディングヘッダを追加し、コンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cに送信する。これにより、アプリケーションサーバ13a〜13c側からのHTTPレスポンスは非圧縮となる。なお、移動局10からのHTTPリクエストにおけるアクセプト・エンコーディングヘッダにおいて、指定している圧縮タイプの値がNULL値(または、「identify」)とされている場合は、前述したようにコンテンツ圧縮が非許容とされているため、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、コンテンツ圧縮を行わない。また、ウェブコンテンツ変換編集システム12が行う圧縮タイプとしては、一般にDEFLATE形式またはGZIP形式が用いられる。
【0026】
ここで、ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するHTTPエンティティボディ圧縮処理1のフローチャートを図6に示す。このHTTPエンティティボディ圧縮処理1では、移動局10からのHTTPリクエストのヘッダの編集が行われる。
HTTPエンティティボディ圧縮処理1がスタートすると、ステップS40にて移動局10からのHTTPリクエストのリクエストヘッダにおける圧縮タイプを指定するAccept-Encodingが取得される。次いで、取得したAccept-Encodingにおいて圧縮タイプが指定されているか否かが判断される。ここで、Accept-Encodingにおいて圧縮タイプが指定されていないと判断された場合は、移動局10においてコンテンツ圧縮が許容されている場合であり、ステップS44に分岐する。ステップS44では、リクエストヘッダにおけるAccept-EncodingにNULL値(または、「identify」)を設定して、コンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cに送信する。これにより、アプリケーションサーバ13a〜13c側からのHTTPレスポンスは非圧縮となる。
【0027】
また、ステップS41にてAccept-Encodingにより圧縮タイプが指定されていると判断された場合は、ステップS42に進みリクエストヘッダにおけるAccept-EncodingにNULL値(または、「identify」)が設定されているか否かが判断される。ここで、Accept-EncodingにNULL値(または、「identify」)が設定されていると判断された場合は、移動局10においてコンテンツ圧縮が許容されていない場合であり、ステップS45に分岐する。ステップS45ではリクエストヘッダのAccept-Encodingを編集することなく、コンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cに送信する。これにより、アプリケーションサーバ13a〜13c側からのHTTPレスポンスは非圧縮となる。
【0028】
また、ステップS42にてAccept-EncodingにNULL値(または、「identify」)ではない圧縮タイプが設定されていると判断された場合は、移動局10において設定された圧縮タイプのコンテンツ圧縮が許容されている場合であり、ステップS43に進む。ステップS43では、リクエストヘッダにおけるAccept-EncodingにNULL値(または、「identify」)を設定して、コンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cに送信する。これにより、アプリケーションサーバ13a〜13c側からのHTTPレスポンスは非圧縮となる。このようにして、コンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cからのHTTPレスポンスは非圧縮とされてウェブコンテンツ変換編集システム12が受信するようになる。そして、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、移動局10からのHTTPリクエストにおけるリクエストヘッダのAccept-Encodingの指定に応じた圧縮タイプでエンティティボディを圧縮したHTTPレスポンスを移動局に送信する。
【0029】
ところで、圧縮するか否かをコンテンツタイプおよびエンティティボディのバイト長が、ページサイズチェック定義ファイルで設定されているコンテンツタイプおよび設定されているサイズ長を超える場合に圧縮するようにしてもよい。この場合、圧縮対象となるコンテンツタイプおよびサイズ長を定義するページサイズチェック定義ファイルは変更可能とされている。さらにまた、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、エンティティボディの圧縮を行ったHTTPレスポンスにコンテンツ・エンコーディング(Content-Encoding)ヘッダを追加することにより、圧縮タイプを指定して移動局10に送信するようにしている。このコンテンツ・エンコーディングに設定する値は、例えば「DEFLATE」または「GZIP」とされる。なお、画像ファイルは通常圧縮されているため、圧縮対象のコンテンツタイプから除外されている。
【0030】
ここで、ウェブコンテンツ変換編集システム12が実行するHTTPエンティティボディ圧縮処理2のフローチャートを図7に示す。このHTTPエンティティボディ圧縮処理2では、取得したHTTPレスポンスのエンティティボディの圧縮処理が行われる。
HTTPエンティティボディ圧縮処理2がスタートすると、ステップS50にてコンテンツ提供側であるアプリケーションサーバ13a〜13cからのHTTPレスポンスのレスポンスヘッダからコンテンツタイプ(Content-Type)を取得する。次いで、ステップS51にてレスポンスヘッダから取得されたコンテンツタイプと、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されているコンテンツタイプとを対比してコンテンツタイプが一致するか否かが判断される。ここで、一致すると判断された場合はステップS53に分岐してレスポンスヘッダより「1236」等のコンテンツのサイズ(Content-Length)が取得される。
【0031】
次いで、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズ以上か否かが判断される。ここで、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズより小さいと判断された場合は、HTTPレスポンスにおけるコンテンツのサイズが移動局10の仕様に合ったサイズとされていることからステップS55に進み、取得されたHTTPレスポンスのエンティティボディが圧縮されることなくそのまま移動局10へ送信される。また、ページサイズチェック定義ファイル中で設定されている当該コンテンツタイプのサイズ以上と判断された場合は、HTTPレスポンスにおけるコンテンツのサイズが移動局10の仕様より大きすぎることから、ステップS56に進みHTTPレスポンスのエンティティボディの圧縮が行われる。この場合、HTTPレスポンスのエンティティボディを例えばDEFLATE形式あるいはGZIP形式で圧縮を行い、その圧縮タイプの値をコンテンツ・エンコーディング(Content-Encoding)に設定して移動局10に送信する。これにより、HTTPレスポンスにおけるコンテンツのサイズが移動局10の仕様を超える場合でも、圧縮することによりコンテンツサイズの条件をクリアして移動局10はコンテンツを取得することができるようになる。
【0032】
なお、レンジリクエストであって、かつ、コンテンツの圧縮が指定されている場合は、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、非圧縮の全コンテンツを要求するHTTPリクエストのリクエストヘッダに編集してコンテンツ提供元であるアプリケーションサーバ13a〜13cに送信する。これにより、アプリケーションサーバ13a〜13cからのHTTPレスポンスは非圧縮の全コンテンツとなる。そこで、ウェブコンテンツ変換編集システム12は、指定された範囲のコンテンツに指定されている圧縮タイプの圧縮処理を施して移動局10へ送信するようにしている。
以上説明したように本発明は、移動局から圧縮されたコンテンツを要求された際には、コンテンツ提供元からは非圧縮のコンテンツを取得し、指定された圧縮タイプに圧縮して送るようにしている。これにより、コンテンツ提供元から取得したコンテンツを解凍した後に、さらに圧縮する処理を行う必要をなくすことができ、処理効率が低下することを防止することができる。また、移動局の仕様上の制約等を極力吸収することができ、移動局におけるウェブ通信におけるユーザビリティを向上することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明においては、取得したコンテンツタイプやサイズが設定外とされている場合は、コンテンツに替えてその旨を示す情報を移動局へ送るようにしてもよい。このようにすると、移動局の制約から取得できないコンテンツを取得しないと共にそのことをユーザに知らせることができる。この場合、取得できないコンテンツは移動局へ送られないことから、限られた無線リソースを無駄に使用することを防止することができる。
また、移動局からコンテンツの一部を要求された際には、コンテンツ提供元から全コンテンツを取得して、指定された一部のコンテンツを移動局へ送るようにしてもよい。このようにすると、データ矛盾を生じることなく移動局が一部のコンテンツを取得することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムを備えるネットワークの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで実行するページサイズチェック処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで設定されているページサイズチェック定義ファイルである。
【図4】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで実行するRangeリクエスト対応処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで設定されているRangeリクエスト対応処理対象外定義ファイルである。
【図6】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで実行するHTTPエンティティボディ圧縮処理1のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態のウェブコンテンツ変換編集システムで実行するHTTPエンティティボディ圧縮処理2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10 移動局、11 無線通信路、12 ウェブコンテンツ変換編集システム、13a アプリケーションサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局とコンテンツ提供元との間で送受信されるメッセージの変換編集を行うウェブコンテンツ変換編集システムであって、
前記移動局からのコンテンツを要求する要求メッセージを処理して前記コンテンツ提供元に送信する第1制御手段と、
前記要求メッセージに対応して前記コンテンツ提供元から取得した応答メッセージを処理して前記移動局へ送信する第2制御手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記移動局から圧縮されたコンテンツを要求する要求メッセージを受け取った際に、前記コンテンツ提供元から非圧縮とされているコンテンツを取得する要求メッセージに編集して前記コンテンツ提供元に送信するようにしたことを特徴とするウェブコンテンツ変換編集システム。
【請求項2】
前記第2制御手段は、前記編集した要求メッセージに応じて前記コンテンツ提供元から取得した非圧縮とされているコンテンツを、前記移動局から前記要求メッセージにより指定された圧縮タイプになるよう圧縮処理して前記移動局へ送信するようにしたことを特徴とする請求項1記載のウェブコンテンツ変換編集システム。
【請求項3】
前記移動局からのコンテンツを取得する要求メッセージに、受け入れられる圧縮タイプ情報が指定されていた場合は、前記第2制御手段は、前記移動局が受け入れることができるコンテンツサイズが少なくとも設定されている定義ファイルに設定されているコンテンツサイズと、前記編集した要求メッセージに対応して前記コンテンツ提供元から取得した非圧縮のコンテンツのコンテンツサイズとを対比して、取得した当該コンテンツのコンテンツサイズが前記定義ファイルに設定されているコンテンツサイズ以上とされている場合に、前記取得した非圧縮のコンテンツを指定された圧縮タイプになるよう圧縮処理して前記移動局へ送るようにしたことを特徴とする請求項1記載のウェブコンテンツ変換編集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−251031(P2008−251031A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128176(P2008−128176)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【分割の表示】特願2002−336649(P2002−336649)の分割
【原出願日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】