説明

ウェブ張力測定装置、および、その方法

【課題】本発明の課題は、印刷に悪影響を与えずに、印刷媒体の任意部分の微小領域の張力分布や変化の速い張力変動を測定する装置を提供することである。
【解決手段】
光源光を印刷媒体に照射する照射用光ファイバと、印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、導く受光用光ファイバと、印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器と、を備えて、印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを用いて、干渉縞データから、測定張力値を算出する印刷媒体張力測定装置と、印刷媒体の標準張力値と測定張力値とを比較して、テンションローラ制御データを算出する印刷制御装置と、テンションローラ制御データを取得して、テンションローラを制御するユニット装置と、から構成されることを特徴とする印刷システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ(巻取り印刷媒体、以下、印刷媒体)を印刷しているときの張力を測定する装置、および、その方法に関するものである。
【0002】
従来から、印刷媒体の印刷工程においては、印刷媒体の張力を測定することで、テンションロールを制御して、印刷媒体に適度な張りを持たせて、印刷を行っている。
【背景技術】
【0003】
たとえば、特許文献1では、印刷媒体の張力測定方法として、印刷媒体表面に圧縮空気を吹きかけて、非接触に圧力を加えて表面を変形させて、この変位量を光や超音波を用いて測定して、張力を求める技術が開示されている。(従来技術1)
【特許文献1】特開平5−126652号公報(2〜3ページ、図2、14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術1では、圧縮空気を吹きかけるので、印刷媒体に力学的な外乱要素を与えることになり、印刷媒体の印刷搬送が不安定になって、蛇行したり、しわが発生したりするという問題点があった。さらに、圧縮空気を吹きかけるので、印刷媒体が、テンションロールから浮上して抵抗がなくなり、所定の張力を与えられなくなるという不具合があった。他方、テンションロール上の印刷媒体では、圧縮空気を吹きかけても、変形しないので、印刷媒体の張力を測定できないという不具合があった。また、圧縮空気を用いるために、微小領域の張力分布の測定や早い変化の張力変動を測定できないという欠点があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術を考慮してなされたものであって、本発明の課題は、印刷に悪影響を与えずに、印刷媒体の任意部分の微小領域の張力分布や変化の速い張力変動を測定する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。すなわち、請求項1の発明は、印刷媒体張力測定装置と、印刷制御装置と、印刷ユニット装置と、から構成される印刷システムであって、前記印刷媒体張力測定装置は、印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データと、を記憶する記憶手段と、光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、 印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器と、印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力手段と、入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、測定張力値を算出する測定張力値算出手段と、前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成して、送信する張力データ作成送信手段と、を備えた測定装置であって、前記印刷制御装置は、印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けた標準張力データと、張力データと、テンションローラ制御データと、を記憶する記憶手段と、張力データを、受信する張力データ受信手段と、張力データの印刷媒体を特定する情報を取得して、標準張力データを参照して、この印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を選択して、張力データの測定張力値と前記選択した標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データを算出するテンションローラ制御データ算出手段と、テンションローラ制御データを送信するテンションローラ制御データ送信手段と、を備えた制御装置であって、前記印刷ユニット装置は、テンションローラ制御データを受信するテンションローラ制御データ受信手段と、テンションローラ制御データを取得して、テンションローラを制御するテンションローラ制御手段と、を備えたユニット装置である、ことを特徴とする印刷システムである。
【0007】
ここで、印刷媒体からの光(つまり、透過光、または、反射光)の干渉縞の間隔を測定することで印刷媒体(たとえば、透明フィルム)の膜厚を求めることができる。
【0008】
請求項2の発明は、印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、張力データと、を記憶する記憶手段と、光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器と、印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力手段と、入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、測定張力値を算出する測定張力値算出手段と、前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成して、送信する張力データ作成送信手段と、を備えることを特徴とする印刷媒体張力測定装置である。
【0009】
請求項3の発明は、光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、を用いて印刷媒体の張力を測定することで、印刷媒体の張力を制御して印刷する方法であって、印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データと、印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けた標準張力データと、テンションローラ制御データと、を用いて印刷媒体の張力を測定することで、印刷媒体の張力を制御して印刷する方法であって、印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器ステップと、印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力ステップと、入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、標準張力値を算出する標準張力値算出ステップと、前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成する張力データ作成ステップと、張力データの印刷媒体を特定する情報を取得して、標準張力データを参照して、この印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を選択して、張力データの測定張力値と前記選択した標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データを算出するテンションローラ制御データ算出ステップと、テンションローラ制御データを取得して、テンションローラを制御するテンションローラ制御ステップと、を含んだ手順でなされることを特徴とする印刷媒体張力制御方法である。
【0010】
請求項4の発明は、コンピュータに組込むことによって、コンピュータを、請求項1に記載の印刷システム、または、請求項2に記載の印刷媒体張力測定装置、として動作させるコンピュータプログラムである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、印刷媒体に外乱を与えず、安定した印刷媒体の走行状態を維持して、張力測定が行うことができる。また、印刷媒体の任意部分の微小領域の張力分布や速く変化する張力変動の測定において、精度良く、正確に、測定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例)
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。図1は、印刷媒体張力測定装置を備える印刷システムの概要を説明する図である。印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム1は、印刷媒体張力測定装置100と、印刷制御装置300と、印刷ユニット700と、から構成される。
【0014】
印刷媒体張力測定装置100は、物性データ191と、干渉縞データ193と、張力データ199と、照射用光ファイバ110と、受光用光ファイバ120と、を備える。
【0015】
なお、物性データ191は、印刷媒体を特定する情報(たとえば、フィルム製品番号)に印刷媒体500のヤング率と印刷媒体500の初期膜厚値とを対応付けたデータを含んだデータである。干渉縞データ193は、受光波長情報(たとえば、反射光波長情報)と受光量情報(たとえば、反射光量情報)とを対応付けたデータを含んだデータである。
【0016】
印刷制御装置300は、標準張力データ391と、張力データ199と、テンションローラ制御データと、を備える。
【0017】
なお、標準張力データ391は、印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けたデータである。
【0018】
印刷ユニット700は、テンションローラ710を備える。
【0019】
図2は、印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム1の大まかな処理の流れを説明する。
印刷媒体張力測定装置100は、印刷媒体を特定する情報(たとえば、フィルムの製品番号)の入力を受け付ける(図2(1))。
【0020】
印刷媒体張力測定装置100の照射用光ファイバ110は、光源光を、印刷媒体500に導き、照射する(同(2))。印刷媒体張力測定装置100の受光用光ファイバ120は、印刷媒体500からの、干渉縞を含む光(たとえば、透過光)を、受光して、印刷媒体張力測定装置100に導く(同(3))。
【0021】
印刷媒体張力測定装置100は、干渉縞を含む光(たとえば、透過光)を受光して、干渉縞データ193を作成して、保持する(同(4))。印刷媒体張力測定装置100は、印刷媒体を特定する情報を用いて、物性データ191から測定した印刷媒体500の物性データを取得して、干渉縞データ193から、測定張力値を算出する(同(5))。印刷媒体張力測定装置100は、算出した張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データ199を、作成して、これを印刷制御装置300に送信する(同(6))。
【0022】
印刷制御装置300は、張力データ199を、受信する(同(7))。印刷制御装置300は、標準張力データ391を参照して、張力データ199の印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を取得して、張力データ199の測定張力値と標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データ399を算出する(同(8))。
印刷制御装置300は、テンションローラ制御データ399を印刷ユニット700に送信する(同(9))。
【0023】
印刷ユニット700は、テンションローラ制御データ399を受信して、テンションローラ710を制御する(同(10))。
【0024】
図3は、印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム1の詳細な構成図である。
印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム1は、印刷媒体張力測定装置100と、印刷制御装置300と、印刷ユニット700と、から構成される。
【0025】
印刷媒体張力測定装置100は、照射用光ファイバ110と、受光用光ファイバ120と、分光器130と、印刷媒体特定情報入力手段140と、測定張力値算出手段160と、と、張力データ作成送信手段170と、記憶手段190と、を備える。記憶手段190は、物性データ191と、干渉縞データ193と、張力データ199と、を記憶する。
【0026】
物性データ191は、印刷媒体識別情報が対応付けられた印刷媒体500の初期膜厚値と印刷媒体500のヤング率情報とを含むデータである。干渉縞データ193は、受光波長情報(たとえば、反射光波長情報)と受光量情報(たとえば、反射光量情報)とを対応付けたデータを含む。
【0027】
照射用光ファイバ110は、光源光を、印刷媒体500に導いて、照射する。受光用光ファイバ120は、印刷媒体500からの、干渉縞を含む光(たとえば、透過光)を受光して、印刷媒体張力測定装置100まで、導く。分光器130は、印刷媒体500からの干渉縞を含む光を受光して、干渉縞データ193を作成して、メモリに記録する。印刷媒体特定情報入力手段140は、印刷媒体識別情報の入力を受け付ける。測定張力値算出手段160は、入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを選択して、干渉縞データから、測定張力値を算出する。
張力データ作成送信手段170は、前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データ199を作成して、送信する。
【0028】
印刷制御装置300は、張力データ受信手段380と、テンションローラ制御データ算出手段320と、テンションローラ制御データ送信手段370と、記憶手段390と、を備える。記憶手段390は、標準張力データ391と、張力データ199と、テンションローラ制御データ399と、を記憶する。
【0029】
標準張力データ391は、印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けたデータである。
【0030】
張力データ受信手段380は、張力データ199を、受信する。テンションローラ制御データ算出手段320は、張力データ199の印刷媒体を特定する情報を取得して、標準張力データ391を参照して、この印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を選択して、張力データ199の測定張力値と前記選択した標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データ399を算出する。テンションローラ制御データ送信手段370は、テンションローラ制御データ399を送信する。
【0031】
印刷ユニット700は、テンションローラ制御データ受信手段780と、テンションローラ制御手段720と、を備える。
【0032】
テンションローラ制御データ受信手段780は、テンションローラ制御データ399を受信する。テンションローラ制御手段720は、テンションローラ制御データ399を取得して、テンションローラ710を制御する。
【0033】
照射用光ファイバ110と、受光用光ファイバ120と、分光器130と、印刷媒体特定情報入力手段140と、測定張力値算出手段160と、と、張力データ作成送信手段170と、張力データ受信手段380と、テンションローラ制御データ算出手段320と、テンションローラ制御データ送信手段370と、テンションローラ制御データ受信手段780と、テンションローラ制御手段720と、は、コンピュータプログラムである。物性データ191と、干渉縞データ193と、張力データ199と、テンションローラ制御データ399と、は、コンピュータプログラムが可読なデータである。記憶手段190と、記憶手段390と、は、メモリである。
【0034】
図4は、物性データ191の形式を説明する図である。物性データ191の項目は、印刷媒体特定情報と、印刷媒体初期膜厚値と、印刷媒体ヤング率値と、から構成されている。
印刷媒体特定情報とは、印刷媒体500を特定する情報である。印刷媒体初期膜厚値とは、印刷媒体500の膜厚の初期値である。印刷媒体ヤング率値とは、印刷媒体500の弾性ヤング率の値である。印刷媒体特定情報は、印刷媒体初期膜厚値と印刷媒体ヤング率値とに対応付けられている。
【0035】
図5は、干渉縞データ193の説明図である。干渉縞データ193のグラフは、横軸が波長を、縦軸が受光強度を、表している。干渉縞データ193は、フィルムからの光(たとえば、透過光)による干渉縞が、受光強度の変化として、観測されたデータである。
【0036】
図5には、干渉縞の測定範囲には、最初の極大点(波長=544nm)から最後の極大点(673nm)までの極大点の個数が13個あるグラフが例示されている。ここで、極大点の個数は、極大周期の回数で数える。
【0037】
図6は、張力の算出式の説明図である。測定点の張力の算出式は、「 σ = E× d × n ( 1 / λ1 − 1 / λ2 ) / Δm 」である。ここで、σとは、測定点の張力であり、Eとは、フィルムのヤング率であり、dとは、フィルムの初期膜厚値であり、Δmとは、測定範囲の干渉縞の極大点の数(極大周期の回数)であり、nとは、フィルムの屈折率であり、λ1とλ2とは、測定範囲の干渉縞の最初と最後の極大点の波長値である。
【0038】
たとえば、ポリエチレンの「初期膜厚値=1.3mm」、「測定したポリエチレンの膜厚値=1.0mm」のときは、「伸び率=0.13%」であり、「ポリエチレンのヤング率=0.76Gpa」であるので、「ポリエチレンに加えられた張力=0.1kg /mm2」である。
【0039】
図7は、張力測定の詳細な説明図である。印刷媒体500は、テンションローラ710(フィーダローラ)により、張力が与えられている。印刷媒体500の張力測定点には、照射用光ファイバ110から光源光が照射されている。受光用光ファイバ120は、透過光を受光して、印刷媒体張力測定装置100に、導く。
【0040】
このように、光ファイバを用いることで、測定場所の空間が狭くても、測定可能である。
【0041】
ここで、受光用光ファイバ120は、印刷媒体500と、接近させた状態で固定しておくことが重要である。また、受光用光ファイバ120の視野を絞ることで、微小領域の張力測定が可能となる。
【0042】
図8は、張力分布の測定方法の説明図である。光ファイバは、フィルムの搬送方向と直角に移動させることで、フィルム幅方向の張力分布を測定することができる。
【0043】
印刷媒体の幅方向における張力分布を、細かい測定範囲で求めることができるので、張力の微調整が可能になる。
【0044】
次に、印刷媒体の反射光を測定して、印刷媒体の張力を測定する例を説明する。
(変形例)
図9は、反射光による印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム2の概要を説明する図である。
反射光による印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム2は、印刷媒体張力測定装置100と、印刷制御装置300と、印刷ユニット700と、から構成される。
【0045】
印刷媒体張力測定装置100は、Y字型光ファイバを備える。Y字型光ファイバとは、照射用光ファイバ110と、受光用光ファイバ120と、を束ねて、光源光の照射部と反射光の受信後部が一体になった光ファイバである。干渉縞データ193は、反射光波長情報と反射光量情報とを対応付けたデータを含んだデータである。その他の印刷媒体張力測定装置100の構成は、図1の印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム1と同じである。
【0046】
印刷制御装置300と、印刷ユニット700と、の構成は、図1の印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム1と同じである。
【0047】
図10は、反射光による印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム2の大まかな処理の流れを説明する。
印刷媒体張力測定装置100は、印刷媒体を特定する情報(たとえば、フィルムの製品番号)の入力を受け付ける(図10(1))と(図10(2))とは、(図2(1))と(図2(2))と同じである。印刷媒体張力測定装置100の受光用光ファイバ120は、印刷媒体500を反射した、干渉縞を含む反射光を、受光して、印刷媒体張力測定装置100に導く(図10(3))。
【0048】
印刷媒体張力測定装置100は、干渉縞を含む反射光を受光して、干渉縞データ193を作成して、保持する(図10(4))。(図10(5))と(図10(6))とは、(図2(5))と(図2(6))と同じである。
【0049】
印刷制御装置300と、印刷ユニット700と、の処理は、図2の処理と同じである。
【0050】
図11は、Y字型ファイバによる反射光の測定の説明図である。
Y字型ファイバは、光源光を、印刷媒体500に導く照射用光ファイバ110と、印刷媒体500から反射した干渉縞を含む反射光を受光する受光用光ファイバ120と、を、束ねている。照射用光ファイバ110の光源側と、受光用光ファイバ120の分光器側とは、離して、光源光照射部と反射光受信後部をまとめて一本にして、Y字型状となっている。
【0051】
なお、Y字型光ファイバを用いることで、照射用光ファイバ110と受光用光ファイバ120とを1本の光ファイバで兼ねているので、光ファイバの操作性が煩雑にならないという利点がある。
【0052】
以上詳しく説明したように、本願発明によれば、印刷媒体に外乱を与えず、安定した印刷媒体の走行状態を維持して、張力測定が行うことができた。
また、印刷媒体の任意部分の微小領域の張力分布や速く変化する張力変動の測定において、精度良く、正確に、測定することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム1の概要
【図2】印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム1の大まかな処理の流れ
【図3】印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム1の詳細な構成図
【図4】物性データの形式
【図5】干渉縞データ193の説明図
【図6】測定膜厚の算出式の説明図
【図7】張力測定の詳細な説明図
【図8】張力分布の測定方法
【図9】反射光による印刷媒体張力測定装置を有する印刷システム2の概要
【図10】反射光による印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム2の大まかな処理の流れ
【図11】Y字型ファイバによる反射光の測定の説明図
【符号の説明】
【0054】
1 印刷媒体張力測定装置を備える印刷システム
100印刷媒体張力測定装置
110 照射用光ファイバ
120 受光用光ファイバ
130 分光器
140 印刷媒体特定情報入力手段
160 測定張力値算出手段
170 張力データ作成送信手段
190 記憶手段
191 物性データ
193 干渉縞データ
199 張力データ
300 印刷制御装置
380 張力データ受信手段
320 テンションローラ制御データ算出手段
370 テンションローラ制御データ送信手段
390 記憶手段
199 張力データ
399 テンションローラ制御データ
700 印刷ユニット
780 テンションローラ制御データ受信手段
720 テンションローラ制御手段




【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体張力測定装置と、印刷制御装置と、印刷ユニット装置と、から構成される印刷システムであって、
前記印刷媒体張力測定装置は、
印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、
受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、
測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データと、
を記憶する記憶手段と、
光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、
印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、
印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器と、
印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力手段と、
入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、測定張力値を算出する測定張力値算出手段と、
前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成して、送信する張力データ作成送信手段と、
を備えた測定装置であって、
前記印刷制御装置は、
印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けた標準張力データと、張力データと、テンションローラ制御データと、を記憶する記憶手段と、張力データを、受信する張力データ受信手段と、
張力データの印刷媒体を特定する情報を取得して、標準張力データを参照して、この印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を選択して、張力データの測定張力値と前記選択した標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データを算出するテンションローラ制御データ算出手段と、
テンションローラ制御データを送信するテンションローラ制御データ送信手段と、
を備えた制御装置であって、
前記印刷ユニット装置は、
テンションローラ制御データを受信するテンションローラ制御データ受信手段と、
テンションローラ制御データを取得して、テンションローラを制御するテンションローラ制御手段と、
を備えたユニット装置である、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、
受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、
張力データと、
を記憶する記憶手段と、
光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、
印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、
印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器と、
印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力手段と、
入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、測定張力値を算出する測定張力値算出手段と、
前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成して、送信する張力データ作成送信手段と、
を備えることを特徴とする印刷媒体張力測定装置。
【請求項3】
光源光を、印刷媒体に導いて、照射する照射用光ファイバと、
印刷媒体からの干渉縞を含む光を受光して、印刷媒体張力測定装置まで、導く受光用光ファイバと、
を用いて印刷媒体の張力を測定することで、印刷媒体の張力を制御して印刷する方法であって、
印刷媒体を特定する情報が対応付けられた印刷媒体の初期膜厚値と印刷媒体のヤング率とを含む物性データと、
受光波長情報を対応付けた受光量情報を含む干渉縞データと、
測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データと、
印刷媒体を特定する情報と標準張力値を対応付けた標準張力データと、
テンションローラ制御データと、
を用いて印刷媒体の張力を測定することで、印刷媒体の張力を制御して印刷する方法であって、
印刷媒体からの光を受光して、干渉縞データを作成して、メモリに記録する分光器ステップと、
印刷媒体を特定する情報の入力を受け付ける手段印刷媒体を特定する情報入力ステップと、
入力された印刷媒体を特定する情報を取得して、物性データを参照して、印刷媒体を特定する情報に対応付けられた初期膜厚値とヤング率とを選択して、干渉縞データから、標準張力値を算出する標準張力値算出ステップと、
前記算出された測定張力値と印刷媒体を特定する情報を含む張力データを作成する張力データ作成ステップと、
張力データの印刷媒体を特定する情報を取得して、標準張力データを参照して、この印刷媒体を特定する情報に対応する標準張力値を選択して、張力データの測定張力値と前記選択した標準張力値とを比較して、テンションローラ制御データを算出するテンションローラ制御データ算出ステップと、
テンションローラ制御データを取得して、テンションローラを制御するテンションローラ制御ステップと、
を含んだ手順でなされることを特徴とする印刷媒体張力制御方法。
【請求項4】
コンピュータに組込むことによって、コンピュータを、請求項1に記載の印刷システム、または、請求項2に記載の印刷媒体張力測定装置、として動作させるコンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−246184(P2007−246184A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68453(P2006−68453)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】