説明

ウェブ搬送装置、印刷装置及び張力制御方法

【課題】ウェブ搬送開始時の張力を適正な張力とする。
【解決手段】制御部は、ウェブの搬送開始時に、ウェブの幅毎に張力発生ローラの回転位置を可変し、ウェブの搬送中に、テンションガイドが所定の範囲を維持するように、第2センサの検出信号に応じてモータを制御し、当該モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の位置データを保存し、当該位置データと所定の補正係数とを用いて、張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した初期動作位置を次回のウェブの搬送開始時の張力発生ローラの初期動作位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ搬送装置、印刷装置及び張力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ(巻取紙)に画像を形成する印刷装置において、送り穴を持たないウェブを搬送ローラ機構で搬送し、当該ウェブに画像を形成する技術が知られている。
【0003】
送り穴を持たないウェブの場合、印刷速度が速くなるに従って、ウェブを画像形成部に正確に搬送することが難しくなるため、例えば特許文献1の技術が提案されている。
【0004】
また、送り穴を持たないウェブの場合、印刷速度が速くなるに従って、ウェブ搬送開始時の搬送負荷が急激に変動するため、ウェブ搬送速度も変動してしまい、ウェブへの画像形成時に画像形成不良が生じてしまう。このため、例えば特許文献2には、ウェブに付与する張力を変化させることで、ウェブ搬送速度の変動を抑制し、画像形成不良を低減する技術が提案されている。
【0005】
また、使用するウェブの幅によりウェブに与える負荷が変わるため、搬送開始時にウェブに与える負荷が小さい場合、ウェブ搬送方向以外の方向に負荷が加わるとウェブ搬送の方向性が悪化し、ウェブの斜行や印刷品質が悪化する。また、使用するウェブの幅が広いほど通常の走行時の搬送負荷が大きく、搬送負荷の変動も急激なため画像形成不良の発生度合いも大きい。
【0006】
このため、例えば特許文献3には、ウェブの幅と連量により、ウェブ搬送開始時の張力発生ローラの回転位置を決定し、ウェブ搬送開始時の変動を抑制し、走行不良や画像形成不良を低減する技術が提案されている。
【0007】
また、例えば特許文献4には、張力が加わりにくいウェブを搬送する場合、張力発生ロールと当該張力発生ロールとは別に動作する張力調整ガイドとにより、搬送するウェブに適正な張力を付与する技術が提案されている。
【0008】
また、例えば特許文献5には、ウェブを挟むドラムと押圧ローラの押圧力によりウェブの張力を変化させるウェブの張力可変手段と、ウェブの張力の強弱を目視するためのバッファ機構とを有する印刷装置のウェブの張力付与装置において、ウェブ張力可変手段のドラムをバッファ機構と一体に構成する技術が提案されている。
【0009】
また、ウェブに張力を付与する場合、ウェブの幅、連量、平滑度、及び含水率などの条件を満たした最適な張力データを、ウェブ毎に準備する必要があるが、データ量が膨大になってしまう。このため、例えば特許文献6には、張力発生ロールを回転させて所定の回転位置に固定し、テンションアームの位置を検出し、検出した位置情報に基づいてウェブの搬送抵抗力を求める技術が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の従来技術のように、ウェブの幅と連量により、ウェブ搬送開始時の張力発生ローラの回転位置を決定しても、ウェブの材質や光沢、プレプリントとによる表面加工などのウェブの多様化、両面印刷等の印刷条件によりウェブ表面の平滑度や両面印刷等によりウェブの状態等が変化するなどの影響で、ウェブ搬送開始時の張力を一定にすることが出来ない。
【0011】
また、新しい種類のウェブを印刷した後に、オペレータが、ウェブ搬送開始時の張力が適正であるかを判断し、その新しい種類のウェブを次に印刷する時に、適正な張力の設定にして、印刷を開始することは、手間がかかる。
【0012】
また、オペレータの設定忘れなどにより、適正な張力が設定されていない場合もある。その為、目標張力よりも強い張力が設定されている場合は、画像形成不良が生じてしまい、目標張力よりも弱い張力が設定されている場合は、ウェブ搬送の安定度が低下することで、蛇行等の障害が生じてしまう。
【0013】
また、目標張力よりも弱い場合でも強い場合でも、短い時間の印刷を繰り返すような状態の場合、適正な張力がわからないまま、印刷を終了してしまう。
【0014】
また、張力発生ロールを所定の回転位置に固定しウェブの搬送抵抗力を求めた場合、自動装填制御や手動搬送制御などのプロセス速度と異なる搬送速度にて求められた搬送抵抗力は、プロセス速度における最適な搬送抵抗力とは言い難い。
【0015】
また、プロセス速度で搬送している最中に張力発生ロールを所定の回転位置に固定した場合、ウェブ搬送の安定度が低下することで、蛇行等の障害が生じてしまう。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ウェブ搬送開始時の張力を適正な張力とすることができるウェブ搬送装置、印刷装置及び張力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかるウェブ搬送装置は、ウェブを搬送する搬送機構と、偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備え、前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが連続的に変化している期間における最後の位置データを保存し、当該最後の位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の別の態様にかかるウェブ搬送装置は、ウェブを搬送する搬送機構と、偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備え、前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の位置データを保存し、当該位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別の態様にかかる印刷装置は、上記ウェブ搬送装置と、前記ウェブに画像を記録形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の別の態様にかかる張力制御方法は、ウェブを搬送する搬送機構と、偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備える装置の張力制御方法であって、前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが連続的に変化している期間における最後の位置データを保存し、当該最後の位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とする初期動作位置決定ステップを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の別の態様にかかる張力制御方法は、ウェブを搬送する搬送機構と、偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備える装置の張力制御方法であって、前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の位置データを保存し、当該位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とする初期動作位置決定ステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ウェブ搬送開始時の張力を適正な張力とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施形態の印刷装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本実施形態の張力発生機構の詳細構造の一例を示す構成図である。
【図3】図3は、本実施形態の張力発生ローラの動作の一例の説明図である。
【図4】図4は、本実施形態の張力発生ローラの動作の一例の説明図である。
【図5】図5は、張力発生ローラとウェブへ与える張力との関係の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、ウェブの平滑度とウェブへ与える張力との関係の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、ウェブ搬送中のウェブ張力変動の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、張力発生ローラが上下限値となった場合の動作の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかるウェブ搬送装置、印刷装置及び張力制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、ウェブ搬送機構に加え画像形成機構(画像形成部)を備える印刷装置について説明するが、画像形成機構(画像形成部)を備えずにウェブ搬送機構を備えるウェブ搬送装置についても同様に適用できる。ウェブ搬送装置は、例えば、印刷装置にウェブを搬送するウェブ搬送装置、印刷装置内でウェブを搬送するウェブ搬送装置、及び印刷装置から排出されたウェブを搬送するウェブ搬送装置などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、印刷装置と関連せずに単にウェブを搬送する装置であってもよい。
【0025】
図1は、本実施形態の印刷装置Pの一例を示す概略構成図である。図1に示すように、印刷装置Pは、ガイドローラ2と、ウェブ取り込みローラ3と、エアループ機構4と、エアバッファセンサ5と、画像形成部6と、ウェブ搬送機構7と、ウェブエッジガイド8と、張力発生機構9と、テンションガイド11とを、備える。
【0026】
ウェブ1は、印刷装置Pの前段に配置される用紙給紙装置(図示省略)から送られ、印刷装置Pの筺体下側を通り、ガイドローラ2を経て、ウェブ取り込みローラ3でエアループ機構4に搬送される。ウェブ1は、本実施形態では紙であるものとするが、これに限定されず、例えば、プラスティックフィルムなどであってもよい。
【0027】
エアバッファセンサ5は、エアループ機構4におけるウェブ1の弛み量を検出する。本実施形態では、エアバッファセンサ5が4個の光学式センサで実現される例を示しているが、これに限定されるものではない。エアループ機構4におけるウェブ1の弛み量は、エアバッファセンサ5で検出された弛み量に応じてウェブ取り込みローラ3の速度が制御されることにより、一定に維持される。
【0028】
画像形成部6は、ウェブ1に画像を記録形成する。ウェブ搬送機構7は、ウェブ1を画像形成部6に搬送する。ウェブエッジガイド8は、ウェブ搬送機構7の入り口付近におけるウェブ1の蛇行を補正するものであり、エアループ機構4の後段に配置されている。なお、ウェブ1の位置を補正するガイド部材の構造は公知であり、例えば、特許文献1などに開示されているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。張力発生機構9は、張力発生ローラ9aを有し、この張力発生ローラ9aによりウェブ1に適度な張力を付与する。張力が付与されたウェブ1は、テンションガイド11を介して画像形成部6に搬送される。
【0029】
図2は、本実施形態の張力発生機構9の詳細構造の一例を示す構成図である。図3及び図4は、本実施形態の張力発生ローラ9aの動作の一例の説明図である。図2〜図4に示すように、張力発生機構9は、張力発生ローラ9aと、複数の押し付けローラ9bと、ガイドシャフト9c、9dと、板バネ9eと、張力発生ローラ駆動モータ12と、張力発生ローラ位置検出センサ10と、テンションガイド11と、テンションアーム11aと、軸11bと、角度センサ13とを、備える。
【0030】
ウェブ1は、ガイドシャフト9c、9dに導かれて張力発生ローラ9aに接触するように走行する。張力発生ローラ9aと対向してウェブ1の反対側に複数個の押し付けローラ9bが配置されている。これらの押し付けローラ9bは、板バネ9eにより、ウェブ1を張力発生ローラ9a側に押し付けることにより張力を発生させている。
【0031】
張力発生ローラ9aの回転軸9fは、張力発生ローラ駆動モータ12に結合されており、張力発生ローラ駆動モータ12の回転に従って張力発生ローラ9aも回転する。回転軸9fは、図3に示すように、張力発生ローラ9aの中心軸より偏心した位置に取り付けられている。従って、回転軸9fと押し付けローラ9bとが、図3のような位置関係になると、ウェブ1に付与される張力が大きくなり、図4のような位置関係にあるときは、付与される張力は小さくなる。
【0032】
張力発生ローラ位置検出センサ10は、張力発生ローラ9aの回転位置を検出し、半円板10aと、半円板10aを挟むような位置に配置された部材10bとから、構成される。部材10bの一方に発光ダイオード(図示せず)を設け、他方に受光素子(図示せず)を配置し、張力発生ローラ位置検出センサ10は、半円板10aにより光が遮蔽されるか否かを検出することにより、張力発生ローラ9aの位置を検出する。
【0033】
これにより、張力発生ローラ9aが図3の位置にあるのか、図4の位置にあるのかを検知することが出来ると共に、ウェブ1に付与される張力が大きくなる方向に張力発生ローラ9aが回動しているのか、小さくなる方向に回動しているのか識別することが出来る。なお、この張力発生ローラ位置検出センサ10の構成は一例であり、この他の構成を取り得る。
【0034】
張力発生ローラ位置検出センサ10により検出された信号は、印刷制御装置14に入力され、張力発生ローラ駆動モータ12を制御するための制御信号として用いられる。
【0035】
一方、ガイドシャフト9dを通過したウェブ1は、テンションガイド11と接触して走行する。テンションガイド11は、テンションアーム11aに取り付けられ、テンションアーム11aは、軸11bを中心に回動可能に支持されている。テンションアーム11aが、図2の矢印の方向に回動すると、その回転角は角度センサ13により検出される。角度センサ13は、例えば回転角度に応じて抵抗値が変化するような構造で有ってもよい。
【0036】
この角度センサ13の検出信号は、印刷制御装置14に送られ、張力発生ローラ9aを駆動する張力発生ローラ駆動モータ12を制御するための制御信号として用いられる。
【0037】
印刷制御装置14の出力信号は、張力発生ローラ駆動モータ12の駆動回路15を介して、ステッピングモータ等の張力発生ローラ駆動モータ12に印加される。
【0038】
張力発生ローラ位置検出センサ10、角度センサ13のうち、張力発生ローラ位置検出センサ10は主として印刷開始時のようにウェブ1に急激な張力が発生する時の制御に用いられ、角度センサ13は通常、ウェブ搬送機構7に与える搬送負荷を一定に保つために用いられる。
【0039】
図5は、張力発生ローラ9aとウェブ1へ与える張力との関係の一例を示す説明図である。
【0040】
印刷装置Pは、多種多様なウェブに対応するため、印刷に先立ち、張力発生ローラ設定情報として、ウェブ1の幅と連量により設定される張力発生ローラ9aの初期回転位置データDfや目標張力データなどを、上位コントローラCやオペレータパネルOPなどの外部入力装置から設定出来る機能を備える。更に、印刷装置Pには、上位コントローラCから、印刷装置Pにて算出される張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsが送信される。
【0041】
例えば、ウェブ1が初めて印刷装置Pで印刷される場合、印刷装置Pには、上位コントローラCから、ウェブ1の張力発生ローラ設定情報として、初期回転位置データDf、目標張力データ、及び初期回転位置フィードバックデータDsが送信される。この場合の初期回転位置フィードバックデータDsには、不定情報がセットされている。
【0042】
初期回転位置データDfとしては、使用するウェブ1の幅によりウェブ1に与える負荷が変わるため、本実施形態では、ウェブ搬送開始時に所定の張力とすることの出来る張力発生ローラ9aの回転位置データを、評価結果に基づいてウェブ1の幅毎に決定し、上位コントローラCの記憶領域エリア(図示せず)にデータテーブルとして準備している。なお、これに限定されるものではなく、評価結果に基づいて算出式を生成し、ウェブ搬送開始時に所定の張力とすることの出来る張力発生ローラ9aの回転位置データを算出しても良い。不定情報としては、本実施形態では、データがないケース[0]としている。なお、これに限定されるものではなく、張力発生ローラ9aの上下限位置データの範囲外としても良い。
【0043】
印刷制御装置14は、印刷要求により、印刷開始動作に入ると、張力発生ローラ9a上の弛み取りを目的に、所定の回数、張力発生ローラ9aを回転させ、張力発生ローラ9aを始点へ移動する。印刷制御装置14は、張力発生ローラ9aが始点への移動を完了した後、張力発生ローラ9aをウェブ1の所定の回転位置θ1に移動する。
【0044】
印刷制御装置14は、印刷準備が整い、ウェブ1の搬送が開始されるのと同タイミングで、通常であれば初期回転位置フィードバックデータDsを所定の回転位置θ2へ設定し、張力発生ローラ9aを回転位置θ2へ移動する。但し、ここでは、初期回転位置フィードバックデータDsに不定情報がセットされている為、印刷制御装置14は、初期回転位置データDfを所定の回転位置θ2へ設定し、張力発生ローラ9aを回転位置θ2へ移動する。
【0045】
ウェブ1の搬送中は、ウェブ1へ与える目標張力を維持するため、テンションアーム11aの回転角を、角度センサ13により検出する。角度センサ13により検出されたテンションアーム11aの検出信号は、印刷制御装置14に送られ、ウェブ1へ与える目標張力を維持するために必要な、張力発生ローラ9aを駆動する張力発生ローラ駆動モータ12の制御信号が生成され、張力発生ローラ9aの張力発生ローラ駆動モータ12の駆動回路15へ送信される。制御信号を受信した駆動回路15は、制御信号を張力発生ローラ駆動モータ12へ印加し、張力発生ローラ9aをコントロールする。
【0046】
目標張力としては、本実施形態では、評価結果に基づいて、ウェブ搬送中の張力を800gとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0047】
張力発生ローラ9aの回転位置データが同じでも、テンションアーム11aは、ウェブ1に印刷されている画像や、ミシン目等の凹凸の影響により微妙に上下動する。
【0048】
目標張力を維持する際、この微妙な上下動を角度センサ13が検出することで、張力発生ローラ9aがハンチングすることを防止するため、目標張力に相当するテンションアーム11aの位置から所定の範囲を目標張力域とし、目標張力域内では張力発生ローラ9aの回転位置を維持する様にコントロールされる。
【0049】
所定の範囲としては、本実施形態では、ウェブ搬送中の張力が800gとすることの出来るテンションアーム11aの制御目標位置に対し、+2°を超え強い張力となると、画像形成不良が生じてしまい、−2°未満となり弱い張力となると、ウェブ搬送の安定度が低下する。この評価結果に基づいて、±2°の範囲としている。なお、これに限定されるものではない。
【0050】
図6は、ウェブ1の平滑度とウェブ1へ与える張力との関係の一例を示す説明図である。図6では、ウェブ1の幅と連量により決められた所定の回転位置θ1、θ2でウェブ搬送を開始し、ウェブ搬送中にテンションアーム11aが目標張力で収束した場合のウェブ1に加わる張力の変化を示している。また、カーブ0が、標準的な平滑度のウェブ1を使用した場合であり、カーブ1が、同じ幅で平滑度の低い(滑りにくい)ウェブ1を使用した場合、カーブ2が、同じ幅で平滑度の高い(滑りやすい)ウェブ1を使用した場合を示している。なお、図5、図6の横軸は時間軸である。
【0051】
平滑度に違いがあっても、ウェブ搬送中は、テンションアーム11aが目標張力域内に収束するように張力発生ローラ9aが印刷制御装置14によりコントロールされる。
【0052】
ウェブ搬送中にコントロールされる目標張力は、ウェブ1の幅および連量、又は、平滑度や含水率等の状態に応じた最適な張力であり、その際の張力発生ローラ9aの回転位置が、最適な張力を与える回転位置データとなる。
【0053】
連続したウェブ1で印刷動作を実施するケースでは、給紙装置(図示せず)から給紙されたウェブ1の状態(ロール紙の外周側と芯側など)が経時的に変わる。また、両面印刷を実施するためにタンデム接続して印刷動作を実施するケースでは、1号機側のオイル塗布等により2号機側に搬送されるウェブ1の状態が経時的に変わる。
【0054】
このため、印刷制御装置14は、ウェブ1の搬送中、張力発生ローラ9aの回転位置データをコントロール周期で保存し、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置データDを、次回、ウェブ搬送開始時の張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeとする。
【0055】
コントロール周期としては、本実施形態では、センサ取り込み周期に準じ、260ms周期としている。なお、これに限定されるものではない。
【0056】
図7は、ウェブ搬送中のウェブ張力変動の一例を示す説明図である。
【0057】
図7では、ウェブ搬送開始から目標張力に収束するまでの期間をt1、ウェブ搬送中にテンションアーム11aが目標張力域内にコントロールされている期間をt2及びt4、タンデム接続した印刷動作において、1号機側の定着搬送部で停止していた部分が熱の影響により変形して、ウェブ1が2号機側のテンションガイド11を通過するタイミングや、印刷パターンなどの影響により局所的に張力が変化するページが通過するタイミングをt3としている。
【0058】
まず、ウェブ搬送開始から目標張力に収束していない状態では、張力発生ローラ9aの回転位置データDが所定の期間T、張力が連続的に一定のデータとならない為、期間t1であると判断できる。この期間(期間t1)では、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置データDを回転位置算出用データDeとする。
【0059】
次に、目標張力に収束し、張力発生ローラ9aの回転位置データDが所定の期間T、連続的に張力が一定のデータとなった場合は、期間t2であると判断できる。この期間では、ウェブ搬送中に、張力発生ローラ9aの回転位置データDが、所定の期間T、同じ位置を継続した場合、その回転位置算出用データDeとして、そのデータが変化する度に、Deの値を更新し続ける。
【0060】
所定の期間Tとしては、本実施形態では、評価結果に基づいて、テンションコントロール周期(260ms)が5回継続した1.3sとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0061】
また、期間t2になった後でも、局所的に張力が変化する期間t3が、発生する。しかし、期間t3は、張力が変化する為、所定の期間T、連続的に張力が一定とならない為、回転位置データDも一定のデータとならず、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeは更新されず、期間t2で最後に更新された回転位置算出用データDeを保持することになる。
【0062】
また、張力発生ローラ9aの回転位置が収束する期間t2以降は、所定の期間Tの間、張力発生ローラ9aの回転位置データDが同じ位置を継続することで、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeが更新されることになる。
【0063】
なお、所定の期間Tは、予め実測した結果に基づいて決定する。
【0064】
印刷制御装置14は、この結果取得した回転位置算出用データDeから、初期回転位置フィードバックデータDsを算出する。
【0065】
ウェブ搬送中、テンションアーム11aが目標張力域内に収束するようにコントロールされた、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeは、動的な状態で生成された回転位置データである。このため、回転位置算出用データDeを、静的な状態である、ウェブ搬送開始前の張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsとして設定した場合、張力の掛かり方が必ず同じとなるわけではない。
【0066】
このため、ウェブ搬送中、テンションアーム11aが目標張力域内に収束するようにコントロールされた、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeを、次回、ウェブ搬送開始前の張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsとして採用する場合、所定の補正係数Rにより補正する必要がある。なお、所定の補正係数Rは、動的な状態で生成された回転位置データを静的な状態で使用するための補正用回転位置データであり、試行(例えば、動的状態と静的状態とで回転位置のずれを複数回採取し、その平均値を採用する)を予め行うことにより適宜決定される。
【0067】
所定の補正係数Rとしては、目標張力から張力を300g弱めることが出来る、張力発生ローラ9aの回転データであり、本実施形態では、評価結果に基づいて72stepとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0068】
まず、印刷制御装置14は、ウェブ搬送中の目標張力となるテンションアーム位置Ppと、所定の補正係数Rから、ウェブ搬送開始時の目標張力となるテンションアーム位置Psを求める(数式(1)参照)。
【0069】
Ps=Pp+R …(1)
【0070】
続いて、印刷制御装置14は、ウェブ搬送中の角度センサ13により検出した現在のテンションアーム位置Pnと、ウェブ搬送開始時の目標張力となるテンションアーム位置Psとの差を求め、変換係数CNにより、テンションアーム11aがテンションアーム位置PnからPsへ移動するために必要な張力発生ローラ9aの回転データDmを算出する(数式(2)参照)。なお、変換係数CNは、テンションアーム11aの角度による加重変化率(単位:g/1°)であり、張力発生機構9の構成により適宜決定される。
【0071】
変換係数CNとしては、ステップ当たりの変化する加重データであり、本実施形態では、評価結果に基づいて40g/stepとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0072】
Dm=(Pn−Ps)×CN …(2)
【0073】
続いて、印刷制御装置14は、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeから、PnからPsへ移動するために必要な張力発生ローラ9aの回転データDmを減算し、ウェブ搬送開始時の目標張力となるテンションアーム位置Psに相当する張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsを算出する(数式(3)参照)。
【0074】
Ds=De−Dm …(3)
【0075】
印刷制御装置14は、算出した初期回転位置フィードバックデータDsを、上位コントローラCに送信し、上位コントローラC内でウェブ情報と共に、張力発生ローラ設定情報としてバックアップする。そして印刷制御装置14は、次回、同じ種類のウェブ1で印刷動作を実施する際、上位コントローラCからウェブ情報と共に、算出された張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsをリロードし、所定の回転位置θ2およびθ1にフィードバックする。具体的には、印刷制御装置14は、張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsを所定の回転位置θ2へ設定する。また、所定の回転位置θ2から所定の回転データαを減算した値が、所定の回転位置θ1となる。なお、所定の回転データαは、所定の回転位置θ1からθ2への回転データであり、ウェブの搬送開始時の挙動の試行(例えば、テスト印刷の品質変動確認)を予め行うことにより適宜決定される。
【0076】
所定の回転データαとしては、張力発生ローラ9aの回転データであり、本実施形態では、評価結果に基づいて67stepとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0077】
θ1=θ2−α …(4)
【0078】
但し、θ1の算出結果が0未満(マイナスデータ)となる場合は、θ1の下限値となる0を再設定する。
【0079】
なお、ウェブ搬送開始時の初期張力の方が、ウェブ搬送中の目標張力より強くなってしまう場合は、所定の補正係数Rに、張力を弱くする方向にテンションアーム11aを傾ける補正値を設定する。また、ウェブ搬送開始時の初期張力の方が、ウェブ搬送中の目標張力より弱くなってしまう場合は、所定の補正係数Rに、張力を強くする方向にテンションアーム11aを傾ける補正値を設定する。
【0080】
以上より、オペレータが適正テンションを設定する手間が省略できるだけでなく、初回印刷起動時から、最適な張力が設定出来ることになり、最大限に効果が発揮できる。
【0081】
但し、印刷制御装置14は、算出した張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsが、張力発生ローラ9aが適正な張力を掛けられる範囲を超えたデータとなる場合は、予め定められた、張力発生ローラ9aの上下限位置データにより、算出された張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsを再設定する。
【0082】
予め定められた、張力発生ローラ9aの上下限位置データとしては、本実施形態では、用紙に適正なテンションを与えることの出来るテンションロールの制御範囲が、評価結果に基づいて9°(20step)〜171°(380step)であり、下限値を9°(20step)、上限値を171°(380step)としている。なお、これに限定されるものではない。
【0083】
なお、予め実測した結果より、所定の補正係数Rを設定せず、張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsを算出した場合、ウェブ搬送開始時の初期張力の方が、ウェブ搬送中の目標張力より強くなる傾向が有る。
【0084】
ウェブ1の搬送方法としては、ウェブ搬送前の目標張力をウェブ搬送中の目標張力域より若干弱く設定し、ウェブ搬送後にテンションアーム11aが目標張力域内に収束することが理想であることから、印刷制御装置14は、所定の補正係数Rに、張力を弱くする方向にテンションアーム11aを傾ける補正値を設定することで、より効果が発揮できる。
【0085】
張力を弱くする方向にテンションアーム11aを傾ける補正値としては、張力発生ローラ9aの回転データαであり、本実施形態では、所定の補正係数Rに加算することで、張力を弱めることが出来るデータとしている。なお、これに限定されるものではない。
【0086】
図8は、張力発生ローラ9aが上下限値となった場合の動作の一例の説明図である。図8に示すように、ウェブの種類によっては、張力発生ローラ9aの回転位置が上下限値に達しても、テンションアーム11aが目標張力に収束しない場合が発生する。
【0087】
このような状態では、張力発生ローラ9aの回転位置データは上下限値を継続し、テンションアーム11aが目標張力に到達していなくても、収束した状態となることから、印刷制御装置14は、所定の期間、張力発生ローラ9aの回転位置が同じ位置を継続した場合の回転位置データDを、ウェブ搬送中の最終的な張力発生ローラ9aの回転位置算出用データDeとして、張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsの算出を実施する。
【0088】
算出された張力発生ローラ9aの初期回転位置フィードバックデータDsは、ウェブ1が搬送装置から無くなった場合やウェブ1の幅が変化した場合などウェブ1が交換されたと判断した場合や、上位コントローラCやオペレータパネルOPなどの外部入力装置から張力発生ローラ設定情報が変えられた場合、印刷装置Pの電源がオフされた場合、印刷制御装置14は、初期回転位置フィードバックデータDsをクリア、又はクリアしないことを選択することができるようになっている。これは、同品種のウェブ1でも、ウェブ1の保管状況や動作環境等の外的要因により、ウェブ1の負荷が変わるためである。その他にも、印刷制御装置14は、上位コントローラCやオペレータパネルOPなどの外部入力装置から、所定の時間Tおよび、所定の補正係数Rを変更可能としている。
【0089】
以上のように本実施形態では、モータの位置データが、連続的に変化している期間においては、張力発生ローラを回転駆動するモータの最終位置データを保存し、保存された位置データと、所定の補正係数により、張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した張力発生ローラの初期動作位置を、次回、ウェブの搬送開始時の張力発生ローラの初期動作位置とする。このため本実施形態によれば、目標張力よりも弱い場合でも強い場合でも、短い時間の印刷を繰り返すような状態の場合でも、ウェブ搬送開始時の張力を適正な張力とすることが可能となる。
【0090】
また本実施形態では、モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の、張力発生ローラを回転駆動するモータの位置データを保存し、保存された位置データと、所定の補正係数により、張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した張力発生ローラの初期動作位置を、次回、ウェブの搬送開始時の張力発生ローラの初期動作位置とする。このため本実施形態によれば、ウェブ搬送開始時の張力を一定にすることが可能となり、目標張力よりも強い張力が設定されることによる画像形成不良や、目標張力よりも弱い張力が設定されウェブ搬送の安定度が低下することによる蛇行等の障害を抑止することが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
1 ウェブ
2 ガイドローラ
3 ウェブ取り込みローラ
4 エアループ機構
5 エアバッファセンサ
6 画像形成部
7 ウェブ搬送機構
8 ウェブエッジガイド
9 張力発生機構
9a 張力発生ローラ
9b 押し付けローラ
9c、9d ガイドシャフト
9e 板バネ
9f 回転軸
10 張力発生ローラ位置検出センサ
10a 半円板
10b 部材
11 テンションガイド
11a テンションアーム
11b 軸
12 張力発生ローラ駆動モータ
13 角度センサ
14 印刷制御装置
15 駆動回路
P 印刷装置
C 上位コントローラ
OP オペレータパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特開2001−335206号公報
【特許文献2】特開2003−327356号公報
【特許文献3】特開2004−182457号公報
【特許文献4】特開2006−248722号公報
【特許文献5】特開2004−250203号公報
【特許文献6】特開2011−046489号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを搬送する搬送機構と、
偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、
前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備え、
前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが連続的に変化している期間における最後の位置データを保存し、当該最後の位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とするウェブ搬送装置。
【請求項2】
ウェブを搬送する搬送機構と、
偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、
前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備え、
前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の位置データを保存し、当該位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とするウェブ搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、算出した前記初期動作位置が、前記張力発生ローラが適正な張力を掛けられる範囲を超えた場合、前記張力発生ローラの上下限位置データを次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置が、前記ウェブの搬送中の前記テンションガイドの所定の範囲より下側となるように張力を弱める値を、前記所定の補正係数に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ウェブの搬送中に、前記モータの位置データの上下限値により、前記テンションガイドが所定の範囲外で収束した場合、前記テンションガイドが所定の範囲外で収束した時の前記モータの位置データを、次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とすることを特徴とする請求項2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ウェブが交換された場合、前記ウェブの搬送方法が可変された場合、前記張力発生ローラの初期張力データが可変された場合、前記張力発生ローラの目標張力データが可変された場合、又は前記印刷装置の電源スイッチがOFFされた場合、次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置をクリアすることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、外部からの入力に基づき、前記所定の期間を設定又は可変することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項8】
前記制御手段は、外部からの入力に基づき、前記所定の補正係数を設定又は可変することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のウェブ搬送装置と、
前記ウェブに画像を記録形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
ウェブを搬送する搬送機構と、
偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、
前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備える装置の張力制御方法であって、
前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが連続的に変化している期間における最後の位置データを保存し、当該最後の位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とする初期動作位置決定ステップを含むことを特徴とする張力制御方法。
【請求項11】
ウェブを搬送する搬送機構と、
偏心して位置する回転軸を中心にモータにより回転駆動される張力発生ローラと、前記張力発生ローラの回転位置を検出する第1センサと、前記張力発生ローラに前記ウェブを押し付ける押し付けローラと、前記張力発生ローラ及び前記押し付けローラにより、前記ウェブに発生する張力の大きさに応じて回動するテンションガイドと、前記テンションガイドの回動位置を検出する第2センサと、を有し、前記搬送機構に送られる前記ウェブに張力を付与する張力発生機構と、
前記第1センサ及び前記第2センサの検出信号に応じて、前記モータを制御し、前記張力発生ローラの回転位置を制御する制御手段とを、備える装置の張力制御方法であって、
前記制御手段は、前記ウェブの搬送開始時に、前記ウェブの幅毎に前記張力発生ローラの回転位置を可変し、前記ウェブの搬送中に、前記テンションガイドが所定の範囲を維持するように、前記第2センサの検出信号に応じて前記モータを制御し、当該モータの位置データが所定の期間、同じ値を継続した際の位置データを保存し、当該位置データと所定の補正係数とを用いて、前記張力発生ローラの初期動作位置を算出し、算出した前記初期動作位置を次回の前記ウェブの搬送開始時の前記張力発生ローラの初期動作位置とする初期動作位置決定ステップを含むことを特徴とする張力制御方法。
【請求項12】
前記装置は、前記ウェブに画像を記録形成する画像形成部を更に備えることを特徴とする請求項10又は11に記載の張力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−79148(P2013−79148A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125339(P2012−125339)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】