説明

ウエスト周り伸縮自在ボトムズ

【課題】ウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいて、前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させ、かつ、生産性を高めること。
【解決手段】スーツ用ズボン1は、脇線LS,RSの上端にタック5が設けられたことで、延出部3Bと収容部3Aとの間に接続された主弾性材が伸縮してウエスト周りが伸縮するのに伴ってタック5が開閉するために、前身頃4及び後身頃9の上部にシワ等が生ずるのが防止され、タック5は脇線LS,RSに沿って設けられているため閉じた状態では脇線LS,RSと一体となり、開いた状態でも脇線LS,RSの延長線上にあるため、目立つことがなく、更に脇線LS,RSに沿って収容部の開口端3Abが設けられているため延長線上にある線として一体に認識され、その上ベルト通し7が設けられているため、目立つことがなく、見栄えが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト部に重ね合せ部を備えたウエスト部を有する被服、すなわち、スーツ用ズボンや綿パン等のパンツ(ズボン)、スカート、キュロットスカート等(以下、「ボトムズ(bottoms)」という)のウエストサイズを伸縮自在としたボトムズの見栄えを良くしたウエスト周り伸縮自在ボトムズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パンツ(ズボン)等のボトムズの既製品のベルト部のサイズは、例えば、69cm、72cm、75cmといったように所定間隔で設定されており、購入者は自己のベルトサイズに近いものを選択して購入し、自己のベルトサイズに修正したり、革ベルト等によって矯正したりして着用している。しかしながら、ベルトサイズを修正する場合には修正作業が必要で手間及び費用を要し、革ベルト等によって矯正する場合にはパンツ等のベルト部にシワが生じてテザイン的に好ましくなく、更に着用した際の快適性も劣るという問題がある。
【0003】
そこで、これを解決したものとして、本発明者の発明に係る特許文献1及び特許文献2に記載された特許発明等の技術が公知である。すなわち、パンツ等のベルト部の横側、前側の一部にゴム等の弾性材を介在させ、この弾性材によってベルトサイズを伸縮させることができるようにしたものである。更に、本発明者は、これらの特許発明を改良して、伸縮自在にするために形成されている隙間を広げたときでもその見栄えを良くするとともに、滑らかな伸縮が可能な被服のウエストサイズ伸縮自在構造についての発明をし、この発明について特許出願をして特許を受けている(特許文献3)。
【0004】
この特許文献3に開示された特許発明においては、主弾性材の弾性力により収容部に挿入された延出部が収容部裏地のみと摺接するためその接触抵抗が少なくなり、延出部と収容部との滑らかな動きが可能となるとともに、収容部の表側及び裏側から見た収容部の内側には収容部裏地が取付けられているので、ウエスト部の芯材が見えたりして商品イメージを低下させるということがない。
【特許文献1】特許第2578079号公報
【特許文献2】特許第2518804号公報
【特許文献3】特許第3964595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の技術においては、延出部と収容部との動きに追従して前身頃にシワが生じないようにするために、1対以上のタックを設けており、このタックの折れ曲がり部分が外側から見えるため、ボトムズを始めとする被服のウエストサイズが伸縮するたびにタックが開閉するのが明らかに分かり、美観を損ねるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明においては、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、該重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、両脇の脇線に沿って前記両脇の脇線の上端にタックが設けられるとともに、前記タックの近傍に前記ベルト部の重ね合せ部が設けられ、前記両脇の脇線に沿って前記収容部の開口端が設けられたものである。
【0008】
請求項2の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、該重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、両脇の脇線に沿って前記両脇の脇線の上端の近傍の裏側にタックが設けられるとともに、前記タックの近傍に前記ベルト部の重ね合せ部が設けられ、前記両脇の脇線に沿って前記収容部の開口端が設けられたものである。
【0009】
請求項3の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項1または請求項2の構成において、前記両脇の脇線の近傍に、または前記両脇の脇線に沿って、ポケットが設けられたものである。
【0010】
ここで、「ポケット」としては、外縁が直線の脇ポケット、外縁が略L字型形状のLポケット、その変形で外縁が略S字型形状のSポケット、等を始めとしてどのような外縁形状を有するものでも良い。また、「ポケット」は両脇に設けられることが必要であるが、両脇のポケットが左右対称であることは必須要件ではなく、右脇のポケットと左脇のポケットとが種類が異なるものでも良い。
【0011】
請求項4の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項3の構成において、前記ポケットは外縁が前記ベルト部の前記両脇の脇線の近傍の前中心方向から前記両脇の脇線に向かって直線状に伸びた脇ポケットであるものである。
【0012】
請求項5の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項3の構成において、前記ポケットは外縁が略L字型形状を有するLポケットであるものである。
【0013】
請求項6の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項3の構成において、前記ポケットは前記タックの下の前記脇線にポケット口を有する脇中間ポケットまたは前記脇線の近傍の前中心よりにポケット口を有するポケットであるものである。
【0014】
請求項7の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記ベルト部において前記収容部の開口端に沿ってベルト通しが設けられたものである。
【0015】
請求項8の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、請求項1乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記脇線の上端はその折り目(脇山線)の裏側またはその近傍に芯材が貼り付けられたものである。ここで、芯材は脇線の上端の折り目(脇山線)の裏側またはその近傍に接着剤で貼り付けられても良いし、芯材として接着芯を用いて、アイロンプレス等によって貼り付けられても良い。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出するベルト部に形成された延出部と、重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、延出部と収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、両脇の脇線に沿って両脇の脇線の上端にタックが設けられるとともに、タックの近傍にベルト部の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線に沿って収容部の開口端が設けられている。
【0017】
このように、両脇の脇線の上端にタックが設けられたことによって、延出部と収容部との間に両端が接続された主弾性材が伸縮してウエスト周りが伸縮するのに伴って、タックが開閉するために、ベルト部に縫付けられたボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのが防止される。そして、タックは、ボトムズの前身頃と後身頃が接ぎ合わされて形成される脇線に沿って設けられているため、閉じた状態では脇線と一体となり、開いた状態でも脇線の延長線上にあるため、目立つことがなく見栄えを向上させることができる。
【0018】
また、タックの近傍にベルト部の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線に沿って収容部の開口端が設けられているために、収容部の開口端も脇線の延長線上にある線として一体に認識され、収容部の開口端も目立つことがなく見栄えを向上させることができる。そして、脇線もタックも収容部の開口端も、全て狭い範囲内に集中しているため、ボトムズの縫製作業を狭い範囲内で集中して行うことができ、縫製の回数も少なくなるため、生産性の高いウエスト周り伸縮自在ボトムズとすることができる。
【0019】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0020】
請求項2の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出するベルト部に形成された延出部と、重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、延出部と収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、両脇の脇線に沿って両脇の脇線の上端の近傍の裏側にタックが設けられるとともに、タックの近傍にベルト部の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線に沿って収容部の開口端が設けられている。
【0021】
このように、両脇の脇線の上端の近傍の裏側にタックが設けられたことによって、延出部と収容部との間に両端が接続された主弾性材が伸縮してウエスト周りが伸縮するのに伴って、タックが開閉するために、ベルト部に縫付けられたボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのが防止される。そして、タックは、ボトムズの脇線の近傍の裏側に設けられているためタックの折れ曲がり線は外側からは見えず、閉じた状態でも開いた状態でも目立つことがなく、見栄えを向上させることができる。
【0022】
また、タックの近傍にベルト部の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線に沿って収容部の開口端が設けられているために、収容部の開口端も脇線の延長線上にある線として一体に認識され、収容部の開口端も目立つことがなく見栄えを向上させることができる。そして、脇線もタックも収容部の開口端も、全て狭い範囲内に集中しているため、ボトムズの縫製作業を狭い範囲内で集中して行うことができ、縫製の回数も少なくなるため、生産性の高いウエスト周り伸縮自在ボトムズとすることができる。
【0023】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0024】
請求項3の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、両脇の脇線の近傍に、または両脇の脇線に沿って、ポケットが設けられている。ここで、「ポケット」としては、外縁が直線の脇ポケット、外縁が略L字型形状のLポケット、その変形で外縁が略S字型形状のSポケット、等を始めとしてどのような外縁形状を有するものでも良い。また、「ポケット」は両脇に設けられることが必要であるが、両脇のポケットが左右対称であることは必須要件ではなく、右脇のポケットと左脇のポケットとが種類が異なるものでも良い。
【0025】
このようにポケットが設けられることによって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、両脇に小物を収容できるスペースが確保されて、より使い易いウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。そして、両脇の脇線の近傍にポケットが設けられることによって、脇線と一体になったタックはポケットの後端の線として認識され、より目立つことがない。また、両脇の脇線に沿ってポケットが設けられることによって、ポケット口が脇線と一体になって、より目立つことがないポケットとなる。
【0026】
このようにして、より使い易く、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0027】
請求項4の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、ポケットは外縁がベルト部の両脇の脇線の近傍の前中心方向から両脇の脇線に向かって直線状に伸びた脇ポケットである。
【0028】
したがって、請求項3に記載の効果に加えて、スーツ用ズボン等のフォーマルなボトムズにも、ジーンズ・綿パン等のカジュアルなボトムズにもマッチするポケットである、脇ポケットの設けられたウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいて、見栄えを向上させることができる。
【0029】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0030】
請求項5の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、ポケットは外縁が略L字型形状を有するLポケットである。
【0031】
したがって、請求項3に記載の効果に加えて、特にジーンズ・綿パン等のカジュアルなボトムズにマッチするポケットであり、また婦人用パンツのポケットとしても適したポケットであるLポケットの設けられたウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいて、見栄えを向上させることができる。
【0032】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0033】
請求項6の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、ポケットはタックの下の脇線にポケット口を有する脇中間ポケットまたは脇線の近傍の前中心よりにポケット口を有するポケットである。
【0034】
これらのポケットは、骨盤の大きい婦人が着用してもポケット口にシワ等が生ずることがないため、特に婦人用パンツのポケットとして適したポケットである。したがって、請求項3に記載の効果に加えて、特に婦人用パンツとして適したウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0035】
このようにして、特に婦人用パンツとして適しており、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0036】
請求項7の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、ベルト部において収容部の開口端に沿ってベルト通しが設けられている。
【0037】
したがって、請求項1乃至請求項6に記載の効果に加えて、両脇の脇線に沿って設けられているために目立つことがない収容部の開口端が、更にベルト通しによって隠されるため、外側から見え難くなり、一層見栄えが向上する。
【0038】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【0039】
請求項8の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズにおいては、脇線の上端はその折り目(脇山線)の裏側またはその近傍に芯材が貼り付けられている。ここで、芯材は脇山線の裏側またはその近傍に接着剤で貼り付けられても良いし、芯材として接着芯を用いて、アイロンプレス等によって貼り付けられても良い。
【0040】
したがって、請求項1乃至請求項7に記載の効果に加えて、着用してタックが開く際に立ち上がり易い脇線の上端の折り目(脇山線)が立ち上がるのを、脇山線の裏側またはその近傍に芯材を貼り付けることによって折り目(脇山線)が開き易くすることで防止して、タックが開くときに脇山線が立ち上がって見栄えが損なわれるのを、確実に防止することができる。
【0041】
このようにして、ボトムズの前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タックや収容部の開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0043】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図1乃至図4を参照して説明する。
【0044】
図1(a)は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図2は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図である。図3(a),(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。図4(a),(b),(c)は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【0045】
図1(a)に示されるように、本実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン1は、前身頃4の脇線LS,RSの近傍に左右1対の脇ポケット2を有しており、これらの脇ポケット2の後端に当る脇線LS,RSの上端にタック5が設けられており、これらのタック5の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0046】
すなわち、ベルト部3には前身頃4の脇線LS,RSの上部の近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。そして、ベルト部3の伸縮に伴って、脇線LS,RSの上端に設けられたタック5が開閉する。
【0047】
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図1(b)に示されるように、タック5は閉じていて脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端と一致しており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図1(c)に示されるように、タック5が開いて脇線LS,RSの延長線がベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端と一致する。
【0048】
更に、図1(b)に示されるように、ベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端を隠すように、ベルト通し7がベルト部3に設けられている。なお、脇ポケット2の袋布が表側から見えないようにするために、前身頃4と共地のウール生地からなる当て布6が左右1対の脇ポケット2の袋布の外側から見える部分に縫付けられている。
【0049】
また、図1(b),(c)に示されるように、収容部3A及び延出部3Bの上下端にはベルト布ステッチ3a,3bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ3a,3bを施すのが一般的であるが、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1等のフォーマルなボトムズでは、ベルト布ステッチを施さない場合もある。以下の図2乃至図4,図6,図7においては、図を見易くするため、ベルト布ステッチの図示を省略する。
【0050】
次に、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1におけるタック5の形成方法について、図2を参照して説明する。図2は左脇の脇ポケットの近傍を拡大して示した図である。
【0051】
図2に示されるように、前身頃4と後身頃9とが接ぎ合わされて、左側の脇線LSが形成されるが、ここで前身頃4の上端は脇線LSから離れて脇ポケット2の外縁2Aを形成し、その裏側には脇ポケット2のポケット袋布8が縫付けられ、またポケット袋布8には当て布6が縫付けられて、その端は後身頃9と接ぎ合わされて左側の脇線LSの上部を形成する。そして、更にポケット袋布8及び当て布6の上端を折り曲げることによって、タック5が形成される。
【0052】
ここで、図3に示されるように、タック5の折り目(脇山線)5aの裏側またはその近傍には、折り目(脇山線)5aを折り曲げる前に予め芯材14,14A,14B,14Cが貼り付けられている。これによって、着用する際に立ち上がり易いタック5の折り目(脇山線)5aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)5aが開き易くすることによって防止して、タック5が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。特に、図3(d)に示されるように、タック5の折り目(脇山線)5aの裏側の、折り目5aから離れた近傍に芯材14Cを貼り付けるのが、より効果的である。
【0053】
図2に示されるように、これらの前身頃4及び後身頃9の上部に、収容部3Aを構成するベルト布3Aa及び延出部3Bを構成するベルト布3Baが、収容部の開口端3Abが脇線LSの延長線上に位置するように縫付けられる。なお、収容部3Aを構成するベルト布3Aaは、スーツ用ズボン1の前身頃4及び後身頃9と共地のウール生地であり、延出部3Bを構成するベルト布3Baもスーツ用ズボン1の前身頃4及び後身頃9と共地のウール生地である。
【0054】
このようにして、左側の脇線LSに沿ってタック5が形成され、右側の脇ポケット2の近傍にも、同様にして右側の脇線RSに沿ってタック5が形成される。このように、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1においては、要部が左右の脇線LS,RSの近傍に集中しているため、縫製の回数が少なくなり、生産効率が向上する。
【0055】
次に、ウエスト周り伸縮自在構造について、図4を参照して説明する。図4は左側の脇ポケット2の近傍をスーツ用ズボン1の裏側から見て示したものである。図4(a)に示されるように、収容部3A及び延出部3B内には、芯材としてのソフト芯SC及びハード芯HCが、アイロンプレスによって貼り付けられている。そして、収容部3Aと延出部3Bとの間に、主弾性材としての幅の広いゴムテープ10が縫付けられている。
【0056】
ここで、図4(a),(b)に示されるように、収容部3Aの端3Abは表裏ともベルト部3の長手方向に対して略垂直であり、また収容部3Aを構成するベルト布3Aaの開口部近傍の内側には、延出部3Bの滑りを良くするために、伸縮性を有しない生地としてのポリエステル系生地からなる接着布13が、ソフト芯SC及びハード芯HCの上からアイロンプレスによって貼り付けられている。
【0057】
これら延出部3Bの先端と収容部3Aの内側とが、収容部3Aの内部において主弾性材としての幅の広いゴムテープ10によって接続されている。更に、ゴムテープ10には伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材11が縫付けられており、ゴムテープ10に引っ張り力が掛かっても、この伸び止め材11が折り畳まれている長さまでしか伸びることができない。
【0058】
すなわち、伸び止め材11によって、ゴムテープ10の最大伸び長さが規定されている。これによって、ゴムテープ10が過度に伸びるのを防止して、ゴムテープ10の寿命を長くするようにしている。このゴムテープ10に対する伸び止め材11の作用は、以下の各実施の形態においても全く同様であり、伸び止め材11が折り畳まれている長さによって、各実施の形態におけるウエスト周りの伸縮長さを決定している。なお、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1においては、伸び止め材11の折り畳み部分の長さを約2cmとして、ウエスト周りの伸縮長さを約2cmとしている。
【0059】
また、図4(c)に示されるように、脇ポケット2のポケット袋布8の上端と延出部3Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続しており、これによってウエスト周り伸縮自在構造によって延出部3Bが移動する際に脇ポケット2のポケット袋布8の形状が崩れたりして見栄えが悪くなるのを防ぐ働きをしている。
【0060】
このような構造を有する収容部3Aを輪にして下端で閉じるとともに、図4(c)に示されるように、収容部3Aの下端にスーツ用ズボン1の後身頃9の側を縫付け、延出部3Bを閉じるとともに、延出部3Bの下端に脇ポケット2の外縁2Aを形成するスーツ用ズボン1の前身頃4の側を縫付けることによって、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1の縫製が完了する。
【0061】
すなわち、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1は、両脇の脇線LS,RSに沿って両脇の脇線LS,RSの上端にタック5が設けられるとともに、両脇の脇線LS,RSから前中心FC方向に向かってポケット2が設けられ、タック5の近傍にベルト部3の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線LS,RSに沿って収容部の開口端3Abが設けられ、ポケット2は外縁2Aがベルト部3の両脇の脇線LS,RSの近傍の前中心FC方向から両脇の脇線LS,RSに向かって直線状に伸びた脇ポケット2である。
【0062】
更に、ベルト部3において収容部の開口端3Abに沿ってベルト通し7が設けられており、またタック5はその折り目(脇山線)5aの裏側またはその近傍に芯材14,14A,14B,14Cが貼り付けられている。したがって、本実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン1は、請求項1,請求項3,請求項4,請求項7及び請求項8に係る発明のウエスト周り伸縮自在ボトムズに該当する。
【0063】
これによって、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1は、両脇の脇線LS,RSの上端にタック5が設けられたことによって、延出部3Bと収容部3Aとの間に両端が接続された主弾性材10が伸縮してウエスト周りが伸縮するのに伴って、タック5が開閉するために、ベルト部3に縫付けられた前身頃4及び後身頃9の上部にシワ等が生ずるのが防止される。そして、タック5は、前身頃4と後身頃9が接ぎ合わされて形成される脇線LS,RSに沿って設けられているため、閉じた状態では脇線LS,RSと一体となり、開いた状態でも脇線LS,RSの延長線上にあるため、目立つことがなく見栄えが向上する。
【0064】
また、脇ポケット2も脇線LS,RSから前中心FC方向に向かって設けられているため、脇線LS,RSと一体になったタック5は脇ポケット2の後端の線として認識され、目立つことがない。更に、タック5の近傍にベルト部3の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線LS,RSに沿って収容部の開口端3Abが設けられているために、収容部の開口端3Abも脇線LS,RSの延長線上にある線として一体に認識され、その上収容部の開口端3Abに沿ってベルト通し7が設けられているため、目立つことがなく見栄えを向上させることができる。
【0065】
そして、脇線LS,RSもタック5も収容部の開口端3Abも、全て狭い範囲内に集中しているため、スーツ用ズボン1の縫製作業を狭い範囲内で集中して行うことができ、縫製の回数も少なくなるため、生産性の高いウエスト周り伸縮自在ボトムズとすることができる。また、着用する際に立ち上がり易いタック5の折り目(脇山線)5aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)5aの裏側またはその近傍に芯材14,14A,14B,14Cを貼り付けることによって、折り目(脇山線)5aが開き易くすることで防止して、タック5が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。
【0066】
このようにして、本実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン1においては、前身頃4及び後身頃9の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック5や収容部の開口端3Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0067】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図5乃至図7を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0068】
図5(a)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図6(a)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。図7(a),(b),(c)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【0069】
図5(a)に示されるように、本実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン16は、前身頃4の脇線LS,RSの近傍に左右1対の脇ポケット2を有しており、これらの脇ポケット2の後端に当る脇線LS,RSの上端の近傍の裏側にタック17が設けられており、これらのタック17の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0070】
すなわち、ベルト部3には前身頃4の脇線LS,RSの上部の近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。そして、ベルト部3の伸縮に伴って、脇線LS,RSの上端の裏側に設けられたタック17が開閉する。
【0071】
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図5(b)に示されるように、タック17は閉じていて脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端と一致しており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図5(c)に示されるように、タック17が開いて脇線LS,RSの延長線がベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端と一致する。
【0072】
その他の構造については、上記実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン1と同様である。すなわち、図5(b)に示されるように、ベルト部3に設けられた収容部3Aの開口端を隠すように、ベルト通し7がベルト部3に設けられており、脇ポケット2の袋布が表側から見えないようにするために、前身頃4と共地のウール生地からなる当て布6が左右1対の脇ポケット2の袋布の外側から見える部分に縫付けられている。
【0073】
次に、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16におけるタック17の形成方法について、図6を参照して説明する。図6は左脇の脇ポケットの近傍を拡大して示した図である。
【0074】
図6(a)に示されるように、前身頃4と後身頃9とが接ぎ合わされて、左側の脇線LSが形成されるが、ここで前身頃4の上端は脇線LSから離れて脇ポケット2の外縁2Aを形成し、その裏側には脇ポケット2のポケット袋布8が縫付けられ、またポケット袋布8には当て布6が縫付けられて、ポケット袋布8及び当て布6の端18は、後身頃9と接ぎ合わされて左側の脇線LSの上部を形成する。
【0075】
そして、ポケット袋布8及び当て布6の端18の上端を折り曲げることによって、タック17が形成される。ここで、図6(b),(c)に示されるように、タック17の折り目(脇山線)17aの裏側またはその近傍には、折り目(脇山線)17aを折り曲げる前に予め芯材14または芯材14Cが貼り付けられている。これによって、着用する際に立ち上がり易いタック17の折り目(脇山線)17aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)17aが開き易くすることによって防止して、タック17が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。特に、図6(c)に示されるように、タック5の折り目5aの裏側の、折り目5aから離れた近傍に芯材14Cを貼り付けるのが、より効果的である。
【0076】
これらの前身頃4と後身頃9の上部に、収容部3Aを構成するベルト布3Aa及び延出部3Bを構成するベルト布3Baが、収容部の開口端3Abが脇線LSの延長線上に位置するように縫付けられる。このようにして、左側の脇線LSに沿ってタック17が形成され、右側の脇ポケット2の近傍にも、同様にして右側の脇線RSに沿ってタック17が形成される。このように、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16においては、要部が左右の脇線LS,RSの近傍に集中しているため、縫製の回数が少なくなり、生産効率が向上する。
【0077】
図7に示されるように、ウエスト周り伸縮自在構造についても、上記実施の形態1に係るスーツ用ズボン1と同様であるが、収容部3Aと延出部3Bとの配置のみが、上記実施の形態1に係るスーツ用ズボン1とは逆になっている。すなわち、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16においては、前中心FC側に収容部3Aが設けられており、後身頃9側に延出部3Bが設けられている。なお、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16においては、伸び止め材11の折り畳み部分の長さを約2.5cmとして、ウエスト周りの伸縮長さを約2.5cmとしている。
【0078】
このような構造を有する収容部3Aを輪にして下端で閉じるとともに、図7(c)に示されるように、延出部3Bの下端にスーツ用ズボン16の後身頃9の側を縫付け、延出部3Bを閉じるとともに、収容部3Aの下端に脇ポケット2の外縁2Aを形成するスーツ用ズボン16の前身頃4の側を縫付けることによって、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16の縫製が完了する。
【0079】
すなわち、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン16は、両脇の脇線LS,RSに沿って両脇の脇線LS,RSの上端の裏側にタック17が設けられるとともに、両脇の脇線LS,RSから前中心FC方向に向かってポケット2が設けられ、タック17の近傍にベルト部3の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線LS,RSに沿って収容部の開口端3Abが設けられ、ポケット2は外縁2Aがベルト部3の両脇の脇線LS,RSの近傍の前中心FC方向から両脇の脇線LS,RSに向かって直線状に伸びた脇ポケット2である。
【0080】
更に、ベルト部3において収容部の開口端3Abに沿ってベルト通し7が設けられており、またタック17はその折り目(脇山線)17aの裏側に芯材14が貼り付けられている。したがって、本実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン16は、請求項2,請求項3,請求項4,請求項7及び請求項8に係る発明のウエスト周り伸縮自在ボトムズに該当する。
【0081】
このようにして、本実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン16においては、前身頃4及び後身頃9の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック17や収容部の開口端3Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0082】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図8乃至図10を参照して説明する。
【0083】
図8(a)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図9(a)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。図10(a),(b),(c)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【0084】
図8(a)に示されるように、本実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン21は、前身頃24の脇線LS,RSの近傍に左右1対のLポケット22を有しており、これらのLポケット22の後端に当る脇線LS,RSの上端にタック25が設けられており、これらのタック25の近傍に、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0085】
すなわち、ベルト部23には前身頃24の脇線LS,RSの上部の近傍に、収容部23Aとその収容部23A内に挿入される延出部23Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部23Bの先端と収容部23Aとが収容部23A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としている。そして、ベルト部23の伸縮に伴って、脇線LS,RSの上端に設けられたタック25が開閉する。
【0086】
これによって、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図8(b)に示されるように、タック25は閉じていて脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致しており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図8(c)に示されるように、タック25が開いて脇線LS,RSの延長線がベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致する。
【0087】
更に、図8(b)に示されるように、ベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端を隠すように、ベルト通し27がベルト部23に設けられている。なお、Lポケット22の袋布が表側から見えないようにするために、前身頃24と共地の綿生地からなる当て布26が左右1対のLポケット22の袋布の外側から見える部分に縫付けられている。
【0088】
また、図8(b),(c)に示されるように、収容部23A及び延出部23Bの上下端にはベルト布ステッチ23a,23bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ23a,23bを施すのが一般的であるが、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21等のカジュアルなボトムズでも、婦人用のものについてはベルト布ステッチを施さない場合もある。以下の図9,図10,図12,図13,図18乃至図20,図22乃至図27においては、図を見易くするため、ベルト布ステッチの図示を省略する。
【0089】
次に、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21におけるタック25の形成方法について、図9を参照して説明する。図9は左脇のLポケットの近傍を拡大して示した図である。
【0090】
図9に示されるように、前身頃24と後身頃29とが接ぎ合わされて、左側の脇線LSが形成されるが、ここで前身頃24の上端は脇線LSから離れてLポケット22の外縁22Aを形成し、その裏側にはLポケット22のポケット袋布28が縫付けられ、またポケット袋布28には当て布26が縫付けられて、その端は後身頃29と接ぎ合わされて左側の脇線LSの上部を形成する。
【0091】
そして、更にポケット袋布28及び当て布26の上端を折り曲げることによって、タック25が形成される。ここで、図9(b),(c)に示されるように、タック25の折り目(脇山線)25aの裏側はタックの折り目の裏側またはその近傍には、折り目(脇山線)25aを折り曲げる前に予め芯材14,または芯材14Cが貼り付けられている。これによって、着用する際に立ち上がり易いタック25の折り目(脇山線)25aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)25aが開き易くすることによって防止して、タック25が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。特に、図9(c)に示されるように、タック5の折り目(脇山線)25aの裏側の、折り目25aから離れた近傍に芯材14Cを貼り付けるのが、より効果的である。
【0092】
これらの前身頃24と後身頃29の上部に、収容部23Aを構成するベルト布23Aa及び延出部23Bを構成するベルト布23Baが、収容部の開口端23Abが脇線LSの延長線上に位置するように縫付けられる。なお、収容部23Aを構成するベルト布23Aaは、Lポケット付き綿パン21の前身頃24及び後身頃29と共地の綿生地であり、延出部23Bを構成するベルト布23BaもLポケット付き綿パン21の前身頃24及び後身頃29と共地の綿生地である。
【0093】
このようにして、左側の脇線LSに沿ってタック25が形成され、右側のLポケット22の近傍にも、同様にして右側の脇線RSに沿ってタック25が形成される。このように、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21においては、要部が左右の脇線LS,RSの近傍に集中しているため、縫製の回数が少なくなり、生産効率が向上する。
【0094】
次に、ウエスト周り伸縮自在構造について、図10を参照して説明する。図10は左側のLポケット22の近傍をLポケット付き綿パン21の裏側から見て示したものである。図10(a)に示されるように、収容部23A及び延出部23B内には、芯材としてのソフト芯SC及びハード芯HCが、アイロンプレスによって貼り付けられている。そして、収容部23Aと延出部23Bとの間に、主弾性材としての幅の広いゴムテープ10が縫付けられている。
【0095】
ここで、図10(a),(b)に示されるように、収容部23Aの端23Abは表裏ともベルト部23の長手方向に対して略垂直であり、また収容部23Aを構成するベルト布23Aaの開口部近傍の内側には、延出部23Bの滑りを良くするために、伸縮性を有しない生地としてのポリエステル系生地からなる接着布13が、ソフト芯SC及びハード芯HCの上からアイロンプレスによって貼り付けられている。なお、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21においては、伸び止め材11の折り畳み部分の長さを約2.2cmとして、ウエスト周りの伸縮長さを約2.2cmとしている。
【0096】
また、図10(c)に示されるように、Lポケット22のポケット袋布28の上端と延出部23Bの下端とを補助弾性材としての幅の細いゴムテープ12で接続しており、これによってウエスト周り伸縮自在構造によって延出部23Bが移動する際にLポケット22のポケット袋布28の形状が崩れたりして見栄えが悪くなるのを防ぐ働きをしている。
【0097】
このような構造を有する収容部23Aを輪にして下端で閉じるとともに、図10(c)に示されるように、収容部23Aの下端にLポケット付き綿パン21の後身頃29の側を縫付け、延出部23Bを閉じるとともに、延出部23Bの下端にLポケット22の外縁22Aを形成するLポケット付き綿パン21の前身頃24の側を縫付けることによって、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21の縫製が完了する。
【0098】
すなわち、本実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21は、両脇の脇線LS,RSに沿って両脇の脇線LS,RSの上端にタック25が設けられるとともに、両脇の脇線LS,RSから前中心FC方向に向かってポケット22が設けられ、タック25の近傍にベルト部23の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線LS,RSに沿って収容部の開口端23Abが設けられ、ポケット22は外縁22Aが略L字型形状を有するLポケット22である。
【0099】
更に、ベルト部23において収容部の開口端23Abに沿ってベルト通し27が設けられており、またタック25はその折り目(脇山線)25aの裏側に芯材14が貼り付けられている。したがって、本実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン21は、請求項1,請求項3,請求項5,請求項7及び請求項8に係る発明のウエスト周り伸縮自在ボトムズに該当する。
【0100】
このようにして、本実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン21においては、前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック25や収容部の開口端23Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0101】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図11乃至図13を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0102】
図11(a)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図12(a)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。図13(a),(b),(c)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【0103】
図11(a)に示されるように、本実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31は、前身頃24の脇線LS,RSの近傍に左右1対のLポケット22を有しており、これらのLポケット22の後端に当る脇線LS,RSの上端の裏側にタック32が設けられており、これらのタック32の近傍に、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0104】
すなわち、ベルト部23には前身頃24の脇線LS,RSの上部の近傍に、収容部23Aとその収容部23A内に挿入される延出部23Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部23Bの先端と収容部23Aとが収容部23A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されることによって、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としている。そして、ベルト部23の伸縮に伴って、脇線LS,RSの上端の裏側に設けられたタック32が開閉する。
【0105】
これによって、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図11(b)に示されるように、タック32は閉じていて裏側において脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致しており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図11(c)に示されるように、タック32が開いて収容部23Aの開口端からは離れるが、なお脇線LS,RSの延長線上に位置しているため、目立たず見栄えを損ねることがない。
【0106】
次に、本実施の形態4に係るLポケット付き綿パン31におけるタック32の形成方法について、図12を参照して説明する。図12(a)は左脇のLポケットの近傍を拡大して示した図である。
【0107】
図12(a)に示されるように、前身頃24と後身頃29とが接ぎ合わされて、左側の脇線LSが形成されるが、ここで前身頃24の上端は脇線LSから離れてLポケット22の外縁22Aを形成し、その裏側にはLポケット22のポケット袋布28が縫付けられ、またポケット袋布28には当て布26が縫付けられて、ポケット袋布28及び当て布26の端33は、後身頃29と接ぎ合わされて左側の脇線LSの上部を形成する。
【0108】
そして、ポケット袋布28及び当て布26の端33の上端を折り曲げることによって、タック32が形成される。ここで、図12(b),(c)に示されるように、タック32の折り目(脇山線)32aの裏側またはその近傍には、折り目(脇山線)32aを折り曲げる前に予め芯材14または芯材14Cが貼り付けられている。これによって、着用する際に立ち上がり易いタック32の折り目(脇山線)32aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)32aが開き易くすることによって防止して、タック32が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。特に、図12(c)に示されるように、タック32の折り目(脇山線)32aの裏側の、折り目32aから離れた近傍に芯材14Cを貼り付けるのが、より効果的である。
【0109】
これらの前身頃24と後身頃29の上部に、収容部23Aを構成するベルト布23Aa及び延出部23Bを構成するベルト布23Baが、収容部の開口端23Abが脇線LSの延長線上に位置するように縫付けられる。このようにして、左側の脇線LSに沿ってタック32が形成され、右側のLポケット22の近傍にも、同様にして右側の脇線RSに沿ってタック32が形成される。このように、本実施の形態4に係るLポケット付き綿パン31においては、要部が左右の脇線LS,RSの近傍に集中しているため、縫製の回数が少なくなり、生産効率が向上する。
【0110】
図13に示されるように、ウエスト周り伸縮自在構造についても、上記実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21と同様であるが、収容部23Aと延出部23Bとの配置のみが、上記実施の形態3に係るLポケット付き綿パン21とは逆になっている。すなわち、前中心FC側に収容部23Aが設けられており、後身頃29側に延出部23Bが設けられている。なお、本実施の形態4に係るLポケット付き綿パン21においては、伸び止め材11の折り畳み部分の長さを約2.5cmとして、ウエスト周りの伸縮長さを約2.5cmとしている。
【0111】
このようにして、本実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31においては、前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック32や収容部の開口端23Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0112】
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図14を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態1,2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0113】
図14(a)は本発明の実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【0114】
図14(a)に示されるように、本実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン36においては、前身頃4の脇線LS,RSの近傍に左右1対の脇ポケットがなく、脇線LS,RSの上部にそれぞれタック17が設けられている。タック17の形成の方法及びタック17の構造は、上記実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様である。これらのタック17の近傍に、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0115】
すなわち、ベルト部3には左右1対のタック17の近傍に、収容部3Aとその収容部3A内に挿入される延出部3Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されるとともに、脇線LS,RSの上部に1対のタック17を設けることによって、ベルト部3の見掛け上の長さを伸縮自在としている。なお、ウエスト周り伸縮自在構造についても、上記実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様である。
【0116】
これによって、ベルト部3に引っ張り力が掛かっていない場合には、図14(b)に示されるように、タック17は折り畳まれた状態にあって脇線LS,RSと一体となっており、ベルト部3に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図14(c)に示されるように、延出部3Bの近傍の前身頃4も延出部3Bと一体に移動して、タック17が拡げられる。
【0117】
なお、図14(b),(c)に示されるように、収容部3A及び延出部3Bの上下端にはベルト布ステッチ3a,3bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ3a,3bを施すのが一般的であるが、本実施の形態5に係るスーツ用ズボン36等のフォーマルなボトムズでは、ベルト布ステッチを施さない場合もある。
【0118】
このようにして、本実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボン36においては、前身頃4及び後身頃9の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック5や収容部の開口端3Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0119】
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図15及び図16を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態3,4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0120】
図15(a)は本発明の実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図16(a)は本発明の実施の形態6の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図、(b)は本発明の実施の形態6の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図、(c)は本発明の実施の形態6の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図である。
【0121】
図15(a)に示されるように、本実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40においては、前身頃24の脇線LS,RSの上部にそれぞれタック25が設けられ、このタック25のすぐ下にポケット口39を有する脇中間ポケット38がそれぞれ設けられている。これらのタック25の近傍に、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0122】
すなわち、ベルト部23には左右1対のタック25の近傍に、収容部23Aとその収容部23A内に挿入される延出部23Bからなる重ね合せ部が形成されており、延出部23Bの先端と収容部23Aとが収容部23A内において主弾性材としてのゴムテープで接続されるとともに、脇線LS,RSの上部に1対のタック25を設けることによって、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としている。
【0123】
これによって、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図15(b)に示されるように、タック25は折り畳まれた状態にあって脇線LS,RSと一体となっており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図15(c)に示されるように、延出部23Bの近傍の前身頃24も延出部23Bと一体に移動して、タック25が拡げられる。
【0124】
なお、図15(b),(c)に示されるように、収容部23A及び延出部23Bの上下端にはベルト布ステッチ23a,23bが施されている。ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムズにおいては、このようなベルト布ステッチ23a,23bを施すのが一般的であるが、本実施の形態6に係る婦人用パンツ40等のボトムズでは、ベルト布ステッチを施さない場合もある。
【0125】
また、本実施の形態6に係る婦人用パンツ40において、上記実施の形態1,2のような脇ポケットではなく脇中間ポケット38が設けられているのは、女性は骨盤が大きいので、通常の脇ポケットを設けると着用したときにポケット口が変形し易く余り好まれないが、かかる脇中間ポケット38ではそのような恐れがないため、上記実施の形態3,4で述べたようなLポケットと同様に、婦人用パンツのポケットとして好ましいからである。
【0126】
次に、本実施の形態6の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Aについて、図16(a)を参照して説明する。本実施の形態6の第1変形例に係る婦人用パンツ40Aの基本的な構造は、上述した本実施の形態6に係る婦人用パンツ40とほぼ同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
図16(a)に示されるように、第1変形例に係る婦人用パンツ40Aが上述した婦人用パンツ40と異なるのは、タック25のすぐ下にポケット口39を有する脇中間ポケット38を設ける代わりに、タック25の近傍の前中心側に片玉縁のポケット口39Aを有する片玉縁ポケット38Aを設けた点である。
【0128】
このような構成を有する本実施の形態6の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Aは、タック25の近傍に片玉縁のポケット口39Aを有する片玉縁ポケット38Aを設けたため、骨盤の大きい女性が着用してもポケット口39Aが変形して見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0129】
次に、本実施の形態6の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Bについて、図16(b)を参照して説明する。本実施の形態6の第2変形例に係る婦人用パンツ40Bの基本的な構造は、上述した本実施の形態6に係る婦人用パンツ40とほぼ同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
図16(b)に示されるように、第2変形例に係る婦人用パンツ40Bが上述した婦人用パンツ40と異なるのは、タック25のすぐ下にポケット口39を有する脇中間ポケット38を設ける代わりに、タック25の近傍の前中心側に両玉縁のポケット口39Bを有する両玉縁ポケット38Bを設けた点である。
【0131】
このような構成を有する本実施の形態6の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Bは、タック25の近傍に両玉縁のポケット口39Bを有する両玉縁ポケット38Bを設けたため、骨盤の大きい女性が着用してもポケット口20Aが変形して見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0132】
次に、本実施の形態6の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Cについて、図16(c)を参照して説明する。本実施の形態6の第3変形例に係る婦人用パンツ40Cの基本的な構造は、上述した本実施の形態6に係る婦人用パンツ40とほぼ同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
図16(c)に示されるように、第3変形例に係る婦人用パンツ40Cが上述した婦人用パンツ40と異なるのは、タック25のすぐ下にポケット口39を有する脇中間ポケット38を設ける代わりに、タック25の近傍の前中心側にフラップ付きのポケット口39Cを有するフラップ付きポケット38Cを設けた点である。
【0134】
このような構成を有する本実施の形態6の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40Cは、タック25の近傍にフラップ付きのポケット口39Cを有するフラップ付きポケット38Cを設けたため、骨盤の大きい女性が着用してもポケット口39Cが変形して見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0135】
このようにして、本実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40,40A,40B,40Cにおいては、ウエスト周りが伸縮する際に、両脇LS,RSの上部に設けられたタック25が開閉することによって前身頃24にシワがよることがなく、より見栄えの良いウエスト周り伸縮自在ボトムズとなる。したがって、本実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40,40A,40B,40Cは、請求項1,請求項3,請求項6,請求項7及び請求項8の発明に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズに該当する。
【0136】
これによって、本実施の形態6に係る婦人用パンツ40,40A,40B,40Cは、両脇の脇線LS,RSの上端にタック25が設けられたことによって、延出部23Bと収容部23Aとの間に両端が接続された主弾性材10が伸縮してウエスト周りが伸縮するのに伴って、タック25が開閉するために、ベルト部23に縫付けられた前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのが防止される。そして、タック25は、前身頃24と後身頃29が接ぎ合わされて形成される脇線LS,RSに沿って設けられているため、閉じた状態では脇線LS,RSと一体となり、開いた状態でも脇線LS,RSの延長線上にあるため、目立つことがなく見栄えが向上する。
【0137】
また、タック25の近傍にベルト部23の重ね合せ部が設けられ、両脇の脇線LS,RSに沿って収容部の開口端23Abが設けられているために、収容部の開口端23Abも脇線LS,RSの延長線上にある線として一体に認識され、その上収容部の開口端23Abに沿ってベルト通し27が設けられているため、目立つことがなく見栄えを向上させることができる。
【0138】
そして、脇線LS,RSもタック17も収容部の開口端3Abも、全て狭い範囲内に集中しているため、婦人用パンツ40,40A,40B,40Cの縫製作業を狭い範囲内で集中して行うことができ、縫製の回数も少なくなるため、生産性の高いウエスト周り伸縮自在ボトムズとすることができる。また、着用する際に立ち上がり易いタック25の折り目(脇山線)25aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)25aの裏側に芯材14を貼り付けることによって、折り目(脇山線)25aが開き易くすることで防止して、タック25が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。
【0139】
このようにして、本実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしての婦人用パンツ40,40A,40B,40Cにおいては、前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック25や収容部の開口端23Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0140】
実施の形態7
次に、本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図17乃至図21を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、図11乃至図13と同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0141】
図17(a)は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図18(a)は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【0142】
図19は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。図20(a)は本発明の実施の形態7の変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図21(a)は本発明の実施の形態7の変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【0143】
図17(a)に示されるように、本実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン41は、前身頃24の脇線LS,RSの近傍に左右1対のLポケット22を有しており、これらのLポケット22の後端に当る脇線LS,RSの上端の裏側にタック42が設けられており、これらのタック42の近傍に、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0144】
図18(a)に示されるように、本実施の形態7に係るLポケット付き綿パン41においては、左側の脇線LSに沿った後身頃29の折り目42aから離れた位置において、後身頃29とポケット袋布28,当て布26の端がステッチ43で縫付けられることによって、タック42が形成される。
【0145】
ここで、図18(b),(c)に示されるように、タック42の折り目(脇山線)42aの裏側またはその近傍には、折り目(脇山線)42aを折り曲げる前に予め芯材14または芯材14Cが貼り付けられている。これによって、着用する際に立ち上がり易いタック42の折り目(脇山線)42aが立ち上がるのを、折り目(脇山線)42aが開き易くすることによって防止して、タック42が開くときに見栄えが損なわれるのを確実に防止することができる。
【0146】
そして、図19に示されるように、収容部23Aを輪にして下端で閉じるとともに、延出部23Bの下端にLポケット付き綿パン41の後身頃29の側を縫付け、延出部23Bを閉じるとともに、収容部23Aの下端にLポケット22の外縁22Aを形成するLポケット付き綿パン41の前身頃24の側を縫付けることによって、本実施の形態7に係るLポケット付き綿パン41の縫製が完了する。
【0147】
これによって、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図17(b)に示されるように、タック42は閉じていて折り目42aは脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致しており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図17(c)に示されるように、タック42が開いて折り目42aは収容部23Aの開口端からは離れるが、なお脇線LS,RSの延長線上に位置しているため、目立たず見栄えを損ねることがない。
【0148】
また、図21(a)に示されるように、本実施の形態7の変形例に係るLポケット付き綿パン41Aにおいては、左側の脇線LSに沿った後身頃29の折り目42aから離れた位置において、後身頃29とポケット袋布28,当て布26の端がステッチ43で縫付けられてタック42が形成されるとともに、後身頃29の折り返し部分に切れ目44及びコバステッチ45が施される。そして、ポケット袋布28と当て布26は中間部分で細く折り返されて、デザインステッチ22Bによって縫付けられる。
【0149】
これによって、本実施の形態7の変形例に係るLポケット付き綿パン41Aは、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図20(a)に示されるように、タック42は閉じていて折り目42a及びデザインステッチ22Bは脇線LSと一致しており、また脇線LSはベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致しており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図20(b)に示されるように、タック42が開いて折り目42aは収容部23Aの開口端からは離れるが、なお脇線LSの延長線上に位置しており、更にデザインステッチ22Bが脇線LSと収容部23Aの開口端をつないでいるため、目立たず見栄えを損ねることがない。
【0150】
このようにして、本実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン41,41Aにおいては、前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック42や収容部の開口端23Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0151】
実施の形態8
次に、本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図22及び図23を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズは、一部を除いて上記実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズと同様の構造を有しているため、図8乃至図10と同一の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0152】
図22(a)は本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。 図23は本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図である。
【0153】
図22(a)に示されるように、本実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン46は、前身頃24の脇線LS,RSの近傍に左右1対のLポケット22を有しており、これらのLポケット22の後端に当る脇線LS,RSの上端にタック47が設けられており、これらのタック47の近傍に、ベルト部23の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在構造を有している。
【0154】
図23に示されるように、本実施の形態8に係るLポケット付き綿パン46においては、左側の脇線LSに沿ったポケット袋布28,当て布26の折り目47aから離れた位置において、ポケット袋布28,当て布26の端と後身頃29の端がステッチ48で縫付けられることによって、タック47が形成される。
【0155】
これによって、ベルト部23に引っ張り力が掛かっていない場合には、図22(b)に示されるように、タック47は閉じていて折り目47aは脇線LS,RSと一致しており、また脇線LS,RSはベルト部23に設けられた収容部23Aの開口端と一致しており、ベルト部23に引っ張り力が掛かってウエスト周りが伸びると、図22(c)に示されるように、タック47が開いて折り目47aは収容部23Aの開口端からは離れるが、なお脇線LS,RSの延長線上に位置しているため、目立たず見栄えを損ねることがない。
【0156】
このようにして、本実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン46においては、前身頃24及び後身頃29の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック47や収容部の開口端23Abを目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができるという作用効果が得られる。
【0157】
実施の形態9
次に、本発明の実施の形態9に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズについて、図24乃至図27を参照して説明する。図24(a)は本発明の実施の形態9に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。図25(a)は本発明の実施の形態9の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【0158】
図26(a)は本発明の実施の形態9の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。 図27(a)は本発明の実施の形態9の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図、(b)は本発明の実施の形態9の第4変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図、(c)は本発明の実施の形態9の第5変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【0159】
図24(a),(b)に示されるように、本実施の形態9に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン51は、左脇線LS及び図示しない右脇線の近傍に、角張ったL字形状の外縁52aを有するLポケット52を有し、外縁52aの二箇所に黒色の飾りボタン56が取付けられている。なお、タック55の形成方法や伸縮自在のベルト部53の構造については、図11乃至図13に示される実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31と同様である。
【0160】
また、図25(a),(b)に示されるように、本実施の形態9の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン51Aは、左脇線LS及び図示しない右脇線の近傍に、角張ったL字形状の外縁52Aaを有するLポケット52Aを有し、外縁52Aaの二箇所に白色の飾りボタン56Aが取付けられている。なお、タック55Aの形成方法や伸縮自在のベルト部54の構造については、図8乃至図10に示される実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン21と同様である。
【0161】
更に、図26(a),(b)に示されるように、本実施の形態9の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン51Bは、左脇線LS及び図示しない右脇線の近傍に、縦方向に長い角張ったL字形状の外縁52Baを有するLポケット52Bを有する。なお、タック55Bの形成方法や伸縮自在のベルト部54の構造については、図8乃至図10に示される実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン21と同様である。
【0162】
また、図27(a)に示されるように、本実施の形態9の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズ51Cは、左脇線LS及び図示しない右脇線RSの近傍に、直線形状の外縁52Caを有する脇ポケット52Cを有し、脇線LS,RSの上端56Cが外縁52Caとほぼ平行にデザインステッチを施されており、意匠的にも優れたものとなっている。なお、タック55Cの形成方法や伸縮自在のベルト部53の構造については、図11乃至図13に示される実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31と同様である。
【0163】
更に、図27(b)に示されるように、本実施の形態9の第4変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズ51Dは、左脇線LS及び図示しない右脇線RSの上部にそれぞれタック55Dが設けられ、このタック55Dのすぐ下にポケット口52Daを有する脇中間ポケット52Dがそれぞれ設けられ、脇線LS,RSの上端56Dにデザインステッチが施されており、意匠的にも優れたものとなっている。
【0164】
このようなウエスト周り伸縮自在ボトムズ51Dは、特に紳士用ゴルフスラックス等として適している。なお、タック55Dの形成方法や伸縮自在のベルト部53の構造については、図11乃至図13に示される実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31と同様である。
【0165】
また、図27(c)に示されるように、本実施の形態9の第5変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズ51Eは、左脇線LS及び図示しない右脇線RSの上部にそれぞれタック55Eが設けられ、このタック55Eのすぐ下にポケット口52Eaを有する脇中間ポケット52Eがそれぞれ設けられ、ポケット口52Eaにはつまみ54Eを有するコンシールファスナーが取付けられている。更に、脇線LS,RSの上端56Eにデザインステッチが施されており、意匠的にも優れたものとなっている。
【0166】
このようなウエスト周り伸縮自在ボトムズ51Eは、骨盤の大きい女性が着用した場合でもポケット口52Eaが開かないため、特に女性用スラックス等として適している。なお、タック55Eの形成方法や伸縮自在のベルト部53の構造については、図11乃至図13に示される実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パン31と同様である。
【0167】
したがって、本実施の形態9に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズ51,51A,51B,51C,51D,51Eにおいては、前身頃及び後身頃の上部にシワ等が生ずるのを確実に防止するとともに、タック55,55A,55B,55C,55D,55Eや収容部53A,54Aの開口端を目立たないようにして見栄えを向上させることができ、かつ、生産性を高めることができ、更に、意匠的にも優れたものとなるという作用効果が得られる。
【0168】
上記各実施の形態においては、ウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてスーツ用ズボン、Lポケット付き綿パン及び婦人用パンツを例として説明したが、ウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてはこれらに限られるものではなく、スラックスやLポケット以外のポケットの付いた綿パンを始めとして、ジーンズ(Gパン)、スカート、キュロットスカート等、ベルト部に重ね合せ部を備えたウエスト部を有する被服であれば、どのような被服にも適用することができる。
【0169】
また、上記各実施の形態においては、収容部及び延出部をいずれもウエスト周り伸縮自在ボトムズの前身頃及び後身頃と共地で作製しており、かつ、収容部及び延出部の表裏を一体として、ベルト部上端で折り曲げる構成とした例についてのみ説明したが、収容部及び延出部の構成はこれに限られるものではない。
【0170】
例えば、収容部及び延出部の表側のみを前身頃及び後身頃と共地として、収容部及び延出部の裏側は別の生地として、ベルト部上端で両者の生地を接ぐ構成とすることもできる。ここで、収容部及び延出部の裏側を構成する別の生地としては、収容部の裏側をマーベルトとして延出部の裏側にもマーベルトを用いる構成、収容部及び延出部の裏側を一体として伸縮性を有する生地、例えばパワーネットやゴム生地を用いる構成が考えられる。また、延出部の裏側にゴム生地を用いて、収容部の裏側を前身頃と共地で作製するか、若しくはマーベルトとする構成を採用することもできる。
【0171】
更に、上記各実施の形態においては、主弾性材としてゴムテープを用いた場合について説明したが、主弾性材としては他にも平ゴム、ゴム製板等の様々な弾性を有する素材を用いることができる。
【0172】
本発明を実施するに際しては、ウエスト周り伸縮自在ボトムズの構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1(a)は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図である。
【図3】図3(a),(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図4】図4(a),(b),(c)は本発明の実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【図5】図5(a)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図6】図6(a)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図7】図7(a),(b),(c)は本発明の実施の形態2に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【図8】図8(a)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図9】図9(a)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図10】図10(a),(b),(c)は本発明の実施の形態3に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【図11】図11(a)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図12】図12(a)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図13】図13(a),(b),(c)は本発明の実施の形態4に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【図14】図14(a)は本発明の実施の形態5に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図15】図15(a)は本発明の実施の形態6に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのスーツ用ズボンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図16】図16(a)は本発明の実施の形態6の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図、(b)は本発明の実施の形態6の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図、(c)は本発明の実施の形態6の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの左脇線の近傍を表側から見て示す部分拡大図である。
【図17】図17(a)は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図18】図18(a)は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態7に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部裏面の縫製途中の構成を示す部品展開図である。
【図20】図20(a)は本発明の実施の形態7の変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図21】図21(a)は本発明の実施の形態7の変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図、(b),(c)はタックの折り目の裏側またはその近傍に芯材を貼ることを示す部品展開図である。
【図22】図22(a)は本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズとしてのLポケット付き綿パンの全体構成を示す正面図、(b)はベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(c)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図23】図23は本発明の実施の形態8に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズの要部の縫製途中の構成を表側から見て示す部品展開図である。
【図24】図24(a)は本発明の実施の形態9に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図25】図25(a)は本発明の実施の形態9の第1変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図26】図26(a)は本発明の実施の形態9の第2変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのベルト部の重ね合せ部近傍を拡大して示す部分拡大図、(b)はウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【図27】図27(a)は本発明の実施の形態9の第3変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図、(b)は本発明の実施の形態9の第4変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図、(c)は本発明の実施の形態9の第5変形例に係るウエスト周り伸縮自在ボトムズのウエスト周りが伸長した状態を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0174】
1,16,21,31,36,40,40A,40B,40C,41,41A,46,51,51A,51B,51C,51D,51E ウエスト周り伸縮自在ボトムズ
2 脇ポケット
2A,22A 外縁
3,23 ベルト部
3A,23A 収容部
3B,23B 延出部
3Ab,23Ab 収容部の開口端
3a,3b,23a,23b ベルト布ステッチ
4,24 前身頃
5,17,25,32,42,47 タック
6,26 当て布
7,27 ベルト通し
8,28 ポケット袋布
9,29 後身頃
10 主弾性材
11 伸び止め材
12 補助弾性材
14,14A,14B,14C 芯材
22 Lポケット
38 脇中間ポケット
38A,38B,38C ポケット
39,39A,39B,39C ポケット口
FC 前中心
LS,RS 脇線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、該重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、
両脇の脇線に沿って前記両脇の脇線の上端にタックが設けられるとともに、前記タックの近傍に前記ベルト部の重ね合せ部が設けられ、前記両脇の脇線に沿って前記収容部の開口端が設けられたことを特徴とするウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項2】
芯材を有するベルト部の重ね合せ部と、該重ね合せ部の一方のベルト部側に設けられてその一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方のベルト部側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように収容する収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備し、ベルト部の見掛け上の長さを伸縮自在としたウエスト周り伸縮自在ボトムズであって、
両脇の脇線に沿って前記両脇の脇線の上端の近傍の裏側にタックが設けられるとともに、前記タックの近傍に前記ベルト部の重ね合せ部が設けられ、前記両脇の脇線に沿って前記収容部の開口端が設けられたことを特徴とするウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項3】
前記両脇の脇線の近傍に、または前記両脇の脇線に沿って、ポケットが設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項4】
前記ポケットは外縁が前記ベルト部の前記両脇の脇線の近傍の前中心方向から前記両脇の脇線に向かって直線状に伸びた脇ポケットであることを特徴とする請求項3に記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項5】
前記ポケットは外縁が略L字型形状を有するLポケットであることを特徴とする請求項3に記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項6】
前記ポケットは前記タックの下の前記脇線にポケット口を有する脇中間ポケットまたは前記脇線の近傍の前中心よりにポケット口を有するポケットであることを特徴とする請求項3に記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項7】
前記ベルト部において前記収容部の開口端に沿ってベルト通しが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。
【請求項8】
前記脇線の上端はその折り目(脇山線)の裏側またはその近傍に芯材が貼り付けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のウエスト周り伸縮自在ボトムズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−102790(P2009−102790A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231126(P2008−231126)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(591169836)
【Fターム(参考)】