説明

ウエットシート包装体

【課題】多数枚のウエットシートを容器に収容できると共に、その容器内のウエットシートを1枚ずつ広げながら取り出せるようにする。
【解決手段】偏平状に折り畳まれた各ウエットシート2を積層して構成された積層体3を、ウエットシート2の取り出し開始端15を取り出し口6の範囲内で相対向させて容器4,30内に2個収容する。各ウエットシート2の取り出し開始端15は、このウエットシート2の取り出し開始端15の下側部分16の対向側の端縁17よりも反対側に後退させても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットシートの積層体を容器に入れて包装したウエットシート包装体に関し、多数枚のウエットシートを容器に収容できると共に、その容器内のウエットシートを1枚ずつ広げながら取り出せるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
ウエットシートには、身体の顔面、手足等の使用部位、使用目的等に応じて手拭きシート、汗拭きシート、メイク落としシート、角質取りシート、フェイスマスク、エナメルリムーバシート、消毒綿アルコールシート等の多種類のものがあるが、何れも不織布、織布、紙等のシート材に清拭液、化粧液、薬液等の液体を含浸させたものである。
【0003】
この種のウエットシートは、従来、上下に複数枚積層して積層体を構成し、その積層体をガスバリヤー性を有する包装袋等の容器に入れて包装されている。そして、使用に際しては、容器の上面の開閉ラベルを剥がして取り出し口を開け、その取り出し口からウエットシートを1枚ずつ取り出すようになっている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−12053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のウエットシート包装体は、積層体のウエットシートの略中央に対応して取り出し口が設けられており、その取り出し口から指を入れてウエットシートの略中央部分を摘んで取り出す必要がある。
【0005】
しかし、ウエットシートは清拭液、化粧液、薬液等の液体で濡れて上下のウエットシート同士の面と面とが貼り付いた状態になっているため、最上位のウエットシートから1枚ずつ取り出すことが困難である。特にウエットシートの中央部の摘み方、ウエットシートの滑り性、更には薬液等の液体の含浸量や性質等によっては、2枚以上のウエットシートが貼り付いた状態で同時に取り出される場合がある。
【0006】
またウエットシートの略中央部分を摘んで取り出す上に、複数枚のウエットシートを広げたままの状態で積層して積層体を構成しているため、ウエットシートも比較的寸法の小さいものに限定され、しかも1個の容器内に収容されるウエットシートの枚数も比較的少なくせざるを得ないという欠点がある。
【0007】
本発明は、従来のこのような課題に鑑み、容器内に多数枚のウエットシートを収容できると共に、その容器内のウエットシートを容易且つ確実に1枚ずつ取り出すことができ、しかもウエットシートを広げながら取り出せるウエットシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ウエットシート2を上下に複数枚積層して構成された積層体3を、上面に開閉自在な取り出し口6を有する容器4,30に入れて包装したウエットシート包装体において、偏平状に折り畳まれた前記各ウエットシート2を積層して構成された前記積層体3を、前記ウエットシート2の取り出し開始端15を前記取り出し口6の範囲内で相対向させて前記容器4,30内に2個収容したものである。
【0009】
前記各ウエットシート2の取り出し開始端15は、該ウエットシート2の前記取り出し開始端15の下側部分16の対向側の端縁17よりも反対側に後退させても良い。また前記両積層体3はその対向側の端縁17が反対側よりも高くなるハ字状に収容しても良い。前記各ウエットシート2は第1の方向の折り目39,40に沿って折り畳まれると共に、前記第1の方向と略直交方向の第2の折り目41に沿って折り畳まれたものでも良い。
【0010】
前記各ウエットシート2がフェイスマスク35であっても良い。前記両積層体3の下側に、該両積層体3の対向側から反対側へと外下がりに傾斜する傾斜受け部26〜28を有する受け台24を設けても良い。前記両積層体3の下側に、該両積層体3の対向端部側から反対側へと外下がりに傾斜する傾斜受け部28を有する受け皿33を設けても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、容器4,30内に多数枚のウエットシート2を収容できると共に、その容器4,30内のウエットシート2を容易且つ確実に1枚ずつ取り出すことができ、しかもウエットシート2を広げながら取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図7は本発明に係るウエットシート包装体1の第1の実施例を例示する。
【0013】
このウエットシート包装体1は、図1〜図3に示すように多数枚のウエットシート2を上下に積層して構成された2個の積層体3と、ガスバリヤー性を有し且つ2個の積層体3を近接状に並べて包装する保形容器4とを備えている。保形容器4の上面には、2個の積層体3の並び方向に長く形成され且つ開閉ラベル(開閉蓋)5により開閉自在な取り出し口6が設けられている。
【0014】
保形容器4は下側が開口する断面略台形状の容器本体7と、この容器本体7の開口側の周縁に熱シール等によって固着された底壁部8とを有し、その内部に2個の積層体3が並べて収容されている。容器本体7は保形性を有する合成樹脂シート材の熱成型、合成樹脂材の射出成型等により成型され、積層体3の並び方向に長い略矩形状の上壁部9と、この上壁部9から下広がり状に垂下する周壁部10とを一体に備え、その周壁部10の下端外周に都合縁11が設けられている。
【0015】
容器本体7の上壁部9には、その略中央部に長手方向に長い矩形長孔状の取り出し口6が形成されると共に、この取り出し口6を開閉自在に塞ぐ開閉蓋、例えば開閉ラベル5が設けられている。開閉ラベル5は合成樹脂フィルムの単体又は複合体、アルミ箔に合成樹脂フィルムをラミネートしたラミネート材等からなり、図3に示すように取り出し口6の外周に対応して全周に塗工された粘着剤12を介して上壁部9の上面に剥離可能に貼着されている。なお、開閉ラベル5の長手方向の一端側には摘まみ部13が、他端側には幅方向の両側に離脱防止用の切り込み部19が設けられている。
【0016】
底壁部8は合成樹脂フィルムの単体又は複合体、アルミ箔に合成樹脂フィルムをラミネートしたラミネート材等からなり、容器本体7の都合縁11に下側の全周で熱融着、熱接着等により固着されている。なお、この底壁部8には可撓性を有するものを使用しているが、保形性を有する合成樹脂シート材の熱成型、合成樹脂材の射出成型等により成型されたものを使用しても良い。
【0017】
ウエットシート2は不織布、織布、紙等の適宜シート材に清拭液、化粧液、薬液等の液体を含浸させたものであって、例えば図4に示すように矩形状のシート片が長手方向の略中央で偏平な二つ折り状に折り畳まれており、その上側部分14の取り出し開始端15と下側部分16の端縁17とが略一致している。そして、この二つ折り状のウエットシート2は、折り目18が同一側となるように周縁を揃えた状態で上下に複数枚積層されており、この複数枚のウエットシート2により1個の積層体3が構成されている。
【0018】
2個の積層体3はウエットシート2の取り出し開始端15が取り出し口6に対応する略中央部で並び方向に所定の間隔を置いて近接しており、その取り出し開始端15と反対側の折り目18側が並び方向の反対側となるように保形容器4内に収容されている。
【0019】
このウエットシート包装体1は、例えば図7(A)〜(D)のようにして製造する。底壁部8のない容器本体7をその開口を上側にした状態で積層体挿入位置へと送る(図7(A)参照)。一方、不織布等の原反シートを所定寸法で裁断して、そのシート片20を二つ折り状に折り畳みながらシート片20の積層体3を造り、その積層体3を積層体挿入位置の容器本体7に2個ずつ並べて挿入する(図7(B)参照)。
【0020】
この積層体3が挿入された容器本体7を液体充填位置へと送り、化粧液等の所定の液体を積層体3上から容器本体7へと充填する(図7(C)参照)。これによって各シート片20に液体が含浸してウエットシート2ができる。次に容器本体7を密封シール位置へと送り、容器本体7の開口側に底壁部8を重ねて外周側の全周を熱溶着等でシールして密封する(図7(D)参照)。なお、その後に容器本体7、底壁部8の外周を所定形状に切り取っても良い。
【0021】
このような構成のウエットシート包装体1において、そのウエットシート2を使用する際には、先ず図3に示すように、開閉ラベル5を剥離して取り出し口6を開ける。そして、次に取り出し口6から指を挿入して2個の積層体3の何れか一方のウエットシート2を摘み、図5及び図6に示すように取り出し口6からウエットシート2を取り出す。
【0022】
この場合、2個の積層体3は、二つ折り状に折り畳まれたウエットシート2の取り出し開始端15が取り出し口6の長手方向の略中央で対向しているため、その取り出し開始端15を指先で摘めば良く、従来のウエットシート2の中間部分を摘む場合に比較して最上位のウエットシート2、取り分けその取り出し開始端15を容易且つ確実に摘むことができ、ウエットシート2を1枚ずつ容易に取り出すことができる。
【0023】
このため最上位のウエットシート2に続いて後続のウエットシート2が取り出し口6から上側に露出して、その後続のウエットシート2で開閉ラベル5の粘着剤12が濡れて粘着力が低下したり、後続のウエットシート2を保形容器4内に戻したにも拘わらず、ウエットシート2の取り出し側の端部が保形容器4内に完全に入り切らない状態で開閉ラベル5を閉じて、取り出し口6を密封できなかったりする等の問題も生じなくなる。
【0024】
またウエットシート2の取り出し開始端15を摘む際に、仮に誤ってその下側部分16の端縁17を同時に摘むようなことがあっても、二つ折り状に折り畳まれた1枚のウエットシート2の両端を同時に摘むことになるだけであり、誤って下側のウエットシート2と一緒に上下2枚のウエットシート2を取り出すというような問題もない。
【0025】
しかも積層体3のウエットシート2は、二つ折り状に折り畳んで上下に積層していることから、その取り出し開始端15側を摘んでウエットシート2を1枚ずつ容易に取り出し得ることと相俟って、比較的面積の広いウエットシート2でも保形容器4内に収容することができる。
【0026】
更に二つ折り状に折り畳んだウエットシート2を上下に複数枚積層して積層体3を構成する一方、そのウエットシート2の取り出し開始端15が取り出し口6の略中央部分で対向するように、2個の積層体3を保形容器4内に近接させて収容しているため、広げた状態のウエットシート2を積層して積層体3を構成する場合と略同程度か、又はそれよりも若干大きくなる程度の大きさの保形容器4を使用することによって、その内部に2個の積層体3を並べて収容することができ、保形容器4の上下方向の高さを高くすることによって、面積的には比較的小さい保形容器4に多数枚のウエットシート2を収容することができる。
【0027】
またウエットシート2を二つ折り状に折り畳んで積層しているが、取り出し開始端15側を摘んで取り出し口6から引き出す際の抵抗によって、図5に示すように、折り畳み状態のウエットシート2を広げることができる。このためウエットシート2を二つ折り状に折り畳んで保形容器4内に収容しているにも拘わらず、そのウエットシート2を広げた状態で取り出すことができる。
【0028】
図8〜図10は本発明の第2の実施例を例示する。このウエットシート2は図8〜図10に示すように折り目18で上側部分14と下側部分16とに二つ折りされているが、折り目18から取り出し開始端15側までの上側部分14の長さが、折り目18から対向側の端縁17までの下側部分16の長さよりも短く、取り出し開始端15が下側部分16の対向側の端縁17よりも反対側に後退している。
【0029】
そして、このウエットシート2を複数枚積層して構成された積層体3が、下側部分16の対向側の端縁17同士が所定の間隔で近接するように2個並べて保形容器4内に収容されている。各積層体3のウエットシート2の取り出し開始端15は、対向側の端縁17から反対側に後退しているが、取り出し口6の開口範囲内で並び方向に対向している。なお、その他の構成は第1の実施例と同じである。
【0030】
このように二つ折り状のウエットシート2の取り出し開始端15側とその下側部分16の対向側の端縁17とを2個の積層体3の並び方向にずらして、取り出し開始端15側をその対向側の端縁17よりも後退させることにより、取り出し開始端15の直下が下側部分16の上面となるので、その対向側の端縁17と区別して取り出し開始端15を指先で確実に摘むことができる。このためウエットシート2を取り出し口6から取り出す過程で、そのウエットシート2を確実に広げることができる。
【0031】
図11、図12は本発明の第3の実施例を例示する。このウエットシート包装体1では、図11、図12に示すように保形容器4の底壁部8と各積層体3との間に、ウエットシート2の積層枚数が少なくなったときに、残りの積層体3の取り出し開始端15側を上側へと押し上げるための押し上げ台21が設けられている。
【0032】
この押し上げ台21は、保形容器4の底壁部8に略対応して矩形状に構成されたベース部22と、各積層体3に対応してベース部22から上側に突出する押し上げ片23とを有し、適度な弾性力を有する合成樹脂シート材等により成型されている。押し上げ片23は積層体3の並び方向の外側から対向端側へと斜め上方に傾斜している。その他の構成は第1の実施例と同じである。また積層体3のウエットシート2の積層形式は、図8と同じでも良い。
【0033】
この場合には、当初、押し上げ片23は積層体3の重量により弾性変形して下側に押し下げられている。そして、ウエットシート2の枚数が少なくなれば、図11に示すように押し上げ片23がその弾性力により上向きに傾斜して、取り出し開始端15側が持ち上がるようにウエットシート2を押し上げる。このため2個の積層体3がハ字状(山形状)に傾斜してウエットシート2の取り出し開始端15側が取り出し口6に接近すると共に、対向するウエットシート2の取り出し開始端15間の間隔が広がることになり、ウエットシート2の積層枚数の多少に拘わらず、ウエットシート2の取り出し開始端15を容易に摘むことができる。
【0034】
図13、図14は本発明の第4の実施例を例示する。このウエットシート包装体1では、図13、図14に示すように保形容器4の底壁部8と各積層体3との間に、各積層体3を下側から受ける受け台24が設けられている。受け台24は保形容器4の底壁部8に略対応して矩形状に構成されている。
【0035】
この受け台24の上面側には、2個の積層体3間の稜線部25から並び方向の両端側へと山形状に傾斜する第1傾斜受け部26と第2傾斜受け部27とが設けられ、稜線部25を挟んでその両側の傾斜受け部26,27上に各積層体3が載せられている。従って、受け台24上の両積層体3は、その取り出し開始端15及び対向端側の端縁17側が高くなるハ字状に収容されている。その他の構成は第1の実施例と略同じである。また積層体3のウエットシート2の積層形式は、図8と同じでも良い。
【0036】
このようにすれば、各積層体3の取り出し開始端15側が高くなるため、ウエットシート2の取り出し開始端15側を容易且つ確実に摘むことができる。特に両積層体3のウエットシート2の残量が少なくなった場合でも、その取り出し開始端15側が高くなっているため、図11の場合と同様に、ウエットシート2の取り出し開始端15を比較的容易に摘むことができる。
【0037】
また受け台24上には傾斜角度の大きい第1傾斜受け部26と、傾斜角度の小さい第2傾斜受け部27とが設けられているため、ウエットシート2の取り出し開始端15側の高さを高くしながら、その傾斜による各積層体3の外側への滑りも小さくできる。
【0038】
なお、受け台24は保形性を有する合成樹脂シート材の熱成型、合成樹脂材料の射出成型等により成型するのが適当である。また受け台24の上面には、図13に仮想線で示すように中間で屈曲しない1個の傾斜受け部28を設けても良い。
【0039】
図15は本発明の第5の実施例を例示する。保形容器4の底壁部8は保形性を有する部材からなり、両積層体3間に位置する稜線部25と、この稜線部25から両側へと低くなるように傾斜する傾斜受け部28とが一体形成されている。そして、底壁部8の各傾斜受け部28により各積層体3が下側から支持されている。その他の構成は第1の実施例と略同じである。また積層体3のウエットシート2の積層形式は、図8と同じでも良い。
【0040】
このように傾斜受け部28は、保形容器4の底壁部8に一体に形成しても良い。図13の場合には、受け台24の下側が大きな空間となっているため、ウエットシート2から漏れた液体がその空間に溜まる惧れがある。しかし、この実施例のように底壁部8に一体に傾斜受け部28を形成すれば、各積層体3の下側のウエットシート2が底壁部8上に接触しており、積層体3の下側に空間ができないので、ウエットシート2から液体が漏れて下側に溜まる等の問題はない。
【0041】
図16〜図18は本発明の第6の実施例を例示する。このウエットシート包装体1は、図16、図17に示すように、第1〜第5の実施例の保形容器4に代替して、上面に取り出し口6及び開閉ラベル5を有する包装袋30が用いられており、この包装袋30内に受け台24により支持された2個の積層体3が収容され包装されている。
【0042】
包装袋30は不透湿性又はガスバリア性を有するものであれば、単体フィルム又は複合フィルムの何れを使用してもよい。例えば、ポリプロピレン延伸フィルムと未延伸ポリプロピレンフィルムとをラミネート加工したもの、或いはアルミ箔の片面又は両面にポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィルムをラミネートしたもの等が適当である。なお、包装袋30は長手方向の両端がシール部29で密封されている。
【0043】
受け台24は図17、図18に示すように、稜線部25の両側に傾斜受け部28と、各傾斜受け部28の外端側から上方に起立する起立部31とを備え、二つ折り状のウエットシート2の幅と略同程度の幅及び保形性を有する合成樹脂シート材を熱成型する等により構成されている。起立部31は各傾斜受け部28上の積層体3の高さと同程度か若干低い程度の高さを有し、各積層体3の対向端と反対側の端部を保護できるようになっている。受け台24上の両積層体3はハ字状になっている。なお、積層体3のウエットシート2の積層形式は、図8と同じでも良い。
【0044】
この場合にも、開閉ラベル5を剥離して取り出し口6を開ければ、各実施例と同様にして内部のウエットシート2を1枚ずつ広げながら容易に取り出すことが可能である。また保形性の点で劣る包装袋30により2個の積層体3を包装しているにも拘わらず、その2個の積層体3を受け台24により受けると共に、各積層体3の対向端と反対側を起立部31で保護しているため、包装袋30内での各積層体3のウエットシート2の崩れ等を未然に防止でき、各ウエットシート2を所定の積層状態に維持することができる。
【0045】
図19〜図21は本発明の第7の実施例を例示する。このウエットシート2積層体3は、図19、図20に示すように、受け皿33に収容された2個の積層体3が包装袋30により包装されている。受け皿33は稜線部25と、この稜線部25の両側に設けられた傾斜受け部28と、これらの外周側から起立する周壁部34とを有し、その各傾斜受け部28に沿って両積層体3がハ字状となるように収容されている。
【0046】
なお、受け皿33は合成樹脂シート材の熱成型等により構成されているが、図21(A)(B)に示すように合成樹脂材料による成型品でも良い。即ち、受け皿33はその底壁の上面が山形状になっておれば十分であり、その下面は平らでも良い。積層体3のウエットシート2の積層形式は、図8と同じでも良い。
【0047】
このよう傾斜受け部28等の外周を取り囲む周壁部34を備えた受け皿33を使用すれば、その周壁部34によって各積層体3を外周側から保護でき、各ウエットシート2の崩れ等をより確実に防止できると共に、積層体3の下側に空間がないため、ウエットシート2からの液体の漏れ等を防止することができる。
【0048】
しかも受け皿33は積層体3の積層高さに近い周壁部34を一体に備えているため、薄手のシート材を使用しても受け皿33の形状を維持することが可能であり、包装袋30内での受け皿33のゴワ付きを防止することができる。
【0049】
図22は本発明の第8の実施例を例示する。この実施例は、ウエットシート2がフェイスマスク35の場合を示す。顔面の略全体をパックするフェイスマスク35は大人の顔面に対応した大きさの略円形状であり、内部に目、鼻、口等に対応して開口等の切り欠き部36〜38が形成されている。
【0050】
このようなフェイスマスク35を包装する場合には、図22(A)に示すようにフェイスマスク35を左右方向の略中央の縦方向(第1の方向)の折り目39で二つ折りして半円形状にする。そして、この半円形状のフェイスマスク35をその中間の縦方向の折り目40で二つ折りして、図22(B)に示すように縦方向に長い帯状にし、最後に図22(C)に示すように縦方向の略中央で左右方向(第1の方向と略直交方向の第2の方向)の折り目41で二つ折りにする。なお、必要に応じて図22(D)に示すように更に左右方向の折り目42で二つ折り状しても良い。
【0051】
このようにフェイスマスク35の場合は、略直交する2方向の縦方向、横方向の折り目39〜42で複数回二つ折りを繰り返して適当な大きさにした後、その折り畳み状態のフェイスマスク35を上下に複数枚積層して積層体3を構成し、その積層体3を第1〜第7の各実施例と同様にして保形容器4又は包装袋30により包装すれば良い。
【0052】
図23は本発明の第9の実施例を例示する。この実施例では、各ウエットシート2は2箇所の折り目18,18aでS字状に折り畳まれている。この場合には折り目18aが対向側の端縁17となり、取り出し開始端15がその対向側の端縁17である折り目18aよりも反対側に後退している。ウエットシート2は、このように折り畳むことも可能であり、その折り畳みの形態は別に問題ではない。
【0053】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ウエットシート2はフェイスマスク35以外のものでも良い。またウエットシート2はZ状等、ジグザグ状に折り畳んでも良い。また面積の広いウエットシート2の場合には、フェイスマスク35について例示するように縦方向及び横方向の折り目に沿って複数回折り畳んでも良い。
【0054】
またウエットシート2を積層して積層体3を構成する場合、取り出し時に上側のウエットシート2に下側のウエットシート2が連携して引き出されないように、各ウエットシート2は独立して積層することが必要である。
【0055】
更に実施例では、容器として、弾性又は剛性を有する材料により構成された容器本体7と、可撓性を有するシート材により構成された底壁部8とからなる保形容器4、可撓性を有するシート材により構成された包装袋30を使用しても良いし、弾性又は剛性を有する材料により構成された容器本体7及び底壁部8を備えたもの、その他の構造のものでも良い。要するに容器はガスバリヤー性を有し、2個の積層体3を収容して密閉状に包装できるものであれば十分である。
【0056】
従って、複数の部材を結合して容器を構成する場合、その結合部は接着、溶着等により密閉状に固着しても良いし、シール材を介して密閉状に結合しても良い。また容器の取り出し口6を封じる開閉蓋は、粘着剤12による貼着式の開閉ラベル5の他、開閉自在に嵌合する嵌合式等でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図2】同一部破断平面図である。
【図3】同開放状態の平面図である。
【図4】同積層形式を示す斜視図である。
【図5】同ウエットシートの取り出し状態の平面図である。
【図6】同ウエットシートの取り出し状態の断面図である。
【図7】同製造工程の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図9】同一部破断平面図である。
【図10】同積層形式を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図12】同押し上げ台の斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図14】同受け台の斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図16】本発明の第6の実施形態を示すウエットシート包装体の斜視図である。
【図17】同断面図である。
【図18】同受け台の斜視図である。
【図19】本発明の第7の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
【図20】同受け皿の斜視図である。
【図21】同受け皿の変形例の断面図である。
【図22】本発明の第8の実施形態を示すフェイスマスクの折り畳み過程の説明図である。
【図23】本発明の第9の実施形態を示す積層体の斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
2 ウエットシート
3 積層体
4 保形容器
6 取り出し口
15 取り出し開始端
17 端縁
30 包装袋
26〜28 傾斜受け部
33 受け皿
35 フェイスマスク
39〜41 折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエットシート(2)を上下に複数枚積層して構成された積層体(3)を、上面に開閉自在な取り出し口(6)を有する容器(4,30)に入れて包装したウエットシート包装体において、偏平状に折り畳まれた前記各ウエットシート(2)を積層して構成された前記積層体(3)を、前記ウエットシート(2)の取り出し開始端(15)を前記取り出し口(6)の範囲内で相対向させて前記容器(4,30)内に2個収容したことを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項2】
前記各ウエットシート(2)の取り出し開始端(15)は、該ウエットシート(2)の前記取り出し開始端(15)の下側部分(16)の対向側の端縁(17)よりも反対側に後退していることを特徴とする請求項1に記載のウエットシート包装体。
【請求項3】
前記両積層体(3)はその対向側の端縁(17)が反対側よりも高くなるハ字状に収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウエットシート包装体。
【請求項4】
前記各ウエットシート(2)は第1の方向の折り目(39,40)に沿って折り畳まれると共に、前記第1の方向と略直交方向の第2の折り目(41)に沿って折り畳まれていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項5】
前記各ウエットシート(2)がフェイスマスク(35)であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項6】
前記両積層体(3)の下側に、該両積層体(3)の対向側から反対側へと外下がりに傾斜する傾斜受け部(26〜28)を有する受け台(24)を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項7】
前記両積層体(3)の下側に、該両積層体(3)の対向端部側から反対側へと外下がりに傾斜する傾斜受け部(28)を有する受け皿(33)を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のウエットシート包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2009−78828(P2009−78828A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248593(P2007−248593)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(504373864)明広商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】