説明

ウォータージェットによる切削破砕工法とウォータージェット用ノズル装置

【課題】現場においてノズルの角度調節を行う必要がなく、また、ノズルの噴射の反力がノズル取付部に対してバランスよく作用し、ノズル取付部の回転に振動を発生させ難くすることができるようにすること。
【解決手段】回転軸1に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2が設けられ、前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つようにオフセット部材4が固定され、ノズル3が、その噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4に固定状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水により路面等切削破砕する、ウォータージェットによる切削破砕工法とウォータージェット用ノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧のウォーターをジェット噴射させて、コンクリートやアスファルト等の舗装路面、地盤構造物等を切削破砕する工法の技術が知られている。また、この種の技術は、一般の構造物の破砕にも用いられている。
このような破砕に際して、所定の深さ位置までの切削破砕を行う方法として、ウォータージェットの破壊力を制御する必要がある。その為の方策として、2本のウォータージェットを所定の位置で交叉させるようにし、その交叉位置から先に破壊力を及ぼさないようにし、即ち、ウォータージェット同士の衝突によって打ち消し合うようにし、以って、対象物に対する切削破砕の深さを制御しようとする技術も提案されている。
【0003】
このようなウォータージェットの切削方法としては、例えば、次の技術が挙げられる。
【特許文献1】特開平2000−238032。
また、一般に、ウォータージェットを用いて路面の切削破砕に用いるはつり作業車の一例としては、次の技術が挙げられる。
【特許文献2】特開2008−111326。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1において提案されている切削方法は、それ以前に行われていた切削深さの制御が行い難い技術に比べ、一対のウォータージェットが所定位置で交叉させることで、有効な切削エネルギーを消滅させ、切削深さを正確にコントロールできるようになったことで、非常に有用なものである。
【0005】
しかし乍ら、この切削方法によれば、一対のノズルを交叉させるために、ノズルを所定の衝突角(分岐管2の軸2Aに対する傾斜角度)と振り角度(旋回中心1aに対する傾斜角度)に調節しなければならない。図7Aは、ノズルと衝突角を示す概略の正面図であり、図7Bは、ノズルの振り角を示す概略の側面図である。例えば、最近の路面には、透水アスファルトが敷設されているものも多く、これを切削破砕する場合には、広く、浅く、早く処理する必要性があるが、切削破砕面を広く採るためにはノズルの衝突点の旋回(回転)軌跡が円を描くようにしなければならず、その為には、ノズルの噴射方向を大きく傾斜させる所謂振り角を採る必要があり、その結果、その傾斜角(振り角)に起因する反力が分岐管2に対して斜め方向に作用し、ノズルの噴射バランスが崩れ、その分岐管2を回転させている際に振動が大きくなるという問題がある。
【0006】
そして、上述のように、ノズルの衝突角と振り角とを調節できるようにノズル取り付けの関節部が存在するが、前述の振動が発生することで、その調節が暫時緩んできて、ノズルの交叉位置(衝突点)がずれてしまうという問題がある。
また、このようなノズルの角度調整を、現場において切削深さ(及び処理幅)に合わせて行うのであるが、2つの方向(衝突角と振り角)でのノズル角度の調節は非常に難しいものである。
例えば、図7Cに示すように、ノズルの衝突点の旋回軌跡により決定される処理幅(旋回円の直径)を大きくしようとして傾斜角度を大きくすると、路面からノズルまでの距離(スタンドオフ)が小さくなり、ノズルが路面に接触してしまう虞も生じ、従って、処理幅の設定に限界がある。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑み、現場においてノズルの角度調節を行う必要がなく、また、ノズルの噴射の反力がノズル取付部に対してバランスよく作用し、ノズル取付部の回転に振動を発生させ難くすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるウォータージェットによる切削破砕工法は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、
回転軸1から所定距離離してノズル3をノズル取付部2に対向配置し、回転させながら加圧水を所定の角度でジェット噴射させて所定の距離位置で衝突させ、対象物に対する切削破砕深度を規定するようにしたウォータージェットによる切削破砕工法であって、
前記ノズル3,3,3,3が、前記回転軸1の回転軸芯Pを通る軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つオフセットされた位置に2対が対向するように固定状態で配置されていて、各一対のノズル3,3の噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜して噴射されることで対象物を所定深度と処理幅で切削破砕する、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置は、上記課題を解決するために、請求項2に記載の通り、
加圧水を所定の距離位置で衝突させるように所定の角度でジェット噴射させ、対象物を切削破砕するように構成されたウォータージェット用ノズル装置であって、
加圧水の流路を備え回転可能に軸支された回転軸1に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2が設けられ、
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つようにオフセット部材4,4,4,4が固定され、
ノズル3,3,3,3が、その噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4,4,4に固定状態で設けられている、
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置は、上記課題を解決するために、請求項5に記載の通り、
加圧水を所定の距離位置で衝突させるように所定の角度でジェット噴射させ、対象物を切削破砕するように構成されたウォータージェット用ノズル装置であって、
加圧水の流路を備え回転可能に軸支された回転軸1に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2が設けられ、
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つように、且つ、前記軸線Xに対して平面視で同一の側にオフセット部材4,4が固定され、
ノズルノ3,3の夫々が、その噴射が所定の距離で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4に固定状態で設けられている、
ことを特徴とする。
【0011】
本発明において、衝突角θ1とは、対をなすノズルの噴射が交叉(衝突)するための回転軸1の回転軸芯Pの方向(但し平行で交わらない)に向かう、噴射の軸線とノズル取付部2の軸線Xとが交叉する傾斜の角度(正面視)を言う。この衝突角θ1は、ノズル3毎に互いに同じ場合も、異なる場合も含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法及び装置によれば、従前のようなノズルのノズル取り付けの関節部品が存在せず、即ち、ノズルを固定状態で設け、且つ、ノズルの振り角を持たない構成、即ち、ノズルのオフセット配置(オフセット部材)の構成によって、噴射の反力がノズル取付部に対してバランスよく作用し、ノズル取付部の回転に振動を発生させ難くすることができ、従って、使用に際して振動による関節部品の緩みにより角度がずれて切削破砕深度が変化したり、切削破砕の処理幅が変化してしまう虞がなく、正確な切削破砕の制御ができるという顕著な効果を奏する。また、ノズルは固定式であり、現場においてノズルの角度調節(振り角、衝突角)を行う必要がなく、作業の能率が向上するものである。
本発明のその他の具体的な効果は、以下の記載から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の請求項2の実施態様としては、前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に同じになるように設定されていることが好ましい。このようにノズル3が、前記軸線Xに対して、同じ距離だけ離れていれば、回転軸1に及ぼす噴射の反力のバランスが保て、振動発生を未然に回避でき易い。
尚、前記所定距離L2は、ウォータージェットの衝突点が回転軸芯Pからどれだけ離れるかを決定するものである。即ち、ウォータージェットの衝突点の回転軌跡の半径を決定し、切削破際の処理幅を決定する一つの要素であると言える。
従って、前記オフセット部材4を、所望の大きさのものに変えれば、処理幅を簡単に自在に調節することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2の実施態様としては、前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に異なるか、または、同じになるように設定されていることが好ましい。
前記する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に異なる場合には、それらの対をなすノズル3,3が、それぞれ異なる回転半径のウォータージェットの衝突点の軌跡を描くことになり、所定の切削処理幅内で2つの切削破砕が進行することになり、ノズル装置の前進移動とあいまって、切削破砕が確実にスムースに行い得る。
また、前記する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に同じになる場合には、ウォータージェットの衝突点の軌跡は同一半径となるが、ノズル装置自体は前進しているものであるので、切削破砕がスムースに行い得る点で際はない。
【0015】
尚、上記の請求項3、4における対をなすノズル3,3,3,3とは、回転軸芯Pを中心として対向位置に位置するノズル3,3同士を意味し、ノズル取付部2の軸線Xを挟んで併置されたノズル3,3同士を意味しない。
【0016】
そして、本発明の請求項5の実施態様としては、前記軸線Xに対して前記オフセット部材4,4とは反対側に、バランスウエイト5,5が設けられていることが好ましい。
このように、前記オフセット部材4,4とは反対側に、バランスウエイト5,5が設けることで、ノズル取付部2に対して変位したオフセット部材4,4及びノズル3,3によるバランスを、修正調和させることができ、ノズル噴射による回転軸1に対する芯ブレを抑制できる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明にかかるウォータージェットによる切削破砕工法の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は、ウォータージェットによる切削破砕工法に用いるウォータージェット用ノズル装置の全体の斜視図であり、図2は、作用を示す概賂平面図であり、図3は、作用を示す概略正面図である。尚、ウォータージェット用ノズル装置の具体構成については、実施例2において詳述する。
この実施例では、ウォータージェット用ノズル装置は、透水アスファルト(厚さ約50−100mm)の切削破砕に適合するように開発されたものである。
【0018】
本発明にかかるウォータージェットによる切削破砕工法は、回転軸1から所定距離離してノズル3をノズル取付部2に対向配置し、回転させながら加圧水を所定の角度でジェット噴射させて所定の距離位置で衝突させ、対象物に対する切削破砕深度を規定するようにしたウォータージェットによる切削破砕工法をベースとしている。
【0019】
そして、前記ノズル3,3,3,3が、前記回転軸1の回転軸芯Pを通る軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つオフセットされた位置に2対が対向するように固定状態で配置されていて、各一対のノズル3,3の噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜して噴射されることで対象物(ここでは、透水アスファルト路面)を、図2及び図3に示すように、所定深度と処理幅で切削破砕するのである。
【0020】
このように、ノズル3,3,3,3の噴射は、前記回転軸1の回転軸芯Pを通る軸線Xに対して直交する所定距離L2のオフセットされた位置から行われるもので、従来のような前記軸線Xの軸周りに回動された所謂振り角を持たせて行うものではない。
即ち、ノズルノズル3,3,3,3は、衝突角θ1を持っているが、振り角を持っていないもので、それ故に、軸線X(ノズル取付部2)に対して不適切な反力8(斜め方向)が作用することがないのであり、結果として、前記回転軸1に対する不測の振動発生を未然に回避することができるのである。
【0021】
また、上述のオフセットの考え方を導入したことで、ノズルノズル3,3,3,3を所定の衝突角θ1でノズル取付部2に固定でき、従前の振り角を導入している技術にあっては現場において衝突角θ1や振り角の調節といった面倒な作業が必要であったのを不用にすることができ、作業能率がアップする。
【0022】
実施例2
本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の好適実施例について、図面に基づいて詳述すると、図1は、ウォータージェット用ノズル装置の全体の斜視図であり、図2は、作用を示す概略平面図であり、図3は、作用を示す概略正面図である。
高圧ポンプ車乃至作業車(図外)で加圧された加圧水(約1500〜2500Kgf/cm)を所定の距離位置、この実施例では、ノズルからの距離が(100mm)で衝突させるように所定の衝突角θ1、この実施例では、(45度)でジェット噴射させ、対象物である透水アスファルトを切削破砕するように構成されている。勿論、コンクリートの切削破砕にも適用できる。
【0023】
その具体的構造は、加圧水の流路を備え回転可能に軸支された仮想線で示す回転軸1(ユニバーサルジョイントにより軸支:図外)に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2(分岐管とも言う)が固定状態(羅着)で設けられている。従って、回転軸1が回転駆動されるとノズル取付部2も回転する。このノズル取付部2の全長は、この実施例では、約400mmであるが適宜の寸法を作用できる。
【0024】
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1、離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の長手方向に沿う軸線Xに対して直交する所定距離L2、この実施例では、30mmを持つようにオフセット部材4,4,4,4が固定されている。即ち、この実施例では、前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に同じに設定されている。このことは、ノズルの3,3及び3,3の衝突点の回転軌跡が同一であることを意味する。このようにノズル3が、前記軸線Xに対して、同じ距離だけ離れていれば、回転軸1に及ぼす噴射の反力のバランスが保て、振動発生を未然に回避でき易いのである。
【0025】
そして、この実施例では、このオフセット部材4,4,4,4は、それぞれ、等角度配置の3本のボルト7,7,7で止め付けられて、特定の相対位置取り付け状態(取り付け角度の変更はできない)で固定されている。この固定手段については、ボルト7,7,7に代えて、一体成型或いは溶接としてもよい。
【0026】
そして、ノズル3,3,3,3が、その噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置(図1参照)で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の同一の衝突角θ1、この実施例では、(45度)で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4,4,4に固定状態で設けられている。この固定手段は、ここでは、ナット6とネジとで行われている。尚、衝突角θ1は、45度である必要性はなく、適宜の角度が選択できる。
【0027】
このように、所定距離L2離れたオフセット部材4,4,4,4の存在と、ノズル3,3,3,3のθ1とによって、ノズルの3,3及び3,3同士の噴射の衝突点は、前記ノズル取付部2が回転することで、所定半径の円を描くことになり、その回転直径が切削破砕の処理幅ということになる。
従って、ノズル装置が、作業車の進行に伴って、前記切削破砕の処理幅で透水アスファルトを切削破砕して行くことになる。
【0028】
一部変形例
図4は、実施例1における一部変形例を示す概略の平面図である。即ち、ここでは、前記軸線Xに対して直交する所定距離L2,L3が、対をなす前記ノズル3毎に異なるように、オフセット部材4,4,4,4の大きさを一対毎に変える構成とされている。対をなすノズル3,3,3,3とは、回転軸芯Pを中心として対向位置に位置するノズル3,3同士を意味し、ノズル取付部2の軸線Xを挟んで併置されたノズル3,3同士ではない。
【0029】
このように、所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に異なることで、夫々のノズル3,3及び3,3から噴射されたウォータージェットの衝突点は、回転軸芯Pを中心として異なる半径に位置することになり、その回転軌跡は、二重の円を描くことになる。勿論、その外側円の直径が切削破砕の処理幅ということになる。
このような二重円のウォータージェットの衝突点で切削破壊が行われることで、迅速、確実な切削破砕が期待できる。
【0030】
実施例3
この実施例では、ウォータージェット用ノズル装置は、図5、図6に示すように、次のように構成されている。尚、実施例1の図3に対応する作用を示す概略正面図は、実質的に同じであるため省略している。
高圧ポンプ車乃至作業車(図外)で加圧された加圧水(約1500〜2500Kgf/cm)を所定の距離位置、この実施例では、ノズルからの距離が(100mm)で衝突させるように所定の角度、この実施例では、(45度)でジェット噴射させ、対象物である透水アスファルトを切削破砕するように構成されている。勿論、コンクリートの切削破砕にも適用できる。
【0031】
その具体的構造は、加圧水の流路を備え回転可能に軸支された仮想線で示す回転軸1(ユニバーサルジョイントにより軸支:図外)に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2(分岐管とも言う)が固定状態(羅着)で設けられている。従って、回転軸1が回転駆動されるとノズル取付部2も回転する。このノズル取付部2の全長は、実施例と同じである。
【0032】
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1、この実施例では、約120mm離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の長手方向に沿う軸線Xに対して直交する所定距離L2、この実施例では25mmを持ち、且つ、この実施例では、前記軸線Xに対して平面視で同一の側にオフセット部材4,4が固定されている点が実施例1と異なる。この実施例では、勿論、前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、前記ノズル3,3ともに同じに設定されている。
【0033】
そして、この実施例では、このオフセット部材4,4は、それぞれ、等角度配置の3本のボルト7,7,7で止め付けられ、特定の相対位置取り付け状態(取り付け角度の変更はできない)で固定されている。この固定手段については、ボルト7,7,7に代えて、一体成型或いは溶接としてもよい。
【0034】
そして、ノズル3,3が、その噴射が前記回転軸芯Pから等距離、この実施例では、25mm離れた点対象位置(図1参照)で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の同一の衝突角θ1、この実施例では、(45度)で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4に固定状態で設けられている。この固定手段は、ここでは、ナット6とネジとで行われている。
【0035】
このように、所定距離L2離れたオフセット部材4,4の存在と、ノズル3,3の衝突角θ1とによって、ノズルの3,3同士の噴射の衝突点は、前記ノズル取付部2が回転することで、所定半径の円を描くことになり、その回転直径が切削破砕の処理幅ということになる。
【0036】
そして、前記軸線Xに対して前記オフセット部材4,4とは反対側に、バランスウエイト5,5が設けられている。このバランスウエイト5,5は、オフセット部材4,4及びノズルの3,3の重量と発生する反力に略バランスする重量に設定されている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のウォータージェット用ノズル装置は、路面工事等の現場に好適な調整不要の構成と、回転に伴う振動発生を抑制できるところから、切削破砕の優れた性能のみならず、騒音対策をも備えており、住居地域の工事にも有用で、その応用範囲は広いものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例2の要部の斜視図である。
【図2】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例2の作用を示す概略平面図である。
【図3】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例2の作用を示す概略正面図である。
【図4】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例2の一部変形例の作用を示す概略平面図である。
【図5】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例3の要部の斜視図である。
【図6】本発明にかかるウォータージェット用ノズル装置の実施例3の作用を示す概略平面図である。
【図7】従来技術を示すウォータージェット用ノズル装置の作用状態A、B、Cを示す概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1:回転軸
2:ノズル取付部
3:ノズル
4:オフセット部材
P:回転軸芯
θ1:衝突角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸1から所定距離離してノズル3をノズル取付部2に対向配置し、回転させながら加圧水を所定の角度でジェット噴射させて所定の距離位置で衝突させ、対象物に対する切削破砕深度を規定するようにしたウォータージェットによる切削破砕工法であって、
前記ノズル3,3,3,3が、前記回転軸1の回転軸芯Pを通る軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つオフセットされた位置に2対が対向するように固定状態で配置されていて、各一対のノズル3,3の噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜して噴射されることで対象物を所定深度と処理幅で切削破砕する、
ことを特徴とするウォータージェットによる切削破砕工法。
【請求項2】
加圧水を所定の距離位置で衝突させるように所定の角度でジェット噴射させ、対象物を切削破砕するように構成されたウォータージェット用ノズル装置であって、
加圧水の流路を備え回転可能に軸支された回転軸1に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2が設けられ、
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つようにオフセット部材4,4,4,4が固定され、
ノズル3,3,3,3が、その噴射が前記回転軸芯Pから等距離離れた点対象位置で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4,4,4に固定状態で設けられている、
ことを特徴とするウォータージェット用ノズル装置。
【請求項3】
前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に同じになるように設定されていることを特徴とする請求項2のウォータージェット用ノズル装置。
【請求項4】
前記軸線Xに対して直交する所定距離L2が、対をなす前記ノズル3毎に異なるように設定されていることを特徴とする請求項2のウォータージェット用ノズル装置。
【請求項5】
加圧水を所定の距離位置で衝突させるように所定の角度でジェット噴射させ、対象物を切削破砕するように構成されたウォータージェット用ノズル装置であって、
加圧水の流路を備え回転可能に軸支された回転軸1に、該回転軸1に直交する方向に伸びるノズル取付部2が設けられ、
前記回転軸1の回転軸芯Pから略等距離L1離れた前記ノズル取付部2の所定箇所において、該ノズル取付部2の軸線Xに対して直交する所定距離L2を持つように、且つ、前記軸線Xに対して平面視で同一の側にオフセット部材4,4が固定され、
ノズルノ3,3の夫々が、その噴射が所定の距離で衝突するように前記回転軸芯Pに対して所定の衝突角θ1で傾斜され、且つ、前記オフセット部材4,4に固定状態で設けられている、
ことを特徴とするウォータージェット用ノズル装置。
【請求項6】
前記軸線Xに対して前記オフセット部材4,4とは反対側に、バランスウエイト5,5が設けられていることを特徴とする請求項5のウォータージェット用ノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−64240(P2010−64240A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266884(P2008−266884)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【出願人】(305006048)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPO (130)
【Fターム(参考)】