説明

ウォータージェット切断装置

【課題】被切断材が硬質材であっても、研磨材を用いることなく切断することができることで、安価にかつ高品質な切断処理を行うことができるウォータージェット切断装置を提供する。
【解決手段】ウォータージェット切断装置1は、発生槽21の中でマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生器24と、マイクロバブルを含む加圧水を撹拌してナノバブルを含む加圧水とする渦流ターボミキサー26と、渦流ターボミキサー26からのナノバブルを含む加圧水を一旦貯留する貯留タンク3と、貯留タンク3からのナノバブル水を高圧水流供給装置4からの高圧水流と共に、被切断材Wへ噴射して切断するノズル5とを備えている。被切断材Wを切断する高圧水流にナノバブルを含んでいるため研磨材の混合が不要であるため、硬質な被切断材Wであっても鏡面化した切断面が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水流を被切断材へ噴射して切断するウォータージェット切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加圧水流を被切断材へ噴射して切断する装置が、ウォータージェット切断装置として知られている。このウォータージェット切断装置は、被切断物が軟質材であれば水のみをジェット水流(加圧水流)として切断し、硬質材であれば水に研磨材を混合させたものをジェット水流として切断している。このようなウォータージェット切断装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のウォータージェット切断装置には、研磨材を混入した高圧水を噴射するノズルを被切断材の表面に対する法線方向から傾斜させ、ノズルから噴射される高圧水の水流の一側辺側が製品となるように被切断材を切断することで、製品の切断面を表面に対して直角となるように切断することができるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−117637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のウォータージェット切断装置は、被切断材が硬質材であれば、ノズルから噴射する加圧水流に研磨材を混合させているので、切断面が粗くなる。また、切断面に研磨材が付着してしまうという問題がある。研磨材が切断面に付着すると、切断面の凹凸面に研磨材が入り込み洗い流すことが困難であり、研磨材の処理や回収に多大な時間と費用を要している。
【0006】
そこで本発明は、被切断材が硬質材であっても、研磨材を用いることなく切断することができることで、安価にかつ高品質な切断処理を行うことができるウォータージェット切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウォータージェット切断装置は、微細気泡を発生する気泡発生装置と、前記気泡発生装置が発生した微細気泡を含む加圧水流を被切断材へ噴射して切断するノズルとを備えたことを特徴とする。
本発明のウォータージェット切断装置は、加圧水流にマイクロバブルやナノバブルと称されるような微細気泡を含むことにより、加圧水流の衝撃力と微細気泡の気泡圧壊時に発生する衝撃力により、被切断材が硬質材であっても、研磨材を混合することなく切断することができる。
【0008】
前記ノズルは、加圧水流を軸線方向に導入する細管と、前記細管と同一軸線で接続され、軸線方向と直交する方向から前記気泡発生装置が発生した微細気泡を含む水を導水管により本体へ導入して加圧水流と混合する混合管と、前記混合管からの微細気泡を含む水と加圧水流との混合水を軸線に沿って噴射するニードル部とを備え、前記導水管は、前記本体の内周壁の円周方向に沿って水流が流れるように本体の軸線から偏心した位置に配置されているのが望ましい。
【0009】
ノズルでは、細管から導入される加圧水流と、導水管から導入される微細気泡を含む水とが混合管の本体により混合される。このとき、加圧水流は軸線方向に流れ、微細気泡を含む水は、軸線方向と直交する方向から導入される。導水管は、本体の内周壁の円周方向に沿って水流が流れるように本体の軸線から偏心した位置に配置されているので、微細気泡を含む水が加圧水流の周囲に旋回流となって導入される。従って、加圧水流の周囲を微細気泡が包囲して、スーパーキャビテーション現象が生じることで、加圧水流の流れをより加速させることができるので、より衝撃力のつよい加圧水流をニードル部から噴射させることができる。
【0010】
前記導水管の内径が、前記混合管の半径から前記細管の半径を差し引いた長さ以下であれば、導水管から導入される微細気泡を含む水が本体の内周壁の円周方向に沿って流れるときに、細管の内径の幅で導入される加圧水流と干渉しない。従って、加圧水流は勢いよく軸線に沿って流れ、微細気泡を含む水は、加圧水流と本体の内周壁との間に導入されて高速に回転する旋回流とすることができる。
【0011】
前記細管の内径が前記ニードル部の内径より小さければ、ニードル部を細管の内径の幅で流れる加圧水流の周囲に旋回流となった微細気泡を含む水が流れる空間をスーパーキャビテーション状態とするための空間として確保することができる。
【0012】
前記気泡発生装置は、水が貯留される水槽と、前記水槽に配置され、水中に微細気泡を放出する微細気泡発生器と、微細気泡を含む水を取り込む吸引装置と、前記微細気泡発生器の前方に配置され、微細気泡を捕捉して水と共に前記吸引装置へ送水するための漏斗状の吸引管とを備えているのが望ましい。水槽に放出された微細気泡は、水と共に吸引装置により取り込まれるが、漏斗状の吸引管が微細気泡発生器の前方に配置されているため、微細気泡発生器から微細気泡を逃すことなく捕捉することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加圧水流に研磨材を混合させることなく切断することができることにより、鏡面化した切断面を得ることができ、高品質な製品とすることができる。また、研磨材を使用しないので、研磨材の処理や回収が不要であるため、切断処理を安価とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るウォータージェット切断装置を示す図である。
【図2】図1に示すウォータージェット切断装置のマイクロバブル発生器を示す図であり、(A)は水流方向に沿った断面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図3】図1に示すウォータージェット切断装置のノズルを示す断面図である。
【図4】図3に示すノズルを説明するための断面図である。
【図5】図4に示すノズルの導水口と導水管とを示す水平断面図であり、(A)は形状を説明するための図、(B)は使用状態を説明するための図である。
【図6】図4に示すノズルの使用状態を説明するための図である。
【図7】図6のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係るウォータージェット切断装置を、図1から図3に基づいて説明する。なお、図1においては、高圧水流(加圧水流)を噴射するノズルを移動させる移動装置や、被切断材を移動させるテーブル、これらを制御するNC制御装置などは省略している。
図1に示すように、ウォータージェット切断装置1は、気泡発生装置2と、貯留タンク3と、高圧水流供給装置4と、ノズル5とを備えている。
【0016】
気泡発生装置2は、泡径が1μm〜10μm以下のナノバブルと称される気泡を発生する機能を備えている。気泡発生装置2は、発生槽21と、送水ポンプ22と、送気ポンプ23と、マイクロバブル(MB)発生器24と、吸引管25と、渦流ターボミキサー26とを備えている。発生槽21は、水が貯留され、この中で気泡が発生される水槽である。送水ポンプ22は、循環路27を介して発生槽21中の水を循環させる加圧水を送水する。送気ポンプ23は、マイクロバブル発生器24に加圧空気を送気する。マイクロバブル発生器24は、発生槽21内に配置され、泡径が50μm以下のマイクロバブルと称される気泡を発生する機能を備えている。
【0017】
ここでマイクロバブル発生器24について、図2に基づいて詳細に説明する。
マイクロバブル発生器24としては、例えば、図2に示すものが使用できる。図2に示すマイクロバブル発生器24は、前後の2つの管体からなる発生器本体24aの間に、発生器本体24aより細い管径で形成された混合管24bが嵌め込まれている。この混合管24bは、管体が多孔質円管から形成され、基端にはオリフィス24cが設けられている。混合管24bの上方には、吸引口24dが設けられている。混合管24bの外周には、発生器本体24aの管体同士の隙間を封止部材24eにより塞ぐことで、吸引室24fが設けられている。
【0018】
このマイクロバブル発生器24には、発生器本体24aの後端に、送水ポンプ22からの加圧水が送水される循環路27が接続され、発生器本体24aの胴部(吸引口24d)には送気ポンプ23からの空気が送気される配管が接続される。
本実施の形態では、図2示すマイクロバブル発生器24を使用しているが、一般的に販売されているマイクロバブル発生器を購入して使用してもよい。
【0019】
図1に戻って、吸引管25は、マイクロバブル発生器24の前方に配置されている。吸引管25は、漏斗状に形成され、先端が発生槽21を貫通して渦流ターボミキサー26に接続されている。
渦流ターボミキサー26は、マイクロバブル発生器24により発生したマイクロバブルを含む水を吸引し、撹拌することで、マイクロバブルを剪断してナノバブルのサイズまで微細な気泡とし、貯留タンク3へ送水する吸引装置である。また、渦流ターボミキサー26には、マイクロバブル発生器24からのマイクロバブルを含む加圧水に、外部から取り入れた空気を混合させるための電磁弁26aが設けられている。また、渦流ターボミキサー26の出力側には、ナノバブルを含む加圧水を貯留タンク3へ流す通水路の開閉を行う電磁弁26bが設けられている。
【0020】
貯留タンク3は、連続して切断処理を行うために、微細気泡を含む水を、一旦貯留するタンクである。貯留タンク3からは、オーバフローした水を発生槽21へ戻すための排水管31が設けられている。高圧水流供給装置4は、ノズル5へ高圧水流を送水する機能を備えている。ノズル5は、被切断材Wへナノバブルを含む高圧水流を噴射する吐出口となる超高圧ノズルヘッドが使用できる。
【0021】
ここで、ノズル5について図3に基づいて詳細に説明する。
図3に示すように、ノズル5は、混合ホルダ51の基端側に高圧水流供給装置4からの配水管を接続するためのコネクタ52が接続されている。混合ホルダ51の中央部には、貯留タンク3からの配水管を接続するための導水口53が設けられている。混合ホルダ51の先端部には、高圧水流供給装置4からの高圧水流と貯留タンク3からのナノバブルを含む水とを混合して被切断材へ噴射するニードル部54が配置されている。
【0022】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るウォータージェット切断装置の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、まず、送水ポンプ22を始動させると共に、送気ポンプ23を始動させる。更に、渦流ターボミキサー26を始動させる。
送水ポンプ22が始動することで、発生槽21中の水はマイクロバブル発生器24を介して循環し始める。循環路27を循環する送水ポンプ22からの加圧水は、図2に示すように、発生器本体24aの基端からオリフィス24cを通過することで急激に減圧され、送気ポンプ23から吸引室24fを介して混合管24b内へ進入した加圧空気に混合される。このとき混合管24b内で循環渦が発生することで、加圧空気が剪断されてマイクロバブルとなる。そして、マイクロバブルを含む加圧水は、マイクロバブル発生器24から発生槽21内に放出される。
【0023】
マイクロバブル発生器24からの放出された微細気泡であるマイクロバブルを含む加圧水は、図1に示す吸引管25から発生槽21の外側に配置された渦流ターボミキサー26へ送水される。渦流ターボミキサー26では、撹拌されることでマイクロバブルが剪断されて更に微細な気泡であるナノバブルとなる。そして、ナノバブルを含む加圧水は、貯留タンク3に貯留される。
【0024】
このとき、マイクロバブル発生器24により発生したマイクロバブルが不足するときは、渦流ターボミキサー26で空気を取り込ませ、マイクロバブル発生器24からのマイクロバブルを含む水流と撹拌、混合することでナノバブルを増量させることも可能である。
【0025】
貯留タンク3に貯留されたナノバブルを含む水(以下、この微細気泡を含む水をナノバブル水と称す。)は、高圧水流供給装置4からの高圧水流と共に、ノズル5から被切断材Wへ噴射されることで、被切断材Wを切断する。高圧水流にマイクロバブルを含むことにより、高圧水流の衝撃力と微細気泡の気泡圧壊時に発生する衝撃力により、被切断材Wが硬質材であっても切断することができる。従って、研磨材を混合することなく被切断材Wを切断することができ、被切断材Wの切断面を鏡面化することができるので、高品質な製品を得ることができる。また、研磨材を使用しないので、研磨材の処理や回収が不要であるため、切断処理を安価とすることができる。
【0026】
また、本実施の形態では、渦流ターボミキサー26によりマイクロバブル発生器24からの微細気泡を更に剪断してナノバブルのレベルまで細かな気泡としているため、この気泡は、渦流ターボミキサー26から一旦貯留タンク3にて貯留され、更にノズル5まで移動する間に消失することなく、残存させることができる。従って、気泡を効果的に研磨材の代わりとして、ノズル5から噴射することができる。
【0027】
また、渦流ターボミキサー26により不足するナノバブルを増量させることができるので、被切断材Wを切断するに必要な気泡の量を調整することができる。この渦流ターボミキサー26は、マイクロバブル発生器24のマイクロバブルの発生量が十分であり、マイクロバブルを含む加圧水をマイクロバブルが消失する前にノズル5へ供給できるようであれば、省略することが可能である。
また、漏斗状の吸引管25がマイクロバブル発生器24の前方に配置されているため、マイクロバブル発生器24からマイクロバブルを逃すことなく捕捉して渦流ターボミキサー26へ送ることができる。
【0028】
次に、ナノバブルを含む高圧水流を被切断材へ噴射する吐出口となるノズルについて詳細に説明する。なお、図4から図7においては、図3と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、ノズル5には、コネクタ52からノズル5の軸線方向に注入される高圧水流(加圧水流)と、軸線に対して直交する方向となる導入口53から注入される微細気泡であるナノバブルを含む水とを合流させてニードル部54へ流す混合管55が設けられている。混合管55の基端には、コネクタ52との間に介在する細管56が設けられている。細管56と混合管55とニードル部54とは同じ軸線で接続されている。
【0030】
混合管55の胴部は、混合管55の本体55aに導水口53を接続する導水管55bが設けられている。混合管55の先端部は徐々に管径が小さくなるように形成され、混合管55の先端にはニードル部54の基端が接続されている。
導水管55bは、円筒管である混合管55の本体55aに、本体55aの内周壁の円周方向に沿って水流が流れるように、本体55aの軸線から偏心した位置に配置されている(図5(A)参照)。特に、導水管55bの軸線が本体55aの内周壁の接線と平行となるように配置するのが望ましい。
【0031】
図4に示すように、細管56は、基端から先端まで同じ内径の直管であるが、細管56の内径D1は、コネクタ52の内径D2より小さく、混合管55(本体55a)の基端部の内径D3よりも小さく、更に、ニードル部54の内径D4より小さく形成されている。また、図5(A)に示すように、導水管55bの内径D5は、混合管55(本体55a)の内径D3の半径r1から、高圧水流の直径となる細管56の内径D1の半径r2を差し引いた長さL以下となるように形成されている。
【0032】
本実施の形態2に係るノズル5は、例えば、細管56の内径D1をφ0.45mm、コネクタ52の内径D2をφ4mm、混合管55の基端部の内径D3をφ4mm、ニードル部54の内径D4をφ0.65mm、導水管の内径D5をφ1.6mmとすることができる。
【0033】
以上のように構成されたノズル5の使用状態を、図面に基づいて説明する。
図4に示すように、高圧水流がコネクタ52を介して細管56へ流れ込む。細管56の内径D1はコネクタ52の内径よりも小さい管径であるため、細管56に進行する際に高圧水流は加速する。
加速された高圧水流は、細管56を通過すると細管56の内径とほぼ等幅を維持した状態で混合管55へ進行する。
【0034】
図5(A)および同図(B)に示すように、導水口53からのナノバブル水は、混合管55の導水管55bを介して本体55aへ進行する。本体55aでは、混合管55の内径D3が細管56の内径D1より大きいため、細管56の内径D1とほぼ等幅で中央部分(軸線)を高圧水流が流れる。
導水管55bが本体55aの軸線から偏心した位置に配置されており、導水管55bの内径D5は、混合管55の半径r1から、細管56の半径r2を差し引いた長さL以下となるように形成されているので、ナノバブル水は、高圧水流と本体55aの内周壁との間に流れこむため、高圧水流の流れを阻害することなく、本体55aの内周壁の円周方向に沿って流れる旋回流となる。
ナノバブル水は、混合管55の軸線を進行する高圧水流と共に流れ、混合管55の先端方向へ進行する。混合管55の先端は、徐々に内径が小さくなるように形成されているため、旋回流の流れが加速される。ナノバブルは旋回流による遠心力により高圧水流と本体55aの内周壁との間を流れながら、ニードル部54へ進行する。
【0035】
細管56の内径D1がニードル部54の内径D4より小さいため、ニードル部54では、細管56の内径D1とほぼ等幅で中央部分(軸線)を高圧水流が流れるので、図6および図7に示すように、高圧水流とニードル部54の内周壁のとの間に旋回流となったナノバブル水が流れる隙間ができる。高圧水流とニードル部54の内周壁との間を流れる旋回流は、高圧水流の流れから内周壁へ向かうに従って遅い回転となる。従って、ナノバブル水に含まれるナノバブルは、高圧水流に近い方が分布密度が高く、内周壁に向かうに従って徐々に離散した状態となる。
【0036】
高圧水流が流れる周囲を囲うようにナノバブルが偏り位置することで、高圧水流の周囲にスーパーキャビテーションと称される現象が発生する。つまり、高圧水流とニードル部54の内周壁との間に旋回流となったナノバブル水が流れる空間がスーパーキャビテーション状態とするための空間として確保されることで、高圧水流に対するナノバブル水の抗力が小さくなる。従って、更に高圧水流が高速に加速して、高圧水流が超高圧水流となって、ニードル部54から噴射される。この噴射速度は、導水口53からナノバブル水が導入され、細管56から導入される高圧水流と合流することで流水量が増えるため、細管56からの高圧水流の速度よりも加速させることができる。
【0037】
このようにして噴射されたナノバブル水と高圧水流の混合水は、スーパーキャビテーション状態となった中を流れる高圧水流の衝撃力と微細気泡の気泡圧壊時に発生する衝撃力により、被切断材が硬質材であっても切断することができる。従って、研磨材を混合することなく被切断材を切断することができ、被切断材の切断面を鏡面化することができるので、高品質な製品を得ることができる。また、研磨材を使用しないので、研磨材の処理や回収が不要であるため、切断処理を安価とすることができる。
【0038】
スーパーキャビテーション状態となって高圧水流が更に加速することで、旋回流となるナノバブル水の回転速度が更に高くなるので、より強いスーパーキャビテーション状態を発生させることができる。従って、高圧水流の加速を更に促進させることができるのでノズル50からの噴射による衝撃力を向上させることができる。このようにナノバブル水と高圧水流の相乗効果により切断能力を更に向上させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、混合管55には導水管55bが1本設けられているが複数本としてもよい。混合管55に導水管が複数設けられていても、複数の導水管から進入したナノバブル水が、混合管55の本体55aの内壁面の円周方向に沿って水流が流れるように配置されていればよい。特に、導水管が2本設けられた場合には、軸線に対して直角に交わる同一平面上に設置され、互いに反対方向に位置させるのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、軟質だけでなく、硬質の被切断材であっても研磨材を不要とすることができるので、棒状や板状、異形状などの鋼材を切断するウォータージェット切断装置に好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 ウォータージェット切断装置
2 気泡発生装置
21 発生槽
22 送水ポンプ
23 送気ポンプ
24 マイクロバブル発生器
24a 発生器本体
24b 混合管
24c オリフィス
24d 吸引口
24e 封止部材
24f 吸引室
25 吸引管
26 渦流ターボミキサー
26a,26b 電磁弁
27 循環路
3 貯留タンク
31 排水管
4 高圧水流供給装置
5 ノズル
51 混合ホルダ
52 コネクタ
53 導水口
54 ニードル部
55 混合管
55a 本体
55b 導水管
56 細管
W 被切断材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を発生する気泡発生装置と、
前記気泡発生装置が発生した微細気泡を含む加圧水流を被切断材へ噴射して切断するノズルとを備えたことを特徴とするウォータージェット切断装置。
【請求項2】
前記ノズルは、
加圧水流を軸線方向に導入する細管と、
前記細管と同一軸線で接続され、軸線方向と直交する方向から前記気泡発生装置が発生した微細気泡を含む水を導水管により本体へ導入して加圧水流と混合する混合管と、
前記混合管からの微細気泡を含む水と加圧水流との混合水を軸線に沿って噴射するニードル部とを備え、
前記導水管は、前記本体の内周壁の円周方向に沿って水流が流れるように本体の軸線から偏心した位置に配置されている請求項1記載のウォータージェット切断装置。
【請求項3】
前記導水管の内径は、前記混合管の半径から前記細管の半径を差し引いた長さ以下である請求項2記載のウォータージェット切断装置。
【請求項4】
前記細管の内径は、前記ニードル部の内径より小さい請求項2または3記載のウォータージェット切断装置。
【請求項5】
前記気泡発生装置は、
水が貯留される水槽と、前記水槽に配置され、水中に微細気泡を放出する微細気泡発生器と、微細気泡を含む水を取り込む吸引装置と、前記微細気泡発生器の前方に配置され、微細気泡を捕捉して水と共に前記吸引装置へ送水するための漏斗状の吸引管とを備えている請求項1から4のいずれかの項に記載のウォータージェット切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240477(P2011−240477A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14513(P2011−14513)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(504109746)株式会社熊本アイディーエム (3)
【Fターム(参考)】