説明

ウォータージェット装置

【課題】 既設のコンクリート構造物の小型のエレベータに搭載して現場に搬入し、又は現場から搬出可能なウォータージェット装置を提供する。
【解決手段】 高圧水を発生させるポンプ6を有するポンプユニット2と、ポンプ6を回転させるモータ14を有するモータユニット10と、ポンプ6で発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備えたウォータージェット装置1であって、ポンプユニット2とモータユニット10とを、連結手段20を介して分離可能に連結する。ポンプユニット2とモータユニット10とを分離した状態とすることにより、例えば、コンクリート構造物の小型のエレベータを利用して現場に搬入し、又は現場から搬出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータージェット装置に関し、特に、既設のコンクリート構造物の耐震補強等のリニューアル工事に適用され、コンクリート構造物の躯体の表層部を除去するのに有効なウォータージェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既設のコンクリート構造物に対して耐震補強等のリニューアル工事を行う場合、躯体の基層部の上部に積層された表層部(仕上げモルタル層等)を除去し、その後に耐震補強等のための補修や改修の工事を行っている。
【0003】
このようなリニューアル工事においては、従来、電動ピッチングマシンや高速回転カッター装置等を用いて表層部を除去していたが、工事の際に生じる振動や騒音によって周辺の生活環境に影響を与えるため、近年では、振動や騒音の発生を抑えた各種のウォータージェット装置が用いられている。
【0004】
ウォータージェット装置は、例えば、非特許文献1、2に記載されているように、高圧水を発生させる高圧ポンプを有するポンプユニット、高圧ポンプを回転させるモータを有するモータユニット、高圧ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニット、ノズルに研磨材を供給する研磨材供給ユニット等を備え、ポンプユニットの高圧ポンプで発生させた高圧水を研磨材供給ユニットからの研磨材と共にノズルから噴射させることにより、躯体の表層部を基層部の上部から除去することができるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社ジェットホームページ、online、平成21年2月4日検索、インターネット<URL:http//www.water−jet/robot.html
【非特許文献2】株式会社ユアーズホームページ、online、平成21年2月4日検索、インターネット<http//www.yours−tk.co.jp/waterjet.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成のウォータージェット装置にあっては、電動ピッチングマシンや高速回転カッター装置等のような大きな振動や騒音が発生することはないが、ポンプユニットとモータユニットとが一体化されているために全体が大型化し、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータを利用して現場に搬入することができない。このため、使用可能な範囲が制限されてしまう。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、施工現場への搬入、搬出を容易に行うことができる、ウォータージェット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備えたウォータージェット装置であって、
前記ポンプユニットと前記モータユニットとを、連結手段を介して分離可能に連結したことを特徴とする。
【0009】
本発明のウォータージェット装置によれば、ポンプユニットとモータユニットとを連結手段を介して分離可能に連結したので、ポンプユニットとモータユニットとを分離した状態とすることにより、例えば、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータを利用して現場に搬入し、又は現場から搬出することができる。従って、各種のコンクリート構造物の躯体の表層部の補修、改修等の各種の工事に利用することができる。
【0010】
また、本発明は、コンクリート構造物の加工、除去に用いるウォータージェット装置であって、高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備え、前記ポンプユニットと前記モータユニットとを、連結手段を介して分離可能に連結するとともに、分離した状態で小型のエレベータに搭載可能な大きさに形成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明において、前記連結手段は、前記ポンプユニットのポンプの入力軸と前記モータユニットのモータの出力軸とを切り離し可能に連結する自在継手と、前記ポンプユニットが搭載される台車と前記モータユニットが搭載される台車とを切り離し可能に連結するとともに、前記ポンプの入力軸と前記モータの出力軸とを前記自在継手を介して連結した状態に固定する固定部材とを備えていることとしてもよい。
【0012】
本発明のウォータージェット装置によれば、ポンプユニットとモータユニットとは、ポンプユニットのポンプの入力軸とモータユニットのモータの出力軸とを自在継手を介して連結し、ポンプユニットの台車とモータユニットとの台車とを固定部材を介して連結することで、組み立てることができる。また、固定部材によるポンプユニットの台車とモータユニットの台車との連結状態を解除し、ポンプの入力軸とモータの出力軸とを連結している自在継手の連結状態を解除することで、ポンプユニットとモータユニットとを分離することができる。従って、ポンプユニットとモータユニットとを容易に分離し、組み立てることができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記自在継手は、前記ポンプの入力軸に連結される第1継手部と、前記モータの出力軸に連結される第2継手部と、前記第1継手部と前記第2継手部とを切り離し可能に連結する連結機構とを備えていることとしてもよい。
【0014】
本発明のウォータージェット装置によれば、ポンプの入力軸側の第1継手部とモータの出力軸側の第2継手部とを連結機構を介して連結することで、ポンプの入力軸とモータの出力軸とを連結することができる。また、連結機構による連結状態を解除することにより、ポンプの入力軸とモータの出力軸との連結状態を解除することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明のウォータージェット装置によれば、ポンプユニットとモータユニットとを分離可能に連結したので、例えば、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータを利用して現場に搬入し、又は現場から搬出することができる。従って、各種のコンクリート構造物の躯体の表層部の補修や改修等の各種の工事に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるウォータージェット装置の一実施の形態の全体を示した概略平面図であって、組み立てた状態を示した概略平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】分離した状態を示した概略平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】分離した状態を示した概略平面図であって、自在継手及び固定部材を各台車内に収納した状態を示した概略平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】自在継手の一例を示した詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態のウォータージェット装置1は、既設のコンクリート構造物に耐震補強等のリニューアル工事を行う場合に適用され、躯体の基層部の上部に積層された表層部(仕上げモルタル層等)を除去し、その後に耐震補強等のための補修や改修の工事を行うのに有効なものであって、図1及び図2に示すように、高圧水を発生させる高圧ポンプ6を有するポンプユニット2と、ポンプユニット2の高圧ポンプ6を回転させるモータ14を有するモータユニット10と、ポンプユニット2の高圧ポンプ6で発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニット(図示せず)とを備えている。
【0018】
ポンプユニット2は、台車(以下、第1台車3という。)の上部に搭載される高圧ポンプ6と、第1台車3の上部に搭載される高圧ポンプ6の周辺機器(バックアップポンプ、フィルタ、調圧弁等)とを備え、後述するモータユニット10と連結手段20を介して分離可能に連結されている。
【0019】
第1台車3は、C形鋼等の鋼材からなる一対の縦枠と一対の横枠とを四方枠組みし、隣接する縦枠と横枠との間を溶接等によって一体に連結して四角形状に形成した基枠(以下、第1基枠4という。)と、この第1基枠4の下部の四隅に設けられるキャスター5とを備え、第1基枠4の図1の左側面に後述するモータユニット10の第2台車11の第2基枠12が連結手段20を介して連結されるようになっている。
【0020】
第1台車3は、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータに搭載可能な寸法に形成され、本実施の形態では、縦(奥行き);1050mm、横(幅);760mm)に形成されている。
ここで、「小型のエレベータ」とは、間口800mm、奥行き1400mm、高さ200mmのエレベータを意味する。以下、同じ。
【0021】
なお、第1台車3の第1基枠4の下部の各キャスター5に隣接する部分に、それぞれアジャストボルト(図示せず)を設け、このアジャストボルトによって第1基枠4のレベルが調整可能に構成してもよい。また、第1基枠4の一部に手押し用のハンドル(図示せず)を設けるように構成してもよい。
【0022】
高圧ポンプ6は、例えば、プランジャー方式のポンプであって、本実施の形態においては、3連プランジャー方式の高圧ポンプ6(定格回転数;180回転、プランジャー径;10mm、ストローク;65.6mm、定格圧力;200MPa、流量;2.5L/min、マルヤマエクセル株式会社製)を用いている。
【0023】
また、高圧ポンプ6は、第1台車3の第1基枠4の上部に納まる寸法に形成され、本実施の形態においては、縦(奥行き);1081mm、横(幅);760mm、高さ;1257mm、重量;352Kg)に形成されている。
【0024】
さらに、第1基枠4には、高圧ポンプ6の入力軸8の周囲を覆うカバー(図示せず)が設けられ、このカバーによって入力軸8及び入力軸8に連結される後述する連結手段20の自在継手21の第1継手部22の周囲が覆われるようになっている。また、カバーの内部には、第1継手部22に連結される後述する連結機構32の連結ブッシュ33が収納可能に構成されている。
【0025】
モータユニット10は、台車(以下、第2台車11という。)の上部に搭載されるモータ14と、第2台車11の上部に搭載される配線、配管等の中継ボックスとを備え、前述したポンプユニット2と連結手段20を介して分離可能に連結されている。
【0026】
第2台車11は、C形鋼等の鋼材からなる一対の縦枠と一対の横枠とを四方枠組みし、隣接する縦枠と横枠との間を溶接等によって一体に連結して四角形状に形成した基枠(以下、第2基枠12という。)と、この第2基枠12の下部の四隅に設けられるキャスター13とを備え、第2基枠12の図1の右側面がポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側面に連結手段20を介して連結されるようになっている。
【0027】
第2台車11は、ポンプユニット2の第1台車3と同様に、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータに搭載可能な寸法に形成され、本実施の形態では、縦(奥行き);1080mm、横(幅);610mm)に形成されている。
【0028】
なお、第2台車11の第2基枠12の下部の各キャスター13に隣接する部分に、それぞれアジャストボルト(図示せず)を設け、このアジャストボルトによって第2基枠12のレベルを調整可能に構成してもよい。また、第2基枠12の一部に手押し用のハンドル(図示せず)を設けるように構成してもよい。
【0029】
モータ14は、例えば、ギヤードモータであって、本実施の形態においては、出力;15kw、定格回転数;180回転、減速比;1/10のギヤードモータを用いている。
【0030】
モータ14には、第2基枠12の上部に納まる寸法のものが用いられ、本実施の形態においては、縦(奥行き);1084mm、横(幅);610mm、高さ;950mm)のものが用いられている。
【0031】
さらに、第2基枠12の上部には、モータ14の出力軸15の周囲を覆うようにカバー(図示せず)が設けられ、このカバーによって出力軸15及び出力軸15に連結される後述する連結手段20の自在継手21の第2継手部27の周囲が覆われるようになっている。また、カバーの内部には、後述する第2継手部27に連結される連結機構32の連結軸34が収納可能に構成されている。
【0032】
連結手段20は、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8とモータユニット10のモータ14の出力軸15とを切り離し可能に連結する自在継手21と、ポンプユニット2の第1台車3とモータユニット10の第2台車11とを切り離し可能に連結するとともに、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを自在継手21を介して連結した状態に固定する固定部材40とを備えている。
【0033】
自在継手21は、図7に示すように、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8に連結される第1継手部22と、モータユニット10のモータ14の出力軸15に連結される第2継手部27と、第1継手部22と第2継手部27とを切り離し可能に連結する連結機構32とを備えている。
【0034】
第1継手部22は、基端に高圧ポンプ6の入力軸8を嵌合させる嵌合穴が設けられ、先端にU形状の継手が設けられる第1ヨーク23と、基端に後述する連結機構32の連結ブッシュ33が設けられ、先端にU形状の継手が設けられる第2ヨーク24と、第1ヨーク23の継手と第2ヨーク24の継手とを相互に屈曲自在に結合するコマ、ピン等からなる結合手段25と、第1ヨーク23の継手と第2ヨーク24の継手との結合部の周囲を覆う継手カバー26とを備えている。
【0035】
第1継手部22は、第1ヨーク23の基端の嵌合穴内に高圧ポンプ6の入力軸8を嵌合させ、嵌合穴と入力軸8との間にキー(図示せず)を嵌入させることにより、又は第1ヨーク23の基端の嵌合穴内に高圧ポンプ6の入力軸8を嵌合させ、第1ヨーク23の基端と入力軸8との間に結合ピンを貫入させることにより、高圧ポンプ6の入力軸8に一体に連結される。
【0036】
第1継手部22の第2ヨーク24に設けられる後述する連結ブッシュ33は、第1継手部22の第1ヨーク23に対して第2ヨーク24を約90°に屈曲させることで、第2ヨーク24と共に第1ヨーク23に対して屈曲され、この状態で第1台車3側のカバーの内部に収納される。
【0037】
第2継手部27は、基端にモータ14の出力軸15を嵌合させる嵌合穴が設けられ、先端にU形状の継手が設けられる第1ヨーク28と、基端に後述する連結機構32の連結軸34が設けられ、先端にU形状の継手が設けられる第2ヨーク29と、第1ヨーク28の継手と第2ヨーク29の継手とを屈曲自在に結合するコマ、ピン等からなる結合手段30と、第1ヨーク28の継手と第2ヨーク29の継手との結合部の周囲を覆う継手カバー31とを備えている。
【0038】
第2継手部27は、第1ヨーク28の基端の嵌合穴内にモータ14の出力軸15を嵌合させ、嵌合穴と出力軸15との間にキー(図示せず)を嵌入させることにより、又は第1ヨーク28の基端の嵌合穴内にモータ14の出力軸15を嵌合させ、第1ヨーク28の基端とモータ14の出力軸15との間に結合ピンを貫入させることで、モータ14の出力軸15に一体に連結される。
【0039】
第2継手部27の第2ヨーク29に設けられる後述する連結軸34は、第2継手部27の第1ヨーク28に対して第2ヨーク29を約90°に屈曲させることで、第2ヨーク29と共に第1ヨーク28に対して屈曲され、この状態で第2台車11側のカバーの内部に収納される。
【0040】
連結機構32は、第1継手部22の第2ヨーク24の基端に設けられる連結ブッシュ33と、第2継手部27の第2ヨーク29の基端に設けられるとともに、連結ブッシュ33と相互に嵌合可能な連結軸34とを備えている。
【0041】
連結ブッシュ33は、内面が多角形、楕円形等に形成され、この連結ブッシュ33の内面と合致した多角形、楕円形等に連結軸34の外面が形成され、これにより、両者の相対的な回動が阻止される。
なお、連結ブッシュ33内面及び連結軸34の外面は、上記の形状に限らず、両者の相対的な回動を阻止できる形状であればよい。また、連結ブッシュ33の内面を円形に形成し、それに合致する形状に連結軸34の外面を形成してもよいものであり、その場合には、両者間にキーを嵌合させて両者の相対的な回動を阻止するように構成すればよい。
【0042】
第1継手部22の連結ブッシュ33と第2継手部27の連結軸34とを相互に嵌合させることで、第1継手部22と第2継手部27とが連結機構32を介して連結され、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とが自在継手21を介して相互に連結される。
【0043】
固定部材40は、高圧ポンプ6の入力軸8及びモータ14の出力軸15を両側から挟むように、ポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側側面とモータユニット10の第2基12枠の図1の右側面との間に一対設けられ、この一対の固定部材40、40を介してポンプユニット2の第1基枠3とモータユニット10の第2基枠12とが相互に連結されるようになっている。
【0044】
固定部材40は、例えば、C形鋼、平鋼等を組み合わせて形成した上部が開口する箱形状をなすものであって、長手方向の一端がヒンジ41を介してモータユニット10の第2基枠12の図1の右側の部分に連結されている。固定部材40は、両端をポンプユニット2の第1基枠4及びモータユニット10の第2基枠12から切り離した状態で、ヒンジ41を介して上方に回動させることにより、図5及び図6に示すように、モータユニット10の第2台車11側に収納されるようになっている。
【0045】
固定部材40は、ポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側面とモータユニット10の第2基枠12の図1の右側面との間に介在させ、長手方向の一端のねじ挿通用孔とポンプユニット2の第1基枠4のねじ挿通用孔との間にボルトを挿通させ、長手方向の他端のねじ挿通用孔とモータユニット10の第2基枠12のねじ挿通用孔との間にボルトを挿通させ、各ボルトにワッシャを介してナットを締め付けることにより、ポンプユニット2の第1基枠4とモータユニット10の第2基枠12とを一体に連結し、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを自在継手21を介して連結した状態に固定する。
【0046】
ノズルユニットは、図示はしないが、例えば、ポンプユニットの高圧ポンプの吐出口に高圧ホースを介して接続されるとともに、研磨材供給剤ホースを介して研磨材供給ユニットの研磨材の供給口に接続されるノズルと、ノズルを移動可能に支持する案内手段とを備え、ノズルの噴射口から対象物に向けて高圧水及び研磨材が噴射されるようになっている。
【0047】
そして、上記のように構成した本実施の形態によるウォータージェット装置1を用いて、コンクリート構造物の躯体の表層部の改修や補修等の工事を行うには、まず、図3及び図4に示すように、ポンプユニット2の第1台車3の第1基枠4とモータユニット10の第2台車11の第2基枠12との固定部材40による連結状態を解除し、ポンプユニット2の第1台車3とモータユニット10の第2台車11とを切り離すとともに、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8とモータユニット10のモータ14の出力軸15との自在継手21による連結状態を連結ブッシュ33から連結軸34を引き抜くことで解除し、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを切り離し、ポンプユニット2とモータユニット10とを独立して移動可能な状態とする。
【0048】
この場合、図5及び図6に示すように、自在継手21の第1継手部22及び連結ブッシュ33を第1台車3側に収納し、第2継手部27、連結軸34、及び固定部材40を第2台車11側に収納する。
【0049】
次に、ポンプユニット2を第1台車3を介して床面等の上部を走行させて既設の小型のエレベータに搭載し、小型のエレベータによって現場に搬入するとともに、モータユニット10を第2台車11を介して床面等の上部を走行させて既設の小型のエレベータに搭載し、小型のエレベータによって現場に搬入する。
【0050】
次に、図1及び図2に示すように、現場に搬入したポンプユニット2とモータユニット10とを、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8とモータユニット10のモータ14の出力軸15とを、自在継手21の連結ブッシュ33と連結軸34とを相互に嵌合させることで連結する。
【0051】
次に、固定部材40をヒンジ41を介して回動させて、ポンプユニット2の第1台車3の第1基枠4とモータユニット10の第2台車11の第2基枠12との間に配置し、ポンプユニット2の第1基枠4のねじ挿通用孔と固定部材40のねじ挿通用孔とを合致させて、それらのねじ挿通用孔間にボルトを挿通させ、モータユニット10の第2基枠12のねじ挿通用孔と固定部材40のねじ挿通用孔とを合致させて、それらのねじ挿通用孔間にボルトを挿通させ、各ボルトにワッシャを介してナットを螺合させて締め付ける。
【0052】
このようにして、連結手段20の自在継手21と固定部材40とを介してポンプユニット2とモータユニット10とを一体に組み立てた後に、ノズルユニットを躯体の表層部の表面に配置し、ポンプユニット2、モータユニット10、及び研磨材供給ユニットを駆動させ、ポンプユニット2から高圧ホースを介してノズルに高圧水を供給し、研磨材供給ユニットから研磨材供給ホースを介してノズルに研磨材を供給し、ノズルの噴射口から高圧水及び研磨材を躯体の表層部に向けて噴射させる。
【0053】
そして、ノズルを案内手段を介して移動させながら、躯体の表層部にノズルの移動軌跡に応じた溝等を形成する。この場合、躯体の表層部の溝等の形成に使用した高圧水及び研磨材を回収ホースを介して回収ユニットに回収し、処分するように構成してもよい。
【0054】
このようにして、躯体の表層部に溝等を形成し、躯体の表層部を基層部の上部から除去した後に、ポンプユニット2、モータユニット10、及び研磨材供給ユニットを停止させ、ノズルユニットを表層部の表面から取り外し、図3〜図6に示すように、ポンプユニット2とモータユニット10とを分離し、ポンプユニット2及びモータユニット15を既設の小型のエレベータを介して現場から搬出する。
【0055】
上記のように構成した本実施の形態によるウォータージェット装置1にあっては、ポンプユニット2とモータユニット10とを連結手段20を介して分離可能に連結したので、例えば、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータを利用して現場に搬入し、又は現場から搬出することができる。
【0056】
従って、各種のコンクリート構造物の躯体の表層部の改修や補修等の工事に適用することができる。
【0057】
また、連結手段20の自在継手21で高圧ポンプ6の入力軸8とモータユニット10のモータ14の出力軸15とを連結する場合、高圧ポンプ6の入力軸8側の連結軸34とモータ14の出力軸15側の連結ブッシュ33とを相互に嵌合させ、この状態で第1台車3の第1基枠4と第2台車11の第2基枠12とを固定部材40を介して連結するだけでよいので、ポンプユニット2とモータユニット10との分離、組立を容易に行うことができる。
【0058】
さらに、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを自在継手21を介して連結しているので、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15との芯出しを行う必要はなく、これによってもポンプユニット2とモータユニット10との分離、組立を容易に行うことができる。
【0059】
なお、前記の説明においては、自在継手21として、連結ブッシュ33と連結軸34とを相互に嵌合させるタイプのものを使用したが、これに限定することなく、各種の自在継手によって高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを切り離し可能に連結してもよい。
【0060】
また、前記の説明においては、本発明を高圧ポンプ6(プランジャーポンプ)を有するポンプユニット2を備えたウォータージェット装置1に適用したが、本発明を増圧タイプのポンプを有するポンプユニットを備えたウォータージェット装置に適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0061】
1 ウォータージェット装置 2 ポンプユニット
3 第1台車 4 第1基枠
5 キャスター 6 高圧ポンプ
7 プランジャー 8 入力軸
10 モータユニット 11 第2台車
12 第2基枠 13 キャスター
14 モータ 15 出力軸
20 連結手段 21 自在継手
22 第1継手部 23 第1ヨーク
24 第2ヨーク 25 結合手段
26 継手カバー 27 第2継手部
28 第1ヨーク 29 第2ヨーク
30 結合手段 31 継手カバー
32 連結機構 33 連結ブッシュ
34 連結軸 40 固定部材
41 ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備えたウォータージェット装置であって、
前記ポンプユニットと前記モータユニットとを、連結手段を介して分離可能に連結したことを特徴とするウォータージェット装置。
【請求項2】
コンクリート構造物の加工、除去に用いるウォータージェット装置であって、
高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備え、
前記ポンプユニットと前記モータユニットとを、連結手段を介して分離可能に連結するとともに、分離した状態で小型のエレベータに搭載可能な大きさに形成したことを特徴とするウォータージェット装置。
【請求項3】
前記連結手段は、前記ポンプユニットのポンプの入力軸と前記モータユニットのモータの出力軸とを切り離し可能に連結する自在継手と、前記ポンプユニットが搭載される台車と前記モータユニットが搭載される台車とを切り離し可能に連結するとともに、前記ポンプの入力軸と前記モータの出力軸とを前記自在継手を介して連結した状態に固定する固定部材とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウォータージェット装置。
【請求項4】
前記自在継手は、前記ポンプの入力軸に連結される第1継手部と、前記モータの出力軸に連結される第2継手部と、前記第1継手部と前記第2継手部とを切り離し可能に連結する連結機構とを備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のウォータージェット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−216161(P2010−216161A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64922(P2009−64922)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】