説明

ウコン入り発芽玄米及びその製造法

【課題】 この出願発明は、発芽玄米自体の多くの栄養成分と共に、ウコンに含まれる肝臓の機能改善、利胆剤、血流促進剤など多数の薬効効成分が含まれていることから、これを日常的に摂取することによって優れた相乗効果が発揮される発芽玄米を提供することを目的とする。
【解決手段】 この出願発明は、ウコンの成分を含んでいるウコン入り発芽玄米および発芽玄米をウコンを添加した溶液あるいはウコンを浸漬した溶液で処理するウコン入り発芽玄米の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願発明は、ウコン入り発芽玄米及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の方法で発芽玄米を得るには、たとえば特開平6−237718号、特開平10−215800号及び特開平12−50818号その他多くの発明が出願され公開されているが、いずれも各工程が複雑で工程が多く経済的効率が好ましくない。
また、これらの製造方法により製造されている発芽玄米はこの出願発明のような優れた効果のある発芽玄米ではない。
【0003】
【特許文献1】特開平6−237718号(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平10−215800号(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平12−50818号(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、発芽玄米が精白米に比べて栄養的に優れているので注目されている。
この出願発明で得られる発芽玄米は、生体維持に不可欠な各種の健康保持栄養成分が含まれていることが知られている。すなわち、それらの栄養成分については、たとえば、ギャバと称するガンマーアミノ酪酸、結石や発ガンの予防に効果を有するIP6、自律神経失調症や更年期障害の緩和に効力を有するオリザノールなどのほか、ビタミンE、ビタミンB群、およびイノシトールなどが含まれていることから、これらの栄養成分を日常的に摂取することが可能である。
一方、ウコンそれ自体の利用法についても各方面において研究が盛んに行われ、その効能も、その成分とともに詳細に明らかになりつつある。
ウコンは一般的にはウコン単独で利用されるのが普通であり、二日酔いの予防又はその解消のため、あるいは肝臓の機能改善、利胆剤、血流促進剤として飲用され、賞用されている。これに関してさらに述べれば、このようなウコンは、ターメロンやジンギベロンのような精油成分、抗活性酸素の作用を有するクルクミン、クルクモール、フラボノイド、アズレンなども含まれそれらについて薬理効果のあることが確認されている。
この出願発明者は、発芽玄米に含まれている多数の栄養成分と、各種のウコン、たとえば、春ウコン、秋ウコン、紫ウコンなどに含まれる各種の成分とを一緒に摂取することによる優れた効果に着目しこの出願発明を完成させたものである。
この出願発明は、ウコンの成分を含む発芽玄米により優れた健康食品を提供することを目的とする。
この出願発明の目的は、健康な生体維持に必要な多くの栄養分が含まれる発芽玄米を、溶媒とくに水に浸漬し膨潤させ、多くの薬理効果を有するウコンの成分を含浸させる方法を提供することにある。
また、この出願発明の目的は、食塩水とウコン類との混合溶液を発芽玄米に含浸させる方法を提供することである。
さらに、この出願発明の目的はウコンを溶解させる溶媒として好ましくは水、とくに食塩水を使用することである。
この出願発明で使用する玄米は主として沖縄、「石垣島産ひとめぼれ」を洗浄して得られた玄米を利用することにより、この出願発明の目的が達成することを以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この出願発明は、発芽玄米をウコンを含む溶液あるいはウコンを浸漬した溶液で処理するウコン入り発芽玄米の製造方法およびウコン入り発芽玄米に関する。
【発明の効果】
【0006】
ウコン入り発芽玄米には、発芽玄米自体の多くの栄養成分と共に、ウコンに多数の薬効成分が含まれていることから、これを日常的に摂取することによって優れた相乗効果が発揮される。
この出願発明によって得られるウコン入り発芽玄米には、発芽玄米自体の多くの栄養成分と共に、ウコンに肝臓の機能改善、利胆剤、血流促進剤など多数の薬効成分が含まれていることから、これを日常的に摂取することによって優れた相乗効果が発揮される。
この出願発明によれば、ウコン入り発芽玄米を極めて少ない工程で製造することができる。
さらに、この出願発明によれば、ウコンを泡盛のような有機溶媒を使用してもよいが、水を使用することが好ましく、とくに、食塩を水に溶解させた食塩水に溶存させた後、発芽玄米に浸漬させることが好ましい。
この出願発明により、単にウコンと発芽玄米とを混合した場合に比べて、ウコンを浸漬することによりウコンの苦みや臭いをなくすことができる。
また、冷蔵庫で保管することにより発芽を遅らせウコンの成分をより多く含浸させることができる。
食塩水で含浸することによりウェットタイプの製品を製造することができ、通常の米と同じように簡単に炊飯することができる。ウコンはそのまま使用してもよいが、適当な大きさに切ったものや、粉末状にして使用することが好ましい。また予め抽出した抽出液を使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この出願発明を実施するための最良の形態を説明する。
従来の方法で得られた発芽玄米のいずれにおいても、この出願発明の目的で述べられるようにウコンを含浸させることができることから、各種の方法で得られる発芽玄米を使用することが可能である。
この出願発明では、ウコンを玄米に含浸させるために、ウコンをそのままあるいは食塩水に混合し、これに発芽玄米を浸漬した後に発芽させることに特徴があるが、従来と同じようにたとえば、泡盛のようなアルコールにウコンを溶解させてから、泡盛含有のウコンを発芽玄米に浸透、浸潤させても好ましいことを確認している。
この出願発明で使用する原料の米は、主として沖縄の八重山地方で収穫されるひとめぼれが好ましいが、ササニシキ、コシヒカリ、アキタコマチ、その他多くの地域で生産される異なる品種の米でも原産地に関係なく使用することが可能である。
さらにこの出願発明では玄米を洗浄する洗浄水及び、玄米を浸潤させる膨潤水には、家庭用の水、水道水、井戸水など通常の飲用の水であれば限定することなく、いずれも使用可能であるが、特殊な方法で処理製造したミネラルウォーターのような飲料水であっても、発芽時間の短縮や乾燥、及び食味や食感の点でも遜色なく、使用して効果を得ることができるが、軟水がとくに好ましい。
また、食塩としてはどのような食塩でも良いが、天然塩、とくに天日塩が好ましい。
以下、この出願発明を実施例により具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
第一工程
原料の沖縄の八重山地方で収穫されるひとめぼれの玄米を軟水を使って洗浄し、玄米の夾雑物を除去した後、得られた洗浄玄米1kgを、粉末状のウコン10g、天日塩5g、及び軟水400ccから成るウコンの成分を含有するの天日塩の混合液にかき混ぜながら浸漬して玄米とウコンを均一に調整する。調整後1時間放置し、さらに軟水400ccを加えた後2時間静置して保冷する。続いて軟水600ccを、玄米、ウコン、天日塩及び軟水とから成る、保冷したウコンの成分を含有するの食塩混合液に加え約12時間冷蔵庫内で静置し、ウコンの成分を含有する玄米を得る。
第二工程
第一工程で得られたウコンの成分を含有するの玄米を冷蔵庫から取り出し、約25℃〜27℃の室内で約3時間放置することにより、0.5〜1mmの発芽を始めた発芽玄米を得た。
第三工程
第二工程で得られた吸水したウコンの成分を含有する発芽玄米を水切り後、冷蔵庫に入れ、約12時間保冷した。
第四工程
第三工程で得られたウコンの成分を含有する発芽玄米を乾燥させ、続いて100℃で熱処理することによりウコン入り発芽玄米を得た。
この実施例の発芽玄米には、発芽玄米の栄養成分のみならず、薬理作用を有するウコンの各種精油成分を含有しているので、発芽玄米に含まれているギャバのような栄養成分とウコンの各種精油成分の機能性成分による薬理作用とにより相乗的な効果を発揮するウコン入り発芽玄米を得ることができる。
また、この実施例では、食塩を存在させてウコンの成分を発芽玄米に含浸したので、柔らかい発芽玄米を製造することができ、白米と同様に簡単に炊飯できる。
また、この実施例では冷蔵庫で保冷したので、発芽を遅らすことができ、発芽玄米により多くのウコンの成分を含浸することができた。
同様に予めウコンを浸漬した水を利用して玄米から発芽玄米を製造した。
【実施例2】
【0009】
第一工程
3kgの沖縄の八重山地方で収穫されるひとめぼれの玄米を選別機にかけて得られる粒状均等の玄米を、軟水により洗浄器で5分間洗浄する。ついで洗浄した玄米を別の容器に移して手作業で3回その容器の中で洗浄した後、玄米についている水分の水切りをする。
第二工程
次に水切りした玄米を粉状のウコン30gを軟水1500ccに混合して得られるウコン混合液に浸漬し、2時間静置する。このように静置した後、ウコン混合液に900ccの軟水を添加し、約25℃〜27℃で8時間放置した後、冷蔵庫に入れ約11時間保冷する。
第三工程
保冷後冷蔵庫から取り出して十分に洗浄して水きりの後、常温で送風機により乾燥させることによりウコン入り発芽玄米を得る。
第四工程
得られたウコン入り発芽玄米を120gづつに分けて30分間100℃で熱処理して製品とする。
この実施例の発芽玄米には、発芽玄米の栄養成分のみならず、薬理作用を有するウコンの各種精油成分を含有しているので、発芽玄米に含まれているギャバのような栄養成分とウコンの各種精油成分の機能性成分による薬理作用とにより相乗的な効果を発揮するウコン入り発芽玄米を得ることができる。
また、この実施例では冷蔵庫で保冷したので、発芽を遅らすことができ、発芽玄米により多くのウコンの成分を含浸することができた。
同様に予めウコンを浸漬した水を利用して玄米から発芽玄米を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0010】
この出願発明は、発芽玄米に含まれている多数の栄養成分と、各種のウコン、たとえば、春ウコン、秋ウコン、紫ウコンなどに含まれる各種の成分とを一緒に摂取することにより優れた効果を持つ発芽玄米を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽玄米をウコンを添加した溶液あるいはウコンを浸漬した溶液で処理することを特徴とするウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項2】
発芽玄米を水に浸漬させた後にウコンを添加した溶液あるいはウコンを浸漬した溶液で処理することを特徴とする請求項1に記載のウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項3】
発芽玄米をウコンを添加した溶液で処理あるいはウコンを浸漬した溶液で処理した後に水を加えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項4】
発芽玄米をウコンを添加した溶液あるいはウコンを浸漬した溶液で処理した後に冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項5】
溶液が水であることを特徴する請求項1〜4に記載のウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項6】
ウコンを添加した溶液が食塩を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のウコン入り発芽玄米の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの製造方法により製造されていることを特徴とするウコン入り発芽玄米。
【請求項8】
ウコンの成分を含んでいることを特徴とするウコン入り発芽玄米。
【請求項9】
ウコンの成分がクルクミンおよび/またはクルクモールであることを特徴とする請求項8に記載のウコン入り発芽玄米。

【公開番号】特開2006−55068(P2006−55068A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240253(P2004−240253)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(504163140)有限会社しゃりや (2)
【Fターム(参考)】