説明

ウシの成長に関するDNAマーカー

本発明は、多型を有する雌肉牛の子孫における離乳時体重の増大に関連する遺伝的多型を同定する方法を提供する。本発明により提供される遺伝マーカー支援選択法によって、潜在的に費用のかかる表現型試験および伝統的交配スキームに関連する不正確さの回避、ならびに、肉牛群の改善が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は概して、哺乳動物遺伝学の分野に関する。より具体的には、本発明は、優れた成長特性をもつ子孫のための遺伝的素因を有するウシの選択用遺伝マーカーに関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本願は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる2005年1月13日出願の米国仮特許出願第60/643,683号の恩典および優先権を主張するものである。
【0003】
2. 関連技術の記載
家畜量的形質遺伝子座(livestock quantitative trait loci;QTL)の根底にある原因変異を同定するのは極めて困難であることがわかっており、このことは、商業的な家畜種におけるマーカー支援選択(MAS)の適用を著しく不利にしている。全ゲノム配列の利用可能性は、QTLを包含する重要な領域中の候補遺伝子の同定において、および同様に、標的となる候補遺伝子のコード領域および非コード調節領域内での多様性に関するスクリーニングのためのポリメラーゼ連鎖反応プライマーの設計において、支援となることが予想されている。しかしこれは、量的形質ヌクレオチド(QTN)同定に関する重要な問題である、重要な調節領域の認識およびこれらの領域における原因変異の同定を克服してはいない。
【0004】
ヒトゲノムプロジェクト(HGP)は、ヒトゲノム配列によって、ヒトの違い、特に疾患の根底にある遺伝メカニズムが明らかになるであろうという期待をもって1990年に開始され、患者の遺伝子型によって個々にカスタマイズされた新しい治療をもたらした。HGPの出現によって、動物の農業における同様のバイオテクノロジー熱が引き起こされた。
【0005】
成功の一部は、牛乳の質および量に関連するQTLの同定である。ウシにおけるリジンからアラニンへの非保存的置換(K232A)およびアシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)遺伝子は、ホルスタイン牛の牛乳収率および成分の形質の違いに影響する原因変異であることが示されている(Grisart et al, 2002, 2004; 米国特許出願公開第20040076977号)。アラニン対立遺伝子は、牛乳の全収率およびタンパク質の増大を生じるが、同時に乳脂肪を減少させる。アラニン対立遺伝子は、牛乳の全収率が主に選択される米国のホルスタイン個体群においては正の選択下であるが、リジン対立遺伝子は、乳脂肪の増大が主に経済的に重要であるニュージーランド乳牛個体群において選択されている(Spelman et al., 2002)。
【0006】
前述のものは乳牛の改善のために有益であるが、肉牛の改善のための技術は大変乏しい。肉牛産生のために重要な形質の一覧は乳牛とは異なり、広範にわたっている。しかし、60年以上前からの選択指数理論の発展にもかかわらず、肉質または生産効率の遺伝的改善は、肉牛個体群において、過去100年間でほとんど行われていない。このことは、少なくともある程度は、これら形質を改善するための選択的決定の実施に関する情報が僅かしか入手できないことによる。商業的な精肉(packing)工場において枝肉の情報を得ること、および個々の動物の同一性を保持することは、極めて困難かつ金がかかる。したがって、ごく少数の肉用種組合しか、個体により産生される生殖細胞の遺伝的平均相加値(average additive genetic value)の統計的推定値である期待後代差(expected progeny differences; EPD)を展開する(develop)ことができず、枝肉形質の間接的測定値を提供するための、生きている動物用の超音波技術の開発に相当の努力が費やされてきた。したがって、正味の成長効率を改善するための交配の決断を行うことについての情報はほとんどまたは全く入手不可能である。これらの形質の重要性および費用ならびに測定の困難さのために、DNA診断などの、肉牛における有益な形質の選択に関する間接的測定の開発が非常に求められている。このような技術によって、交配計画の生産性を大幅に増大させることができ、かつ、費用のかかるまたは効果のない表現型選択の必要性を解消することができた。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
ある局面において、本発明は、以下の段階を含む、離乳時体重が増大した子孫を生じるための遺伝的素因を含む雌肉牛を入手する方法を提供する:(a) 多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重増大に関連するDGAT1における遺伝的多型について、少なくとも第一の雌肉牛の遺伝子型同定を行う段階;および、(b) 多型を有する雌肉牛を選択する段階。本発明の特定の態様において、遺伝的多型は、ウシDGAT1遺伝子におけるリジンからアラニンへの置換(K232A)としてさらに定義されうる。DGAT1における遺伝的多型の存在に関する第一の雌親肉牛の遺伝子型同定には、雌親の直接試験に加えて、第一の雌親の遺伝子型を決定するための雌親の一方または両方の親の試験が含まれうる。
【0008】
このような多型は、核酸レベルおよびタンパク質レベルの両方で、任意の方法によって検出されうる。1つの簡便な検出方法には、ポリメラーゼ連鎖反応の使用が含まれる。本明細書において後述されるとおり、この技術およびその他の技術は、当業者に周知である。分析される遺伝物質には、例えば、ゲノムDNAまたはRNAが含まれる。これは、誕生後のウシから入手することができ、または、ウシ胎仔から得ることもでき、これにはインビトロにおける胚からの入手も含まれる。選択には、第一の肉牛が胚から成長するように、胚の胚移植が含まれうる。本発明の方法は、Bos indicusおよびBos taurusウシを含む、任意の品種の肉牛と共に使用できる。
【0009】
さらに別の局面において、本発明は、以下の段階を含む、離乳時体重が増加した子孫肉牛を得る確率を増大させるためのウシの交配の方法を提供する:(a) DGAT1における遺伝的多型の存在について第一の雌親肉牛を選択する段階であって、多型が、多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重の増大に関連する段階;および、(b) 多型を含まない雌肉牛の子孫に対して離乳時体重が増大した少なくとも第一の子孫肉牛を入手するために、第一の親肉牛と雄親肉牛とを交配する段階。本方法はさらに、DGAT1における遺伝的多型に基づいて第二の親肉牛を選択する段階を含む。DGAT1における遺伝的多型の存在について第一の雌親肉牛を選択する段階には、雌親、および、雌親の一方または両方の親の直接試験が含まれうる。
【0010】
本発明のある局面において、前述の技術を「逆転させ」てもよく、かつ、適切なDGAT1遺伝子型を有する親の選択を通して、仔ウシの離乳時体重を減少させる対立遺伝子を入手するために、DGAT1遺伝子型選択が使用される。このような選択は、例えば、雌ウシによるより効率的なエネルギー利用およびウシの耐久性を含む、その他の恩典を提供するために使用されうる。従って本発明は、DGAT1の232位のアミノ酸においてリジン対立遺伝子が選択される、前述の方法を含む。したがって、本発明のある局面において、以下の段階を含む方法が提供される:(a) 多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重減少に関連するDGAT1における遺伝的多型について、少なくとも第一の雌肉牛の遺伝子型同定を行う段階;および、(b) 多型を有する雌肉牛を選択する段階。本発明の特定の態様において、遺伝的多型は、K232対立遺伝子としてさらに定義されうる。従って本発明はまた、以下の段階を含む方法も提供する:(a) 多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重減少に関連する、DGAT1における遺伝的多型の存在について、第一の雌親肉牛を選択する段階;および、(b) 多型を含まない雌肉牛の子孫に対して離乳時体重が減少した少なくとも第一の子孫肉牛を入手するために、第一の親肉牛と雄親肉牛とを交配する段階。
【0011】
本発明の方法において、第一の親肉牛および第二の親肉牛の一方または両方は、任意の品種の肉牛、例えばBos indicusまたはBos taurusの肉牛であってよい。また本方法はさらに、第二世代の子孫肉牛を生じるために子孫肉牛と第三の肉牛とを交雑させる段階を含むとして定義されうる。第三の肉牛は、子孫肉牛の親であってよく、または子孫肉牛とは血縁関係がなくてもよい。本発明の特定の態様において、前記の段階が約2回〜約10回繰り返され、ここで、第一の親肉牛は、以前の段階(a)および(b)の反復に起因する子孫肉牛から選択され、かつ、第二の親肉牛は、離乳時体重増加の導入が望まれる選択されたウシ品種に由来する。したがってこの技術は、例えば、さもなくばその形質を欠くが他の望ましい形質を保有する遺伝的背景に、有益な特徴を導入することを可能にする。
【0012】
例示的態様の説明
ある局面において、本発明は、肉牛から得られる子孫の離乳時体重に関して該肉牛を改善するための方法および組成物を提供する。驚くべきことに、ホルスタイン乳牛における牛乳収率および成分の原因となるウシのアシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)遺伝子におけるリジンからアラニンへの非保存的置換(K232A)が、肉牛の離乳時体重の変化をもたらすことが見出された。DGAT1におけるアラニン対立遺伝子にホモ接合性である雄ウシの牛乳EPDは、離乳時体重に関して、同じ遺伝子座においてリジン対立遺伝子にホモ接合性であるものよりも、平均で6.31 lb大きいことがわかった。したがって、ウシの成長に直接影響する遺伝子の原因となった後、アラニン対立遺伝子にホモ接合性である雄ウシ由来の雌仔は、リジン対立遺伝子にホモ接合性である雄ウシ由来の雌仔よりも、平均で6.31 lb重い仔ウシを離乳させた。
【0013】
本発明の技術は、費用のかかるまたは信頼性の低い表現型分析法および手作業による交配選択の必要なしに、以前に同定されなかった肉牛の形質に関して肉牛の改善を可能にするという点で重要である。ウシの交配および人工受精に関連する費用が増大しているため、産生されたウシそれぞれが、時間および費用の実質的な投資を意味する。伝統的なウシの交配方法には、種雄子孫が試験される標準的な交配技術が含まれる。しかし、環境変動や記録の誤りのために、そのような技術には精度が欠けていることがある。さらに、複合的遺伝子作用および遺伝子間相互作用が交配を複雑にすることがある。表現型選択は、そのような遺伝的変異性を有効に考慮に入れられないことが多い。したがって、DNA試験に基づく選択は、従来の分析法または選択における費用や信頼性欠如を伴うことなく、子孫の離乳時体重について肉牛の改善を可能にするという点で、重要である。
【0014】
離乳時体重の増大に関連するとして本明細書中で同定された多型を同定するための遺伝分析の使用には、屠殺のため、例えば食肉製品の生産のために産生された肉牛の交配または選択における用途が見出されるであろう。したがって、本発明のある態様は、乳製品の産生に特に適したまたはそのために使用されるウシに対して、食肉生産に適合化された肉牛品種における成長特性を増大させるための交配計画を含む。このような技術は、現在に至るまで肉牛に関しては大幅に欠如していた。
【0015】
B. taurus×B. indicus交雑の利用によって、成長および枝肉成分に影響する数多くのQTLの検出がもたらされているが、これらQTL効果の根底にある原因変異の同定の助けとはなっていないようである。ゲノムスキャンは、60〜240遺伝子を含む5〜20Mbの染色体区間のみでQTLの位置を決定することができる(Heaton et al, 2001; White et al, 2003)ので、このことは、1) ウシの全ゲノム配列の欠如;2) 転写、選択的スプライシング、mRNA安定性および局在化、または翻訳効率に関する調節変異の同定における、限られた経験;ならびに、3) コード配列1700bp毎の頻度での、B. taurusとB. indicusの間の固定された対立遺伝子相違を含むSNPの出現を含む要因の組み合わせによる可能性があり、これによって、原因変異の候補をふるい落とすことが大幅に困難になっている。したがって、原因SNPを解明するという課題は極めて困難であり、かつこれは、改善が望ましい商業的個体群におけるQTL対立遺伝子頻度およびマーカー-QTL対立遺伝子位相関係が未知であるので、QTLが始めに検出された個体群以外におけるマーカー支援選択の実行を妨害するものである。有益な肉牛形質に関する遺伝分析の利用可能性は、したがって、有意な進歩を示す。
【0016】
I. 遺伝分析および選択
動物交配に関する遺伝分析支援選択は、子孫の育成および表現型試験の必要性なしに選択を行うことができるという点で重要である。特に、そのような試験は、問題の形質を必ずしも示さず、かつ、遺伝子移入されるべき形質を含み望ましくないバックグラウンド形質を含まないように選択するための遺伝子移入ストラテジーにおいて使用可能である関連個体間で、選択を行わせる(Hillel et al, 1990)。しかし、特に、商業的系統において多くのそのような形質は分離されておらずすでに近傍の最適対立遺伝子と共に固定されているので、効果の大きな高遺伝性の形質をもたらす遺伝子座に関する遺伝分析を同定することは難しい。本発明は、肉牛個体群において分離されている対立遺伝子に関してそのような分析法を提供することによって、この困難を克服するものである。
【0017】
本発明にしたがって、DGAT1対立遺伝子相違に基づき動物を分類および同定する任意の分析法が使用されうり、本発明の範囲に具体的に含まれる。特定の関連形質に関する原因多型の同定を行う当業者は、この多型に関して動物を遺伝子型同定する方法が本質的には無限に存在することを認識するであろう。これらの試験は、核酸レベルでもタンパク質レベルでも行われうる。このような代替的試験の設計は、単に、本明細書において提供される様々な技術を示すにすぎず、したがって、本明細書において完全に説明されたとおり、本発明の範囲に含まれる。例示的な手順を本明細書において以下で説明する。
【0018】
多型の有無を同定するための方法の非限定的な例は、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、RFLP分析、ヘテロ二重鎖分析、変性勾配ゲル電気泳動、温度勾配電気泳動、リガーゼ連鎖反応、および遺伝子の直接シーケンシングを含む。PCR(商標)検出を用いる技術は、検出がより迅速で、労働集約性が低く、必要な試料サイズが小さいという点で有利である。この点に関して使用されうるプライマーは米国特許出願公開第20040076977号に開示されており、その開示は、本明細書において参照により全体として組み入れられている。DGAT1遺伝子のPCR(商標)増幅された部分を、例えば、増幅された部分の直接シーケンシングを用いて、増幅断片と多型によって改変された切断部位を有する制限酵素エンドヌクレアーゼとの接触によって産生される制限酵素断片長多型の検出によって、リジンおよびアラニン対立遺伝子が特異的オリゴヌクレオチドプライマーによってそれぞれ増幅される対立遺伝子特異的PCR(商標)によって、ならびに増幅領域のSSCP分析によって、多型に関してスクリーニングすることができる。また、一部の適用においてはより多くの作業が必要であるが、これらの技術を、PCR(商標)増幅の必要なしに、ゲノム核酸に対して直接行うこともできる。
【0019】
ある分析形式を選択したら、選択は、核酸またはタンパク質試料を乳仔期の動物などの個体から収集した後任意の時点で分析された、または、インビトロにおいて胚を試験するまたは胎児子孫を試験する場合にはそれよりも早く分析された遺伝子型に基づいて、明白に行われうる。遺伝物質(例えばDNAおよびRNAを含む)の任意の供給源、またはそれにコードされる産物を、遺伝子型の記録のために分析してもよい。本発明のある態様において、分析されるウシの毛根、血液、または精液から単離された核酸がスクリーニングされる。一般に、供給源としては末梢白血球が簡便に用いられ、遺伝物質はDNAである。記録が核酸の増幅により行われる場合、最小限の試料サイズしか必要ではないが、十分量の分析用DNAを提供するのに十分な量の細胞を得る。当技術分野で公知の標準的核酸単離技術によって、血液細胞からDNAを単離することができる。
【0020】
遺伝分析支援交配において、選択された雌から卵子を回収し、選択された雄由来の精液を用いてインビトロにおいて受精させ、出産のために他の雌に移植してもよい。分析は、雄および雌のウシ両方を用いて有利に行うことができる。インビトロ受精を用いて、例えば、胚が4〜8細胞ステージに発達したらすぐに、PCR(商標)を用いて遺伝分析を行うことができ、それに応じて選択が行われる。したがって、胚移植前に、所望のマーカーにホモ接合性である胚を選択することができる。
【0021】
遺伝子型支援選択の使用により、従来の方法よりも効率的かつ正確な結果が提供される。また、このことによって、同定された遺伝的マーカーに関連する特定の形質の特定の遺伝的背景への迅速な導入またはそこからの除去が可能になる。この場合、離乳時体重を増大または減少させるDGAT1対立遺伝子についてのスクリーニングを用いて、望ましいならば、低体重でウシを離乳させるであろう雌の効率的な淘汰(culling)、ならびに、離乳時体重の大きいウシを離乳させるであろう雌仔を産生するであろう雄ウシおよび雌ウシの選択が可能になりうる。
【0022】
遺伝分析を用いて、重要な形質に影響する遺伝子についての情報を得ることができ、したがって交配作業を促進することができる。特定の形質に関してマーカーを開発するのに考慮される要素には、以下が含まれる:いくつの遺伝子が形質に影響するか;該遺伝子が染色体上のどこに位置するか(例えば、遺伝マーカー近傍);各遺伝子座がどのくらい形質に影響するか;コピー数が影響するかどうか(遺伝子量);多面発現;環境感受性;およびエピスタシス。
【0023】
遺伝マップは、生物の各染色体に沿った、遺伝マーカーの相対的順序、および、互いからのその相対距離を示す。高等生物における有性生殖の際、各染色体対の2コピーは、互いに近接して整列する。染色体上で互いに近接して位置する遺伝マーカーは、ほとんど組換えを受けず、したがって、同じ子孫個体において通常一緒に見出される。互いに近接して位置するマーカーは低い割合の組換えを示し、これらは連鎖していると言われる。表現型効果を有する遺伝子座に連鎖するマーカーは、所望の形質を有する個体の選択のために使用されうるという点で、特に重要である。
【0024】
したがって、通常親から子孫へ遺伝子と共に伝達される、近傍の遺伝マーカーを同定することによって、所与の対立遺伝子の同一性を決定することができる。この原理は、表現型に対して大きな効果を有する遺伝子(単なる遺伝形質)、および表現型に対して小さな効果を有する遺伝子の両方に当てはまる。したがって、特定の形質に連鎖したマーカーを同定することによって、形質間での遺伝連鎖による特定の多型を検出する必要なしに、連鎖する多型の直接選択が可能になるであろう。当業者はしたがって、本明細書においてDGAT1の遺伝分析に言及される場合、これは具体的には、DGAT1対立遺伝子の情報を与える(informative)遺伝連鎖した多型の検出を包含することを理解するであろう。このような多型は、これらが同様に形質に対する寄与遺伝子座にも連鎖する程度まで、形質に関する予知力を有する。したがってこのようなマーカーは、関心対象の形質に関する潜在的予知能力も有する。
【0025】
動物の最も自然な個体群は、古典的連鎖マッピング個体群とは遺伝的に全く異なる。連鎖マッピング個体群は一般に、2親間での二世代交雑に由来するが、多くの自然個体群は、異なる親の組み合わせ間での多世代交配に由来し、これによって、遺伝子の大規模再シャッフリングがもたらされる。このような個体群内の個体は、個体群の多くの異なる創始者に由来する、遺伝子の複合モザイクを有する。全体としての個体群における遺伝子頻度は、自然もしくは人工の選択によって、または小さな個体群における遺伝的浮動(例えば偶然)によって、改変されうる。そのような複合個体群が優れた平均的発現の形質を有するとすれば、飼育者は、(1) 他の形質の所望のレベルを維持しながら、関心対象の形質の発現を維持または改善すること;および(2) 関心対象の形質に影響するまれな望ましい対立遺伝子が、選択によってその頻度が増大される前に喪失されない位、十分な遺伝的多様性を維持することを望むであろう。
【0026】
有利な対立遺伝子を維持しながら個体群内の十分な遺伝的多様性を維持する際に、遺伝分析によって特定の有用性が見出されうる。例えば、有利な表現型(大体数種類の形質について;指標による選択を容易に用いることができる)に基づいて個体群のごく一部を選択し、その後これを本明細書に記載の遺伝分析にかけ、個体群内での対立遺伝子多様性のほとんどを示すサブセットを保存することができる。最大限の所望の表現型多様性を複合個体群から抽出するためのストラテジーには、交配ストラテジーの重要な領域が残っている。古典的表現型選択と遺伝マーカーに基づく分析とを合併した一体化アプローチは、異種起源の個体群から価値のある遺伝子を抽出する際の助けとなりうる。
【0027】
本発明の技術は、Bos taurusおよびBos indicusウシを含む任意のウシと共に潜在的に使用されうる。本発明の特定の態様において、本明細書に記載の遺伝分析は食肉などの動物製品の生産の最大化において有用性を見出すであろうことから、本明細書に記載の技術は特に肉牛の選択に適用される。本明細書で使用される「肉牛」という用語は、食肉またはその他の非乳牛製品の生産のために育てられたまたは交配されたウシを指す。したがって、「一頭の肉牛」とは、食肉またはその他の非乳牛製品の生産のために育てられたまたは交配された少なくとも第一のウシを指す。本発明と共に使用されうるウシの品種の例には、以下が含まれるが、これに限定されない:Africander、Alberes、Alentejana、American、American White Park、Amerifax、Amrit Mahal、Anatolian Black、Andalusian Black、Andalusian Grey、Angeln、Angus、Ankole、Ankole-Watusi、Argentine Criollo、Asturian Mountain、Asturian Valley、Australian Braford、Australian Lowline、Ba-Bg、Bachaur、Baladi、Barka、Barzona、Bazadais、Beefalo、Beefmaker、Beefmaster、Belarus、Red、Belgian Blue、Belgian Red、Belmont Adaptaur、Belmont Red、Belted Galloway、Bengali、Berrendas、Bh-Bz、Bhagnari、Blanco Orejinegro、Blonde d'Aquitaine、Bonsmara、Boran、Braford、Brahman、Brahmousin、Brangus、Braunvieh、British White、Busa、Cachena、Canary Island、Canchim、Carinthian Blond、Caucasian、Channi、Charbray、Charolais、Chianina、Cholistani、Corriente、Costeno con Cuernos、Dajal、Damietta、Dangi、Deoni、Devon、Dexter、Dhanni、Dolafe、Droughtmaster、Dulong、East Anatolian Red、Enderby Island、English Longhorn、Evolene、Fighting Bull、Florida Cracker/Pineywoods、Galician Blond、Galloway、Gaolao、Gascon、Gelbray、Gelbvieh、German Angus、German Red Pied、Gir、Glan、Greek Shorthorn、Guzerat、Hallikar、Hariana、Hays Converter、Hereford、Herens、Highland、Hinterwald、Holando-Argentino、Horro、Hungarian Grey、Indo-Brazilian、Irish Moiled、Israeli Red、Jamaica Black、Jamaica Red、Jaulan、Kangayam、Kankrej、Kazakh、Kenwariya、Kerry、Kherigarh、Khillari、Krishna Valley、Kurdi、Kuri、Limousin、Lincoln Red、Lohani、Luing、Maine Anjou、Malvi、Mandalong、Marchigiana、Masai、Mashona、Mewati、Mirandesa、Mongolian、Morucha、Murboden、Murray Grey、Nagori、N'dama、Nelore、Nguni、Nimari、Ongole、Orma Boran、Oropa、Parthenais、Philippine Native、Polish Red、Polled Hereford、Ponwar、Piedmontese、Pinzgauer、Qinchuan、Ratien Gray、Rath、Rathi、Red Angus、Red Brangus、Red Poll、Retinta、Rojhan、Romagnola、Romosinuano、RX3、Sa-Sg、Sahiwal、Salers、Salorn、Sanhe、Santa Cruz、Santa Gertrudis、San Martinero、Sarabi、Senepol、Sh-Sz、Sharabi、Shorthorn、Simbrah、Simmental、Siri、Slovenian Cika、South Devon、Sussex、Swedish Red Polled、Tarentaise、Telemark、Texas Longhorn、Texon、Tharparkar、Tswana、Tuli、Ukrainian Beef、Ukrainian Grey、Ukrainian Whitehead、Umblachery、Ural Black Pied、Vestland Red Polled、Vosges、Wagyu、Welsh Black、White Caceres、White Park、Xinjiang Brown、およびYanbian ウシ品種、ならびに、これらから交配されたおよびこれらに関連するウシ。
【0028】
II. 核酸検出
核酸検出のための技術は、本発明の特定の態様において用途が見出されうる。例えば、そのような技術は、遺伝子型に関する個体の記録において、または、本明細書で同定された主要な効果的遺伝子座に連鎖する新規マーカーの開発において、用途が見出されうる。
【0029】
1. ハイブリダイゼーション
13〜100ヌクレオチド長、好ましくは17〜100ヌクレオチド長、または本発明のいくつかの局面においては最長で1〜2キロベースもしくはそれ以上の長さである、プローブまたはプライマーを用いることにより、安定かつ選択的な二重鎖分子の形成が可能となる。得られるハイブリッド分子の安定性および/または選択性を高めるためには、20塩基長を上回る連続鎖にわたって相補配列を有する分子が一般に好ましい。20〜30ヌクレオチド長または望ましいならばさらに長い1つまたは複数の相補配列を有する、ハイブリダイゼーション用の核酸分子を設計することが、一般的に好ましいであろう。そのような断片は、例えば、化学的手段によって断片を直接合成することにより、または選択した配列を組換え体産生のために組換えベクターに導入することにより、容易に調製されうる。
【0030】
したがって、相補的なDNA鎖および/もしくはRNA鎖と二重鎖分子を選択的に形成する能力、または、DNAもしくはRNAを試料から増幅するためのプライマーを提供する能力のために、本発明によってヌクレオチド配列が用いられうる。想定される用途によっては、標的配列に対するプローブまたはプライマーの様々な程度の選択性を実現するための、種々のハイブリダイゼーション条件を用いることが望ましいと考えられる。
【0031】
高い選択性を必要とする用途のためには、一般的に、ハイブリッドを形成させるために比較的高いストリンジェンシー条件を用いることが望ましいであろう。例えば、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.10M NaClにより得られるような、比較的低い塩および/または高温の条件である。このような高ストリンジェンシー条件は、プローブまたはプライマーと鋳型または標的鎖との間のミスマッチをあったとしてもほとんど許容せず、かつ、特定の遺伝子を単離するため、または特定のmRNA転写物を検出するために特に適していると考えられる。添加するホルムアミドの量を増やすことにより、条件をよりストリンジェントにできることは、一般に認められている。
【0032】
特定の適用に関しては、低ストリンジェントな条件が好ましい可能性がある。これらの条件下では、ハイブリダイズしている鎖の配列が完全に相補的ではなく1つまたは複数の部位でミスマッチであるにもかかわらず、ハイブリダイゼーションが起こりうる。塩濃度を増大させるおよび/または温度を下げることによって、条件をより低ストリンジェントにできる。例えば、中程度のストリンジェンシー条件は、約37℃〜約55℃の温度で約0.1M〜0.25M NaClによって得られうり、一方、低ストリンジェンシー条件は、約20℃〜約55℃の範囲の温度で約0.15M〜約0.9M NaClによって得られうる。ハイブリダイゼーション条件は、所望の結果に応じて容易に操作することができる。
【0033】
他の態様において、例えば、約20℃〜約37℃の間の温度で50mM Tris-HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、1.0mMジチオトレイトールの条件下で、ハイブリダイゼーションを行ってもよい。用いられる他のハイブリダイゼーション条件には、約40℃〜約72℃の範囲の温度で、約10mMのTris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2が含まれうる。
【0034】
ある態様においては、本発明によって定義された配列の核酸を、ハイブリダイゼーションを決定するための適切な手段(例えば、標識)と組み合わせて用いることが有利であると考えられる。例えばたとえばそのような技術は、RFLPマーカー遺伝子型の記録に用いられ得る。多岐にわたる適切な指標手段が当技術分野で知られており、これには、検出が可能な、蛍光性リガンド、放射性リガンド、酵素性リガンドまたは他のリガンド(例えば、アビジン/ビオチン)が含まれる。ある態様においては、放射性試薬または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ(例えば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼ)を用いることが望ましいであろう。酵素タグの場合には、相補的核酸を含む試料との特異的ハイブリダイゼーションを同定するための、目視可能なまたは分光光学的に検出可能な検出手段を提供するために用いられうる比色指標基質が知られている。
【0035】
一般に、プローブまたはプライマーは、固相を用いる態様においてと同様、核酸を検出するためのPCR(商標)などの溶液ハイブリダイゼーションにおける試薬として有用であることが想定される。固相を含む態様では、被験DNA(またはRNA)を、選択されたマトリクスまたは表面に吸着させる、またはさもなくば固定する。この固定された一本鎖核酸を、続いて、所望の条件下で、選択されたプローブとのハイブリダイゼーションに供する。選択される条件は、個々の環境に左右される(例えば、G+C含量、標的核酸の種類、核酸の供給源、ハイブリダイゼーションプローブの長さなどに左右される)。関心対象の個々の用途に対するハイブリダイゼーション条件の最適化は当業者に周知である。ハイブリダイズした分子を洗浄して、非特異的に結合したプローブ分子を除去した後に、結合した標識の量を決定することにより、ハイブリダイゼーションを検出、および/または定量化する。代表的な固相ハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,843,663号、第5,900,481号および第5,919,626号に開示されている。本発明の実施に用いられうるその他のハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,849,481号、第5,849,486号および第5,851,772号に開示されている。本明細書の本章で特定された、これらおよび他の参考文献の関連部分は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0036】
2. 核酸の増幅
増幅用の鋳型として使用される核酸は、標準的な方法論に従い、細胞、組織、またはその他試料から単離されうる(Sambrook et al, 1989)。このような態様は、例えば、マイクロサテライトマーカーなどの反復長多型の検出において、本発明による個々の用途が見出されうる。本発明のある態様において、鋳型核酸の実質的な精製を行うことなく、細胞全体または組織ホモジネートまたは体液試料に対して増幅分析が実行される。核酸は、ゲノムDNAでもよく、分画RNAや全細胞RNAでもよい。RNAを使用する場合、まずRNAを相補的DNAに変換することが望ましい。
【0037】
本明細書で用いられる「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセスにおいて新生核酸の合成のプライミングを行いうる任意の核酸を包含することを意味する。一般的には、プライマーは長さが10〜20および/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いることもできる。プライマーは二本鎖型および/または一本鎖型で提供されうるが、一本鎖型の方が好ましい。
【0038】
核酸と選択的にハイブリダイズするよう設計されたプライマー対を、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で鋳型核酸に接触させる。所望の用途に応じて、プライマーに対して完全に相補的な配列へのハイブリダイゼーションのみを可能にする、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を選択することができる。その他の態様において、プライマー配列に対して1つまたは複数のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にするため、低ストリンジェンシーでハイブリダイゼーションを行ってもよい。ハイブリダイズしたら、鋳型-プライマー複合体を、鋳型依存的核酸合成を促進する1つまたは複数の酵素と接触させる。十分量の増幅産物が作製されるまで、複数回(「サイクル」とも呼ばれる)の増幅を行う。
【0039】
増幅産物を、検出または定量することができる。ある用途において、検出は可視的な手段によって行われる。または、検出には、化学発光、組み込まれた放射標識もしくは蛍光標識の放射性シンチグラフィーを介した、または、電気および/もしくは熱インパルスシグナルを用いるシステムを介した、産物の間接的同定を含めることもできる(Affymax technology; Bellus, 1994)。典型的には、断片長変異体としての多型の記録は、得られた増幅産物のサイズに基づいて行われるであろう。
【0040】
いくつかの鋳型依存的プロセスを、所与の鋳型試料中に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するために利用することができる。最もよく知られた増幅法の1つはポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と呼ばれる)であり、これは米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号、ならびにInnisら、1988に詳細に記載されており、このそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0041】
逆転写酵素PCR(商標)増幅手順は、cDNAを得るために実行されうり、これは次に、多型に関して記録される。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知である(Sambrook et al., 1989を参照されたい)。逆転写のための代替的方法では、熱安定DNAポリメラーゼが利用される。これらの方法は国際公開公報第90/07641号に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当技術分野において周知である。RT-PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号に開示されている。
【0042】
別の増幅法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている欧州特許出願第320 308号に開示されているリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させるためのLCRに類似した方法を記載している。PCR(商標)および米国特許第5,912,148号に開示されたオリゴヌクレオチドリガーゼ分析(OLA)に基づく方法を用いることもできる。
【0043】
本発明の実施に用いられうる、標的核酸配列の増幅のための代替的な方法は、米国特許第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号および第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号、ならびにPCT出願第PCT/US89/01025号に開示されており、このそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0044】
PCT出願第PCT/US87/00880号に記載されたQβレプリカーゼを、本発明において増幅法として用いることもできる。この方法では、標的配列に相補的な領域を有するRNAの複製配列をRNAポリメラーゼの存在下で試料に添加する。ポリメラーゼは複製配列をコピーすると考えられ、これはその後、検出されうる。
【0045】
制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含む標的分子の増幅を行うために制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが用いられる等温増幅法も、本発明における核酸の増幅に有用でありうる(Walkerら、1992)。米国特許第5,916,779号に開示された鎖置換増幅法(Strand Displacement Amplification;SDA)は、核酸の等温増幅を行うもう1つの方法であり、これは複数回の鎖置換および合成、すなわちニックトランスレーションを含む。
【0046】
他の核酸増幅手順としては、転写に基づく増幅系(TAS)が含まれ、これには核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる(Kwoh et al., 1989; Gingeras et al., 1990; 国際公開公報第88/10315号、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。欧州特許出願第329 822号は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、一本鎖DNA(「ssDNA」)、および二本鎖DNA(dsDNA)の周期的合成を伴う核酸増幅プロセスを開示しており、これは本発明に従って用いられうる。
【0047】
国際公開公報第89/06700号(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)は、プロモーター領域/プライマー配列と標的ssDNAとのハイブリダイゼーション、およびその後の、該配列の多くのRNAコピーの転写に基づく、核酸配列増幅スキームを開示している。このスキームは周期的ではない、すなわち、得られるRNA転写産物から、新たな鋳型は作製されない。他の増幅方法には、「race」および「片側PCR(商標)」が含まれる(Frohman, 1990; Ohara et al., 1989)。
【0048】
3. 核酸の検出
任意の増幅の後、増幅産物を鋳型および/または過剰なプライマーから分離することが望ましい。1つの態様において、増幅産物を、標準的な方法を用いるアガロース電気泳動、アガロース-アクリルアミド電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離する(Sambrook et al., 1989)。分離された増幅産物を、さらなる操作のために切断してゲルから溶出させることもできる。低融点アガロースゲルを用いて、分離されたバンドをゲルの加熱によって取り出し、その後に核酸を抽出することもできる。
【0049】
核酸の分離はまた、当技術分野で公知のクロマトグラフィー技術によって行ってもよい。以下を含む、本発明の実施に用いられうる多くの種類のクロマトグラフィーが存在する:吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィー、ならびにHPLC。
【0050】
ある態様において、増幅産物は可視化されている。一般的な可視化の方法には、臭化エチジウムによるゲルの染色、およびUV光の下でのバンドの可視化が含まれる。または、増幅産物が放射標識または蛍光標識ヌクレオチドと一体的に標識されている場合には、分離された増幅産物をX腺フィルムに曝露してもよく、適当な興奮性スペクトルの下で可視化してもよい。
【0051】
1つの態様において、増幅産物の分離後に、標識された核酸プローブを、増幅されたマーカー配列と接触させる。プローブは発色団と接合していることが好ましいが、放射標識されていてもよい。別の態様において、プローブは、抗体またはビオチンなどの結合パートナー、または検出可能な部分を有する別の結合パートナーと接合している。
【0052】
特定の態様において、検出は、サザンブロット法および標識されたプローブを用いたハイブリダイゼーションによる。サザンブロット法に伴う技術は当業者に周知である(Sambrook et al., 1989を参照のこと)。前述したものの一例は、自動電気泳動および核酸の移行のための装置および方法を開示した米国特許第5,279,721号(参照によって本明細書に組み入れられている)に記載されている。この装置は、外部からゲルの操作を行わずに電気泳動およびブロット法を行うことを可能にし、本発明による方法を行うには理想的に適している。
【0053】
本発明の実施に用いられうるその他の核酸検出法は、米国特許第5,840,873号、第5,843,640号、第5,843,651号、第5,846,708号、第5,846,717号、第5,846,726号、第5,846,729号、第5,849,487号、第5,853,990号、第5,853,992号、第5,853,993号、第5,856,092号、第5,861,244号、第5,863,732号、第5,863,753号、第5,866,331号、第5,905,024号、第5,910,407号、第5,912,124号、第5,912,145号、第5,919,630号、第5,925,517号、第5,928,862号、第5,928,869号、第5,929,227号、第5,932,413号、および第5,935,791号に開示されており、これのそれぞれは参照により本明細書に組み入れられる。
【0054】
4. その他の分析法
遺伝的スクリーニングのためのその他の方法が、例えばゲノムDNA、cDNAおよび/またはRNA試料における多型の検出のために、本発明の範囲内で使用されうる。点変異を検出するために使用される方法には、変性勾配ゲル電気泳動(「DGGE」)、制限酵素断片長多型分析(「RFLP」)、化学的または酵素的開裂法、PCR(商標)により増幅された標的領域の直接シーケンシング(上記参照)、一本鎖構造多型分析(「SSCP」)、および当技術分野で周知のその他の方法が含まれる。
【0055】
点変異に対する1つのスクリーニング法は、RNA/DNAまたはRNA/RNAヘテロ二本鎖における塩基対ミスマッチのRNase開裂に基づく。本明細書において使用される「ミスマッチ」という用語は、二本鎖RNA/RNA、RNA/DNA、またはDNA/DNA分子において、対になっていない、または誤って対になった、1つまたは複数のヌクレオチドの領域として定義される。したがってこの定義は、挿入/欠失変異による、および単一または複数塩基の点変異によるミスマッチを含む。
【0056】
米国特許第4,946,773号では、一本鎖DNAまたはRNA被験試料のRNAプローブへのアニーリング、および、RNase Aによる核酸二重鎖のその後の処置を含む、RNase Aミスマッチ開裂分析が記載されている。ミスマッチの検出に関して、サイズに応じて電気泳動的に分離されたRNase A処置の一本鎖産物を、同様に処置された対照二本鎖と比較する。対照二本鎖には存在しないと思われる小さな断片(開裂産物)を含む試料は、陽性として記録される。
【0057】
その他の研究者によって、ミスマッチ分析におけるRNase Iの使用が記載されている。ミスマッチ検出のためのRNase Iの使用は、Promega Biotech発行の文献に記載されている。既知のミスマッチ4つのうち3つを開裂することが報告されているRNase Iを含むキットが、Promegaにより市販されている。一塩基ミスマッチを検出するためにMutSタンパク質またはその他のDNA修復酵素を用いるその他のものも記載されている。
【0058】
本発明の実施において使用されうる欠失、挿入、または置換変異を検出するための代替的方法は、米国特許第5,849,483号、第5,851,770号、第5,866,337号、第5,925,525号、および第5,928,870号に開示されており、そのそれぞれが全体として参照により本明細書に組み入れられている。
【0059】
5. キット
本発明による遺伝マーカー遺伝子型に関するウシのスクリーニングに必要な必須材料および/または試薬の全てが、キット中に一緒に組み合わされる。これは通常、本発明の実施において関心対象の個体の核酸に特異的にハイブリダイズするように設計されたプローブまたはプライマー、例えばDGAT1を増幅するためのものなどのプライマー配列を含むであろう。様々なポリメラーゼ(逆転写酵素、Taqなど)を含む、核酸の増幅に適した酵素、デオキシヌクレオチド、および、増幅に必要な反応混合物を提供するための緩衝液もまた含まれうる。そのようなキットはまた、特定の核酸または増幅産物の検出に適した酵素およびその他の試薬を含んでもよい。そのような試薬は通常、適切な手段で、各個々の試薬または酵素のため、および各プローブまたはプライマー対のための別個の容器を含むであろう。
【0060】
III. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれるものである。当業者は、後述の実施例に開示される技術が本発明の実践において十分に機能するように本発明者らによって発見された技術を示すものであり、従ってその実践における好ましい様式を構成するとみなされることができることを認識すべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的態様に多くの変更を加えることが可能でありかつ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果が得られることを認識すべきである。
【0061】
実施例1
個体群、表現型、およびEPDの供給源
貯蔵所によって、14世代にわたる(最も古い雄ウシは1956年に誕生した)、関連するAngus雄ウシ1,555頭の少なくともストローまたはアンプル1本の精液(平均約360μg DNA/種雄)に由来するDNA試料が作製された。この個体群は、Angus品種における主要な種雄系統の代表例であり、Missouri Angus Pedigree(MAP)個体群と称されていた。Ideal 3163のBand 234の2頭の雄仔であるTehama Bando 155 (#9891499) およびQ A S Traveler 23-4 (#9250717) は、一般的なAngus種雄であり、貯蔵所にそれぞれ21頭および29頭の雄仔が存在する。N Bar Emulation EXT (#10776479) は、貯蔵所で最も多数の雄仔を有する(N=69)。家系の発端ウシを除く全ての種雄が、自身の種雄において入手可能なDNAを有しており、かつまた77.9%は、自身の母系祖父において示されたDNAを有していた。20の形質についての全血統データ、EPD、および信頼度を、これら雄ウシに関して、American Angus Associationから得た。
【0062】
さらに、DNA試料(約110μg/去勢ウシ)を含む収集物をCircle A Ranch(Iberia, MO)から得て、登録されたAngus種雄との交雑によってCircle A Angus Sire Allianceで生まれた血統の明らかなAngus去勢ウシ子孫5,485頭についての血統および表現型の記録のデータベースをマップに示した。個体群に関して利用可能な去勢ウシ表現型データには、体重 [誕生 (N=4,572); 離乳 (4,562)]、生きている動物用の超音波測定値 [体重 (4,257); 脂肪の厚さ (4,264); ロース芯面積 (4,267); 筋肉内脂肪% (4,267)]、枝肉測定値 [ロース芯面積 (4,551); USDAマーブリングスコア (4,564); 歩留まり等級 (4,526); 脂肪の厚さ (4,549); 温と体枝肉重量 (4,592)]、ならびに全計量日および同年代群の識別名が含まれた。成長および各ウシの飼料摂取データは、DNA試料および枝肉データ(N=561超音波;N=341枝肉)と共に、561頭の去勢ウシに関して入手可能であった。各給餌同年代群において、一日飼料摂取平均量を一日増大平均量および代謝重量中間値[(給餌期間半ばにおける重量)075]上で回帰推定(regressed)した偏回帰モデルを用いて、残差飼料摂取量(RFI)を去勢ウシについて計算した(Herd et al, 2003)。
【0063】
実施例2
成長関連遺伝子座に関するQTL分析
新規成長関連QTLの同定のための可能な位置として、BTA2およびBTAI4を調査した。DGAT1多型がAngusウシにおいて分離しているかどうかを判定するため、およびその場合、肉牛における可能な表現型の効果を試験するための、アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)(Grisart et al., 2002;2004)におけるSNP変異の記録も関心対象であった。その結果、Angusウシにおける表現型の変化に関する候補QTLとしてDGAT1が特に調査された。
【0064】
したがって、調査は、肉牛のDGAT1におけるQTLの違いによる仔ウシ離乳時体重の影響力から開始された。マイクロサテライトは、効率的に記録可能であった対立遺伝子を大量に保有する公開された遺伝マップから始めに選択された(Barendse et al., 1997, www.cgd.csiro.au/cgd.html; Kappes et al., 1997, www.marc.usda.gov/genome/genome.html)。各マーカーに対するフォワードPCR(商標)プライマーは、4種類の蛍光色素標識のうち1つを用いて合成された。多重PCR(商標)は、対立遺伝子の大きさの範囲、蛍光標識、および、経験的に決定された各マーカーの同時増幅能力に基づいて開発された。多重PCR(商標)は、Schnabel et al., (2003)に記載のように、5μl反応を用いてABI 9700 thermocycler(Applied Biosystems Inc., Foster City, CA)上で実行された。PCR(商標)産物は、ABI 3100またはABI 3700自動シーケンサーのいずれかで分離され、GS500 LIZ内部サイズスタンダード(Applied Biosystems)に対して大きさ順に並べられた。色素標識されたマイクロサテライトからの蛍光シグナルは、GENESCAN v3.1(Applied Biosystems)を用いて検出され、遺伝子型は、Genotyper v3.7(Applied Biosystems)を用いて割り当てられた。
【0065】
全1,555頭のMAP種雄からおよび5,485頭のCircle A Angus去勢ウシからDNAを抽出し、5×384ウェルマスタープレートを、飼料摂取およびRFIデータと共にMAP種雄1,361頭および去勢ウシ559頭について作製した。マーカーは、MAPの多世代構造のために、情報性(informativeness)についてはあらかじめスクリーニングされず、したがって、この純粋種の血統において多くのマイクロサテライトが情報を与えるものでない可能性が懸念された。したがって、情報を与えるマーカーの割合を推定するために高分解能(4 cM)でマーカーを記録すること、および、大きなマーカー間の差なしに10 cM以上の平均分解能(マーカーの40%が情報を与える)でマップ作成を確信することが選択された。GENOPROB(Thallman et al., 2001a,b)を用いて誤った遺伝形質を訂正し失われた遺伝子型を推測した後に、TG5(Barendse et al., 2001)およびDGAT1(Grisart et al., 2002; 2004)における56の多重マイクロサテライトマーカーおよび変異を用いたこれら雄ウシ1.920頭におけるBTA2およびBTA14のマイクロサテライトに基づくスキャンにより113,637が産生された。TG5およびDGAT1は、PCR(商標)RFLPとして遺伝子型同定され、DGAT1については1.5%、TG5については3%のアガロースゲル(50%標準アガロースおよび50%高分解能NuSieve 3:1 アガロース(Cambrex Bioscience, Rockland, ME))上で記録された。
【0066】
PCR(商標)の失敗または(ABI 3700における)注入の失敗によって失われた遺伝子型の全割合は4.6%であり、失われた遺伝子型を再度得るのに何の試みも行わなかった。各反応において平均5.8遺伝子座が増幅されたが、それぞれ2マーカーのみを用いて2回の多重反応(multiplex)を行った。Angus内での関係を利用するために、遺伝子型同定された全てのウシと連鎖した完全な血統情報を組み立てた。遺伝子型、マップ、および血統情報を用いて、遺伝子型および祖父母起源の確率(grand-parental origin probabilities)を、遺伝子型同定されたウシそれぞれについて推定した。GENOPROB(Thallman et al., 2001 a, b)によって推定された、低い確率の(pGmx <0.98)個体の遺伝子型は、その後の分析から除外した。情報を与える減数分裂(informative meioses; IM)の欠如のために、2マーカーのみを遺伝マップに組み込むことができず、36マーカー(64%)は少なくとも1,000IMを生じた。全58遺伝子座にわたって、IMの平均数は1,180を上回った。1,737頭のAngus MAP種雄およびCircle A去勢ウシにおいて、リジンDGAT1対立遺伝子の頻度は14.8%であり、この対立遺伝子に対してホモ接合性の動物は1.6%であった。
【0067】
実施例3
肉牛内で分離しており、かつ、異なるQTL遺伝子型を有する母ウシ由来の仔ウシの成長速度の有意な変化に寄与する、DGAT1多型
DGAT1 K232A変異は、実施例1記載のMissouri Angus Pedigree個体群由来の長期にわたる血統の人工授精Angus種雄1,361頭において、1.5%アガロースゲル上でポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型として検出された。全1,250のDGAT1遺伝子型は、GENOPROBによってpGmx >0.98と割り当てられ、その後の分析に使用された。また、染色体上の特定の位置に対する定量的形質(QTL)の違いを反映する遺伝子の局在化を可能にする全染色体区間分析を行うために、サイログロブリン遺伝子内のSNPから、および、この血統におけるBTA14上の公知の24のマイクロサテライト遺伝子座から、遺伝子型同定を行った。表1は、マーカーの同一性および、このAngusマッピング個体群において作製されたウシ第14染色体の遺伝マップ内でのそれらの位置を含む。
【0068】
(表1)1,920頭のAngus AI種雄および去勢ウシが遺伝子型同定された血統における、24のマイクロサテライトおよび2つのSNP遺伝子座についての、マーカーの同一性、情報を与える減数分裂の数、ならびにBTA14の遺伝マップ

【0069】
遺伝子型同定エラーを同定するため、血統における母ウシの失われた遺伝子型を予測するため、全染色体連鎖マップを構築するため、およびBTA14上のDGAT1-TG5領域に対するハプロタイプを推定するために、GENOPROB(Thallman et al., 2001a, b)およびCRI-MAP(Green et al., 1990)を使用した。遺伝子型、マップ、および血統情報を用いて、遺伝子型および祖父母起源の確率を、遺伝子型同定されたウシそれぞれについて推定した。GENOPROBによって推定された、低い確率の(pGmx <0.98)個体の遺伝子型は、その後の分析から除外した。
【0070】
次に、BTA2およびBTA14の同時分析において、種雄EPDについてはモデルにおけるQTLのみを一致させるが、去勢ウシ表現型についてはQTL、年齢の共分散および無作為多因子効果(random polygenic effect)を一致させる、多点QTL分析のために、LOKI v2.4.5(Heath, 1997)を使用した。図1は、Angusにおける「牛乳EPD」に関するBTA14の区間分析を示す。「牛乳EPD」とは、牛乳産生の測定値ではなく、むしろ仔ウシの離乳重量に対する蓄積された母親(mothering)能力の効果を推定するものである。したがって、牛乳EPDに関する雄ウシのEPDとは、その種雄から遺伝した母親能力に関する遺伝子のためにより重いまたは軽い仔ウシを離乳させるであろう雌仔を産生するための、雄ウシの遺伝学的能力を示す。この数値は、BTA14上の最も動原体性のマーカーに局在するAngus牛乳EPDの違いを引き起こすQTLの存在を明確に示し、これがDGAT1である。
【0071】
Angus種雄の牛乳EPDに対するDGAT1遺伝子型の効果を直接推定するために、予想誤差分散に正比例する1-Acciの重みをつけた(Acciとは、EPDiの予測の精度である)加重最小自乗および加重一方向ANOVAを用いて、Angus血統においてDGAT1が牛乳EPDに与える効果の有意性を推定および試験した。これらの分析の結果を表2に示す。図1および表2は、DGAT1が、異なるDGAT1遺伝子型を有する雄ウシが父親である肉牛母ウシ由来の仔ウシの成長速度の違いを引き起こすことを示す。DGAT1アラニン対立遺伝子に関してホモ接合性の種雄は、リジン対立遺伝子に関してホモ接合性の種雄よりも、その雌仔が平均で6.31 lb(または0.58σG)(P <0.0001)重い仔ウシを離乳させるような牛乳EPDを有する。DGAT1は、Angus個体群における牛乳EPDの違いの2%を説明するものである。1980年以前の雄ウシ72頭のリジン対立遺伝子の頻度は26.4%であり、1980年代に生まれた雄ウシ217頭では17.1%であり、1990〜1994年に生まれた雄ウシ312頭では17.9%であり、1995〜1999年に生まれた雄ウシ484頭では14.7%であり、2000〜2002年に生まれた雄ウシ165頭では8.8%であった。したがって、この10年間で離乳時体重を増加させるためにAngus飼育者が牛乳EPDに適用した選択は、Angus個体群におけるアラニン対立遺伝子の頻度の増大をもたらしたようである。
【0072】
(表2)Angusウシにおける牛乳EPDによるDGAT1の連関分析

【0073】
本明細書において開示および主張されている全ての方法は、本発明の開示に鑑みて、不要な実験を行うことなく作成および実施されうる。本発明の組成物および方法は好ましい態様の観点から説明されているが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法の段階または一連の段階における方法に対して変更を加えることができることが明らかであろう。より詳細には、同じまたは同様の結果が得られると考えられる限り、化学的および生理学的に関連する特定の物質を、本明細書に記載されている物質と置き換えることができることは明らかであろう。当業者に明白なこのような同等の置換および修正は全て、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考えられる。
【0074】
参考文献
以下の参考文献は、それらが例示的手順または本明細書の記載を補足するその他の詳細を提供する限り、参照により本明細書に具体的に組み入れられるものである。



【図面の簡単な説明】
【0075】
添付の図面は本明細書の一部であり、本発明の一部の局面をさらに示すために含められる。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書に示される具体的態様の詳細な説明と併せて参照することによって、より適切に理解することができる。
【図1】DGAT1遺伝子を含むウシ第14染色体のAngus牛乳EPDに関する区間分析(Haldane cM)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌肉牛の子孫の離乳時体重増大に関して該肉牛の遺伝的素因を決定する方法であって、DGAT1に関する遺伝子型を決定するために該肉牛の遺伝子型同定を行う段階を含む方法。
【請求項2】
遺伝子型同定が、該肉牛の少なくとも一方の親の遺伝子型を決定する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該肉牛の両親の遺伝子型同定を行う段階を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該肉牛がBos indicusまたはBos taurusの肉牛である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該肉牛がAngus肉牛である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
DGAT1に関して肉牛個体群の遺伝子型同定を行う段階を含むとしてさらに定義される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
DGAT1におけるK232A多型を含む個体群に由来する少なくとも第一の肉牛を同定する段階をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
多型を有さない同様の品種の雌肉牛の子孫に対して離乳時体重が増大した子孫肉牛を得るために、DGAT1におけるK232A多型を含む個体群に由来する第一の肉牛と、第二の肉牛とを交配する段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
肉牛由来の遺伝物質を分析することによって遺伝子型同定が行われる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
遺伝子型同定がPCRによって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
遺伝子型同定が核酸ハイブリダイゼーションによって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
遺伝物質が生殖細胞由来である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
遺伝物質がゲノムDNAである、請求項9記載の方法。
【請求項14】
以下の段階を含む、離乳時体重を増大させるために肉牛を交配する方法:
(a) 肉牛の子孫において離乳時体重増大をもたらすDGAT1における遺伝的多型を含む第一の雌親肉牛を同定するために、少なくとも1頭の候補雌肉牛を分析する段階;および
(b) 多型を含まない同じ品種の雌肉牛の子孫に対して離乳時体重が増大した子孫肉牛を入手するために、第一の親肉牛と第二の親肉牛とを交配する段階。
【請求項15】
第二の親肉牛が該遺伝的多型を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第二世代の子孫肉牛を産生するために該子孫肉牛と第三の肉牛とを交雑させる段階を含むとしてさらに定義される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
該第一の親肉牛が、以前の該段階(a)および該段階(b)の反復に起因する子孫肉牛から選択され、かつ、該第二の親肉牛が、該多型の出現の増加が望まれる選択されたウシ品種に由来する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
段階(a)および段階(b)を約2〜約10回繰り返す段階を含むとしてさらに定義される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
以下の段階を含む、肉牛を交配する方法:
(a) 多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重増大に関連するDGAT1におけるK232A多型の存在について、肉牛個体群を分析する段階;
(b) K232A多型を含む個体群のメンバーを選択する段階;および
(c) 子孫肉牛を産生するために、選択された個体群メンバーを交配する段階。
【請求項20】
以下の段階をさらに含む、請求項19記載の方法:
(a) 多型を含む雌肉牛の子孫における離乳時体重増大に関連するDGAT1におけるK232A多型の存在について、子孫肉牛を分析する段階;
(b) K232A多型を含む子孫肉牛を選択する段階;および
(c) 次の世代の子孫肉牛を産生するために、選択された子孫肉牛を交配する段階。

【図1】
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【公表番号】特表2008−526252(P2008−526252A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551345(P2007−551345)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/000958
【国際公開番号】WO2006/076419
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505101868)ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミズーリ (7)
【Fターム(参考)】