説明

ウスターソース類の製法およびそれにより得られたウスターソース類

【課題】呈味性に優れ、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだ、全く新規なウスターソース類の製法およびそれにより得られたウスターソース類の提供をその目的とする。
【解決手段】野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液に、セルラーゼ活性を有する担子菌を接種し、上記混合液を発酵させる工程を備えているウスターソース類の製法とする。そして、この製法により得られるウスターソース類とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウスターソース類の製法およびそれにより得られたウスターソース類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、日本で一般に「ソース」といわれる調味料は、ウスターソース類に分類される。ウスターソース類は、日本農林規格で定められるように、次の(1)または(2)に掲げるものであって、茶色または茶黒色をした液体調味料をいう。
(1)野菜若しくは果実の搾汁、煮出し汁、ピューレ又はこれらを濃縮したものに、砂糖類、食酢、食塩および香辛料を加えて調製したもの。
(2)上記(1)に、でん粉、調味料等を加えて調製したもの。
【0003】
そして、ウスターソース類のうち、粘度が0.2Pa・s未満のものを「ウスターソース」、粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満のものを「中濃ソース」、粘度が2.0Pa・s以上のものを「濃厚ソース」という。また、ウスターソース類は、その材料比率の違いや、材料の種類の違い等により、とんかつ用、お好み焼き用、焼きそば用、たこ焼き用といった、各種の使用用途に適したソースとしても用いられる。
【0004】
通常、ウスターソース類は、野菜や果実(その細断物や摩砕物も含む)、およびそれらの搾汁,煮出し汁,ピューレ等を混合したウスターソース用材料を、加熱処理した後、圧搾処理や濾過処理により不溶物(いわゆる「ソース粕」)を除去し、適宜、貯蔵・熟成させることにより、製造することができる。なお、現在市販されているウスターソース類は、その殆どが、製造工程で発酵の過程を必要としないものである。
【0005】
しかしながら、近年、原料の野菜や果実等(ウスターソース用材料)を、酵母、乳酸菌、酢酸菌等の微生物で発酵させ、新たな風味を付加したウスターソース類が各種報告されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−9936号公報
【特許文献2】特開平6−189723号公報
【特許文献3】特開平6−189722号公報
【特許文献4】特開平6−169732号公報
【特許文献5】特開平6−125745号公報
【特許文献6】特開昭63−68062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らも、既に報告された微生物以外の微生物を利用して、新たな風味や旨みを付加したウスターソース類の開発を模索した。しかしながら、上記特許文献に開示されている微生物以外の微生物では、ウスターソース用材料中で生育しない、ウスターソースの風味を悪くする等といった問題がある。
【0008】
ところで、近年、ガンや生活習慣病の増加が社会的に大きな問題となっている。その原因のひとつとして、体内で過剰に生成した活性酸素(12,O2-,H22,・OH等の活性酸素種)があげられる。ストレス、紫外線、喫煙などにより過剰に生成する活性酸素
は、生体内でDNAや細胞膜などに酸化的障害をもたらし、老化、発ガン、生活習慣病などの原因の一つとなる。このような過剰の活性酸素から身体を守るためには、活性酸素除去酵素(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンパーオキシダーゼ等の、生体内の活性酸素消去システムに加え、食品として摂取する抗酸化物質の働きが重要である。本発明者らは、ウスターソース類においても、発酵により、抗酸化活性等の生理活性を高め、これらの病気を予防・改善しうる機能を付加することができないかといった検討を重ね、この見地からも有用なウスターソース類の開発を模索した。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、呈味性に優れ、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだ、全く新規なウスターソース類の製法およびそれにより得られたウスターソース類の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液に、セルラーゼ活性を有する担子菌を接種し、上記混合液を発酵させる工程を備えているウスターソース類の製法を第1の要旨とする。
【0011】
また、上記第1の要旨の製法により得られるウスターソース類を第2の要旨とする。
【0012】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その過程で、多種の担子菌のうち、セルラーゼ活性を備えたものが存在することを見いだした。そして、このような担子菌を用いて、野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液を発酵させた結果、野菜や果実の細胞壁の主成分であるセルロースが分解され、野菜や果実の細胞内にある旨みや香味を容易に引き出すことができ、また、担子菌による特有の芳香が付加され、既存のウスターソース類や発酵ウスターソース類にはない独特の風味が得られるようになることを突き止めた。さらに、上記担子菌による発酵により、抗酸化活性等の生理活性に富むようになり、しかも、その抗酸化活性は、加熱処理後であっても殆ど影響を受けず、従来にない、生理活性に優れたウスターソース類が得られるようになることを突き止め、本発明に到達した。
【0013】
なお、本発明において、担子菌とは、子実体が「きのこ」といわれているものをいい、微生物分類学上の担子菌類(ハラタケ類,ヒダナシタケ類,腹菌類,キクラゲ類)のほか、子実体が「きのこ」といわれているものであれば、子のう菌類の一部をも含む概念で用いている。したがって、子のう菌類であっても、子実体が「きのこ」といわれているものでない場合(例えば、アオカビ,コウジカビ,アカパンカビ,トリコデルマ菌等のかび、酵母等)は、本発明でいう「担子菌」には該当しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液に、セルラーゼ活性を有する担子菌を接種し、上記混合液を発酵させることにより、目的とするウスターソース類を製造する。これにより、呈味性に優れ、発酵特有の風味を有し、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだ、全く新規なウスターソース類を得ることができる。
【0015】
特に、上記発酵後のウスターソース用材料の混合液を加熱処理すると、発酵の制御等がなされ品質が安定化する、熟成工程を短縮ないし省略することができる等といった、加工性に優れるようになる。また、このように加熱処理しても、上記発酵により得られた抗酸化活性は殆ど影響を受けず、生理活性に優れたウスターソース類を得ることができる。
【0016】
また、上記ウスターソース用材料の混合液が、食塩および食酢の少なくとも一方が除かれたものであり、上記発酵後、その除かれたものを加えて調味するようにすると、担子菌
による発酵がより良好になされ、得られるウスターソース類の呈味性や発酵特有の風味がより高くなり、さらにその抗酸化活性等の生理活性も、より向上するようになる。
【0017】
また、上記担子菌が、セルラーゼ活性に加え、ペクチナーゼ活性、プロテアーゼ活性、アミラーゼ活性といった活性をも示すものであると、野菜や果実の細胞内にある旨みや香味を、より容易に引き出すことができ、より呈味性等に優れたウスターソース類を得ることができる。
【0018】
また、上記担子菌が、マスタケ、ムキタケ、ヒラタケ、マイタケ、カワラタケといった担子菌であると、そのセルラーゼ活性の高さや、発酵による抗酸化活性等の生理活性付加能に優れていること等から、呈味性や生理活性等により優れたウスターソース類を得ることができる。
【0019】
また、上記発酵後のウスターソース用材料の混合液を、圧搾処理や濾過処理といった処理にかけて不溶物を除去するといった工程を経ると、よりなめらかなウスターソース類を得ることができる。
【0020】
さらに、上記不溶物(従来のウスターソース製造時に産生する不溶物も含む)を、塩分濃度が0.85重量%以下になるまで希釈し、これを、セルラーゼ活性を有する担子菌により発酵させた後に、ウスターソース用材料の混合液に加えて再利用するといった工程を経ると、従来「ソース粕」として廃棄処分されるしかなかった上記不溶物を、ウスターソース類の製造に再利用することができる。
【0021】
また、上記不溶物(ソース粕)の再利用に用いられる、セルラーゼ活性を有する担子菌が、マスタケ、スエヒロタケ、ヒラタケ、カワラタケ、ヒマラヤヒラタケ、ムキタケ、Napaといった担子菌であると、上記再利用が、より効率的に行われるようになる。
【0022】
そして、本発明の製法により得られるウスターソース類は、上記のように、呈味性に優れ、発酵特有の風味を有し、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだ、全く新規なウスターソース類であり、その生理活性により、機能性・健康食品として用いることもできる。また、本発明の製法において、非加熱で製造されたウスターソース類は、例えば、血栓を溶かす作用がある線溶酵素の活性が高く、さらに、血栓を作りにくくする抗トロンビン活性物質の活性が高いことから、心筋梗塞や脳血栓等の血栓症の予防において、より優れた効能を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0024】
本発明のウスターソース類は、先にも述べたように、野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液に、セルラーゼ活性を有する担子菌を接種し、上記混合液を発酵させる工程を経て、製造される。なお、「主材料」とは、通常は、全体の過半量を占めることを意味し、全体が主材料のみからなる場合も含まれる。ここで、本発明における「ウスターソース用材料の混合液」とは、上記のように野菜および果実を主材料とするものであり、一般的なウスターソース用材料と同様、野菜や果実(その細断物や摩砕物も含む)、およびそれらの搾汁,煮出し汁,ピューレ等を混合したもの、さらにこれらを濃縮したもの等であって、適宜、水も加えられる。また、上記ウスターソース用材料には、上記主材料のほか、砂糖類、食酢、食塩、香辛料、でん粉、調味料(アミノ酸等)、はちみつ、酒類等の、調味材料や添加物も含まれるが、これらに関しては、上記発酵工程前にウスターソース用材料として配合しても、上記発酵工程後にウスターソース用材料として配合してもよい。そして、上記野菜としては、トマト,たまねぎ,にんじん,セロリ,にん
にく,レタス,キャベツ等があげられ、上記果実としては、リンゴ,みかん等があげられる。また、上記発酵工程前に、ウスターソース用材料には、担子菌の繁殖性を高めるため、必要に応じ、大豆等のタンパク源や酵母エキスを添加してもよい。
【0025】
特に、上記発酵工程前のウスターソース用材料の混合液が、食塩および食酢の少なくとも一方(食塩および/または食酢)が除かれたものであり、上記発酵後、その除かれたものを加えて調味するようにすると、担子菌による発酵がより良好になされ、得られるウスターソース類の呈味性や発酵特有の風味がより高くなり、さらにその抗酸化活性等の生理活性も、より向上するようになるため、好ましい。すなわち、食塩や食酢は、担子菌による発酵を阻害ないし抑制する要因となりうるからであり、上記のように、これらを発酵後に添加することにより、発酵阻害等の問題を解消することができる。
【0026】
ところで、上記担子菌のセルラーゼ活性は、大まかには、上記のような、野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液中で、菌糸の生育が認められるか否か(ウスターソース用材料を発酵させる能力があるか否か)により確認することができるが、詳しくは、上記担子菌から採取した粗酵素液を、基質であるセルロース(水不溶性のもの)と、35℃で振とうしながら反応させ、反応後、直ちに100℃で10分間加熱して反応を停止させ、反応液中の遊離還元糖をソモギー・ネルソン法で測定することにより数値化することができる。
【0027】
また、上記担子菌が、セルラーゼ活性に加え、ペクチナーゼ活性、プロテアーゼ活性、アミラーゼ活性といった活性をも示すものであると、野菜や果実の細胞内にある旨みや香味を、より容易に引き出すことができ、より呈味性等に優れたウスターソース類を得ることができるため、好ましい。また、上記セルラーゼ活性を有する担子菌に加え、セルラーゼ活性は有しないが、ペクチナーゼ活性、プロテアーゼ活性、アミラーゼ活性といった活性を示す担子菌を併用した場合であっても、上記と同様の作用効果が得られるため、好ましい。なお、上記ペクチナーゼ活性は、例えば、上記担子菌から採取した粗酵素液を、基質であるペクチンと、35℃で振とうしながら反応させ、反応後、直ちに100℃で10分間加熱して反応を停止させ、反応液中の遊離還元糖をソモギー・ネルソン法で測定するといった手法により確認することができる。
【0028】
そして、前記ウスターソース用材料の混合液を発酵させるのに用いる特定の担子菌としては、先に述べたように、セルラーゼ活性等を有する担子菌であって、具体的には、各地の森林等で採取される、ニクウスバタケ、スエヒロタケ、カワラタケ、マツオウジ、カイガラタケ、サナギタケ、マスタケ、ヒラタケ、エノキタケ、ギベルラキン属、オオワライタケ、ムラサキシメジ、ツリガネタケ、キチチタケ、ホウキタケ、ササタケ、ミドリスギタケ、アミガサタケ、ミミブサタケ、ハタケチャダイゴケ、スジチャダイゴケ、ハナビラニカワタケ、ヤケアトツムタケ、カラカサタケ、クリタケ、ヌメリスギタケ、ツエタケ、ワヒダタケ、エツキクロコップタケ、サケツバタケ、フミヅキタケ、ムキタケ、ブクリョウ、ニセキンカクキン属、オオチャワンタケ、ササクレヒトヨタケ、ニガクリタケ、ハナサナギタケ、ツチスギタケ、ヒトクチタケ、ハリガネオチバタケ、エセオリミキ、ハラタケ、マンネンタケ、タモギタケ、ブナシメジ、エリンギ、クロアワビタケ、サンゴハリタケ、シイタケ、トンビマイタケ、ナメコ、ナラタケ、ナラタケモドキ、ヒマラヤヒラタケ、ブナハリタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、ヒマラヤマツタケ、シロタモギタケ、ホウネンタケ、Napa(サルノコシカケ科の一種。タイ国産。)といった担子菌が用いられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なお、上記特定の担子菌は、適宜スクリーニング等を行い、よりセルラーゼ活性を示し、より優れた呈味性等を有するウスターソース類を製造することができる菌のみを選定し、用いることが好ましい。
【0029】
また、上記特定の担子菌のなかでも、マスタケ、ムキタケ、ヒラタケ、マイタケ、カワ
ラタケといった担子菌を用いると、そのセルラーゼ活性の高さや、発酵による抗酸化活性等の生理活性付加能に優れていること等から、呈味性や生理活性等により優れたウスターソース類を得ることができ、好ましい。
【0030】
上記担子菌によるウスターソース用材料混合液の発酵は、通常、20〜30℃の温度で20〜100日間行われる。なお、この発酵処理は、嫌気条件下で行っても好気条件下で行ってもよい。すなわち、嫌気条件下で行うと、雑菌の繁殖を抑制することができる利点があり、好気条件下で行うと、発酵促進がなされる利点がある。また、上記担子菌は、純粋培養したものを液体培養し、菌糸体として生育させたものを用いることが好ましい。また、発酵時のpHは、使用する担子菌により最適な条件となるよう適宜調整するのが好ましい(通常、pH=4.0〜6.0)。そして、この発酵段階が経過した後、適宜、加熱処理や冷蔵等し、貯蔵・熟成させて、本発明のウスターソース類を製造することができる。
【0031】
上記発酵処理後、加熱処理を行わない場合、それにより得られた非加熱のウスターソース類は、例えば、血栓を溶かす作用がある線溶酵素の活性(線溶活性)が高く、さらに、血栓を作りにくくする抗トロンビン活性物質の活性(抗トロンビン活性)が高いことから、心筋梗塞や脳血栓等の血栓症の予防において、より優れた効能を発揮することができる。さらに、抗酸化活性にも優れるようになる。
【0032】
しかしながら、上記ウスターソース用材料混合液は、その加工処理上の理由等により、通常、上記発酵処理後に加熱処理が行われる。これにより、上記発酵により得られた線溶活性や抗トロンビン活性は低下するが、抗酸化活性は殆ど影響を受けず、生理活性に優れたウスターソース類を得ることができる。また、上記のように加熱処理することにより、発酵の制御等がなされ品質が安定化する、熟成工程を短縮ないし省略することができる等といった利点もある。
【0033】
そして、上記のような本発明の製法により、呈味性に優れ、発酵特有の風味を有し、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだ、全く新規なウスターソース類を得ることができる。また、上記ウスターソース類の、化学発光法に基づく酸化阻害率が70%以上であると、抗酸化活性に優れることから、機能性・健康食品としてより優位に用いることができ、好ましい。
【0034】
そして、上記ウスターソース類のうち、粘度が0.2Pa・s未満のものは「ウスターソース」、粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満のものは「中濃ソース」、粘度が2.0Pa・s以上のものは「濃厚ソース」とすることができる。また、上記ウスターソース類の材料比率の違いや、材料の種類の違い等により、とんかつ用、お好み焼き用、焼きそば用、たこ焼き用といった、各種の使用用途に適したソースとして用いることができる。
【0035】
なお、本発明のウスターソース類の製法において、その材料比率の違いや、材料の種類の違い等により、ウスターソース類の定義に含まれない調味料(例えば、ドレッシング等)を製造することも可能である。これにより得られた調味料も、本発明のウスターソース類と同様、呈味性に優れ、発酵特有の風味を有し、さらに抗酸化活性等の生理活性に富んだものとなる。
【0036】
また、上記発酵後のウスターソース用材料の混合液を、圧搾処理や濾過処理といった処理にかけて不溶物(野菜および果実の繊維質等)を除去するといった工程を経ると、よりなめらかなウスターソース類を得ることができる。なお、上記濾過処理には、裏ごし処理といったものも含む趣旨である。また、上記不溶物に水を加え、塩分濃度が0.85重量
%以下になるまで希釈したものを、セルラーゼ活性を有する担子菌により発酵させた後、これをウスターソース用材料の混合液に加えて再利用するといった工程を経ると、従来「ソース粕」として廃棄処分されるしかなかった上記不溶物を、ウスターソース類の製造に再利用することができる。なお、上記のように塩分濃度を0.85重量%以下に下げることにより、担子菌による発酵が良好になされるようになる。
【0037】
なお、本発明のウスターソース類の製法では、はじめからセルラーゼ活性を有する担子菌による発酵を行っているため、上記不溶物の産生量は、それほど多くない。しかしながら、例えば、従来のウスターソースの製造過程においては、このような不溶物が「ソース粕」として大量に産生されることから、この不溶物を、上記手順に従い、本発明のウスターソース類の製法において再利用すると、「ソース粕」として廃棄処分されるしかなかった上記不溶物の有効活用を行うことができ、さらに、廃棄物の減少に伴い、環境面での利点も有する。
【0038】
そして、上記「ソース粕」を発酵させるのに用いる特定の担子菌としては、セルラーゼ活性を示し、かつ多少の塩分存在下(塩分濃度0.85重量%以下)であっても生育が可能な担子菌が用いられ、具体的には、各地の森林等で採取される、スエヒロタケ、カワラタケ、カイガラタケ、マスタケ、ヒラタケ、エノキタケ、オオワライタケ、ムラサキシメジ、ホウキタケ、ミミブサタケ、ハタケチャダイゴケ、スジチャダイゴケ、ムキタケ、オオチャワンタケ、ニガクリタケ、ブナシメジ、サンゴハリタケ、シイタケ、ナメコ、ナラタケモドキ、ヌメリスギタケ、ヒマラヤヒラタケ、ブナハリタケ、マイタケ、ヤマブシタケ、ヒマラヤマツタケ、シロタモギタケ、エゾハツタケ、ホウネンタケ、Napaといった担子菌が用いられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なお、上記特定の担子菌は、適宜スクリーニング等を行い、よりセルラーゼ活性を示し、かつ塩分存在下での生育が可能であり、より優れた呈味性等を有するウスターソース類を製造することができる菌のみを選定し、用いることが好ましい。
【0039】
また、上記特定の担子菌のなかでも、マスタケ、スエヒロタケ、ヒラタケ、カワラタケ、ヒマラヤヒラタケ、ムキタケ、Napaといった担子菌を用いると、上記「ソース粕」の発酵性に優れることから、上記「ソース粕」の再利用が、より効率的に行うことができ、好ましい。さらに、上記担子菌は、その発酵による抗酸化活性等の生理活性付加能にも優れており、この観点からも、上記「ソース粕」の再利用用途に優れている。
【0040】
ところで、上記発酵処理後の「ソース粕」には、セルロースやペクチンの分解物(少糖)ができるため、これに、酵母を添加し、アルコール発酵を行うことにより、バイオエタノールを生成することも可能である。
【実施例】
【0041】
つぎに、実施例について説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0042】
〔担子菌のソース用材料発酵能の有無〕
まず、下記の表1に示す配合割合に従い、野菜や果物のピューレに副材料を混合したウスターソース用材料を調製した。つぎに、上記ウスターソース用材料の発酵に適した担子菌を選択するため、96種類216株の担子菌を用いて、その発酵を行った。すなわち、50ml容三角フラスコに、上記調製のウスターソース用材料を30mlずつ分注し、他の微生物のコンタミネーションを予防するため、オートクレーブ滅菌(120℃、1.2気圧、20min)した後、これに、ポテトデキストロース寒天培地で25℃×14日間培養した各種担子菌の菌糸体(5mm角の切片を5辺)を、無菌的に植菌し、室温で42日間回転振とう培養(100rpm)を行った。そして、その供試菌株(担子菌)および
ウスターソース用材料中での菌糸の生育状態は、下記の表2および表3に示す結果となった。なお、表2および表3に示す菌株No.の、「NBRC+数字」はNBRCより購入した菌株を示し、「アルファベット2文字−数字」は市販の担子菌を示し、「アルファベット1文字−数字」は野生種の担子菌を示す。また、生育状態の評価において、菌糸が生えなかったものを「−」、菌糸が少しだけ生えたものを「+」、ウスターソース用材料の表面を覆う程菌糸が生えたものを「++」、三角フラスコの側面に沿って菌糸が生えたものを「+++」と評価した。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
上記結果より、菌糸の生育が認められた担子菌(評価が−以外のもの)について、セルラーゼ活性の有無を確認した。すなわち、上記担子菌から採取した粗酵素液を、基質であ
るセルロース(水不溶性のもの)と、35℃で振とうしながら反応させ、反応後、直ちに100℃で10分間加熱して反応を停止させ、反応液中の遊離還元糖をソモギー・ネルソン法で測定した。その結果、いずれの担子菌においても、セルラーゼ活性が認められた。
【0047】
つぎに、上記のように菌糸の生育が認められたウスターソース用材料を、さらに50日間静置培養を行った。これにより、ウスターソース用材料の粘性が下がり、透明度が増し、担子菌の菌糸が液面の上部を覆うようになった。この発酵液150gに対して、砂糖300gと、食塩50gと、食酢290gと、香辛料3.6gと、糊料30gと、水290gとを添加し、100℃×15分間の加熱処理を行い、さらに、裏ごし処理にかけて不溶物を除去し、ウスターソース類である濃厚ソース(実施例品)を調製した。このようにして得られた濃厚ソースは、比較のため発酵を行わずに調製した濃厚ソースに比べ、いずれも、旨みが増し、呈味性に優れ、さらに、発酵特有の風味を有する、全く新規な濃厚ソースとなった。なお、この官能性評価は、専門パネラー10名により行ったものである。
【0048】
なお、上記パネラー評価により、特に旨みが感じられた、ムキタケ、マイタケの発酵によるウスターソース類に関し、下記の手順に従い、その発酵ウスターソース用材料(食塩等で調味する前のもの)の遊離アミノ酸量の測定を行った。その結果を、未発酵のウスターソース用材料に関する測定結果とともに、後記の表4に併せて示す。
【0049】
〔遊離アミノ酸量〕
まず、発酵ウスターソース用材料1mlに99.5%エタノール4mlを加え、4℃で一晩抽出した後、遠心分離(8000rpm、10min、4℃)を行った。得られた上清液は、減圧乾固させた後、蒸留水10mlに溶解させた。その後、上記溶解液を、イオン交換樹脂(Amberlite IR−120)に供し、非吸着物質を水で洗い流した後、3Nアンモニアによって溶出させ、減圧乾固後、0.02N塩酸10mlに溶解させ、遊離アミノ酸分析用試料とした。このように調製した遊離アミノ酸分析用試料を、0.02N塩酸で適宜希釈した後、高速アミノ酸分析装置(L−8800型アミノ酸分析系:日立ハイテクノロジーズ)を用い、その遊離アミノ酸濃度(組成)を測定した。
【0050】
【表4】

【0051】
上記結果より、ムキタケにより発酵されたウスターソース用材料の遊離アミノ酸濃度は、未発酵のものにくらべて大きく増加し、特に、旨みを示すグルタミン酸やアスパラギン酸の濃度が大きく増加した。また、マイタケにより発酵されたウスターソース用材料も、未発酵のものにくらべて増加しているアミノ酸が多くあった。
【0052】
ところで、前記表2および表3に示す、菌糸の生育が認められたウスターソース用材料(評価が−以外のもの)について、加熱処理を行わなかったもの(非加熱)、100℃×10分間の加熱処理を行ったもの(加熱)に対し、下記の基準に従い、線溶活性、抗トロンビン活性、抗酸化活性の測定を行った。その結果を、後記の表5〜表8に示す。
【0053】
〔線溶活性〕
フラットシャーレに、フィブリノゲン溶液4mlとトロンビン溶液2mlとを加え、直ちにむらのないよう混合し、凝固するまで放置した。このようにして得られたフィブリン平板上に、ウスターソース用材料の発酵液(試料)30μlを載置し、24時間放置後の溶解面積を測定した。
【0054】
〔抗トロンビン活性〕
ウスターソース用材料の発酵液(試料)50μlと、12.5U/mlトロンビン(伊藤ハム社製、牛プラズマ由来)溶液50μlとを、37℃×5分間プレインキュベーションし、さらに0.33%フィブリノゲン溶液200μlを加え、トロンビン凝固時間(フィブリノゲンからフィブリンに変化し凝固するまでの時間)を、コアグロメーター(ヘンリッチ・アムラング社製)を用いて測定した。なお、300秒を超えるものは「>300」と示した。
【0055】
〔抗酸化活性〕
ウスターソース用材料の発酵液10μlに対し、300μM MPEC(発光試薬)10μlと、0.1M KH2PO4/NaOH緩衝液 (pH7.5、0.05mM EDTAを含む)に溶解した0.1U キサンチンオキシダーゼ(Sigma社製)60μlと、0.1M KH2PO4/NaOH緩衝液 (pH7.5、0.05mM EDTAを含む)170μlとを混合した。この混合液を、ルミネッセンサー(ルミネッセンサーPSN AB−2200、アトー社製)にセットし、内蔵のポンプを用いて、0.72mM ヒポキサンチン(Wako社製)50μlを分注し、30秒間の発光積算値を測定した。その結果をもとに、化学発光法に基づき、発光阻害率(酸化阻害率)(%)を算出した。
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
上記結果より、セルラーゼ活性を示す担子菌により発酵がなされたウスターソース用材料は、加熱・非加熱を問わず、概ね半数以上が、高い抗酸化活性を示した。特に、マスタケ(なかでもNBRC6432)、ムキタケ(なかでもNBRC30526)、ヒラタケ(なかでもHr-17)、マイタケ(なかでもMi-3)、カワラタケ(なかでもW18)による発酵ウスターソース用材料は、抗酸化活性等において高い活性を示した。したがって、これと同じ担子菌による発酵ウスターソース用材料を用い、食塩、食酢、香辛料等により調味がなされたウスターソース類も、加熱・非加熱を問わず、高い抗酸化活性を示すものとなる。また、上記結果より、供試菌株によっては、線溶活性や抗トロンビン活性においても、高い活性を示したものもある。特に、線溶活性は、非加熱のもののほうが、活性が高くなった。
【0061】
つぎに、従来のウスターソース類の製造時に大量に発生するソース粕(圧搾処理や濾過処理により取り除かれた不溶物)の再利用に関し、以下のように実験を行った。
【0062】
〔担子菌のソース粕発酵能の有無〕
まず、回収したソース粕の塩分濃度をある程度下げるため、ソース粕/水=1/9(w/w)の割合で混合して塩分濃度0.56重量%に希釈した後、NaOHを用いpH5.6に調整した。これを試験管に5mlずつ分注し、シリコン栓で蓋をし、オートクレーブ滅菌(120℃、1.2気圧、20min)した。つぎに、このようにして調製されたソース粕培地の発酵に適した担子菌を選択するため、96種類216株の担子菌を用いて、その発酵を行った。すなわち、上記ソース粕培地に、ポテトデキストロース寒天培地で25℃×14日間培養した各種担子菌の菌糸体(5mm角の切片を3辺)を、無菌的に植菌し、室温で100日間回転振とう培養(100rpm)を行った。そして、その供試菌株(担子菌)およびソース粕培地中での菌糸の生育状態は、下記の表9および表10に示す結果となった。なお、表9および表10に示す菌株No.の、「NBRC+数字」はNBRCより購入した菌株を示し、「アルファベット2文字−数字」は市販の担子菌を示し、「アルファベット1文字−数字」は野生種の担子菌を示す。また、生育状態の評価において、菌糸が生えなかったものを「−」、菌糸が少しだけ生えたものを「+」、ソース粕培地の表面を覆う程菌糸が生えたものを「++」、三角フラスコの側面に沿って菌糸が生えたものを「+++」と評価した。
【0063】
【表9】

【0064】
【表10】

【0065】
上記結果より、菌糸の生育が認められた供試菌株は、表2および表3において菌糸の生育が認められた供試菌株と全て重複するものである。そのため、これらの供試菌株は、セ
ルラーゼ活性を有するものである。しかしながら、上記結果より菌糸の生育が認められた供試菌株は、表2および表3において菌糸の生育が認められたときよりも、その種類が少なかった。このことから、塩分存在下であっても生育が可能な供試菌株は限られることがわかり、また、同時に、この結果より菌糸の生育が認められた供試菌株は、ソース粕の再利用に適していることがわかる。すなわち、ソース粕を、上記のように塩分濃度をある程度下げて、上記供試菌株により発酵させたものは、先のウスターソース類と同様、上記菌株のセルラーゼ活性により、ソース粕の旨みが増し、さらに、発酵特有の風味が加えられる。そのため、この発酵ソース粕を、先のウスターソース用材料の混合液に加えて、本発明のウスターソース類の製法に再利用すると、資源の有効活用をすることができるようになる。
【0066】
ところで、前記表9および表10に示す、菌糸の生育が認められたソース粕培地(評価が−以外のもの)について、加熱処理を行わなかったもの(非加熱)、100℃×10分間の加熱処理を行ったもの(加熱)に対し、前記の基準に準じ、線溶活性、抗トロンビン活性、抗酸化活性の測定を行った。その結果を、後記の表11および表12に示す。
【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
上記結果より、セルラーゼ活性を示し、かつ塩分存在下であっても生育が可能な担子菌により発酵がなされたソース粕培地は、加熱・非加熱を問わず、その殆どが、発酵前のものよりも高い抗酸化活性を示した。特に、マスタケ、スエヒロタケ、ヒラタケ、カワラタケ、ヒマラヤヒラタケ、ムキタケ、Napaによる発酵ソース粕培地は、抗酸化活性等において高い活性を示した。したがって、これと同じ担子菌による発酵ソース粕を、先のウスターソース用材料の混合液に加えて、本発明のウスターソース類の製法に再利用すると、加熱・非加熱を問わず、高い抗酸化活性を示すウスターソース類が得られるようになる。また、上記結果より、供試菌株によっては、線溶活性や抗トロンビン活性においても、高い活性を示したものもある。特に、線溶活性は、非加熱のもののほうが、活性が高くなった。
【0070】
ところで、マスタケ(NBRC6432)、スエヒロタケ(NBRC6504)、ヒラタケ(Hr-15)、カワラタケ(W17)、ヒマラヤヒラタケ(Hm-1)、ムキタケ(W2)、Napaによる発酵ソース粕培地1mlを、顕微鏡で観察した結果、未発酵のソース粕と比べ、担子菌によるソース粕の分解が明らかに認められた。完全に分解されているものは少なかったが、細胞壁の内部はスカスカになり、細胞壁の一部が分解されていることが確認された。また、ソース粕中の細胞壁を担子菌が包み込んだり、菌糸が絡みついたりしているのが認められた。そこで、ヘマトメーターを用いて、発酵ソース粕培地1ml中の固形物量(粕体積および菌糸体積)および固形物の内容割合の変化の平均値を測定した。その結果を、下記の表13に示す。
【0071】
【表13】

【0072】
上記結果より、発酵後のソース粕の固形物中の粕と菌糸の比は、いずれも菌糸の方が多くなっていた。また、1ml中の固形物量(菌糸+粕)が、マスタケ、スエヒロタケ、ヒラタケ、ムキタケ、Napaにおいて減少した。このことから、上記菌体によるソース粕の発酵により、廃棄物の減少化がなされるようになる。
【0073】
なお、とりわけソース粕の分解が顕著であったNapaは、セルラーゼ活性のほか、ペクチナーゼ活性も有することが確認された。ペクチナーゼ活性は、Napaから採取した粗酵素液を、基質であるペクチンと、35℃で振とうしながら反応させ、反応後、直ちに100℃で10分間加熱して反応を停止させ、反応液中の遊離還元糖をソモギー・ネルソン法で測定することにより確認した。
【0074】
また、上記セルラーゼ活性等により、細胞壁の主成分であるセルロース等の多糖類が分解され、少糖が産生されることが示唆されるため、前記の、マスタケ,スエヒロタケ,ヒラタケ,カワラタケ,ヒマラヤヒラタケ,ムキタケ,Napaによる発酵ソース粕培地に、酵母を添加することにより、これらの少糖を利用して酵母がアルコール発酵を行うことができないか、調べた。
【0075】
すなわち、上記発酵ソース粕培地をガーゼで濾過して、液体部分と固体部分に分け、以下の3条件とし、これに対し、酵母によるアルコール発酵を行った。なお、アルコール発酵用酵母には、2%マルト培地で25℃×2日間培養したSaccharomyces sake(kyokai No.6)を用い、その培養液を、以下の3条件に対し無菌的に5%添加し、30℃の人工気象器内で2日間静置培養し、発酵させた。また、担子菌による発酵を行っていないソース粕培地においても、上記と同様、酵母によるアルコール発酵を行った(ブランク)。
(1)原液:液体部分を遠心分離せずに使用した。
(2)濃縮液:液体部分を遠心エバポレーターで10分の1に濃縮した。
(3)粕:固体部分2.5gを蒸留水2.5mlで懸濁した。
【0076】
そして、上記各条件において、そのアルコール濃度を、HPLC〔カラム:TSKgel Oapak−A(東ソー社製)、カラムサイズ:Φ7.8mmD.I.×30.0cm、溶離液:超蒸留水、流速:1ml/min、検出器:RI−8020、注入量:20μl、測定温度:室温〕を用いて測定した。その結果を下記の表14に示す。
【0077】
【表14】

【0078】
上記結果より、担子菌による発酵ソース粕培地の原液や粕は、ブランクに比べ、アルコール濃度が低かったが、ヒラタケ,カワラタケ,ヒマラヤヒラタケ,Napaによる発酵ソース粕の濃縮液は、ブランクに比べ、明らかにアルコール濃度が高かった。したがって、ヒラタケ,カワラタケ,ヒマラヤヒラタケ,Napaによる発酵ソース粕の濃縮液は、酵母発酵によりアルコール(バイオエタノール)生成に有用であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜および果実を主材料とするウスターソース用材料の混合液に、セルラーゼ活性を有する担子菌を接種し、上記混合液を発酵させる工程を備えていることを特徴とするウスターソース類の製法。
【請求項2】
上記発酵後のウスターソース用材料の混合液を加熱処理する工程を備えている、請求項1記載のウスターソース類の製法。
【請求項3】
上記ウスターソース用材料の混合液が、食塩および食酢の少なくとも一方が除かれたものであり、上記発酵後、その除かれたものを加えて調味する工程を備えている請求項1または2記載のウスターソース類の製法。
【請求項4】
上記担子菌が、セルラーゼ活性に加え、ペクチナーゼ活性、プロテアーゼ活性およびアミラーゼ活性からなる群から選ばれた少なくとも一つの活性をも示すものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のウスターソース類の製法。
【請求項5】
上記担子菌が、マスタケ、ムキタケ、ヒラタケ、マイタケおよびカワラタケからなる群から選ばれた少なくとも一種の担子菌である請求項1〜4のいずれか一項に記載のウスターソース類の製法。
【請求項6】
上記発酵後のウスターソース用材料の混合液を、圧搾処理および濾過処理の少なくとも一方の処理にかけて不溶物を除去する工程を備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載のウスターソース類の製法。
【請求項7】
ウスターソース製造時の圧搾処理および濾過処理の際に産生する不溶物を、塩分濃度が0.85重量%以下になるまで希釈し、これを、セルラーゼ活性を有する担子菌により発酵させた後に、上記ウスターソース用材料の混合液に加えて再利用する工程を備えている請求項1〜6のいずれか一項に記載のウスターソース類の製法。
【請求項8】
上記担子菌が、マスタケ、スエヒロタケ、ヒラタケ、カワラタケ、ヒマラヤヒラタケ、ムキタケおよびNapaからなる群から選ばれた少なくとも一種の担子菌である請求項7記載のウスターソース類の製法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の製法により得られることを特徴とするウスターソース類。

【公開番号】特開2012−44932(P2012−44932A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190517(P2010−190517)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年3月29日 社団法人日本農芸化学会主催の「日本農芸化学会2010年度(平成22年度)大会」において文書をもって発表
【出願人】(599125249)学校法人武庫川学院 (24)
【出願人】(505406394)イカリソース株式会社 (1)
【Fターム(参考)】