説明

ウレア誘導体およびその製造方法




〔式中、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはC3−8シクロアルキル基を意味する。〕で表される化合物(A−1)と、式


〔式中、Rは水素原子またはメトキシ基を意味する;Lは脱離基を意味する。〕で表される化合物(B)とを反応させることを特徴とする式


〔式中、RおよびRは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(C)の製造方法を提供する。化合物(C)は、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効なウレア誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式(C)
【0003】
【化1】

【0004】
〔式中、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはC3−8シクロアルキル基を意味する;Rは水素原子またはメトキシ基を意味する。〕で表されるウレア誘導体は、優れた血管新生阻害作用を示すことが知られている(特許文献1)。また、一般式(C)で表されるウレア誘導体は、強いc−Kitキナーゼ阻害作用を示すことも知られている(特許文献2、非特許文献1)。
特許文献1記載の製造方法は、ウレア誘導体の製造方法として有用ではあるが、全体の収率などの観点でさらに改善する余地が残されていた。したがって、全体収率がより良好なウレア誘導体の工業的な製造方法および当該製造において有用な中間体の開発が望まれていた。
なお、特許文献1には、本発明にかかる一般式(C)で表されるウレア化合物の効率的な製造方法ならびに一般式(A−1)および(A−2)で表される有用中間体は一切開示されていない。
【特許文献1】国際公開第02/32872号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/080462号パンフレット
【非特許文献1】95th Annual Meeting Proceedings,AACR(American Association for Cancer Research),Volume 45,Page 1070−1071,2004
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効なウレア誘導体の新たな製造中間体ならびにそれらの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明者らは上記事情に鑑みて鋭意研究を行った結果、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効なウレア誘導体の新たな製造中間体ならびにそれらの製造方法を見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
〔1〕

【0007】
【化2】

【0008】
〔式中、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはC3−8シクロアルキル基を意味する。〕で表される化合物(A−1)もしくはその塩またはそれらの水和物:
〔2〕
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である〔1〕記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物:
〔3〕
がシクロプロピル基である〔1〕記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物:
〔4〕

【0009】
【化3】

【0010】
〔式中、Arはハロゲン原子、メチル基、メトキシ基およびニトロ基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいC6−10アリール基を意味する。〕で表される化合物(A−3)と式
【0011】
【化4】

【0012】
で表される化合物(A−4)とを反応させることにより、式
【0013】
【化5】

【0014】
〔式中、Arは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−2)とし、次いで化合物(A−2)と式R−NH〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物とを反応させることを特徴とする、式
【0015】
【化6】

【0016】
〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−1)の製造方法:
〔5〕
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である〔4〕記載の製造方法:
〔6〕
がシクロプロピル基である〔4〕記載の製造方法:
〔7〕
Arがフェニル基である〔4〕〜〔6〕いずれか1記載の製造方法:
〔8〕

【0017】
【化7】

【0018】
〔式中、Arは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−2)もしくはその塩またはそれらの水和物:
〔9〕
Arがフェニル基である〔8〕記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物:
〔10〕

【0019】
【化8】

【0020】
〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−1)と、式
【0021】
【化9】

【0022】
〔式中、Rは水素原子またはメトキシ基を意味する;Lは脱離基を意味する。〕で表される化合物(B)とを反応させることを特徴とする、式
【0023】
【化10】

【0024】
〔式中、RおよびRは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(C)またはその塩の製造方法:
〔11〕
塩基を用いることを特徴とする、〔10〕記載の製造方法:
〔12〕
塩基がアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ金属のアルコキシドである〔11〕記載の製造方法:
〔13〕
塩基が炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはカリウムt−ブトキシドである〔11〕記載の製造方法:
〔14〕
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である〔10〕〜〔13〕いずれか1記載の製造方法:
〔15〕
がシクロプロピル基である〔10〕〜〔13〕いずれか1記載の製造方法:
〔16〕
が水素原子である〔10〕〜〔15〕いずれか1記載の製造方法:および
〔17〕
Lが塩素原子である〔10〕〜〔16〕いずれか1記載の製造方法:
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本明細書において記載する用語、記号等の意義を説明し、本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る化合物またはその塩は無水物、水和物、溶媒和物のいずれであってもよい。
【0027】
本明細書において使用する「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される一価の基である、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基等である。
【0028】
本明細書において使用する「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素数3〜8個の環状の脂肪族炭化水素基を意味し、具体的には例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピル基である。
【0029】
本明細書において使用する「C6−10アリール基」とは、炭素数6〜10の芳香族の炭化水素環式基をいい、具体的には例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0030】
本明細書において使用する「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味し、好ましくは塩素原子である。
【0031】
本明細書において使用する「塩基」とは、有機塩基(例えばピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等)または無機塩基(アルカリ金属の炭酸塩(例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド等)、アルカリ金属の水素化物(例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等))を意味する。化合物(B)に化合物(A−1)を作用させ、化合物(C)を得る工程で用いる塩基として、好ましくはアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ金属のアルコキシドであり、より好ましくは炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはカリウムt−ブトキシドである。
【0032】
本明細書において使用する「塩」としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩、酸性または塩基性アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機酸との塩の好ましい例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられ、有機酸との塩の好ましい例としては、例えば酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ステアリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
無機塩基との塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられ、塩基性アミノ酸との塩の好ましい例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられる。
【0033】
本明細書において使用する「脱離基」とは、通常、有機合成上脱離基として知られている基であればいかなる基でもよく特に限定されないが、具体的には例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、例えばベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基等が挙げられる。当該「脱離基」として、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0034】
本発明に係る製造方法を以下に詳述する。
製造方法1 ウレア(A−1)の製造方法
【0035】
【化11】

【0036】
〔式中、各記号は前記定義と同義を意味する。〕
[工程1−1]
化合物(A−4)にクロロギ酸フェニル等のカーバメート化試薬(A−3)を作用させ、化合物(A−2)を得る工程である。反応溶媒として、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等を使用することができる。反応はピリジン等の塩基を用いることもできる。カーバメート試薬(A−3)は化合物(A−4)に対して1当量から2当量用いる。塩基は化合物(A−4)に対して1当量から5当量用いる。反応時間は10分から30時間である。反応温度は0℃から加熱還流温度であり、好ましくは0℃から室温である。
[工程1−2]
化合物(A−2)にアミン誘導体R−NHを作用させることにより化合物(A−1)を得る工程である。反応溶媒として、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、クロロホルム等を使用することができる。反応は、有機塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)または無機塩基(アルカリ金属の炭酸塩(例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)、アルカリ金属の水素化物(例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等))を用いることもできる。アミン誘導体は化合物(A−2)に対して1当量から3当量用いる。塩基は化合物(A−2)に対して1当量から3当量用いる。反応時間は10分から30時間である。反応温度は0℃から加熱還流温度であり、好ましくは0℃から室温である。
製造方法2 化合物(C)の製造方法
【0037】
【化12】

【0038】
〔式中、各記号は前記定義と同義を意味する。〕
[工程2]
化合物(B)に化合物(A−1)を作用させ、化合物(C)を得る工程である。反応溶媒として、1−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トルエン、クロロベンゼン等を使用することができる。適宜塩基として有機塩基(例えばピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等)または無機塩基(アルカリ金属の炭酸塩(例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド等)、アルカリ金属の水素化物(例えば水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等))を加えてもよい。当該塩基として、好ましくはアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ金属のアルコキシドであり、より好ましくは炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはカリウムt−ブトキシドである。化合物(A−1)は化合物(B)に対して1当量から2当量用いる。塩基は化合物(B)に対して1当量から2当量用いる。反応時間は10分から48時間である。反応温度は室温から加熱還流温度であり、好ましくは40℃から80℃である。
【0039】
以上の反応終了後、所望により通常の処理法によって、例えばシリカゲルまたは吸着樹脂等を用いるカラムクロマトグラフィーや適当な溶媒から再結晶することにより精製することが可能である。
【実施例】
【0040】
以下に本発明の理解を更に容易にするために実施例を掲げるが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1) フェニルN−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)カーバメート
【0041】
【化13】

【0042】
4−アミノ−3−クロロフェノール(23.7g)をN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)に懸濁し、氷冷下ピリジン(23.4mL)を加えた後、20℃以下でクロロギ酸フェニル(23.2mL)を滴下した。室温にて30分間攪拌の後、水(400mL)、酢酸エチル(300mL)、6N−HCl(48mL)を加え攪拌の後、有機層を分離した。有機層を10%食塩水(200mL)で2回洗浄の後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより標記化合物46gを固体として得た。
H−NMR(CDCl):5.12(1h,br s),6.75(1H,dd,J=9.2,2.8Hz),6.92(1H,d,J=2.8Hz),7.18−7.28(4H,m),7.37−7.43(2H,m),7.94(1H,br s)
【0043】
(実施例2) 1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレア
【0044】
【化14】

【0045】
フェニル N−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)カーバメートを、N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解し、氷冷下シクロプロピルアミン(22.7mL)を加え、室温にて終夜攪拌した。水(400mL)、酢酸エチル(300mL)、6N−HCl(55mL)を加えて攪拌の後、有機層を分離した。有機層を10%食塩水(200mL)で2回洗浄の後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮して得られるプリズム晶をヘプタンで洗浄濾過し、標記化合物22.8gを得た。(4−アミノ−3−クロロフェノールからの収率77%)
H−NMR(CDCl):0.72−0.77(2H,m),0.87−0.95(2H,m),2.60−2.65(1H,m),4.89(1H,br s),5.60(1H,br s),6.71(1H,dd,J=8.8,2.8Hz),6.88(1H,d,J=2.8Hz),7.24−7.30(1H,br s),7.90(1H,d,J=8.8H)
【0046】
(実施例3) 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド
【0047】
【化15】

【0048】
ジメチルスルホキシド(20mL)に、7−メトキシ−4−クロロ−キノリン−6−カルボキサミド(0.983g)、1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレア(1.13g)および炭酸セシウム(2.71g)を加え、70℃にて23時間加熱攪拌した。反応液を室温に戻した後、水(50mL)を加え、生じた結晶を濾取することで標記化合物1.56gを得た。(収率88%)
H−NMR(d−DMSO):0.41(2H,m),0.66(2H,m),2.56(1H,m),4.01(3H,s),6.51(1H,d,J=5.6Hz),7.18(1H,d,J=2.8Hz),7.23(1H,dd,J=2.8,8.8Hz),7.48(1H,d,J=2.8Hz),7.50(1H,s),7.72(1H,s),7.84(1H,s),7.97(1H,s),8.25(1H,d,J=8.8Hz),8.64(1H,s),8.65(1H,d,J=5.6Hz)
【0049】
(実施例4) 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド
窒素雰囲気下、反応容器に7−メトキシ−4−クロロ−キノリン−6−カルボキサミド(5.00kg、21.13mol)、ジメチルスルホキシド(55.05kg)、1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレア(5.75kg、25.35mol)およびカリウムt−ブトキシド(2.85kg、25.35mol)を順次投入した。その後、20℃で30分攪拌し、その後、2.5時間かけて温度を65℃まで昇温した。同温で19時間攪拌した後、33%(v/v)のアセトン水(5.0L)および水(10.0L)を3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、33%(v/v)のアセトン水(20.0L)および水(40.0L)を55℃以上で1時間かけて滴下した。40℃で16時間攪拌した後、析出した結晶を窒素圧式ろ過器を用いてろ取し、33%(v/v)のアセトン水(33.3L)、水(66.7L)およびアセトン(50.0L)で順次結晶を洗浄した。得られた結晶をコニカル式減圧乾燥機を用いて、60℃で22時間乾燥し、標記化合物7.78kgを得た。(収率96.3%)
【0050】
本発明に係るウレア誘導体の製造方法により、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効なウレア誘導体を、効率よく、工業的な製造方法で製造することができる。また、本発明に係るウレア誘導体の中間体は、上記ウレア誘導体を効率よく製造するための中間体として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るウレア誘導体の製造方法により、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患に対する予防または治療に有効なウレア誘導体を、効率よく、工業的な製造方法で製造することができる。また、本発明に係るウレア誘導体の中間体は、上記ウレア誘導体を効率よく製造するための中間体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはC3−8シクロアルキル基を意味する。〕で表される化合物(A−1)もしくはその塩またはそれらの水和物。
【請求項2】
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物。
【請求項3】
がシクロプロピル基である請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物。
【請求項4】

【化2】

〔式中、Arはハロゲン原子、メチル基、メトキシ基およびニトロ基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいC6−10アリール基を意味する。〕で表される化合物(A−3)と式
【化3】

で表される化合物(A−4)とを反応させることにより、式
【化4】

〔式中、Arは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−2)とし、次いで化合物(A−2)と式R−NH〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物とを反応させることを特徴とする、式
【化5】

〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−1)の製造方法。
【請求項5】
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
がシクロプロピル基である請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
Arがフェニル基である請求項4〜6いずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】

【化6】

〔式中、Arは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−2)もしくはその塩またはそれらの水和物。
【請求項9】
Arがフェニル基である請求項8記載の化合物もしくはその塩またはそれらの水和物。
【請求項10】

【化7】

〔式中、Rは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(A−1)と、式
【化8】

〔式中、Rは水素原子またはメトキシ基を意味する;Lは脱離基を意味する。〕で表される化合物(B)とを反応させることを特徴とする、式
【化9】

〔式中、RおよびRは前記定義に同義を意味する。〕で表される化合物(C)またはその塩の製造方法。
【請求項11】
塩基を用いることを特徴とする、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
塩基がアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ金属のアルコキシドである請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
塩基が炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはカリウムt−ブトキシドである請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基である請求項10〜13いずれか1項記載の製造方法。
【請求項15】
がシクロプロピル基である請求項10〜13いずれか1項記載の製造方法。
【請求項16】
が水素原子である請求項10〜15いずれか1項記載の製造方法。
【請求項17】
Lが塩素原子である請求項10〜16いずれか1項記載の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/044788
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515330(P2005−515330)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016526
【国際出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】