エアバッグ付きジャケット
【課題】エアバッグ及びこのエアバッグを展開させるインフレータを組みつけたエアバッグ付きジャケットを提供することを課題とする。
【解決手段】バックプロテクタ23の下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルト33、33を延ばし、さらにバックプロテクタ23の下部から第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルト35、35を延ばし、バックプロテクタ23の上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルト36、36を延ばし、これらのショルダーベルト36、36の下端を第2ウエストベルト35、35に連結することができるようにした。
【効果】バックプロテクタをジャケット本体に組みつけたため、バックプロテクタの着用とジャケットの着用とを各々行う必要が無く、短時間で着用が可能となる。
【解決手段】バックプロテクタ23の下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルト33、33を延ばし、さらにバックプロテクタ23の下部から第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルト35、35を延ばし、バックプロテクタ23の上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルト36、36を延ばし、これらのショルダーベルト36、36の下端を第2ウエストベルト35、35に連結することができるようにした。
【効果】バックプロテクタをジャケット本体に組みつけたため、バックプロテクタの着用とジャケットの着用とを各々行う必要が無く、短時間で着用が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ付きジャケット、特に自動二輪車の乗員が着用することに適したエアバッグ付きジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員を保護する保護装置が各種提案されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2008−184135公報(図3)
【特許文献2】実用新案登録第3071444号公報(図1)
【0003】
特許文献1の図3には、平面状のエアバッグ本体(31)(括弧付き符号は、特許文献記載の符号を流用。以下同じ)の背当て部(41)にインフレータ(32)を配置し、肩掛け部(42、42)を介して腹当て部(43)にガスを充填するエアバッグ構造が示されている。
【0004】
特許文献2の図1には、膨張室(5、6)、起動装置(7)、ディストリビューター(8)、ボンベ(10)などからなる機構部分を、ベルクロテープ(1)、ファスナー(2)、バックル(3)およびスナップボタン(4)装置により、ジャケットに着脱可能に取付けたエアバッグ付きジャケットが示されている。
【0005】
特許文献1のエアバッグ構造では、使い勝手を考えると、ジャケットに対するエアバッグの取付け方法又は構造が重要となる。そこで、ジャケットに対するエアバッグの取付け方法又は構造の提案が求められる。
【0006】
特許文献2のエアバッグ付きジャケットでは、ベルクロテープ(1)、ファスナー(2)、バックル(3)およびスナップボタン(4)でエアバッグをジャケットに取付けるため、取付け作業が繁雑になる。
また、膨張室(5、6)は、チューブをVやU字状に折り曲げ又は湾曲させてなる。
【0007】
そして、特許文献2では、起動装置(7)やボンベ(10)がジャケットの左脇腹の部分に設けられている。ところで、エアバッグの大容量化と、短時間での展開が求められ、この要求によれば、起動装置(7)やボンベ(10)は、嵩張って、ジャケットの左脇腹の部分に収めことができなくなる。
そのため、比較的嵩のある起動装置などを適切に配置する技術が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、エアバッグ及びこのエアバッグを展開させるインフレータを内蔵したエアバッグ付きジャケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、内布と外布とからなるジャケット本体と、このジャケット本体に取り外し可能に収納され、インフレータからのガスで展開するエアバッグと、前記ジャケット本体に組みつけられ乗員を保護するバックプロテクタと、からなるエアバッグ付きジャケットであって、
前記バックプロテクタに、前記インフレータ及びこのインフレータを制御する点火回路を収納し、
前記バックプロテクタの下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルトを延ばし、さらに前記バックプロテクタの下部から前記第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルトを延ばしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、バックプロテクタの上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルトを延ばし、これらのショルダーベルトの下端を第2ウエストベルトに連結することができるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、車体側に設けられているベルト巻取り装置から延ばされたベルトの先に、ベルトに加わる引張り力が所定値を超えると分離する連結機構を設け、この連結機構から牽引ラインを延ばし、この牽引ラインの先が前記バックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができるように、前記ジャケット本体の外布に前記牽引ラインを通過させる通し穴を設け、前記エアバッグに前記牽引ラインを通過させるU字部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、バックプロテクタをジャケット本体に組みつけたため、バックプロテクタの着用とジャケットの着用とを各々行う必要が無く、短時間で着用が可能となる。
そして、本発明のバックプロテクタは、下部に伸縮性に富む第1ウエストベルトと非伸縮性の第2ウエストベルトと備えている。
そこで、先に、伸縮性に富む第1ウエストベルトを腹部に巻き付ける。伸縮性に富むため、腹部への圧迫感は少ない。このような第1ウエストベルトの上に非伸縮性の第2ウエストベルトを巻くため、腹部への圧迫感は軽減される。
【0013】
請求項2に係る発明では、バックプロテクタにショルダーベルトを備えている。
ジャケット本体に内蔵したバックプロテクタを、第2ウエストベルトとショルダーベルトとで、乗員の上半身に装着させることができ、バックプロテクタのずれを防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、ジャケット本体の通し穴及びエアバッグのU字部を通じて、直接牽引ラインをバックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができる。バックプロテクタにはエアバックを展開させるためのインフレータ及び点火回路が収納されている。
衝突などの理由で、乗員が車体前方へ高加速度で移動すると、連結機構に所定以上の引張り力が作用し、連結機構は分断する。この分断が電気的に検出され、インフレータが点火され、エアバッグが展開される。
【0015】
車体とバックプロテクタとが直接且つ最短距離で結ばれているため、必要時に迅速にエアバッグが展開される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るエアバッグ付きジャケットの使用形態を示す図であり、乗員11が、着用しているエアバッグ付きジャケット20は、ジャケット本体21に、袋状のエアバッグ22と、バックプロテクタ23とを収納してなる。
【0017】
このエアバッグ22は、バックプロテクタ23に収納されているインフレータ24及びこのインフレータ24に点火するコンデンサを含む点火回路25により、展開される。点火回路25は、ベルト巻取り装置(ELR)26で巻かれているベルト27を介して車体側に連結されている。
【0018】
ベルト27に連結機構28が介設されており、緊急時に、乗員11が車体前方へ高加速度で移動する場合、ベルト27がロックされる。結果、連結機構28に所定以上の引張り力が作用し、連結機構28は分割位置29で分断する。この分断が電気的に検出され、インフレータ24が点火され、エアバッグ22が展開される。
【0019】
なお、バックプロテクタ23に加えて、乗員11の前側にフロントプロテクタを配置しても良い。フロントプロテクタはバックプロテクタ23に比較して配置の自由度が高い。そのため、フロントプロテクタを乗員11の身体側に配置し、このフロントプロテクタの外側にエアバッグを配置することが可能となる。外側にエアバッグを配置すると、エアバッグの展開がより自由になり、展開性が良好になる。
【0020】
以上に説明したバックプロテクタ23とジャケット本体21とエアバッグ22を次に詳細に説明する。
図2はバックプロテクタの斜視図であり、バックプロテクタ23は、乗員の背中に配置される舟形のプロテクタ本体31と、プロテクタ本体31に着脱可能に取付ける蓋32と、この蓋32に保持され且つ表面材と裏面材とからなる袋状エアバッグ(想像線で示される符号22)の内部に配置されたインフレータ24及び点火回路25と、蓋32の下部左右から延ばされた第1ウエストバンド33、33と、これらの第1ウエストバンド33、33に重ねることができるように、プロテクタ本体31の下部左右から延ばされた第2ウエストバンド35、35と、プロテクタ本体31の上部左右から第2ウエストバンド35、35まで延ばしたショルダーベルト36、36とからなる。
【0021】
乗員に自然感を与えることができるように、第1ウエストバンド33、33は、伸縮性の広幅帯で構成され、面ファスナ37、37で先端同士が連結される。
第2ウエストバンド35は先端にバックル片38、39を備え、途中に長さ調整部41、41を備えた、非伸縮性の細幅帯で構成される。非伸縮性であるから、乗員の上半身の所定位置にバックプロテクタ23を保持させることができる。
ショルダーベルト36、36も保持を目的とするため、途中に長さ調整部42、42を備えた、非伸縮性の細幅帯で構成される。
【0022】
バンド33、35、36の幅は一例を示したものであって、幅は適宜に設定することができる。伸縮性、非伸縮性についても同様に、適宜設定することは差し支えない。
【0023】
図3はジャケット本体の背面側展開図であり、ジャケット本体21は、前身ごろ部(胸部を覆う部分)44を備えており、結果、メインファスナ45、45は、左脇と正面とが交わる部位に設けられている。
【0024】
また、ジャケット本体21は、上部に首周り部46を備え、右腕穴47及び左腕穴48が開けられ、首周り部46から右腕穴47又は左腕穴48を介して裾に至る左右のシャーリング部51、52が設けられ、右のシャーリング部52より外側の部位に第1ダーツ部53が首周り部46から裾に達するまで設けられ、左右のシャーリング部51、52の内側に縦に第2ダーツ部54及び第3ダーツ部53が設けられている。ダーツ部53〜55には複数個の面ファスナ56が適宜設けられている。なお、首周り部46は、ジャケット本体21において、乗員の首を囲う部分を指す。したがって、ジャケットは襟の有無を問わない。
【0025】
シャーリング部51、52における「シャーリング」は、洋装用語であり、布を蛇腹状に折り畳み、伸縮性のある糸で止めた伸縮部を意味する。
また、ダーツ部53〜55における「ダーツ」も洋装用語であり、布をV字状に折って幅を詰める処理を指す。この発明では、布を面ファスナ56で止めたために、広げることができる。
【0026】
通常の着用時は、面ファスナ56を貼り合わせることでダーツ部53〜55は折り畳まれている。シャーリング部51、52も縮んでいる。
エアバッグの展開時は、面ファスナ56が外れて(分離して)、ダーツ部53〜55が一杯に広がり、シャーリング部51、52も伸びるため、エアバッグの展開が円滑になる。
【0027】
また、ジャケット本体21の中央上部にセンタファスナ57が設けられている。このセンタファスナ57を開放状態にすると、バックプロテクタ(図2、符号23)を出し入れすることができる。ジャケット本体21の中央上部に牽引ライン(図1、符号58)を通す通し穴59が設けられている。
【0028】
図4はエアバッグの構造説明図であり、エアバッグ22は、平面形状の表皮材に裏面材を縫製又は接着してなる袋体であり、この袋体に、背部61と、この背部61の下部から延ばした左脇腹部62及び右脇腹部63と、背部61の上部から延ばした左肩掛け部64及び右肩掛け部65と、左肩掛け部64の先に設けた左胸当て部66と、右肩掛け部65の先に設けた胸及び腹当て部67を含む。
【0029】
背部61に、一対の肩掛け部64、65と、左又は右胸当て部66と、胸及び腹当て部67が繋がっているため、迅速にエアバッグ22を展開させることができ、特に乗員の胸部を遅滞なく覆うことができる。
【0030】
インフレータが発生するガスを、背部61に吹き込み、この背部61を介して左又は右胸当て部66や胸及び腹当て部67へ充填する。ガスが背部61を中心にして分流するため、流路長が短くなり、展開に要する時間を短縮することでき、より迅速な展開が可能となる。
【0031】
さらに、背部61の下辺中央に牽引ライン(図1、符号58)を通すU字部68が切欠き形成されている。
そして、胸及び腹当て部67の図右辺に、第1契合部材としての第1ファスナ71を備え、左胸当て部66の上斜め辺に第2契合部材としての第2ファスナ72を備え、左脇腹部62の図右辺に第3契合部材としての第3ファスナ73を備えている。第1、第2ファスナ71、72には、各々スライダ74、74が設けられている。
【0032】
第3ファスナ73は、第1ファスナ71に対応する長さの契合部材である。そして、この第3ファスナ73の上半部分に平行にサブファスナ73aが設けられている。このサブファスナ73aは、第2ファスナ72に対応する契合部材である。
さらに、胸及び腹当て部67の図左辺に補助ファスナ75を備え、この補助ファスナ75と契合するスライダ付き補助ファスナ76が右脇腹部63の図左辺に設けられている。
【0033】
図5は図4の5−5線断面図であり、第1、第2ファスナ71、72、第3ファスナ73の過半部分及び補助ファスナ75、76は、単列のエレメントからなる。このエレメントは務歯(むし)とも呼ばれる。
図6は図4の6−6線断面図であり、第3ファスナ73とサブファスナ73aは、左右列のエレメントからなる。
そして、図4に示す谷折り線77、78で、胸及び腹当て部67及び左胸当て部66を折り返す。同様に谷折り線79で左脇腹部62を折り返す。すると図7で示す形態のエアバック22ができあがる。
【0034】
図7はエアバッグの外観を示す図であり、先ず、補助ファスナ75と補助ファスナ76とを契合する。また、サブファスナ73aと第2ファスナ72とは何時でも契合することができる。第1ファスナ71と第3ファスナ73とは何時でも契合することができる。
また、エアバッグ22には、第1ファスナ71の上下端近傍、第2ファスナ72の上端近傍及び第3ファスナ73の下端近傍に、第4契合部材としての雄ホック81が取り付けられている。
【0035】
図8はエアバッグをジャケット本体に取付ける要領を説明する図である。
今まで説明しなかったが、ジャケット本体21は外布82と内布83からなり、左のメインファスナ45の近傍に首周り部から裾に至る左の開口部84が設けられ、右のメインファスナ45の近傍にも首周り部から裾に至る右の開口部86が設けられている。開口部84、86は外布82と内布83との間に設ける。なお、開口部84、86は、内布83のみに設けてもよく、外布82のみに設けてもよい。
そして、開口部84、86の上下縁に、第5契合部材としての雌ホック87が取り付けられている。
【0036】
そして、内布83の大部分は、図示するようにメッシュと呼ばれる網状素材で構成することが望ましい。外布82は耐風圧や耐水性能を持たせるために、大きな通気性は期待できない。仮に、内布83にも非通気性布を使用すると、エアバッグ22の展開時にジャケット本体21の内部からの空気の逃げが制限される。内布83の大部分をメッシュにすると、空気の出入りが円滑になり、エアバッグ22の展開がより円滑になる。
【0037】
このようなジャケット本体21に次の要領でエアバッグ22を収納する。
先ず、エアバッグ22を取付ける前に、ジャケット本体21にバックプロテクタ23を収納し、左右の穴88、88からウエストベルト33、33、35、35を引き出し、左右の穴89、89からショルダーベルト36、36を引き出しておく。
【0038】
次に、左右の開口部84、86の一方からエアバッグ22をジャケット本体21へ挿入する。右の開口部86から第1ファスナ71を引き出し、この第1ファスナ71に上下に備えている雄ホック81、81をジャケット本体21側の雌ホック87に契合する。
また、左の開口部84から、第2ファスナ72、第3ファスナ73及びサブファスナ73aを引き出し、開口部84の上下に設けられている雌ホック87、87へ雄ホック81、81を契合し、第2ファスナ72とサブファスナ73aとを契合する。
これで、エアバッグ付きジャケット20が完成する。
【0039】
乗員は、普通のジャケットを着用する要領で、エアバッグ付きジャケット20を着ることができる。バックプロテクタとジャケットが別々であれば、バックプロテクタを装着した後にジャケットを着るため、着用に時間がかかり、面倒でもある。
本発明では、ジャケット本体21にバックプロテクタ23が収納されているため、着用が容易であり、時間が掛からない。
【0040】
ジャケット本体21に、エアバッグ22を止める(仮止めする)第4契合部材を雄ホック81、第5契合部材を雌ホック87で説明したが、第4・第5契合部材は線状ファスナや面ファスナであってもよい。線状ファスナの例は後述する。
【0041】
本発明のエアバッグ付きジャケットの作用を次に説明する。
図9は着用時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図であり、乗員11はエアバッグ付きジャケット20を着用している。
図10は図9の平断面図であり、乗員11の身体に内布83が臨み、この内布83と外布82との間に、袋状のエアバッグ22が収納されている。
【0042】
図11は図10の11部拡大図であり、第1ファスナ71の付属布71aがエアバッグ22の端部に縫いつけられている。この縫い目からガスが漏れてないように、シール材90で気密処理が施されている。第3ファスナ73の付属布73aも同様である。このようにして、エアバッグ同士をファスナ71、73で直接契合することができる。
ホック81、87でエアバッグ22がジャケット本体21に契合されている。外布同士はメインファスナ45で契合することができる。ホック81、87は、外布82に設けてもよく、内布83に設けてもよい。
【0043】
図12は展開時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図であり、エアバッグ付きジャケット20は展開状態にある。
図13は図12の平断面図であり、膨らんだエアバッグ22が、乗員11の全周を覆うことで、乗員11の身体を保護している。加えて、ファスナ71、73を挟む部分94、95でエアバッグの端部同士が密着し、隙間が極小化又は無い形態となる。すなわち、エアバッグ契合部分(ファスナ71,73)に隙間が空くことを防ぐことができる。
【0044】
図14はショルダーベルトの作用説明図であり、バックプロテクタを直接着用した場合に比較して、バックプロテクタ23をジャケット本体21に収納する本発明では、ジャケット本体21の内部をバックプロテクタ23が左右にずれる可能性が高まる。
そこで、本発明では、第2ウエストバンド35、35を非伸縮性とし、この第2ウエストバンド35、35に非伸縮性のショルダーベルト36、36の下端を連結した。
【0045】
バックプロテクタ23の下部点91は第2ウエストバンド35で位置が規定される。バックプロテクタ23の上部点92は左右のショルダーベルト36、36で位置が規定される。乗員11が身体を捻っても、下部点91及び上部点92は身体の中心に保持される。
【0046】
図15は図11の別実施例図であり、図11と共通する要素は符号を流用して、詳細な説明は省略する。
すなわち、エアバック22側に設ける第4契合部材、及び外布82側に設ける第5契合部材は、線状ファスナ93とすることができる。線状ファスナ93の付属布93aの長さが自由に選択できるため、図11に比較すれば明らかなことであるが、第4・第5契合部材の取り付け自由度が高まる。
【0047】
また、外布同士を契合するメインファスナ45は、図示するように面ファスナであってもよい。また、外布同士を契合するメインファスナ45は、ホックでも良い。
さらには、想像線で示す延長部96を、内布83から延長させて、内布83の端部同士が重なるようにしてもよい。
【0048】
尚、本発明に係るエアバッグ付きジャケットは、自動二輪車の乗員に好適であるが、三輪、四輪車の乗員や、高所作業者に着用させることもできるため、用途は格別に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のエアバッグ付きジャケットは、自動二輪車の乗員に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るエアバッグ付きジャケットの使用形態を示す図である。
【図2】バックプロテクタの斜視図である。
【図3】ジャケット本体の背面側展開図である。
【図4】エアバッグの構造説明図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】エアバッグの外観を示す図である。
【図8】エアバッグをジャケット本体に取付ける要領を説明する図である。
【図9】着用時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図
【図10】図9の平断面図である。
【図11】図10の11部拡大図である。
【図12】展開時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図である。
【図13】図12の平断面図である。
【図14】ショルダーベルトの作用説明図である。
【図15】図11の別実施例図である。
【符号の説明】
【0051】
11…乗員、20…エアバッグ付きジャケット、21…ジャケット本体、22…エアバッグ、23…バックプロテクタ、24…インフレータ、25…点火回路、26…ベルト巻取り装置、27…ベルト、28…連結機構、29…連結機構の分割位置、33…第1ウエストベルト、35…第2ウエストベルト、36…ショルダーベルト、58…牽引ライン、59…通し穴、68…U字部、82…外布、83…内布。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ付きジャケット、特に自動二輪車の乗員が着用することに適したエアバッグ付きジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員を保護する保護装置が各種提案されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2008−184135公報(図3)
【特許文献2】実用新案登録第3071444号公報(図1)
【0003】
特許文献1の図3には、平面状のエアバッグ本体(31)(括弧付き符号は、特許文献記載の符号を流用。以下同じ)の背当て部(41)にインフレータ(32)を配置し、肩掛け部(42、42)を介して腹当て部(43)にガスを充填するエアバッグ構造が示されている。
【0004】
特許文献2の図1には、膨張室(5、6)、起動装置(7)、ディストリビューター(8)、ボンベ(10)などからなる機構部分を、ベルクロテープ(1)、ファスナー(2)、バックル(3)およびスナップボタン(4)装置により、ジャケットに着脱可能に取付けたエアバッグ付きジャケットが示されている。
【0005】
特許文献1のエアバッグ構造では、使い勝手を考えると、ジャケットに対するエアバッグの取付け方法又は構造が重要となる。そこで、ジャケットに対するエアバッグの取付け方法又は構造の提案が求められる。
【0006】
特許文献2のエアバッグ付きジャケットでは、ベルクロテープ(1)、ファスナー(2)、バックル(3)およびスナップボタン(4)でエアバッグをジャケットに取付けるため、取付け作業が繁雑になる。
また、膨張室(5、6)は、チューブをVやU字状に折り曲げ又は湾曲させてなる。
【0007】
そして、特許文献2では、起動装置(7)やボンベ(10)がジャケットの左脇腹の部分に設けられている。ところで、エアバッグの大容量化と、短時間での展開が求められ、この要求によれば、起動装置(7)やボンベ(10)は、嵩張って、ジャケットの左脇腹の部分に収めことができなくなる。
そのため、比較的嵩のある起動装置などを適切に配置する技術が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、エアバッグ及びこのエアバッグを展開させるインフレータを内蔵したエアバッグ付きジャケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、内布と外布とからなるジャケット本体と、このジャケット本体に取り外し可能に収納され、インフレータからのガスで展開するエアバッグと、前記ジャケット本体に組みつけられ乗員を保護するバックプロテクタと、からなるエアバッグ付きジャケットであって、
前記バックプロテクタに、前記インフレータ及びこのインフレータを制御する点火回路を収納し、
前記バックプロテクタの下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルトを延ばし、さらに前記バックプロテクタの下部から前記第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルトを延ばしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、バックプロテクタの上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルトを延ばし、これらのショルダーベルトの下端を第2ウエストベルトに連結することができるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、車体側に設けられているベルト巻取り装置から延ばされたベルトの先に、ベルトに加わる引張り力が所定値を超えると分離する連結機構を設け、この連結機構から牽引ラインを延ばし、この牽引ラインの先が前記バックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができるように、前記ジャケット本体の外布に前記牽引ラインを通過させる通し穴を設け、前記エアバッグに前記牽引ラインを通過させるU字部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、バックプロテクタをジャケット本体に組みつけたため、バックプロテクタの着用とジャケットの着用とを各々行う必要が無く、短時間で着用が可能となる。
そして、本発明のバックプロテクタは、下部に伸縮性に富む第1ウエストベルトと非伸縮性の第2ウエストベルトと備えている。
そこで、先に、伸縮性に富む第1ウエストベルトを腹部に巻き付ける。伸縮性に富むため、腹部への圧迫感は少ない。このような第1ウエストベルトの上に非伸縮性の第2ウエストベルトを巻くため、腹部への圧迫感は軽減される。
【0013】
請求項2に係る発明では、バックプロテクタにショルダーベルトを備えている。
ジャケット本体に内蔵したバックプロテクタを、第2ウエストベルトとショルダーベルトとで、乗員の上半身に装着させることができ、バックプロテクタのずれを防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、ジャケット本体の通し穴及びエアバッグのU字部を通じて、直接牽引ラインをバックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができる。バックプロテクタにはエアバックを展開させるためのインフレータ及び点火回路が収納されている。
衝突などの理由で、乗員が車体前方へ高加速度で移動すると、連結機構に所定以上の引張り力が作用し、連結機構は分断する。この分断が電気的に検出され、インフレータが点火され、エアバッグが展開される。
【0015】
車体とバックプロテクタとが直接且つ最短距離で結ばれているため、必要時に迅速にエアバッグが展開される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るエアバッグ付きジャケットの使用形態を示す図であり、乗員11が、着用しているエアバッグ付きジャケット20は、ジャケット本体21に、袋状のエアバッグ22と、バックプロテクタ23とを収納してなる。
【0017】
このエアバッグ22は、バックプロテクタ23に収納されているインフレータ24及びこのインフレータ24に点火するコンデンサを含む点火回路25により、展開される。点火回路25は、ベルト巻取り装置(ELR)26で巻かれているベルト27を介して車体側に連結されている。
【0018】
ベルト27に連結機構28が介設されており、緊急時に、乗員11が車体前方へ高加速度で移動する場合、ベルト27がロックされる。結果、連結機構28に所定以上の引張り力が作用し、連結機構28は分割位置29で分断する。この分断が電気的に検出され、インフレータ24が点火され、エアバッグ22が展開される。
【0019】
なお、バックプロテクタ23に加えて、乗員11の前側にフロントプロテクタを配置しても良い。フロントプロテクタはバックプロテクタ23に比較して配置の自由度が高い。そのため、フロントプロテクタを乗員11の身体側に配置し、このフロントプロテクタの外側にエアバッグを配置することが可能となる。外側にエアバッグを配置すると、エアバッグの展開がより自由になり、展開性が良好になる。
【0020】
以上に説明したバックプロテクタ23とジャケット本体21とエアバッグ22を次に詳細に説明する。
図2はバックプロテクタの斜視図であり、バックプロテクタ23は、乗員の背中に配置される舟形のプロテクタ本体31と、プロテクタ本体31に着脱可能に取付ける蓋32と、この蓋32に保持され且つ表面材と裏面材とからなる袋状エアバッグ(想像線で示される符号22)の内部に配置されたインフレータ24及び点火回路25と、蓋32の下部左右から延ばされた第1ウエストバンド33、33と、これらの第1ウエストバンド33、33に重ねることができるように、プロテクタ本体31の下部左右から延ばされた第2ウエストバンド35、35と、プロテクタ本体31の上部左右から第2ウエストバンド35、35まで延ばしたショルダーベルト36、36とからなる。
【0021】
乗員に自然感を与えることができるように、第1ウエストバンド33、33は、伸縮性の広幅帯で構成され、面ファスナ37、37で先端同士が連結される。
第2ウエストバンド35は先端にバックル片38、39を備え、途中に長さ調整部41、41を備えた、非伸縮性の細幅帯で構成される。非伸縮性であるから、乗員の上半身の所定位置にバックプロテクタ23を保持させることができる。
ショルダーベルト36、36も保持を目的とするため、途中に長さ調整部42、42を備えた、非伸縮性の細幅帯で構成される。
【0022】
バンド33、35、36の幅は一例を示したものであって、幅は適宜に設定することができる。伸縮性、非伸縮性についても同様に、適宜設定することは差し支えない。
【0023】
図3はジャケット本体の背面側展開図であり、ジャケット本体21は、前身ごろ部(胸部を覆う部分)44を備えており、結果、メインファスナ45、45は、左脇と正面とが交わる部位に設けられている。
【0024】
また、ジャケット本体21は、上部に首周り部46を備え、右腕穴47及び左腕穴48が開けられ、首周り部46から右腕穴47又は左腕穴48を介して裾に至る左右のシャーリング部51、52が設けられ、右のシャーリング部52より外側の部位に第1ダーツ部53が首周り部46から裾に達するまで設けられ、左右のシャーリング部51、52の内側に縦に第2ダーツ部54及び第3ダーツ部53が設けられている。ダーツ部53〜55には複数個の面ファスナ56が適宜設けられている。なお、首周り部46は、ジャケット本体21において、乗員の首を囲う部分を指す。したがって、ジャケットは襟の有無を問わない。
【0025】
シャーリング部51、52における「シャーリング」は、洋装用語であり、布を蛇腹状に折り畳み、伸縮性のある糸で止めた伸縮部を意味する。
また、ダーツ部53〜55における「ダーツ」も洋装用語であり、布をV字状に折って幅を詰める処理を指す。この発明では、布を面ファスナ56で止めたために、広げることができる。
【0026】
通常の着用時は、面ファスナ56を貼り合わせることでダーツ部53〜55は折り畳まれている。シャーリング部51、52も縮んでいる。
エアバッグの展開時は、面ファスナ56が外れて(分離して)、ダーツ部53〜55が一杯に広がり、シャーリング部51、52も伸びるため、エアバッグの展開が円滑になる。
【0027】
また、ジャケット本体21の中央上部にセンタファスナ57が設けられている。このセンタファスナ57を開放状態にすると、バックプロテクタ(図2、符号23)を出し入れすることができる。ジャケット本体21の中央上部に牽引ライン(図1、符号58)を通す通し穴59が設けられている。
【0028】
図4はエアバッグの構造説明図であり、エアバッグ22は、平面形状の表皮材に裏面材を縫製又は接着してなる袋体であり、この袋体に、背部61と、この背部61の下部から延ばした左脇腹部62及び右脇腹部63と、背部61の上部から延ばした左肩掛け部64及び右肩掛け部65と、左肩掛け部64の先に設けた左胸当て部66と、右肩掛け部65の先に設けた胸及び腹当て部67を含む。
【0029】
背部61に、一対の肩掛け部64、65と、左又は右胸当て部66と、胸及び腹当て部67が繋がっているため、迅速にエアバッグ22を展開させることができ、特に乗員の胸部を遅滞なく覆うことができる。
【0030】
インフレータが発生するガスを、背部61に吹き込み、この背部61を介して左又は右胸当て部66や胸及び腹当て部67へ充填する。ガスが背部61を中心にして分流するため、流路長が短くなり、展開に要する時間を短縮することでき、より迅速な展開が可能となる。
【0031】
さらに、背部61の下辺中央に牽引ライン(図1、符号58)を通すU字部68が切欠き形成されている。
そして、胸及び腹当て部67の図右辺に、第1契合部材としての第1ファスナ71を備え、左胸当て部66の上斜め辺に第2契合部材としての第2ファスナ72を備え、左脇腹部62の図右辺に第3契合部材としての第3ファスナ73を備えている。第1、第2ファスナ71、72には、各々スライダ74、74が設けられている。
【0032】
第3ファスナ73は、第1ファスナ71に対応する長さの契合部材である。そして、この第3ファスナ73の上半部分に平行にサブファスナ73aが設けられている。このサブファスナ73aは、第2ファスナ72に対応する契合部材である。
さらに、胸及び腹当て部67の図左辺に補助ファスナ75を備え、この補助ファスナ75と契合するスライダ付き補助ファスナ76が右脇腹部63の図左辺に設けられている。
【0033】
図5は図4の5−5線断面図であり、第1、第2ファスナ71、72、第3ファスナ73の過半部分及び補助ファスナ75、76は、単列のエレメントからなる。このエレメントは務歯(むし)とも呼ばれる。
図6は図4の6−6線断面図であり、第3ファスナ73とサブファスナ73aは、左右列のエレメントからなる。
そして、図4に示す谷折り線77、78で、胸及び腹当て部67及び左胸当て部66を折り返す。同様に谷折り線79で左脇腹部62を折り返す。すると図7で示す形態のエアバック22ができあがる。
【0034】
図7はエアバッグの外観を示す図であり、先ず、補助ファスナ75と補助ファスナ76とを契合する。また、サブファスナ73aと第2ファスナ72とは何時でも契合することができる。第1ファスナ71と第3ファスナ73とは何時でも契合することができる。
また、エアバッグ22には、第1ファスナ71の上下端近傍、第2ファスナ72の上端近傍及び第3ファスナ73の下端近傍に、第4契合部材としての雄ホック81が取り付けられている。
【0035】
図8はエアバッグをジャケット本体に取付ける要領を説明する図である。
今まで説明しなかったが、ジャケット本体21は外布82と内布83からなり、左のメインファスナ45の近傍に首周り部から裾に至る左の開口部84が設けられ、右のメインファスナ45の近傍にも首周り部から裾に至る右の開口部86が設けられている。開口部84、86は外布82と内布83との間に設ける。なお、開口部84、86は、内布83のみに設けてもよく、外布82のみに設けてもよい。
そして、開口部84、86の上下縁に、第5契合部材としての雌ホック87が取り付けられている。
【0036】
そして、内布83の大部分は、図示するようにメッシュと呼ばれる網状素材で構成することが望ましい。外布82は耐風圧や耐水性能を持たせるために、大きな通気性は期待できない。仮に、内布83にも非通気性布を使用すると、エアバッグ22の展開時にジャケット本体21の内部からの空気の逃げが制限される。内布83の大部分をメッシュにすると、空気の出入りが円滑になり、エアバッグ22の展開がより円滑になる。
【0037】
このようなジャケット本体21に次の要領でエアバッグ22を収納する。
先ず、エアバッグ22を取付ける前に、ジャケット本体21にバックプロテクタ23を収納し、左右の穴88、88からウエストベルト33、33、35、35を引き出し、左右の穴89、89からショルダーベルト36、36を引き出しておく。
【0038】
次に、左右の開口部84、86の一方からエアバッグ22をジャケット本体21へ挿入する。右の開口部86から第1ファスナ71を引き出し、この第1ファスナ71に上下に備えている雄ホック81、81をジャケット本体21側の雌ホック87に契合する。
また、左の開口部84から、第2ファスナ72、第3ファスナ73及びサブファスナ73aを引き出し、開口部84の上下に設けられている雌ホック87、87へ雄ホック81、81を契合し、第2ファスナ72とサブファスナ73aとを契合する。
これで、エアバッグ付きジャケット20が完成する。
【0039】
乗員は、普通のジャケットを着用する要領で、エアバッグ付きジャケット20を着ることができる。バックプロテクタとジャケットが別々であれば、バックプロテクタを装着した後にジャケットを着るため、着用に時間がかかり、面倒でもある。
本発明では、ジャケット本体21にバックプロテクタ23が収納されているため、着用が容易であり、時間が掛からない。
【0040】
ジャケット本体21に、エアバッグ22を止める(仮止めする)第4契合部材を雄ホック81、第5契合部材を雌ホック87で説明したが、第4・第5契合部材は線状ファスナや面ファスナであってもよい。線状ファスナの例は後述する。
【0041】
本発明のエアバッグ付きジャケットの作用を次に説明する。
図9は着用時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図であり、乗員11はエアバッグ付きジャケット20を着用している。
図10は図9の平断面図であり、乗員11の身体に内布83が臨み、この内布83と外布82との間に、袋状のエアバッグ22が収納されている。
【0042】
図11は図10の11部拡大図であり、第1ファスナ71の付属布71aがエアバッグ22の端部に縫いつけられている。この縫い目からガスが漏れてないように、シール材90で気密処理が施されている。第3ファスナ73の付属布73aも同様である。このようにして、エアバッグ同士をファスナ71、73で直接契合することができる。
ホック81、87でエアバッグ22がジャケット本体21に契合されている。外布同士はメインファスナ45で契合することができる。ホック81、87は、外布82に設けてもよく、内布83に設けてもよい。
【0043】
図12は展開時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図であり、エアバッグ付きジャケット20は展開状態にある。
図13は図12の平断面図であり、膨らんだエアバッグ22が、乗員11の全周を覆うことで、乗員11の身体を保護している。加えて、ファスナ71、73を挟む部分94、95でエアバッグの端部同士が密着し、隙間が極小化又は無い形態となる。すなわち、エアバッグ契合部分(ファスナ71,73)に隙間が空くことを防ぐことができる。
【0044】
図14はショルダーベルトの作用説明図であり、バックプロテクタを直接着用した場合に比較して、バックプロテクタ23をジャケット本体21に収納する本発明では、ジャケット本体21の内部をバックプロテクタ23が左右にずれる可能性が高まる。
そこで、本発明では、第2ウエストバンド35、35を非伸縮性とし、この第2ウエストバンド35、35に非伸縮性のショルダーベルト36、36の下端を連結した。
【0045】
バックプロテクタ23の下部点91は第2ウエストバンド35で位置が規定される。バックプロテクタ23の上部点92は左右のショルダーベルト36、36で位置が規定される。乗員11が身体を捻っても、下部点91及び上部点92は身体の中心に保持される。
【0046】
図15は図11の別実施例図であり、図11と共通する要素は符号を流用して、詳細な説明は省略する。
すなわち、エアバック22側に設ける第4契合部材、及び外布82側に設ける第5契合部材は、線状ファスナ93とすることができる。線状ファスナ93の付属布93aの長さが自由に選択できるため、図11に比較すれば明らかなことであるが、第4・第5契合部材の取り付け自由度が高まる。
【0047】
また、外布同士を契合するメインファスナ45は、図示するように面ファスナであってもよい。また、外布同士を契合するメインファスナ45は、ホックでも良い。
さらには、想像線で示す延長部96を、内布83から延長させて、内布83の端部同士が重なるようにしてもよい。
【0048】
尚、本発明に係るエアバッグ付きジャケットは、自動二輪車の乗員に好適であるが、三輪、四輪車の乗員や、高所作業者に着用させることもできるため、用途は格別に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のエアバッグ付きジャケットは、自動二輪車の乗員に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るエアバッグ付きジャケットの使用形態を示す図である。
【図2】バックプロテクタの斜視図である。
【図3】ジャケット本体の背面側展開図である。
【図4】エアバッグの構造説明図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】エアバッグの外観を示す図である。
【図8】エアバッグをジャケット本体に取付ける要領を説明する図である。
【図9】着用時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図
【図10】図9の平断面図である。
【図11】図10の11部拡大図である。
【図12】展開時のエアバッグ付きジャケットの外観を示す図である。
【図13】図12の平断面図である。
【図14】ショルダーベルトの作用説明図である。
【図15】図11の別実施例図である。
【符号の説明】
【0051】
11…乗員、20…エアバッグ付きジャケット、21…ジャケット本体、22…エアバッグ、23…バックプロテクタ、24…インフレータ、25…点火回路、26…ベルト巻取り装置、27…ベルト、28…連結機構、29…連結機構の分割位置、33…第1ウエストベルト、35…第2ウエストベルト、36…ショルダーベルト、58…牽引ライン、59…通し穴、68…U字部、82…外布、83…内布。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内布と外布とからなるジャケット本体と、このジャケット本体に取り外し可能に収納され、インフレータからのガスで展開するエアバッグと、前記ジャケット本体に組みつけられ乗員を保護するバックプロテクタと、からなるエアバッグ付きジャケットであって、
前記バックプロテクタに、前記インフレータ及びこのインフレータを制御する点火回路を収納し、
前記バックプロテクタの下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルトを延ばし、さらに前記バックプロテクタの下部から前記第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルトを延ばしたことを特徴とするエアバッグ付きジャケット。
【請求項2】
前記バックプロテクタの上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルトを延ばし、これらのショルダーベルトの下端を前記第2ウエストベルトに連結することができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ付きジャケット。
【請求項3】
車体側に設けられているベルト巻取り装置から延ばされたベルトの先に、ベルトに加わる引張り力が所定値を超えると分離する連結機構を設け、この連結機構から牽引ラインを延ばし、この牽引ラインの先が前記バックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができるように、前記ジャケット本体の外布に前記牽引ラインを通過させる通し穴を設け、前記エアバッグに前記牽引ラインを通過させるU字部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエアバッグ付きジャケット。
【請求項1】
内布と外布とからなるジャケット本体と、このジャケット本体に取り外し可能に収納され、インフレータからのガスで展開するエアバッグと、前記ジャケット本体に組みつけられ乗員を保護するバックプロテクタと、からなるエアバッグ付きジャケットであって、
前記バックプロテクタに、前記インフレータ及びこのインフレータを制御する点火回路を収納し、
前記バックプロテクタの下部から乗員の腹部に巻き付けるとともに伸縮性を有する第1ウエストベルトを延ばし、さらに前記バックプロテクタの下部から前記第1ウエストベルトに重ねて乗員の腹部に巻き付けるとともに非伸縮性の第2ウエストベルトを延ばしたことを特徴とするエアバッグ付きジャケット。
【請求項2】
前記バックプロテクタの上部から乗員の肩に掛けるショルダーベルトを延ばし、これらのショルダーベルトの下端を前記第2ウエストベルトに連結することができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ付きジャケット。
【請求項3】
車体側に設けられているベルト巻取り装置から延ばされたベルトの先に、ベルトに加わる引張り力が所定値を超えると分離する連結機構を設け、この連結機構から牽引ラインを延ばし、この牽引ラインの先が前記バックプロテクタ又はウエストベルトに連結することができるように、前記ジャケット本体の外布に前記牽引ラインを通過させる通し穴を設け、前記エアバッグに前記牽引ラインを通過させるU字部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエアバッグ付きジャケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−125992(P2010−125992A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302949(P2008−302949)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]