説明

エアフィルタ取付構造

【課題】フィルタのエアフィルタ取付枠への取り付け及び取り外しを簡便に行うことを可能にしたエアフィルタ取付構造を提供する。
【解決手段】エアフィルタ10のろ材11の外周を気密に保持するフィルタ枠12をチャンバー20に設けたエアフィルタ取付枠21に気密性を確保しながら固定するためのエアフィルタ取付構造であって、該フィルタ枠の下端部を受ける受部30と、該受部の上方に位置する固定部40を備え、該受部と該固定部とをボルト51とナット52からなる間隔調整部材50を介して連結するとともに、該受部は上板31と、この上板より長目の下板32と、これらを連結する連結板33とから断面略コ字状に形成され、該上板に該ボルトの側面を支持するための半円形状の切り欠き31aを備え、該下板の先端側で該フィルタ枠の下端部を受けるとともに、該下板の連結板側に該ボルトを挿通する挿通穴30aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタをエアフィルタ装置に固定するためのエアフィルタ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の従来のエアフィルタ装置のエアフィルタ取付構造は、図6に示すように、エアフィルタ60のろ材61の外周を気密に保持するフィルタ枠62をチャンバー70に設けたエアフィルタ取付枠71に気密性を確保しながら固定するために、エアフィルタ60のフィルタ枠62をシール材72を介して、チャンバー70内に設けられたエアフィルタ取付枠71に当接させ、その状態で、エアフィルタ60のフィルタ枠62の下端部に対して、ノブボルト73を締め付けて、エアフィルタ60のフィルタ枠61をエアフィルタ取付枠71に気密性を確保しながら固定するようにしている。尚、ノブボルト73の先端側にはノブボルト受部74が設けられ、前記ノブボルト73はチャンバー70内に設けられた雌ねじを切られた固定金具75によって締め付け自在に支持されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたエアフィルタの取付構造では、ノブボルト73を利用して締め付けているため、ノブボルト73の長さの分だけ厚み方向に必要な空間が生じ、チャンバー70等の筐体が厚くなるという問題があった。
また、該取付構造はノブボルト73を支持する固定金具75がチャンバー70に固定され、かつこの固定金具75が可動式でないため、エアフィルタ60を外す際には、そのままでは該エアフィルタ60を真下に下ろすことが難しいものであった。
また、該取付構造に係るノブボルト73は人の力で締め付けているため、締め付けが十分でなく、シール材72がつぶれずにフィルタ枠62の隙間から汚れた空気が漏れるという問題もあった。
【特許文献1】特開2007−83107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は上記問題点を解決するために、フィルタのフィルタ枠とエアフィルタ取付枠との間の気密性を確保するとともに、フィルタのエアフィルタ取付枠への取り付け及び取り外しを簡便に行うことを可能にしたエアフィルタ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明のエアフィルタ取付構造は、請求項1記載の通り、エアフィルタのろ材の外周を気密に保持するフィルタ枠をチャンバーに設けたエアフィルタ取付枠に気密性を確保しながら固定するためのエアフィルタ取付構造であって、該フィルタ枠の下端部を受ける受部と、該受部の上方に位置する固定部を備え、該受部と該固定部とをボルトとナットからなる間隔調整部材を介して連結するようにするとともに、該受部は上板と、この上板より長目の下板と、これらを連結する連結板とから断面略コ字状に形成され、該上板に該ボルトの側面を支持するための半円形状の切り欠きを備え、該下板の先端側で該フィルタ枠の下端部を受けるようにするとともに、該下板の連結板側に該ボルトを挿通する挿通穴を備えるようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載のエアフィルタ取付構造は、請求項1記載のエアフィルタ取付構造において、前記固定部は、水平板の一端に上方に屹立させた屹立片を備えるとともに、他端側に下方に垂下させた垂下片を備えたクランク状に構成され、該屹立片の先端部を該エアフィルタ取付枠に当接させ、該垂下片を該チャンバーに固定できるようにするとともに、該水平板に該ボルトの挿通穴を備えるようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載のエアフィルタ取付構造は、請求項1記載のエアフィルタ取付構造において、前記受部と前記チャンバー間の空間に、該受部の連結板または該チャンバーに貼着したクッション部材を介在させたことを特徴とする。
また、請求項4記載のエアフィルタ取付構造は、請求項2記載のエアフィルタ取付構造において、前記受部と、前記チャンバーに固定した固定部の垂下片間の空間に、該受部の連結板または該垂下片に貼着したクッション部材を介在させたことを特徴とする。
また、請求項5記載のエアフィルタ取付構造は、請求項1または2記載のエアフィルタ取付構造において、前記ボルトにバネを嵌め込み、このバネの弾発力で該受部を該ナットに押しつけるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、エアフィルタ取付構造の受部がエアフィルタ枠の下端部を受け、該受部の上方に固定部を備え、該受部と該固定部とを間隔調整部材を介して連結する構造であるため、高さ方向に取付構造に伴う空間が生じることなく、チャンバー等の筐体の厚みを薄くすることできる。また、該受部と該固定部とをボルトとナットからなる間隔調整部材を介して連結するようにするとともに、該受部は上板と、この上板より長目の下板と、これらを連結する連結板とから断面略コ字状に形成され、該上板に該ボルトの側面を支持するための半円形状の切り欠きを備え、該下板の先端側で該フィルタ枠の下端部を受けるようにするとともに、該下板の連結板側に該ボルトを挿通する挿通穴を備えるようにして該受部を回動式とした場合、エアフィルタの取り付けが容易で、しかも、エアフィルタを外す際に、該受部を回動させてエアフィルタを真下に下ろすことができる。また、該エアフィルタ取付構造はレンチなどの工具が使用可能なナットによる締め付けが可能となり、フィルタ枠の隙間から汚れた空気がもれることがない程度に十分に締め付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図1乃至図5を参照して本発明のエアフィルタ取付構造及びエアフィルタ取付方法の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るエアフィルタ取付構造の一実施の形態を示すもので、エアフィルタ10のろ材11の外周を気密に保持するフィルタ枠12をチャンバー20に設けたエアフィルタ取付枠21に気密性を確保しながらシール材22を介して固定するために、フィルタ枠12の下端部を受ける受部30と、該受部30の上方に位置する固定部40を備え、該受部30と該固定部40とを間隔調整部材50を介して連結するようにしてある。
【0007】
尚、前記受部30は、前記エアフィルタ10を取付位置に対して水平方向に回転させた際に、該エアフィルタ10の取り付けを妨害しない隅部に配置するようした。図示のものでは、4個の受部30をチャンバー20の四隅に対角線の対象位置に対向配置するようにした。
前記間隔調整部材50はボルト51とナット52からなるもので、前記受部30には、前記ボルト51を挿通するための挿通穴30aが備えられ、該ボルト51を回転軸として回動自在となっている。
【0008】
前記受部30は、詳細には、上板31と、この上板31より長目の下板32と、これらを連結する連結板33とから断面略コ字状に一体に形成され、前記上板31に前記ボルト51の側面を支持するための半円形状の切り欠きを31a備え、前記下板32の先端側で前記フィルタ枠12の下端部を受けるようにするとともに、前記下板32の連結板33側に前記ボルト51を挿通するための前記挿通穴30aを備えるようにした。
【0009】
また、前記固定部40は、水平板41の一端に上方に屹立させた屹立片42を備えるとともに、他端側に下方に垂下させた垂下片43を備えたクランク状に構成され、屹立片42の先端部を前記エアフィルタ取付枠21に当接させ、垂下片43を前記チャンバー20に固定するとともに、前記水平板41に前記ボルト51の挿通穴41aを備えるようにした。
【0010】
本実施の形態では、前記間隔調整部材50のボルト51を前記水平板41に溶接によって固定するとともに、ボルト51の先端を前記固定部40の水平板41のボルト挿通穴41aと、受部30の下板32の挿通穴30aを挿通させて、このボルト51を前記ナット52で締め付け自在としたが、前記ナット52の方を前記水平板41に溶接によって固定するとともに、ボルト51の先端を前記受部30の下板32の挿通穴30aと固定部40の水平板41の挿通穴41aに挿通させて、このボルト51の方を前記ナット52に対して締め付け自在としてもよい。
【0011】
尚、前記受部30と、前チャンバー20に固定された固定部40の垂下片43の間の空間には、該垂下片43に貼着したクッション部材23を介在させ、前記ナット52、或いは、前記ボルト51を締め付ける際に、前記受部30がそれに追随して動かないようにした。前記クッション部材23は、該垂下片43に限らず、該受部30の連結板33に貼着してもよい。
【0012】
図2は、図1の実施の形態の変形例を示すもので、間隔調整部材50のボルト51として長めのものを用い、エアフィルタ取付枠21に直接溶接によって固定するようにしたものである。尚、前記受部30とチャンバー20の間の空間には、該チャンバー20に貼着したクッション部材23を介在させ、前記ナット52、或いは、前記ボルト51を締め付ける際に、前記受部30がそれに追随して動かないようにした。前記クッション部材23は、該チャンバーに限らず、該受部30の連結板33に貼着してもよい。その他の構成は、前記実施の形態のものと特に変わりはないので、同一の構成部材には同一の符号を付してその説明は省略した。
【0013】
図3も、図1の実施の形態の変形例を示すもので、前記クッション材23に代え、前記ボルト51にバネ53を嵌め込み、このバネ53の弾発力で受部30をナット52に押しつけるようにして、ナット52を締め付ける際に、前記受部30がそれに追随して動かないようにした。
【0014】
次に、前記実施の形態におけるエアフィルタ取付構造に関する取付方法について説明する。
図4は図1の実施の形態で示した取付構造についての取付の一例を示すもので、先ず、図4(b)に示すように、エアフィルタ10を取付位置に対して水平方向に回転させて前記受部30の上方へ運び、次いで、図4(c)に示すように、エアフィルタ10を取付位置に戻しながら該受部30に仮置きし、最後に前記間隔調整部材50のナット52の締め付けによる調整によって前記エアフィルタ10のフィルタ枠12をチャンバー20に設けたエアフィルタ取付枠21に気密性を確保しながら固定する。
【0015】
図5は、取付の他の例を示すもので、図5(b)に示すように、受部30を前記エアフィルタ10の取付位置への取付を妨害しない位置に回転させてから該エアフィルタ10を該受部30の上方に運び、次いで、図5(c)に示すように該受部30を取付位置に回動させて、該エアフィルタ10を該受部30に仮置きし、最後に前記間隔調整部材50のナット52の締め付けによる調整によって前記エアフィルタ10のフィルタ枠11をチャンバー20に設けたエアフィルタ取付枠21に気密性を確保しながら固定する。
このように、本発明によれば、エアフィルタのフィルタ枠とエアフィルタ取付枠との間の気密性を確保するとともに、該フィルタの該エアフィルタ取付枠への取り付け及び取り外しを簡便に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明に係るエアフィルタ取付構造の一実施の形態を示す正面図、(b)同A部拡大図
【図2】(a)同変形例を示す正面図、(b)同B部拡大図
【図3】(a)同他の変形例を示す正面図、(b)同C部拡大図
【図4】本発明に係るエアフィルタ取付構造の一実施の形態の取付方法を示す説明図
【図5】同他の実施の形態の取付方法を示す説明図
【図6】従来のエアフィルタ取付構造の正面図
【符号の説明】
【0017】
10 エアフィルタ
11 ろ材
12 フィルタ枠
20 チャンバー
21 エアフィルタ取付枠
22 シール材
23 クッション部材
30 受部
30a挿通穴
31 上板
31a切り欠き
32 下板
33 連結板
40 固定部
41 水平板
41a挿通穴
42 屹立片
43 垂下片
50 間隔調整部材
51 ボルト
52 ナット
53 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタのろ材の外周を気密に保持するフィルタ枠をチャンバーに設けたエアフィルタ取付枠に気密性を確保しながら固定するためのエアフィルタ取付構造であって、該フィルタ枠の下端部を受ける受部と、該受部の上方に位置する固定部を備え、該受部と該固定部とをボルトとナットからなる間隔調整部材を介して連結するようにするとともに、該受部は上板と、この上板より長目の下板と、これらを連結する連結板とから断面略コ字状に形成され、該上板に該ボルトの側面を支持するための半円形状の切り欠きを備え、該下板の先端側で該フィルタ枠の下端部を受けるようにするとともに、該下板の連結板側に該ボルトを挿通する挿通穴を備えるようにしたことを特徴とするエアフィルタ取付構造。
【請求項2】
前記固定部は、水平板の一端に上方に屹立させた屹立片を備えるとともに、他端側に下方に垂下させた垂下片を備えたクランク状に構成され、該屹立片の先端部を該エアフィルタ取付枠に当接させ、該垂下片を該チャンバーに固定できるようにするとともに、該水平板に該ボルトの挿通穴を備えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ取付構造。
【請求項3】
前記受部と前記チャンバー間の空間に、該受部の連結板または該チャンバーに貼着したクッション部材を介在させたことを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ取付構造。
【請求項4】
前記受部と、前記チャンバーに固定された固定部の垂下片間の空間に、該受部の連結板または該垂下片に貼着したクッション部材を介在させたことを特徴とする請求項2記載のエアフィルタ取付構造。
【請求項5】
前記ボルトにバネを嵌め込み、このバネの弾発力で該受部を該ナットに押しつけるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のエアフィルタ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−241021(P2009−241021A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93696(P2008−93696)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】