説明

エアフィルタ装置

【課題】 ケースからのフィルタエレメントの取り外しの際にケースの流出口へゴミが入るのを防止するための構造のコスト低減を図る。
【解決手段】 フィルタエレメント2をケース3の内部に着脱自在に保持し、ケース3の流入口10から流入した気体を濾材21によって濾過した後、ケース3の流出口12から流出させるエアフィルタ装置1において、濾材21として、開口24が形成された袋部25が開口24側から見てロール状に形成され、その袋部25において径方向で隣り合う開口24の縁部28が一体化されて形成された濾材21を採用し、袋部25の内側から外側へ向けて気体を流すようにした。これにより、濾材21に捕捉されたゴミが袋部25の内側に溜まり、フィルタエレメント2の取り外しの際にゴミがケース3の流出口12に入るのを防止でき、従来のエアフィルタ装置に設けられているゴミ対策用のインナーフィルタエレメントが不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を濾過するエアフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車や建機に搭載されるエンジンなどに用いられるエアフィルタ装置では、一般的に、装置の小型化を図りつつ濾過容量を大きくするために、濾材としては、円筒状に形成され周方向に複数の襞が形成された襞付き円筒タイプの濾材が採用されている。この濾材は、フィルタエレメントとしてユニット化されて、フィルタエレメントごと、交換可能とされている。
【0003】
このような従来のエアフィルタ装置を図8及び図9に基づいて説明する。エアフィルタ装置101では、ケース102の内部にフィルタエレメント103が設けられており、ケース102の蓋104を開けることによりフィルタエレメント103を取り出すことが可能となっている。ケース102には、空気が流入する流入口105と、空気が流出する流出口106とが設けられている。流出口106は、エンジンに連通されている。フィルタエレメント103には、襞付き円筒タイプの濾材が設けられている。このエアフィルタ装置101では、流入口105から流入した空気がフィルタエレメント103の濾材107の外周面から内周面に向かって濾材107を通過して、フィルタエレメント103の内部に流れ込む。この際、濾材107によって濾過が行われる。その後、空気は、流出口106からエンジンへ供給される。このように、濾材107の外側から内側へ空気を流すことで、襞の外側をゴミ溜めとして機能させている。
【0004】
この構造では、フィルタエレメント103の濾材107の外周面に、捕捉した塵埃などのゴミが付着している。従って、フィルタエレメント103が交換などのために取り外される際には、濾材107の外周面に付着したゴミが濾材107から剥離して、ケース102の内部に落ちることがある。この飛び散ったゴミがケース102の流出口106からエンジンに入ることを防止するために、ケース102には、フィルタエレメント103の内側に位置させて流出口106に連通させたインナーフィルタエレメント108が設けられており、このインナーフィルタエレメント108が飛び散ったゴミを捕捉する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フィルタエレメント103の取り外しの際にエンジンにゴミが入るのを防止するためにインナーフィルタエレメント108を設けることにより、エアフィルタ装置101の構造が複雑化する、コストが増加する等の問題が発生する。
【0006】
本発明の目的は、ケースからのフィルタエレメントの取り外しの際にケースの流出口へゴミが入るのを防止するための構造のコスト低減を図ることである。
【0007】
本発明の目的は、ケースからのフィルタエレメントの取り外しの際にケースの流出口へゴミが入るのを簡素な構造で防止することができるエアフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明のエアフィルタ装置は、開口が形成された袋部が前記開口側から見てロール状に形成され前記袋部において径方向で隣り合う前記開口の縁部が一体化されて形成された濾材を有するフィルタエレメントと、このフィルタエレメントを内部に着脱自在に保持し、前記袋部の内側に連通され気体が流入する流入口と前記袋部の外側に連通され流入した気体が流出する流出口とを有するケースと、を備える。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエアフィルタ装置において、前記袋部の開口が閉じるのを規制する規制部を備える。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のエアフィルタ装置において、前記規制部は、前記濾材に設けられ前記袋部の内側に突出した突部である。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載のエアフィルタ装置において、前記濾材は、1枚のシート状の基濾材が2つ折りにされて2つの壁を形成した状態でロール状に巻回されることにより、一方の前記壁が前記袋部の外周壁を形成し他方の前記壁が前記袋部の内周壁を形成した構造であり、前記濾材には、前記外周壁と前記記内周壁とのロール半径差による前記内周壁の歪みを吸収した歪吸収構造が設けられている。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のエアフィルタ装置において、前記歪吸収構造は、前記濾材に形成された襞である。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1,2,3,4又は5記載のエアフィルタ装置において、前記フィルタエレメントは、可燃性を有する材質で形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケースからのフィルタエレメントの取り外しの際にケースの流出口へゴミが入るのを防止するための構造のコスト低減を図ることができる。
【0015】
本発明によれば、ケースからのフィルタエレメントの取り外しの際にケースの流出口へゴミが入るのを簡素な構造で防止することができるエアフィルタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。
【0017】
図1は本実施の形態のエアフィルタ装置1を概略的に示す縦断正面図である。図1に示すように、エアフィルタ装置1には、内部に円筒状のフィルタエレメント2を着脱自在に保持するケース3が設けられている。
【0018】
ケース3は、上側が開口24されたケース本体4と、このケース本体4の上側を開閉する蓋5とから構成されている。蓋5の外周の下部には、蓋5をケース本体4に固定する固定手段としての複数のフック6(図では、一つだけを示している)が設けられている。これらのフック6をケース本体4の上部に形成された係止め部7に係止めすることにより、蓋5がケース本体4に固定される。これらのケース本体4と蓋5との間にはパッキン8が挟まれており、これによりケース本体4と蓋5との間の気密性が確保される。ここで、図2に、フック6による係止め部7に対する係止めが解除されて蓋5が開けられ、フィルタエレメント2が取り出される状態のエアフィルタ装置1を示す。なお、蓋5をケース本体4に固定する固定手段としては、フック6による係止めに限るものではなく、例えば、ネジ(図示せず)によるネジ止めであってもよい。
【0019】
蓋5の上壁9には、濾過対象である空気などの気体をケース3の内部に流入させるための流入口10が設けられている。ケース本体4の底壁11には、ケース3の内部から気体を流出させるための流出口12が設けられている。流入口10、流出口12、フィルタエレメント2は同軸上に配置されている。
【0020】
フィルタエレメント2を説明する。図3はフィルタエレメント2を示す平面図である。図2及び図3に示すように、フィルタエレメント2は、ロール状の濾材21と、この濾材21の内周側に設けられた円筒状の芯部材22と、濾材21の外周を覆う円筒状の外筒部材23とによって構成されている。濾材21の内周側の上部は、芯部材22に接着固定され、濾材21の外周側の上部は外筒部材23に接着固定されている。これにより、芯部材22と外筒部材23とは、濾材21を保持する濾材保持部材として機能している。
【0021】
芯部材22の一方の端面(本実施の形態では下面)は、閉止されている。外筒部材23の両端は、開口24されている。これらの芯部材22及び外筒部材23の材質としては、例えば、紙、木、樹脂等の可燃性を有する材質や金属等を挙げることができる。
【0022】
濾材21は、上面側に開口24が形成された袋部25を有しており、開口24側から見てロール状に形成されている。従って、袋部25も開口24側から見てロール状に形成されている(図3参照)。ここで、袋部25における外周側のロール状の壁が外周壁26、内周側のロール状の壁が内周壁27である。また、濾材21では、袋部25においてロールの径方向で隣り合う開口24の縁部28が一体化されて形成されている。従って、濾材21の縦断面は、蛇腹状となっている(図2参照)。袋部25の内周壁27には、上下方向に沿った形状の襞29がロール方向に所定間隔で複数形成されている(図3参照)。これらの襞29は、袋部25の内側に突出した形状に形成されている。この襞29は、後述する歪吸収構造であるとともに、袋部25の開口24が閉じるのを規制する規制部である突部としても機能する。濾材21には、複数の空孔(図示せず)が形成されており、この構造によって、濾材21は空気などの気体を濾過する。この濾材21の材質としては、例えば、紙、布、樹脂等の可燃性を有する材質を挙げることができる。
【0023】
このような濾材21の製造方法を説明する。図4は濾材21の製造工程を説明するための斜視図である。図4に示すように、まず、加工前の濾材21である長尺状の1枚のシート状の基濾材21´を短手方向の中心で2つ折りにして2重構造の壁26´,27´を形成する。これらの壁26´,27´の一方の壁26´が外周壁26となり、他方の壁27´が内周壁27となるものである。以後の説明においては、これらの壁26´,27´も外周壁26、内周壁27と呼ぶ。次に、内周壁27に、外周壁26に向かって突出するように襞29を所定の間隔で複数作製する。このとき、襞29の内側の両面を接着剤により貼り合せる。そして、長手方向の一端部側の外周壁26と内周壁27とを互いに接着剤により接着する。そして、この一端部側を芯部材22に接着剤で接着しながら巻き付けて、基濾材21´をロール状に巻く。このとき、基濾材21´の外周壁26の外周側の面の上部26aに接着剤を塗布しながら巻く。これにより、外周壁26の外周側の面の上部26aとその外周に巻かれる内周壁27の内周側の面の上部が接着される。そして、基濾材21´の長手方向の他端部側(巻き終了側)の外周壁26と内周壁27とを互いに接着剤により接着する。これにより、開口24を有したロール状の袋部25が形成されるとともに、袋部25において径方向で隣り合う開口24の縁部28が一体化されて形成される。
【0024】
ここで、襞29を形成する意味を説明する。仮に襞29を作製しないで2つ折りの基濾材21´をロール状に巻く場合には、ロールの外周側となる外周壁26と内周側となる内周壁27とのロール半径差により、内周壁27に歪みが生じてしまう。詳しくは、ロールにおいては外側よりも内側の方がロール長さが短くなるが、内周壁27と外周壁26とが一体となっていることから、内周側に位置する内周壁27の長さが余ってしまい、歪みとして現れる。濾材21の厚みが厚いほど、この歪みが大きくなり、濾材21を巻くことが困難となってしまう。そこで、襞29を作製して内周壁27の余った長さを吸収することで歪みを吸収している。
【0025】
次に、このようなフィルタエレメント2の取り付け構造を説明する。図1及び図2に示すように、ケース本体4の内部の下部には、フィルタエレメント2の下端を支持する支持板31が設けられている。この支持板31は、ケース本体4の内径よりも小径の円盤状に形成されるとともに、複数の空孔を有するメッシュ状に形成されている。支持板31は、ケース本体4でのフィルタエレメント2の着脱方向である上下方向にスライド自在に設けられ、支持板31の下方においてケース本体4に設けられたコイルバネ32により支持されている。一方、蓋5の内側には、フィルタエレメント2の外筒部材23の上部が嵌合する段差形状を有する円環状の嵌合部33が設けられている。この嵌合部33は、ウレタンやゴムなどの弾性を有する材料により形成され、パッキンとしても機能する。
【0026】
この構造では、蓋5の嵌合部33にフィルタエレメント2の外筒部材23の上部を嵌合させた状態で、ケース本体4の中にフィルタエレメント2を収納し、蓋5を閉めて、フック6により蓋5をケース本体4に固定することにより、フィルタエレメント2が支持板31に当接して支持板31を下方に押す。このとき、コイルバネ32が縮んで圧縮バネとして機能し、支持板31を上方に向かって付勢する。これにより、図1に示すように、フィルタエレメント2は、嵌合部33と支持板31により挟持されてケース3の内部に保持される。このように、ケース3の内部にフィルタエレメント2が保持された状態においては、蓋5の流入口10とフィルタエレメント2の袋部25の開口24とを連通する流路34と、濾材21の袋部25の外側とケース本体4の流出口12とを連通する流路35とがケース3の内部に形成される。
【0027】
フィルタエレメント2をケース3から取り出す場合には、蓋5をケース本体4から取り外した後、蓋5からフィルタエレメント2を取り外せばよい。
【0028】
このような構成において、流入口10からケース3の内部に流入した濾過対象の空気などの気体の流れを図1中に矢印で示す。流入口10からケース3の内部に流入した気体は、流路34に沿って流れ、フィルタエレメント2の袋部25の開口24から袋部25の内側に流入する。袋部25の内側に流入した気体は、濾材21を通過して濾材21の外部(袋部25の外側)に流出し、その後、流路35に沿って流れて、ケース3の流出口12へ至り、エアフィルタ装置1の外部へ流出する。このとき、気体中に含まれている塵や埃などのゴミが気体とともに移動する過程で濾材21により捕捉されて気体中から除去される。
【0029】
このとき、気体がフィルタエレメント2の袋部25の内部から外部へ流れて濾材21を通過することから、袋部25の内側がゴミ溜めとして機能し、濾材21が捕捉したゴミは袋部25の内側に溜まるようになる。よって、フィルタエレメント2を交換や洗浄などのためにケース3から取り外す際に、振動などにより濾材21が捕捉したゴミが濾材21から剥離しても袋部25の内部に留まるので、濾材21が捕捉したゴミがフィルタエレメント2の外部に落ちることが防止される。よって、濾材21に捕捉されたゴミがケース3の内部に落ちることが防止され、流出口12へゴミが入るのが防止される。従って、本実施の形態のエアフィルタ装置1では、従来のエアフィルタ装置101においてフィルタエレメント103の取り外しの際に流出口106へゴミが入るのを防止するために設けられているインナーフィルタエレメント108を設ける必要がなく、従来に比べ、フィルタエレメント2の取り外しの際に流出口12へゴミが入るのを防止する構造のコスト低減を図ることができる。また、従来に比べて簡素な構造で、フィルタエレメント2の取り外しの際に流出口12へゴミが入るのを防止することができる。また、エアフィルタ装置1の軽量化が実現される。
【0030】
また、上記のような濾過の過程においては、気体の流れによって、袋部25の外周壁26と内周壁27とを密着させて開口24を閉じるような力が濾材21に加えられることがあるが、本実施の形態では、袋部25の開口24が閉じられるのを規制する規制部である突部として機能する襞29が濾材21に設けられていることにより、袋部25が閉じるのが規制されているので、袋部25が閉じることによる濾材21の濾過容量が減少することが防止される。ここで、濾材21として、開口が形成された袋部が開口側から見てロール状に形成され袋部において径方向で隣り合う開口の縁部が一体化されて形成された濾材としては、液体燃料用のものが知られているが、液体においては、袋部が閉じられても液体が濾材にしみ込むので上記のような問題は生じないので上記のような対策はとられていない。即ち、上記のような規制部が有効となるのは、本発明が濾過対象を気体としているためである。
【0031】
また、本実施の形態においては、規制部が、濾材21に設けられ袋部25の内側に突出した突部である襞29であることにより、規制部を容易に実現することができる。
【0032】
また、本実施の形態においては、濾材21は、1枚のシート状の濾材21が2つ折りにされて2つの壁26´,27´を形成した状態でロール状に巻回されることにより一方の壁26´が袋部25の外周壁26を形成し他方の壁27´が袋部25の内周壁27を形成した構造であり、濾材21には、袋部25の外周壁26と内周壁27とのロール半径差による内周壁27の歪みを吸収した歪吸収構造である襞29が設けられていることにより、歪みのない、形の整った濾材21となる。
【0033】
また、本実施の形態においては、歪吸収構造は、濾材21に形成された襞29であることにより、歪吸収構造を容易に実現することができる。このとき、襞29を袋部25の内部に突出して形成することにより、襞29を規制部として機能させることができ、即ち、一つの構造によって歪吸収構造と規制部の機能を持たせることとなるので、それらの機能を別々の構造によって実現させる場合に比べて、濾材21の構成を簡素化させることができる。
【0034】
また、本実施の形態においては、フィルタエレメント2の材質として可燃性を有する材質を用いた場合には、フィルタエレメント2を焼却処分することができる。
【0035】
また、本実施の形態においては、フィルタエレメント2を支持する支持板31が、フィルタエレメント2の着脱方向である上下方向にスライド自在に設けられ、支持板31の下方においてケース本体4に設けられたコイルバネ32により支持されていることにより、フィルタエレメント2の軸方向の製造誤差を吸収してフィルタエレメント2をケース3の内部に収納することができる。
【0036】
また、ロール状の濾材21は、その製造工程において巻き取りピッチを調整する等により、濾過性能を維持したまま小型化できるので、この濾材21を用いたフィルタエレメント2及びエアフィルタ装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、規制部としての突部を襞29により実現させた例を説明したがこれに限られるものではない。規制部としての突部は、例えば、樹脂製のホットメルトを濾材21において袋部25の内側に接着することにより設けることができる。さらには、規制部としては、袋部25に、ネットや不織布を挿んでもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、歪吸収構造として襞29を設けた例を説明したがこれに限るものではない。例えば、歪吸収構造としては、濾材を製造する際に、内周壁27に上下方向に切り込みを入れて、切り込みの両側を重ね合わせて接着する構造を採用し、この構造を所定の間隔をおいて複数形成し、これにより、内周壁27の長さの余り分を吸収して歪みを吸収させてもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、フィルタエレメント2の下端側に対する支持構造として、支持板31及びコイルバネ32を採用した例を説明したが、これに限るものではない。ここで、フィルタエレメント2の下端側に対する支持構造の別例を説明する。図5に示すように、この別例では、フィルタエレメント2の下端側をクッション材41を介して支持台42によって支持している。クッション材41は、弾性材によって円環状に形成されており、その内側を気体が流れるようになっている。また、支持台42は、五徳状に形成されており、その内側を気体が流れるようになっている。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6及び図7に基づいて説明する。前述した第1の実施の形態と同じ部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0041】
図6は、本実施の形態のフィルタエレメント50を示す平面図である。本実施の形態は、歪吸収構造及び規制部としての突部として機能する濾材51の襞59が第1の実施の形態に対して異なる。本実施の形態の襞59は、襞59同士が連続的に形成されており、襞59の間隔は、第1の実施の形態の襞29の間隔よりも小さい。また、襞59の上部における内側には、接着剤60が充填されている。この接着剤60により、気体が襞59の内側を通過することが防止されている。
【0042】
このような濾材51の製造方法を図7に基づいて説明する。図7は、濾材51の製造工程を説明するための斜視図である。本実施の形態では、襞59に関する部分以外は、第1の実施の形態と同じであるので、その部分については説明を省略する。本実施の形態では、シート状の基濾材21´を短手方向の中心で2つ折りにして外周壁26,内周壁27を形成する前に、内周壁27とする部分を一対の噛み合いギヤ(図示せず)間に通して、襞59を作製する。そして、基濾材21´を2つ折りにして外周壁26,内周壁27を形成し、基濾材21´の外周壁26の外周側の面の上部26aに接着剤60を塗布しながら巻くときに、襞59の上部の内側の空間を接着剤60で埋める。
【0043】
このような構成においては、基濾材21´を一対の噛み合いギヤに通すことで、襞59を作製することができるので、襞59を簡単に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエアフィルタ装置を概略的に示す縦断正面図である。
【図2】蓋が開けられケースからフィルタエレメントが取り出される状態のエアフィルタ装置を示す縦断正面図である。
【図3】フィルタエレメントを示す平面図である。
【図4】濾材の製造工程を説明するための斜視図である。
【図5】フィルタエレメントの支持構造の別例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のフィルタエレメントを示す平面図である。
【図7】濾材の製造工程を説明するための斜視図である。
【図8】従来のエアフィルタ装置を概略的に示す縦断正面図である。
【図9】蓋が開けられケースからフィルタエレメントが取り出される状態のエアフィルタ装置を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 エアフィルタ装置
2 フィルタエレメント
3 ケース
10 流入口
12 流出口
21 濾材
21´ 基濾材
24 開口
25 袋部
26 外周壁
26´ 壁
27 内周壁
27´ 壁
28 縁部
29 規制部、突部、歪吸収構造、襞
50 フィルタエレメント
51 濾材
59 規制部、突部、歪吸収構造、襞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された袋部が前記開口側から見てロール状に形成され前記袋部において径方向で隣り合う前記開口の縁部が一体化されて形成された濾材を有するフィルタエレメントと、
このフィルタエレメントを内部に着脱自在に保持し、前記袋部の内側に連通され気体が流入する流入口と前記袋部の外側に連通され流入した気体が流出する流出口とを有するケースと、
を備えるエアフィルタ装置。
【請求項2】
前記袋部の開口が閉じるのを規制する規制部を備える請求項1記載のエアフィルタ装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記濾材に設けられ前記袋部の内側に突出した突部である請求項2記載のエアフィルタ装置。
【請求項4】
前記濾材は、1枚のシート状の基濾材が2つ折りにされて2つの壁を形成した状態でロール状に巻回されることにより、一方の前記壁が前記袋部の外周壁を形成し他方の前記壁が前記袋部の内周壁を形成した構造であり、
前記濾材には、前記外周壁と前記記内周壁とのロール半径差による前記内周壁の歪みを吸収した歪吸収構造が設けられている請求項1,2又は3記載のエアフィルタ装置。
【請求項5】
前記歪吸収構造は、前記濾材に形成された襞である請求項4記載のエアフィルタ装置。
【請求項6】
前記フィルタエレメントは、可燃性を有する材質で形成されている請求項1,2,3,4又は5記載のエアフィルタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−142200(P2006−142200A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335490(P2004−335490)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(390041221)日本濾過器株式会社 (11)
【Fターム(参考)】