説明

エアマッサージ装置

【課題】複数の空気袋を用いた、使用効果が向上したエアマッサージ装置の提供をする。
【解決手段】圧迫部は複数の空気袋4a、4bを内蔵しており、本体は、圧縮装置1と、タンク3、タンク3から各空気袋に圧縮空気を送る開閉弁5a、5b、各空気袋からの空気を圧縮装置の吸気側を用いてタンクに戻す開閉弁6a、6b、各部を接続する複数の空気管を備えている。これによって、各空気袋の排気側を圧縮装置の吸入側に空気管で接続することで、身体への圧迫と開放、特に圧力の開放が素早くできるようになる事と、1組の圧迫開放ができる機構で2つ以上の空気袋への給排気が可能になる。その結果、身体へのマッサージ効果が上がり、小型で軽量なマッサージ装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主に、身体に対し圧迫と開放を与える、エアマッサージ装置についてである。
【背景技術】
【0002】
従来のエアマッサージ装置は、圧迫部にポンプで空気を送ることにより圧迫し、空気を外部へ排気することで圧迫を開放していた。これを繰り返すことにより、マッサージの効果を身体に与えていた。
【0003】
このようなエアマッサージ装置は、身体に巻きつける空気袋を備えており、空気袋にはマッサージ器本体の吸気用、排気用のチューブが接続されている。吸気は加圧ポンプを用い、排気には排気弁が備わっており、排気弁を閉じて加圧装置により加圧を行い、排気弁を開くことで空気袋内の空気を外部へ排気するようになっている。(特許文献1参照)
【0004】
小型化のために、本体部分と圧迫部を一体にした携帯型エアマッサージ装置があり、携帯性には優れているが、飛行機の座席など、足元のスペースが限られた場所では装着した状態で、本体の操作が出来ない可能性もある。(特許文献2参照)
【0005】
携帯型で電池式のエアマッサージ装置は簡易的なものであり、身体に巻きつけた帯状の空気袋で圧迫しているだけなので、十分なマッサージ効果を得ることができなかった。
【0006】
タンクを設けることにより、圧迫袋の応答性を改善したものがあるが、圧迫には効果があるが、開放時には従来と同様に、空気を自然に抜く方法だったので、十分なマッサージ効果を得ることができなかった。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−237344号公報
【特許文献2】特開2008−161418号公報
【特許文献3】特開2004−89283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明により、従来の方式では十分に与えることが難しかったマッサージ効果を、本体内部の構造と圧迫部の改良により、十分な効果を得られるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
圧迫部に複数の空気袋を設け、それを交互に膨らませることによりマッサージしたときの効果を向上させる。
【0010】
圧迫部に空気を送る圧縮装置は、圧迫部から戻ってきた空気を、タンクに送るため、圧縮装置の吸気側は圧迫部からの空気を吸入できるものにする。
【0011】
常に圧縮装置を高速で動作させるのではなく、初めに必要な圧縮空気を急速にタンクに貯める。その後は、圧迫部の空気を必要な量のみ循環させるので、圧縮装置は低速での動作が可能になり、省電力に優れている。
【0012】
マッサージ器本体と圧迫部は、普段は一体のコンパクトな状態で使う。しかし、足元のスペースが限られた飛行機の座席などでは、本体と圧迫部を分離してチューブなどで繋げて使えるようにし、本体の操作が楽に行えるようにする。
【発明の効果】
【0013】
この方法を用いれば、携帯型の小型マッサージ装置でも、1つの空気袋を膨らませる構造で、2つ以上の空気袋を制御できるので、マッサージ装置本体を大きくすることなく空気袋を複数取り付けることが可能となる。
【0014】
圧迫部の空気袋を複数設け、順番に膨らませることにより手で揉んでいるような感覚を与えることが可能になり、使用者に十分なマッサージ効果を与えられる。
【0015】
本体部分と圧迫部が一体でも、分離していても使えるようにすれば、足元に十分なスペースがない場所でも、容易に本体の操作が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の動作原理を大まかに表した図である。
【図2】図1の圧縮装置をピストンに置き換えたときの図である。(図中2箇所の矢印は空気の流れる方向を示すものである。)
【図3】圧迫部を広げた時の略図である。
【図4】本体部分17と圧迫部18を分割して使用したときの図である。
【図5】本体部分17と圧迫部18を一体の状態で使用したときの図である。
【図6】この発明の動作の流れをフローチャートで表したものである。
【図7】図6のSAの外気をタンク3に取り込む過程を図に表したものである。(図中×は、弁が閉じていることを表すものである。)
【図8】図6のSBの、タンク3の空気を空気袋4aに入れる過程を図に表したものである。(図中×は、弁が閉じていることを表すものである。)
【図9】図6のSCの、空気袋4aの空気をタンク3に戻す過程を図に表したものである。(図中×は、弁が閉じていることを表すものである。)
【図10】図6のSDの、タンク3の空気を空気袋4bに入れる過程を図に表したものである。(図中×は、弁が閉じていることを表すものである。)
【図11】図6のSEの、空気袋4bの空気をタンク3に戻す過程を図に表したものである。(図中×は、弁が閉じていることを表すものである。)
【発明を実施するための形態】
【0017】
一例として、この機構を用いた携帯型エアマッサージ装置を基に説明する。主としてエコノミークラス症候群の防止を目的としたもので、ふくらはぎに巻き付けて使用する。
【実施例1】
【0018】
この発明の動作原理を大まかに表した図1と、圧縮装置にピストンを利用した図2を基に説明する。ピストン13aを動作させ、吸気口2からタンク3に必要な量の圧縮空気を貯める。(図6SA、図7)次に、吸気口2を閉じ、弁5aを開き圧迫部4aに空気を送り身体を圧迫する。(図6SB、図8)そして、必要な圧迫が得られた後に弁5aを閉じ、弁6aを開きピストン13aを動作させ、タンク3に空気を戻す。(図6SC、図9)弁5bを開き圧迫部4bに空気を送り身体を圧迫する。(図6SD、図10)そして、必要な圧迫が得られた後に弁5bを閉じ、弁6bを開きピストン13aを動作させ、タンク3に空気を戻す。(図6SE、図11)その後は、図6のSB〜SE(図8〜11)を繰り返す。弁2はソレノイド弁などを用いて開閉させ、弁5a、5b、6a、6bはニードル弁などの流量を調節できるものを決められたマッサージパターンに従って電気的に開閉させる。
【0019】
ピストン13aには空気が通る穴13bがある。また、ピストン13aに開いた穴13bと、各空気袋4a、4bから戻ってくる管、及びタンク3への管にそれぞれ逆流防止弁7、9がついており、空気は常に各空気袋からタンク3へと流れ、逆方向には流れないようにしてある。
【0020】
圧縮装置に用いたピストンの往復動作には、ピストンロッド10aに取り付けられた、溝つきのガイド10bが取り付けてある。モータ11は主軸方向から見た図となっており、主軸にはリンク10cがついている。リンク10cの先端部分は、ガイド10bの溝にはまり込んでおり、溝部分を移動できるようになっているので、モータ11を回転させると、ピストンが動作する。ピストンロッド10a部から空気が漏れないように、Oリング12などを取り付ける。ピストンの代わりに、圧縮ポンプを取り付けてもよい。
【0021】
図3は圧迫部を広げた時の略図である。空気袋15は、外側が布などの袋14でできており、その一端に面ファスナー16を取り付け、ふくらはぎに巻きつけ固定する。袋14の中には、一例として2つの空気袋15が並べて入っており、それらを交互又は同時など、任意のタイミングで膨らませることにより、さまざまなマッサージ効果を使用者に与える。空気袋15の並べ方は、手で揉んでもらっているような感覚を与えるために、ふくらはぎの内側と外側の部分に縦に並べたものと、血液を効率よく押し上げるために、横に並べたものの2通り挙げた。また、空気袋15を2つのみではなく、もっと多く取り付けることも可能であり、膝下から足首の上までなど広範囲のマッサージも可能である。また、空気袋を個別に分け、離れた複数個所、例えば右足と左足に圧迫部を取り付けることで、両足同時にマッサージすることも可能である。空気袋15の身体に密着する側に、外側になる部分よりも軟らかい材質を用いることによって、マッサージ効果をさらに高めてもよい。
【0022】
マッサージをするときの、基本動作は、片方の空気袋に入れた空気をもう片方の空気袋に移動させることにより、圧迫と開放をくりかえす。しかし、タンク3に貯めることのできる空気の最大量を増やすことにより、交互以外にも両方同時に膨張収縮させることも可能であり、さまざまなマッサージパターンを使用者に与えることが可能になる。
【0023】
本体17と圧迫部18を図4のように分離して使用する場合は、本体17と圧迫部18の接続にチューブ20を用いる。図5のように一体で使用する場合は、チューブ20を取り外し本体17と圧迫部18を直接接続できるようにする。本体17の内部にチューブ20の収納場所を設けておいてもよい。使用後はチューブ20を取り外して本体17に収納し図5のように一体の状態にした後、本体17に圧迫部18を巻きつけ、面ファスナー19で固定する。
【0024】
外出先で入手の困難な専用電池などを使用せず、使用者が簡単に交換できる乾電池(単三型乾電池など)での動作ができるようにしておく。ACアダプタや自動車のシガーライターソケットからの電源も利用できるようにしてもよい。
以上、実施例に基づいて説明したが、上述の実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 圧縮装置
2 外気を取り入れる弁
3 空気を溜め込むタンク
4a 空気袋
4b 空気袋
5a タンク3から空気袋4aへ空気を送る弁
5b タンク3から空気袋4bへ空気を送る弁
6a 空気袋4aからの空気をタンク3へ戻す弁
6b 空気袋4bからの空気をタンク3へ戻す弁
7 逆流防止弁
8 シリンダ
9 逆流防止弁
10a ピストンロッド
10b ガイド
10c リンク
11 モータ(軸方向から見た図)
12 Oリング
13a ピストン
13b 空気穴(13aに穴が開いている)
14 外装の布
15 空気袋
16 固定用の面ファスナー
17 本体部分
18 圧迫部分
19 本体部分取り付け用の面ファスナー
20 本体部分と圧迫部分を接続するホース
17 本体部分
18 圧迫部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を溜め込むタンク、空気を圧縮して前記タンクに送り込む圧縮装置、前記タンクに溜め込まれた空気が交互に送り込まれる複数の空気袋、前記複数の空気袋に対する空気の送り込みと抜き取りを制御するための開閉手段を備えており、前期圧縮装置及び前記タンクを利用して、いずれかの空気袋の空気を抜き取って、ほかの空気袋に送り込むことにより、空気袋間で空気を移動させ、空気袋による圧迫と開放を繰り返し行うことを特徴とするエアマッサージ装置。
【請求項2】
圧迫時の加圧と減圧は、タンクから圧迫部に送り込む空気の量と、空気を循環させる量で調節し、任意の圧力に調節が可能であることを特徴とする請求項1記載のエアマッサージ装置。
【請求項3】
空気袋を交互、又は順番に膨らますタイミングにより、手で揉んでもらっているような感覚を使用者に与えることを特徴とする請求項1、2記載のエアマッサージ装置。
【請求項4】
圧力の開放に、圧縮装置の吸い込み側を利用し減圧の速度を任意に設定することを特徴とする請求項1〜3記載のエアマッサージ装置。
【請求項5】
タンク内の空気は最初に吸入した空気と、空気袋から戻ってきたときの空気で、常に加圧された状態にしておき、圧迫部に必要な空気をいつでも送れるような機構を有することを特徴とする請求項1〜4記載のエアマッサージ装置。
【請求項6】
空気袋の外側には、身体に触れる側よりも硬い材質を用いることにより、マッサージ効果の向上を特徴とする請求項1〜5記載のエアマッサージ装置。
【請求項7】
エアマッサージ装置の本体部分と圧迫部は一体で使用できることを特徴とした請求項1〜5記載のエアマッサージ装置。
【請求項8】
エアマッサージ装置の本体部分と圧迫部は分割しても使用できることを特徴とした請求項1〜5、7記載のエアマッサージ装置。
【請求項9】
1つのマッサージ装置に対して、複数の圧迫部を設けることができる、身体の離れた複数の箇所に装着できる空気袋を有することを特徴とした請求項1〜6記載のエアマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−24938(P2011−24938A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176305(P2009−176305)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(505129172)BBJハイテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】