説明

エアー袋装置

【課題】材料のコストが低減され、血液の循環効果を高めることができるエアー袋装置を提供する
【解決手段】エアー袋装置100であって、少なくとも第1の膜材と、第2の膜材と、前記第1の膜材と前記第2の膜材の間に形成され、充気可能な気密領域102を区切る少なくとも一本の閉鎖接合線104cと、前記閉鎖接合線104aに接続され、前記気密領域内102に位置される二本の開放接合線104b、104dとを備え、前記二本の開放接合線104b、104dの内、少なくとも一本の開放接合線の両端に孔106を有するエアー袋装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアー袋装置に関するものであり、特に人体をマッサージするエアー袋装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病人は長時間寝たきりなため、四肢の血液の循環速度が遅くなり、この血液の循環速度が遅い状況は、特に手術後の病人によく見られる。このような血液の循環速度の停滞は、腿部に血栓を形成する主因であり、更に腿部の組織を壊死させ、死亡に至る恐れもある。また、仕事時の体勢不良によって四肢の浮腫や血液循環不良、静脈塞栓症が現代社会で多発しているので、四肢の血液循環を改善することによって、体全体の血液循環を改善する手段が必要とされている。
【0003】
血液の循環を改善し、血栓の形成を減少させるために、エアーの圧力で人間の四肢をマッサージする装置が用いられる。このようなマッサージ装置は、人間の四肢や胴体を包み、それぞれエアーパイプでエアーの供給源に接続される多数の充気可能なエアー室(気密領域)に区切られるエアー袋装置を有する。充気可能なエアー室(気密領域)を充気することによって人体の四肢をマッサージし、これによって、血液の循環を改善し、血栓の形成を減少させることを図る。通常、多数の充気可能なエアー室(気密領域)を有するエアー袋装置で人体の四肢をマッサージする場合は、心臓から最も離れた部位(例えば、踝)にある充気可能なエアー室(気密領域)を充気してマッサージし、マッサージする部位がだんだん心臓に近づくように、連続的に各充気可能なエアー室(気密領域)を充気する。全ての充気可能なエアー室(気密領域)が充気された後、しばらくこの状態を維持してから放気する。前記マッサージを繰り返して、血液を良く循環させる。しかし、従来のエアー袋装置は、一つの充気可能なエアー室(気密領域)に一本のエアーパイプでエアーの供給源に接続する必要があるため、エアーパイプの材料にコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、材料のコストが低減され、人間の血液の循環効果を高めることができるエアー袋装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明は、エアー袋装置であって、少なくとも第1の膜材と、第2の膜材と、前記第1の膜材と前記第2の膜材の間に形成され、充気可能な気密領域を区切る少なくとも一本の閉鎖接合線と、前記気密領域内に位置される二本の開放接合線とを備え、前記二本の開放接合線の内、少なくとも一本の開放接合線の両端に孔を有するエアー袋装置を提供する。
【0006】
この場合、前記二本の開放接合線は、概ね前記気密領域の長方向に平行する仮想ラインに沿って配置され、前記気密領域を二等分してよい。
【0007】
また、前記二本の開放接合線の内、少なくとも一本は両端を有し、前記両端は、一端が前記閉鎖接合線に接続され、他端に第2の孔を有してよい。
【0008】
また、前記二本の開放接合線は、互いに離れ、かつ前記閉鎖接合線に離れてもよい。
【0009】
また、エアー袋装置は、更に前記気密領域とエアーの供給源を接続するエアーパイプを有する。
【0010】
また、前記気密領域が人体の周りに固定されるように、エアー袋装置は、相対の両辺に面ファスナーのような接続部材が設けられてよい。
【0011】
また、前記課題を達成するために、本発明は、エアー袋装置であって、少なくとも第1の膜材と、第2の膜材と、前記第1の膜材と前記第2の膜材の間に形成され、充気可能な気密領域を区切る少なくとも一本の閉鎖接合線と、両端に孔を有する第1の開放接合線と、概ね仮想ラインに沿って配置され、それぞれ相対の両端を有し、一端が前記閉鎖接合線に接続され、他端に第2の孔が設けられる二本の第2の開放接合線と、相対の両端を有し、一端が前記閉鎖接合線に接続され、他端に第3の孔が設けられる第3の開放接合線と、を備え、前記第1、第2、第3の開放接合線が全て前記気密領域の長方向に平行し、前記気密領域内に位置されるエアー袋装置を提供する。
【0012】
この場合、前記二つの第2の孔は、互いに離れ、かつ前記気密領域の中心部分に位置してよい。
【0013】
また、前記第1、第2、第3の開放接合線は全て互いに離れ、前記気密領域を四等分してよい。
【0014】
また、前記仮想ラインは前記第1の開放接合線と第3の開放接合線の間に位置し、概ね前記気密領域を二等分してよい。
【0015】
また、エアー袋装置は、更に前記気密領域とエアーの供給源を接続するエアーパイプを有する。
【0016】
また、前記気密領域が人体の周りに固定されるように、エアー袋装置は、相対の両辺に面ファスナーのような接続部材が設けられてよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、材料のコストが低減され、人間の血液の循環効果を高めることができるエアー袋装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明に係るエアー袋装置の一実施形態を示す図。
【図1B】図1Aに示すエアー袋装置の裏を示す図。
【図2】図1Aに示すエアー袋装置の2−2’に沿った断面図。
【図3】図1Aに示すエアー袋装置の3−3’に沿った断面図。
【図4A】本発明に係るエアー袋装置の他の実施形態を示す図。
【図4B】図4Aに示すエアー袋装置の裏を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1Aと図1Bは、本発明に係るエアー袋装置の一実施形態の表と裏を示す図である。エアー袋装置100は、人体の四肢を包んでマッサージを繰り返して、四肢の血液の循環を改善する。エアー袋装置100は、閉鎖接合線104aと104cによって三つの充気可能なエアー室(気密領域)102a、102b、102cに区切られ、それぞれのエアー室はエアーパイプ108a、108b、108cによってエアーの供給源(図示せず)に接続される。本実施形態において、充気可能なエアー室(気密領域)102a、102b、102cは、それぞれ概ね仮想ライン107に沿って配置される二本の開放接合線104bを有し、開放接合線104bによって、それぞれのエアー室(気密領域)が等分部102a、102aになるように二等分される。開放接合線104bは、両端に孔106が設けられる。二本の開放接合線104bは、互いに離れ、かつ閉鎖接合線104aにも離れる。また、全ての孔106も閉鎖接合線104aから離れる。孔106は、四肢の皮膚が換気できるように、通気口として機能する。また、仮想ライン107は、充気可能なエアー室(気密領域)102a、102b、102cの長方向に平行する。また、充気可能なエアー室(気密領域)が人体の周りに固定されるように、エアー袋装置100は、相対の両辺に面ファスナーのような接続部材110a、110bが設けられている。
【0020】
図2は図1Aに示すエアー袋装置の2−2’に沿った断面図である。高周波工程などの接合工程によって接合線104a、接合線104b、接合線104c、接合線104dに沿って二枚の膜材105a、105bを互いに張り合わせて複数の充気可能なエアー室(気密領域)が区切られる。膜材105a、105bは、材料として、例えばPVCやPUなどの弾性のある高分子材料であってよく、厚さとして、5〜10ミル(0.125mm〜0.25mm)であってよい。また、図に示していないが、膜材105a、105bの外に肌触りの良い材料を覆い、または肌触りの良い材料を膜材105a、105bとして用いる場合、エアー袋装置を使用する時の快適さを高めることができる。充気可能なエアー室(気密領域)に流体(例えば、エアー)を流して、連続的に人体の四肢をマッサージすることができる。
【0021】
図3は図1Aに示すエアー袋装置の3−3’に沿った断面図である。孔106は接合線104bの両端に設けられおり、二枚の膜材105a、105bを貫通しているが、充気可能なエアー室(気密領域)内のエアーは孔106から漏れることはない。
【0022】
充気可能なエアー室(気密領域)102a、102b、102cが充気されるとき、一つの充気可能なエアー室(気密領域)内に開放接合線(例えば開放接合線104b)を有するため、二つの充気可能なエアー室(気密領域)が同時に充気されるのに近似する効果が得られる。多くの充気可能なエアー室(気密領域)が同時にまたは連続的に充気されれば、人間の血液の循環効果をより高めることができる。前記構造により、一本のエアーパイプで一つの充気可能なエアー室(気密領域)を充気するだけで、前記二つの充気可能なエアー室(気密領域)が同時に充気されるのに近似する効果が得られるので、二本のエアーパイプを必要としないため、エアーパイプにかかるコストが節約される。また、充気可能なエアー室(気密領域)が充気されているとき、開放接合線によって膜材105a、105bの間の厚みを所定の範囲内に抑制することができる。
【0023】
図4Aと図4Bは、本発明に係るエアー袋装置の他の実施形態の表と裏を示す図である。エアー袋装置200は、人体の四肢を包んでマッサージを繰り返して、四肢の血液の循環を改善する。エアー袋装置200は、閉鎖接合線204aによって三つの充気可能なエアー室(気密領域)202a、202b、202cに区切られ、それぞれのエアー室はエアーパイプ208a、208b、208cによってエアーの供給源(図示せず)に接続される。本実施形態において、充気可能なエアー室(気密領域)202aで人間の大腿を包み、充気可能なエアー室(気密領域)202b、202cで人間の小腿を包んで用いることができる。人間の膝部分を露出するために孔212が設けられる。
【0024】
本実施形態において、充気可能なエアー室(気密領域)202a、202b、202cは、閉鎖接合線204a内に設けられ、充気可能なエアー室(気密領域)202a、202b、202cの長方向に平行する開放接合線204bと、二本の開放接合線204cと、開放接合線204d計四本の開放接合線を有する。二本の開放接合線204cは、開放接合線204bと開放接合線204dの間に位置し、概ね仮想ライン207に沿って配置され、それぞれの一端が閉鎖接合線204aに接続され、他端が互いに接しないように離れ、概ね充気可能なエアー室(気密領域)の中央部分に位置し、端部に孔206aが設けられる。開放接合線204cによって、充気可能なエアー室(気密領域)が二等分される。開放接合線204bは、両端にそれぞれ孔206bが設けられ、更に前記二等分された充気可能なエアー室(気密領域)の内の一つを例えば等分部202a、202aに等分する。開放接合線204dは、一端が閉鎖接合線204aに接続され、他端に孔206cが設けられ、更に前記二等分された充気可能なエアー室(気密領域)の内の一つを例えば等分部202a、202aに等分する。前記のように、開放接合線204b、204c、204dによって、それぞれのエアー室(気密領域)が等分部202a、202a、202a、202aになるように四等分される。孔206a、206b、206cは、四肢の皮膚が換気できるように、通気口として機能する。また、仮想ライン207は、充気可能なエアー室(気密領域)202a、202b、202cの長方向に平行する。また、充気可能なエアー室(気密領域)が人体の周りに固定されるように、エアー袋装置200は、相対の両辺に面ファスナーのような接続部材210a、210bが設けられている。
【0025】
充気可能なエアー室(気密領域)202a、202b、202cが充気されるとき、一つの充気可能なエアー室(気密領域)内に開放接合線(例えば開放接合線204b、204c、204d)を有するため、四つの充気可能なエアー室(気密領域)が同時に充気されるのに近似する効果が得られる。多くの充気可能なエアー室(気密領域)が同時にまたは連続的に充気されれば、人間の血液の循環効果をより高めることができる。前記構造により、一本のエアーパイプで一つの充気可能なエアー室(気密領域)を充気するだけで前記四つの充気可能なエアー室(気密領域)が同時に充気されるのに近似する効果が得られるので、二本以上のエアーパイプを必要としないため、エアーパイプにかかるコストが節約される。また、充気可能なエアー室(気密領域)が充気されているとき、開放接合線によって膜材の間の厚みを所定の範囲内に抑制することができる。
【0026】
前記本発明の実施形態によれば、エアー袋装置に多数の充気可能なエアー室(気密領域)が設けられるが、少数のエアーパイプだけで作動できるので、エアーパイプの材料のコストが低減される。また、充気可能なエアー室(気密領域)を増やすことによって、人間の血液の循環効果をより高めることができる。
【0027】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これは決して本発明を限定するものではなく、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0028】
100:エアー袋装置、
102a:エアー室(気密領域)、
102a:等分部、
102a:等分部、
102b:エアー室(気密領域)、
102c:エアー室(気密領域)、
105a:膜材、
105b:膜材、
104a:閉鎖接合線、
104b:開放接合線、
104c:閉鎖接合線、
104d:開放接合線、
106:孔、
107:仮想ライン、
108a:エアーパイプ、
108b:エアーパイプ、
108c:エアーパイプ、
110a:接続部材、
110b:接続部材、
200:エアー袋装置、
202a:エアー室(気密領域)、
202b:エアー室(気密領域)、
202c:エアー室(気密領域)、
202a:等分部、
202a:等分部、
202a:等分部、
202a:等分部、
204a:閉鎖接合線、
204b:開放接合線、
204c:開放接合線、
204d:開放接合線、
206a:孔、
206b:孔、
206c:孔、
207:仮想ライン、
208a:エアーパイプ、
208b:エアーパイプ、
208c:エアーパイプ、
210a:接続部材、
210b:接続部材、
212:孔。
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー袋装置であって、少なくとも
第1の膜材と、
第2の膜材と、
前記第1の膜材と前記第2の膜材の間に形成され、充気可能な気密領域を区切る少なくとも一本の閉鎖接合線と、
前記閉鎖接合線に接続され、前記気密領域内に位置される二本の開放接合線と
を備え、
前記二本の開放接合線の内、少なくとも一本の開放接合線の両端に孔を有するエアー袋装置。
【請求項2】
前記二本の開放接合線は、前記気密領域の長方向に平行する仮想ラインに沿って配置され、前記気密領域を二等分する請求項1に記載のエアー袋装置。
【請求項3】
前記二本の開放接合線は、互いに離れ、かつ前記閉鎖接合線にも離れる請求項1に記載のエアー袋装置。
【請求項4】
エアー袋装置であって、少なくとも
第1の膜材と、
第2の膜材と、
前記第1の膜材と前記第2の膜材の間に形成され、充気可能な気密領域を区切る少なくとも一本の閉鎖接合線と、
両端に孔を有する第1の開放接合線と、
仮想ラインに沿って配置され、それぞれ相対の両端を有し、一端が前記閉鎖接合線に接続され、他端に第2の孔が設けられる二本の第2の開放接合線と、
相対の両端を有し、一端が前記閉鎖接合線に接続され、他端に第3の孔が設けられる第3の開放接合線と
を備え、
前記第1、第2、第3の開放接合線は全て前記気密領域の長方向に平行し、前記気密領域内に位置されるエアー袋装置。
【請求項5】
前記二つの第2の孔は、互いに離れ、かつ前記気密領域の中心部分に位置する請求項4に記載のエアー袋装置。
【請求項6】
前記第1、第2、第3の開放接合線は全て互いに離れ、前記仮想ラインが前記第1の開放接合線と第3の開放接合線の間に位置し、前記気密領域を二等分する請求項4に記載のエアー袋装置。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−67611(P2011−67611A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181452(P2010−181452)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(510221674)繁葵實業股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】