説明

エチレンオキシドと二酸化炭素とのポリマー

本開示は、一部分は、金属錯体の存在下での、エチレンオキシド(EO)と二酸化炭素(CO)との反応からポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法に関する。本開示はまた、新規な金属錯体を提供する。一局面において、上記金属錯体は、式(I)のものであり、ここでR、R、R、M、Xおよび環Aは、本明細書で定義されるとおりである。特に、本発明者らは、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−シクロヘキシルジアミン(salcy)金属錯体が、本重合反応において、特に、低エーテル含有量のポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを提供することにおいて有効であることを見いだした。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2008年3月9日に出願された米国仮特許出願第61/052,061号に対する優先権を主張する。この優先権出願の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)は、高いガスバリア特性(特に、Oに対して)を有する、可撓性であり、生体適合性であり、かつ生分解性の物質である。上記物質は、エチレンカーボネート(EC)の開環重合を介して、またはエチレンオキシド(EO)とCOとの共重合によって、作製される。高温でKOHもしくはSn(OAc)によって開始されるECの開環重合は、PECよりむしろ、ポリ(エチレンオキシド−コ−エーテルカーボネート)をもたらす。この経路に必要とされる高い反応温度は、重合の間のCOの排出を引き起こす。エポキシドとCOとを交互共重合して、ポリカーボネートを形成することは、1969年にInoueによって最初に発見された。それ以来、多くの触媒系が、エポキシド/CO共重合のために開発されてきた(例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照のこと)。Zn、Al、もしくは二重金属シアニド種(double metal cyanide species)に基づくEO/CO共重合の種々のシステムが、報告されてきた;しかし、これらは、高いCO圧力を要し、低触媒活性という欠点をもつ。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Coates and Moore,Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6618−6639
【非特許文献2】Super and Beckman,Trends Polym.Sci.1997,5,236−240
【非特許文献3】Darensbourg,and Holtcamp,Coord.Chem.Rev.1996,153,155−174
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一部分は、金属錯体の存在下でのエチレンオキシド(EO)と二酸化炭素(CO)との反応から、ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法を提供する。本開示はまた、新規な金属錯体を提供する。特に、本発明者らは、N,N’−ビス(サリチリデン(salicydene))−1,2−シクロヘキシルジアミン(salcy)金属錯体が、この重合反応において、特に、低エーテル含有量のポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを提供することにおいて有効であることを見いだした。
【0005】
一局面において、本明細書に記載される金属錯体は、式(I)のものであり:
【0006】
【化1】

【0007】
ここで:
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、または求核性配位子であり;
、R、およびRの各実例は、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRとR、もしくはRとRは結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成し;そして
環Aは、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する。
【0008】
別の局面において、本開示は、ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法を提供し、ここで上記ポリマーは、Y、および必要に応じてZから構成され、そして上記Yのパーセンテージは、Zのパーセンテージより大きく、
【0009】
【化2】

【0010】
上記方法は、エチレンオキシドと二酸化炭素とを、金属錯体の存在下で反応させる工程を包含する。
【0011】
特定の実施形態において、上記方法は、上記および本明細書に記載されるように、式(I)の金属錯体を含む。
【0012】
本願は、種々の発行された特許、公開特許出願、雑誌記事、および他の刊行物(これらは全て本明細書に参考として援用される)に言及する。
【0013】
1つ以上の実施形態の詳細は、本明細書で示される。
【0014】
(定義)
特定の官能基および化学用語の定義は、以下により詳細に記載される。本開示の目的で、化学元素は、元素周期表(CAS version、Handbook of Chemistry and Physics,第75版(表紙裏)に従って同定され、特定の官能基は、本明細書に記載されるように包括的に定義される。さらに、有機化学の一般原則、ならびに特定の官能部分および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,第5版,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,第3版,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載され;これら各々の内容全体が、本明細書に参考として援用される。
【0015】
本開示の特定の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得るので、種々の異性形態(例えば、立体異性体および/もしくはジアステレオマー)として存在し得る。従って、本発明の化合物およびその組成物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得るか、または立体異性体の混合物の形態であり得る。特定の実施形態において、本開示の化合物は、エナンチオピュアな(enantiopure)化合物である。特定の他の実施形態において、立体異性体もしくはジアステレオマーの混合物が、提供される。
【0016】
さらに、特定の化合物は、本明細書に記載されるように、1つ以上の二重結合を有し得、別段示されない限りZ異性体もしくはE異性体のいずれかとして存在し得る。
【0017】
本開示は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは、種々の異性体の混合物(例えば、立体異性体のラセミ混合物)として、上記化合物をさらに包含する。上記化合物自体に加えて、本開示はまた、これら化合物の薬学的に受容可能な誘導体、および1種以上の化合物を含む組成物を包含する。
【0018】
特定の鏡像異性体が好ましい場合、これは、いくつかの実施形態において、逆の鏡像異性体を実質的に含まないで提供され得、「光学的に富化された(optically−enriched)」と言及され得る。「光学的に富化された」とは、本明細書で使用される場合、上記化合物は、顕著に大きな割合の1つの鏡像異性体から構成されることを意味する。特定の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約90重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。他の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、もしくは99重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。好ましい鏡像異性体は、当業者に公知の任意の方法(キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成および結晶化が挙げられる)によって、ラセミ混合物から単離されてもよいし、不斉合成によって調製されてもよい。例えば、Jacquesら,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,S.H.,ら,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,編,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。
【0019】
用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、本明細書で使用される場合、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、およびヨウ素(ヨード、−I)から選択される原子をいう。
【0020】
用語「脂肪族」もしくは「脂肪族基」とは、本明細書で使用される場合、炭化水素部分(これは、直鎖(すなわち、分枝状でない)であっても、分枝鎖であっても、環状(縮合、架橋、およびスピロ縮合多環式が挙げられる)であってもよい)を表し、完全飽和であってもよいし、1つ以上の不飽和単位を含んでいてもよいが、芳香族ではない。別段特定されなければ、脂肪族基は、1〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜5個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含み、そしてさらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜2個の炭素原子を含む。適切な脂肪族基としては、直線状もしくは分枝状の、アルキル、アルケニル、およびアルキニル基、ならびにこれらの混成したもの(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルもしくは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「不飽和の」とは、本明細書で使用される場合、ある部分が、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を有することを意味する。
【0022】
用語「脂環式」、「炭素環」、もしくは「炭素環式」とは、単独でもしくはより大きな部分の一部として使用され、本明細書で記載されるように、3〜12員を有する飽和もしくは部分不飽和の環式脂肪族の単環式環系もしくは二環式環系であって、ここで上記脂肪族の環系は、上記で定義されかつ記載されるように、必要に応じて置換されているものをいう。脂環式基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、およびシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記シクロアルキルは、3〜6個の炭素を有する。用語「脂環式」、「炭素環」もしくは「炭素環式」はまた、1つ以上の芳香族環もしくは非芳香族環に縮合した脂肪族環(例えば、デカヒドロナフチルもしくはテトラヒドロナフチル)を含み、ここでラジカルもしくは結合点は、上記脂肪族上にある。
【0023】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、1個の水素原子を除去することによって1〜6個の間の炭素原子を含む脂肪族部分から得られる、飽和の、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素ラジカルをいう。別段特定されなければ、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を含む。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、ドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「アルケニル」とは、本明細書で使用される場合、1個の水素原子の除去によって少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族部分から得られる、1価の基を表す。別段特定されなければ、アルケニル基は、2〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を含み、そしてさらに他の実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子を含む。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられる。
【0025】
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用される場合、1個の水素原子を除去することによって少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族部分から得られた1価の基をいう。別段特定されなければ、アルキニル基は、2〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、アルキニル基は、2個の炭素原子を含む。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「アリール」とは、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」としてのより大きな部分の一部として使用され、合計5〜20個の環員を有する単環式および多環式系の環系であって、ここで上記系中の少なくとも1個の環は芳香族であり、上記系中の各環は、3〜12個の環員を含むものに言及する。用語「アリール」とは、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。本開示の特定の実施形態において、「アリール」とは、芳香族環系に言及し、これらとしては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどが挙げられるが、これらに限定されず、1個以上の置換基を有し得る。また、1個以上のさらなる環(例えば、ベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フェナントリジニル(phenantriidinyl)、もしくはテトラヒドロナフチルなど)に芳香族環が縮合した基は、本明細書で使用される場合、用語「アリール」の範囲内に含まれる。
【0027】
用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ−(heteroar−)」とは、単独でもしくはより大きな部分(例えば、「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」)の一部として使用され、5〜14個の環原子、好ましくは、5個、6個、もしくは9個の環原子を有し;環式配列(cyclic array)において共有される6π電子、10π電子、もしくは14π電子を有し;そして炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する基をいう。用語「ヘテロ原子」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄に言及し、窒素もしくは硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニルおよびプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ−」とはまた、本明細書で使用される場合、複素環式芳香族環が1つ以上のアリール、脂環式、もしくはヘテロシクリル環に縮合した基を含み、ここで上記ラジカルもしくは結合点は、複素環式芳香族環上にある。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式であってもよいし、二環式であってもよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、もしくは「複素環式芳香族」と交換可能に使用され得、これら用語のうちのいずれも、必要に応じて置換された環を含む。用語「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキルおよびヘテロアリール部分が、独立してかつ必要に応じて置換されているものをいう。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、および「複素環式環」とは、交換可能に使用され、飽和もしくは部分不飽和のいずれかであり、上記のように、炭素原子に加えて、1個以上の、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する、安定な5〜7員の単環式複素環式部分もしくは7〜14員の二環式複素環式部分をいう。複素環の環原子に言及して使用される場合、用語「窒素」は、置換された窒素を含む。例として、酸素、硫黄もしくは窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは部分不飽和の環において、上記窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のような)、NH(ピロリジニル中のような)、もしくはNR(N−置換されたピロリジニル中のような)であり得る。
【0029】
複素環式環は、安定な構造を生じる任意のヘテロ原子もしくは炭素原子においてペンダント基に結合され得、上記環原子のうちのいずれかは、必要に応じて置換され得る。このような飽和もしくは部分不飽和の複素環式ラジカルの例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル(pyrrolidonyl)、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」、および「複素環式ラジカル」は、本明細書で交換可能に使用され、ヘテロシクリル環が1つ以上のアリール、ヘテロアリール、もしくは脂環式環に縮合される基(例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル(phenanthridinyl)、またはテトラヒドロキノリニル)もまた含み、ここで上記ラジカルもしくは結合点は、ヘテロシクリル環上にある。ヘテロシクリル基は、単環式であってもよいし、二環式であってもよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルによって置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキルおよびヘテロシクリル部分が、独立して、必要に応じて置換されているものをいう。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「部分不飽和の」とは、少なくとも1つの二重結合もしくは三重結合を含む環部分に言及する。用語「部分不飽和の」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で定義されるように、アリールもしくはヘテロアリール部分を含むとは意図されない。
【0031】
本明細書で記載されるように、本開示の化合物は、「必要に応じて置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」とは、用語「必要に応じて」が先行していようがいまいが、上記示された部分の1つ以上の水素が、適切な置換基で置換されることを意味する。別段示されなければ、「必要に応じて置換された」基とは、上記基の各置換可能な位置において、適切な置換基を有し得、任意の所定の構造における1つより多い位置が、特定された基から選択される1つより多い置換基で置換され得る場合に、上記置換基は、あらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。本開示によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なもしくは化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、それらの生成、検出、および特定の実施形態においては、それらの回収、精製、ならびに本明細書で開示される目的のうちの1つ以上のための使用を可能にする条件に供される場合に、実質的に変化しない化合物に言及する。
【0032】
「必要に応じて置換された」基の置換可能な炭素原子上の適切な1価の置換基は、独立して、以下である:ハロゲン;−(CH0−4;−(CH0−4OR;−O−(CH0−4C(O)OR;−(CH0−4CH(OR;−(CH0−4SR;Rで置換され得る−(CH0−4Ph;Rで置換され得る−(CH0−4O(CH0−1Ph;Rで置換され得る−CH=CHPh;−NO;−CN;−N;−(CH0−4N(R;−(CH0−4N(R)C(O)R;−N(R)C(S)R;−(CH0−4N(R)C(O)NR;−N(R)C(S)NR;−(CH0−4N(R)C(O)OR;−N(R)N(R)C(O)R;−N(R)N(R)C(O)NR;−N(R)N(R)C(O)OR;−(CH0−4C(O)R;−C(S)R;−(CH0−4C(O)OR;−(CH0−4C(O)N(R;−(CH0−4C(O)SR;−(CH0−4C(O)OSiR;−(CH0−4OC(O)R;−OC(O)(CH0−4SR−、SC(S)SR;−(CH0−4SC(O)R;−(CH0−4C(O)NR;−C(S)NR;−C(S)SR;−SC(S)SR、−(CH0−4OC(O)NR;−C(O)N(OR)R;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−C(NOR)R;−(CH0−4SSR;−(CH0−4S(O);−(CH0−4S(O)OR;−(CH0−4OS(O);−S(O)NR;−(CH0−4S(O)R;−N(R)S(O)NR;−N(R)S(O);−N(OR)R;−C(NH)NR;−P(O);−P(O)R;−OP(O)R;−OP(O)(OR;SiR;−(C1−4直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン)O−N(R;または−(C1−4直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン)C(O)O−N(R。ここで各Rは、以下で定義されるとおりに置換され得、独立して、水素、C1−8脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、もしくは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環であるか、または上記の定義にも拘わらず、Rの2つの独立した存在がそれらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜12員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの単環式もしくは多環式の環を形成し、これらは、以下に定義されるとおりに置換され得る。
【0033】
(もしくはRの2つの独立した存在をそれらの介在する原子と一緒にすることによって形成される環)上の適切な1価の置換基は、独立して、ハロゲン、−(CH0−2、−(ハロR)、−(CH0−2OH、−(CH0−2OR、−(CH0−2CH(OR;−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0−2C(O)R、−(CH0−2C(O)OH、−(CH0−2C(O)OR、−(CH0−4C(O)N(R;−(CH0−2SR、−(CH0−2SH、−(CH0−2NH、−(CH0−2NHR、−(CH0−2NR、−NO、−SiR、−OSiR、−C(O)SR−(C1−4直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン)C(O)OR、もしくは−SSRであり、ここで各Rは、置換されていないかまたは「ハロ」が先行する場合には、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、そしてC1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環から独立して選択される。Rの飽和炭素原子上の適切な2価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
【0034】
「必要に応じて置換された」基の飽和炭素原子上の適切な2価の置換基としては、以下が挙げられる:=O、=S、=NNR、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R))2−3O−、もしくは−S(C(R))2−3S−。ここでRの各独立した存在は、水素、以下で定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環から選択される。「必要に応じて置換された」基のビシナルの置換可能な炭素に結合される適切な2価の置換基としては、以下が挙げられる:−O(CR2−3O−(ここでRの各独立した存在が、水素、以下で定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環から選択される)。
【0035】
の脂肪族基の適切な置換基としては、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR、もしくは−NOが挙げられ、ここで各Rは、置換されていないか、または「ハロ」が先行している場合、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、そして独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環である。
【0036】
「必要に応じて置換された」基の置換可能な窒素上の適切な置換基としては、−R、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(S)NR、−C(NH)NR、もしくは−N(R)S(O)が挙げられ;ここで各Rは、独立して、水素、以下に定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、置換されていない−OPh、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義に関わらず、Rの2つの独立した存在は、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない3〜12員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリールの単環式もしくは二環式の環を形成する。置換可能な窒素は、3つのR置換基で置換されて、荷電したアンモニウム部分−N(Rを提供し得、ここで上記アンモニウム部分は、適切な対イオンと錯化される。
【0037】
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR、もしくは−NOであり、ここで各Rは、置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、そして独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の飽和、部分不飽和の、もしくはアリール環である。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「互変異性体」とは、水素原子の少なくとも1つの形態的な移動(formal migration)および少なくとも1個の結合価の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から単結合へ、逆もまた同様)から生じる2つ以上の相互転換可能な化合物を含む。上記互変異性体の正確な比は、いくつかの要因(温度、溶媒、およびpHが挙げられる)に依存する。互変異性体化(すなわち、互変異性体の対を提供する反応)は、酸もしくは塩基によって触媒され得る。例示的な互変異性体化としては、ケト−エノール;アミド−イミド;ラクタム−ラクチム;エナミン−イミン;およびエナミン−(異なる)エナミン互変異性体化が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「異性体」とは、任意のおよび全ての幾何異性体および立体異性体を含む。例えば、「異性体」は、本開示の範囲内に入るとして、cis−異性体およびtrans−異性体、E−異性体およびZ−異性体、R−鏡像異性体およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(d)−異性体、(l)−異性体、これらのラセミ混合物、ならびに他のこれらの混合物を含む。例えば、異性体/鏡像異性体は、いくつかの実施形態において、対応する鏡像異性体を実質的に含まないで提供され得、また、「光学的に富化」されていると言及され得る。「光学的に富化」されているとは、本明細書で使用される場合、上記化合物が、顕著に大きな割合の1つの鏡像異性体から構成され得ることを意味する。特定の実施形態において、本開示の化合物は、少なくとも約90重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。他の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、もしくは99重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。好ましい鏡像異性体は、当業者に公知の任意の方法(キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化が挙げられる)によってラセミ混合物から単離されてもよいし、不斉合成によって調製されてもよい。例えば、Jacquesら,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,S.H.ら,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,編,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。
【0040】
本明細書で使用される場合、「多形(の)」とは、1つより多い結晶形態/構造で存在する本発明の結晶性化合物に言及する。多形性が結晶充填(crystal packing)の差異の結果として存在する場合、充填多形性といわれる。多形性はまた、配座多形性における同じ分子の異なる配座異性体(conformer)の存在から生じ得る。偽多形性(pseudopolymorphism)において、異なる結晶タイプは、水和もしくは溶媒和の結果である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1A〜1Bは、[PPN]Clとともに、触媒1によって得られるPECのH NMRスペクトル(300MHz)(図1A)および[PPN]Clとともに、触媒4によって得られるPECのH NMRスペクトル(図1B)である。
【図2】図2は、PECおよびPEOのH NMRスペクトルである。
【図3】図3は、(Salcy)CoOBzFがPPNClの存在下でエチレンオキシド(EO)重合を誘導したことを示す。その触媒活性は、PPNCl/Co比に強く依存する。
【図4】図4A〜4Bは、PEO−b−PECのTGA分析(図4A)およびDSC分析(図4B)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(特定の実施形態の詳細な説明)
上記で一般的に記載されるように、本開示は、金属錯体の存在下で、エチレンオキシドおよび二酸化炭素からポリ(エチレンカーボネート)組成物を合成する方法を提供する。特定の実施形態において、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、交互(alternating)ポリマーである。特定の実施形態において、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、ポリエチレンオキシドおよびポリエチレンカーボネートのテーパード(tapered)コポリマーである。特定の実施形態において、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、ポリエチレンオキシドとポリエチレンカーボネートとのブロックコポリマーである。
【0043】
本明細書に提供される説明から一般に理解されるように、本開示のポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)、およびポリ(エチレンカーボネート)を含むポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド−コ−ポリエチレンカーボネート)を含む。
【0044】
本開示はまた、以下に詳細に記載されるように、式(I)の新規な金属錯体を提供する。
【0045】
(I.金属錯体)
特定の実施形態において、上記金属錯体は、式(I)のものであり:
【0046】
【化3】

【0047】
ここで:
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムおよびマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、または求核性配位子であり;
、R、およびRの各実例は、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRとR、もしくはRとRは結合して、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成し;そして
環Aは、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する。
【0048】
特定の実施形態において、上記金属は、アルミニウムである。特定の実施形態において、上記金属は、クロムである。特定の実施形態において、上記金属は、亜鉛である。特定の実施形態において、上記金属は、チタンである。特定の実施形態において、上記金属は、ルテニウムである。特定の実施形態において、上記金属は、マンガンである。特定の実施形態において、上記金属は、コバルトである。特定の実施形態において、上記金属がコバルトである場合、上記コバルトは、結合価+3を有する(すなわち、Co(III))。
【0049】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、金属触媒である。
【0050】
特定の実施形態において、Xは存在しない。しかし、特定の実施形態において、Xは、求核性配位子である。例示的な求核性配位子としては、−OR、−SR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−O(C=O)N(R、−N(R)(C=O)R、−NC、−CN、ハロ(例えば、−Br、−I、−Cl)、−N、−O(SO)Rおよび−OPRが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各Rは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0051】
特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換された脂肪族、フッ素化脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、フッ素化アリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0052】
例えば、特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換された脂肪族である。特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換されたアルキルおよびフルオロアルキルである。特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)CHもしくは−O(C=O)CFである。
【0053】
さらに、特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換されたアリール、フルオロアリール、もしくはヘテロアリールである。特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換されたアリールである。特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Rであり、ここでRは、必要に応じて置換されたフェニルである。特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)Cもしくは−O(C=O)Cである。
【0054】
特定の実施形態において、Xは、−ORであり、ここでRは、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0055】
例えば、特定の実施形態において、Xは、−ORであり、ここでRは、必要に応じて置換されたアリールである。特定の実施形態において、Xは、−ORであり、ここでRは、必要に応じて置換されたフェニルである。特定の実施形態において、Xは、−OCもしくは−OC(2,4−NO)である。
【0056】
特定の実施形態において、Xは、ハロである。特定の実施形態において、Xは、−Brである。特定の実施形態において、Xは、−Clである。特定の実施形態において、Xは、−Iである。
【0057】
特定の実施形態において、Xは、−O(SO)Rである。特定の実施形態において、Xは、−OTsである。特定の実施形態において、Xは、−OSOMeであり、特定の実施形態において、Xは、−OSOCFである。
【0058】
特定の実施形態において、Xは、−Nである。
【0059】
特定の実施形態において、Xは、−NCである。
【0060】
特定の実施形態において、Xは、−CNである。
【0061】
特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換された5員環を形成する。特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換されたシクロペンチル環を形成する。特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換された5員のアリール環を形成する。
【0062】
特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換された6員環を形成する。特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換されたシクロヘキシル環を形成する。特定の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換された6員のアリール環を形成する。
【0063】
(II.上記金属錯体の北半球および南半球)
上記式(I)の金属錯体は、2つの部分で考慮され得る:イミン窒素原子および環Aを含む北半球と、上記金属錯体の残りを含む南半球。
【0064】
【化4】

【0065】
(北半球)
上記から一般に理解されるように、上記金属錯体の北半球は、以下の式(i−a)のものであり:
【0066】
【化5】

【0067】
ここで環Aは、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する。
【0068】
特定の実施形態において、環Aは、式(i−b)の必要に応じて置換された6員環を形成し:
【0069】
【化6】

【0070】
ここでR4A、R4B、R5A、R5B、およびR6A、R6Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはR4AとR4B、および/もしくはR5AとR5B、および/もしくはR6AとR6Bは必要に応じて結合して、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基は結合して、3〜6員環を形成する。
【0071】
特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bのうちの2つ以上が結合して、3〜8個の総環原子を有する、1つ以上の、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、もしくは複素環式芳香族の環を形成する。
【0072】
特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bのうちの各々は、水素である。
【0073】
例えば、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bの各々が水素である式(i−b)の特定の実施形態において、環Aの各々は、以下の式の6員環を形成する:
【0074】
【化7】

【0075】

【0076】
特定の実施形態において、環Aは、式(i−c)の必要に応じて置換された6員環を形成し:
【0077】
【化8】

【0078】
ここでR5AおよびR5Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはR5AおよびR5Bは必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基が一緒になって、5〜6員の環を形成し;
12の各実例は、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO2、−N(Rd)2、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、Rの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして
cは、0〜4である。
【0079】
特定の実施形態において、R5AおよびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R5AおよびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R5AおよびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R5AおよびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0080】
しかし、特定の実施形態において、各R5AおよびR5Bは、水素である。
【0081】
特定の実施形態において、cは、0〜2である。特定の実施形態において、cは、0〜1である。特定の実施形態において、cは、0である。特定の実施形態において、cは、1である。
【0082】
特定の実施形態において、R12の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R12の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R12の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R12の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0083】
しかし、特定の実施形態において、R12の各実例は、水素である。
【0084】
特定の実施形態において、環Aは、式(i−d)の必要に応じて置換された5員環を形成し:
【0085】
【化9】

【0086】
ここでR4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはR4AとR4B、および/もしくはR5AとR5Bは必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基は結合されて、5〜6員環を形成する。
【0087】
特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはR4A、R4B、R5A、およびR5Bのうちの1つ、ならびにR4A、R4B、R5A、およびR5Bのうちの1つは、必要に応じて結合されて、3〜7員の環を形成する。
【0088】
特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bのうちの1つ、ならびにR4A、R4B、R5A、およびR5Bのうちの1つは、必要に応じて結合されて、3〜6員環を形成する。
【0089】
しかし、特定の実施形態において、R4A、R4B、R5A、およびR5Bの各実例は、水素である。
【0090】
例えば、R4A、R4B、R5A、およびR5Bが各々水素である式(i−d)の特定の実施形態において、環Aは、以下の式の5員環を形成する:
【0091】
【化10】

【0092】

【0093】
4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成する式(i−d)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−f)の必要に応じて置換された5員環を形成し:
【0094】
【化11】

【0095】
ここでR4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO2、−N(Rd)2、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R,必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;そして/または、必要に応じて、R13AとR13B、および/もしくはR14AとR14B、および/もしくはR15AとR15B、および/もしくはR16AとR16Bは、必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基は結合されて、3〜6員環を形成する。
【0096】
特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0097】
しかし、特定の実施形態において、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bの各々は、水素である。
【0098】
例えば、R4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成しかつR4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bの各々が水素である式(i−d)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−g)の必要に応じて置換された5員環を形成する:
【0099】
【化12】

【0100】

【0101】
4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成する式(i−d)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−h)〜(i−k)のうちの1つの必要に応じて置換された5員環もしくはその混合物を形成し:
【0102】
【化13】

【0103】
ここでR4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO2、−N(Rd)2、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはR13AとR13B、および/もしくはR14AとR14B、および/もしくはR15AとR15B、および/もしくはR16AとR16Bは、必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて、2つのR基もしくは2つのR基は結合されて、5〜6員の環を形成する。
【0104】
4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成し、そしてR4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bが各々水素である式(i−h)〜(i−k)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−l)〜(i−o)のうちのいずれかの必要に応じて置換された5員環もしくはその混合物を形成する:
【0105】
【化14】

【0106】
4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成する式(i−d)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−p)の必要に応じて置換された5員環を形成し:
【0107】
【化15】

【0108】
ここでR17の各実例は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、Rの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合う2つのR17基は結合されて、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成し;そして
dは、0〜4である。
【0109】
特定の実施形態において、dは、0〜2である。特定の実施形態において、dは、0〜1である。特定の実施形態において、dは、0である。特定の実施形態において、dは、1である。
【0110】
特定の実施形態において、R17の各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、R17の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R17の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R17の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R17の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0111】
しかし、特定の実施形態において、R17の各実例は、水素である。
【0112】
例えば、R4BおよびR5Bが結合されて、必要に応じて置換された6員環を形成する式(i−p)の特定の実施形態において、環Aは、式(i−q)の必要に応じて置換された5員環を形成する:
【0113】
【化16】

【0114】

【0115】
(南半球)
上記から一般に理解されるように、上記金属錯体の南半球は、式(ii−a)のものであり:
【0116】
【化17】

【0117】
ここでMおよびXは、上記および本明細書で定義されるとおりであり、そして
、R、およびRの各実例は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはRおよびRのうちのいずれかおよび/もしくはRおよびRのうちのいずれかは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。
【0118】
特定の実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、ハロゲンである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換された脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0119】
特定の実施形態において、Rの各実例は、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、ハロゲンである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換された脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0120】
特定の実施形態において、Rの各実例は、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、ハロゲンである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換された脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族である。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたアリールである。特定の実施形態において、Rの各実例は、必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0121】
しかし、特定の実施形態において、RおよびRは結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。特定の実施形態において、RおよびRは結合されて、必要に応じて置換されたアリール環を形成する。特定の実施形態において、RおよびRは結合されて、必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。
【0122】
他の実施形態において、RおよびRは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。特定の実施形態において、RおよびRは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環を形成する。特定の実施形態において、RおよびRは、結合されて、必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。
【0123】
特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族から選択され、そして/またはRおよびRのうちのいずれか、そして/またはRおよびRのうちのいずれかは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素から選択され、そして/またはRおよびRのうちのいずれかは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素から選択され、そして/またはRおよびRのうちのいずれかは、結合されて、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成する。
【0124】
特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0125】
しかし、特定の実施形態において、R、R、およびRの各実例は、水素である。特定の実施形態において、RおよびRの各実例は、水素である。特定の実施形態において、RおよびRの各実例は水素である。特定の実施形態において、RおよびRの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。特定の実施形態において、Rの各実例は、水素である。
【0126】
が必要に応じて置換されたアリール部分である特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−b)のものであり:
【0127】
【化18】

【0128】
ここでM、X、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりであり;
11の各実例は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、Rの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合う2つのR11基は、結合されて、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成し;そして
bは、0〜5である。
【0129】
特定の実施形態において、bは、0〜2である。特定の実施形態において、bは、0〜1である。特定の実施形態において、bは、0である。特定の実施形態において、bは、1である。
【0130】
特定の実施形態において、R11の各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/または互いに隣り合う2つのR11基は、結合されて、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する。特定の実施形態において、R11の各実例は、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R11の各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R11の各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R11の各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0131】
しかし、特定の実施形態において、R11の各実例は、水素である。
【0132】
およびRのうちの一方が結合されて、必要に応じて置換されたアリール環を形成する特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−c)のものであり:
【0133】
【化19】

【0134】
ここでM、X、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりであり;そして
、R、R、およびR10は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、そしてRの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合うR、R、R、およびR10から選択される2つの基は、結合されて、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する。
【0135】
特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/または互いに隣り合うR、R、R、およびR10のうちの2つの基は結合されて、必要に応じて置換された5〜7員の環を形成する。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換された脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。
【0136】
特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたアリールから選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたフェニルから選択される。
【0137】
特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−10脂肪族から選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−10アルキルから選択される。特定の実施形態において、R、R、R、およびR10は、水素およびメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルならびにクミルから独立して、選択される。
【0138】
しかし、特定の実施形態において、R、R、R、およびR10の各々は、水素である。特定の実施形態において、RおよびR10の各々は、水素である。特定の実施形態において、Rは、水素である。特定の実施形態において、R10は、水素である。
【0139】
例えば、RおよびR10が水素である式(ii−c)の特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−d)のものであり:
【0140】
【化20】

【0141】
ここでM、X、R、R、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0142】
およびRの両方の基が結合されて、必要に応じて置換されたアリール環を形成する式(ii−d)の特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−dd)のものであり:
【0143】
【化21】

【0144】
ここでM、X、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0145】
特定の実施形態において、Rの各存在は、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。特定の実施形態において、Rの各存在は、水素である。
【0146】
特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから独立して選択される。
【0147】
特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される。
【0148】
特定の実施形態において、Rの各存在は、同じである。特定の実施形態において、Rの各存在は、同じである。特定の実施形態において、Rの各存在は、同じであり、Rの各存在は、同じである。特定の実施形態において、RおよびRは異なっている。
【0149】
特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される。特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される。特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから独立して選択される。
【0150】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリクロロメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリフルオロメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n−プロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、t−ブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、sec−ブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、イソブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n−ペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、ネオペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、アミルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリチルである。いくつかの実施形態において、Rは、アダマンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、テキシルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンジルである。いくつかの実施形態において、Rは、クミルである。
【0151】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリクロロメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリフルオロメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n−プロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、t−ブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、sec−ブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、イソブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n−ペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、ネオペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、アミルである。いくつかの実施形態において、Rは、トリチルである。いくつかの実施形態において、Rは、アダマンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、テキシルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンジルである。いくつかの実施形態において、Rは、クミルである。
【0152】
特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される。特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される。
【0153】
いかなる理論によっても拘束されることは望まないが、上記RおよびR基の相対的大きさが、上記金属錯体によって触媒される重合反応の速度および選択性に影響を及ぼすと考えられる。特定の実施形態において、RおよびRのサイズにおいて差異があることは、有利である。特定の実施形態において、上記基Rは、上記基Rより大きい。しかし、特定の実施形態において、上記基Rは、上記基Rより大きい。
【0154】
基の相対的大きさ(例えば、この場合には、R 対 R)は、その基について計算される、ファンデルワールス表面および/もしくは分子体積から決定され得る。単一の分子(すなわち、共有結合に沿った任意の2つの原子の間に1つの経路が存在する分子)については、上記ファンデルワールス表面は、閉じた表面であるので、従って、それは、体積を含む。この体積は、分子体積またはファンデルワールス体積といわれ、通常、Åで与えられる。コンピューター上で分子体積を計算する簡単な方法は、数値積分による、すなわち、上記ファンデルワールスエンベロープ(van der Waals envelope)を小さな四角の塊のグリッドで囲み、その中心が上記分子のファンデルワールスエンベロープ内にある(すなわち、原子核からファンデルワールス半径内にある)四角の塊を合計することによる(例えば、Whitley,「Van der Waals surface graphs and molecular shape」,Journal of Mathematical Chemistry(1998)23:377−397を参照のこと)。
【0155】
基の相対的大きさはまた、所定の基の「A値」から測定され得る。上記A値は、所定の基の有効サイズの尺度である。上記「A値」は、置換されたシクロヘキサンおよびその置換基の相対的アキシャル−エクアトリアル配置(relative axial−equatorial disposition)について決定されるような、コンホメーションエネルギー(−G値)に言及する(以下に提供される表1およびStereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,Inc.,New York:1994のEliel and Wilen,第11章標題「Configuration and Confirmation of Cyclic Molecules」の695〜697ページ(本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。より詳細なまとめは、Hirsch,「Table of Conformational Energies」,Top.Stereochem.(1967)1:199;Jensen and Bushweller,「Conformational Preferences in Cyclohexanes and Cyclohexenes」,Adv.Alicycl.Chem.(1971)3:139;およびSchnieder and Hoppen「Carbon−13 Nuclear Magnetic Resonance Sustituent−induced Shieldings and Conformational Equilibria in Cyclohexanes」,J.Org.Chem.(1978)43:3866によって作り上げられ;これらの各々の全体が、本明細書に参考として援用される。
【0156】
【表1】

【0157】
従って、特定の実施形態において、基Rの分子体積は、基Rの分子体積より大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも1.2倍大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも1.5倍大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも1.8倍大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも2倍大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも2.5倍大きい。特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より少なくとも3倍大きい。
【0158】
しかし、特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも1.2倍大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも1.5倍大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも1.8倍大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも2倍大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも2.5倍大きい。特定の実施形態において、上記基Rの分子体積は、上記Rの分子体積より少なくとも3倍大きい。
【0159】
特定の実施形態において、上記Rの分子体積は、上記基Rの分子体積より大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.2倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.5倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.8倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも2倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも2.5倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも3倍大きい。
【0160】
しかし、特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.2倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.5倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも1.8倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも2倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも2.5倍大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、上記RのA値より少なくとも3倍大きい。
【0161】
特定の実施形態において、上記RのA値は、約2.5kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約3kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約3.5kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約4kcal/molより大きい。
【0162】
特定の実施形態において、上記RのA値は、約2.5kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約3kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約3.5kcal/molより大きい。特定の実施形態において、上記RのA値は、約4kcal/molより大きい。
【0163】
特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約2.5kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約3kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約3.5kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約4kcal/molの間である。
【0164】
特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約2.5kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約3kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約3.5kcal/molの間である。特定の実施形態において、上記RのA値は、約0〜約4kcal/molの間である。
【0165】
特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−e)のものであり:
【0166】
【化22】

【0167】
ここでM、X、R、R、R、R、R、R、およびR10は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0168】
、RおよびR10が水素である式(ii−e)の特定の実施形態において、上記金属錯体の南半球は、式(ii−f)のものであり:
【0169】
【化23】

【0170】
ここでM、X、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0171】
特定の実施形態において、Mは、コバルトおよびクロムから選択される金属である。特定の実施形態において、Mは、コバルトである。特定の実施形態において、Mは、コバルト(III)である。
【0172】
特定の実施形態において、Rは、−C(CHPhでない。特定の実施形態において、Rは、−[C(CHCHCHN(Bu)でない。特定の実施形態において、Rは、−CH(CHCH)Cでない。特定の実施形態において、Rは、−C(CHCHC(CHでない。特定の実施形態において、Rは、−CH(C)CHCHでない。特定の実施形態において、Rは、−C(CHCHCHでない。特定の実施形態において、Rは、1−メチル−シクロヘキシルでない。特定の実施形態において、Rは、シクロヘキシルでない。
【0173】
特定の実施形態において、Rは、−C(CHでない。特定の実施形態において、Rは、−[C(CHCHCHN(Bu)でない。特定の実施形態において、Rは、−C(CHCHC(CHでない。特定の実施形態において、Rは、−C(CHでない。特定の実施形態において、Rは、−C(CHCHCHでない。特定の実施形態において、Rは、−CHでない。特定の実施形態において、Rは、水素でない。
【0174】
いくつかの実施形態において、Rが−C(CHPhである場合、Rは、−C(CHPh以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−[C(CHCHCHN(Bu)である場合、Rは、−[C(CHCHCHN(Bu)以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−CH(CHCH)Cである場合、Rは、水素以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−C(CHCHC(CHである場合、Rは、−C(CHCHC(CH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−CH(C)CHCHである場合、Rは、−C(CH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−C(CHCHCHである場合、Rは、−C(CH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが−C(CHCHCHである場合、Rは、−C(CHCHCH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、Rは、−C(CH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、Rは、−C(CHCHCH以外のものである。いくつかの実施形態において、Rがシクロヘキシルである場合、Rは、−CH以外のものである。
【0175】
特定の実施形態において、上記南半球は、以下からは選択されない:
【0176】
【化24】

【0177】
【化25】

【0178】
【化26】

【0179】
【化27】

【0180】
ここでXは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0181】
上記式(i−a)〜(i−q)のうちのいずれかは、上記式(ii−a)〜(ii−f)のうちのいずれかと化合して、新規な金属錯体を提供し得る。
【0182】
例えば、特定の実施形態において、本開示は、式(I−a)の金属錯体を提供し:
【0183】
【化28】

【0184】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R4B、R5A、R5B、R6A、およびR6Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0185】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−b)の金属錯体を提供し:
【0186】
【化29】

【0187】
ここでM、X、R,RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0188】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−c)の金属錯体を提供し:
【0189】
【化30】

【0190】
ここでM、X、R、R、R、R5A、R5B、R12およびcは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0191】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−d)の金属錯体を提供し:
【0192】
【化31】

【0193】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R4B、R5A、およびR5Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0194】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−e)の金属錯体を提供し:
【0195】
【化32】

【0196】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0197】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−f)〜(I−i)のいずれか1つの金属錯体もしくはそれらの混合物を提供し:
【0198】
【化33】

【0199】
【化34】

【0200】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0201】
特定の鏡像異性体が好ましい場合、それは、いくつかの実施形態において、その対応する鏡像異性体を実質的に含まずに提供され得、そしてまた、「光学的に富化」されたと言及され得る。「光学的に富化」されたとは、本明細書で使用される場合、上記化合物が、顕著に大きな割合の1つの鏡像異性体から構成されることを意味する。特定の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約90重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。他の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、もしくは99重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。
【0202】
従って、特定の実施形態において、本開示は、式(I−f)〜(I−i)のうちのいずれか1つの光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−f)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−g)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−h)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−i)の光学的に富化された金属錯体を提供する。
【0203】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−j)の金属錯体を提供し:
【0204】
【化35】

【0205】
ここでM、X、R,RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0206】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−k)〜(I−n)のうちのいずれか1つの金属錯体もしくはそれらの混合物を提供し:
【0207】
【化36】

【0208】
ここでM、X、R,RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0209】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−k)〜(I−n)のうちのいずれか1つの光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−k)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−l)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−m)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−n)の光学的に富化された金属錯体を提供する。
【0210】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−o)の金属錯体を提供し:
【0211】
【化37】

【0212】
ここでd、M、X、R、R、RおよびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0213】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−p)の金属錯体を提供し:
【0214】
【化38】

【0215】
ここでd、M、X、R,RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0216】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−q)の金属錯体を提供し:
【0217】
【化39】

【0218】
ここでb、M、X、R、R、R、R11、R4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0219】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−r)の金属錯体を提供し:
【0220】
【化40】

【0221】
ここでb、R11、MおよびXは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0222】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−s)の金属錯体を提供し:
【0223】
【化41】

【0224】
ここでb、d、M、X、R、R、R、R11およびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0225】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−t)の金属錯体を提供し:
【0226】
【化42】

【0227】
ここでb、M、X、R、R、RおよびR11は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0228】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−u)の金属錯体を提供し:
【0229】
【化43】

【0230】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R5A、R、R、R、R10、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0231】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−v)の金属錯体を提供し:
【0232】
【化44】

【0233】
ここでM、X、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0234】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−w)の金属錯体を提供し:
【0235】
【化45】

【0236】
ここでM、X、R、R、R、R4A、R5A、R、R、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0237】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−x)の金属錯体を提供し:
【0238】
【化46】

【0239】
ここでM、X、R、R、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0240】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−y)の金属錯体を提供し:
【0241】
【化47】

【0242】
ここでM、X、R4A、R5A、R、R、R、R10、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0243】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−z)の金属錯体を提供し:
【0244】
【化48】

【0245】
ここでM、X、R4A、R5A、R、R、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16A、R16Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0246】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−aa)の金属錯体を提供し:
【0247】
【化49】

【0248】
ここでM、X、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0249】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−bb)〜(I−ee)の金属錯体もしくはそれらの混合物を提供する:
【0250】
【化50】

【0251】

【0252】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−bb)〜(I−ee)のうちのいずれか1つの光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−bb)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−cc)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−dd)の光学的に富化された金属錯体を提供する。特定の実施形態において、本開示は、式(I−ee)の光学的に富化された金属錯体を提供する。
【0253】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−ff)の金属錯体を提供し:
【0254】
【化51】

【0255】
ここでd、M、X、R、R、R、R4A、R5A、R、R、R、R10およびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0256】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−gg)の金属錯体を提供し:
【0257】
【化52】

【0258】
ここでM、X、R、R、R、R、R、RおよびR10は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0259】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−hh)の金属錯体を提供し:
【0260】
【化53】

【0261】
ここでd、M、X、R、R、R、R、RおよびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0262】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−ii)の金属錯体を提供し:
【0263】
【化54】

【0264】
ここでM、X、R、R、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0265】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−jj)の金属錯体を提供し:
【0266】
【化55】

【0267】
ここでd、M、X、R4A、R5A、R、R、R、R10およびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0268】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−kk)の金属錯体を提供し:
【0269】
【化56】

【0270】
ここでd、M、X、R、RおよびR17は、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0271】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−ll)の金属錯体を提供し:
【0272】
【化57】

【0273】
ここでM、X、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0274】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−mm)の金属錯体を提供し:
【0275】
【化58】

【0276】
ここでM、X、環A、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0277】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−nn)の金属錯体を提供し:
【0278】
【化59】

【0279】
ここでM、X、環A、R、R、R、RおよびRは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0280】
特定の実施形態において、本開示は、式(I−oo)の金属錯体を提供し:
【0281】
【化60】

【0282】
ここでM、X、R、R、R4A、R4B、R5A、R5B、およびR6A、R6Bは、上記および本明細書で定義されるとおりである。
【0283】
(III.例示的金属錯体)
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下のうちのいずれか1つから選択され、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0284】
【化61】

【0285】
【化62】

【0286】
【化63】

【0287】
【化64】

【0288】

【0289】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下のうちのいずれか1つから選択され、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0290】
【化65】

【0291】
【化66】

【0292】
【化67】

【0293】
【化68】

【0294】
【化69】

【0295】

【0296】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有し、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0297】
【化70】

【0298】

【0299】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有し、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0300】
【化71】

【0301】

【0302】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有し、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0303】
【化72】

【0304】

【0305】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有し、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0306】
【化73】

【0307】

【0308】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有し、ここでXは存在しないか、または求核性配位子である:
【0309】
【化74】

【0310】

【0311】
特定の実施形態において、Xは存在しない。
【0312】
特定の実施形態において、Xは、−O(C=O)C(すなわち、−OBzF)である。特定の実施形態において、Xは、−OC(=O)CHである。特定の実施形態において、Xは、−OC(=O)CFである。特定の実施形態において、Xは、−NCである。特定の実施形態において、Xは、−Clである。特定の実施形態において、Xは、−Brである。特定の実施形態において、Xは、Nである。
【0313】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造のうちのいずれかから選択されるコバルト(Co)錯体である:
【0314】
【化75】

【0315】
【化76】

【0316】
【化77】

【0317】
【化78】

【0318】
【化79】

【0319】

【0320】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造のうちのいずれかから選択されるコバルト(Co)錯体である:
【0321】
【化80】

【0322】
【化81】

【0323】
【化82】

【0324】
【化83】

【0325】
【化84】

【0326】

【0327】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有するコバルト(Co)錯体である:
【0328】
【化85】

【0329】

【0330】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有するコバルト(Co)錯体である:
【0331】
【化86】

【0332】

【0333】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有するコバルト(Co)錯体である:
【0334】
【化87】

【0335】

【0336】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の醸造を有するコバルト(Co)錯体である
【0337】
【化88】

【0338】

【0339】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、以下の構造を有するコバルト(Co)錯体である:
【0340】
【化89】

【0341】

【0342】
(IV.ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを作製する方法)
本開示はまた、種々のポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを作製する方法を提供する。本明細書で使用される場合、ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、金属錯体の存在下でのエチレンオキシド(EO)と二酸化炭素(CO)との重合を介して提供され、ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)、ならびにポリ(エチレンカーボネート)を含むポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド−コ−ポリエチレンカーボネート)を包含する。
【0343】
例えば、一局面において、本開示は、ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法を提供し、ここで上記ポリマーは、Y、および必要に応じてZから構成され、ここで上記Yのパーセンテージは、上記Zのパーセンテージより大きく、
【0344】
【化90】

【0345】
上記方法は、金属錯体の存在下で、エチレンオキシドと二酸化炭素とを反応させる工程を包含する。
【0346】
特定の実施形態において、上記ポリマーは、約85%より大きいYを有する。特定の実施形態において、上記ポリマーは、約90%より大きいYを有する。特定の実施形態において、上記ポリマーは、約95%より大きいYを有する。特定の実施形態において、上記ポリマーは、約99%より大きいYを有する。特定の実施形態において、上記ポリマーは、実質的に全てYであり、実質的にZを含まない。
【0347】
特定の実施形態において、上記ポリマーは、エチレンオキシドと二酸化炭素との交互ポリマー(例えば、エチレンオキシドおよび二酸化炭素の規則的な交互のユニットを有する)である。
【0348】
例えば、上記ポリマーが実質的に全てYでありかつZを実質的に含まない場合、上記ポリマーは、以下の式の交互ポリマーであり:
【0349】
【化91】

【0350】
ここでPは、両端を含めて、約10〜約15,000の間の整数であり、そして
各FおよびGは、独立して、適切な末端形成基(terminating group)である。
【0351】
特定の実施形態において、Fは、水素である。特定の実施形態において、Fは、ヒドロキシル保護基である。特定の実施形態において、Fは、アシル基である。特定の実施形態において、Fは、シリル基である。特定の実施形態において、Gは、Xであり、ここでXは、上記で記載されるとおりである。特定の実施形態において、Gは、ヒドロキシル基である。
【0352】
特定の実施形態において、Pは、両端を含めて、約10,000〜約15,000の間の整数である。特定の実施形態において、Pは、両端を含めて、約12,000〜約15,000の間の整数である。
【0353】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンの錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、アルミニウム錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、クロム錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、亜鉛錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、チタン錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、ルテニウム錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、マンガン錯体である。特定の実施形態において、上記金属錯体は、コバルト錯体である。上記金属錯体がコバルト錯体である特定の実施形態において、上記コバルト金属は、+3の結合価を有する(すなわち、Co(III))。
【0354】
特定の実施形態において、上記金属錯体は、上記式(I)の金属錯体、もしくはそのサブセットのうちのいずれかである。
【0355】
別の局面において,本開示は、ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法を提供し、上記方法は、エチレンオキシドと二酸化炭素とを、上記式(I)の金属錯体のうちのいずれかのコバルト錯体もしくはそのサブセットの存在下で反応させる工程を包含し、ここでMは、コバルトである。
【0356】
(反応条件)
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれかは、助触媒をさらに含む。
【0357】
特定の実施形態において、上記助触媒は、ルイス塩基である。例示的なルイス塩基としては、N−メチルイミダゾール(N−MeIm)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0358】
特定の実施形態において、上記助触媒は、塩である。特定の実施形態において、上記助触媒は、アンモニウム塩、ホスホニウム塩もしくはアルソニウム塩である。特定の実施形態において、上記助触媒は、アンモニウム塩である。例示的なアンモニウム塩としては、(n−Bu)NCl、(n−Bu)NBr、(n−Bu)NN、[PPN]Cl、[PPN]Br、および[PPN]N、PhPCPh]Cl[PPN]O(C=O)R(PPN=ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウム))が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、上記助触媒は、ホスホニウム塩である。特定の実施形態において、上記助触媒は、アルソニウム塩である。
【0359】
特定の実施形態において、上記助触媒は、アンモニウム塩であるビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド([PPN]Cl)である。
【0360】
特定の実施形態において、上記塩助触媒のアニオンは、上記式(I)の金属錯体もしくはそのサブセットの配位子Xと同じ構造を有し、ここでXは、求核性配位子である。例えば、特定の実施形態において、上記助触媒は、([PPN]X)もしくは(n−Bu)NXである。
【0361】
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約500:1〜約500,000:1というエチレンオキシド 対 金属錯体の比を含む。特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約500:1〜約100,000:1というエチレンオキシド 対 金属錯体の比を含む。特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約500:1〜約50,000:1というエチレンオキシド 対 金属錯体の比を含む。特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約500:1〜約5,000:1というエチレンオキシド 対 金属錯体の比を含む。特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約500:1〜約1,000:1というエチレンオキシド 対 金属錯体の比を含む。
【0362】
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約0.5M〜約20Mの間の量で存在するエチレンオキシドを含む。特定の実施形態において、エチレンオキシドは、約0.5M〜約2Mの間の量で存在する。特定の実施形態において、エチレンオキシドは、約2M〜約5Mの間の量で存在する。特定の実施形態において、エチレンオキシドは、約5M〜約20Mの間の量で存在する。特定の実施形態において、エチレンオキシドは、約20Mの量で存在する。特定の実施形態において、液体エチレンオキシドは、反応溶媒を含む。
【0363】
特定の実施形態において、COは、約30psi〜約800psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約500psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約400psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約300psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約200psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約100psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psi〜約80psiの間の圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約30psiの圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約50psiの圧力で存在する。特定の実施形態において、COは、約100psiの圧力で存在する。特定の実施形態において、上記COは、超臨界状態である。
【0364】
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれも、約0℃〜約100℃の間の温度で行われるべき反応を含む。特定の実施形態において、上記反応は、約23℃〜約100℃の間の温度で行われる。特定の実施形態において、上記反応は、約23℃〜約80℃の間の温度で行われる。特定の実施形態において、上記反応は、約23℃〜約50℃の間の温度で行われる。特定の実施形態において、上記反応は、約23℃の温度で行われる。
【0365】
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれかの反応工程は、溶媒をさらに含まない。
【0366】
しかし、特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれかの反応工程は、1種以上の溶媒をさらに含まない。特定の実施形態において、上記溶媒は、有機溶媒である。特定の実施形態において、上記溶媒は、有機エーテルである。特定の実施形態において、上記溶媒は、芳香族炭化水素である。特定の実施形態において、上記溶媒は、ケトンである。
【0367】
特定の実施形態において、適切な溶媒としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、炭酸プロピレン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、カプロラクトン、1,4−ジオキサン、および1,3−ジオキサン。
【0368】
特定の他の実施形態において、適切な溶媒としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、モノグライム、トリグライム、プロピオニトリル、1−ニトロプロパン、シクロヘキサノン。
【0369】
特定の実施形態において、上記方法のうちのいずれかの反応工程は、約20%未満の量において、副生成物としてエチレンカーボネート(EC)を生成する。特定の実施形態において、エチレンカーボネート(EC)は、約15%未満の量において、副生成物として生成される。特定の実施形態において、エチレンカーボネート(EC)は、約10%未満の量において、副生成物として生成される。特定の実施形態において、エチレンカーボネート(EC)は、約5%未満の量において、副生成物として生成される。特定の実施形態において、エチレンカーボネート(EC)は、約1%未満の量において、副生成物として生成される。特定の実施形態において、上記反応は、いかなる検出可能な副生成物も生成しない(例えば、H−NMRおよび/もしくは液体クロマトグラフィー(LC)によって検出可能な場合)。
【0370】
(テーパードコポリマーおよびブロックコポリマー)
上記から理解されるように、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、ユニット「Y」およびユニット「Z」のコポリマーである:
【0371】
【化92】

【0372】

【0373】
特定の実施形態において、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、ユニットYおよびユニットZのテーパードコポリマーである(例えば、ここでZの組み込みは、所定のポリマー鎖の長さに従って増減される)。
【0374】
特定の実施形態において、上記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、YおよびZのホモポリマーユニットのブロックコポリマーである;上記ホモポリマーサブユニットの結合(union)は、ジャンクションブロック(junction block)として公知の中間体の非反復サブユニットを必要とし得る。2つもしくは3つの異なるブロックを有するブロックコポリマーは、それぞれ、ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーといわれる。
【0375】
特定の実施形態において、ポリ(エチレンカーボネート)の上記テーパードコポリマーおよびブロックコポリマーは、以下の式のものであり:
【0376】
【化93】

【0377】
ここでPおよびQの各実例は、独立して、両端を含めて、約10〜約10,000の間の整数であり、ここでRは、約1〜約20の間の範囲の整数であり、
各FおよびGは、独立して、上記および本明細書で記載されるように、適切な末端形成基である。
【0378】
例えば、特定の実施形態において、本開示は、ポリ(エチレンカーボネート)ブロックコポリマーを作製するための方法を提供し、上記方法は、(i)ポリエチレンオキシド(PEO)ポリマーを提供する工程、および(ii)上記ポリエチレンオキシドポリマーと、エチレンオキシドおよび二酸化炭素とを、金属錯体の存在下で反応させる工程を包含する。特定の実施形態において、上記金属錯体は、式(I)の金属錯体もしくはその任意のサブセットである。
【0379】
特定の実施形態において、上記工程(i)のポリエチレンオキシドポリマーは、金属錯体の存在下でエチレンオキシドを反応させることによって提供される。特定の実施形態において、上記金属錯体は、式(I)の金属錯体もしくはその任意のサブセットである。
【0380】
特定の実施形態において、ブロックコポリマー組成物は、上記重合プロセスの一部の間に、CO圧を変化させるかもしくは除去することによって生成され得る。CO圧が低いかもしくは存在しない場合、上記触媒は、CO圧が高い場合より高い程度のエーテル結合を有するポリマーを生成する。従って、本開示の特定の実施形態において、上記重合は、比較的高いCO圧(例えば、100psiより高い、約200psiより高い、もしくは約400psiより高い)において、上記金属錯体のうちのいずれかと開始され得る。これら条件は、カーボネート結合が優勢なポリマーを生成する。一定の時間の後、上記CO圧は、下げられる(例えば、100psi未満、50psi未満、もしくは大気圧まで)か、または完全に除去される。これら条件は、より多くのエーテル結合が成長しつつあるポリマー鎖の中に組み込まれた新たなブロックを生じる。上記プロセスは、必要に応じて1回以上反復されて、ジブロックポリマー、トリブロックポリマーもしくはマルチブロックポリマーを形成し得る。さらに、いくつかの異なるCO圧レベルは、いくつかの異なるブロックタイプを有するポリマーを生成するために、上記プロセスにおいて使用されうる。特定の実施形態において、上記CO圧は、最初に低く、その後、増大させられる。特定の他の実施形態において、上記CO圧は、周期的に変化させられる。特定の他の実施形態において、上記CO圧は、経時的になめらかに変化させられて、テーパードポリエーテルコポリカーボネートポリマー組成物もしくはテーパードコポリマー構造を有するブロックを形成する。
【実施例】
【0381】
(実施例1.エチレンオキシドと二酸化炭素との交互(alternating)共重合のための非常に活性なコバルト触媒)
本発明者らは、(salcy)CoOBzF(salcy=N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−ジアミノシクロヘキサン;OBzF=ペンタフルオロベンゾエート;1)が、シクロヘキセンオキシド(CHO)もしくはプロピレンオキシド(PO)と、COとを効率的に共重合することを最近見いだした。しかし、EOとCOとを共重合させて、PECを作製するために1を使用する報告はなされていない。本明細書では、低CO圧下でEO/COを共重合して、高いカーボネートパーセンテージを有するコポリマーを生成するための非常に活性なCo(salcy)触媒の開発を報告する。
【0382】
ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド([PPN]Cl)とともに1を使用して、POとCOとを共重合する最近の成功によって、本発明者らは、EOとCOとの共重合のための本触媒系(スキーム1および表2)を研究した((a)Moore,D.R.;Cheng,M.;Lobkovsky,E.B.;Coates,G.W.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,2599−2602.(b)Cheng,M.;Moore,D.R.;Reczek,J.J.;Chamberian,B.M.;Lobkovsky,E.B.;Coates,G.W.J.Am.Chem.Soc.2001,123,8738−8749.(c)Cheng,M.;Lobkovsky,E.B.;Coates,G.W.J.Am.Chem.Soc.1998,120,11018−11019.(d)Allen,S.D.;Moore,D.R.;Lobkovsky,E.B.;Coates,G.W.J.Am.Chem.Soc.2002,124,14284−14285.(e)Qin,Z.Q.;Thomas,C.M.;Lee,S.;Coates,G.W.Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5484−5487.(f)Cohen,C.T.;Chu,T.;Coates,G.W.J.Am.Chem.Soc.2005,127,10869−10878.(g)Cohen,C.T.;Coates,G.W.J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.2006,44,5182−5191を参照のこと)。
【0383】
スキーム1.
【0384】
【化94】

【0385】
【表2】

【0386】
【化95】

【0387】
【化96】

【0388】
【化97】

【0389】
1/[PPN]Clと、EOとを、22℃で100psi CO下で反応させると、ちょうど1時間後に非常に粘性の溶液を生じた。これは、1/[PPN]Clが、EO/CO共重合に対して活性であることを示唆した。上記生成物のさらなる分析から、ポリ(EO−コ−EC)が合成されることが明らかになった(エントリー1,表3)。
【0390】
上記1/[PPN]Clによって生成されるポリマーのH NMRスペクトルを、図1Aに示す。予測されるポリカーボネートピーク(a)に加えて、シフトもまた、観察された。これは、エーテル結合(b,c,d)に対応し、これら条件下での共重合が、完全には交互ではないことを示す。エーテル組み込みは、ガスバリア特性に悪影響を及ぼすので問題である。反応条件における多くの変更にも拘わらず、本発明者らは、触媒1を使用するエーテル組み込みを完全に抑制することができなかった。
【0391】
【表3】

【0392】
未希釈の(neat)エチレンオキシド(EO)において;[EO]=20M;[Co]=[[PPN]Cl];22℃で100psiのCO、1時間での重合実施。 PECおよびECの両方が存在すると仮定した、粗製生成物質量によって決定される。 ターンオーバー頻度=mol PEC/mol Co・h。 上記精製コポリマーのH NMR分光法によって決定される。 上記粗製生成物のPECおよびECのH NMR分光法によって決定される。 DMF中のPMMA標準で較正したゲル濾過クロマトグラフィーによって決定される。 30分。 3時間。CO2=80psi。CO2=50psi。 0℃、3時間。 [EO]=1,4−ジオキサン中10M、1.5時間。
【0393】
完全に交互の共重合を達成するために、上記触媒構造を、配位子置換基を変化させることによって最適化した。いくつかの触媒を、Rおよび/もしくはRを変化させることによって調製し(スキーム1)、EO/CO共重合についてスクリーニングした(表3)。触媒1〜10は、共重合について活性であり、それらの活性は、上記置換基RおよびRによって影響を及ぼされた。RおよびRにおいてtert−ブチル基がある(1)と、上記共重合は、急激に進んで、高いターンオーバー頻度(TOF)とともに、1時間で47% EO変換を与えた(エントリー1)。1時間後、上記共重合溶液は、非常に粘性になり、COの溶解を妨げ、上記重合を効率的に停止させた。さらに、バックバイティング(back biting)が起こって、17% エチレンカーボネート(EC)を生成した(エントリー1)。上記反応時間を30分にまで減らすと、粘性は低いままであり、従って、バックバイティングは減少し、カーボネートパーセンテージは増大した(エントリー2)。1と比較すると。Rにおいてより嵩高い置換基を有する2は、より高いカーボネートパーセンテージを有するコポリマーを与えたが、上記触媒活性はわずかに低下した(エントリー9)。このことは、上記R置換基の嵩高さは、カーボネートパーセンテージに顕著に影響を及ぼすことを示唆した。錯体3および錯体4は、ほぼ完全に交互になったPEC(エントリー10および11)を生じた。上記カーボネート含有量は、傾向1<2<3<4をたどり、その活性の傾向は、1>2>3>4であった。このことは、カーボネートパーセンテージが、立体障害に伴って増大すると同時に、活性は低下することを実証する。
【0394】
を変更することの影響もまた、試験した。Me基を有する触媒5は、250h−1というTOFを生じる最も遅い重合を与えた。しかし、得られたコポリマーは、非常に高いカーボネートパーセンテージ(99.1%(エントリー12))を示した。R=i−Prである錯体6は、錯体3と類似の触媒活性および類似のカーボネートパーセンテージ(エントリー13)を示した。この観察は、上記置換基Rが、上記カーボネートパーセンテージに顕著に影響を及ぼさないが、速度には影響を及ぼすことを示唆する。
【0395】
において小さな置換基を、およびRにおいて嵩高い置換基を有する錯体7は、得られるコポリマーにおいて高い活性および低いカーボネートパーセンテージを示すことを予測した。上記触媒活性は、比較的高かったが、本発明者らが驚いたことには、Rにおけされ小さな置換基にも関わらず、98% カーボネートパーセンテージが得られた。この結果は、RおよびRについての置換基が大きいほど、上記活性および上記カーボネートパーセンテージを改善することを示唆する。
【0396】
錯体8および錯体9を、市販の二置換フェノールから迅速に調製し、上記共重合についても評価した。触媒8は、1に匹敵する、910h−1という高いTOFを示し、96.8%のより高いカーボネートパーセンテージ(エントリー15)を与えた。触媒9は、430h−1というTOFを与え、これは、1および8より遅い。しかし、9は、99.1%の非常に高いカーボネートパーセンテージ(エントリー16)を与えた。これら3つの触媒の中でも、最も立体障害が少ない化合物1は、最も高い活性および最も低いカーボネートパーセンテージを与えた一方で、最も立体障害がある化合物9は、最も低いの活性を与えたが、最も高いのカーボネートパーセンテージを与えた。このことは、化合物1〜4で観察された傾向を再現する。
【0397】
本発明者らはまた、10をスクリーニングした。これは、1と同一であるが、シクロヘキシルの代わりにフェニル骨格を有する。この触媒の同様のバージョンは、アセテート開始剤とともに、POの立体選択的ホモ重合を誘導して、完全にアイソタクティックなポリ(プロピレンオキシド)を与える。上記触媒活性および上記カーボネート結合含有量は、それぞれ、540h−1および92.1%であり、1ほどには活性は高くなかったが、上記構造は、1のものと非常に類似している(エントリー17)。
【0398】
1の濃度を減らすと、上記触媒活性の低下が引き起こされたが、上記カーボネート結合の増大を引き起こした(エントリー3およびエントリー4)。この結果は、アルコキシドおよび上記コポリマーにおけるカーボネート末端に対するEOの挿入割合がCo濃度に依存し、上記EO挿入が、上記触媒の2種の金属を用いた機構を必要とし得ることを示唆する。
【0399】
共重合をまた、室温において30〜400psi下で、EO、Co触媒、および助触媒(PPNCl)の溶液にCOを満たすことによって行って、ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)を与えた。触媒活性は、他の触媒のものより高く、約100g−ポリマー/g−触媒・h(触媒1について)を与えた。触媒活性を、触媒2、触媒8、触媒9の中で比較した(表4)。上記触媒中の置換基が嵩高くなるほど、活性は低くなることが判明した。
【0400】
【表4】

【0401】
a)EO=100mmol、Co触媒=0.050mmol、PPNCl=0.050mmol、PCO2=100psi、重合時間=1h。
【0402】
触媒活性に対する(触媒1の)触媒濃度の効果をまた、調査した。表5に示されるように、上記触媒活性は、触媒1の濃度とともに増大した。
【0403】
【表5】

【0404】
a) [EO]=20M(バルク)、[Co]=[PPNCl]、PCO2=100psi。
【0405】
表5は、触媒1の触媒活性に対するCO圧の効果を示す。上記活性は、低圧において圧力とともに増大した。しかし、これは、最大約200psiを有した。
【0406】
【表6】

【0407】
a) [EO]=20M(バルク)、[Co 1]=[PPNCl]=1.0mM。
【0408】
H NMR分析から、上記得られたポリマーは、カーボネート結合から主になるが、いくらかの量のエーテル結合を有し、これは、反応条件(触媒濃度、CO圧、および反応温度)および上記触媒の置換基に依存した(図1および図2を参照のこと)。最も活性な触媒1は、最も少ないカーボネート結合を有し、最も活性が小さい触媒2は、最も高いカーボネート結合を有した。特に、上記触媒2は、ほぼ完全なPECを生じた。上記カーボネート結合に対する上記触媒濃度の効果もまた、表5に示した。上記カーボネート結合は、上記触媒濃度を低下させることによって増大することを示した。上記CO圧はまた、上記カーボネート結合に影響を及ぼした。予測されるのとは逆に、上記カーボネート結合は、表6に示されるように、上記圧力を増大させることによって低下した。
【0409】
触媒15はまた、ポリ(エチレンカーボネート−コ−エチレンオキシド)ポリマーを提供するのに有効であることがわかった。
【0410】
【化98】

【0411】
EO:CO:PPNCl=2000:1:1; PCO=100psi; 3時間; ポリマーの14%収率; TOF=92h−1; カーボネート結合 96%; PEC:EC=93:7。
【0412】
結論として、本発明者らは、Co触媒による(Co−catalyzed)EO/CO共重合の最初の例を報告した。上記重合は、比較的低い圧しの下ですら、非常に速かった。上記得られたコポリマーは、カーボネート結合からのみならず、エーテル結合からもなり、このことは、EO/CO交互共重合およびEOホモ重合の両方が、上記共重合の間に起こっていることを示す。上記エーテル含有量は、上記触媒設計を介して減少させられ得る。触媒3は、高い触媒活性および最も高いカーボネート含有量を有するコポリマーを与え、これは、ほぼ完全に交互のコポリマーである。
【0413】
(実施例2.エチレンオキシドの重合(PEO))
(Salcy)CoOBzFは、PPNClの存在下で、エチレンオキシド(EO)重合を誘導した。その活性は、PPNCl/Co比に強く依存した(表7および図3を参照のこと)。
【0414】
スキーム2
【0415】
【化99】

【0416】
【表7】

【0417】
[EO]=20M、[Co]=5.0mM、[PPNCl]=1.0〜5.0mM、室温10分。
【0418】
(実施例3.PEO−b−PECのブロックコポリマーの合成)
次いで、上記ワンポットPEO−b−PEC合成を、試験した。PEOをガラスオートクレーブ中で最初に重合し、次いで、上記反応溶液をCOで加圧して、EO/CO共重合に供した。このポリマーは、硬質セグメント(PEO)/軟質セグメント(PEC)からなり、従って、新たな機能を有すると考えられる(PEO−b−PECのTGA分析およびDSC分析を示す図4A〜4Bを参照のこと)。
【0419】
スキーム3
【0420】
【化100】

【0421】
(他の実施形態)
前述は、特定の非限定的な好ましい実施形態の記載であった。当業者は、この記載に対する種々の変更および改変が、以下の特許請求の範囲において定義されるように、本開示の趣旨もしくは範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法であって、ここで該ポリマーは、Y、および必要に応じてZから構成され、Yのパーセンテージは、Zのパーセンテージより大きく、
【化101】

該方法は、エチレンオキシドと二酸化炭素とを、金属錯体の存在下で反応させる工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記金属錯体は、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンの錯体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コバルト錯体は、コバルト触媒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コバルト錯体は、Co(III)錯体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属錯体は、以下の式のものであり:
【化102】

ここで:
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、求核性配位子であり;
、R、およびRの各実例は、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRとR、もしくはRとRは結合して、必要に応じて置換されたアリール環もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリール環を形成し;そして
環Aは、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属錯体は、以下の式のものであり:
【化103】

ここで:
4A、R5A、R13A、R13B、R14A、R14B、R15A、R15B、R16AおよびR16Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;そして/または、必要に応じて、R13AとR13B、および/もしくはR14AとR14B、および/もしくはR15AとR15B、および/もしくはR16AとR16Bは、必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3員〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基が結合して、5員〜6員の環を形成する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属錯体は、以下の式のものもしくはこれらの混合物である、請求項6に記載の方法:
【化104】


【請求項8】
前記金属錯体は、以下の式のものであり:
【化105】

ここで:
、R、R、およびR10は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、Rの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合っているR、R、R、およびR10から選択される2つの基は結合して、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記金属錯体は、以下の式のものである、請求項8に記載の方法:
【化106】


【請求項10】
前記金属錯体は、以下の式のものであり:
【化107】

ここでR17の各実例は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、Rの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合っている2つのR17基が結合して、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成し;そして
dは、0〜4である、
請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記金属錯体は、以下の式のものである、請求項10に記載の方法:
【化108】


【請求項12】
前記金属錯体は、以下の式のものである、請求項11に記載の方法:
【化109】


【請求項13】
は、必要に応じて置換されたC1−10脂肪族基である、請求項8、9、11、もしくは12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
は、必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
は、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項16】
は、必要に応じて置換されたC1−10脂肪族基である、請求項8、9、11、もしくは12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
は、必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
は、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記RのA値は、前記RのA値より大きい、請求項8、9、11、もしくは12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記RのA値は、前記RのA値より少なくとも1.5倍大きい、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記RのA値は、約2.5kcal/molより大きい、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記RのA値は、約2.5kcal/molより大きい、請求項8、9、11、もしくは12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記RのA値は、約0〜約2.5kcal/molの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記金属錯体は、以下の式のうちのいずれかから選択される、請求項5に記載の方法:
【化110】

【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

【化120】


【請求項25】
Mはコバルトである、請求項5〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
Xは、存在しないか、または−OR、−SR、−O(C=O)R、−O(C=O)OR、−O(C=O)N(R、−N(R)(C=O)R、−NC、−CN、ハロ、−N、およびPRであり、ここで各Rは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される、請求項5〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
Xは、−OC(=O)C、−O(C=O)C、−OC(=O)CF、−O(C=O)CH、−NC、−CN、−N、−Cl、もしくは−Brである、請求項4〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
Xは、−OC(=O)Cである、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記反応は、助触媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記助触媒は、ルイス塩基である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ルイス塩基は、N−メチルイミダゾール(N−MeIm)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)もしくは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記助触媒は塩である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記塩は、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、もしくはアルソニウム塩である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アンモニウム塩は、(n−Bu)NCl、(n−Bu)NBr、(n−Bu)NN、[PPN]Cl、[PPN]Br、もしくは[PPN]Nである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ホスホニウム塩は、PCyである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記塩のアニオンは、Xと同じ構造を有し、ここでXは、求核性配位子である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマーは、約85%より大きいYを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマーは、約90%より大きいYを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリマーは、約95%より大きいYを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリマーは、約99%より大きいYを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリマーは、100%のYおよび0%のZである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマーは、以下の式のものであり:
【化121】

Pは、両端を含めて、約5,000〜約20,000の間の整数であり;そして
各FおよびGは、独立して、適切な末端基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項43】
Pは、両端を含めて、約10,000〜約15,000の間の整数である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
Pは、約12,000の整数である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記エチレンオキシドおよび前記金属錯体は、約500:1〜約500,000:1のエチレンオキシド 対 金属錯体比で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
エチレンオキシドは、約10M〜約30Mの間の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記COは、約30psi〜約800psiの間の圧力で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記COは、約30psi〜約500psiの間の圧力で存在する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記COは、約30psi〜約100psiの間の圧力で存在する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記反応工程は、約0℃〜約100℃の間の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記反応工程は、溶媒をさらに含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記反応工程は、1種以上の溶媒をさらに含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記溶媒は、1,4−ジオキサンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記反応工程は、約20%未満の量で副生成物としてエチレンカーボネート(EC)を生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記反応工程は、約5%未満の量で副生成物としてエチレンカーボネート(EC)を生じる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記反応工程は、約1%未満の量で副生成物としてエチレンカーボネート(EC)を生じる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、YとZとのテーパードコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーは、YとZとのブロックコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
ポリ(エチレンカーボネート)ポリマーを合成する方法であって、該方法は、エチレンオキシドと二酸化炭素とを、コバルト錯体の存在下で反応させる工程を包含し、
ここで該コバルト錯体は、以下の式のもののうちのいずれか1つであり:
【化122】

【化123】

【化124】

【化125】

【化126】

【化127】

【化128】

【化129】

【化130】

【化131】

【化132】

ここでXは、存在しないか、または求核性配位子である、方法。
【請求項60】
以下の式の金属錯体であって:
【化133】

ここで
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、または求核性配位子であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;
およびRは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;そして
環Aは、必要に応じて置換されたシクロヘキシル環もしくはフェニル環を形成する、
金属錯体。
【請求項61】
は水素である、請求項60に記載の金属錯体。
【請求項62】
前記錯体は、以下の式のものである、請求項61に記載の金属錯体:
【化134】


【請求項63】
Mは、コバルトもしくはクロムである、請求項62に記載の金属錯体。
【請求項64】
Mは、コバルト(III)である、請求項62に記載の金属錯体。
【請求項65】
およびRは異なっている、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項66】
およびRは、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項67】
およびRは、水素および必要に応じて置換された脂肪族から独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項68】
およびR9は、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項69】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項70】
およびRは、水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項71】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項72】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される、請求項64に記載の金属錯体。
【請求項73】
は、Rが−C(CHPhである場合、−C(CHPh以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項74】
は、Rが−[C(CHCHCHN(Bu)である場合、−[C(CHCHCHN(Bu)以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項75】
は、Rが−CH(CHCH)Cである場合、水素以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項76】
は、Rが−C(CHCHC(CHである場合、−C(CHCHC(CH 以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項77】
は、Rが−CH(C)CH=CHである場合、−C(CH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項78】
は、Rが−C(CHCHCHである場合、−C(CH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項79】
は、Rが−C(CHCHCHである場合、−C(CHCHCH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項80】
は、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、−C(CH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項81】
は、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、−C(CHCHCH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項82】
は、Rがシクロヘキシルである場合、−CH以外のものである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項83】
前記錯体は、以下の式のものである、請求項61に記載の金属錯体:
【化135】


【請求項84】
Mは、コバルトもしくはクロムである、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項85】
Mは、コバルト(III)である、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項86】
およびRは、異なっている、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項87】
およびRは、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項88】
およびRは、水素および必要に応じて置換された脂肪族から独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項89】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項90】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項91】
およびRは、水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項92】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項93】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される、請求項83に記載の金属錯体。
【請求項94】
は、Rが−C(CHPhである場合、−C(CHPh以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項95】
は、Rが−[C(CHCHCHN(Bu)である場合、−[C(CHCHCHN(Bu)以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項96】
は、Rが−CH(CHCH)Cである場合、水素以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項97】
は、Rが−C(CHCHC(CHである場合、−C(CHCHC(CH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項98】
は、Rが−CH(C)CH=CHである場合、−C(CH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項99】
は、Rが−C(CHCHCHである場合、−C(CH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項100】
は、Rが−C(CHCHCHである場合、−C(CHCHCH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項101】
は、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、−C(CH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項102】
は、Rが1−メチル−シクロヘキシルである場合、−C(CHCHCH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項103】
は、Rがシクロヘキシルである場合、−CH以外のものである、請求項83〜86のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項104】
以下の式の金属錯体であって:
【化136】

ここで:
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、または求核性配位子であり;
およびRは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;そして
4A、R4B、R5A、R5B、およびR6A、R6Bは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、そして/またはR4AとR4B、および/もしくはR5AとR5B、および/もしくはR6AとR6Bは、必要に応じて結合されて、オキソ(=O)基、オキシム(=NOR)基、イミン(=NN(R)基、アルケニル(=C(R)基、および/もしくは3員〜6員のスピロ環式環を形成し、ここでRおよびRの各実例は、独立して、水素もしくは必要に応じて置換された脂肪族であり、ここで必要に応じて2つのR基もしくは2つのR基が結合されて、3員〜6員の環を形成する、
金属錯体。
【請求項105】
Mは、コバルトもしくはクロムである、請求項104に記載の金属錯体。
【請求項106】
Mは、コバルト(III)である、請求項104に記載の金属錯体。
【請求項107】
およびRは、異なっている、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項108】
およびRは、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項109】
およびRは、水素および必要に応じて置換された脂肪族から独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項110】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項111】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項112】
およびRは、水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルおよびクミルから独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項113】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項114】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される、請求項106に記載の金属錯体。
【請求項115】
以下の式の金属錯体であって:
【化137】

ここで:
Mは、亜鉛、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ルテニウムもしくはマンガンから選択される金属であり;
Xは、存在しないか、または求核性配位子であり;
、R、Rは、独立して、水素、ハロゲン、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;
およびRは、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され;そして
環Aは、必要に応じて置換されたシクロヘキシルもしくはフェニル環を形成する、
金属錯体。
【請求項116】
前記錯体は、以下の式のものである、請求項115に記載の金属錯体:
【化138】


【請求項117】
前記錯体は、以下の式のものであり:
【化139】

ここで:
17は、独立して、水素、ハロゲン、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−OSO、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−CN、−CNO、−NCO、−N、−NO、−N(R、−N(R)C(=O)OR、−N(R)C(=O)R、−N(R)SO、−SO、−SOR、−SON(R、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択され、ここでRの各実例は、独立して、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、そしてRの各実例は、独立して、水素、必要に応じて置換された脂肪族、必要に応じて置換されたヘテロ脂肪族、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり;そして/または互いに隣り合う2つのR17基が結合されて、必要に応じて置換された5員環もしくは6員環を形成し;そして
dは、0〜4である、
請求項115に記載の金属錯体。
【請求項118】
Mは、コバルトもしくはクロムである、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項119】
Mは、コバルト(III)である、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項120】
、R、およびRは、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項121】
、R、およびRは、水素および必要に応じて置換された脂肪族から独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項122】
、R、およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項123】
、R、およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項124】
、R、およびRは、水素、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項125】
、R、およびRは、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項126】
、R、およびRは、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項127】
およびRは、異なっている、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項128】
およびRは、水素、必要に応じて置換された脂肪族および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項129】
およびRは、水素および必要に応じて置換された脂肪族から独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項130】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12脂肪族から独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項131】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたC1−12アルキルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項132】
およびRは、水素およびメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、アミル、トリチル、アダマンチル、テキシル、ベンジルならびにクミルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項133】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたアリールから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項134】
およびRは、水素および必要に応じて置換されたフェニルから独立して選択される、請求項115〜117のいずれか1項に記載の金属錯体。
【請求項135】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化140】

【化141】

【化142】

【化143】

ここでXは、存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。
【請求項136】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化144】

【化145】

【化146】

【化147】

ここでXは、存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。
【請求項137】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化148】

ここでXは存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。
【請求項138】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化149】

ここでXは存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。
【請求項139】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化150】

ここでXは存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。
【請求項140】
以下の構造のコバルト(III)錯体であって:
【化151】

ここでXは存在しないか、または求核性配位子である、コバルト(III)錯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−520013(P2011−520013A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508617(P2011−508617)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/042926
【国際公開番号】WO2009/137540
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510296236)コーネル ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】