説明

エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液、その製造法および該水性分散液の使用

エチレン系不飽和アニオンモノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって得ることができる、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液において、この重合が安定剤としての(a)ポリエチレングリコール上の酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコール、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸またはメタクリル酸とからなるコポリマー、ポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリアルキレングリコール、および(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形での、ビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはカチオン変性されたジャガイモ澱粉、アニオン変性されたジャガイモ澱粉、分解されたジャガイモ澱粉およびマルトデキストリンの群からの水溶性澱粉の群の少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で実施されていることを特徴とする、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液、前記モノマーを水性媒体中で群(a)および(b)の上記の水溶性ポリマーの存在下でラジカル重合させることによって水性分散液を製造する方法、ならびに水性系のための濃稠化剤としての水性分散液の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン系不飽和アニオンモノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって得ることができる、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液、その製造および水性系のための濃稠化剤としての該水性分散液の使用に関する。
【0002】
米国特許第4380600号明細書の記載から、水溶性ポリマーの水性分散液の製造方法は、公知であり、この場合水溶性ポリマーを形成する水溶性モノマーは、少なくとも1つの別のポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンまたは澱粉の水溶液中でラジカル形成開始剤の存在下で重合する。重合の際に装入される別のポリマーの水溶液は、水溶性ポリマー3〜150質量部を含有する。重合の際に使用される水溶性モノマー、例えばアクリル酸、アクリル酸ナトリウムまたはアクリルアミドの量は、水100質量部に対して10〜150質量部である。こうして得ることができる、水溶性ポリマーの水性分散液の安定性を上昇させるために、重合は、付加的に界面活性剤の存在下で、必要な場合には、なお水溶性無機塩、例えば塩化ナトリウムまたは硫酸カリウムの存在下で実施することができる。
【0003】
欧州特許出願公開第0183466号明細書の記載から、水溶性ポリマーの水性分散液の製造方法は、公知であり、この場合水溶性モノマーは、塩、例えば硫酸アンモニウム塩および高分子量分散剤、例えば600までの分子量を有するポリオール、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール、カチオン高分子電解質またはアニオン高分子電解質を含有する水溶液中で重合される。特殊なカチオンモノマーからなるホモポリマーを除外して、前記方法によれば、イオン性モノマーのホモポリマーは、製造されることができない。欧州特許出願公開第0183466号明細書、第5頁第2〜6行参照。しかし、実施例に示されているように、アクリルアミドとアクリル酸とからなるコポリマーは、製造することができる。
【0004】
米国特許第5605970号明細書の記載から、高分子量のアニオンポリマーの水性分散液の製造法は、公知である。前記方法の場合、アクリル酸の水溶液は、硫酸アンモニウム、グリセリン、エチレングリコールおよびアクリル酸66モル%とナトリウムアクリレート22モル%とエチルヘキシルアクリレート12モル%とからなる低分子量三元共重合体2〜20質量%を添加しながら、エチルヘキシルアクリレート3〜14モル%および重合開始剤の存在下に4.5未満のpH値でアクリル酸とナトリウムアクリレートとエチルヘキシルアクリレートとからなる高分子量三元共重合体の水性分散液の形成下で重合される。三元共重合体は、冷却後に単離される。公知方法の場合には、無機塩および疎水性モノマー、例えばエチルヘキシルアクリレートを使用することは、絶対に必要である。しかし、それによって、アニオンポリマーの性質は、望ましくない方法で変化される。
【0005】
更に、N−ビニルカルボン酸アミドの水溶性ポリマーの水性分散液は、公知である。前記の水性分散液は、WO−A−03/046024の教示によれば、N−ビニルカルボン酸アミドを水性媒体中で高分子量安定剤、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルイミダゾールまたはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドの存在下で重合させることによって製造されるか、またはN−ビニルカルボン酸アミドを無機塩の高濃度を有する水溶液中で重合させることによって得ることができる。欧州特許第0984990号明細書中の実施例参照。
【0006】
WO−A−97/34933の記載から、高分子量の非イオンまたはアニオンポリマーの水性分散液は、公知であり、この場合この水性分散液は、モノマーを飽和塩水溶液中でアニオン水溶性高分子量安定剤の添加下に重合させることによって製造される。有利に使用されるモノマーは、アクリルアミドおよび/またはアクリル酸である。適当な高分子量安定剤は、例えば陰イオンの電荷を有する、100000〜5百万の分子量を有する水溶性ポリマーである。前記の高分子量安定剤は、全分散液に対して例えば0.1〜5質量%の量で使用される。重合中、pH値は、2〜5の範囲内に維持されていなければならない。
【0007】
機塩を溶解された形で含有する水溶性アニオンポリマーの水性分散液は、例えば水性系、例えば紙用塗工液のための濃稠化剤として使用されることができない。それというのも、無機塩は、濃稠化すべき系の粘度を低下させるからである。この性質は、”食塩中毒効果(salt poisoning effect)”として公知である。
【0008】
本発明は、水溶性アニオンポリマーの水性分散液の製造の際に安定した作用を有しない無機塩を使用しなければならず、したがって精製される分散液が実際にこのような塩を含有していないような水溶性アニオンポリマーの水性分散液を提供するという課題が課されている。
【0009】
この課題は、本発明によれば、ラジカル重合が安定剤としての
(a)ポリエチレングリコール上の酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコール、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸またはメタクリル酸とからなるコポリマー、ポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリアルキレングリコール、および
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形での、ビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはカチオン変性されたジャガイモ澱粉、アニオン変性されたジャガイモ澱粉、分解されたジャガイモ澱粉およびマルトデキストリンの群からの水溶性澱粉の群の少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で実施されている場合に、エチレン系不飽和アニオンモノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって得ることができる、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液で解決される。
【0010】
アニオンモノマーとして、例えばモノエチレン系不飽和C〜C−カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはフマル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸および/またはこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩がこれに該当する。有利に使用されるアニオンモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が属する。特に好ましいのは、アクリル酸を基礎とするポリマーの水性分散液である。アニオンモノマーは、単独でホモポリマーに重合されてもよいし、互いの混合物でコポリマーに重合されてもよい。このための例は、アクリル酸のホモポリマーまたはアクリル酸とメタクリル酸および/またはマレイン酸とのコポリマーである。
【0011】
しかし、アニオンモノマーの重合は、別のエチレン系不飽和モノマーの存在下で実施されてもよい。前記モノマーは、非イオン性であってもよいし、陽イオンの電荷を有していてもよい。このようなコモノマーの例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、1〜4個のC原子を有する1価アルコールのアクリル酸エステル、1〜2個のC原子を有する1価アルコールのメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルイミダゾールおよび四級化ビニルイミダゾールである。塩基性モノマー、例えばジメチルアミノエチルアクリレートまたはジメチルアミノエチルメタクリレートは、遊離塩基の形ならびに部分的または完全に中和された形で重合の際に使用されてよい。コモノマーは、アニオンポリマーの製造の際に、例えば精製されるポリマーが水溶性であり、陰イオンの電荷を有するような量で使用される。非イオンコモノマーおよび/または陽イオンコモノマーの量は、重合の際に全体的に使用されるモノマーに対して、例えば0〜99質量%、特に5〜75質量%である。
【0012】
好ましいコポリマーは、例えばアクリル酸25〜90質量%とアクリルアミド75〜10質量%とからなるコポリマーである。
【0013】
重合は、付加的に少なくとも1つの架橋剤の存在下で実施されてよい。更に、よりいっそう高い分子量を有するコポリマーは、アニオンモノマーの重合の際に架橋剤の不在下で得ることができる。架橋されたコポリマーは、高い水吸収能を有する。この架橋されたポリマーは、例えば水性系、例えば紙用塗工液のための濃稠化剤として使用可能である。架橋剤として、分子中で少なくとも2個のエチレン系不飽和二重結合を有する全ての化合物が使用されてよい。このような化合物は、例えば架橋されたポリアクリル酸、例えば超吸収性ポリマーの製造の際に使用される。欧州特許出願公開第0858478号明細書参照。架橋剤の例は、トリアリルアミン、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N′−ジビニルエチレン尿素、アクリル酸またはメタクリル酸で完全にエステル化された、2〜4個のC原子を有する2価アルコール、例えばエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ブタンジオール、ジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、300〜600の分子量を有するポリエチレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート、エトキシル化トリメチレンプロパントリアクリレートまたはエトキシル化トリメチレンプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタノールトリメタクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレートおよびトリアリルメチルアンモニウムクロリドである。アニオン分散液の製造の際に架橋剤を使用する場合には、架橋剤のそれぞれ使用される量は、例えば重合の際に全体的に使用されるモノマーに対して0.0005〜5.0質量%、特に0.001〜1.0質量%である。
【0014】
重合の場合、通常は、反応条件下でラジカルを形成する開始剤が使用される。適当な重合開始剤は、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、酸化還元触媒およびアゾ化合物、例えば2,2−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。開始剤は、重合の際に通常の量で使用される。好ましくは、アゾ開始剤は、重合開始剤として使用される。しかし、重合は、エネルギーに富んだ放射線、例えば電子線を用いて開始されてもよいし、UV光での照射によって開始されてもよい。
【0015】
アニオンポリマーの水性分散液は、例えば1〜60質量%、特に10〜50質量%、有利に10〜40質量%、特に有利に10〜30質量%、殊に15〜25質量%のポリマー濃度を有する。このアニオンポリマーの水性分散液は、本発明によれば、重合の際に生じるアニオンポリマーを安定化させるために、上記のポリマー(a)と(b)の少なくとも2つの異なる基を含有する。水性分散液中での安定剤(a)および(b)の量は、例えば1〜30質量%、特に4〜30質量%、有利に5〜25質量%、殊に5〜20質量%である。水性分散液は、例えば4.5のpH値で200〜20000mPas、特に200〜12000mPas、有利に200〜6000mPasの範囲内の粘度を有する(20℃でスピンドル6、100rpmでB型粘度計中で測定した)。
【0016】
本発明による水性分散液の未架橋のアニオンポリマーは、一般にGPC(Gel Permeation Chromatography、ポリアクリル酸に対して測定した)およびFFF(Field Flow Fractionation)で測定された、10000〜15000000g/モル、有利に5000〜10000000g/モルの範囲内の分子量を有する。架橋されたアニオンポリマーについては、分子量は、前記方法では測定不可能である。この場合、分子量は、架橋剤の使用された量またはポリマーの枝分かれ度に依存し、それに応じて未架橋のポリマーについては、記載された範囲外であってもよい。
【0017】
群(a)の安定剤としては、好ましくはポリエチレングリコール上の酢酸ビニの水溶性グラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコールおよび/またはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとメタクリル酸とからなるコポリマーがこれに該当する。ポリアルキレングリコールは、例えばWO−A−03/046024、第4頁、第37行〜第8頁、第9行に記載されている。グラフト主鎖100質量部上には、例えば酢酸ビニル10〜1000質量部、特に30〜300質量部がグラフトされている。好ましくは、1000〜100000の分子量Mを有するポリエチレングリコールが主鎖として使用される。
【0018】
更に、群(a)の好ましい安定剤は、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸とからなるコポリマーである。このような化合物は、例えばセメントのための分散剤として公知である。前記化合物は、最初に、例えばC〜C18−アルコールへの酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンの付加生成物をアクリル酸および/またはメタクリル酸でエステル化し、次にこのエステルをアクリル酸および/またはメタクリル酸で共重合することにより製造される。通常使用されるコポリマーは、例えばアルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合導入された単位5〜60質量%、特に10〜35質量%および(メタ)アクリル酸の重合導入された単位95〜40質量%、特に90〜65質量%を含有する。前記コポリマーは、多くの場合に2000〜50000、特に5000〜20000の分子量を有する。このコポリマーは、遊離酸基の形または完全または部分的に中和された形で本発明による分散液の製造の際に使用されてよい。コポリマーのカルボキシル基は、特に苛性ソーダ液またはアンモニアで中和される。
【0019】
更に、適当な水溶性ポリマー(a)は、100〜100000、有利に300〜80000、特に有利に600〜50000、殊に1000〜50000の分子量Mを有するポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖された、100〜100000、有利に300〜80000、特に有利に600〜50000、殊に1000〜50000の分子量をMを有するポリアルキレングリコールである。水溶性ポリマーは、例えば上記に引用されたWO−A−03/046024、第4頁第37行〜第8頁第9行に記載されている。好ましいポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび酸化エチレンと酸化プロピレンとからなるブロック共重合体である。ブロック共重合体は、酸化エチレンおよび酸化プロピレンを任意の量および任意の順序で重合導入して含有することができる。ポリアルキレングリコールのOH末端基は、場合によってはメチル基で閉鎖されていてよい。
【0020】
群(a)の水溶性ポリマーは、例えば分散液の製造の際に全部の分散液に対して2〜15質量%、特に5〜12質量%の量で使用される。
【0021】
群(b)の水溶性ポリマーとしては、特にビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーが遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形で使用される。ビニルアルキルエーテルのアルキル基は、例えば1〜4個の炭素原子を有することができる。コポリマーは、ビニルアルキルエーテルを無水マレイン酸と共重合し、引続き無水物基を加水分解してカルボキシル基に変え、場合によっては部分的または完全にカルボキシル基を中和することによって得ることができる。群(b)の特に好ましい水溶性ポリマーは、遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形のビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーである。更に、群(b)の適当な水溶性ポリマーは、カチオン変性されたジャガイモ澱粉、アニオン変性されたジャガイモ澱粉、分解されたジャガイモ澱粉およびマルトデキストリンの群からの水溶性澱粉である。カチオン変性されたジャガイモ澱粉の例は、市販製品Amylofax 15およびPerbond 970である。適当なアニオン変性されたジャガイモ澱粉は、Perfectamyl A 4692である。この場合、変性は、本質的にジャガイモ澱粉のカルボキシル化にある。C*Pur 1906は、酵素分解されたジャガイモ澱粉の1例であり、Maltodextrin C 01915は、加水分解されたジャガイモ澱粉の1例である。記載された澱粉の中で、有利には、マルトデキストリンが使用される。
【0022】
本発明による水性分散液は、群(b)のポリマーを、例えば2〜15質量%、特に5〜12質量%の量で含有する。群(a)の水溶性ポリマーと群(b)のポリマーとの比は、本発明による分散液中で、例えば1:5〜5:1であり、有利には、1:2〜2:1の範囲内にある。
【0023】
アニオンポリマーの水性分散液は、特に安定剤として
(a)1000〜100000の分子量Mのポリエチレングリコール上の酢酸ビニルの少なくとも1つのグラフトポリマーと
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形のビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる少なくとも1つの加水分解されたコポリマーとからなる組合せ物を含有する。
【0024】
更に、本発明の1つの好ましい実施態様の場合には、次の水溶性ポリマーからなる組合せ物が使用される:
(a)アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸とからなるコポリマーおよび
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形のビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる少なくとも1つの加水分解されたコポリマーとからなるコポリマー。
【0025】
更に、アニオンポリマーの水性分散液を製造するための安定剤の組合せ物は、例えば
(a)300〜50000の分子量を有するポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/または酸化エチレンと酸化プロピレンとからなるブロック共重合体および/またはC〜C−アルキル基で片側または両側で末端基封鎖された、300〜50000の分子量Mのポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/または酸化エチレンと酸化プロピレンとからなるブロック共重合体と
(b)マルトデキストリンとからなる混合物である。
【0026】
更に、本発明の対象は、エチレン系不飽和アニオンモノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液を製造する方法でもあり、この場合このラジカル重合は、安定剤としての
(a)ポリエチレングリコール上の酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコール、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸またはメタクリル酸とからなるコポリマー、ポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリアルキレングリコール、および
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形での、ビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはカチオン変性されたジャガイモ澱粉、アニオン変性されたジャガイモ澱粉、分解されたジャガイモ澱粉およびマルトデキストリンの群からの水溶性澱粉の群の少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で1〜12、特に2〜5の範囲の内のpH値で実施される。
【0027】
0.1〜200μm、特に0.5〜70μmの粒径を有するアニオンポリマーの安定した水性分散液を得ることができる。6未満のpH値の場合、約5〜35質量%のアニオンポリマーを含有する分散液は、比較的低い粘度を有する。しかし、前記分散液を2質量%のアニオンポリマーの含量に希釈した場合には、混合物の粘度は、著しく上昇する。注目すべきことは、本発明による水性分散液の例えば2質量%の水溶液の粘度が7〜13のpH範囲内でほんの僅かだけ変化することである。即ち、例えば本発明による製造された水性ポリアクリル酸分散液からの2質量%の水溶液は、次の粘度経過を有する:
pH 7 : 25 000mPas pH 8 : 26 500mPas pH 9 : 27 000mPas pH 10 :27 000 mPas pH 12,3 :28 000 mPas pH 13 :27500mPas
架橋されていないアニオンポリマーは、水中で溶解し、一方、架橋剤の存在下で製造されたアニオンポリマーは、著しく膨張し、同様に水性媒体の粘度は、著しく上昇する。即ち、アニオンポリマーの2質量%の水溶液は、pH7で1000〜70000mPasの粘度を有する(20℃でスピンドル6でB型粘度計中で測定した)。
【0028】
アニオンポリマーの水性分散液は、水性系の濃稠化剤として、例えば紙用塗工液への添加剤として、捺染用ペーストのための濃稠化剤として、および水性塗料、例えば建物の正面用塗料として使用される。更に、薬学的製品(クリーム剤、経皮系、軟膏剤、カプセル剤等)、個人的ケア製品(ハンドクリーム、練り歯磨き、口腔手入れ製品、シャワー用ゲル、ローション、シャンプー等)、アルカリ蓄電池またはエアケア製品(例えば、室内用エアフレッシュ)への使用が可能である。更に、前記の水性分散液は、化粧学においても使用され、例えば毛髪化粧用調剤、例えばコンディショナーまたは毛髪固定剤に使用されるかまたは化粧用配合物のための濃稠化剤ならびに皮革の表面処理のための濃稠化剤として使用される。更に、被覆範囲、例えば錠剤のコーティングとして使用されてもよい。
【0029】
本発明による水性分散液は、例えば濃稠化剤として使用される。本発明による分散液で排除されることができた若干の問題は、公知技術水準から公知の濃稠化剤と関連している。
【0030】
従来のホモポリアクリレートをベースとする濃稠化剤またはレオロジー変性剤は、使用される製造方法(一般には、沈殿重合が実施される)に応じて固体の形で、特に粉末として生じる。従って、前記固体の濃稠化剤としての使用において、前記固体を再び溶液に変換するという問題が原理的に存在する。粒子は、最初溶剤、好ましくは水で7未満のpH、特に有利には4未満のpHで湿潤されなければならず、さらにこの粒子は、高い剪断力の作用下でかまたは選択的に長い攪拌時間によって溶液に変換することができる。一般に、濃稠化剤は、粘稠な液体配合物の製造の際に製造過程の開始時に酸性の環境で溶解され、引続きさらに他の配合物成分が混入されて配合される。公知技術水準によれば、アルカリ性媒体中でホモポリアクリレートをベースとする濃稠化剤の混入は、不可能である。前記媒体は、直ちに濃稠化し、粉末状の濃稠化剤は、極めて難溶性のゲル粒子のみを形成し、したがって定義された粘度の調節は、不可能である。
【0031】
殊にアルカリ性の配合物内容物質を濃稠化剤の溶液中に導入する場合には、配合物の粘度は、上昇し、場合によってはこの配合物には、塩基(例えば、NaOH、KOH、トリエタノールアミン、有機または無機アミン等)が添加され、ポリアクリレートの濃稠化作用が発揮される。
【0032】
一般にアルカリ性成分は、できるだけ最後の成分として配合物中に導入することが試みられ、処理中にできるだけ長く低粘稠な生成物を取り扱うことができる。また、選択的に、粘度は、先に別個に溶解された濃稠化剤の濃厚な溶液を添加することによって調節されてもよく、この場合には、濃稠化剤の溶解特性ならびに前記の濃稠化剤プレミックスの粘度のために、限界状態に置かれる。更に、この場合、付加的な装置部材(例えば、貯蔵タンク/計量供給タンク)が必要であることは、欠点である。一般的な問題は、前記配合物の最終粘度が変動しうることである。
【0033】
粘稠な液体配合物を製造する際に本発明による水性ポリマー分散液を濃稠化剤として使用することによって、これまで規定されていなかった処理自由度が達成される。ポリマー分散液は、全体的なpH値範囲内で、即ち添加の時点での配合物のpH値に依存せずに添加されることができ(濃稠化剤としての使用技術的例17〜20参照)、この場合最終粘度は、同一の内容物質を使用する場合には、一定である。この場合、異なる塩基を使用することは、公知であるように、異なる粘度を生じる。
【0034】
本発明による水性分散液は、全体的なpH値範囲内で濃稠化することができる系に添加されてよい。
【0035】
本発明による水性ポリアクリレート分散液は、アルカリ性媒体と同様に酸性媒体中に、好ましくは僅かな剪断力の作用下で溶解されてよい。
【0036】
特に好ましいのは、本発明によるポリマー分散液をアルカリ性配合物中に混入することができるという可能性である。公知技術水準によるホモポリアクリレートをベースとする濃稠化剤は、殊に最終的な場合には、極めてた回線弾力の作用下および/または長い処理時間(攪拌時間)で極めて制限されて使用されることができる。本発明によるポリマー分散液の良好な溶解性のために、僅かな剪断力のみを使用することが必要とされ、即ち攪拌機、例えば馬蹄形攪拌機、ブレード型ミキサー等が使用されうる。従って、高い剪断力を有する、費用のかかる高価な装置(例えば、回転子−固定子混合系)は、不必要である。それによって必然的に、配合物中へのエネルギーの導入は、明らかに減少されている。それによって、重合体鎖の機械的分解、ひいては粘度の部分的減少は、回避される。
【0037】
更に、本発明によるポリマー分散液の使用は、配合物の製造の際に最終的な処理過程で生成物粘度の正確な調節を可能にする。更に、これは、前記過程に到るまで粘度は低く、高い剪断力が配合物に対して全く影響を及ぼさないという利点を有する。それによって、付加的に固体の、機械的に不安定な配合物成分を混入することは好ましい。
【0038】
本発明による水性分散液を用いて製造された濃稠化剤は、問題なしにアルカリ性生成物中に混入されることができるので、生成物粘度の事後の補正も可能である。
【0039】
更に、本発明によるポリマー分散液は、このポリマー分散液を低い粘度のために有利に取り扱うことができ、計量供給することができ、濃稠化しうる媒体中で極めて急速に溶解し、それによって処理時間を減少させることができるという、好ましい性質を有する。
【0040】
原理的に本発明による水性分散液は、全ての種類の生成物に適しており、この場合この見解には、定義されたレオロジーが重要である。次の使用に制限することなく、例示的には、次のことが記載される:洗剤および清浄剤、スタイリングゲル剤、シャンプー、毛染め剤および着色剤。
【0041】
更に、アニオンポリマーの本発明による水性分散液の特殊な使用形は、印刷された柔軟性の支持体、殊に印刷された紡織繊維の製造にあり、以下、捺染法とも呼称される。
【0042】
捺染法の実施のために、例えば少なくとも1つの本発明による水性分散液を捺染用ペースト、以下、本発明による捺染用ペーストとも呼称することにする、に加工し、その後に自体公知の方法で紡織繊維支持体を印刷するようにして行なうことができる。
【0043】
好ましくは、本発明による捺染用ペーストは、少なくとも1つの本発明による水性分散液を印刷処理において常用の助剤および少なくとも1つの顔料と混合することによって製造される。色の深さは、有利に顔料と本発明による使用される水性分散液との比を調整することによって調節される。
【0044】
顔料は、本発明による捺染用ペーストに特に顔料調剤の形で添加される。顔料調剤は、通常、顔料20〜60質量%、さらに水および1つ以上の表面活性化合物、例えば1つ以上の乳化剤を含有し、例示的にしばしばアルコキシル化されたC10〜C30−アルカノールが挙げられる。
【0045】
顔料は、本発明の範囲内で、DIN 55944の定義によれば、実際に不溶性で分散された微粒状の有機または無機の着色剤である。好ましくは、少なくとも1つの有機顔料および/または金属顔料が選択される。
【0046】
例示的に選択された有機顔料は、次の通りである。
モノアゾ顔料:C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、63、112、146、170、184、210、245、および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、73、74、65、97、151および183;
ジアゾ顔料:C.I.ピグメントオレンジ16、34および44;C.I.ピグメントレッド144、166、214および242;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176および188;
アンタントロン顔料:C.I.ピグメントレッド168(C.I.バットオレンジ3);
アントラキノン顔料:ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラキノン顔料:C.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラピリミジン顔料:C.I.ピグメントイエロー108(C.I.バットイエロー20);
キナクリドン顔料:C.I.ピグメントレッド122、202および206;C.I.ピグメントバイオレット19;
キノフタロン顔料:ピグメントイエロー138;
ジオキサジン顔料:C.I.ピグメントバイオレット23および37;
フラバントロン顔料:C.I.ピグメントイエロー24(C.I.バットイエロー1);
インダントロン顔料:C.I.ピグメントブルー60(C.I.バットブルー4)および64(C.I.バットブルー6);
イソインドリン顔料:C.I.ピグメントオレンジ69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185;
イソインドリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ61;C.I.ピグメントレッド257および260;C.I.ピグメントイエロー109、110、173および185;
イソビオラントロン顔料:ピグメントバイオレット31(C.I.バットバイオレット1);
金属錯体顔料:C.I.ピグメントイエロー117,150および153;C.I.ピグメントグリーン8;
ペリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.バットオレンジ7);C.I.ピグメントレッド194(C.I.バットレッド15);
ペリレン顔料:C.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179(C.I.バットレッド23)、190(C.I.バットレッド29)および224;C.I.ピグメントバイオレット29;
フタロシアニン顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;
ピラントロン顔料:C.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216(C.I.バットオレンジ4);
チオインジゴ顔料:C.I.ピグメントレッド88および181(C.I.バットレッド1);C.I.ピグメントバイオレット38(C.I.バットバイオレット3);
トリアリールカルボニウム顔料:C.I.ピグメントブルー1、61および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1および169;C.I.ピグメントバイオレット1、2、3および27;C.I.ピグメントブラック1(アニリン黒);
C.I.ピグメントイエロー101(アルダジン黄);
C.I.ピグメントブラウン22。
【0047】
特に好ましい顔料の例は、次の通りである:C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15:3および15:4、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントオレンジ5、38および43およびC.I.ピグメントグリーン7。
【0048】
更に適当な顔料は、金属顔料、例えば金青銅、銀青銅、イリオジン顔料、光輝顔料である。
【0049】
本発明により使用される顔料の平均直径は、通常、20nm〜1.5μmの範囲内、有利に300〜500nmの範囲内にある。
【0050】
結合剤としては、捺染において常用の全ての結合剤、例えばポリウレタンをベースとする結合剤、有利にアクリレートをベースとする結合剤(アクリレート結合剤)を使用することができる。アクリレートをベースとする結合剤は、通常、1つ以上の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸−C〜C10−アルキルエステルおよび場合によっては他のコモノマー、例えば(メタ)アクリルニトリルおよびスチレンとのコポリマーであり、この場合(メタ)アクリル酸は、例えばアルカリ金属水酸化物またはアンモニアで部分的または完全に中和されていてよい。
【0051】
本発明の1つの実施態様において、結合剤、殊にアクリレートをベースとする結合剤は、例えばフォックスの等式(Fox-Gleichung)により測定されたかまたはDSC(Differentialthermoanalyse, Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量測定)により測定された少なくとも0℃のガラス温度Tを有する。
【0052】
顔料と結合剤との比は、幅広い範囲内で選択することができる。即ち、例えば顔料および結合剤を20:1〜1:100の質量比で選択することは、可能である。本発明の1つの好ましい実施態様において、顔料と本発明により使用される水性分散液との比は、顔料と本発明により使用される水性分散液の固体含量との質量比が1:1〜1:20の範囲内にあるように調節される。
【0053】
勿論、最初に顔料および結合剤を20:1〜10:1の範囲内での質量比で予め混合し、加圧の直前で初めて他の結合剤を混入することも可能である。
【0054】
捺染における捺染用ペーストのための他の常用の助剤は、Ullmann, Handbuch der technischen Chemie und Verfahrenstechnikから公知であり、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版,見出し語:Textile Auxiliaries, 第A26巻,第286頁以降および第296頁以降, Verlag Chemie , Weinheim,, Deerfield/Florida, Basel; 1996およびTextil-Hilfsmittel-Katalog, Konradin Verlag Robert Kohlhammer GmbH, D-70771 Leinfelden-Echterdingen参照。常用の助剤としては、濃稠化剤、固着剤、手触り改良剤(Griffverbesserer)、消泡剤が挙げられる。
【0055】
更に、本発明の1つの好ましい実施態様において、本発明による捺染用ペーストは、シリコーン、殊にポリジメチルシロキサンおよび脂肪酸−C〜C10−アルキルエステルから選択された手触り改良剤を含有する。本発明による捺染用ペーストに添加されていてもよい商業的に得ることができる手触り改良剤の例は、Acramin(登録商標)可塑剤SI(Bayer AG)、Luprimol SIG (登録商標)、Luprimol TX 4732およびLuprimol CW(登録商標)(BASF AG)である。
【0056】
本発明の1つの好ましい実施態様において、本発明による捺染用ペーストは、他の添加剤として1つ以上の乳化剤を含有する。適当な乳化剤の例は、アリール置換またはアルキル置換されたポリグリコールエーテルである。商業的に得ることができる、適当な乳化剤のために例は、乳化剤W(登録商標)(Bayer)、Luprintol PE New(登録商標)およびLuprintol MP(登録商標)(BASF AG)である。
【0057】
本発明による捺染用ペーストを製造するために、例えば水、場合によっては消泡剤、例えばシリコーンをベースとする消泡剤を攪拌し、混合しながら、例えば攪拌しながら少なくとも1つの結合剤を添加するようにして行なうことができる。その後に、1つ以上の乳化剤および単数または複数の顔料を添加することができる。
【0058】
直ぐ次に、1つ以上の手触り改良剤、例えば1つ以上のシリコーン乳濁液を添加することができる。
【0059】
引続き、少なくとも1つの本発明による水性分散液が添加され、さらに混合、例えば攪拌しながら均質化される。
【0060】
典型的な本発明による捺染用ペーストは、それぞれ本発明による捺染用ペースト1kg当たり、
結合剤、例えばアクリレート結合剤5〜400g、有利に10〜250g、
乳化剤0〜100g、有利に1〜5g、
本発明による水性分散液1〜500g、有利に3〜100g、
顔料0〜500g、有利に0.1〜250g、有利に0.5〜120g、
場合によっては他の助剤を含有し、
残分は、有利に水である。
【0061】
本発明の1つの実施態様において、本発明による捺染用ペーストは、20℃で0.3〜4000dPa−s、有利に20〜200dPa−s、特に有利に60〜100dPa−sの範囲内の粘度を有する。粘度は、常用の方法により、殊に例えば回転粘度計、例えばHaake Mess-Technik GmbH & Co.社, Karlsruhe在、のViscotester VT02またはVT24を用いて測定することができる。
【0062】
本発明による少なくとも1つの捺染用ペーストを使用しながらの捺染は、自体公知である種々の方法により実施することができる。一般に、ステンシルが使用され、このステンシルによって、本発明による捺染用ペーストは、ナイフで加圧される。この方法は、捺染法に属する。本発明による少なくとも1つの捺染用ペーストを使用しながらの捺染法は、印刷された支持体の顕著な手触りを有する印刷された支持体を提供する。従って、本発明の対象は、柔軟性の支持体、殊に本発明による少なくとも1つの捺染用ペーストを使用しながらの印刷法により印刷された紡織繊維である。
【0063】
捺染法を実施するために、好ましくは紡織繊維を本発明による少なくとも1つの捺染用ペーストと接触させ、引続き乾燥させるようにして行なわれる。
【0064】
特に好ましくは、本来の乾燥前に本発明により処理される支持体を、例えば0.5〜2質量%の範囲内の残留湿分になるように前乾燥させるようにして行なわれる。
【0065】
即ち、前記の前乾燥または乾燥は、紡織繊維の支持体を処理することが望ましい場合に、紡織繊維工業において通常の全ての固着装置および乾燥装置上で実施することができる。適当な乾燥温度または前乾燥温度は、例えば50〜300℃、有利に70〜180℃である。
【0066】
その後に、例えば10秒間〜60分間、有利に0.5〜7分間に亘って50〜300℃、有利に100〜160℃、特に有利に110〜130℃の範囲内の温度で熱処理することができる。ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、変性されたポリエステル、ポリエステル混紡、ポリアミド混紡、ポリアクリルニトリル、ポリカーボネートは、有利に130〜250℃の範囲内の温度で熱処理される。ポリプロピレン混紡は、有利に80〜130℃、有利に110〜130℃で熱処理される。この場合、温度は、一般に処理することができる柔軟性の支持体を包囲する媒体の温度である。
【0067】
ポリマーのK値は、H. Fikentscherm Cellulose-Chemie, 第13巻, 58〜64および71〜74(1932)の記載により、5%の食塩水溶液中で25℃で0.1質量%の濃度および7のpH値で測定された。
【0068】
分散液の粘度は、それぞれNo.4のスピンドルを有するB型粘度計中で20rpmおよび20℃の温度で測定される。
【0069】
実施例
実施例中で本発明により使用される水溶性ポリマーは、次の組成を有する:
安定剤1:分子量M6000のポリエチレングリコール上の酢酸ビニルのグラフトポリマー、ポリマー濃度20%、
安定剤2:ビニルメチルエーテルと遊離カルボキシル基の形のマレイン酸とからなる加水分解されたコポリマー、ポリマー濃度35%、
安定剤3:メチルポリエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸とからなる分子量M1500のコポリマー、ポリマー濃度40%、
安定剤4:分子量M600を有するポリプロピレングリコール、
安定剤5:分子量M900を有するポリプロピレングリコール、
安定剤6:1000の分子量Mを有する片側でメチル基で末端基封鎖されたポリプロピレングリコール、
安定剤7:1000の分子量Mを有するポリアルキレングリコールからなるブロックコポリマー、
安定剤8:マルトデキストリン(C-PUR01910、100%で)、
安定剤9:2000の分子量MNを有する片側でメチル基で末端基封鎖されたポリプロピレングリコール。
【0070】
実施例において、次の重合開始剤が使用された:
アゾ開始剤VA−044:2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、
アゾ開始剤V−70:2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
アゾ開始剤V−65:2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。
【0071】
実施例1
テフロン攪拌機および窒素の下で作業するための装置を装備した、250mlの容量の四口フラスコ中に、窒素の導通下に
安定剤1 90.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水28.6gを装入し、300rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間でアクリル酸30gを滴加し、この混合物を50℃に加熱し、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩0.03g(アゾ開始剤VA−044)を添加し、この混合物を50℃で5時間重合した。その後に、この混合物にアゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、60℃で1時間、後重合した。33%の固体含量を有する水性分散液を得ることができた。この水性分散液は、4のpH値および5950mPasの粘度を有していた。このポリマーは、120.7のK値を有していた。水を分散液に添加することによって、7のpH値で2640mPasの粘度を有する2%の水溶液が得られた。
【0072】
ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、3〜8μmであった。
【0073】
実施例2
実施例1に記載の装置中に
安定剤1 90.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水28.6gを装入し、窒素の導通下に300rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間で架橋剤としてのアクリル酸30gとトリアリルアミン0.09gとからなる混合物を滴加し、この混合物を5〜10分間で40℃の温度に加熱した。次に、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.03g(アゾ開始剤V−70)を添加し、この混合物を40℃で5時間重合した。次に、後重合のために、アゾ開始剤V−70 0.05gを添加し、この分散液を1時間50℃の温度に加熱した。2700mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。この水性分散液は、4のpH値を有していた。水を水性分散液に添加することによって、2%の水溶液を得た。この水溶液は、pH7で39000mPasの粘度を有していた。
【0074】
ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、5〜60μmであった。
【0075】
実施例3
実施例2を繰り返したが、しかし、重合装置中に
安定剤4 12.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水106.6gを装入し、トリアリルアミンの使用を省略した。4のpH値および2240mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。
【0076】
実施例4
実施例1に記載の装置中に
安定剤5 1.5g、
安定剤4 16.5g、
安定剤8 18.0gおよび
完全脱塩水104.0gを装入し、この混合物を絶えず300rpmの回転数で攪拌し、5〜10分間でアクリル酸30gを連続的に添加した。次に、反応混合物のpH値を32%の塩酸30gの添加によって4.5から3に調節し、この乳濁液を50℃の温度に加熱した。アゾ開始剤VA−044 0.03gの添加後に、この乳濁液を50℃で5時間重合し、その後にアゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、50℃でなお1時間さらに重合した。208mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。
【0077】
実施例5
実施例1を繰り返したが、しかし、重合装置中に
安定剤3 45.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水73.6gを装入した。3650mPasの粘度を有する水性乳濁液を得ることができた。ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、3〜10μmであった。
【0078】
実施例6
実施例1に記載の装置中に
安定剤1 90.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水28.6gを装入し、窒素の導通下に300rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間で架橋剤としてのアクリル酸30gとペンタエリトリットトリアリルエーテル0.22g(70%で)とからなる混合物を滴加し、この混合物を5〜10分間で40℃の温度に加熱した。次に、アゾ開始剤V−70 0.03gを添加し、この混合物を40℃の温度で5時間重合した。次に、後重合のために、アゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、この分散液を1時間50℃の温度に加熱した。2900mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。水を添加し、pH値を7に調節することによって、10000mPasの粘度を有する2%の水溶液を得た。ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、5〜70μmであった。
【0079】
実施例7
テフロン攪拌機および窒素の下で作業するための装置を装備した、250mlの容量の四口フラスコ中に、窒素の導通下に
安定剤1 90.0g、
安定剤8 18.0gおよび
完全脱塩水62.0gを装入し、200rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間でアクリル酸30gを滴加し、この混合物を50℃に加熱し、アゾ開始剤VA−044 0.03gを添加し、この混合物を50℃で5時間重合した。その後に、この混合物にアゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、60℃で1時間、後重合した。33%の固体含量を有する水性分散液を得ることができた。この水性分散液は、2のpH値および10500mPasの粘度を有していた。この水性分散液から水の添加によって得られた2%の溶液は、7のpH値で2000mPasの粘度を有していた。ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、5〜40μmであった。
【0080】
実施例8
実施例1に記載の装置中に
安定剤1 90.0g、
安定剤2 51.4gおよび
完全脱塩水28.6gを装入し、窒素の導通下に300rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間で架橋剤としてのアクリル酸30gとトリアリルアミン0.09gとからなる混合物を滴加し、この混合物を5〜10分間で50℃の温度に加熱した。次に、アゾ開始剤V−65 0.03gを添加し、この混合物を50℃の温度で5時間重合した。次に、後重合のために、アゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、この分散液を1時間60℃の温度に加熱した。3700mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。この水性分散液は、4のpH値を有していた。水を水性分散液に添加することによって、2%の水溶液を得た。この水溶液は、pH7で29000mPasの粘度を有していた。ポリマー分散液の分散された粒子の粒度分布は、5〜30μmであった。
【0081】
実施例9
実施例1に記載の装置中に
安定剤1 90.0g、
安定剤2 45.7gおよび
完全脱塩水34.3gを装入し、窒素の導通下に300rpmの回転数で攪拌した。この溶液に5〜10分間で架橋剤としてのアクリル酸30gとトリアリルアミン0.09gとからなる混合物を滴加し、この混合物を5〜10分間で40℃の温度に加熱した。次に、アゾ開始剤V−70 0.03gを添加し、この混合物を40℃の温度で5時間重合した。後重合のために、アゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、この分散液を1時間50℃の温度に加熱した。2300mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。水を添加し、pH値を7に調節することによって、32000mPasの粘度を有する2%の水溶液を得た。
【0082】
実施例10
実施例1に記載の装置中に
安定剤9 18.0g、
安定剤8 18.0gおよび
完全脱塩水90.0gを装入し、この混合物を絶えず窒素の導通下に300rpmで攪拌し、5〜10分間でアクリル酸30gを連続的に添加した。次に、反応混合物のpH値を32%の塩酸30gの添加によって4.5から3に調節し、この乳濁液を50℃の温度に加熱した。アゾ開始剤VA−044 0.03gの添加後に、この乳濁液を50℃で5時間重合し、その後にアゾ開始剤VA−044 0.05gを添加し、50℃でなお1時間さらに重合した。320mPasの粘度を有する水性分散液を得ることができた。
【0083】
実施例11
実施例1に記載の装置中に
安定剤7 63.0g、
安定剤8 9.0g、
水400.0gおよび
アクリル酸45.0gを装入し、窒素の導通下に100rpmの回転数で攪拌した。この溶液に過硫酸ナトリウム0.45gおよび水14.4gを添加し、25℃で15分間重合した。次に、アクリル酸135gおよび安定剤8 27gを25℃で2時間供給した。同時にアスコルビン酸0.18gを7時間で供給した。引続き、なお1時間さらに重合した。800mPasの粘度および1.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、5000mPasであった。
【0084】
実施例12
攪拌機および窒素の下で作業するための装置を装備した、2 lの容量の四口フラスコ中に、窒素の導通下に
安定剤1 257.0g、
安定剤2 449.0gおよび
完全脱塩水102.5gを装入し、200rpmの回転数で10分間攪拌した。この溶液に10分間でアクリル酸60gを滴加し、この反応混合物を60℃に加熱し、アクリル酸90gとエトキシル化トリメチレンプロパントリアクリレート1.5gとからなる溶液を添加し、同時に水40g中のアゾ開始剤VA−044 0.15gの溶液を添加し、この場合には、このアゾ開始剤VA−044の溶液を4時間で添加した。この添加の後、さらに半時間60℃で攪拌した。引続き、アゾ開始剤VA−044 0.225gの添加によって60℃で1時間さらに重合した。室温への冷却の後、15質量%のポリマー含量、5350mPasの粘度および4.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、10900mPasであった。
【0085】
実施例13
実施例12に記載の装置中に
安定剤1 257.0g、
安定剤2 449.0gおよび
完全脱塩水102.5gを装入し、200rpmの回転数で10分間攪拌した。この溶液に10分間でアクリル酸60gおよびアゾ開始剤VA−044 0.015gを滴加し、この反応混合物を60℃に加熱し、3.5時間でアクリル酸90gとエトキシル化トリメチレンプロパントリアクリレート1.5gとからなる溶液を添加し、同時に水40g中のアゾ開始剤VA−044 0.135gの溶液を添加し、この場合には、このアゾ開始剤VA−044の溶液を4時間で添加した。この添加の後、さらに半時間60℃で攪拌した。引続き、アゾ開始剤VA−044 0.225gの添加によって60℃で1時間さらに重合した。室温への冷却の後、15質量%のポリマー含量、5550mPasの粘度および4.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、10300mPasであった。
【0086】
実施例14
実施例12に記載の装置中に
安定剤1 257.0g、
安定剤2 449.0gおよび
完全脱塩水102.5gを装入し、200rpmの回転数で10分間攪拌した。この溶液に10分間でアクリル酸60gおよびアゾ開始剤VA−044 0.015gを滴加し、この反応混合物を60℃に加熱し、3.5時間でアクリル酸90gとトリアリルアミン1.5gとからなる溶液を添加し、同時に水40g中のアゾ開始剤VA−044 0.135gの溶液を添加し、この場合には、このアゾ開始剤VA−044の溶液を4時間で添加した。この添加の後、さらに半時間60℃で攪拌した。引続き、アゾ開始剤VA−044 0.225gの添加によって60℃で1時間さらに重合した。室温への冷却の後、15質量%のポリマー含量、10250mPasの粘度および4.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、28500mPasであった。
【0087】
実施例15
実施例12に記載の装置中に
安定剤1 257.0g、
安定剤2 449.0gおよび
完全脱塩水102.5gを装入し、200rpmの回転数で10分間攪拌した。この溶液に10分間でアクリル酸60gおよびアゾ開始剤VA−044 0.015gを滴加し、この反応混合物を60℃に加熱し、3.5時間でアクリル酸75gとメチルメタクリレート15gとトリアリルアミン1.5gとからなる溶液を添加し、同時に水40g中のアゾ開始剤VA−044 0.135gの溶液を添加し、この場合には、このアゾ開始剤VA−044の溶液を4時間で添加した。この添加の後、さらに半時間60℃で攪拌した。引続き、アゾ開始剤VA−044 0.225gの添加によって60℃で1時間さらに重合した。室温への冷却の後、15質量%のポリマー含量、5800mPasの粘度および4.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、17500mPasであった。
【0088】
実施例16
実施例12に記載の装置中に
安定剤1 257.0g、
安定剤2 449.0gおよび
完全脱塩水102.5gを装入し、200rpmの回転数で10分間攪拌した。この溶液に10分間でアクリル酸60gおよびアゾ開始剤VA−044 0.015gを滴加し、この反応混合物を60℃に加熱し、3.5時間でアクリル酸82.5gとメチルアクリレート7.5gとトリアリルアミン1.5gとからなる溶液を添加し、同時に水40g中のアゾ開始剤VA−044 0.135gの溶液を添加し、この場合には、このアゾ開始剤VA−044の溶液を4時間で添加した。この添加の後、さらに半時間60℃で攪拌した。引続き、アゾ開始剤VA−044 0.225gの添加によって60℃で1時間さらに重合した。室温への冷却の後、15質量%のポリマー含量、21900mPasの粘度および4.5のpH値を有する水性分散液を得ることができた。水および苛性ソーダ液を添加することによって、7のpH値を有する2%の水性分散液を得た。分散液の粘度は、23650mPasであった。
【0089】
濃稠化剤としての使用技術的例
実施例17〜20
それぞれのビーカー中に完全脱塩水を装入し、次に異なる順序で濃稠化剤としての実施例12に記載の水性分散液(作用物質含量15%)および塩基を添加した。正確な順序は、第1表中に記載されている。処方物のpH値は、10であった。引続き、B型粘度形DV−II(100rpm、20℃)を用いて配合物の粘度を測定した。
【0090】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系不飽和アニオンモノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって得ることができる、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液において、この重合が安定剤としての
(a)ポリエチレングリコール上の酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコール、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸またはメタクリル酸とからなるコポリマー、ポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリアルキレングリコール、および
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形での、ビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはカチオン変性されたジャガイモ澱粉、アニオン変性されたジャガイモ澱粉、分解されたジャガイモ澱粉およびマルトデキストリンの群からの水溶性澱粉の群の少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で実施されていることを特徴とする、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液。
【請求項2】
群(a)の水溶性ポリマーとしてポリエチレングリコール上の酢酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコールおよび/またはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとメタクリル酸とからなるコポリマーを使用する、請求項1記載の水性分散液。
【請求項3】
群(a)の水溶性ポリマーとして100〜100000の分子量Mを有するポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖された、100〜100000の分子量Mを有するポリアルキレングリコールを使用する、請求項1または2に記載の水性分散液。
【請求項4】
群(b)の水溶性ポリマーとして遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形での、ビニルアルキルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはマルトデキストリンを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項5】
群(b)の水溶性ポリマーとして遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形での、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーを使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項6】
水溶性ポリマーとして
(a)1000〜100000の分子量Mのポリエチレングリコール上の酢酸ビニルのグラフトポリマーおよび
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形での、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーを使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項7】
水溶性ポリマーとして
(a)アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸とからなるコポリマーおよび
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的に苛性ソーダ液、苛性カリ液またはアンモニアで中和された塩の形での、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とからなる少なくとも1つの加水分解されたコポリマーを使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項8】
水溶性ポリマーとして
(a)ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/または300〜50000の分子量Mを有する、酸化エチレンと酸化プロピレンとからなるブロックコポリマーおよび/またはC〜C−アルキル基で片側または両側で末端基封鎖されたポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/または300〜50000の分子量Mを有する、酸化エチレンと酸化プロピレンとからなるブロックコポリマーおよび
(b)マルトデキストリンを使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項9】
アニオンモノマーとしてモノエチレン系不飽和C〜C−カルボン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸および/またはこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が使用されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項10】
アニオンモノマーの重合が別のエチレン系不飽和モノマーの存在下で実施されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項11】
アニオンモノマーの重合がアクリルアミド、メタクリルアミド、1〜4個のC原子を有する1価アルコールのアクリル酸エステル、1〜2個のC原子を有する1価アルコールのメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルイミダゾールおよび四級化ビニルイミダゾールの群からの少なくとも1つのモノマーの存在下で実施されている、請求項10記載の水性分散液。
【請求項12】
ラジカル重合の場合にアクリル酸が別のモノマーの不在下で使用されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項13】
重合が付加的に少なくとも1つの架橋剤の存在下で実施されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項14】
架橋剤としてトリアリルアミン、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N′−ジビニルエチレン尿素、アクリル酸またはメタクリル酸で完全にエステル化された、2〜4個のC原子を有する2価アルコール、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレートおよび/またはトリアリルメチルアンモニウムクロリドが使用されている、請求項13記載の水性分散液。
【請求項15】
エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液を、該モノマーを水性媒体中で少なくとも1つの安定剤の存在下でラジカル重合させることによって製造する方法において、重合を安定剤としての
(a)ポリエチレングリコール上の酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリエチレングリコール、アルキルポリアルキレングリコールアクリレートまたはアルキルポリアルキレングリコールメタクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸とのコポリマー、ポリアルキレングリコール、片側または両側でアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で末端基封鎖されたポリアルキレングリコール、ならびに
(b)遊離カルボキシル基の形および少なくとも部分的にアルカリ金属水酸化物またはアンモニウム塩基で中和された塩の形の、ビニルアルキルエーテルおよび無水マレイン酸とからなる加水分解されたコポリマーおよび/またはマルトデキストリンの群の少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で1〜13の範囲内のpH値で実施することを特徴とする、エチレン系不飽和アニオンモノマーの水溶性ポリマーの水性分散液の製造法。
【請求項16】
水性系のための濃稠化剤としての請求項1から14までのいずれか1項に記載の水性分散液の使用。
【請求項17】
水性分散液を濃稠化することができる系の1つに全pH値範囲内で添加することができる、請求項16記載の使用。
【請求項18】
水性分散液を紙用塗工液への添加剤として、捺染ペーストのためおよび水性染料のための濃稠化剤として、化粧品配合物のためおよび皮革の表面処理のための濃稠化剤として使用する、請求項16または17記載の使用。

【公表番号】特表2007−533768(P2007−533768A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521456(P2006−521456)
【出願日】平成16年7月17日(2004.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008011
【国際公開番号】WO2005/012378
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】