説明

エッチングレジストを用いたミクロ構造およびナノ構造の製造方法

基板上でレジストとして機能する有機分子に関するディップペンナノリソグラフィ(DPN)またはマイクロコンタクトプリンティングなどのパターン形成方法と、それに続くエッチング工程によって、ナノ構造およびミクロ構造が形成される。このエッチングレジストは、パターン形成組成物であり、かつ基板上においてポリエチレングリコール(PEG)などを含有し得る。ポジティブエッチング法およびネガティブエッチング法を用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年12月18日出願の仮出願第60/875,447号、および2007年1月26日出願の仮出願第60/886,839号の優先権の恩典を主張し、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
これらの発明は、一部において陸軍研究局(ARO)契約番号28065-3-A2//W9 1 1NF-04-1-07 1、および国立衛生研究所(NIH)契約番号DPI OD 000285-02の支援により開発されたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルキルチオールおよびデンドリマーは、100nm以下(sub-100nm)から数ミクロンまでの形状サイズ(feature size)を有する任意構造物を生成するために、湿式化学エッチングのレジスト分子として用いられてきた。例えば、Geissler et al., Adv. Mater. 2004, 16, 1249(非特許文献1)、Perl et al., Langmuir 2006, 22, 7568(非特許文献2)、Rolandi et al., Nano Lett. 2004, 4, 889(非特許文献3)、Zhang et al., Nano Lett. 2003, 3, 43(非特許文献4)、およびDucker et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 392(非特許文献5)を参照されたい。
【0004】
本方法の基本原理は、対象となる基板に、パターン化されたアルキルチオール分子の単層を最初に作成し、次いでこの基板をエッチング溶液に暴露することである。エッチングは、電気化学的方法によって、またはチオ尿素および硝酸鉄をベースとするエッチングによって達成することができ、それによって異なる種類のポジティブナノ構造を生成することができる。あるいは、チオールをベースとする分子を金属の基板に最初にパターン化し(これはのちに犠牲分子として除去される)、パターン化されていない領域をアルキルチオールで埋め戻す(backfill)ことができる。埋め戻したアルキルチオールは、電気化学的脱着によって最初のパターン化された単層が除去されたのち、アルキルチオールの疎水性のためエッチングレジストとして作用する。この埋め戻したアルキルチオール分子は、被覆領域を水性エッチング溶液によるエッチングから保護し、これによりネガティブにエッチングされたナノ構造が生成される。
【0005】
ディップペンナノリソグラフィ(DPN)プリンティングを用いることによって、ナノ構造のサイズを100nm以内に極小化することができ、個々のナノ構造の100nm以下の解像度を維持しながら、パターン化される領域を1平方センチメートルの大きさにすることができる。例えば、Zhang et al., Nano Lett. 2002, 2, 1389(非特許文献6)、Salaita et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7220(非特許文献7)、Salaita et al., Small 2005, 1, 940(非特許文献8)、Salaita et al., Nano Lett. 2006, 6(非特許文献9)を参照されたい。
【0006】
一部の例では、本方法は、チオール基と貴金属基板との間の強力な化学的相互作用を伴うことができる。しかしながら、一般に本方法には2つの欠点が存在し得る。一つには、ポジティブにエッチングされた金属構造物が生成されたとしても、それらのパターンは依然としてアルキルチオール分子に被覆されており、これらのナノ構造のさらなる研究に悪影響を及ぼす可能性がある。そのような研究の例には、プラズマ共鳴および表面増強ラマン特性解析が含まれる。このアルキルチオール-Au化学結合は、その試料を紫外光に暴露することによって破壊できる。しかしながら、これにより追加の実験工程を生じることになる。ネガティブエッチングの場合には、最初にパターン化された犠牲チオール単層を脱着するために典型的に電気化学が用いられるが、これらの2つのチオール分子の脱着力が非常に近いため、これはまた、埋め戻しアルキルチオール単層の密度に影響を及ぼすことになる。この工程は、犠牲チオール分子を脱着するために特殊な電気化学的装置を用いない限り、レジストとして用いられたチオール単層に悪影響を及ぼす。
【0007】
ナノリソグラフィおよびミクロリソグラフィのためのより良好な、より汎用的な、および好都合なレジストプロセスが求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Geissler et al., Adv. Mater. 2004, 16, 1249
【非特許文献2】Perl et al., Langmuir 2006, 22, 7568
【非特許文献3】Rolandi et al., Nano Lett. 2004, 4, 889
【非特許文献4】Zhang et al., Nano Lett. 2003, 3, 43
【非特許文献5】Ducker et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 392
【非特許文献6】Zhang et al., Nano Lett. 2002, 2, 1389
【非特許文献7】Salaita et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7220
【非特許文献8】Salaita et al., Small 2005, 1, 940
【非特許文献9】Salaita et al., Nano Lett. 2006, 6
【発明の概要】
【0009】
概要
本明細書において、とりわけ製造方法、物品、使用方法、および組成物が記載される。
【0010】
例えば、一態様は、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)を含むインク組成物を、チップに配置する工程、付着物を形成するために、インク組成物を基板表面に転写する工程、基板をエッチング条件に暴露する工程を含む方法を提供する。
【0011】
一態様は、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法を提供し、該方法は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物(patterning composition)を用いて基板の表面をパターン化しかつ露出基板を提供するために、直接描画(direct-write)ナノリソグラフィを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;およびナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程を含む。
【0012】
別の態様は、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法を提供し、該方法は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化しかつ露出基板を提供するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;およびナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程を含む。
【0013】
さらに別の態様は、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法を提供し、該方法は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物(passivating compound)で被覆する工程;露出基板を提供するために、パターン形成組成物を除去する工程;およびナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程を含む。
【0014】
さらに別の態様は、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法を提供し、該方法は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程;基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物で被覆する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;パターン形成組成物を除去し、かつ露出基板を提供する工程;およびナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程を含む。
【0015】
特に、材料は、直接描画法によって、ナノスケール(nanoscopic)チップから基板に転写することができる。
【0016】
さらに特に、パターン形成組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシドなどのオリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むことができる。
【0017】
少なくとも一部の態様では、利点には優れた汎用性および制御性が含まれる。ポジティブエッチングの場合、不動態化は必要でない。ネガティブエッチングの場合、パターンは容易に除去できる。両方の様式において、複雑な電気化学的設備、電気化学、および電極は必要とされず、エッチングは操作が容易である。
【0018】
一部の態様において、DPNにおいてポジティブ構造およびネガティブ構造の両方を生成するために、新規であり極めて有用なレジスト材料としてPEGを使用できることが見出された。一部の態様において、PEGレジストは、湿式化学エッチングと組み合わせた場合、アルカンチオールをベースとするエッチング法のいくつかの限界を克服する形で固体ナノ構造の生成を可能にする。具体的には、一部の態様において、このポリマーをベースとする手法は、基板表面から材料を脱着するために簡単な洗浄工程のみを必要とし、原理的には、多くの種類の下層基板に用いることができる(化学吸着を必要としない)。さらに、一部の態様では、厚いポリマー層を生成する能力があり、SAMに関連する電気化学的脱着工程が排除されるため、ピンホールによる表面の点食が少なくなる。最後に、一部の態様において、本プロセスは並列ペンアレイと連動させることによって、比較的広い領域をパターン化することが可能になり、これは他のポリマー材料およびおそらくは他のリソグラフ技法にも拡張可能である可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】基板上にナノ構造を形成するプロセスの様々な段階の基板の断面図であり、DPNプリンティングを用いて、例えばPEGナノパターンを生成し、さらにエッチング溶液に暴露して、(A)ポジティブおよび(B)ネガティブAuナノパターンを得る手順を示すスキームを含む。
【図2】図2〜5は、ポジティブ(2、3)およびネガティブ(4、5)エッチングレジストとしてPEGを用いて生成されたAuナノ構造のSEM(図2〜4)および光学顕微鏡画像を示す。
【図3】図2〜5は、ポジティブ(2、3)およびネガティブ(4、5)エッチングレジストとしてPEGを用いて生成されたAuナノ構造のSEM(図2〜4)および光学顕微鏡画像を示す。図3は、ポジティブエッチングのレジストを用いて生成された別の組のAuナノ構造のSEM画像である。
【図4】図2〜5は、ポジティブ(2、3)およびネガティブ(4、5)エッチングレジストとしてPEGを用いて生成されたAuナノ構造のSEM(図2〜4)および光学顕微鏡画像を示す。図4は、ネガティブエッチングのレジストを用いて生成されたAuナノ構造のSEM画像である。
【図5】図2〜5は、ポジティブ(2、3)およびネガティブ(4、5)エッチングレジストとしてPEGを用いて生成されたAuナノ構造のSEM(図2〜4)および光学顕微鏡画像を示す。図5は、ネガティブエッチングのレジストを用いて生成された別の組のAuナノ構造のSEM画像である。
【図6】最初にPEG分子をAu基板にディップペンプリンティングし、次いで溶液中でエッチング工程を行うことにより生成されたナノスケールのNorthwestern Universityのロゴの画像である。
【図7】ポジティブおよびネガティブナノ構造を生成するためのポリマーをベースとするエッチングレジスト法である。
【図8】DPNを用いて生成されたポリエチレングリコールの(A)ラインおよび(B)ドットナノ構造のコンタクトモードAFM画像である。
【図9】生成されたポジティブAuナノ構造の(A)SEMおよび(B)光学顕微鏡画像;(C)(D)のドット形状物(feature)を製作するためにエッチングレジストとして用いたPEGパターンのコンタクトモードAFM画像;(D)(C)から生成したポジティブドット固体Auナノ構造のタッピングモードAFM画像である。(A)において白い四角形で示した一つのセルを、(A)の挿入図で図式的に示している。Dの挿入図は生成されたAuドットアレイの拡大撮影AFM画像を示す。
【図10】(A)Northwestern Universityのロゴの形態の一連のポジティブナノ構造のSEM画像;(B)PEGレジストによるDPN、それに続く湿式化学エッチングによって生成されたポジティブライン構造のSEM画像;(C)Bに示したナノ構造のタッピングモードAFM画像、およびその対応する高さのプロファイルである。
【図11】ネガティブ形状物のポリマーベースのエッチング法を用いて生成した(A、C)円形孔および(B、D)線状溝のタッピングモードAFM、高さのプロファイル、および光学画像である。(A、B)の挿入図はネガティブナノ構造の拡大撮影AFM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書において引用したすべての文献はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0021】
本態様は、基板表面をパターン化およびエッチングすることによってナノ構造およびミクロ構造を形成するための容易かつ新規な方法を提供する。
【0022】
ミクロ加工、ミクロ構造、ナノ加工、およびナノ構造の説明は、例えばMadou, Fundamentals of Microfabrication, 2nd Ed., CRC, 2002に見出される。例えば第1章はリソグラフィを記載している。
【0023】
プリンティング方法
ナノリソグラフィ装置類はNanoInk, Chicago, ILから得てもよく、または従来のAFM装置を用いてもよい。直接描画法はDirect-Write Technologies for Rapid Prototyping Applications, Ed. By Pique and Chrisey, 2002に記載されている。例えば第1章の概説、およびチップベースの方法に関しては第10章を参照されたい。
【0024】
一態様において、基板表面は、直接描画ナノリソグラフィを用いてパターン化される。例えば、種々の文献に記載されているディップペンナノリソグラフィプリンティング技法を用いることができる。
【0025】
ディップペンナノリソグラフィプリンティングのより詳細な説明は、例えば米国特許第6,827,979号、第6,635,311号、および第7,102,656号、ならびに米国特許出願公開第20050191434号A1を参照されたい(すべてその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。エッチングは、例えばMirkinらの米国特許出願公開第200610014001号、およびMirkinらの米国特許出願公開第200610081479号に記載されており、エッチング手順、ならびにミクロ構造およびナノ構造の特性解析を含めて、そのすべてが参照により本明細書に組み入れられる。これらの文献は、例えばパターン化、基板、パターン形成化合物、およびエッチングを記載している。パターン形成化合物は、チップから基板に転写することができる。
【0026】
チップベースの転写法では、チップはナノスケールチップ、走査プローブ顕微鏡(SPM)チップ、原子間力顕微鏡(AFM)チップ、中実(solid)チップ、または中空チップであることができる。パターン形成化合物をチップの末端に導くために、チャネルが存在できる。
【0027】
チップベースの転写法との関連において、チップにパターン形成組成物を適用しかつ該組成物をチップから基板表面に送達することによって、基板表面をパターン化してもよい。
【0028】
別の態様において、基板表面は、例えばスタンプを用いてパターンを適用するなど、マイクロコンタクトプリンティングを用いてパターン化される。
【0029】
マイクロコンタクトプリンティングのより詳細な説明は、例えば米国特許第6,951,818号、第6,893,966号、および第5,512,131号を参照されたい(すべてその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
【0030】
他の方法には、例えば、走査プローブコンタクトプリンティングに関して米国特許出願公開第2004/0228962号(Liu, Mirkinら)および第2004/0226464号(Mirkin, Zhang)に記載されているものが含まれる。
【0031】
パターン形成組成物
一態様において、パターン形成組成物は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含む。一例において、この組成物は溶媒も含むように配合することもできる。溶媒は、チップの先端またはスタンプ表面でパターン形成組成物の分配時に除去することができる。他の例において、パターン形成組成物は、オリゴマー化合物および/またはポリマー化合物の混合物を含む。該オリゴマーおよび/またはポリマーは、異なる分子量、官能基、主鎖構造、または他の変形を有してもよい。他の例において、パターン形成組成物は、コオリゴマーおよび/またはコポリマーを含む。
【0032】
別の態様において、パターン形成組成物は、本質的にオリゴマー化合物またはポリマー化合物からなる。例えばパターン形成組成物は、(a)ポリマー化合物またはオリゴマー化合物の輸送を阻害しない範囲の量で、(b)レジストとしてのパターン形成組成物の特性を阻害しない範囲の量で、(c)パターンの除去に実質的に影響を及ぼさない範囲の量で、またはそれらの組み合わせで、1種類または複数種類の追加の化合物を含むことができる。
【0033】
さらに別の態様において、パターン形成組成物は、オリゴマー化合物またはポリマー化合物からなる。
【0034】
一態様において、オリゴマー化合物またはポリマー化合物は、主鎖に例えば酸素原子または窒素原子などのヘテロ原子を含む。この主鎖はルイス塩基として機能することができ、直鎖であってもそうでなくてもよい。好ましくは、オリゴマー化合物またはポリマー化合物は、ポリエーテルを含む。ポリエーテルの非限定的な例には、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコールなどが含まれる。具体的には、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコール(PPG)を用いることができる。
【0035】
適切なオリゴマー化合物またはポリマー化合物の溶融温度は、存在する場合、多様であってよく、かつ化合物選択の基礎となってもよい。例えば化合物は、より高い湿度において材料がチップから基板に良好に流れるように、約60℃未満の融点を有するものを選択することができる。
【0036】
一般に、このオリゴマー化合物またはポリマー化合物は、良好な溶解性を有し、極性および無極性溶媒を含む水および有機溶媒と相溶性であり、チップから基板への良好または適度な転写速度を有し、エッチング環境で安定なパターンを形成することができる。オリゴマー化合物またはポリマー化合物は、好ましくは水溶性である。同様に好ましくは、該オリゴマーまたはポリマーを含む形成されたパターンは、1回または複数回の水による洗浄で洗い流すことができる。あるいは、オリゴマーまたはポリマーは、例えばジクロロメタンなどの有機溶媒に可溶であってもよい。オリゴマーまたはポリマーは、水および少なくとも1種類の有機溶媒の両方に可溶であってもよい。
【0037】
ポリマー化合物またはオリゴマー化合物の分子量は多様であってよい。例えば、分子量は約100から約1,000,000の間、または約500から約500,000の間、または約500から約100,000の間、または約1,000から約50,000の間、または約1,000から約10,000の間、または約1,000から5,000の間、または約1,000から3,000の間であってよい。一般に、より低い分子量の化合物は、チップから基板へのより速い転写を容易にすることができる。
【0038】
オリゴマーまたはポリマーは、ポリマー化学分野の当業者に公知のとおり用いることができる。例えばAllock, Contemporary Polymer Chemistry, 1981、およびBillmeyer, Textbook of Polymer Science, 3rd Ed., 1984を参照されたい。
【0039】
基板表面をパターン化するために用いることのできる他の化合物には、例えばロウまたはポリエチレンイミンが含まれる。
【0040】
パターン化は、種々の湿度レベルで実行できる。例えば、少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%などの、より高い相対湿度を用いることができる。一部の例では、約80%の相対湿度が、AFMプローブチップから基板への速い化合物転写速度を示す。
【0041】
パターン化条件は、良好な有機溶媒溶液を用いてチップ表面を均一に被覆できるように選択することができる。
【0042】
基板
基板表面は、パターン形成組成物および当面の適用に伴って機能するように適合させることができるが、基板表面は任意の基板の表面であり得る。基板は一般に好ましくは高解像度パターンを提供する。例えば基板表面は、例えばガラスなどの絶縁体、または例えば金を含む金属などの伝導体の表面であってよい。さらに基板は、金属、半導体、磁性材料、ポリマー材料、ポリマー被覆基板、または超伝導体材料であってよい。基板は1種類または複数種類の吸着質であらかじめ処理することができる。さらに、適切な基板の例には、これに限定されるわけではないが、金属、セラミック、金属酸化物、半導体材料、磁性材料、ポリマー被覆基板またはポリマー被覆基板、超伝導体材料、ポリスチレン、およびガラスが含まれる。金属には、これに限定されるわけではないが、金、銀、アルミニウム、銅、白金、およびパラジウムが含まれる。化合物をパターン化することのできる他の基板には、これに限定されるわけではないが、シリカ、酸化ケイ素SiOx、GaAs、InP、およびInAsが含まれる。
【0043】
本方法の利点の一つは、パターン形成に先立って、基板表面を化学的または物理的に修飾する必要のないことである。したがって、一部の態様において、基板表面は、非修飾基板表面、すなわちパターン化される前に化学的または物理的に修飾されなかった基板表面であり得る。
【0044】
基板表面の化学的または物理的修飾は、チップまたはスタンプから基板表面へのインクの輸送を促進するため、基板表面のインク付着を増強するため、または基板表面を共有結合的に修飾するために、先行技術の方法において通常用いられている。基板表面の物理的または化学的修飾の例には、これに限定されるわけではないが、酸化ケイ素の荷電表面の塩基処理、アミノもしくはメルカプトシリナイジング(mercaptosilinizing)剤によるシラン処理、または化学反応基を有するポリマーによる修飾が含まれる。
【0045】
本方法の他の利点は、基板表面を予めパターン化する必要のないことである。
【0046】
基板は、モノリシックであってもよく、または多層を含む複数の材料を含んでもよい。好ましい態様において、基板表面は、半導体または金属基板表面である。
【0047】
基板表面は、伝導性部分、絶縁性部分、または両方を含むことができる。伝導性部分は、例えば電極であってよい。パターン形成組成物は、例えば最終的に製造される電極のエッチングレジストを形成するために、または存在する電極を修飾するために用いることができる。
【0048】
基板とパターン形成組成物との間の相互作用
一態様において、パターン形成組成物は、基板表面に弱く結合している。好ましくは、パターン形成組成物は、基板表面に物理吸着している。本明細書において、「物理吸着」とは、実質的な化学吸着または共有結合を伴わない相互作用を表す。物理吸着したパターン形成化合物は、適切な溶媒によって基板表面から除去することができる。
【0049】
エッチング
本態様は、ポジティブエッチングおよびネガティブエッチングの両方に関する。本態様において、基板表面に形成されたパターンは、エッチングレジストとして機能する。好ましい態様において、前記パターンは、湿式化学エッチングレジストとして機能する。しかしながらいくつかの態様は、非湿式エッチング工程を含み得る。
【0050】
ミクロ構造アレイおよびナノ構造アレイ
本発明の態様に従って形成されたナノ構造およびミクロ構造は、エッチングの品質および形状物の解像度の両方に関して、エッチングレジストとしてアルキルチオール分子を用いて形成されたものに匹敵し得る。
【0051】
例えば、ドットおよびラインを調製できる。ラインは直線であってもよく、または曲線であってもよい。ラインの幅および直径などの横方向寸法は、例えば約10ミクロン以下、または約1ミクロン以下、または約500nm以下、または約250nm以下、または約100nm以下であり得る。最小横方向寸法は、例えば約2nm、または約5nm、または約10nmであり得る。
【0052】
実施例
本明細書において特許請求する態様を、非限定的な実施例を用いてさらに例示する。
【0053】
一態様を図1Aに示すが、最初にPEGをDPNプリンティングによってAu表面にパターン化し、次いでこの試料を一定時間エッチング溶液(チオ尿素:硝酸鉄=2:3、モル比)に暴露する。それによってPEGで被覆されていないAu領域(露出基板)はエッチングされ、一方PEGはエッチング溶液が下部のAu領域に接触するのを妨げ、そのためPEGで被覆された領域は未処理のまま残される。最後に、単純な水洗浄によってPEGが洗い流されるときに、ポジティブにエッチングされたAuナノ構造が形成される(図2および3)。
【0054】
あるいは、図1Bに示したように、PEGに被覆されていない領域をDPNの後にODTで埋め戻し、その後PEGを洗い流し、次いで試料を同じエッチング溶液に暴露する場合、ネガティブにエッチングされたナノ構造が形成される(図4および5)。この簡易な方法によって、ナノスケールで様々な形のAu構造物を生成することができ、PEGはポジティブエッチングレジストおよびネガティブエッチングレジストの両方として機能する。本方法は利用が容易であり、任意に設計されたナノスケールの形状物をそれに相応して高品質で得ることができる(図6)。さらなる利点は、本方法が電気化学的設備もさらなる制御実験も必要としないことであるが、所望であればそのような方法をこれらの方法と組み合わせることができる。
【0055】
追加の態様
ディップペンナノリソグラフィ(DPN)[1、2]は、50nm以下から数マイクロメートルの解像度でソフトマターおよびハードマターを表面にプリンティングするための強力なツールとして浮上してきた。実際に種々の有機小分子[3〜5]、ポリマー[6〜8]、タンパク質[9〜12]、ゾルゲル[13]、ナノ粒子[14、15]、高溶融温度分子[16]、およびウイルス[17]のリソグラフパターンが、Au[2、18、19]、Ag[20]、GaAs[21]、およびSiOx[4、22]を含む多種多様な基板上で生成されている。カンチレバーアレイ(線状A-26ペン[23]および二次元55,000ペンアレイシステム[24])の開発に伴って、この技法は並行法[25]に発展しており、これは一部の場合において電子ビームリソグラフィなどの一連のナノリソグラフ技法の処理能力を超えている。実際、湿式化学エッチングプロトコルと併せて二次元55,000ペンアレイを用いることによって、30分未満で1平方センチメートルの領域に数100万の固体ナノ構造を生成できることが示されている[24]。
【0056】
電子工学、触媒作用、および光学の適用において、固体金属構造を生成するために、エッチングレジスト材料と組み合わせて様々なエッチングプロトコルが利用されている[26]。例えば、アルカンチオールは下層にある金属表面を化学的または電気化学的酸化および溶解から保護することのできる自己組織化単分子膜(SAM)を形成するため、エッチングレジストとして広く用いられている[27〜31]。実際、アルカンチオールは、12nmから数ミクロンの形状サイズを有する固体ナノ構造を作成するために、湿式化学または電気化学的エッチングプロトコルと組み合わせてDPNインクとして用いられている[30〜33]。典型的に、1-オクタデカンチオール(ODT)または16-メルカプトヘキサデカン酸(MHA)のリソグラフパターンがDPNによって生成される。アルカンチオールSAMを含有する基板をエッチング溶液に暴露することにより、ポジティブ固体ナノ構造が作成される。他方、孔形状物(ネガティブナノ構造)は、DPNを用いてMHAリソグラフ形状物を製造し、続いて露出している金領域をODTで埋め戻し、MHA SAMを電気化学的に脱着し、基板をエッチング溶液でインキュベートすることによって生成できる[33]。
【0057】
アルカンチオールは多くの表面(例えばAu、Pd、およびAg)に関して優れたエッチングレジスト材料となり得るが、一定の限界を有する。ネガティブ形状物の生成において、2種類の異なるSAMが必要とされ(例えばODTおよびMHA)、他方の存在下で選択的に1種類のSAMを脱着するために、電気化学的装置が必要となり得る[33、34]。ピンホールは不均一なエッチングおよび品質の劣る構造をもたらし得る。最後に、所望の固体構造が製作されたら、化学的プロトコルを用いて表面からSAMレジストを除去することができる。
【0058】
本明細書において、高品質のポジティブおよびネガティブナノ構造を生成するために、新規な物理吸着レジストとして、ポリエチレングリコール(PEG)を高解像度のDPNおよび湿式化学エッチング法と組み合わせてどのように使用できるかが示されている(図7)。レジストの除去はパターン化された基板をジクロロメタンで単純に洗浄することによって達成できる。
【0059】
PEG形状物のDPN型板(template)は、表面に突出したまたは凹んだ構造を生成するために、保護層または犠牲層として用いられる(図7)。このポリマーの誘導体は、AuおよびSiO2などの表面でタンパク質およびウイルス粒子の非特異的吸着を最小限に抑えるための材料として用いられている[9、35〜37]。典型的な実験では、26のチップを備えたカンチレバーアレイ(A-26)を5mg/mlのPEG(分子量2,000)アセトニトリル溶液に10秒間浸漬し、次いでNSCRIPTOR(商標)装置に載せ、金基板にドットおよびラインを生成するために用いた。20mMチオ尿素および30mM硝酸鉄一水和物(iron nitrate monohydrate)を含有する水性エッチング溶液で基板をインキュベートすることによって、ポジティブ固体ナノ構造が生成される(図7A)。他方、続いて1mMのODTで不動態化し、ジクロロメタンで洗浄(PEGを除去するため)、その後同じエッチング溶液に暴露した基板を用いて、ネガティブナノスケール形状物を作成した(図7B)。得られたナノ構造は、原子間力顕微鏡法(AFM)、走査電子顕微鏡法(SEM)、および光学顕微鏡法によって特性解析した。
【0060】
DPNの属性の一つは、チップアレイの走査速度およびチップ-基板の接触時間を変化させることによって、形状サイズを調整できる能力である。チップ-基板の接触時間の平方根と相関する形状サイズ依存性が生じることがある[16、38〜40]。SiO2基板に熱蒸着した厚さ30nmのAuフィルムに付着させたとき、PEGは同様の依存性を示す。0.05、0.10、および0.75μm/秒の走査速度で、それぞれ幅175、105、および70nmのライン形状物が得られる(図8A)。他方、ドット形状物は、チップを一定の時間基板に接触させて保持することによって生成できる。湿度80〜90%、接触時間0.5、1、2、4、および8秒で、それぞれ直径100、200、300、400、および500nmのドット形状物が得られた(図8B)。
【0061】
PEGパターン化のプロトコルの実施に加えて、PEGレジストと湿式化学エッチングを用いて、ポジティブ固体形状物を生成する潜在能力を評価した。26個のペンの並列アレイを用いて、金薄層フィルム表面に26の15×20PEGドットアレイを生成した。各アレイは、意図的に生成した直径200、300、400、および500nmの形状物のドットからなる。26の同一のPEGドットアレイを生じるのに必要とした合計時間は、約1時間であった。その後パターン化された基板を、20mMチオ尿素および30mM硝酸鉄一水和物の水溶液を用いてエッチングして、それぞれ直径205、289、400、および517nm(±10nm)のドットを有するポジティブAuナノ構造を生成した(図9A〜B)。意義深いことに、単純に湿度を約70%に低下することによって、PEG形状サイズを100nm以下のスケールに低減できる。例えば接触時間1、2、4、および8秒で、それぞれ直径80、140、178、および234nmを有するPEGドット形状物が得られた(図9C)。さらに、上で生成したPEG形状物をエッチングレジストとして用いることによって、これまでのところ形状サイズが85nmに低減されたAuが連続して得られることが示された(図9D)。DPNによって定められるPEGレジスト形状物のサイズと、結果として得られる固体の突出したナノ構造との間には著しく良好な一致がある。固体形状物のAFMによる分析は、平均して27nm(±2nm)の高さであることを示しており、これは蒸着Au層の厚さ(約30nm)に等しい。これらの見解は、PEG型板がその下層にある金領域を有効に保護し、一方で露出している金領域はエッチング溶液によって酸化されたことを示唆している。
【0062】
新規なPEGレジストと組み合わせたDPN技法は、かなり汎用性であり、複雑な形およびパターンを含む非常に精巧な構造の生成を可能にする。さらなる実証として、Northwestern Universityのロゴのデジタル化画像を用い、ドットマトリクス形式で80nmドットサイズの解像度のPEGの複製を50分でAu薄層フィルム基板に生成した(約12,000の形状物)。この構造を上述のとおり45分間エッチングし、ジクロロメタンで洗浄し、SEM(図10A)で特性解析した。ラインアレイを同様に製造したが、エッチング後のSEMおよびAFMによる分析は、得られた形状物の均一性が高く、境界が明確であることを示している(図10B〜C)。各ラインはAFM分析(図10C〜D)によって、幅150nm(±5nm)、長さ6μm、および厚さ27nm(±2nm)である。
【0063】
興味深いことに、PEGはポジティブ形状物だけでなく、ネガティブ形状物を生成するためにも用いることができる。ネガティブ形状物を生成するために、PEGを犠牲型板として用いた(図7B)。この手法では、厚さ60〜70nmのAuフィルムにDPNによってPEGから形状物を生成し、その基板を15分間1mMのODTエタノール溶液に浸漬することによって、周囲領域をODTで不動態化し、次いでCH2Cl2で洗浄して、PEGおよび残留する物理吸着ODTを除去した。その後のエッチングによって、元々はPEGに占有されていた領域にネガティブ形状物を形成した。この手法を用いることによって、ドットおよびライン形状物のアレイが生成されたが、得られた構造のAFMおよび光学分析は、それらが極めて均一であることを示している(ライン幅の変動4%、ドット直径の変動7%)(図11)。高さのプロファイルは、生成されたナノ構造の平均の深さが、下部の金層の厚さと類似したことを示している(ドット:約65nm、ライン:約58nm)。異なる厚さのAuフィルム(ドット70nm、ライン60nm、図11AおよびB)を用いて、この技法の汎用性、およびこの手法を用いてネガティブ形状物の深さをどのように制御できるかを評価することができる。ポジティブ形状物と同様に、カンチレバーアレイの使用は、本プロセスがいかに容易にスケールを変更できるかを示している(図11Cおよび11D)。
【0064】
実験の項
DPNを用いて、PEG型板を生成した。A-26チップアレイAFMプローブを、5mg/mlポリエチレングリコールアセトニトリル溶液に10秒間浸漬被覆した。次いで、このポリマー被覆カンチレバープローブをNSCRIPTOR(商標)に載せ、10nm Cr接着層を用いてSiO2基板に熱蒸着したAuの薄層にポリエチレングリコール形状物を書き込んだ。最初に1mMの1-オクタデカンチオールで15分間不動態化し、ジクロロメタン溶液で洗浄し、その後、20mMチオ尿素および30mM硝酸鉄九水和物を含有するエッチング溶液でインキュベートしたPEG型板を用いて、ネガティブナノ構造を生成した。同じ水性エッチング溶液で基板を直接インキュベートすることによって、ポジティブ固体ナノ構造が生成された。次いで、基板を多量の水で洗浄してPEGを除去した。
【0065】



【0066】
以下の60の態様は、2007年1月26日出願の米国特許優先権仮出願第60/886,839号に記載されている。
1. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化し露出基板を提供するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程。
2. オリゴマー化合物またはポリマー化合物をナノ構造から除去する工程をさらに含む、態様1記載の方法。
3. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、水溶性オリゴマーまたは水溶性ポリマーを含む、態様1記載の方法。
4. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、主鎖にヘテロ原子を含む、態様1記載の方法。
5. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ルイス塩基として作用する酸素原子を含む、態様4記載の方法。
6. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、態様4記載の方法。
7. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレンオキシドを含む、態様4記載の方法。
8. 基板が、金属、半導体、または絶縁体材料を含む、態様1記載の方法。
9. 基板が、絶縁体上の金属層を含む、態様1記載の方法。
10. 基板が、酸化ケイ素上の金の層を含む、態様9記載の方法。
11. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化しかつ露出基板を提供するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程。
12. オリゴマー化合物またはポリマー化合物をナノ構造またはミクロ構造から除去する工程をさらに含む、態様11記載の方法。
13. ポリマー化合物が、水溶性オリゴマーまたは水溶性ポリマーを含む、態様11記載の方法。
14. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ヘテロ原子を含む、態様11記載の方法。
15. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ルイス塩基として作用する酸素原子を含む、態様14記載の方法。
16. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、態様14記載の方法。
17. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレンオキシドを含む、態様14記載の方法。
18. 基板が、金属、半導体、または絶縁体材料を含む、態様11記載の方法。
19. 基板が、絶縁体上の金属層を含む、態様11記載の方法。
20. 基板が、酸化ケイ素上の金の層を含む、態様19記載の方法。
21. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程;
基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物で被覆する工程;
露出基板を提供するために、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を除去する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程。
22. 不動態化化合物を除去する工程をさらに含む、態様21記載の方法。
23. 不動態化化合物が、チオール化合物を含む、態様21記載の方法。
24. 不動態化化合物が、オクタデシルチオール(ODT)を含む、態様23記載の方法。
25. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、水溶性ポリマーを含む、態様21記載の方法。
26. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ヘテロ原子を含む、態様21記載の方法。
27. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ルイス塩基として作用する酸素原子を含む、態様26記載の方法。
28. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、態様26記載の方法。
29. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレンオキシドを含む、態様26記載の方法。
30. 基板が、金属、半導体、または絶縁体材料を含む、態様21記載の方法。
31. 基板が、絶縁体上の金属層を含む、態様21記載の方法。
32. 基板が、酸化ケイ素上の金の層を含む、態様31記載の方法。
33. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程;
基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物で被覆する工程;
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を除去し、かつ露出基板を提供する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程。
34. 不動態化化合物を除去する工程をさらに含む、態様33記載の方法。
35. 不動態化化合物が、チオール化合物を含む、態様33記載の方法。
36. 不動態化化合物が、オクタデシルチオール(ODT)を含む、態様35記載の方法。
37. 残存するオリゴマー化合物またはポリマー化合物を除去する工程をさらに含む、態様33記載の方法。
38. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、水溶性オリゴマーまたは水溶性ポリマーを含む、態様33記載の方法。
39. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ヘテロ原子を含む、態様33記載の方法。
40. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ルイス塩基として作用する酸素原子を含む、態様39記載の方法。
41. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、態様39記載の方法。
42. オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、ポリエチレンオキシドを含む、態様39記載の方法。
43. 基板が、金属、半導体、または絶縁体材料を含む、態様39記載の方法。
44. 基板が、絶縁体上の金属層を含む、態様33記載の方法。
45. 基板が、酸化ケイ素上の金の層を含む、態様44記載の方法。
46. 態様1〜45のいずれか一態様に従って形成されたナノ構造のアレイ。
47. 態様1〜45のいずれか一態様に従って形成されたミクロ構造のアレイ。
48. 基板に形成されたナノ構造を含む物品であって、該ナノ構造が金属を含み、かつ該基板が絶縁体を含む、物品。
49. ナノ構造が金を含む、態様48記載の物品。
50. 基板が酸化ケイ素を含む、態様48記載の物品。
51. ナノ構造が、直接描画ナノリソグラフィおよび金属層のエッチングによって形成される、態様48記載の物品。
52. 基板に形成されたミクロ構造を含む物品であって、該ミクロ構造が金属を含み、かつ該基板が絶縁体を含み、かつ該ミクロ構造がマイクロコンタクトプリンティングおよび金属層のエッチングによって形成される、物品。
53. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化し露出基板を提供するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程であって、パターン化が、オリゴマー化合物またはポリマー化合物をチップから基板の表面へと転写することを含む、工程;および、
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程。
54. チップが、走査プローブ顕微鏡チップである、態様53記載の方法。
55. チップが、原子間力顕微鏡チップである、態様53記載の方法。
56. チップが、中空チップである、態様53記載の方法。
57. 以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を用いて基板の表面をパターン化するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程であって、前記オリゴマー化合物またはポリマー化合物がチップから基板の表面へと転写される、工程;
基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物で被覆する工程;
露出基板を提供するために、オリゴマー化合物またはポリマー化合物を除去する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程。
58. チップが、走査プローブ顕微鏡チップである、態様57記載の方法。
59. チップが、原子間力顕微鏡チップである、態様57記載の方法。
60. チップが、中空チップである、態様57記載の方法。
60の態様は以上である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物(patterning composition)を用いて基板の表面をパターン化しかつ露出基板を提供するために、直接描画(direct-write)ナノリソグラフィを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程。
【請求項2】
パターン形成組成物が、水溶性オリゴマー化合物または水溶性ポリマー化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、主鎖にヘテロ原子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、酸素原子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
パターン形成組成物が、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
パターン形成組成物が、ポリプロピレングリコール、ロウ、ポリエチレンイミン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
パターン形成組成物をチップに適用する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
基板の表面のパターン化が、パターン形成組成物をチップから基板の表面へと転写することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
チップが、走査プローブ顕微鏡チップである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
チップが、原子間力顕微鏡チップである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
チップが、中空チップである、請求項8記載の方法。
【請求項12】
チップが、非中空チップである、請求項8記載の方法。
【請求項13】
基板の表面のパターン化が、少なくとも約40%の相対湿度で行われる、請求項8記載の方法。
【請求項14】
以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化しかつ露出基板を提供するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、パターン化された表面の露出基板をエッチングする工程。
【請求項15】
パターン形成組成物が、水溶性オリゴマー化合物または水溶性ポリマー化合物を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、主鎖にヘテロ原子を含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、酸素原子を含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
パターン形成組成物が、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化するために、直接描画ナノリソグラフィを実行する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;
基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物(passivating compound)で被覆する工程;
露出基板を提供するために、パターン形成組成物を除去する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程。
【請求項20】
パターン形成組成物が、水溶性オリゴマー化合物または水溶性ポリマー化合物を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、主鎖にヘテロ原子を含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、酸素原子を含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
パターン形成組成物が、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
パターン形成組成物が、ポリプロピレングリコール、ロウ、ポリエチレンイミン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
パターン形成組成物をチップに適用する工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項26】
基板の表面のパターン化が、パターン形成組成物をチップから基板の表面へと転写することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
チップが、走査プローブ顕微鏡チップである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
チップが、原子間力顕微鏡チップである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
チップが、中空チップである、請求項26記載の方法。
【請求項30】
チップが、非中空チップである、請求項26記載の方法。
【請求項31】
基板の表面のパターン化が、少なくとも約40%の相対湿度で行われる、請求項26記載の方法。
【請求項32】
以下の工程を含む、ナノ構造またはミクロ構造を形成する方法:
オリゴマー化合物またはポリマー化合物を含むパターン形成組成物を用いて基板の表面をパターン化するために、マイクロコンタクトプリンティングを実行する工程;
基板表面のパターン化されていない領域を不動態化化合物で被覆する工程であって、前記パターン形成組成物が基板表面に物理吸着している、工程;
パターン形成組成物を除去し、かつ露出基板を提供する工程;および
ナノ構造またはミクロ構造を形成するために、露出基板をエッチングする工程。
【請求項33】
パターン形成組成物が、水溶性オリゴマー化合物または水溶性ポリマー化合物を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、主鎖にヘテロ原子を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
オリゴマー化合物またはポリマー化合物が、酸素原子を含む、請求項32記載の方法。
【請求項36】
パターン形成組成物が、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項32記載の方法。
【請求項37】
以下の段階を含む方法:
ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)を含むインク組成物を、チップに配置する工程;
付着物を形成するために、インク組成物を基板表面に転写する工程;
基板をエッチング条件に暴露する工程。
【請求項38】
転写が、走査プローブコンタクトプリンティングまたはディップペンナノリソグラフィによって行われる、請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−530126(P2010−530126A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542828(P2009−542828)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025722
【国際公開番号】WO2008/121137
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】