説明

エネルギーハーべスティング電子装置

【課題】出力パワーを増やすことができるエネルギーハーべスティング電子装置を提供する。
【解決手段】前記電子装置は複数のエネルギーハーベストを含むエネルギーハーベストアレイと、前記エネルギーハーベストアレイに接続される単一整流器と、前記単一整流器に接続されるとともに負荷抵抗を有する出力部を含む。前記複数のエネルギーハーベストは前記出力部の前記負荷抵抗より高い第1固有抵抗を有し、並列に接続される複数の第1エネルギーハーベストと、前記第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有し、前記複数の第1エネルギーハーベストに並列に接続される一つの第2エネルギーハーベストを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置に関し、さらに詳しくは、エネルギーハーべスティング電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気通信技術の発達より様々な電子装置が登場している。例えば、携帯用電子機器のような電子装置はユーザー中心のユビキタス(Ubiquitous)コンピューティングを具現することによって、その需要が爆発的に増加している。携帯用電子機器はバッテリーのような携帯電源を含む。バッテリーは一回性で使用が終わるか、または、周期的に再充電が必要であるのでバッテリーの使用に限界がある。電子装置に於いて、エネルギーハーべスティングの必要性が高まっている。
【0003】
エネルギーハーべスティング(energy harvesting)は自然から無駄に捨てられる震動エネルギー、即ち、電車の震動、真空ポンプの震動、機械モータの震動、自動車エンジンの震動、人の動作による震動等の無駄に捨てられる機械的なエネルギーを電気エネルギーに変換する技術を意味する。エネルギーハーベストはトランスデューサ(transducer)の一種として、圧電素子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0212276号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Daniel Guyomar、et al、“Toward Energy Harvesting Using Active Materials and Conversion Improvement by Non linear Processing”、ieee transactions on ultrasonics、ferroelectrics、and frequency control、vol.52、no.4、pp.584〜595、april 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は超小型のエネルギーハーべスティング電子装置を提供することである。
【0007】
本発明の異なる課題は高出力のエネルギーハーべスティング電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のエネルギーハーべスティング電子装置は並列に接続されるエネルギーハーベストアレイに於いて、一つの高抵抗を有するエネルギーハーベストを含む。複数のエネルギーハーベストを含むエネルギーハーベストアレイと、前記エネルギーハーベストアレイに接続される単一整流器と、前記単一整流器に接続されるとともに負荷抵抗を有する出力部とを含み、前記複数のエネルギーハーベストは前記出力部の前記負荷抵抗より高い第1固有抵抗を有し、並列に接続される複数の第1エネルギーハーベストと、前記第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有し、前記複数の第1エネルギーハーベストに並列に接続される一つの第2エネルギーハーベストとを含む。
【0009】
本発明の一実施形態によると、前記複数の第1エネルギーハーベストは並列形の圧電バイモルフを含み、前記第2エネルギーハーベストは直列形の圧電バイモルフを含む。前記並列形の圧電バイモルフは前記直列形の圧電バイモルフより固有抵抗が低い。前記直列形の圧電バイモルフはハーベストアレイの全体の有効抵抗を前記負荷抵抗とほぼ同じになるようにする。
【0010】
本発明の一実施形態によると、前記直列形の圧電バイモルフと前記複数の並列形の圧電バイモルフは各々同じ大きさの分極を有する複数の圧電単結晶プレートを含む。
【0011】
本発明の一実施形態によると、前記直列形の圧電バイモルフは前記複数の圧電単結晶プレートの分極が直列に接続される。ここで、直列接続は前記複数の圧電単結晶プレートの分極が同じ方向へ順に配置されることを含む。
【0012】
本発明の一実施形態によると、前記複数の並列形の圧電バイモルフは前記複数の圧電単結晶プレートの分極が並列に接続される。並列接続は前記複数の圧電単結晶プレートの分極が平行に並んでいる方向に配置されることを含む。
【0013】
本発明の一実施形態によると、前記複数の圧電単結晶プレートは同じ大きさを有する。
【0014】
本発明の一実施形態によると、前記複数の圧電単結晶プレートはPMN−PT、PZN−PT、PMN−PZTの中で何れか一つの材質を含む。
【0015】
本発明の一実施形態によると、前記複数の並列形の圧電バイモルフの各々は前記複数の圧電単結晶プレートの間に形成されたシム(shim)と、前記複数の圧電単結晶プレートの上下に形成された複数の電極とを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記複数の電極はインタデジタル電極を含む。
【0017】
本発明の他の実施形態によると、前記複数の第1エネルギーハーベストは第1圧電ユニモルフを含み、前記第2エネルギーハーベストは第2圧電ユニモルフを含む。
【0018】
本発明の他の実施形態によると、前記第1圧電ユニモルフは第1圧電単結晶プレートを含み、前記第2圧電ユニモルフは前記第1圧電単結晶プレートより小さい又は微量の不純物でドープされる第2圧電単結晶プレートを含む。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記出力部と前記整流器との間に形成された安定器をさらに含む。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記エネルギーハーベストアレイと前記整流器との間に形成された同期スイッチング部をさらに含む。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記同期スイッチング部はインダクタとスイッチを含む。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明の実施形態によると、並列に接続されたエネルギーハーベストアレイの中で一つを高抵抗を有するエネルギーハーベストから構成する。高抵抗を有するエネルギーハーベストはエネルギーハーベストアレイの有効抵抗を出力部の負荷抵抗とほぼ同じになるようにする。従って、エネルギーハーべスティング電子装置は出力パワーを極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置を概略的に示す図面である。
【図2】図1の並列形の圧電バイモルフを示す図面である。
【図3】図1の直列形の圧電バイモルフを示す図面である。
【図4】本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置を概略的に示す図面である。
【図5】図4の低抵抗圧電ユニモルフを示す図面である。
【図6】図4の高抵抗圧電ユニモルフを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付された図面を参考にして本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。本発明の長所及び特徴、そして、それらを達成する方法は後述する実施形態によって明確になる。しかし、本発明はここに説明される実施形態によって限定されず、異なる形態で具体化することができる。むしろ、ここに紹介される実施形態は開示される内容が完全になるように、そして、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供される。また、明細書の全文にわたって同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0025】
本発明の明細書で使われる用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本発明の明細書に於いて、単数形は特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる用語‘含む(comprises、comprising)'は一つ以上の異なる構成要素、段階、動作、素子の存在又は追加を排除しない。
【0026】
図1は本発明の一実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置を概略的に示す図面であり、図2は図1の並列形の圧電バイモルフ20を示す図面であり、図3は図1の直列形の圧電バイモルフ30を示す図面である。
【0027】
図1乃至図3を参考にすると、本発明の一実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は、並列に接続された複数の並列形の圧電バイモルフ20と、前記複数の並列形の圧電バイモルフ20に並列に接続された直列形の圧電バイモルフ30を含む。複数の並列形の圧電バイモルフ20及び直列形の圧電バイモルフ30の有効抵抗(effective resistance)と出力部60の負荷抵抗Rloadが同じである(matching)とき、出力パワーは最大になる。出力部60の負荷抵抗Rloadは複数の並列形の圧電バイモルフ20及び直列形の圧電バイモルフ30の各々の固有抵抗より低い。並列に接続された並列形の圧電バイモルフ20は出力部60の負荷抵抗Rloadより低い有効抵抗を有する。並列形の圧電バイモルフ20の個数が増加するほど、有効抵抗が低くなる。直列形の圧電バイモルフ30は並列形の圧電バイモルフ20の有効抵抗を出力部60の負荷抵抗Rloadにマッチングさせる。
【0028】
従って、本発明の一実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は出力パワーを極大化することができる。
【0029】
直列形の圧電バイモルフ30と、複数の並列形の圧電バイモルフ20はエネルギー源(energy source)10に並列接続されるエネルギーハーベストアレイから構成される。複数の並列形の圧電バイモルフ20は第1乃至第3並列形の圧電バイモルフ22、24、26を含む。第1乃至第3並列形の圧電バイモルフ22、24、26は並列に接続される。複数の並列形の圧電バイモルフ20はその個数が増加するほど有効抵抗がだんだん低くなり、出力電流が高くなる。複数の並列形の圧電バイモルフ20は出力電圧の位相差が発生しない場合、一つの整流器50に接続される。整流器50は2個又は4個のダイオードからなるブリッジ整流器(bridge rectifier)を含む。
【0030】
第1乃至第3並列形の圧電バイモルフ22、24、26は一つのエネルギー源10の側壁に連結される。第1乃至第3並列形の圧電バイモルフ22、24、26は出力部60の負荷抵抗Rloadより高い第1固有抵抗を有する。複数の並列形の圧電バイモルフ20の各々はエネルギー源10に連結されたシム(shim)12と、前記エネルギー源10に対向する前記シム12の末端に形成された質量錘(weight)14と、前記質量錘14及び前記エネルギー源10の間の前記シム12の上下に形成された第1及び第2圧電単結晶プレート21、23と、前記第1及び第2圧電単結晶プレート21、23の各々の上下に形成された第1乃至第4電極25、27、28、29を含む。
【0031】
第1及び第2圧電単結晶プレート21、23は互いに同じ大きさの分極Pを有する物質を含む。例えば、第1及び第2圧電単結晶プレート21、23はPMN−PT、PZN−PT、PMN−PZTの中で何れか一つの材質を含む。第1及び第2圧電単結晶プレート21、23はシム12を中心として互いに反対方向の分極Pを有する。
【0032】
第1圧電単結晶プレート21はシム12の上部に向ける分極Pを有する。第2圧電単結晶プレート23はシム12の上部に向ける分極Pを有する。第1及び第2圧電単結晶プレート21、23は並列に接続される。ここで、並列接続は複数の分極Pが並んで配置されるものと定義する。
【0033】
第1電極25と第2電極27は第1圧電単結晶プレート21の上下に配置される。第1電極25と第2電極27は第1圧電単結晶プレート21の上下で互いに食い違う鉤形状のインタデジタル電極(interdigital electrodes)を含む。第3電極28と第4電極29は第2圧電単結晶プレート23の上下に配置される。第3電極28と第4電極29はインタデジタル電極を含む。
【0034】
第1電極25と第4電極29が接続され、第2電極27と第3電極28が接続される。複数の並列形の圧電バイモルフ20は第1及び第2圧電単結晶プレート21、23の各々の固有抵抗より低い有効抵抗を有する。
【0035】
複数の並列形の圧電バイモルフ20の各々の第1固有抵抗はエネルギー源10の共振周波数と、第1及び第2圧電単結晶プレート21、23の各々の有効キャパシタンスに比例する。ここで、共振周波数はエネルギーハーベストアレイが並列に接続された閉回路(short−circuit、例えば、配線が接続されるか、或いは50オム抵抗 )から測定されたエネルギー源10の震動周波数を含む。また、第1固有抵抗は機械的なダンピング比(damping ratio)、電気−機械結合係数、共振周波数又は有効圧電キャパシタンスの関数に比例する。
【0036】
複数の並列形の圧電バイモルフ20は互いに並列接続される場合、有効抵抗が第1固有抵抗より低くなる。並列に接続された複数の並列形の圧電バイモルフ20の有効抵抗は第1乃至第3並列形の圧電バイモルフ22、24、26の各々の第1固有抵抗の1/3に減少する。複数の並列形の圧電バイモルフ20が並列接続される場合、有効抵抗が減少することによって電流は最大になる。ここで、並列に接続された圧電ハーベストアレイの電流が高く、圧電ハーベストアレイの全体の有効抵抗が出力部60の負荷抵抗Rloadと同じであるとき、出力パワーは最大になる。
【0037】
直列形の圧電バイモルフ30は複数の並列形の圧電バイモルフ20に並列接続され、エネルギーハーベストアレイの全体の有効抵抗を出力抵抗Rloadとほぼ同じになるようにする。直列形の圧電バイモルフ30は第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有する。
【0038】
直列形の圧電バイモルフ30はエネルギー源10に連結されたシム12と、前記エネルギー源10に対向する前記シム12の末端に形成された質量錘14と、前記質量錘14及び前記エネルギー源10の間の前記シム12上下に形成された第3及び第4圧電単結晶プレート31、33と、前記第3及び第4圧電単結晶プレート31、33の各々の上下に形成された第5乃至第8電極35、37、38、39を含む。
【0039】
第3及び第4圧電単結晶プレート31、33は各々第1及び第2圧電単結晶プレート21、23と同じ大きさ及び分極Pを有する。第3及び第4圧電単結晶プレート31、33はシム12を中心として互いに反対方向の分極Pを有する。第3及び第4圧電単結晶プレート31、33は直列に接続される。ここで、直列接続は同じ方向を有する複数の分極Pが連続又は順に配置されるものと定義する。
【0040】
第5電極35と第6電極37は第3圧電単結晶プレート31の上下に配置される。第5電極35と第6電極37はインタデジタル電極を含む。第7電極38と第8電極39は第4圧電単結晶プレート33の上下に配置される。第7電極38と第8電極39はインタデジタル電極を含む。第6電極37と第8電極39は互いに接続され、第5電極35と、第7電極38は互いに分離される。第5電極35と第7電極38は並列形の圧電バイモルフ20に接続される。直列形の圧電バイモルフ30は第3及び第4圧電単結晶プレート31、33の各々の第2固有抵抗より高い有効抵抗を有する。
【0041】
直列形の圧電バイモルフ30は並列形の圧電バイモルフ20に並列に接続される。第5電極53と第7電極38は並列形の圧電バイモルフ20に並列に接続される。
【0042】
出力部60は直列形の圧電バイモルフ30及び複数の並列形の圧電バイモルフ20の負荷抵抗Rloadを有する。例えば、出力部60はバッテリー及び前記バッテリーを充電する出力回路(図示せず)を含む。出力部60と整流器50との間に安定器70が設置される。安定器70は出力部60に出力される出力パワーのノイズを除去する。例えば、安定器70はキャパシタCを含む。
【0043】
複数の並列形の圧電バイモルフ20及び直列形の圧電バイモルフ30と、整流器50に同期スイッチング部40が設置される。同期スイッチング部40はインダクタ42とスイッチ44を含む。スイッチ44はエネルギー源10の共振周波数に同期されてスイッチングされる。インダクタ42はスイッチ44のスイッチング動作によって電流の急激な変化を防止する。インダクタ42は電流の変化よりπ/2ほど遅い電圧を発生させる。インダクタ42はスイッチ44のスイッチング動作によって出力パワーを増加させる。例えば、圧電エネルギーハーベストアレイの震動変位の最大値又は最少値でインダクタがスイッチングされる場合、出力電圧の反転(inversion)が行なわれる。反転された出力電圧は抵抗による損失によって増幅される。従って、出力パワーは増加する。出力電圧増幅値は負荷抵抗Rload、圧電キャパシタンス、共振周波数に依存する(特許文献1を参考する)。
【0044】
負荷抵抗Rloadより高い第1固有抵抗を有する複数の並列形の圧電バイモルフ20が並列接続されるとき、前記第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有する一つの直列形の圧電バイモルフ30は全体の有効抵抗を前記負荷抵抗とほぼ同じになるようにする。従って、本発明の一実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は出力パワーを極大化することができる。
【0045】
図4は本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置を概略的に示す図面であり、図5は図4の低抵抗圧電ユニモルフ80を示す図面であり、図6は図4の高抵抗圧電ユニモルフ90を示す図面である。ここで、本発明の他の実施形態に於いて、各々の構成要素は一実施形態と同じ参照符号又は異なる参照符号を付けて説明する。
【0046】
図4乃至図6を参考にすると、本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は、並列に接続された複数の低抵抗圧電ユニモルフ80と、前記複数の低抵抗圧電ユニモルフ80に並列に接続された高抵抗圧電ユニモルフ30とを含む。
【0047】
出力パワーは複数の低抵抗圧電ユニモルフ80及び高抵抗圧電ユニモルフ90の有効抵抗(effective resistance)と出力部60の負荷抵抗Rloadが同じであるとき、最大になる。出力部60の負荷抵抗Rloadは複数の低抵抗圧電ユニモルフ80及び高抵抗圧電バイモルフ90の各々の固有抵抗より低い。並列に接続された低抵抗圧電ユニモルフ80は出力部60の負荷抵抗Rloadより低い有効抵抗を有する。低抵抗圧電ユニモルフ80の個数が増加する毎に、有効抵抗はだんだん低くなる。高抵抗圧電ユニモルフ90は並列に接続された低抵抗圧電ユニモルフ80の有効抵抗を出力部60の負荷抵抗Rloadとほぼ同じになるようにする。
【0048】
従って、本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は出力パワーを極大化することができる。
【0049】
高抵抗圧電ユニモルフ90と、複数の低抵抗圧電ユニモルフ80はエネルギー源(energy source)10に並列接続されるエネルギーハーベストアレイから構成される。複数の低抵抗圧電ユニモルフ80は第1乃至第3低抵抗圧電ユニモルフ82、84、86を含む。第1乃至第3低抵抗圧電ユニモルフ82、84、86は並列に接続される。複数の低抵抗圧電ユニモルフ80はその個数が増加するほど有効抵抗がだんだん低くなり、出力電流が高くなる。複数の低抵抗圧電ユニモルフ80は出力電圧の位相差が発生しない場合、一つの整流器50に接続される。整流器50は2個又は4個のダイオードからなるブリッジ整流器(bridge rectifier)を含む。
【0050】
第1乃至第3低抵抗圧電ユニモルフ82、84、86は一つのエネルギー源10の側壁に連結される。第1乃至第3低抵抗圧電ユニモルフ82、84、86は出力部60の負荷抵抗Rloadより高い第1固有抵抗を有する。複数の低抵抗圧電ユニモルフ80の各々はエネルギー源10に接続されたシム12と、前記エネルギー源10に対向する前記シム12の末端に形成された質量錘14と、前記質量錘14及び前記エネルギー源10の間の前記シム12上に形成された低抵抗圧電単結晶プレート81と、前記低抵抗圧電単結晶プレート81の上下に形成された第1及び第2電極85、87を含む。
【0051】
低抵抗圧電単結晶プレート81はPMN−PT、PZN−PT、PMN−PZTの中で何れか一つの材質を含む。低抵抗圧電単結晶プレート81は第1分極P1を有する。第1電極85と第2電極87は低抵抗圧電単結晶プレート81の上下から互いに食い違う鉤形状のインタデジタル電極(interdigital electrodes)を含む。
【0052】
複数の低抵抗圧電ユニモルフ80の各々の第1固有抵抗はエネルギー源10の共振周波数と、低抵抗圧電単結晶プレート81の有効キャパシタンスに比例する。ここで、共振周波数はエネルギー源10の震動周波数を含む。また、第1固有抵抗は機械的なダンピング比、電気−機械結合係数、共振周波数又は有効圧電キャパシタンスの関数に比例する。
【0053】
複数の低抵抗圧電ユニモルフ80は互いに並列接続される場合、有効抵抗が第1固有抵抗より低くなる。並列に接続された複数の低抵抗圧電ユニモルフ80の有効抵抗は第1乃至第3低抵抗圧電ユニモルフ82、84、86の各々の第1固有抵抗の1/3に減少する。 複数の低抵抗圧電ユニモルフ80が並列接続される場合、有効抵抗が減少することによって電流が増加する。並列に接続されたエネルギーハーベストアレイの電流が高く、全体の有効抵抗が負荷抵抗Rloadと一致するとき、出力パワーは最大になる。
【0054】
高抵抗圧電ユニモルフ90は複数の低抵抗圧電ユニモルフ80に並列接続され、エネルギーハーベストアレイの全体の有効抵抗を出力抵抗Rloadとほぼ同じになるようにする。高抵抗圧電ユニモルフ90は第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有する。
【0055】
高抵抗圧電ユニモルフ90はエネルギー源10に連結されたシム12と、前記エネルギー源10に対向する前記シム12の末端に形成された質量錘14と、前記質量錘14及び前記エネルギー源10の間の前記シム12上に形成された高抵抗圧電単結晶プレート91と、前記高抵抗圧電単結晶プレート91上下に形成された第3及び第4電極95、97を含む。
【0056】
高抵抗圧電単結晶プレート91は低抵抗圧電単結晶プレート81より小さい第2分極P2を有する。高抵抗圧電単結晶プレート91は低抵抗圧電単結晶プレート81より小さく、微量の不純物でドープされる。従って、本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置は並列に接続されるエネルギーハーベストアレイに於いて、高抵抗圧電単結晶プレート91の大きさを小さくすることができるので超小型化が可能である。
【0057】
第3電極95と第4電極97はインタデジタル電極を含む。第3電極95は第1電極85と接続され、第4電極97は第2電極87と接続される。従って、高抵抗圧電ユニモルフ90は複数の低抵抗圧電ユニモルフ80と並列に接続される。ここで、並列接続は複数の低抵抗圧電ユニモルフ80の第1分極P1と高抵抗圧電ユニモルフ90の第2分極P2が並んでいる方向に接続されたものと定義する。
【0058】
結局、本発明の他の実施形態によるエネルギーハーべスティング電子装置はエネルギーハーベストアレイに於いて、大きさが小さい高抵抗圧電ユニモルフ90を追加して出力パワーを極大化することができ、超小型化することができる。
【0059】
以上、添付された図面を参考にして本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者であれば、本発明の技術思想、特徴を変更しなくて異なる形態に実施できる。
【0060】
従って、本発明の実施形態により本発明が限定されてはいけない。
【符号の説明】
【0061】
10 エネルギー源
20 並列形の圧電バイモルフ
30 直列形の圧電バイモルフ
50 整流器
60 出力部
70 安定器
80 低抵抗圧電ユニモルフ
90 高抵抗圧電ユニモルフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエネルギーハーベストを含むエネルギーハーベストアレイと、
前記エネルギーハーベストアレイに接続される単一整流器と、
前記単一整流器に接続されるとともに負荷抵抗を有する出力部とを含み、
前記複数のエネルギーハーベストは前記出力部の前記負荷抵抗より高い第1固有抵抗を有し、並列に接続される複数の第1エネルギーハーベストと、前記第1固有抵抗より高い第2固有抵抗を有し、前記複数の第1エネルギーハーベストに並列に接続される一つの第2エネルギーハーベストとを含むことを特徴とするエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項2】
前記複数の第1エネルギーハーベストは並列形の圧電バイモルフを含み、前記第2エネルギーハーベストは直列形の圧電バイモルフを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項3】
前記直列形の圧電バイモルフと前記複数の並列形の圧電バイモルフとは各々同じ大きさの分極を有する複数の圧電単結晶プレートを含むことを特徴とする請求項2に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項4】
前記並列形の圧電バイモルフは、前記複数の圧電単結晶プレートの分極が並列に接続されることを特徴とする請求項3に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項5】
前記直列形の圧電バイモルフは、前記複数の圧電単結晶プレートの分極が直列接続されることを特徴とする請求項3に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項6】
前記複数の圧電単結晶プレートは、同じ大きさを有することを特徴とする請求項3に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項7】
前記複数の圧電単結晶プレートは、PMN−PT、PZN−PT、PMN−PZTの中で何れか一つの材質を含むことを特徴とする請求項3に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項8】
前記複数の並列形の圧電バイモルフは、前記複数の圧電単結晶プレートの間に形成されたシムと、前記複数の圧電単結晶プレートの上下に形成された複数の電極とをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項9】
前記複数の電極はインタデジタル電極を含むことを特徴とする請求項8に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項10】
前記複数の第1エネルギーハーベストは、第1圧電ユニモルフを含み、前記第2エネルギーハーベストは第2圧電ユニモルフを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項11】
前記第1圧電ユニモルフは、第1圧電単結晶プレートを含み、
前記第2圧電ユニモルフは、前記第1圧電単結晶プレートより小さい又は微量の不純物でドープされる第2圧電単結晶プレートを含むことを特徴とする請求項10に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項12】
前記出力部と前記整流器との間に形成された安定器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のハーべスティング電子装置。
【請求項13】
前記エネルギーハーベストアレイと前記整流器との間に形成された同期スイッチング部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。
【請求項14】
前記同期スイッチング部は、インダクタとスイッチを含むことを特徴とする請求項13に記載のエネルギーハーべスティング電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−65533(P2012−65533A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281955(P2010−281955)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea