説明

エネルギー発生機構

【課題】省エネに寄与することが出来るエネルギー発生機構を提供しようとするもの。
【解決手段】生石灰1と水2とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰1と水2との反応により生成した消石灰3を昇温させて生石灰1と水蒸気4とに分解せしめ、再生した生石灰1と新たに供給した水2を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにした。化石燃料に由来する重油やガスでは燃焼させると二酸化炭素などに変化して元の燃料は消失するが、このエネルギー発生機構では生石灰1と消石灰3との間で化学構造を変換させながら連続的に反応させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新規なエネルギー発生機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機と貯湯タンクとを排熱回収ラインで接続し、発電機が発電時に発生する熱で加熱した湯を貯湯タンクに貯湯するコジェネレーションシステムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、従来より、コジェネレーションシステムが家庭用や業務用向けに開発されている。当該システムは、ガスエンジンや燃料電池などの発電機を需要家に設置し、その発電機が都市ガスなどの一次エネルギーを供給されて発電する電気によって需要家の電力需要を賄うとともに、発電機が発電と同時に発生する熱を利用して貯湯タンクに湯を貯め、貯めた湯によって需要家の給湯・暖房需要を賄う。そのため、コジェネレーションシステムは、商用電力使用量や都市ガス使用量などの一次エネルギー消費量を減少させ、経済性や省エネ性の向上を図る点で優れている。近年、コジェネレーションシステムの経済性及び省エネ性をより一層向上させるため、各種提案がなされている、・・・というものである。
しかし、省エネにより寄与することが出来るエネルギー発生機構の要望があった。
【特許文献1】特開2008−241145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、省エネに寄与することが出来るエネルギー発生機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明のエネルギー発生機構は、生石灰と水とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰と水との反応により生成した消石灰を昇温させて生石灰と水蒸気とに分解せしめ、再生した生石灰と新たに供給した水を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにしたことを特徴とする。
このエネルギー発生機構では、生石灰と水とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰と水との反応により生成した消石灰を昇温させて生石灰と水蒸気とに分解せしめるようにしたので、前記反応生成熱(熱源として利用)や水蒸気(動力として利用)をエネルギーとして利用することができる。
また、再生した生石灰と新たに供給した水を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにしたので、生石灰と水とが反応して消石灰に化学変化する際の反応生成熱を消石灰の昇温・分解に利用することにより連続してエネルギーを取り出すことが出来る。
ここで、化石燃料に由来する重油やガスでは燃焼させると二酸化炭素などに変化して元の燃料は消失するが、このエネルギー発生機構では生石灰と消石灰との間で化学構造を変換させながら連続的に反応させることができる。
【0005】
(2) 前記消石灰を分解温度の580℃以上に昇温させるように熱量の不足分を外部から補給するようにしてもよい。
このように構成すると、生石灰・消石灰を貯留して水を供給し水蒸気を発生させる“反応槽”を消石灰の分解温度の580℃以上の高温に維持することにより、生石灰と消石灰とが渾然一体となった反応を継続させることができる。この反応槽は、生石灰と消石灰を攪拌するようにしてもよい。
【0006】
(3)前記消石灰が熱分解することにより発生した水蒸気をエネルギーとして利用するようにしてもよい。
このように構成し、高温で熱分解することにより発生した水蒸気を加圧してタービンを回転させることにより発電を行うことができる。消石灰の分解温度は580℃であるので、高温の水蒸気を得ることができる。
ここで、前記消石灰Ca(OH)2が分解することによって発生する水蒸気の他に、生石灰CaOと水H2Oとの反応生成熱による発熱により水が蒸発して発生する水蒸気を利用することができる。
【0007】
(4) 前記継続して発生する反応生成熱を熱源として利用するようにしてもよい。このように構成し、この生石灰と消石灰を貯留する“反応槽”の周壁から(例えば液体等を介して)熱を取り出すようにすることが出来る。
【0008】
(5)前記水として排水を供給するようにしてもよい。このように構成すると、エネルギーの取り出しと同時に排水の浄化処理を行うことができる。
すなわち、排水は生石灰と発熱反応することにより、一部は水蒸気となって蒸発し、一部は生石灰と結合して消石灰に化学変化する。この消石灰が高温で生石灰と分離することにより水蒸気となる。そして、排水中の汚れ成分、特に有機成分は高温に晒されることにより熱分解して浄化されることとなる。
【発明の効果】
【0009】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
化石燃料に由来する重油やガスでは燃焼させると二酸化炭素などに変化して元の燃料は消失するが、このエネルギー発生機構では生石灰と消石灰との間で化学構造を変換させながら連続的に反応させることができるので、省エネに寄与することが出来るエネルギー発生機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
(実施形態1)
この実施形態のエネルギー発生機構は、生石灰1と水2とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰1と水2との反応により生成した消石灰3を昇温させて生石灰1と水蒸気4とに分解せしめ、再生した生石灰1と新たに供給した水2を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにしている。
【0011】
そして、前記消石灰3を分解温度の580℃以上に昇温させるように熱量の不足分を外部から補給するようにしている(図示せず)。したがって、生石灰1・消石灰3を貯留して水2を供給し水蒸気4を発生させる“反応槽5”を消石灰3の分解温度の580℃以上の高温に維持することにより、生石灰1と消石灰3とが渾然一体となった反応を継続させることができる。この反応槽5は、生石灰1と消石灰3を回転羽根6により攪拌するようにしいる。
【0012】
また、前記消石灰3が熱分解することにより発生した水蒸気4をエネルギーとして利用するようにしている。すなわち、高温で熱分解することにより発生した水蒸気4を加圧してタービンを回転させることにより発電を行うことができる(図示せず)。消石灰3の分解温度は580℃であるので、高温の水蒸気4を得ることができる。
ここで、前記消石灰Ca(OH)2が分解することによって発生する水蒸気4の他に、生石灰CaOと水H2Oとの反応生成熱による発熱により水2が蒸発して発生する水蒸気4を利用することができる。
【0013】
その上、前記継続して発生する反応生成熱を熱源として利用するようにしている。すなわち、この生石灰1と消石灰3を貯留する“反応槽5”の周壁から(例えば液体等を介して)熱を取り出すようにすることが出来る(図示せず)。
【0014】
次に、この実施形態のエネルギー発生機構の使用状態を説明する。
このエネルギー発生機構では、生石灰1と水2とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰1と水2との反応により生成した消石灰3を昇温させて生石灰1と水蒸気4とに分解せしめるようにしたので、前記反応生成熱(熱源として利用)や水蒸気4(動力として利用)をエネルギーとして利用することができる。
また、再生した生石灰1と新たに供給した水2を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにしたので、生石灰1と水2とが反応して消石灰3に化学変化する際の反応生成熱を消石灰3の昇温・分解に利用することにより連続してエネルギーを取り出すことが出来る。
【0015】
ここで、化石燃料に由来する重油やガスでは燃焼させると二酸化炭素などに変化して元の燃料は消失するが、このエネルギー発生機構では生石灰1と消石灰3との間で化学構造を変換させながら連続的に反応させることができ、省エネに寄与することが出来るという利点を有する。
【0016】
(実施形態2)
前記水2として排水(図示せず)を供給するようにしており、エネルギーの取り出しと同時に排水の浄化処理を行うことができる。
すなわち、排水は生石灰1と発熱反応することにより、一部は水蒸気4となって蒸発し、一部は生石灰1と結合して消石灰3に化学変化する。この消石灰3が高温で生石灰1と分離することにより水蒸気4となる。そして、排水中の汚れ成分、特に有機成分は高温に晒されることにより熱分解して浄化されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
生石灰と消石灰との間で化学構造を変換させながら連続的に反応させることができ、省エネに寄与することが出来るという利点を有することによって、コジェネその他の省エネルギー関連の用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明のエネルギー発生機構の実施形態の説明図。
【符号の説明】
【0019】
1 生石灰
2 水
3 消石灰
4 水蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生石灰1と水2とにより反応生成熱を発生させ、前記生石灰1と水2との反応により生成した消石灰3を昇温させて生石灰1と水蒸気4とに分解せしめ、再生した生石灰1と新たに供給した水2を接触させることにより継続して反応生成熱を発生させるようにしたことを特徴とするエネルギー発生機構。
【請求項2】
前記消石灰3を分解温度の580℃以上に昇温させるように熱量の不足分を外部から補給するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載のエネルギー発生機構。
【請求項3】
前記消石灰3が熱分解することにより発生した水蒸気4をエネルギーとして利用するようにした請求項1記載のエネルギー発生機構。
【請求項4】
前記継続して発生する反応生成熱を熱源として利用するようにした請求項1又は2記載のエネルギー発生機構。
【請求項5】
前記水2として排水を供給するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のエネルギー発生機構。

【図1】
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【公開番号】特開2012−167876(P2012−167876A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29441(P2011−29441)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(399049981)株式会社オメガ (70)