説明

エネルギ貯蔵装置

【課題】多量熱需要に対応すると共に、システムの小型化と低コスト化を両立させる。
【解決手段】発電手段12と、該発電手段12と電気的に接続され、該発電手段12により生成された電力を化学エネルギとして蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出可能な二次電池14と、該発電手段12と電気的に接続され電力を熱エネルギに変換する電気ヒータを有すると共に、反応材と可逆的に結合する化学蓄熱材を有し、熱エネルギにより化学蓄熱材と反応材とを分離させて蓄熱する一方、化学蓄熱材と反応材とを反応させて熱エネルギを放出可能な化学蓄熱装置16と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池やバッテリなどの長期持続または安定電力装置の他に、ウルトラコンデンサ、フライホイール等の高速エネルギ貯蔵装置(FES)を有する二重エネルギ貯蔵システムが開示されている(特許文献1参照)。このシステムでは、高電流の入出力を高速エネルギ貯蔵装置が担うことにより、バッテリの寿命を延ばすとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011−517924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エネルギ貯蔵装置に蓄えたエネルギを熱エネルギに変換し、空調機器への熱供給や、機器の冷却又は暖機を実施したい(熱需要がある)場合において、上記した従来例の構成ではエネルギ貯蔵密度が小さいため、必要なエネルギを蓄えるには、エネルギ貯蔵装置が大型化してしまう。またこのような熱需要は、駐車等の長時間経過後の再始動時に要求される場合が多い。従って、この熱需要に応えるためには、長時間ロスなくエネルギを貯蔵できることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、多量熱需要に対応すると共に、システムの小型化と低コスト化を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、発電手段と、該発電手段と電気的に接続され、該発電手段により生成された電力を化学エネルギとして蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出可能な第1エネルギ貯蔵手段と、該発電手段と電気的に接続され前記電力を熱エネルギに変換する電気ヒータを有すると共に、反応材と可逆的に結合する化学蓄熱材を有し、前記熱エネルギにより化学蓄熱材と反応材とを分離させて蓄熱する一方、前記化学蓄熱材と前記反応材とを反応させて熱エネルギを放出可能な第2エネルギ貯蔵手段と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置では、発電手段にて生成された電力を、一方では第1エネルギ貯蔵手段に蓄え、他方では第2エネルギ貯蔵手段に蓄えることができる。第1エネルギ貯蔵手段は、電力を化学エネルギに変換して蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出する。また第2エネルギ貯蔵手段は、電力を電気ヒータにより熱エネルギに変換して、該熱エネルギにより化学蓄熱材と反応材とを分離させることにより、該熱エネルギを化学エネルギに変換して蓄える一方、化学蓄熱材と反応材とを反応させることにより、化学エネルギを熱エネルギに変換して放出する。第1エネルギ貯蔵手段と第2エネルギ貯蔵手段を併用することにより、システムの大型化や高コスト化を抑制しつつエネルギ貯蔵密度を高めることができる。またこれによって、多量熱需要に対応すると共に、システムの小型化と低コスト化を両立させることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置において、前記発電手段と、前記第1エネルギ貯蔵手段及び前記第2エネルギ貯蔵手段との間には、該第1エネルギ貯蔵手段又は該第2エネルギ貯蔵手段への電力の分配を制御する制御手段が電気的に接続されている。
【0009】
請求項2に記載のエネルギ貯蔵装置では、制御手段によって、発電手段にて生成された電力を、第1エネルギ貯蔵手段又は第2エネルギ貯蔵手段に適切に分配することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のエネルギ貯蔵装置において、前記第1エネルギ貯蔵手段には、該第1エネルギ貯蔵手段の蓄電量を検出して前記制御手段へ送信する蓄電量検出手段が設けられている。
【0011】
請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置10では、制御手段による電力の分配が、蓄電量検出手段から送信される第1エネルギ貯蔵手段の蓄電量に基づいて行われる。このため、第1エネルギ貯蔵手段の過充電を抑制することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置において、前記制御手段と前記第1エネルギ貯蔵手段との間には、該第1エネルギ貯蔵手段へ流れる電流を検出して前記制御手段へ送信する電流検出手段が設けられている。
【0013】
請求項4に記載のエネルギ貯蔵装置では、制御手段による電力の分配が、電流検出手段から送信される第1エネルギ貯蔵手段への流入電流に基づいて行われる。従って、発電機により生成される電力が短時間で高出力となり、第1エネルギ貯蔵手段で回収しきれなくなった場合でも、その電力を第2エネルギ貯蔵手段で回収することができる。このため、エネルギ回収効率を向上させることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2〜請求項4の何れか1項に記載のエネルギ貯蔵装置において、前記第1エネルギ貯蔵手段には、該第1エネルギ貯蔵手段の温度を検出して前記制御手段へ送信する温度検出手段が設けられており、前記第1エネルギ貯蔵手段と前記第2エネルギ貯蔵手段は、互いに熱的に接続されている。
【0015】
請求項5に記載のエネルギ貯蔵装置では、第1エネルギ貯蔵手段と第2エネルギ貯蔵手段とが熱的に接続されているので、温度検出手段により第1エネルギ貯蔵手段の温度を検出しつつ、該第1エネルギ貯蔵手段の温度が最適となるように、該第1エネルギ貯蔵手段の暖気又は冷却を、第2エネルギ貯蔵手段で生成した温熱又は冷熱により行うことができる。このため、第1エネルギ貯蔵手段において入出力可能な電力を多くすると共に、該第1エネルギ貯蔵手段の寿命を延ばすことができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のエネルギ貯蔵装置において、前記発電手段は、動力伝達部を介して動力発生源に接続されている。
【0017】
請求項6に記載のエネルギ貯蔵装置では、動力発生源から動力伝達部を介して発電手段に伝達される動力や回生エネルギにより、該発電手段において電力を生成し、該電力を化学エネルギに変換して第1エネルギ貯蔵手段及び第2エネルギ貯蔵手段に夫々蓄えることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、多量熱需要に対応すると共に、システムの小型化と低コスト化を両立させることができる、という優れた効果が得られる。
【0019】
請求項2に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、発電手段にて生成された電力を、第1エネルギ貯蔵手段又は第2エネルギ貯蔵手段に適切に分配することができることができる、という優れた効果が得られる。
【0020】
請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、第1エネルギ貯蔵手段の過充電を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0021】
請求項4に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、エネルギ回収効率を向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0022】
請求項5に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、第1エネルギ貯蔵手段において入出力可能な電力を多くすると共に、該第1エネルギ貯蔵手段の寿命を延ばすことができる、という優れた効果が得られる。
【0023】
請求項6に記載のエネルギ貯蔵装置によれば、動力発生源からの動力や回生エネルギを、第1エネルギ貯蔵手段及び第2エネルギ貯蔵手段に夫々蓄えることができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1及び図2は、第1実施形態に係り、図1はエネルギ貯蔵装置を示す模式図である。
【図2】化学蓄熱装置を示す模式図である。
【図3】第2実施形態に係るエネルギ貯蔵装置を示す模式図である。
【図4】図4及び図5は、第3実施形態に係り、図3はエネルギ貯蔵装置を示す模式図である。
【図5】二次電池へ流れる電流と時間との関係の一例を示す線図である。
【図6】図6から図8は、第4実施形態に係り、図6はエネルギ貯蔵装置を示す模式図である。
【図7】化学蓄熱装置及び熱交換部の詳細、及び二次電池を暖機する場合における熱媒体の流れを示す模式図である。
【図8】化学蓄熱装置及び熱交換部の詳細、及び二次電池を冷却する場合における熱媒体の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置10は、車両等の移動体に搭載されるエネルギ貯蔵装置に係り、発電手段12と、第1エネルギ貯蔵手段の一例たる二次電池14と、第2エネルギ貯蔵手段の一例たる化学蓄熱装置16と、を有している。
【0027】
発電手段12は、電磁誘導によって運動エネルギを電力に変換する発電機や、他のエネルギを直接電力に変換する燃料電池、太陽光発電装置等である。
【0028】
二次電池14は、発電手段12と電気的に接続され、該発電手段12により生成された電力を化学エネルギとして蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出可能な蓄電池である。二次電池14は、電線18を介して発電手段12と接続されている。
【0029】
図1,図2において、化学蓄熱装置16は、発電手段12と電気的に接続され電力を熱エネルギに変換する電気ヒータ22を有すると共に、反応材26と可逆的に結合する化学蓄熱材24を有し、電気ヒータ22の熱エネルギにより化学蓄熱材24と反応材26とを分離させて蓄熱する一方、化学蓄熱材24と反応材26とを反応させて熱エネルギを放出可能に構成されている。化学蓄熱材24は、例えばアルカリ土類金属の塩化物である。反応材26は、例えば水(H0)である。
【0030】
具体的には、化学蓄熱装置16は、化学蓄熱材24が収納される反応容器34と、反応材26が貯蔵される貯蔵容器36とを有して構成されている。電気ヒータ22は、反応容器34内に配置され、電線48を介して発電手段12と接続されている。反応容器34と貯蔵容器36とは連通管32により接続されており、該連通管32にはバルブ38が設けられている。そして反応容器34、貯蔵容器36及び連通管32の内部は、真空に保たれている。これにより、バルブ38を開くことにより、反応容器34と貯蔵容器36との間での反応材26(水蒸気)の移動が許容され、またバルブ38を閉じることにより、該反応材26の移動が規制されるようになっている。
【0031】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1,図2において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置10では、発電手段12にて生成された電力を、一方では二次電池14に蓄え、他方では化学蓄熱装置16に蓄えることができる。二次電池14は、発電手段12から電線18を介して送られる電力を、化学エネルギに変換して蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出することができる。
【0032】
化学蓄熱装置16は、発電手段12から電線28を介して送られる電力を電気ヒータ22により熱エネルギに変換して、該熱エネルギにより、化学蓄熱材24と反応材26とを分離させることにより、該熱エネルギを化学エネルギに変換して蓄えることができる。
【0033】
具体的には、図2において、貯蔵容器36から反応容器34に反応材26(水蒸気)が矢印A方向に供給され、反応容器34内の化学蓄熱材24と結合(水和反応)している状態を考える。上記のように、発電手段12から電気ヒータ22に送られた電力は、該電気ヒータ22により熱エネルギに変換される。この熱エネルギにより、反応材26と結合した状態の化学蓄熱材24が加熱されると、該反応材26が化学蓄熱材24から分離して水蒸気となり、連通管32を通じて貯蔵容器36へ矢印B方向に戻る。この水蒸気は、貯蔵容器36において凝縮されて貯蔵される。
【0034】
この結果、発電手段12にて生成された電力は、二次電池14に貯蔵されるだけでなく、化学蓄熱装置16にて化学エネルギに変換され貯蔵された状態となる。化学蓄熱によるエネルギ貯蔵を行うことにより、高いエネルギ貯蔵密度を実現することができる。
【0035】
また反応材26が貯蔵容器36に戻った状態でバルブ38を閉じることにより、貯蔵容器36から反応容器34への反応材26の移動が規制される。これにより、エネルギ損失を伴うことなく、化学蓄熱材24と反応材26とを長時間分離貯蔵することができる。
【0036】
一方、空調機器への熱供給や様々な機器の暖機等の熱需要が生じた際には、化学蓄熱装置16において化学蓄熱材24と反応材26とを反応させることにより、化学エネルギを熱エネルギに変換して放出することができる。
【0037】
具体的には、電気ヒータ22に電力が供給されていない状態でバルブ38を開くと、貯蔵容器36内で発生した反応材26の蒸気(水蒸気)が、連通管32を通じて反応容器34へ矢印A方向に移動する。これにより、反応容器34内の化学蓄熱材24が反応材26と化学反応することにより、化学エネルギを熱エネルギに変換することができる。この熱エネルギを用いて、空調機器への熱供給や、車両における様々な機器の暖機を実施する等、熱需要に応えることができる。
【0038】
このように、本実施形態では、二次電池14と化学蓄熱装置16を併用することにより、システムの大型化や高コスト化を抑制しつつエネルギ貯蔵密度を高めることができる。またこれによって、多量熱需要に対応すると共に、システムの小型化と低コスト化を両立させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、第1エネルギ貯蔵手段の一例として二次電池14を挙げたが、第1エネルギ貯蔵手段はこれに限られるものではなく、例えばキャパシタであってもよい。また第2エネルギ貯蔵手段の一例として化学蓄熱装置16を挙げたが、第2エネルギ貯蔵手段はこれに限られるものではなく、例えば吸着蓄熱材であってもよい。
【0040】
[第2実施形態]
図3において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置20では、発電手段12と、二次電池14及び化学蓄熱装置16との間に、該二次電池14又は該化学蓄熱装置16への電力の分配を制御する制御手段42が電気的に接続されている。発電手段12と制御手段42とは電線44により接続されている。また制御手段42は、電線46によって二次電池14と接続され、電線48によって化学蓄熱装置16と接続されている。
【0041】
二次電池14には、該二次電池14の蓄電量(エネルギ貯蔵量)を検出して制御手段42へ送信する蓄電量検出手段50が設けられている。この蓄電量検出手段50は、例えば信号線52を介して制御手段42に接続されており、該制御手段42へ検出信号をフィードバックするように構成されている。蓄電量検出手段50は、いわゆるSOC(State Of Charge)検出手段である。なお、この検出信号の送信に無線を用いてもよい。
【0042】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0043】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図3において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置20では、発電手段12にて生成された電力が、制御手段42によって二次電池14又は化学蓄熱装置16に適切に分配される。この分配は、蓄電量検出手段50から送信される二次電池14の蓄電量に基づいて行われる。
【0044】
具体的には、制御手段42が、蓄電量検出手段50からの信号により二次電池14の電池残量を把握し、電池残量が少ないときには該二次電池14に電力を分配し、電池残量が多いときには化学蓄熱装置16に電力を分配する。これにより、二次電池14の過充電を抑制することができる。またシステムの要求に応じて、エネルギの貯蔵先に優先度を付けることができる。
【0045】
[第3実施形態]
図4において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置30では、発電手段12が動力伝達部48を介して動力発生源54に接続され、該動力発生源54の動力を電力に変換するように構成されている。動力発生源54は、例えば車両のエンジンやモータである。動力伝達部48は、歯車機構、ベルト、プーリ、回転軸、軸継手等、各種の動力伝達機構である。
【0046】
制御手段42と二次電池14との間、即ち該制御手段42と二次電池14とを接続する電線46には、該制御手段42から該二次電池14に流れる電流(単位時間当たりの電気量)を検出して制御手段42へ送信する電流検出手段56が設けられている。この電流検出手段56は、例えば電流計であり、信号線58を介して制御手段42に接続され、該制御手段42へ検出信号をフィードバックするように構成されている。なお、この検出信号の送信に無線を用いてもよい。
【0047】
他の部分については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図4において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置30では、動力発生源54で生成される動力の一部又は全部、並びに車両等の移動体の運動エネルギ(回生エネルギ)の一部又は全部が、動力伝達部48を介して発電手段12に伝達されることにより、該発電手段12において電力を生成し、該電力を化学エネルギに変換して二次電池14及び化学蓄熱装置16に夫々蓄えることができる。この際の制御手段42による電力の分配は、電流検出手段から送信される二次電池への流入電流に基づいて行われる。
【0049】
図6の線図に示されるように、移動体の減速時には、該移動体の運動エネルギ(回生エネルギ)により生ずる電力が短時間で高出力となり、二次電池14へ流入する電流が、該二次電池14の入力限界Lを超える場合がある。この場合、図4において、制御手段42が、電流検出手段56からの信号に基づいて、該電流が二次電池14の入力限界Lに達するタイミングを検知し、電力の分配先を二次電池14から化学蓄熱装置16へと切り替える。動力発生源54で生成される動力が大きいために、二次電池14へ流入する電流が入力限界Lを超える場合も同様である。
【0050】
従って、電力を二次電池14で回収しきれなくなった場合でも、余剰分の電力W(図5の斜線部分)を化学蓄熱装置16に最適に分配して回収することができる。またこれによって、エネルギ回収効率を向上させることができる。
【0051】
なお本実施形態において、二次電池14の蓄電量を検出する蓄電量検出手段50(第2実施形態参照)を併用すると、二次電池14の過充電を抑制することができるため望ましい。
【0052】
[第4実施形態]
図6において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置40では、二次電池14と化学蓄熱装置16が、例えば熱交換部70によって互いに熱的に接続され、二次電池14の暖機又は冷却を、化学蓄熱装置16で生成した温熱又は冷熱によって実施できるようになっている。
【0053】
二次電池14には、第2実施形態と同様に、該二次電池14の蓄電量を検出して制御手段42へ送信する蓄電量検出手段50が設けられており、例えば信号線52を介して検出信号を制御手段42にフィードバックするように構成されている。なお、この検出信号の送信に無線を用いてもよい。
【0054】
また二次電池14には、該二次電池14の温度を検出する温度検出手段60が設けられている。この温度検出手段60は、信号線62を介して制御手段42に接続されており、検出信号を制御手段42にフィードバックするように構成されている。
【0055】
図7に示されるように、化学蓄熱装置16における貯蔵容器36は、蒸発器64と凝縮器66とに分離されている。反応容器34と貯蔵容器36とを接続する連通管32は、分岐部32Aで二股に分岐して、蒸発器64と凝縮器66とに夫々接続されている。連通管32における分岐部32Aと蒸発器64との間には、バルブ68が設けられている。同様に、連通管32における分岐部32Aと凝縮器66との間には、バルブ72が設けられている。
【0056】
図6において、熱交換部70は、二次電池14側に設けられた熱交換器74と、化学蓄熱装置16側に設けられた熱交換器76,78と、配管80とを有して構成されている。配管80は、熱交換器74と熱交換器76,78とを接続するものであり、該熱交換器74,76と熱交換器78との間で熱媒体(図示せず)を循環させることができるようになっている。
【0057】
図7,図8に示されるように、熱交換器76は、反応容器34に設けられ、熱交換器78は、貯蔵容器36の蒸発器64に設けられている。配管80は、化学蓄熱装置16側において、熱交換器76を通る分岐管80Aと、熱交換器78を通る分岐管80Bとに分岐している。分岐管80Aにはバルブ82が設けられ、分岐管80Bにはバルブ84が設けられている。このバルブ82,84を開閉することにより、熱媒体を分岐管80Aに流す場合と、分岐管80Bに流す場合とを切り替えることができるようになっている。
【0058】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図6において、本実施形態に係るエネルギ貯蔵装置40では、二次電池14と化学蓄熱装置16とが熱交換部70により熱的に接続されているので、温度検出手段60により二次電池14の温度を検出しつつ、該二次電池14の温度が最適となるように、該二次電池14の暖気又は冷却を、化学蓄熱装置16で生成した温熱又は冷熱により行うことができる。
【0060】
まず、二次電池14を暖機する場合について説明する。この場合には、図7に示されるように、分岐管80Bのバルブ84を閉じ、分岐管80Aのバルブ82を開いて該分岐管80Aを熱媒体が通るようにする。
【0061】
この状態で、連通管32のバルブ68を開き、バルブ72を閉じると、蒸発器64で発生した反応材26の蒸気(水蒸気)が、連通管32を通じて反応容器34へ移動する。反応容器34内の化学蓄熱材24が該反応材26と化学反応することにより、化学エネルギが熱エネルギに変換される(水和熱が生じる。)。この熱エネルギは、熱交換器76において熱媒体に伝えられ、分岐管80B(配管80)を通じて、二次電池14の熱交換器74に輸送される。そして、熱交換器74において、熱媒体が有する熱エネルギが二次電池14に伝えられることで、該二次電池14の暖機が行われる。即ち、熱交換部70により化学蓄熱材24の水和熱を回収して、二次電池14の暖機を行うことができる。
【0062】
次に、二次電池14を冷却する場合について説明する。この場合には、図8に示されるように、分岐管80Aのバルブ82を閉じ、分岐管80Bのバルブ84を開いて該分岐管80Bを熱媒体が通るようにする。すると、図7において、二次電池14の持つ熱エネルギが、熱交換器74において熱媒体に伝えられ、配管80(分岐管80B)を通じて、蒸発器64の熱交換器78に輸送される。該熱交換器78において、熱媒体が有する熱エネルギが蒸発器64に伝えられることで、反応材26が蒸発する。この反応材26の蒸発潜熱を利用することで、二次電池14を冷却することができる。蒸発した反応材26は、連通管32を通じて反応容器34へ移動する。
【0063】
なお、反応容器34において化学蓄熱材24から反応材26を分離させる際には、バルブ68を閉じ、バルブ72を開いた状態で、電気ヒータ22により化学蓄熱材24を加熱する。これにより化学蓄熱材24から反応材26が分離して水蒸気となり、連通管38を通じて凝縮器66へ矢印B方向に戻る。図示は省略するが、蒸発器64内の反応材26が空になることを防ぐために、凝縮器66で液体に変換された水蒸気(水)を蒸発器64に供給する手段が用いられる。
【0064】
本実施形態では、このように、二次電池14の暖気又は冷却を、化学蓄熱装置16で生成した温熱又は冷熱により行うことができるので、二次電池14を最適な温度にコントロールすることができる。またこれによって、二次電池14において入出力可能な電力を多くすると共に、該二次電池14の寿命を延ばすことができる。
【0065】
なお本実施形態では、配管80においてバルブ82,84を別個に設けたが、分岐管80A,80Bの分岐部に三方弁(図示せず)を設けて、流路の切替えを行うようにしてもよい。
【0066】
また各実施形態に記載された構造を、適宜組み合わせて用いることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 エネルギ貯蔵装置
12 発電手段
14 二次電池(第1エネルギ貯蔵手段)
16 化学蓄熱装置(第2エネルギ貯蔵手段)
20 エネルギ貯蔵装置
22 電気ヒータ
24 化学蓄熱材
26 反応材
30 エネルギ貯蔵装置
40 エネルギ貯蔵装置
42 制御手段
48 動力伝達部
50 蓄電量検出手段
54 動力発生源
56 電流検出手段
60 温度検出手段
70 熱交換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電手段と、
該発電手段と電気的に接続され、該発電手段により生成された電力を化学エネルギとして蓄える一方、該化学エネルギを電力に変換して放出可能な第1エネルギ貯蔵手段と、
該発電手段と電気的に接続され前記電力を熱エネルギに変換する電気ヒータを有すると共に、反応材と可逆的に結合する化学蓄熱材を有し、前記熱エネルギにより化学蓄熱材と反応材とを分離させて蓄熱する一方、前記化学蓄熱材と前記反応材とを反応させて熱エネルギを放出可能な第2エネルギ貯蔵手段と、
を備えたエネルギ貯蔵装置。
【請求項2】
前記発電手段と、前記第1エネルギ貯蔵手段及び前記第2エネルギ貯蔵手段との間には、該第1エネルギ貯蔵手段又は該第2エネルギ貯蔵手段への電力の分配を制御する制御手段が電気的に接続されている請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項3】
前記第1エネルギ貯蔵手段には、該第1エネルギ貯蔵手段の蓄電量を検出して前記制御手段へ送信する蓄電量検出手段が設けられている請求項2に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項4】
前記制御手段と前記第1エネルギ貯蔵手段との間には、該第1エネルギ貯蔵手段へ流れる電流を検出して前記制御手段へ送信する電流検出手段が設けられている請求項2又は請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項5】
前記第1エネルギ貯蔵手段には、該第1エネルギ貯蔵手段の温度を検出して前記制御手段へ送信する温度検出手段が設けられており、
前記第1エネルギ貯蔵手段と前記第2エネルギ貯蔵手段は、互いに熱的に接続されている請求項2〜請求項4の何れか1項に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項6】
前記発電手段は、動力伝達部を介して動力発生源に接続されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のエネルギ貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115996(P2013−115996A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262351(P2011−262351)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】